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【ドラマ】コペンハーゲン/首相の決断 (原題:Borgen) <2010/デンマーク> ★★★★★

「THE KILLING /キリング」のスタッフが贈る、デンマーク初の女性首相を描いた傑作ポリティカル・ドラマ、スーパー!ドラマTV にて2013年独占日本初放送決定!本放送スタートに先駆け、第1話を先行プレミア放送!

「コペンハーゲン/首相の決断」第1話先行プレミア放送
3/30(土)22:00~23:00
http://www.superdramatv.com/line/borgen/

Borgen.jpgBorgen
2010/58min×10話/デンマーク
ドラマ、政治
監督:Annette K. Olesen、Mikkel Norgaard、Rumle Hammerich、Soren Kragh-Jacobsen
製作/脚本:Adam Price
脚本:トビアス・リンホルム
出演:シセ・バベット・クヌッセン、ビアギッテ・ヨート・スレンセンピルウ・アスベックミケール・ビアクケーアダール・サリムパトリシア・シューマンソーレン・マリンイーベン・ドールナ、セバスチャン・イェセン、Signe Egholm Olsen、Petrine Agger
IMDb評価:8.1/10

社会度 ★★★★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★


borgen1.jpg政治担当女性ジャーナリスト・カトリーヌの恋人オレが心臓発作で亡くなってしまった。妻子がおり、現政権自由党の顧問をしているオレとの関係を知られるわけにはいかないカトリーヌは、国民党のスピンドクターであり友人のキャスパーに助けを求めた。カトリーヌが部屋にいた証拠を隠そうと部屋を訪ねてきたキャスパーはある書類を見つけてしまう。それは現政権自由党を貶めることのできる書類であり、労働党へ手渡してしまった。
総選挙を間近に控えたテレビ番組での政治討論番組において、現政権自由党のリーダー・ラースの妻の金銭スキャンダルが暴露されてしまった。それはキャスパーが労働党へ渡してしまった書類から発覚したことであった。その結果、選挙で圧勝となったのは国民党。政権交代し、女性初となる首相ブリジットが誕生し、労働党に通じたキャスパーは首になってしまった…。(1話あらすじ)

監督は、「Little Solder(2008)」Annette K. Olesenが4話分、「Klown」のMikkel Norgaardが2話分、「Headhunter(2009)」のRumle Hammerichが2話分、「What No One Knows(2008)」のSoren Kragh-Jacobsenが2話分を担当している。
脚本は、「光のほうへ」のトビアス・リンホルム
出演は、「アフター・ウェディング (2006)」のシセ・バベット・クヌッセン、「The Escape(2010)」のミケール・ビアクケーア、2011 シューティング・スターを受賞したピルウ・アスベック、「光のほうへ(2010)」のパトリシア・シューマン

日本でもCSで放送され、アメリカでもリメイクされたデンマーククライムドラマ「THE KILLING/キリング(原題:Forbrydelsen)」と同じチーム制作のデンマーク発政治ドラマ。2011年デンマークでは政権交代があり、初の女性首相が誕生したのは記憶にも新しいが、本作はその一年前に放送されている。2010年にスタートし、2013年には第3シリーズの放送が決定しており、ヨーロッパ各国では吹き替え版も放送するほどの人気ぶり。おそらく日本でも放送されるのではないかと思うので、各話ごとの記事は書きません。

borgen2.jpgBorgenとは直訳すると“お城”の意のようだが、“国会議事堂”を指すそうで、シーズン1では総選挙3日前から任期が1年経過したところまで描かれる。アフガンへの兵士派遣、少女暴行、環境問題、アフリカの飢餓、EU財政などのトピックに加え、政権交代、与野党争い、党間の駆け引き、支持率低迷など日本にも通ずる問題にも触れている。国は違えど、抱えている問題は我が国とさほど変わりない。難しい問題を深堀りしていないので、EUや政治に詳しくない私でもそれなりに楽しめた。

だが、本作の本当に面白いのは、政治ドラマだけではなく、登場人物の葛藤など心理を掘り下げたヒューマンドラマにある。みな仕事以外にも家庭環境や生い立ち、恋愛で問題を抱えており、仕事とプライベートの両立の難しさがよく描かれている。

子供二人の母親でもある首相ブリジット、独身の女性ジャーナリスト・カトリーヌはどちらも野心的な女性。何かを犠牲にして働く姿、家庭や恋愛の両立など、女性視点で描かれ共感できるところも多い。特に、首相ブリジットの家庭問題にすごく重点を置いている。庶民派であり、息子のトラブルで学校に呼び出されれば首相自ら学校へ出向くし、朝食も必ず一緒にとるように心掛けている。しかし、寝る時間もない妻とのセックス問題、家事全般を請け負っている夫の苦悩、子供たちへのストレスなど様々な視点で描かれ、いろいろ考えさせられる。行く末は濁されており、シーズン2に持ち越されている終わり方をしている。まだ英語字幕版が発売されていないので、首を長くして待つことにする。

<観賞> 2012/4/20-5/9
初版:2012/5
最終版:2013/3

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光のほうへ (原題:Submarino) <2010/デンマーク=スウェーデン> ★★★★★ 

submarino.jpgSubmarino
2010/105min/デンマーク=スウェーデン
監督/共同脚本:トマス・ヴィンターベア「セレブレーション」「DEAR WENDY ディア・ウェンディ」
原作:ヨナス・T・ベングトソン/Jonas T. Bengtsson
脚本:トビアス・リンホルム/Tobias Lindholm「R」
出演:ヤコブ・セーダーグレンTerribly Happy」、ペーター・プラウボー、パトリシア・シューマン、モーテン・ローセ、ダール・サリム
受賞:デンマークアカデミー賞15部門ノミネート、5部門受賞ほか
音楽:Agnes Obel‘Riverside’
IMDb評価:7.6/10

邦題のセンス ★★★★
哲学度 ★★★★
映像美 ★★★★
衝撃度 ★★★
感動度 ★★★
宗教度 ★


公式ホームページはこちら
2011年 デンマークアカデミー賞ノミネート・受賞作品についてはこちら

トマス・ヴィンターベア監督といえば、ラース・フォン・トリアーと共に「ドグマ95」運動を起こした人物でもある。本作はドグマ映画ではない。2011年アカデミー賞デンマーク代表最終候補3作品に残っていたが、惜しくも逃してしまった。でも、きっと、ファンの多い日本でも公開はされるでしょう。2011年初夏公開予定。

submarino3.jpgアルコール中毒の母をもつ兄弟2人。さらに赤ちゃんが生まれるが、母は育児放棄。兄弟2人で赤ちゃんを育てるが、裕福な家庭ではなく十分なお金がない。仕方なく赤ちゃんのためにミルクを盗んでしまう。悪いことではあるけれど、母親の代わりにできる限るのことをし、知恵を出し合い良い名前を考え、教会で行うような洗礼(命名)まで行い、マーチンと名付けた。しかし、不慮の事故でその赤ちゃんを亡くしてしまう。10代の兄弟2人には辛すぎる突然死であった。心に深い傷を負ったまま時は経ち、2人はそれぞれ別の道を歩んでいた。生き別れになっていた2人は母の葬儀で再会を果たすが、兄は服役を終えてアルコール中毒に、弟はシングルファーザーで麻薬中毒になっていた…。

submarino1_20110401114657.jpg兄は友達想いで決して悪い男ではないが、自暴自棄でアルコール漬けの歪んだ日々を送り、過去を背負っている風貌である。弟は不慮の事故で亡くした赤ちゃんと同じ名前を息子につけた。母の二の舞にはなるまいという思いは強いが、ドラッグディーラーという危険と隣り合わせの生活である。
おそらく10年前後の空白があるだろうか。疎遠だった兄弟がお互いの空白の数年間のことを知らないように観客にもあまり教えてくれない。
母の葬儀で久しぶりの再会を果たすが、抱き合うようなことはしない。兄弟2人に余計な会話など必要なく、表情でお互いの気持ちを読み取っていて、漂う空気感が重くのしかかる。今まで2人をどれだけ苦しめてきたことか。

submarino4.jpgアルコールや麻薬に溺れるのは愛情や家族の欠如からであろう。孤独と絶望の闇で生きてきた2人にとって唯一の逃げる手段でもあった。母の遺産を拒否した兄の口から出た言葉は「あの人からは何ももらたくない。」であった。弟の死への罪の意識、そのトラウマが破片として胸を刺す。それでも母の死をきっかけに和解に向かっているかと思った矢先の悲劇はあまりのショックに言葉を失う。こんなにも苦しいドミノ倒し式の運命があるなんて。世界で一番幸せだと言われているデンマーク。運命に翻弄され、下流社会でうごめく兄弟2人の人生が痛い。
しかし、決して絶望的ではない。それでも、きっと光はある。そう思わせてくれるエンディングでのマーティンの笑顔が唯一の救いであった。

submarino2_20110401114657.jpg「Submarino」とは一般的には「潜水艦」の意味だが、「拷問」という意味もある。水に顔を沈め自白をさせる行為のことである。
人生において選択を迫られることは幾度となく訪れる。その度に間違った選択をしてしまった兄弟。時にブルー、時にグレーのフィルターがかかったような映像は運命という水の中のようでもある。彼らの人生はアルコールや麻薬に溺れ、もがき苦しみ、溺れる寸前であった。



非の打ちどころのない脚本と台詞、何といっても巧みな編集とスタイリッシュな映像美にはため息が出る。デンマーク映画らしくドラッグ使用シーンは刺激が強い。4人の人間が死ぬが、直接描写はなく、情に訴えかけてくるものがある。全体的には派手な演出ではないのに、選び抜かれたと思わせる台詞と映像にはかなりの説得力がある。ここまで心に突き刺さる作品は他にはない。スザンネ・ビア監督の「イン・ア・ベター・ワールド」よりも断然本作をオススメする。
1点気になることがある。弟の名が明かされていないことである。名前では呼ばず、「Brother」と呼んでいる。名前を付けないことでデンマーク社会の何かを示唆しているのだろうか。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/2、 2011/3/31

<追記 on 2011/3/1>
2011年アカデミー賞デンマーク代表最終候補3作品は、ご存じ「In a Better World」(監督:スザンネ・ビア)
と本作、「R」(監督:Michael Noer、トビアス・リンホルム)であった。
本国で一番の話題となっていたのは「In a Better World」ではなく、「R」でした。デンマークアカデミー賞では完全制覇している。その「R」の監督と脚本も務めたトビアス・リンホルム氏が本作の脚本を手掛けている。
本年度デンマークの映画界を最も賑わせた彼の名前はしっかりと私の頭の中に刻まれた。
ずっと追いかけていきたい。

悲劇的な話なのに観終わった後、一粒の光を感じさせてくれた。邦題の付け方に疑問を感じることがよくあるが、私の解釈通りの邦題が付けられたことをうれしく思う。
初版:2010/12/3
最新版:2011/4/2

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