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204. ハハハ(夏夏夏) <2010> ★★

hahaha.jpg
ハハハ(夏夏夏)/ 하하하
2010/115分/ドラマ
監督:ホン・サンス
出演:キム・サンギョン、ユ・ジュンサン、ムン・ソリキム・ガンウ
受賞:第63回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 最高賞

<あらすじ>
二人の男が語る夏の統営での出来事
カナダに移民する決心したムンギョン(キム・サンギョン)は、先輩チュンシク(ユ・ジュンサン)に会って、清渓山の麓でマッコリを飲む。二人とも少し前、それぞれ統営に旅行したことが分かり、マッコリを飲みながらそこでの楽しかったことを一つずつ話すことにする。

ムンギョンの話。統営の観光解説者ソンオク
「統営にいる母(ユン・ヨジョン)の家に泊まることになったムンギョンは、統営を歩き回って観光解説者ソンオク(ムン・ソリ)に出会い彼女につきまとい始める。ソンオクの恋人で海兵隊出身のチョンホ(キム・ガンウ)とぶつかるが、ついにソンオクの心をつかむことに成功して、一緒に移民しようと説得までする。
チュンシクの話。統営に一緒に行った女ヨンジュ
チュンシクは結婚しているが恋人ヨンンジュ(イェ・ジウォン)がいて、一緒に統営に旅行してきた。恋人はチュンシクに、離婚して自分と結婚することを要求し、チュンシクは苦しむ。統営を訪れている詩人チョンホとは親しい間柄で毎日のように飲み歩き、チョンホの恋人でアマチュア詩人のソンオクとも知りあいになる。

酒の肴がわりに夏の出来事を話していた二人の男。しかし話を聞いてみると彼らは同じ人々に会っていた!ただ楽しかったことだけを話すというニ人の男の漫談のようなコメントが、清々しい統営で起きた二つのカップルと憂鬱な詩人の出会いを、微妙な色合いの絵の具で完成していく。

<レビュー>
男2人が夏の出来事を語り合う場面を白黒の静止画にすることによって、回想シーンがより強調されています。
静止画と動画切り替えのタイミングが絶妙。
この映画の題名は感嘆詞のハ、夏を現わす漢字のハ、笑い声のハを組み合わしたそうです。
観終わると、緻密に計算されてつけられたタイトルだということがようやくわかる。
タイトルと内容も絶妙にリンクしています。

ホン・サンス監督は出演者に本番当日まで台本を渡さないそうです。
予め役作りをせずに、自然な振る舞いを期待しているのでしょうかね。
この作品に限らず日常生活をありのままに描いているので、そのほうが現実味が増すのかもしれません。
確かに、現実に起こり得る話しで、生活感には溢れていますね。

アドリブも許さないそうです。
だからか、自由がなく、型にはまった感じで、窮屈に感じてしまう。
遊び心もないし、クライマックスもないし、私はこのスタイルがとっても苦手です。

カンヌに何度か出品していて、この作品でやっと「ある視点」部門 最高賞を受賞。
ホン・サンス監督のスタイルを真似る若手の監督たちが多いとよく聞きます。
一方では、ホン・サンス監督作品は以前よりはるかにやわらかくなり、一般観客にも見やすくなった、と。

残念ながら、私にはまだまだ見にくい作品でした。

<鑑賞> 字幕なし 2010/7/4

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23. 京義線 <2007> ★★★★☆

kyongi-sen.jpg



京義線 경의선/The Railroad
2007/107分/ドラマ/15歳以上
脚本/監督: パク・フンシク 
出演: キム・マンス 地下鉄機関士:キム・ガンウ仮面」「マリン・ボーイ」
     イ・ハンナ 大学非常勤講師:ソン・テヨン
受賞: トリノ映画祭 主演男優賞(キム・ガンウ

<あらすじ>
退屈で反復する日常の中でも誠実さを失わずに仕事をする地下鉄機関士マンスには,この間から自分の列車を待っておやつと雑誌を渡すある女性がいる。家族も同僚も認知できない程,たびたび変わる列車の運行時間をどのように知って毎日のように正確な時間に待つのか分からないが,彼女の登場は,いつのまにかマンスの日常にとって活力になっている。

だが,それもしばらくの間。予期できない列車投身自殺事件で大きな衝撃と混乱に陥ったマンスは,特別休暇をもらって京義線の列車に乗る。

同じ科の教授として在職中の大学先輩と危険な関係を維持しているけれど,揺れないで堂々と愛したい大学非常勤講師ハンナ。他人がうらやましくない能力と条件をそろえたエリートだが,なんだか満たされない彼女のむなしい心は,筋道がつかめない。

誕生日を迎えて,彼と一緒に旅立とうとしていた旅行は,思いがけない事件で小さく割れてしまい,行き過ぎるように冷淡な彼の行動は,ハンナをより一層みじめにさせる。熱心に無視した状況と向き合ったハンナは,悶々とした心で京義線の列車に身をのせる。


<鑑賞> 英語字幕 2009/11/3
<レビュー>
京義線:
元々は日本が日露戦争時の物資輸送のために作った鉄道。
京城(現ソウル)から北朝鮮新義州市を結んでおりましたが、現在は南北分断で実質的には韓国の都羅山駅が終点になっている。

地下鉄の運転手と大学講師の日常から描かれています。
接点も共通点もなく、決して出会うはずのない2人。
傷ついた心を癒すべく「京義線」に乗り込みます。
ついつい終着駅にまで来てしまい、無理矢理降ろされる。
ソウルへ戻る上り電車はもうない。 タクシーもない。
臨津江駅にはしんしんと雪が降っており、二人の絶望感が表わされています。

kyonuisen.jpg

線路は北まで続いているのに、電車では前に進めない駅での停車は、2人が人生においても行き場を見失っていることを象徴しているかのようでもあります。
京義線は、人生そのものを表現しています。

仕方なく、2人は歩いてソウル方面へ戻ろうとする。
来た経路を戻ることによって、人生を見失った2人の再生がここから始まったんだと思います。

ドイツ留学をし、ドイツ語教師をしているハンナ。なぜ設定をドイツにしたのか。
ホテルでドイツでの戦争時代の話をしています。
「誰も予測していなかったことが起こった」
この言葉がキーワードだと思います。
予測していなかった人身事故。予測していなかった彼の冷淡な態度。予測していなかった2人の出会い。
予測していなかったドイツでの出来事。
舞台に京義線を選んだのは、数年前までは誰も予測していなかった北朝鮮開通を言いたかったんだと思います。
「いつ何が起こるかわからない。たとえ予期せぬことが起こっても、人間は再生可能」
分断していたドイツをも題材にしたということは、線路の先の北朝鮮は、予期せぬ未来を象徴しており、統一をも暗示しているのだと思います。

二人の人生と朝鮮半島の現在と未来を「京義線」と上手くダブらせた作品です。

結末は私の好み。
心の闇を彷徨っているかのごとく暗い地下鉄を運転していたマンス。
二人の出会い後、光に向かって運転していましたね。

運転手の視点で描かれているのも興味深いです。

非常に重く、暗い映画です。
決して万人向きではなく、奥の深い内容です。
空気感から心情を読み取るのが好きな方にお勧めします。

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