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237. ペパーミント・キャンディー <1999/韓> ★★★

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박하사탕/Peppermint Candy 
1999/130min
監督:イ・チャンドン「グリーンフィッシュ」「シークレット・サンシャイン」「
出演:ソル・ギョングムン・ソリ、キム・ヨジン
IMDb評価:7.7/10

韓流度 ★★
社会度 ★★★★

人は死ぬ時、過去が走馬灯のように蘇るというけれど、本作はまさに命を断つ瞬間に蘇る過去の出来事を描いた映画である。自殺を決意したヨンホは鉄橋の線路に立ち、自らの20年間を振り返る。韓国社会を背景に3日前、5年前、12年前、15年前、19年前、20年前というふうに現在から過去へと遡る逆順構造型、7章で構成されている。一体彼に何があったのか?何が彼を自殺までに追い込んだのか?観ているうちに「あ~そういうことだったのか」という瞬間が何度も訪れる。
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章と章の間、列車が走る映像が使われていますが、併走する車や人々が後ろ向きに走っているので、巻き戻し映像だということがわかる。彼の運命とは列車のように敷かれたレール、すなわち時代に翻弄された人生を歩んだということだろうか。韓国は79年から99年までの20年間で、戒厳令の軍政国家から民主主義国家へと大きく生まれ変わっていった。ヨンホの場合、光州事件で自分の意思とは関係なく手を汚してしまった。そこから生まれた社会や人に対する不信感や絶望感。社会の変動が個人に与えた影響の大きさは計り知れない。こういった影響をどう受け止めるかで人生も大きく変わってしまうのだろう。

しかしながら、最終的に個人を支配するのは自分の意思である。妻との結婚や警察官になったことは間違った選択であり、罪悪感を感じていた。軌道修正にも悉く失敗している。罪深くもあり、愚かでもあったがゆえに自らの意思で自殺を決意している。

「人生は美しい」がキーワードとなっている。人生を絶つ直前に振り返りたくなるのは美しかった人生なのであろうか?美しかった人生の始まりにはペパーミント・キャンディーとの出会いがあり、「純粋」を暗喩しているように思える。「純粋」だった頃の良き思い出にはいつもペパーミント・キャンディーがあった。年を重ねれば重ねるほど忘れてしまう純粋な思いを変わらずに持ち続けることの難しさ。そして、大切さ。逆順構造型で描くことによって内に秘めていた思いや何が大切なのかが際立っているように思えた。

ヨンホより人生経験の浅い私には「人生の美しさ」がまだわからない。彼ほどの絶望を経験していないから本当の美しさを見極めることがでいないのかもしれない。ヨンホの年齢に近づいた時にまた観直したいと思う。

日本大衆文化が完全禁止されていた韓国において、98年秋にやっと一部解禁された。日本ではさりげなくニュースにされた程度だったけど、韓国にどっぷりハマっていた私には大ニュースだった。本作が日韓合同第1作目である。解禁直後は韓国も日本文化に溢れていたけど、今はどうだろうか。アジア全体が韓国ブームにおされて、日本文化は残念ながら廃れてしまっているような気がする。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/28
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236. グリーンフィッシュ <1997/韓> ★★★★

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초록 물고기/Green Fish
1997/114分/18歳以上
脚本:イ・チャンドン、オ・スンウク 
監督:イ・チャンドン[デビュー作]「シークレット・サンシャイン」「
助監督:チョン・ジニョン、オ・スンウク
撮影監督:ユ・ヨンギル
出演:ハン・ソッキュ、ムン・ソングン、シム・ヘジン、ミョン・ゲナム、ソン・ガンホ、チョン・ジニョン、イ・ムンシク  
IMDb評価:6.9/10

韓流度 ★★★★
暴力度 ★★
哲学度 ★★★

<あらすじ>
軍隊を除隊して故郷行の汽車に乗ったハン・マクトンは,汽車のデッキで風に飛んだミエのバラ色のスカーフを拾い,彼女をチンピラから助ける。マクトンは,スカーフを返すために訪れたあるナイトクラブで,歌を歌うミエと再会する。ミエは,ヨンドポ(永登浦)一帯を掌握した組織暴力団のボス,ペ・テゴンの情婦であり,彼を通じてマクトンの働き口を用意してくれる。マクトンは,ペ・テゴンの信任を一人占めするが,ミエとの不明瞭な関係は,危険な状況につながる。そんな時,ペ・テゴンの元ボスのキム・ヤンギルが現れる。ペ・テゴンは,全面戦争を避け,ミエを捧げまでしてヤンギルを避けようとするが,マクトンは,ヤンギルを殺害しようとする。

<レビュー>
生まれて初めて観た韓国映画を再観。当時は日本語字幕なんて存在しなかった時代。ろくに韓国語もわからないのに観れるだけでも有り難いと思いながら、喰いるように観ていたのが懐かしい。10年も経つと当時見えなかったものが見え、印象がかなり違う。再観してよかった。イ・チャンドンの監督デビュー作でもあり、当時、賞を総なめにした作品である。

軍隊を終えたばかりのごく普通の青年マクトン。都市化によって孤立し、バラバラになりつつある家族と昔のように一緒に暮らすというのが彼の夢であった。絶望の中で出会ってしまったヤクザ組織。家族意識の高いヤクザ組織はマクトンの目には自分の夢を実現しているかのように映ってしまったのではないだろうか。流されるがままに足を踏み入れ、忠誠を尽くそうともがく姿には迷いや戸惑いも滲み出ている。もぎこちない暴力シーンからは根っからの悪人ではないことがわかる。

グリーンフィッシュ(緑の魚)とは幼少時代の家族との良き思い出の象徴とされている。電話ボックスで泣き崩れながらグリーンフィッシュについて語るシーンが未だに名シーンと言われ続けるのも納得。かつて(今も?)「韓国ノワール映画の傑作」と評されたのも再観してようやく理解した。

テーマは家族の再生と崩壊。本作で描かれる家族とは「肉親の家族」のことでもあり「家族組織のヤクザ」のことでもある。情に厚い韓国らしい描き方。対極する二つの家族がマクトンを中心に再生と崩壊を描く。不条理でありながらも皮肉的な結末には全てが集約されており、死をも超越してしまっている。

大企業の地位を捨て俳優に転身したムン・ソングン。「知性派俳優」と呼ばれたり、「1000の顔を持つ男」とも呼ばれたりもするが、ほんとに次から次へといろんな役を演じている。本作のヤクザのボス役は、しゃべり方や歩き方、振る舞い方まで見事にこなしている。製作者としても参加しているそうだ。その他、ソン・ガンホなど大物俳優軍が名を連ねる。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/25
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208. ポエトリー アグネスの詩 <2010> ★★★

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詩(시)
2010/ドラマ
監督:イ・チャンドン
出演:ユン・ジョンヒ
受賞:2010 第63回 カンヌ映画祭 脚本賞

<あらすじ>
世の中に向けた彼女の小さな叫びが始まる

漢江に挟まれた京畿道のある小さな都市、古い庶民のアパートで中学校に通う孫とともに暮らすミジャ。彼女は花が飾られた帽子や豪華な衣装で美しく装うのが好きで、好奇心も多い荒唐無稽のキャラクター。
ミジャはある日、町内の文化院で偶然に「詩」の講座を受講することになり、生まれて初めて詩を書いた。入賞するために、今まで何気なく過ごしていた日常に注目し、美を探そうとするミジャ。今まで見ていた全てのものが、まるで初めて見るもののようで少女のように胸を躍らせる。

しかし彼女に予期できない事件が訪れ、世の中が美しいだけではないことを知る…。

<レビュー>
少女の死体が流れてくる川辺での冒頭シーン。
タイトル「詩」から死は連想しづらいですが、この死体が重要な出来事になっています。
この死体をめぐる周囲の人々との関わりと、主人公ミジャが詩に没頭していく過程を描いています。

詩を朗読するシーンが何度もありますが、理解するほどの語学力が私にはなかったようです。
詩の奥深さを読み取ることもできなければ、言葉の美しさもわからないし、情景も目に浮かばなかった。
雨音、せせらぎ、ゆらぐ木々の音などを強調した描写は身近にある美しい物を表現したかったのでしょう。
そういった音や映像だけが画面を支配するシーンはアート系作品が好きな方には楽しめるのかな?
ユン・ジョンヒがフランス在住だからなのか、映画全体がフランス映画風に感じます。
音楽なしなので芸術作品というより文学作品的です。

詩をきっかけに、より美しさを求めるようになったミジャの日常生活。
詩の講師からは「対象をよく見ること」と教えられる。
講師の助言通り、身の回りにある美しい物をよく見始めるミジャだが、少女の死まで深入りしようとする。

この作品において少女の死とは何を意味するのか?
目に見える美しい物の影にある現実の厳しさが込められているようで、美しさと現実で揺れる苦悩や葛藤がみられます。
死因は現実に起こりうる話しだし、この辺の社会問題の描き方はイ・チャンドンらしさを感じます。
老人の性問題などのエピソードも取り入れています。

詩の理解度で評価が分かれそうですが、私は日本語字幕で再度観る必要があります。
ちょっと難解度が高めだったかな。。。

<鑑賞> 字幕なし 2010/7/11
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181. 冬の小鳥 <2009> ★★★★

韓仏映画共同制作協定第1回作品。
韓国生まれのフランス人ウニー・ルコント(Ounie Lecomte)自身の経験に基づく物語。

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旅行者/여행자/A Brand New Life / Une Vie Toute Neuve
2009/92分/ドラマ/12歳以上
脚本/監督: ウニ・ルコント 
制作者: イ・チャンドン「シークレット・サンシャイン
出演:  チニ:キム・セロン 
      スッキ:パク・トヨン
      イェシン:コ・アソン
      保母:パク・ミョンシン
      ク院長:オ・マンソク
      チニの父:ソル・ギョング 
      医師:ムン・ソングン
受賞: 
2009 第12回 ディレクターズ・カット授賞式 今年の新人監督賞(ウニ・ルコント)
2009 第23回 シネキッド映画祭 審査委員賞(ウニ・ルコント)
2009 第3回 アジア太平洋スクリーンアワード 最優秀子供作品賞(ウニ・ルコント)
2009 第22回 東京国際映画祭 アジア映画賞(ウニ・ルコント)
映画祭:
2009 カンヌ国際映画祭 非コンペティション部門

<鑑賞> 字幕なし 2010/5/12
<レビュー>
少女の視線の高さに合わせた撮り方。お父さんが一緒にいるのに、なかなか顔は映らない。映るのは後ろ姿や横顔のみでなぜか寂しそう。次の日「旅行」に行こうと言われ少女は胸を弾ませるが、行き先はなんと孤児院だった。
父親に捨てられた事実をなかなか受け入れられず、孤児院を抜け出すが、結局行き場もなくすぐ戻ってくる。その後も父親を信じ、待ち続ける姿には胸打たれる。

外国人夫婦が養子を探しに来ると、孤児たちは身なりを整え選ばれるのを願う。孤児にとって養子縁組が決まるかで運命は別れるからだ。養子縁組に出される孤児を仰げば尊しを歌って「旅行者」として見送るシーンがある。1人目の時は状況がわからず歌えなかったが、2人目の時はうれしそうに歌う姿が見られ、馴染んで行く様子がうかがえる。
「愛を知る前に、別れと出会った」少女。
徐々に自身の立場を悟り、環境に適応していく姿が鮮明に描かれています。

孤児院の美化や海外養子縁組の肉親捜しといった作品が多い中、孤児院の現状やそこでの生活における子供の葛藤を描いた作品は珍しく、興味深かった。韓国映画によくある同情を誘って泣かせるような作品ではなく、少女の自然な演技に引き込まれる。悲しいお話なんだけど、子供の適応能力の高さと希望的な結末がせめてもの救いだ。
監督自身の経験に基づくとのことで、これが現実かと思うと、いたたまれないですね。

制作にはイ・チャンドン氏も携わっている。出演者もかなり豪華だ。それほど注目されているということだろう。

木のない山」も環境の変化に葛藤する子供を描いています。
こちらのほうが細部にこだわっていて、完成度は高いように感じた。



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