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170. 人を探します <2009/韓> ★★★★☆

person4.jpg
人を探します 사람을 차습니다/Missing Person
2008/95min/韓国
ドラマ、スリラー
監督/脚本:イ・ソ(監督デビュー作)
出演:チェ・ミョンス、キム・ギュナム、ペク・チニ
受賞:
2009 第50回 ギリシャ テッサロニキ国際映画祭 特別芸術貢献賞
2009 第10回 全州国際映画祭 JJ-Star賞

衝撃度 ★★★★
社会度 ★★★
ゴア度 ★★ 




ウォニョンは町で不動産を営み、副業として犬探しをしている。知的障害者キュナムは“犬を探しています”のビラを電信柱や壁に貼り生計を立てている。町内で続けて子犬が消える事件が発生し、人間まで姿を消え始める。知的障害者キュナムは“人を探しています”のビラ貼りの仕事も依頼される。しかし、一連の失踪事件の犯人としてキュナムを疑ったウォニョンは家を訪ねると、みじめな生活を目撃する…。

person2.jpg監督は、チョ・スンウ主演の「マラソン」の助監督をされていた方で本作がデビュー作品となる。主演は私の大好きなチェ・ミョンス。いつもながらオーバーな演技はまたいい味を出しているが、それ以上にインパクトが強いのがキュナム役の俳優さん。失礼ながら、貧相な風貌はキャラクター作りなのかと思ったら、舞台俳優の方でこういう風貌の持ち主のよう。本作の面白さは脚本だけではなく、キャラクターにどんぴしゃな彼の独特な風貌のおかげでもある。

不動産屋のウォンヨンは、昼間から友人らと花札で遊び、妻と子二人いながら、愛人、更に女子高生とも関係を持つ。愛人や不動産のお客に不満を感じた時、知的障害者キュナムを呼び付け虐待をし、ストレスの捌け口にしている。虐待の仕方も、ただ殴る蹴るだけではなく、犬のように4つん場にさせ、首輪をつけたり格好をさせ吠えさせてみたり、扱い方はひどい。さらに、花札仲間はそんな暴力を見て見ぬフリをするといった状況。ウォンヨンはこの地域では親分的存在であり、誰も逆らえない。そんな上下関係が物語の背景となっている。

person3.jpg知的障害のキョナムはウォンヨンから“犬探し”のチラシ貼りの仕事をもらっているが、次々と犬が失踪する事件が相次ぐ。実はキョナムが犬を誘拐していたのである。結果、チラシ貼りの仕事は増え、誘拐した犬たちと廃屋で同居生活を始めるようになる。ウォンヨンには犬扱いをされているキョナムだが、住んでいる廃屋には相応しくない立派な犬小屋を建て、犬を敬うかのように暮らしているのである。4つん場になり自分までドックフードを食べる姿は衝撃的である。次第に人間たちまで消えるようになり、“人を探しています”のチラシ貼りの仕事もするようになったことからこのタイトルがついている。

犬の失踪も人間の失踪もウォンヨンの指示なのかキョナムの独断なのかは最後まで不明だが、真相がわからないところに怖さがある。そして、キョナムは言葉を発しないが、おそらく話せないのではなく、話さないだけである。労働者であり障害者のキョナムが話したって誰も聞く耳を持たないからであろう。物事を理解していないような雰囲気を醸し出しつつ、実は全てを見抜いていたと思われる。話さない分焙り出すように描くキョナムの心理には恐怖を感じる。

社会の根底にあるファミリー的な上下関係、障害者や労働者への差別意識を浮かび上がらせ、そういった意識の上で成り立つ社会的構図への批判を描いている。飼い犬に手を噛まれる的な結末はキム・ギドク作品のように何だか癖になる作品。万人向けではないが、日本未発表とは惜しい。次回作の話を聞かないが、期待度の高い監督さんである。

<鑑賞> 字幕なし2010/4/20、字幕なし2011/8/27
初版:2010/4/21
最新版:2011/9/10

[サイト内タグ検索] 日本未公開 チェ・ミョンス ペク・チニ
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168. ソウルのバングラデッシュ人 <2009/韓> ★★★★

2011年5月28日新宿K's cinemaにて公開予定につき編集しました。

bandubi1.jpgソウルのバングラデッシュ人/반두비/Bandhobi
2009/107min/韓国
ドラマ
監督/脚本:シン・ドンイル「訪問者
脚本:イ・チャンウォン
出演:マーブブ・アラム・ポロブ、ペク・チニ人を探します」、キム・ジェロク訪問者
受賞:
第10回 全州国際映画祭 CGV韓国長編映画 封切り支援賞,観客評論家賞
第10回ソウル国際青少年映画祭韓国成長映画 発見部門観客賞
第31回フランス ナント三大陸映画祭コンペティション部門 グランプリ

社会度 ★★★★
衝撃度 ★
韓流度 なし

bang3.jpgトゲのある今時の女子高校生ミンソ。母子家庭であり、恋人に夢中の母親への反発が強い。自立心が強く、英語塾へ通うための費用を自分で稼いでいる。ある日、バスでバンぐラディッシュ出身の労働者カリムの財布を拾い、素知らぬ顔でバックへ入れてしまう。カリムはミンソを警察へ付き出す代わりにある提案を持ちかける…。

カリムが不法入国であることをいいことに、社長は1年分の賃金をピンはねしていたのである。韓国人が一緒なら対応してくれるだろうと考えたカリムは、ミンソに社長宅へ行ってお金を取り戻して欲しいと考えていたのである。
一方、ミンソはそんな外国人のカリムが一緒に歩くことで人目を気にしている。
韓国における外国人労働者の現状が強く描かれており、発展途上国出身外国人への軽視を特に強く訴えているように感じた。どちらも現代社会を風刺しており、日本にも共通する問題である。
女子高生が通う英語塾の教育の質の高さにも驚かされる。国際化社会における社会問題に深く切り込んだ作品。

bang1.jpg韓国社会から疎外され、差別を受ける外国人労働者と家族の愛情を受けていない女子高生。2人を引き合わせたのは孤独であろう。ミンソは、外国人労働者カリムとの出会いをきっかけに柔らかくなっていく。
Crying Nutの曲「ルクセンブルク」をミンソがカラオケで歌うシーンがある。
「肌の色や言葉が違ってもみんな人間だ」という歌詞には外国人への意識が変わった表れであろう。バングラ料理を食べるシーンが2度あるが、その食べ方の違いからもカリムがどれほどの影響力があったのかも見て取れる。


bang2.jpg観る者によって解釈が異なるであろうラストシーン。解釈の幅の残し方が私好み。切なさが残るが、カリムとの出会いは彼女を成長させた。

原題の「バンドゥビ Bandhobi」とはベンガル語で「友達」の意。商業作品ではないにしても、「ソウルのバングラデッシュ人」という邦題では全く興味が湧かないし足が遠のいてしまう。そのままカタカナにしてほうがよっぽどいいのに。

監督は「訪問者」のシン・ドンイル監督。
主演の女子高生ミンソを演じたペク・ジニは「人を探します」でデビュー。インパクトの強い役どころがあまりにも印象深く残っているが、本作もしかり。演技力の高さに驚きです。
シン・ドンイル監督に、ペク・ジニ。これからが楽しみです。

<鑑賞> 字幕なし 2010/4/19
初版:2010/5/6
最新版:2011/4/12





[サイト内タグ検索] ペク・チニ キム・ジェロク
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