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247. ロマンスグレー <1963/韓> ★★★☆

romance.jpg
로맨스그레이 /Romance Gray
1963/124min/モノクロ/韓国
コメディー、ドラマ
監督:シン・サンオク
出演:キム・スンホ、チェ・ウニ、チョ・ミリョン、キム・ヒガプ、シン・ヨンギュン、ハン・ウンジン


ロマンス・グレーとはロマンティック・グレーの和製英語であるが、韓国でも使われていたようでタイトルにもなっている。中年から初老男性の白髪混じりの男性を指す。
ムン・ヨソン監督にて1979年に同内容でリメイクされている。(未見)


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そんなロマンスグレーの大学教授と社長の2人にはそれぞれ若い愛人がいる。その愛人たちは友人同士で一緒に暮らしている。愛人が家に来る時は片方は外出するといった配慮をしながら、愛人生活を楽しんでいる。面白いことに、社長の息子は教授の愛人と大学の同級生であり、夫人同士も知り合いといった関係。複雑な人間関係が巧妙に活かされている。

自分の愛人は1人暮らしをしていると思っていた大学教授と社長。密会場所である愛人の部屋で、鉢合わせなんてことも。愛人宅に他の男がいたらいくら不倫とはいえ普通なら修羅場となるだろうが、まずは愛人に直接事情を聞こうとする男性の紳士的な姿勢には好感。男性至上主義であった当時、愛人女性と対等な立場で描かれるのは珍しいのでは。とはいえ、不倫発覚後、夫人が友人たち数十人を引き連れ、愛人宅に乗り込むシーンは圧巻。

この時代に運転手付き、洋館に住み、レストランで洋食を楽しむといった優雅な生活。家では信頼も厚く、良き父である2人の家での過ごし方や家族との良好な関係は現在の韓国のホームドラマに通ずる。浮気現場を写真に収める、夫人には出張だと嘘をついて愛人宅へ行くといった今もなお変わらない行為は、50年も前の作品とは思えないほど違和感なく楽しめる。今となっては不倫映画は多くあるが、当時としては破格的であっただろう。シン・サンオク監督のコメディーは初めて観るが、らしく皮肉たっぷりにコミカルに描いている。不倫問題なのに、誰かを責めるような描き方もしていない。

シン・サンオク監督、当時の妻チェ・ウニは後に、そしてキム・スンウは以前に北に拉致されたという経験をしている。波乱万丈であっただろう彼らの人生を想像すると、こうやってお気楽な映画にも出演していることをうれしく思う。

<鑑賞> KMDbにて 2011/5/1
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245. 烈女門 <1962/韓> ★★★★

retsujyo1.jpg
烈女門/bound by Chastity Rule/The Red Gate
1962/101min/モノクロ/韓国 
ドラマ
監督/製作:シン・サンオク
出演:チェ・ウニハン・ウンジン
IMDb評価:7.7/10

シン・サンオク監督の代表作で、これまでフィルムが失われたとされてきたが、台湾で発見されて復元されたものである。同時代のものであり、やはり復元されたキム・ギヨン監督「高麗葬」に比べ、画質はかなり綺麗だった。主演は監督の元妻チェ・ウニが演じている。現在85歳でご健在である。
シン・サンオク監督やイム・グォンテク監督作品でお馴染みのハン・ウンジンは姑役を演じている。こちらも92歳でご健在。

舞台は1920年。ハンはキム家の長男の嫁として嫁いできたが、夫は子を残すことなくこの世を後にしてしまった。姑は40年間烈女として家庭を守り、玄関先には家門の名誉である烈女門が立っている。ハンは長男の嫁として、烈女門に恥じない様に生きなければならなかった…。

retsujyo2.jpg“烈女”とは節操を堅く守り、気性が激しい女。信義を堅く守る女のことである。夫と死別しても貞節を守ることが美徳とされ、そういう女性を讃えて立てた門を“烈女門”といい、日本の鳥居のような形の門である。本作はそんな門に翻弄され犠牲となり献身した女性の話である。

病気の夫を助けるために包丁で自らの指を切り落とし、夫に血を飲ませた嫁ハン。指のない女性が後の伏線となっているが、この時代には珍しくないという台詞もある。夫のために肉血をも差し出す行為を“烈行”というそうだ。鑑賞後に少し調べたら、死んだ夫と一緒に生き埋めや子育てが終わった後に後追い自殺した女性も少なくなかったという。本作でも亡き夫と一緒に嫁も生き埋めにすべきだったなんて台詞もでてくる。妻がそこまで献身するほど夫が素晴らしかったことの証明でもあり、家門の名誉、繁栄とされている。一方で、姑の献身によって烈女門が表彰されているキム家に嫁いだハンにとっては、抑圧的で犠牲そのものであった。部屋には“女不事二夫”という掛け軸がかけてあった。「女は二度夫を持つことはない」という意味である。好きな男性ができたこと自体、罪だと考えるハンは、その掛け軸を戒めとして生きていかなければならなかった。

今もなお韓国では“烈女”を題材にする映画やドラマは多いが、本作ほど烈女を中心にした作品を私は観たことがない。時代の流れと共に、否定的な考えを持つ世代も出てくる。儒教ならではの因習における女性の存在価値を問う本作は、烈女門への意義すら唱えているようにも感じた。自己犠牲となった女性の悲痛な叫びでもあった。

<鑑賞> KMDbにて 英語字幕 2011/4/30
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