スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[タグ未指定]
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

ピエタ <2012/韓> ★★★★☆

pieta.jpgPieta/ピエタ
2012/104min/韓国
監督/脚本:キム・ギドク (監督18作品目)
原作:パク・イニョン
出演:チョ・ミンス、イ・ジョンジン 
受賞:
2012年ヴェネチア映画祭 金獅子賞
2013年アカデミー賞外国語映画賞 韓国代表作
IMDb評価:7.2/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★★
宗教度 ★
官能度 ★(ヌードなし)
民族度 ★★
ゴア度 ★★(直接描写なし)
脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★★★
演技 ★★★★★

2013年(第85回)米アカデミー賞 外国語作品についてはこちら

************第69回 ヴェネチア国際映画祭受賞作************
金獅子賞:「Pieta」(韓国)キム・ギドク監督
銀獅子賞:「The Master」(米) ポール・トーマス・アンダーソン監督
審査員特別賞:「Paradise:Faith」(オーストリア=仏=独)
優秀男優賞:フィリップ・シーモア・ホフマン/ホアキン・フェニックス(「The Master」、米)
優秀女優賞:ハダス・ヤロン(「 Fill the Void」イスラエル)
最優秀新人賞:ファブリッツォ・ファルコ(Dormant Beauty」/「E Stato Il Figlio」、伊=仏)
優秀脚本賞:オリヴィエ・アサイヤス「Something In The Air」(仏)
優秀技術賞:ダニエーレ・チプリ「E Stato Il Figlio」(伊=仏)
*****************************************


身寄りがなく孤独に育ってきたカンドは非情なやり方で債務者たちから借金を取り立てる高利貸しとして生きてきた。そんな彼の前に、ある日“母親”だと名乗る女が現れる。女の正体を怪しみ混乱に陥るカンドは、生まれて初めて自分を訪ねてきた“母”に異常な執着を見せ始める。そうしたある日、女は姿を消し、まもなくカンドと彼女の間の残忍な真実が明らかになる。
決して許されることのない二人の男女。神よ、彼らに慈悲を。 @innolife

監督は、韓国の鬼才キム・ギドク監督。「アリラン」に続く18作目であり、日本公開も決定している。
出演は、新人ではなくそれほどヒット作はないものの着実に演技を積んできたチョ・ミンスとイ・ジョンジン。今後の活躍に注目したい。 

pieta2.jpg主人公は町工場一帯で取り立て屋として働くガンド。債務者たちの支払いが滞れば、自分の機械で手足を切断させ、保険金で支払わせるという卑劣なやり方でお金を巻き上げる、血も涙もない男である。身寄りはなく、死んだと思っていた母が目の前に現れ、狂う人生を描いている。シンプルなストーリーに最低限のキャストとセリフでありながら、母子の危うい関係が作品に緊張感を与え、またまた強烈な作品に仕上がっている。監督は一貫して暗欝な側面にスポットを当てているが、正直、以前の作品のような怒りをぶつけるような作品ではなく、丸くなったという印象を受けた。テレビインタビューなどほどんど受けなかった監督が、テレビ出演を快く引き受けていることにもつながっているのだろう。映像センスと見事なキャスティング、演技力で、感情を揺さぶる作品をこれからも期待したい。

舞台はソウル清渓川という町工場の一角。プレス、切断、板金、金型といった工業器具が並ぶ町工場一帯、かつては韓国産業発展に大きく貢献した地でもある。監督自身も16歳から20歳までこの地で機械工の見習いとして働いていたそうだ。 再開発のために、一帯が撤去される直前の撮影だったという。資本主義社会を真っ向から否定し続けている監督らしい抜群のロケーションだと思った。資本主義社会の裏で金属のゴミ山や廃墟、寂れ果てた一帯の殺伐さもまた作品に強烈な印象を残している。本作、ベネチアでの受賞のおかげでヒットしていたにもかかわらず、上映を打ち切ったのも、スポットが当たっていないが素晴らしい低予算映画が埋もれてしまわないようにという監督の配慮だという。主演の2人もノーギャラでの出演で、素晴らしい演技を見せている。

pieta1.jpg “ピエタ”とは、イタリア語で“悲哀"という意味。キリストの遺体を膝に抱いて嘆くマリア像のことを言うそうだ。その姿がポスターにも使われている。あるインタビューで監督は、“お金中心の資本主義社会の中で人々の信頼が消え、不信と憎しみで破滅に向かい墜落する私たちの残忍な自画像に対する警告映画”だと言及している。
必然的に自虐的な生き方を選んでしまったカンドは負債者たちに怪我を負わす加害者であると同時に、母親に捨てられた被害者でもある。この町工場も栄えた時代があった半面、資本主義の恩恵も受けず、犠牲となっている地。そして突然現れた母親も被害者であり、徐々に加害者へと変貌していく姿が後半の見せ場となっている。毎度のことながらセリフは少なく、抑揚のある表情での演技が卓越している。時々浮かべる笑みの不気味さ。不可解な行動。最後まで観て始めて理解できるストーリー運びにもため息。終盤のすさまじさはギドク監督だからこそなせる技。ギドク作品は観終えた時にどっと疲れがでるのだが、本作は初めてすぐにもう一度観たいと思った作品。金獅子賞も納得の傑作であった。
表裏一体である加害者と被害者。全ての人が神の慈悲を得られるのだろうか…。

<観賞> 2012/11/26


[サイト内タグ検索] キム・ギドク監督
関連記事
スポンサーサイト

2013年 第85回 米国アカデミー賞 外国語映画賞エントリー71作品

i-phoneは壊れるわ、試験勉強しなきゃいけないわ、1か月も映画観れてません。なんだか疎くなってしまった。
世界の映画祭を追っかけていないと、ノミネートリスト見てもピンとこない。
頭の整理をしつつ一か月ぶりのアップです。
個人的には観たいのも受賞して欲しいのもキム・ギドクだけど、本命はハネケあたりなんだろうな・・・

*国名:「タイトル」,監督名 ★:Koo評価
**太字:ノミネート作(to be updated)

Afghanistan:「The Patience Stone/سنگ صبور」,PersianAtiq Rahimi
Albania:「Pharmakon/Pharmakon」,Joni Shanaj
Algeria:「Zabana!/زبانة」,Saïd Ould Khelifa
Argentina:「Clandestine Childhood/Infancia clandestina」,Benjamín Ávila
Armenia:「If Only Everyone/Եթե բոլորը」,Nataliya Belyauskene
Australia:「Lore」,Cate Shortland
Austria:「Amour」,ミヒャエル・ハネケ/Michael Haneke
Azerbaijan:「Buta」,Ilgar Najaf
Bangladesh:「Pleasure Boy Komola/ঘেটুপুত্র কমলা」,Humayun Ahmed
Belgium:「Our Children/À perdre la raison」,Joachim Lafosse
Bosnia and Herzegovina:「Children of Sarajevo/Djeca」,Aida Begić
Brazil:「The Clown/O Palhaço」,Selton Mello
Bulgaria:「Sneakers/Кецове」,Valeri Yordanov
Cambodia:「Lost Loves/ឃ្លាតទៅសែនឆ្ងាយ」 ,Chhay Bora
Canada:「魔女と呼ばれた少女/War Witch/Rebelle」,キム・グエン/Kim Nguyen ★★★★☆
Chile:「No」,Pablo Larraín
China:「Caught in the Web/搜索」,チェン・カイコー/Chen Kaige
Colombia:「The Snitch Cartel/El Cartel de los Sapos」,Carlos Moreno
Croatia:「Cannibal Vegetarian/Ljudožder vegetarijanac」,Branko Schmidt
Czech Republic:「In the Shadow/Ve stínu」,David Ondříček
Denmark:「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮/A Royal Affair/En kongelig affære」,ニコライ・アーセル/Nikolaj Arcel
Dominican Republic:「Jaque Mate」,José María Cabral
Estonia:「Mushrooming/Seenelkäik」,Toomas Hussar
Finland:「Purge/Puhdistus」,Antti Jokinen
France:「最強のふたり/The Intouchables/Intouchables」,エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ/Olivier Nakache and Eric Toledano
Georgia:「Keep Smiling/გაიღიმეთ」,Rusudan Chkonia
Germany:「東ベルリンから来た女/Barbara」,クリスティアン・ペツォルト/Christian Petzold ★★★★
Greece:「Unfair World(Adikos kosmos/Άδικος Κόσμος),Filippos Tsitos
Greenland:「Inuk」,Mike Magidson
Hong Kong:「Life Without Principle/奪命金」,Johnnie To
Hungary:「Just the Wind/Csak a szél」,Benedek Fliegauf
Iceland:「The Deep/Djúpið」,Baltasar Kormákur
India:「Barfi!/बर्फी」,Anurag Basu
Indonesia:「The Dancer/Sang Penari」,Ifa Isfansyah
Israel:「Fill the Void/למלא את החלל」,Rama Burshtein
Italy:「塀の中のジュリアス・シーザー/Caesar Must Die/Cesare deve morire」,パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ/Paolo and Vittorio Taviani
Japan:「Our Homeland/かぞくのくに / Kazoku no kuni」,Yong-hi Yang
Kazakhstan:「Myn Bala: Warriors of the Steppe/Жаужүрек мың бала」,Akan Satayev
Kenya:「Nairobi Half Life」、David 'Tosh' Gitonga
Kyrgyzstan:「The Empty Home/Пустой дом],Nurbek Egen
Latvia:「Gulf Stream Under the Iceberg/Golfa straume zem ledus kalna」,Yevgeni Pashkevich
Lithuania:「Ramin」,Audrius Stonys
Macedonia:「The Third Half/Трето полувреме」,Darko Mitrevski
Malaysia:「Bunohan」、Dain Said
Mexico:「After Lucia/Después de Lucía」,Michel Franco
Morocco:「Death for Sale/موت للبيع」,Faouzi Bensaïdi
Netherlands:「Kauwboy」,Boudewijn Koole
Norway:「Kon-Tiki」,Joachim Rønning and Espen Sandberg
Palestinian territories:「When I Saw You/لما شفتك」,Annemarie Jacir
Peru:「The Bad Intentions/Las malas intenciones」,Rosario Garcia-Montero
Philippines:「Bwakaw」,Jun Lana
Poland:「80 Million/80 milionów」,Waldemar Krzystek
Portugal:「Blood of My Blood/Sangue do meu Sangue」,João Canijo
Romania:「Beyond the Hills/După dealur」,クリスティアン・ムンジウ/Cristian Mungiu
Russia:「White Tiger/Белый тигр」,Karen Shakhnazarov
Serbia:「When Day Breaks/Кад сване дан」,Goran Paskaljević
Singapore:「Already Famous/Already Famous」,Michelle Chong
Slovakia:「Made in Ash/Až do mesta Aš」, CzechIveta Grófová
Slovenia:「A Trip/Izlet」,Nejc Gazvoda ★★★
South Africa:「Little One/Umfaan」,Darrell Roodt
South Korea:「Pietà/피에타」,キム・ギドク/Kim Ki-duk ★★★★☆
Spain:「Blancanieves/Blancanieves」,Pablo Berger
Sweden:「The Hypnotist/Hypnotisören」,Lasse Hallström
Switzerland:「Sister/L'Enfant d'en haut」,ウルスラ・メイヤー/Ursula Meier★★★☆
Taiwan:「Touch of the Light/逆光飛翔」,Chang Jung-Chi
Thailand:「ヘッドショット/Headshot/ฝนตกขึ้นฟ้า」,ペンエーグ・ラッタナルアーン/Pen-Ek Ratanaruang
Turkey:「Where the Fire Burns/Ateşin Düştüğü Yer」,İsmail Güneş
Ukraine:「The Firecrosser/Той, хто пройшов крізь вогонь」,Mykhailo Illienko
Uruguay:「マリアの選択/The Delay/La Demora」,ロドリゴ・プラ/Rodrigo Plá
Venezuela:「Rock, Paper, Scissors/Piedra, papel o tijera」,Hernán Jabes
Vietnam:「The Scent of Burning Grass/Mùi cỏ cháy」,Nguyễn Hữu Mười

関連記事
[ 2012/11/15 23:08 ] ★映画関連★ 映画賞 | TB(0) | CM(0)

260. ママは娼婦(別タイトル:母さんは娼婦だ) <2011/韓> ★★★☆

mama.jpg
Mother is a Whore
2009/95min/韓国
ドラマ
監督/脚本/出演:イ・サンウ(長編監督2作目)
出演:イ・ヨンニョ、クァン・ブンタク

社会度 ★★★
衝撃度 ★★★
哲学度 ★★
暴力度 ★
宗教度 ★
官能度 なし

第32回(2010)ぴあフィルムフェスティバル上映作品


mama3.jpg母を誰よりも愛している38歳の息子サンウは未だ独身。エイズで働けないサンウに代わり生計を立てているのは60歳の母親であり、仕事は娼婦。息子は下半身障害者や肢体障害者の客を連れて来ては母に相手をさせ、15分7000ウォンの収入を得ている。母もまた足に障害を抱えている。お客に抱かれている時は生きていることが実感でき、働くことが好きだという母は、具合が悪くても弱音を吐かない。そんな母を見て、サンウは自分たちを捨てた父親への怒りが抑えられなくなっていく…。

韓国はまたとんでもない監督を輩出してしまった。
“世界がまず驚いた。韓国映画至上 一番破格的な映画”というキャッチフレーズが付けられている本作の監督はキム・ギドク監督作品「絶対の愛」の演出部、「ブレス」の撮影チームに所属していた方で、監督2作目となる。タイトルだけでもインパクト十分だが、内容や素材はそれ以上の衝撃作。キム・ギドク監督のお弟子さんと知った上での鑑賞だったが、構えが甘かった。初期のギドク作品のような作風で、心理的な痛みはキム・ギドク同様、もしかしたらそれ以上かもしれない。シリーズ第二弾「親父はイヌだ」、シリーズ最後「俺はゴミだ」という作品も用意されている。

監督自身が主演を演じ、娼婦母親役には「親切なクムジャさん」パク・チャヌク作品でお馴染みのイ・ヨンニョ。この方なしではこの作品は成立しなかったと思わせるさすがの存在感。

mama2.jpg韓国に行くとコーヒー配達を口実に体を売っている女性たちをよく目にするが、地方に行けば行くほど、娼婦の年齢層が高くなっていることには薄々気が付いていた。本作でも60歳の娼婦が描かれている。エイズの息子と足に障害を持つ母は共に働きに行くのは難しい。苦渋の選択で、主に障害者を相手に身体を売って生計を立てている。社会的弱者が生きる術は他にはないものなのか。現実の厳しさを突き付けられる。
息子が母親に娼婦をさせるとはとんでもない話ではあるが、監督の言わんとしていることは至って真面目。主軸として描かれるのは、社会の端っ子で支え合って必死に生きようとする親子の物語である。母親に娼婦をさせ倫理的に悶え苦しむ息子の姿がせめてもの救い。韓国映画らしく母への愛や感謝の気持ちに溢れている作品でもある。

エイズに感染してしまい人生が狂ってしまったことへの後悔、自分たちを捨て新しい家族と共に幸せに暮らしている父親への憤り、八方塞な現実へのやるせなさがひしひしと伝わってくる。性病への無関心さ、障害者への冷たい風当たり、宗教へのめり込み過ぎることへの危険性、野放しな性犯罪など、監督のメッセージは明確でストレート。少々詰め込み過ぎな感じは否めないが、韓国の社会問題を鋭く提議しており、実情の一幕をそのまま切り取ったかのようなリアルさが感じられる。

目を背けたくなるような暴力シーンや性描写はやはり師匠の影響を感じさせる。父親は犬肉専門店を経営しており、手懐けた犬を食べてしまう事実も見逃せない。素材からしても作品全体に嫌悪感を抱く人のほうが多いかもしれない。ギドク同様、観客を選ぶ作品であることは確かであるが、日本を始め世界でも賞を撮っているのも事実である。今後も商業映画へ靡くことなく、独自の作品を作り続けてくれることを切望。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/29
[サイト内タグ検索] キム・ギドク監督
関連記事

257. アリラン <2011/韓> ★★★★★

arirang.jpg
Arirang
2011/100min/韓国
ドキュメンタリー
制作/監督/脚本/出演/編集/音楽:キム・ギドク
IMDb評価:7.3/10


衝撃度 ★★★★★
哲学度 ★★★★
社会度 ★★★


第12回(2011)東京フィルメックス・オープニング作品として決定しました。配給ついてますね。公開されることをほんとにうれしく思う。(2011/9/15)


2008年の「悲夢」の後忽然と姿を消してしまったキム・ギドク監督。本作はその3年の沈黙を破り、突如カンヌ映画祭「ある視点」部門に出品し、賞まで撮ってしまった衝撃作である。「2008年の『非夢』以後映画を撮れなかったが、私が私を撮るためにドキュメンタリーでもありドラマでもありファンタジーでもあるこの作品を撮った」と監督ご本人は劇中紹介されている。3年もの間、映画を撮れなかった決定的な理由が述べられ、自身の15本の映画を振り返りながら、“映画とは何か”を問答形式で解いていく監督初のドキュメンタリー作品。

arirang1.jpg監督自らが書き上げた脚本をご本人が演じ、監督、制作、映像、音楽も全て自らが担当している。それゆえに特殊な作品であり、過去の15作品とは全く異なるスタイル。山奥に1人引きこもり、自給自足の生活を送りながら、このままでいいのかと叱咤激励する叱るキム・ギドクと、傷つき情熱を失ったキム・ギドクの対談形式になっている。そして、それを冷静に見つめる傍観者キム・ギドクの1人三役。とてもユニークな構成になっている。質素ながらどことなくこだわりの感じられる食事。エスプレッソマシーンまで作ってしまう器用さはさすが。私も機械いじりや分解が好きなので、かなり興味深かった。

「アリラン」とは韓国で古くから愛されている民謡で、旅人が峠を越える時の辛さと困難を歌ったもので、監督ご自身がこの3年間経験した苦悩を重ね合わせている。“「アリラン」は辛い時悲しい時淋しい時に韓国人が歌う民謡であり、この歌を歌うと自分の思いが全て理解できるような気がする。”と語る監督は時折、目に涙を浮かべ、カメラ目線で熱く語る思いに私も自然と何度も涙した。1人三役を演じることで、客観的に自身の心境を分析し、告白してしまうとは、やはり監督はタダ者ではない。
叱咤激励するキム・ギドクは待ち望むファンそのものであり、ファンが知りたいことを全て質問してくれている。その期待に応えられず弱気なキム・ギドクを見るのはあまりにも辛かった。ギドク作品はいつも何度観ても痛みを伴うが、本作は拳銃で心臓を撃ち抜かれたような痛みを感じ息苦しい告白であった。

arirang2.jpgファンの方なら、“今まで何してたの?”“何があったの?”“次回作は?”と気になっていることでしょう。2人のキム・ギドク対談という形で、この3年間の心境や今後のことが包み隠さず語られる。その中でも韓国で波紋を呼んでいる“3年間映画を撮れなかった決定的な理由”が一番のメインであろう。2008年の「悲夢」当時、女優の意図せぬ事故と後輩映画監督の裏切り行為など、実名暴露で語られている。本人ならずとも、かなり衝撃的な暴露内容であるが、それ以上に監督らしいブラックの効いたものすごい強烈な結末に導いている。実名暴露された監督の心中察するに余るものがある。そして、韓国映画界を真正面から批判した発言も含まれている。本作では言及していないが、制作作品「豊山犬」での新しい制作方法(収益がギャラとして支払われるシステム)が裏付けとなるであろう。無言の韓国映画界への批判と取れる。

語られるのは批判ばかりではない。キム・ギドクの思想や哲学も語られ、ファンならば満足度の高い作品。集大成として観ることもできる。
カンヌ映画祭での本作の上映の様子を動画で観たが、ヨーロッパでは絶大な人気を誇るだけあって、上映前から爆発的な拍手で迎えられていたことをうれしく思う。“面白くないと言われても映画を撮りたい。映画を撮っている瞬間が一番幸せなんだ。”と前向きな発言に新作での帰還が待ち焦がれる。
過去に撮った15作品のこと、出演俳優などについて語られるため、観たことのない人には退屈そのもの。
ギドクファンしか観ないであろう作品だが、数作品観て苦手意識を持っている方にもぜひとも観ていただきたい。きっと印象が変わるであろう。

なお、本作は問題作とされ、韓国での公開は今のところ予定されていない。内容を加味すると日本での集客は見込めないであろう。映画祭あたりの公開に留まってしまうか。

<鑑賞> 字幕なし 聞き取り80% 2011/8/19、28
[サイト内タグ検索] 日本未公開 キム・ギドク監督
関連記事

256. 豊山犬 <2011/韓> ★★★

豊山豊山犬
2011/121min/韓国
ドラマ、アクション
製作:キム・ギドク
監督:チョン・ジェホン「ビューティフル」(長編2作目)
出演:ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス、ハン・ギジュン、チョ・ムソン、チェ・ミョンス、オダギリ・ジョー(カメオ)
IMDb評価:6.9/10

ゴア度 ★★
社会度 ★★
哲学度 ★

アリラン」公開は無理だと思うけど、これは日本公開するでしょう。
第12回(2011)東京フィルメックス・コンペティション出品
アリラン」 はオープニング作品として決定しました。(2011/9/15)


休戦線を越えてソウルから平安まで何でも3時間で配達する正体不明の男(ユン・ケサン)。今回は品物ではない人を連れて来いという、史上最初のミッションを受けた。彼女はまさに南韓に亡命した北韓高位層幹部の愛人、イノク(キム・キュリ)だ。
ふたりは鉄条網を越えて微妙な感情を感じるようになり、これに気づいた“南韓要員“たちは、彼たちに危ない提案をしてくる。
一方、南亡命を処断するためにソウルに滞在していた“北韓スパイ集団“はイノクを拉致する計画まで立てて、彼らを取り囲む予断を許さない作戦が始まるが…@innolife

豊山1 監督は数多くいらっしゃるキム・ギドク師団の1人。「ビューティフル」に続く2作目となる。キム・ギドクが製作と聞いただけで観ないわけにはいかない。監督はOST全曲の作曲も手掛け、俳優達だけでなくスタッフもノーギャラで映画に参加、「映画は映画だ」の出演俳優ソ・ジソプ、カン・ジファンも出資参加し、“投資家”という形をとっている。全ての人が本作で発生する収益に対する持分を持っていることになる。映画仲間の裏切りで3年もの間ひきこもりになってしまったキム・ギドクが考え出したこの制作方法は、作品に対する皆の情熱がなければ成り立たない。俳優たちのノーギャラはホン・サンス監督作品にはよくあることだが、スタッフまでノーギャラはロードショー公開作品では初の試み。キム・ギドク監督に対する信頼と協力をうれしく思う。

制作方法以上に驚きなのが、キム・ギドク製作、そし南北分断という重い素材を扱っていながら大衆作品だということ。拷問や殺し合いシーンにはギドクらしい残虐さが感じられるが、思わず笑ってしまうようなユーモラス場面もあり、私の大好きなチェ・ミョンスがまさにハマリ役。従来のギドク作品のような体の底から湧きあがってくる社会への怒りや痛みを全面に押し出すような作品ではなく、南北統一への切実な願いが込められているような気がした。それは新作「アリラン」で暴露した出来事による傷心が原因なのだろうか。角がとれ丸くなったというより、哀しみに満ちている。結果的には内容的にも演出的にも多くの人に受け入れられる作品に仕上がっている。キム・ギドク監督復帰作がカンヌで受賞したことも後押ししていると思うが、ギドク作品としてはヒットし、超低予算(2億ウォン程度)なのでたった3日間で製作費を回収できてしまったというのも納得である。

豊山2“豊山犬”とは北朝鮮原産の狩猟用犬種で、特徴としては、警戒心が強く、一人の主人にのみ忠実だという。ユン・ゲサン演じる主人公は“豊山犬”というニックネームを持ち、猟犬のごとく主人の指令一つで北と南を行き来する正体不明の男である。話せないのか話さないのかは不明だが、一言も言葉を発しない。劇中でも北出身なのか南出身なのかが論点になっており、正体がバレルことを恐れ、敢えて言葉を発しないように見える。言葉を発する代わりに“豊山犬”という銘柄の北朝鮮の煙草を吸い、ベールに包まれたキャラクターを効果的に演出している。この煙草はタール含有量30㎎でかなり強いそうだ。涼しい顔をして吸う姿も不思議とタフな男に見えてくる。

前半は軍事境界線を行き来する緊張感とスピード感で息つく暇なく見せられるが、中盤から急に失速。いつの間にかラブストーリーが軸の展開になっている。2人が惹かれ合う様子をもう少し掘り下げないと無理がある。そして、キム・ギドクファンとしては、ストレートすぎる愛の形やありふれた表現方法にも不満を感じてしまう。「ビューティフル」で見せてくれたオリジナリティーある作品を撮ってくれることを願いたい。

キム・ギドク監督といえば多くの作品で一言も発しない人物を主人公に据えている。「悪い男」のチョ・ジェヒョン、「うつせみ」のチェヒ、「弓」のチョン・ソンファンやハン・ヨルム、「ブレス」のチャン・チェンに続いて本作でのユン・ゲサンの表情と息づかいだけの卓越した演技は見事。私自身、アイドル時代の大ファンであり、全盛期時代を知っている者としては全裸を直視するのには恥ずかしさもあったが、本作でアイドルのイメージが完全に払拭された。(私の嫌いな)キム・ギュりもたった2日間で消化したという完璧な北朝鮮訛りで熱演。

<鑑賞> 聞き取り80% 2011/8/18
関連記事

73. ブレス <2007/韓> ★★★

最近はめっきりテンプレートのHTML編集はしていないのですが、左カラムが記事の最後に、右カラムが左側に来てしまっています。どうやらHomeだけが崩れてしまっているようです。原因不明なので、いっその事テンプレート変更させるべきか、編集頑張るか悩んでいます。少々お見苦しいですが、ご了承のほど。

原因となった記事を削除し、解決した模様。たぶん。

Breath.jpg
ブレス/Breath
2007/84min/韓国
ドラマ
監督/脚本/製作:キム・ギドク(監督14作目)
出演:チャン・チェンパク・チアハ・ジョンウ、カン・イニョン
IMDb評価:6.9/10


ゴア度 なし
社会度 ★★
哲学度 ★







breath1.jpg死を宣告されても自ら死のうとする死刑囚がいる
死を間近にしている死刑囚チャンジンは、鋭いキリで喉を刺して自殺しようとする。死を早めようとする彼の努力にもかかわらず、結局声を失っただけで再び刑務所に戻る。帰った場所で彼を待っていたのは、愛する若いチェス。しかしチャンジンが今生に残している未練は何もない。

何不自由ない人生で、行く場所を失った女がいる
何の不足もないヨンの人生は、夫の浮気が分ってから食い違い始める。偶然テレビで死刑囚チャンジンのニュースを見たヨンは、彼に妙な憐れみを感じて彼に会うために刑務所に向かう。幼い頃に経験した死の瞬間を死刑囚チャンジンに打明け、閉じていた心の扉を開けるが…
彼らが吸い込む息と吐き出す息は、それぞれの人生をどこに導くのか

ヨンはチャンジンのためにできることを探し、四季をプレゼントしようと決心する。死ぬこと以外は何もなかったチャンジンに、人生の温かみを吹き込むヨン。会い続けることで二人は単純な欲望以上の感情を抱くが、ヨンの夫は二人の関係に気づいて妨害し始める。…@innolife

breath2.jpg作曲家の夫と彫刻家の妻。夫婦愛は冷め切っており、2人を繋ぎ止めているのは娘一人の存在だけという脆い絆。夫の車の中で女性の髪どめを見つけ、ヨンの中で何かが崩れ始めた。
偶然テレビで観た死刑囚の自殺未遂の報道。死刑執行をただ待つだけの彼はこの世に未練はなく、何度も自らの“息”を断とうとしていたのである。自分の“孤独”と死刑囚の“孤独”を重ね合わせ、面会に足を運ぶヨン。夫の浮気を知り絶望的な女が自殺未遂を繰り返す死刑囚の男を求めるという、奇想天外な“愛”の物語。それはあまりにも息苦しい形であった。ギドク作品の中で最も抽象的だと思われる作品。

ヨンは死刑囚チャンジンの元恋人だと偽り、面会要請をする。会ったことすらない女性の面会を不信に思うチャンジンであったが、ある話を聞いて興味を抱くようになる。それはヨンが経験した9歳の時の5分間の死の体験であった。息が止まり、身体がふうっと浮かび上がるように軽くなった瞬間に感じる感覚が快感だと。“死”が引き合わせ、共に“息”をしようとする2人。チャンジンも彼女を生き甲斐にしようと“生”への渇望を見出すのであったが…。

核心、結末に触れていますが、面白さが半減するものだはありません。ご自身の判断で読み進めてください。
自殺未遂を繰り返す死刑囚に四季をプレゼントすることによって、“生”を実感させるための“息”を吹き込もうとするヨン。壁には四季を感じさせるポスターを貼り、小道具を持ち込み、歌をプレゼントする。春、夏、秋と届けるが、最後の面会時、冬を届けることはしなかった。そして、刑務所からの帰りの車中、夫と娘と冬の歌を一緒に歌った。冬を越し、じきこの夫婦には春が訪れることを、冬の歌が届けられなかった死刑囚チャン・ジンに春は訪れないことを示唆している。次の日はチャンジンの死刑執行日であった。

韓国人でないチャン・チェンをどう使うかに興味があったが、喉をつぶした役柄で、一言も発しないのも自然。見事な配役であり、目だけの表現は卓越している。ヨンに“息”を吹き込まれ、そのヨンに“息”を止められそうになった時のチャンジンの眼力は素晴らしかった。あんなにも死を求めた死刑囚が死を拒む矛盾は束の間の渇望を見出してしまった代償なのだろうか。あまりにも残酷である。

2人のエスカレートしていく行動を覗き続ける保安課長役は監督自ら演じている。顔ははっきり見えないが、画面に映っているのがはっきりとわかるのが薄気味悪い。何のために傍観しているのかが謎である。そして、「絶対の愛」以降、彫刻といったオブジェがやたら出てくる。監督の意図することは何なのか、何を投影しているのかが読み取れず、消化不良気味。

<鑑賞> 英語字幕2009/12/9、英語字幕2011/8/23

関連記事

16. 絶対の愛 (原題:時間) <2006/韓> ★★★★★

time_20110831205515.jpg시간/Time
2006/98min
ドラマ、ロマンス 
監督/脚本:キム・ギドク (監督13作目)
助監督:チャン・フン
出演:ソン・ヒョナハ・ジョンウ、パク・チヨン、キム・ソンミン、パク・チヨン、チョン・ギョウン
IMDb評価:7.2/10

助監督を務めるは「映画は映画だ」「義兄弟」の監督、チャン・フン氏。最新作「アリラン」で暴露された張本人である。「アリラン」鑑賞後に観ると感慨深いものがある。

ゴア度 ★(整形手術の映像がかなりグロテスク)
社会度 ★★★★
哲学度 ★★★★
邦題のセンス 最悪


time1.jpg長い時間を一緒にした恋人セヒとジヌ。セヒはジヌの愛が変わったことを感じ、その理由が自分がもう新しくないからだと考える。ジヌはそんな彼女の敏感な反応に疲れを感じる。傷ついたセヒはある日突然全ての跡を消したまま去り、果敢にも整形手術で新しい人間になろうとする。そしてある日、ジヌはセヒとよく行った行き付けカフェで自らを”セヒ”と紹介する妙な雰囲気のウェートレスに出会う。新しいセヒと愛に陷るジヌ、 セヒは彼を誘惑すると同時に彼が以前のセヒとの愛を忘れたのではないのかと試し、結局彼は以前のセヒを忘れることが出来なかった事を知る。しかし以前に戻る事は出来ない彼女は以前のセヒの写真で作った仮面をかぶって現われ、戻って来た自分を愛して欲しいと言って事実を告白する。驚いたジヌは席を蹴飛ばして去ってしまう。一人残されたセヒはジヌも新しい姿で自分の前に現われるはずだと知るようになる。@innolife

本作は世界有数の整形大国になってしまった韓国社会の現状を背景にしている。顔と体さえ新しくすれば倦怠期を乗り越えられると考えてしまったことが事の発端。時間とは絶対的な物であり、リセットできるわけではない。逆らえない時間の流れに対してどう成長していくかが人間に課せられた課題であるのに、整形によって時間を巻き戻そうとする世の女性たちの安易な考えを真っ向から批判している。見るに堪えられない整形手術の様子を前触れなしに冒頭でいきなり見せるところも監督らしい。セヒの「時間が怖い」という台詞にあるように、時間と共に色褪せていく愛を描いた作品。男女問わず抱えている悩みでもあり、永遠の課題であろう。皮肉たっぷりの描き方がたまらなく好き。もう何度観たかわからない。

time2.jpgセヒを演じるソン・ヒョナは、整形経験アリ(二重瞼と歯茎)。整形前か整形後かは不明だが、ミスコリアのタイトルまで手に入れたのに麻薬逮捕やヌード写真発表と何かとお騒がせな人。その後それなりにドラマ出演はあるが、どれも恵まれた役ではない。整形が全てを幸せにするわけではないことはご本人がおわかりのはず。自問自答を促されるような展開をどう感じているのか一度聞いてみたいものである。彼女のキャスティングには説得力がある。

一筋縄では終わらないのがキム・ギドク。新しい容姿を手に入れても失った代償はあまりにも大きい。整形そのものに意義を唱える結末は壮絶。ギドク作品はいつも両者の立場がきちんと描かれているが、本作では整形医師の立場までも描かれているところが面白い。「美」だけを追究し報酬を得る医師に対しても疑問を投げかけている。

原題は“時間”。“絶対の愛”を求めたがゆえのストーリー展開ではあるが、愛にばかり注目していると結末で混乱は避けられない。“時間”という鋭い着眼点に焦点を向けないと、監督の真意も見落としかねない。

<鑑賞>2009/10/30、2011/3、英語字幕2011/8/24
初版:2009/10/30
最新版:2011/8/28

関連記事

115. 受取人不明 <2002/韓> ★★★★★

unknown.jpg受取人不明/수취인불명/Address Unknown
2002/117min/韓国
ドラマ
脚本/監督:キム・ギドク (監督6作目)  
出演:ヤン・ドングン、パン・ミンジョン、キム・ヨンミン、チョ・ジェヒョン、パン・ウンジン、ミョン・ゲナム
受賞: 
2001 第2回 釜山映画評論家協会賞 助演男優賞
2001 第21回 映画評論家協会賞 新人男優賞、脚本賞
2002 第39回 大鐘賞/助演女優賞
IMDb評価:7.3/10

ゴア度 ★★★★
社会度 ★★★★
哲学度 ★★


unknown2.jpg黒人との混血児チャングクは,犬商人の仕事の手伝いをしながら,西洋人相手の娼婦だった母とたった二人で,村はずれの真っ赤なバスの中に暮らしている。
チャングクの母は,いつか米国にいる夫が自分たちを迎えに来てくれると信じて手紙を書くけれど,手紙はいつも受取人不明(Unknown Address)という真っ赤なスタンプが押されて戻ってくる。
幼い時,兄さんが射ったおもちゃ銃に当たって片方の目をなくしたウノクは,米軍病院で目の治療を受ける希望を抱いて,英語の勉強に熱中している。
村には,ウノクが好きな慎ましい少年チフム,ユギオ(6.25)勲章に執着するチフムの父,そしてチャングクを困らせる血も涙もない犬商人ケヌン(犬目)などが暮らしている。@innolife

1970年代、米軍部隊と隣接した田舎の村を舞台に、黒人混血児として差別を受ける青年と兄のいたずらで片目を失った少女、そして気が小さくいじめを受ける青年の3人の物語を中心にストーリーは展開していく。彼らの日常生活を通して、米軍基地、人種差別、6.25(ユギオ)戦争の傷跡など、韓国社会の闇における問題を浮き彫りにすると同時に、人々が社会に翻弄され、理不尽な運命に身を沈めていく様を描いている。両親の生き方を否定しながら翻弄されていく姿、アメリカを否定しながらも依存せざるを得ない状況など人間の矛盾に焦点を当てている。相変わらず奇抜な描き方をしており、観る者を選ぶが、着眼点はギドク作品の中で最も普遍的であり、最高傑作だと思っている。7割が実話を基にしているからか、かなり現実味を帯びている。3割の脚色部分も見分けがつかない。

unknown1.jpg海外での上映も視野に入っていたであろうに、韓国特有の食文化である犬をあっさり題材にしてしまうとは監督らしい。世代による犬に対する考え方の違いを映すことで時代の変化を演出している。犬を撲殺するシーンは叩く音や犬鳴き声、水たまりに滴る鮮血を見せるだけで直接描写はないが、ギドク監督らしい演出は見るに耐えられない。愛犬家の方にはかなりきついとは思うが、家畜だと思って割り切ってみるしかない。

若者3人を中心とした人間関係は複雑に絡まり合い、追い打ちをかけるかのような悲劇の連続は圧巻。緻密に計算された詰め込まれた脚本には脱帽。台詞はストレートだが、抽象的な描写も多い。伏線が多く、観る度に新発見があり、今回もハッとさせられた。“受取人不明”とは手紙のことだけではなく、自分を受け入れてくれる人がいないことも比喩している。観れば観るほど“受取人不明”の意味が深い。

ペットの犬と食用犬、弓と銃、韓国人とアメリカ人、支配する者と支配される者、アメリカに依存する若者と朝鮮戦争の栄光にすがる老人、母を殴れても犬を殺せない青年といじめで暴行される青年、朝鮮戦争で亡くなった夫の年金を頼りにする母と自分を捨てアメリカへ帰った夫を待つ母、そして、希望と絶望。対比するような描き方が面白い。
ギドク作品は、特定の小道具を効果的に使うことが多いが、本作では“受取人不明”のスタンプ、バス、弓の的、母の服、鮮血、そして「赤の家族」といった赤が印象的に使われている。おそらく“朝鮮”を象徴しているのだろう。混血児のチャングクがいじめっ子2人に対する台詞に「お前らみたいなアメリカかぶれがいるから韓国がダメになる。」という台詞の通り、朝鮮戦争やアメリカへの怒りや苛立ちが込められ、この悲劇は現代社会にもいまなお引き継がれていることを危惧している。彼らの生活なんか関係なく空を飛ぶ米軍機があまりにも切ない。

私の解釈にて結末に触れています。
死んだ息子チャングクを家に連れて帰る母。あたかも赤ん坊をあやすかのように抱きかかえているが、形や大きさから推測して、おそらく死んだ息子の頭部であろう。そして、直前に何かを食しているシーンがあった。ストーリーの流れから、食べていたのは息子の人肉と考えるのが妥当であろう。お腹を痛めて産んだ我が子を再びお腹に戻すことで“身元引受人”になったのだろうか。そして、その後焼身自殺をするのであった。

そして、最後の手紙。夫の知人からではあったが、結局受け取ることなく、真実を知ることなく死んでしまった母。結局、手紙は“受取人不明”になってしまった。

<鑑賞> 英語字幕2010/1/11、英語字幕2011/8/23
初版:2010/1/13
最新版:2011/8/25

関連記事

94. 春夏秋冬そして春 <2003/韓> ★★★★

春夏秋冬そして春봄 여름 가을 겨울 그리고 봄/Spring,Summer,Fall,Winter...And Spring
2003/106min/韓国
ドラマ
監督/脚本/出演:キム・ギドク
出演:オ・ヨンス、キム・ヨンミン、ソ・ジェギョン、ハ・ヨジン、パク・チア
制作費:10億ウォン
撮影場所:慶尚北道 青松郡 周王山国定公園 チュサン(注山)池
受賞:
2003 第24回 青龍映画賞 最優秀作品賞,技術賞
2003 第51回 サンセバスチャン国際映画祭 観客賞
2004 第41回 大鐘賞 最優秀作品賞
2003 第11回 春史羅雲奎映画芸術祭 制作賞,美術賞
2003 第56回 ロカルノ国際映画祭コンペティション
2004 第5回 スペイン ラスパルマス国際映画祭 国際コンペ部門 大賞,撮影賞
2003 アカデミー賞 外国語映画賞 韓国代表作品
IMDb評価:8.1/10(244位)





spring.jpg春...
業:いたずら好きの子供、殺生の業を始める。
万物が生成する春。森で捕まえた魚と蛙と蛇に石をぶら下げて困らせる意地悪ないたずらをし、天真爛漫な笑いを放つ子供。その姿を見守っていた老僧は、寝ついた子供の背中に石を縛っておく。眠りから覚めた子供が涙声で痛いと訴える。老僧は、過ちを戻せなければ、一生の業になることを悟らせる。
夏...
欲望:愛に目覚めた少年、執着を知るようになる。
子供が成長し、17歳の少年になった時。山寺に同い年の少女が療養しに入ってくる。少年の心に少女に向かう熱い愛がみなぎって、老僧も彼らの愛を感知する。少女が去った後、一層深まる愛の執着を振り切れない少年は、山寺を離れる。
spring2.jpg秋...
怒り:殺意を抱いた男、苦痛に陥る。
寺を離れた後、裏切った妻を殺して殺人犯になり、10数年ぶりに山寺に逃げてきた男。紅葉のように赤く燃え上がる怒りと苦痛に勝てず、仏像の前で自殺を試みた彼を殴りつける老僧。男は、老僧が木の床に書いてくれた般若心経を彫って心を静める。男が去った静かな山寺では、老僧が自らを荼毘に付す。
冬...
空っぽなこと:無意味さを感じる中年、内面の平和を求める。
中年の年齢となり、廃虚になった山寺へ戻った男。老僧の袈裟を集め、氷の仏像を作り、冬の山寺で心身を修練して内面の平和を求める毎日を送る。寺を訪れた名前の分からない女が幼い子供を残して去る。
そして春...
新しい人生の四季が始まる。
老人になった男は、いつのまにか育った童子僧と共に、山寺の平和な春の日を過ごしている。童子僧は、あの春の日の子供のように、魚と蛙と蛇の口の中に石ころを入れるいたずらをして明るい笑いを放っている。@innolife

spring1.jpg舞台は雄大な大自然に囲まれた湖上に浮かぶお寺。お寺は風によって湖上を移動している。陸へ上がる際は、凍結する冬以外はボートを漕いで行く。自然の四季を通し、この寺で生きる人間の生から死に至るまでの過程を心で見て感じる作品。監督他作の人間の暗部をえぐるような作風ではなく、全ての善悪を受け入れる包容力のような温かさが感じられ、歩んできた人生が長いほど身に沁みる部分が多いと思われる。

文明社会から隔離されたこの寺は周囲の風景に溶け込んでおり、ここに生きる人間とはちっぽっけな存在で、自然の中で生かされているという印象を受ける。
キリスト教徒でもあるキム・ギドク監督は他作でも仏教的な小道具をよく使うが、宗教問わず仏教的思想は人間の生き方に通ずるものがある。各季節ごとに教訓があり、悟りにも近い穏やかさがある。心が洗われ、精神が鎮まる感覚に陥る。キム・ギドク作品でここまで癒された作品はない。挿入歌には「アリラン」が使われている。苦痛や哀しみが込められた歌声と新作「アリラン」に込めた監督の思いが重なり、感動が込み上げてきた。

他作品で感じるような嫌悪感や不快感はほとんどないが、顔に貼った「閉」の紙やスカーフでの顔の隠し方、など、キム・ギドク監督らしい奇抜なセンスは光っている。ファンとしては監督自ら削る氷のオブジェも見逃せないが、浮かぶお寺だけではなく、床一面に書かれた般若心経や装飾品、陸の入口でもある門も興味深い。

春夏秋冬そして春。輪廻のような繰り返し。人間の人生もまた繰り返される。歩んできた人生、これから歩もうとする人生についてもう一度考えてみたくなった。

<鑑賞> 字幕なし2009/12/24、英語字幕2011/8/19
初版:2009/12/30
最新版:2011/8/20

[サイト内タグ検索] キム・ギドク監督 パク・チア
関連記事

14. ビューティフル <2008/韓> ★★★★★

キム・ギドク製作最新作「豊山犬」、監督最新作「アリラン」を鑑賞し、気分はすっかりキム・ギドク。 勢いに乗って過去の作品も観直し中。興奮冷め止まないうち記事書き直す予定なので、しばらくギドク関連作品が続くと思います。

beautiful.jpg
美しい/아름답다/Beautiful
2007/87min
ドラマ
原案:キム・ギドク
脚本/監督:チョン・ジェホン(長編デビュー作)
出演:チャ・スヨン「ノーボーイズ、ノークライ」「オガムド」「ヨガ学院
    イ・チョニ「ハミング」「10億」 
    チェ・ミョンスセブンデイズ」「10億」 「人を探します
映画祭:
2008 第58回 ベルリン国際映画祭 パノラマ部門 招待作品
2008 第22回 福岡アジア映画祭2008 上映作品
IMDb評価:6.6/10





beautiful1.jpg美しいが、幸せでないウニョン(チャ・スヨン)。どこへ行ってもついてくる男たちの負担になる視線と、女たちの嫉妬と誤解が彼女を孤独にしている。
ある日、彼女のストーカーの1人ソンミン(キム・ミンス)から、背筋も凍るような強姦に遭い、彼から衝撃的な言葉を聞いてしまう。「あなたがとても美しいので、そうしました」衝撃を克服することができないウニョンは、全ての不幸は、自分が持った美しさのためだと考えるようになる。そして、その不幸を呪いながら、破滅の道を進むようになる。そんな彼女をせつない目で見守る一人の男ウンチョル(イ・チョニ)は、彼女の周りをウロウロし始める。@innolife

本作が長編デビュー作となるチョン・ジェホン監督は韓国美術界の巨匠キム・フンス画伯の外孫で、幼い頃に美術を学び、高校時代には声楽を専攻、その後経営学を学び、映画の演出を志すようになったという特異な履歴の持ち主。キム・ギドク監督作品「絶対の愛」「ブレス」の演出部を経て、キム・ギドク師団の中では初めてキム・ギドクフィルムで監督デビューをした。

ウニョンは誰もが羨む美貌の持ち主だが、女性からの嫉妬は強く、孤独な人生はあまりにも惨め。ストーカー被害の末、処女まで奪われてしまったウニョンだが、犯人との対面の際の言い草は「君が美しすぎて…」だった。そんなウニョンを影で支える警官までウニョンの魅了にハマってしまい、ついに欲望を抑えきれなくなってしまう…。

beautiful2.jpg何度観ても強烈で、大好きな作品。怒涛のごとく押し寄せるラスト10分の衝撃は何度観ても度肝を抜かれる。
キム・ギドク原案らしく容姿至上主義を痛烈に皮肉る内容、しかしながら、キム・ギドク原案としてはわかりやすくストレートな描き方。とはいえ、究極の愛の結末は評価が分かれるであろう作品。

キム・ギドク監督作品同様、強姦シーンがよく出てくる。無条件に嫌悪感を抱く女性は多いはず。しかしながら、ギドク作品の良い点としては、強姦という事件だけを描くのではなく、犯す立場と犯される立場両者の心理を客観的に捉えているところにある。犯され身も心もボロボロになっていく女性と同時に、良心の呵責に苦しみ警察に自首するストーカーや理性を抑えようともがき苦しむ警官の心理までも描き込んでいる。犯された女性だけが必ずしも被害者ではないという側面も見えてくる。

整形によって手に入れた美貌なのか生まれもったものなのかは言及されてはいないが、彼女が気になるのは周囲の視線だけであり、内面を磨こうとするわけでもない。外見ばかりに気をとられるのは、内面からの輝きがないからだということにも気がつかない。男性に見られることが快感だったウニョンだが、強姦を境に「醜くさえなれば…」と極端なまでに過食や拒食に走る。そして、男の幻想に悩まされ、精神が病んでいく様をほぼ無名だったチャ・スヨンが見事に演じている。その後数々の作品に出演しているが、本作ほどの熱演は見られない。

芸術家出身のキム・ギドク監督は細かい美術品一つ一つにも抜かりないが、本作は、よく言えばスタイリッシュだが、どこか冷たいという印象は否めない。最新作「豊山犬」でも同じ印象を受けた。本作に関してはその冷やかさが、恐怖心を更に引き立てるという幸いしていい方向に作用している。
キム・ギドクは数枚のシナリオだけを渡し、監督が脚本を作り上げたと言う。どこまでがキム・ギドクの案で、どこからが監督の案なのか境目がわからないほど、師匠の独特な世界観を貫いている。もしかしたら監督なりに色を付け加えた部分がストレートで観やすさの要因となっているのかもしれない。

<鑑賞> 2009/10/30、英語字幕 2011/8/19

初版:2009/11/1
最新版:2011/8/21


関連記事

2011年 第64回カンヌ国際映画祭コンペ部門、ある視点部門 ノミネート・受賞作品

第64回カンヌ国際映画祭(5月11~22日)コンペティション部門、ある視点部門の受賞結果が発表された。(5月22、23日)

キム・ギドク監督の復帰&受賞が何よりもうれしい。昨日の朝結果を知り、興奮がまだ冷めない。
そして、大好きなデンマークのニコラス・ウィンディング・レフン監督、トルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督、ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の受賞。。。日本上映するかは疑問だが、待ち遠しい限り。
キルステン・ダンストの女優賞受賞も喜ばしい。
ラース・フォン・トリアー監督の発言、弁解、カンヌ追放騒ぎが気になる所だが、撮り続けてくれることを願いたい。
好き嫌いは別として、映画界には絶対必要な人材だとは思うから。

*「タイトル」監督名/国名 (★:Koo評価、満点5つ星)

【コンペティション部門】
Driveニコラス・ウィンディング・レフン監督/デンマーク 監督賞 ★★★★
「Footnote」ジョセフ・コーテス監督/イスラエル 脚本賞ジョセフ・シダー
「朱花の月」河瀬直美監督/日本
「一命」三池崇史監督/日本
「The Kid With A Bike」ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督/ベルギー グランプリ
「House of Tolerance」ベルトラン・ボネロ監督/フランス
「Le Havre」アキ・カウリスマキ監督/フィンランド 国際批評家連盟賞、エキュメリック賞次点
「Once Upon a Time in Anatolia」ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督/トルコ グランプリ
メランコリアラース・フォン・トリアー監督/デンマーク 女優賞キルステン・ダンスト ★★★★★
「Michael」マルクス・シュラインツアー監督/オーストリア
「Pater」アラン・カバリエ監督/フランス
「Polisse」マイウェン監督/フランス審査員賞
「The Skin I Live In」ペドロ・アルモドバル監督/スペイン
スリピングビューティー禁断の悦び」ジュリア・リー監督/オーストラリア★★★☆
「The Source」ラデュ・ミヘイレアニュ監督/ルーマニア
「This Must Be the Place」パオロ・ソレンティーノ監督/イタリア エキュメリック賞
「ツリー・オブ・ライフ」テレンス・マリック監督/アメリカ パルムドール賞(最高賞) ★★★★
「We Have a Pope」ナンニ・モレッティ監督/イタリア エキュメリック賞
少年は残酷な弓を射る」リン・ラムジー監督/イギリス ★★★★☆

【コンペ外上映作品】
「The Beaver」ジョディ・フォスター監督
「The Artist」ミシェル・アザナビシウス監督 男優賞ジャン・デュジャルダン
「The Conquest」グザビエ・ランジュ監督
「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命(いのち)の泉」ロブ・マーシャル監督

【ある視点部門】
「The Hunter」 Bakur Bakuradze/ロシア
「Halt auf freier Strecke」 アンドレアス・ドレーゼン/ドイツ ある視点賞(最高賞)
「Hors Satan」 ブリュノ・デュモン/フランス
「Martha Marcy May Marlene」 Sean Durkin/アメリカ
「Les Neiges du Kilimandjaro」 ロベール・ゲディギャン/フランス
「Skoonheid」 Oliver Hermanus/南アフリカ
「The Day He Arrives」 ホン・サンス/韓国
「Bonsái」 クリスチャン・ヒメネス/チリ
「Tatsumi」 エリック・クー/シンガポール
アリラン」 キム・ギドク/韓国 ある視点賞(最高賞) ★★★★★
「Et maintenant on va ou?/Where do we go now?」 ナディーン・ラバキー/フランス エキュメリック賞次点
「Loverboy」 カタリン・ミツレスク/ルーマニア
哀しき獣(原題:黄海)」 ナ・ホンジン/韓国 ★★★
Miss Bala」 Gerardo Naranjo/メキシコ ★★★★
「Trabalhar Cansa」 Juliana Rojas,Marco Dutra/ブラジル
「永遠の僕たち Restless」 ガス・ヴァン・サント/アメリカ
「L'Exercice de l'État/The Minister」 ピエール・ショレール/フランス 国際批評家連盟賞
「Toomelah」 Ivan Sen/オーストラリア
Oslo, 31. august」 Joachim Trier/ノルウェー ★★★★
Elena」アンドレイ・ズビャギンツェフ/ロシア 特別審査員賞 ★★★
「Au reoir」ムハマド・ラソウロフ 監督賞


関連記事
[ 2011/05/23 16:20 ] ★映画関連★ 映画賞 | TB(0) | CM(2)

233. ビー・デビル(原題:キム・ボンナム殺人事件の顛末) <2010/韓> ★★★★

devil2.jpgdevil5.jpg
キム・ボンナム殺人事件の顛末 김복남 살인사건의 전말/Bedevilled
2010/115min
監督:チャン・チョルス 
出演:ソ・ヨンヒ、チ・ソンウォン 
 
邦題のセンス ★★★★
哲学度     ★★★
衝撃度     ★★★
残虐度     ★★★★

<あらすじ>
銀行で非正規職として仕事をするヘウォンは,休暇をもらって,幼い時しばらく住んでいたム島へ向かう。幼い時からの友だちポンナムがヘウォンを歓待するが,他の島の住民たちはヘウォンの訪問を喜ばない。ポンナムの配慮で安らかな休暇を楽しんでソウルでのストレスを忘れ去ったヘウォンに,ある日からポンナムの島生活が見え始める。三日に1度は夫に殴られ,一日中奴隷のように仕事をし,それだけでなく肉欲に執着する義理の弟に性的な虐待まで受けているのだった。だが,より一層驚くべきことは,島の人々が皆ポンナムの置かれた状況を無視することだ。ヘウォンもまた,自分と娘をソウルに連れていってくれというポンナムの丁寧な頼みを冷たく断ることになる。もはやム島でポンナムを支援する人は誰もいなくて,ポンナムは,この島で最も弱い存在になってしまう。眩しく太陽の光が照りつけるある日,ポンナムは,鎌を取り上げる。そして,しびれるように痛く,狂ったように残酷な血の色の復讐が始まる。

<レビュー>
チャン・チョルス監督の長編デビュー作。2011年春、日本劇場公開予定作品。
全く興味なかったけど、監督がキム・ギドクのお弟子さんだったと知り胸を弾ませながら鑑賞。作風は異なるものの、見せ方やメッセージ性、後半の暴力描写はキム・ギドクを彷彿とさせる。かなり乱暴な性的虐待、鎌による肉体切断、それに伴う血しぶきといった残虐描写は女性向けな映像でないですが、キム・ギドクのような毒々しさもなく、意図もストレートでわかりやすい。
devil3.jpgdevil4.jpg
子供の頃に隣人から性的暴行を受けていた女性が20年後にその隣人を殺害するという事件、十数人の男子高生から性的暴行を受けていた一人の女子高生が加害者にされ、男子高生が咎められずに釈放されたという事件など実際に起きた事件をモチーフにしたとか。

邦題は「ビー・デビル」。性的虐待やスプラッター、肉体切断といったストレートな映像だが、一体誰が本当のデビル(悪魔)なのかわからなくなる。それ以前に、何が正しく、何が悪いのかすら混乱させられる。「傍観者がいる限り、加害者は絶えない」という監督は、"傍観者"の視点で描いているのです。

暴行を見て見ぬフリする傍観者、人殺しを見て見ぬフリする傍観者。傍観者という第3者の存在についてここまで冷淡に描いた作品は私にとって初めて。傍観者=非関係者だと思っていた自分が恥ずかしく思える。何もせず、助けなかった傍観者もまた罪なのである。

見て見ぬフリ。誰にでもあるのでは?痛いとこをつかれた気分。
罪の意識はなくとも、傍観者も加害者に加担している場合もあるということにショックを受けた。さすが、キム・ギドクのお弟子さん。なかなか私好みの作品でした。

主演のソ・ヨンヒにも驚かされた。化粧やキレイに着飾るどころか、畑仕事で日焼けした肌に、モンペ姿。一皮むけて、いい女優さんになられましたね。

<鑑賞> 2010/11/29
関連記事

映画は映画だ <2008/韓国> ★★★★☆


映画は映画だ
映画は映画だ/영화는 영화다/Rough Cut/ A Movie is a movie
2008/113min/韓国
アクション、犯罪、ドラマ
原作/脚本:キム・ギドク
監督/脚本:チャン・フン 
出演:ソ・ジソプカン・ジファン ソ・ジソプ、ホン・スヒョン、コ・チャンソク、ソン・ヨンテ 
IMDb 評価:7.3/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 ★
脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★


映画は映画だ1人気俳優のスタは新作のアクション映画でファイトシーンを撮影中、頭に血が上って共演者に大けがを負わせてしまう。そんな短気で傍若無人なスタの振る舞いによって彼の相手役を引き受けようという俳優がいなくなり、撮影が中断する事態に。そこでスタは、以前出会った俳優を夢見ていたというヤクザの男ガンペに話を持ちかける。ガンペは、ファイトシーンでは本気でやり合うことを条件に出演を承諾するが…。@allcnema

監督は、キム・ギドク監督の助監督を経て本作で監督デビューとなるチャン・フン。
シナリオと脚本は、師匠のキム・ギドクが担当。

映画は映画だ2“映画俳優になる夢を捨てられないヤクザ”と“ヤクザのような映画俳優”の友情を描いた話。ヤクザ映画の制作ロケと現実のヤクザの世界を交錯させながらユーモアを交えながらたっぷりに描くこの韓国映画は発想が面白い。
ヤクザのガンペは暴力団でナンバー2というポジションにいながら、人間らしい温かさも見せているのに対し、俳優スタは傲慢で気性が激しい。前半ではガンペは黒い服、スタは白い服を着ていることが多く、2人は職業や性格だけでなく、何もかもが対極の世界で生きていることを示している。

製作映画でのラストシーンは迫力満点。沼地で喧嘩をするシーンでは2人はたちまち泥まみれになり、どちらがどちらかも見分けがつかず、勝敗もわからない。ひとつだけわかっていることは、2人とも同じ泥色のグレーに染まったということ。それは黒と白を混ぜた色でもあり、2人の友情が実を結んだという証でもある。しかし、現実を突きつけられたラスト。2人が交差したのは所詮映画の中だけであった。

ヤクザはヤクザ。
俳優は俳優。
映画は映画。
現実は現実。
キム・ギドクらしさが光る衝撃的なラストだった。

韓国のヤクザ映画にしては暴力シーンは少なく、血も少ない。キム・ギドクらしい毒はなくマイルド。2大人気俳優起用で、で観やすく万人向きといった印象を受けた。しかしながら、ドラマの印象が強いソ・ジソプカン・ジファンをここまで変身させたのは見事だ。2人の最高傑作だと思っている。特に、ソ・ジソプの目の演技には脱帽。かなり面白かったが、キム・ギドクがメガホンをとっていたらどう仕上がっていたんだろうか?
     
<鑑賞> 2010/2/6、2012/7/4
初版:2010/3
最終版:2012/7/9

関連記事

弓 <2005/韓> ★★★★★

yumi.jpg

2005/90min/韓国
ドラマ
監督/脚本:キム・ギドク(12作目) 
出演:ハン・ヨルム、チョン・ソンファン、ソ・ジソク 
IMDb評価:7.1/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 ★★
民族度 ★★★
韓流度 なし

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★★


錆びれた船で暮らす老人と少女。一見すると祖父と孫のように映るが、実は少女は6歳の時に老人に連れてこられ、この10年間陸にあがっていない。まもなく17歳の誕生日を迎えようとしていた。釣人たちを迎え入れることで生計をたてており、少女はその手伝いをしているが、淫蕩な釣人たちから年頃の少女を守るために老人は弓を武器に威嚇する。普段は楽器として用いられる。ある日、父親に連れてこられた大学生が少女に魅了される。そして、少女の生い立ちを知った彼は陸へ連れて行こうとする…。

鬼才キム・ギドク監督の12作目。
出演は、「サマリア」のハン・ヨルム、「絶対の愛」のソ・ジソク。

yumi1.jpg船の上で2人きりで暮らす老人と少女。老人に連れてこられてからは一度も陸に上がったことのない少女は外の世界を知らずに育ち、関心を持つことすらなかった。青年が釣りに来るまでは…。
老人に体を洗ってもらい、手を握って眠る姿は異常であるが、少女にとって老人は育ての“父”であり“情”であった。老人にとって少女は手塩にかけて育ててきた“娘”であり、“恋人”でもあった。ストーリーを一言で言うと、老人と少女の結婚までを描いた単純なストーリであるが、キム・ギドク監督の手にかかると、こうもなってしまうものかと関心してしまう。“情”の描き方がいかにもギドクらしい寓話的なストーリ。


弓「悪い男」「うつせみ」に引き続き、主人公2人にセリフはない。東南アジアのようなねっとりした情景美を背景に、老人の心の微動を船の揺れで繊細に、弓で喜怒哀楽を大胆に表現している。老人がどんな思いを持って少女と生活しているのかがそこはかとなく伝わってくる演出が巧み。驚きの発想の宝庫。2人の表情だけで伝える演技力はあっという間に観客を引き込んでしまう。


“弓”をハングルで書くと「활」となる。下半分の「ㄹ」が漢字の「弓」と似ていることから、ポスターの文字はハングルと漢字を組み合わせた表記で力強く描かれている。韓国ではハングルの一部に漢字をあてはめることはよく見ることではあるが、海に浮かぶ弓の形と英語「w」の形が同じということも意図的に表現しているだろう。弓は劇中、最も重要なアイテムとして用いられている。


yumi2.jpg老人は弓で、毎夜音楽を奏で、淫蕩な釣人たちから少女を守り、お客の占いの道具としても用いている。少女は船に備え付けられたブランコを漕ぎ、背後にある観音様に向けて放つ矢の当たった的によって運命を占う。結果は少女から老人へ、老人から客へと耳打ちで告げられ、私たちには知る由もない。少女がどういう能力を備えているのかも推測するだけであるが、その謎が結末では面白い展開を魅せることとなる。

やはりテーマは“愛”であり、見守る愛、身を引く愛、奪う愛が痛みを伴って描かれる。弓で伝えられる老人の愛がたまらなく切ない。

<鑑賞> 2009/12、2011/8/21

初版:2009/12
最終版:2012/7/9

[サイト内タグ検索] キム・ギドク監督
関連記事
カテゴリ/Category by Countries
ユーザータグ/Tags

日本未公開(236)

 クシシュトフ・キェシロフスキ監督(16)

 キム・ギドク監督(14)

 キム・ボドゥニア(12)

 パディ・コンシダイン(11)

 ヒアム・アッバス(9)

 キム・ギヨン監督(8)

 ニコラス・ウィンディング・レフン監督(7)

 ロマン・ポランスキー監督(7)

 マイケル・ファスベンダー(7)

 アナス・トマス・イェンセン(7)

 ヴァンサン・カッセル(7)

 ハ・ジョンウ(6)

 ピーター・ミュラン(6)

 ミカエル・パーシュブラント(6)

 ステラン・スカルスガルド(6)

 マッツ・ミケルセン(6)

 クリストファー・ヨーネル(6)

 シェーン・メドウス監督(6)

 モーテン・ソーボー(5)

 ジェラール・ドパルデュー(5)

 トゥーレ・リントハート(5)

 ファティ・アキン監督(5)

 ダール・サリム(5)

 マリア・ボネヴィー(5)

 シン・サンオク監督(5)

 マリウス・ホルスト(5)

 アンドレイ・ズビャギンツェフ監督(4)

 イ・チャンドン監督(4)

 ジョセフ・ゴードン=レヴィット(4)

 デイヴィッド・デンシック(4)

 アレクサンドル・ソクーロフ監督(4)

 ウルリッヒ・トムセン(4)

 ラース・ミケルセン(4)

 ヘンリク・プリップ(4)

 カティ・オウティネン(4)

 シャーロット・ランプリング(4)

 アンジェイ・ワイダ監督(4)

 クリスティナ・ヤンダ(4)

 ミシェル・ウィリアムズ(4)

 ドラゴス・ブクル(4)

 ラズヴァン・ラドゥレスク(4)

 シャルロット・ゲンズブール(4)

 グザヴィエ・ドラン監督(4)

 パプリカ・スティーン(4)

 オルジード・ルカセウィッツ(4)

 Jens_Jørn_Spottag(4)

 チェ・ミョンス(4)

 ヤコブ・セーダーグレン(4)

 ムン・ソングン(4)

 チャン・リュ監督(4)

 フルーツ・チャン監督(4)

 イネス・エフロン(4)

 トリーヌ・ディルホム(4)

 レオナルド・スバラグリア(4)

 ミハイル・クリチマン(4)

 ライアン・ゴズリング(4)

 アッバス・キアロスタミ監督(3)

 マジッド・マジディ監督(3)

 キム・シャピロン監督(3)

 スラッコ・ラボヴィック(3)

 ロメイン・ガヴラス監督(3)

 ビョルン・スンクェスト(3)

 リカルド・ダリン(3)

 イーベン・ドールナ(3)

 ソニア・リクター(3)

 ルイス・プエンソ監督(3)

 ノオミ・ラパス(3)

 ギョーム・カネ(3)

 ピルウ・アスベック(3)

 ミョン・ゲナム(3)

 ケイト・マーラ(3)

 アシュラフ・バーホム(3)

 サリー・ホーキンス(3)

 キム・ソヨン監督(3)

 ルイス・トサル(3)

 ブラッドリー・ラスト・グレイ監督(3)

 アレクサンダー・スカルスガルド(3)

 スティーヴン・レイ(3)

 ペップ・マンネ(3)

 オリヴィエ・バーテレミ(3)

 ホン・サンス監督(3)

 ムハンメド・マジュド(3)

 ラース・フォン・トリアー監督(3)

 パク・チア(3)

 トマス・ヴィンターベア監督(3)

 セバスチャン・イェセン(3)

 レスリー・シャープ(3)

 トーマス・ターグース(3)

 グヴェン・キラック(3)

 ウスマン・センベーヌ監督(3)

 ソ・ジソプ(3)

 ガエル・ガルシア・ベルナル(3)

 ボディル・ヨアンセン(3)

 ティルダ・スウィントン(3)

 フリドリック・トール・フリドリクソン監督(3)

 AndersDanielsenLie(3)

 キム・フォップス・オーカソン(3)

 クリスティアン・ムンジウ監督(3)

 スサンネ・ビア監督(3)

 ピーター・ガンツェラー(3)

 パク・アム(3)

 イ・ファシ(3)

 キム・ミョンミン(3)

 トビアス・リンホルム(3)

 チェ・ウニ(3)

 ウルスラ・メイヤー監督(3)

 ニコライ・リー・カース(3)

 ウルリヒ・ザイドル監督(3)

 ミカエル・ニクヴィスト(3)

 ダニー・ボイル監督(3)

 ペルニラ・アウグスト(3)

 クリスティ・プイウ監督(3)

 キム・ハヌル(3)

 ミミ・ブラネスク(3)

 ニコラス・ブロ(3)

 BogdanDumitrache(3)

 アンヌ=マリー・ダフ(3)

 ルシア・プエンソ監督(3)

 レオン・カーフェイ(3)

 ナタリー・ポートマン(2)

 ジャック・ノロ(2)

 セシリー・A・モスリ(2)

 ミカエル・ハフストローム監督(2)

 マリア・バルベルデ(2)

 ノア・テイラー(2)

 ソル・ギョング(2)

 ユン・ジンソ(2)

 チェ・ミンシク(2)

 チョン・ジュノ(2)

 キム・ジェロク(2)

 ムン・ソリ(2)

 アリ・スリマン(2)

 エラン・リクリス監督(2)

 イ・ジョンジェ(2)

 チュ・ジンモ(2)

 チョ・ジェヒョン(2)

 イ・ミスク(2)

 シム・ジホ(2)

 キム・ドンウク(2)

 チョン・ドヨン(2)

 キム・ガンウ(2)

 ペク・チニ(2)

 カン・シニル(2)

 キム・ナムギル(2)

 アンドレア・アーノルド監督(2)

 パク・チョンジャ(2)

 シベル・ケキリ(2)

 ビロル・ユーネル(2)

 ヤヌシュ・ガヨス(2)

 キム・セロン(2)

 フランソワ・オゾン監督(2)

 ガス・ヴァン・サント監督(2)

 ジェーン・カンピオン監督(2)

 アンジェイ・ズラウスキ監督(2)

 ジュリエット・ビノシュ(2)

 マイク・リー監督(2)

 ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督(2)

 パク・チャヌク監督(2)

 アンドレイ・タルコフスキー監督(2)

 トラン・アン・ユン監督(2)

 ソン・ヒョナ(2)

 オリヴィエ・グルメ(2)

 マルック・ペルトラ(2)

 アキ・カウリスマキ監督(2)

 ギャスパー・ノエ監督(2)

 ミシェル・シュボール(2)

 レフ・マイェフスキ監督(2)

 GabrielSpahiu(2)

 キリアン・マーフィ(2)

 クレイグ・ロバーツ(2)

 スティーヴン・ソダーバーグ(2)

 SettarTanriögen(2)

 スティーブ・マックイーン監督(2)

 キャリー・マリガン(2)

 イザベル・ユペール(2)

 ニール・シュナイダー(2)

 クシシュトフ・ピチェンスキ(2)

 オーレ・ボールネダル監督(2)

 フランソワ・クリュゼ(2)

 キッレ・ヘルム(2)

 ナーセル・ヘミール監督(2)

 ドメ・カルコスキ監督(2)

 ペルッティ・スヴェホルム(2)

 ウド・キアー(2)

 ナディーン・ラバキー監督(2)

 チャン・チェン(2)

 トーマス・ヴィルム・ヤンセン(2)

 アンドレアス・ウィルソン(2)

 アモス・ギタイ監督(2)

 サーデット・アクソイ(2)

 ニーナ・ホス(2)

 イ・ジェフン(2)

 ツヴァ・ノヴォトニー(2)

 Rosalinde_Mynster(2)

 ニコライ・アーセル監督(2)

 パトリシア・シューマン(2)

 ミケール・ビアクケーア(2)

 クリスティアン・ペツォルト監督(2)

 ジュリア・シャハト(2)

 ラン・ダンケル(2)

 ペーター・アンデション(2)

 グスタフ・スカルスガルド(2)

 ポール・シュレットアウネ監督(2)

 Shanti_Roney(2)

 Sarah_Boberg(2)

 Annette_K.Olesen監督(2)

 ミキ・マノイロヴィッチ(2)

 ズラッコ・ブリッチ(2)

 カタリン・ミツレスク監督(2)

 キャリー・ジョージ・フクナガ監督(2)

 ShantiRoney(2)

 ゾーイ・カザン(2)

 リチャード・ジェンキンス(2)

 ラミン・バーラニ監督(2)

 ルクレシア・マルテル監督(2)

 MadsSjøgårdPettersen(2)

 トム・マッカーシー監督(2)

 レハ・エルデム監督(2)

 パヴェル・パヴリコフスキー監督(2)

 ハン・ウンジン(2)

 ヴィンセント・ギャロ(2)

 クレール・ドゥニ監督(2)

 ハビエル・バルデム(2)

 ホリデイ・グレインジャー(2)

 ニコラ・デュヴォシェル(2)

 チョン・ジェホン監督(2)

 エレナ・アナヤ(2)

 フリオ・メデム監督(2)

 マキシム・ゴーデット(2)

 キム・ヘジャ(1)

 クリスティーナ・ヤンダ(1)

 ダレン・アロノフスキー監督(1)

 ウォンビン(1)

 チャン・チョルス監督(1)

 シャルナス・バルタス監督(1)

 フィリップ・リオレ監督(1)

 アニエスカ・ホランド(1)

 コ・ソヨン(1)

 イ・ビョンホン(1)

 ホ・ジュノ(1)

 ポール・ラヴァーティ(1)

 ニーナ・イヴァニシ(1)

 チ・ジニ(1)

 キム・スンホ(1)

 アレックス・ファン・ヴァーメルダム監督(1)

 オム・テウン(1)

 Henning_Valin_Jakobsen(1)

 パク・ヘイル(1)

 カン・ジファン(1)

 イエジー・スコリモフスキ監督(1)

 シン・ミナ(1)

 ビアギッテ・ヨート・スレンセン(1)

 ソーレン・マリン(1)

 ジェニファー・ローレンス(1)

 Signe_Egholm_Olsen(1)

 ジャファール・パナヒ監督(1)

 ハ・ジウォン(1)

 キム・スンウ(1)

 キム・ユンジン(1)

 エマニュエル・セニエ(1)

 イム・スジョン(1)

 ナ・ホンジン監督(1)

 イェジ・シュトゥール(1)

 ヴァンサン・ランドン(1)

 ノルマ・アレアンドロ(1)

 ミーラー・ナーイル監督(1)

 アナマリア・マリンカ(1)

 ブラッド・アンダーソン監督(1)

 AlexandruPapadopol(1)

 イム・グォンテク監督(1)

 ユン・ジョンヒ(1)

 ブリュノ・デュモン監督(1)

 スカーレット・ヨハンソン(1)

 マリア・ポピスタス(1)

 TomHarper監督(1)

 村上春樹(1)

 キム・スヨン監督(1)

 ヴィルジニー・ルドワイヤン(1)

 ジョン・マルコヴィッチ(1)

 ダニス・タノヴィッチ監督(1)

 ケヴィン・スペイシー(1)

 ヤン・クーネン監督(1)

 チョン・ジヨン監督(1)

 カリーヌ・ヴァナッス(1)

 ヴァンサン・ロティエ(1)

 アダム・フェレンツィ(1)

 アミール・ナディリ監督(1)

 リュディヴィーヌ・サニエ(1)

 パブロ・トラペロ監督(1)

 イム・サンス監督(1)

 RomaGasiorowska(1)

 リシャルト・ブガイスキ監督(1)

 ロネ・シェルフィグ監督(1)

 チャン・フン監督(1)

 ヴィム・ヴェンダース監督(1)

 アブデラマン・シサコ監督(1)

 イ・ジョンギル(1)

 マルティン・シュリーク監督(1)

 キム・ジョンチョル(1)

 ジョン・キューザック(1)

 

メールフォーム/Mail Form
ご自身のメールアドレスを知られたくない方は、コメント欄からどうぞ。

名前:
メール:
件名:
本文:



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。