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(未)重さ <2012/韓国> ★★★

the weight
Weight
2012/107min/韓国
ドラマ
監督/脚本:ジョン・キュファン
出演:チョ・ジェヒョン、パク・チア
IMDb評価:6.6/10


社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 ★★
官能度 ★(ヌードあり)
民族度 ★★
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★ 


the-weight1.jpg 主な舞台となるのは、地下にある死体安置所。主人公の働くところである。運ばれてきた遺体を拭いて、綺麗にお化粧をして、棺桶に入れ、新たな旅立ちに備えるのが彼の仕事である。一方、彼の弟は女性になることを願い女装をしているが、まだ性転換手術は受けていない。生と死の狭間で揺り動く兄と女性と男性の狭間で揺り動く弟を描く。

二人は孤児院出身であり、幼少時代に養子に出されている。その時のトラウマも含め、幼少時代のフラッシュバックを効果的に挿入している。何と言っても本作の特徴はアート的な映像美。安置所での仕事風景ですら、魅せられる。人間の欲望をも巧みに映像化している。

the-weight2.jpgタイトルは“重さ”。おそらく生や性の重さのことを言っているのであろう。重い題材でありながら、明るいタッチで描いたブラックコメディー。「おくりびと」と比較している海外の記事をいくつか目にしたが、主人公の職業が似通っているだけで、共通点は一切ない。本作は明確なストーリーどころか、人間の欲望・愛・孤独を抽象的に、しかしながらユーモラスに描いた作品である。

注目すべき点は、キム・ギドク作品でお馴染みだったチョ・ジェヒョン、パク・チアの二人を主演に迎えた点でもある。本作の作風はギドクというよりはフィンランドのカウリスマキに近いドライなブラックコメディーだが、全く異なった作品での二人の共演も興味深い。

2014/6/8
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115. 受取人不明 <2002/韓> ★★★★★

unknown.jpg受取人不明/수취인불명/Address Unknown
2002/117min/韓国
ドラマ
脚本/監督:キム・ギドク (監督6作目)  
出演:ヤン・ドングン、パン・ミンジョン、キム・ヨンミン、チョ・ジェヒョン、パン・ウンジン、ミョン・ゲナム
受賞: 
2001 第2回 釜山映画評論家協会賞 助演男優賞
2001 第21回 映画評論家協会賞 新人男優賞、脚本賞
2002 第39回 大鐘賞/助演女優賞
IMDb評価:7.3/10

ゴア度 ★★★★
社会度 ★★★★
哲学度 ★★


unknown2.jpg黒人との混血児チャングクは,犬商人の仕事の手伝いをしながら,西洋人相手の娼婦だった母とたった二人で,村はずれの真っ赤なバスの中に暮らしている。
チャングクの母は,いつか米国にいる夫が自分たちを迎えに来てくれると信じて手紙を書くけれど,手紙はいつも受取人不明(Unknown Address)という真っ赤なスタンプが押されて戻ってくる。
幼い時,兄さんが射ったおもちゃ銃に当たって片方の目をなくしたウノクは,米軍病院で目の治療を受ける希望を抱いて,英語の勉強に熱中している。
村には,ウノクが好きな慎ましい少年チフム,ユギオ(6.25)勲章に執着するチフムの父,そしてチャングクを困らせる血も涙もない犬商人ケヌン(犬目)などが暮らしている。@innolife

1970年代、米軍部隊と隣接した田舎の村を舞台に、黒人混血児として差別を受ける青年と兄のいたずらで片目を失った少女、そして気が小さくいじめを受ける青年の3人の物語を中心にストーリーは展開していく。彼らの日常生活を通して、米軍基地、人種差別、6.25(ユギオ)戦争の傷跡など、韓国社会の闇における問題を浮き彫りにすると同時に、人々が社会に翻弄され、理不尽な運命に身を沈めていく様を描いている。両親の生き方を否定しながら翻弄されていく姿、アメリカを否定しながらも依存せざるを得ない状況など人間の矛盾に焦点を当てている。相変わらず奇抜な描き方をしており、観る者を選ぶが、着眼点はギドク作品の中で最も普遍的であり、最高傑作だと思っている。7割が実話を基にしているからか、かなり現実味を帯びている。3割の脚色部分も見分けがつかない。

unknown1.jpg海外での上映も視野に入っていたであろうに、韓国特有の食文化である犬をあっさり題材にしてしまうとは監督らしい。世代による犬に対する考え方の違いを映すことで時代の変化を演出している。犬を撲殺するシーンは叩く音や犬鳴き声、水たまりに滴る鮮血を見せるだけで直接描写はないが、ギドク監督らしい演出は見るに耐えられない。愛犬家の方にはかなりきついとは思うが、家畜だと思って割り切ってみるしかない。

若者3人を中心とした人間関係は複雑に絡まり合い、追い打ちをかけるかのような悲劇の連続は圧巻。緻密に計算された詰め込まれた脚本には脱帽。台詞はストレートだが、抽象的な描写も多い。伏線が多く、観る度に新発見があり、今回もハッとさせられた。“受取人不明”とは手紙のことだけではなく、自分を受け入れてくれる人がいないことも比喩している。観れば観るほど“受取人不明”の意味が深い。

ペットの犬と食用犬、弓と銃、韓国人とアメリカ人、支配する者と支配される者、アメリカに依存する若者と朝鮮戦争の栄光にすがる老人、母を殴れても犬を殺せない青年といじめで暴行される青年、朝鮮戦争で亡くなった夫の年金を頼りにする母と自分を捨てアメリカへ帰った夫を待つ母、そして、希望と絶望。対比するような描き方が面白い。
ギドク作品は、特定の小道具を効果的に使うことが多いが、本作では“受取人不明”のスタンプ、バス、弓の的、母の服、鮮血、そして「赤の家族」といった赤が印象的に使われている。おそらく“朝鮮”を象徴しているのだろう。混血児のチャングクがいじめっ子2人に対する台詞に「お前らみたいなアメリカかぶれがいるから韓国がダメになる。」という台詞の通り、朝鮮戦争やアメリカへの怒りや苛立ちが込められ、この悲劇は現代社会にもいまなお引き継がれていることを危惧している。彼らの生活なんか関係なく空を飛ぶ米軍機があまりにも切ない。

私の解釈にて結末に触れています。
死んだ息子チャングクを家に連れて帰る母。あたかも赤ん坊をあやすかのように抱きかかえているが、形や大きさから推測して、おそらく死んだ息子の頭部であろう。そして、直前に何かを食しているシーンがあった。ストーリーの流れから、食べていたのは息子の人肉と考えるのが妥当であろう。お腹を痛めて産んだ我が子を再びお腹に戻すことで“身元引受人”になったのだろうか。そして、その後焼身自殺をするのであった。

そして、最後の手紙。夫の知人からではあったが、結局受け取ることなく、真実を知ることなく死んでしまった母。結局、手紙は“受取人不明”になってしまった。

<鑑賞> 英語字幕2010/1/11、英語字幕2011/8/23
初版:2010/1/13
最新版:2011/8/25

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