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エージェント・ハミルトン~祖国を愛した男~ (英題:Hamilton: In the Interest of the Nation) <2012/スウェーデン> ★★

hamilton.jpgHamilton: In the Interest of the Nation
2012/109min/スウェーデン
アクション、ドラマ、スリラー
監督:キャスリン・ウィンドフェルト(Kathrine Windfeld)
原作:ヤン・ギィユー(Jan Gillou)
出演:ミカエル・パーシュブラントペルニラ・アウグストジェイソン・フレミングデイヴィッド・デンシック
IMDb評価:6.3/10

社会度 ★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 ★★

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★

スウェーデンの工作員ハミルトンは同棲している彼女にはすぐ戻ると伝え、ロシア人としてカザフスタンへ向かった。無事に任務を終え帰国するが、時はすでに4ヶ月も経っていた。身分を明かし、これからは普通の生活へ戻ることを約束し、彼女にようやく許してもらう。ところが、ハミルトンは部屋の外には見張りがいることに気がついてしまった。医師の彼女は緊急オペで呼び出され病院へ向かうと、見張りもいなくなった。
ハミルトンは彼女の帰宅を待つ間、リンゴを剥いて食べようとしていたが、ついついナイフを握りしまったまま寝てしまう。帰宅した彼女が起こそうとすると、とっさのあまり果物ナイフで彼女の喉を切り、殺してしまった。長年身に付けた自己防衛が仇となってしまった…。

hamilton1.jpg監督は、「The Escape(2009)」のKathrine Windfeld。
出演は、「未来を生きる君たちへ(2010)」のミカエル・パーシュブラント、「愛の風景(1992)」でカンヌ女優賞を受賞したペルニラ・アウグスト、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2008)」「タイタンの戦い (2010)」のジェイソン・フレミング

任務で何人も殺していても彼女の死には動揺を隠せないハミルトン。ところが、物取りの犯行に見せ掛け、証拠を消す様はやはり工作員。感情を押し殺して淡々と作業をこなすが、ヒューマンドラマでもいつも良い演技をみせてくれるミカエル・パーシュブラントなだけに、悲しみや後悔が見え隠れする演技は卓越。彼のアクション作品は初めて観るような気がするが、身のこなしもなかなかのものだった。

スウェーデン人ジャーナリストが原作を書き、過去にも映画化されている作品。舞台は、カザフスタン、ロシア、アンマン、スウェーデン等といった大掛かりなものだが、残念ながら工作員が身分を偽り潜入するといったどこの国でも語りつくされているマンネリ化した題材にハリウッドナイズされたストーリー展開で、流れも結末も最初から読めてしまっている。見せ場は彼女を殺してしまうまでの序盤のみ。彼女への見張りがついていた理由などは最後までの伏線となってはいるが、何のサプライズも用意されていなければ、仕掛けも演出もさほど派手ではない。キャスティングは豪華だが、大作というには程遠い。彼女の死で絶望の淵を彷徨うハミルトンのほうが興味深いが、アクション映画に期待するほうが間違っているか…。

2012年9月、本国では続編が公開。どうやら人気はあるようだ。

<観賞> 2012/7/18

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(未) Beyond <2010/スウェーデン=デンマーク=フィンランド=ノルウェー> ★★★

beyond.jpgSvinalängorna/Beyond
2010/99min/スウェーデン=デンマーク=フィンランド=ノルウェー
ドラマ
監督/脚本:ペルニラ・アウグスト(Pernilla August)
原作:Susanna Alakoski
出演:ノオミ・ラパス、オーラ・ラパス、オウティ・マエンパー、Ville Virtanen
IMDb評価:6.9/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★

2012年(第84回)米国アカデミー賞 外国語映画賞スウェーデン代表作品

beyond1.jpg夫と2人の子どもと幸せに暮らすリーナの元に1本の電話がかかってきた。もう何年も会っていない母からであった。会話することなく電話を切ったが、今度は病院からかかって来た。余命いくばくもない母が面会を希望しているという内容だった。リーナの脳裏には母との思い出が蘇る…。

監督は、「愛の風景(1992)」でカンヌ女優賞を受賞したペルニラ・アウグストの長編監督デビュー作。
「ペレ(1987)」「愛の風景(1992)」でパルムドールを受賞したビレ・アウグスト監督の元妻である。 
出演は、「ミレニアム」シリーズのノオミ・ラパス、夫役は当時実生活でも夫だったオーラ・ラパス、「ハンネス、列車の旅(1998)」のオウティ・マエンパー。

beyond2.jpg母との再会は過去との対峙であった。面会に行くかどうか悩むリーナの脳裏に浮かぶのは幼少時代の出来事。リーナの両親はフィンランド移民で、1970年代、家族4人でスウェーデン南部に引っ越してきたところから回想されていく。父親の虐待、母親のアルコール中毒、育児放棄といった家庭環境で弟をかばいながら姉としての役目を果たすリーナの苦悩が描かれ、なぜ母と疎遠になり、再会を拒むのか、弟と父親はどうなったのかが徐々に明かされていく。

現在幸せに暮らすリーナに暗い過去があったことは、子どもはおろか、夫ですらほとんどを知らず、リーナの心の奥底に封印されてきたこと。封印してきた出来事を思い起こすことでリーナの感情が爆発する。一人で悩み苦しむ姿を見て、夫婦関係にもヒビが入り始める。実生活での夫婦が本作でも夫婦役を演じているが、本作の撮影後にラパス夫妻は離婚している。ストーリーと事実が重なり、複雑な気持ちになってしまった。

現在の悩む姿と過去の出来事が入り混じった構成となっているが、ストーリーがうまくリンクしており混乱することはない。嫌な思い出はいつしか心の闇となり、つきまとう存在となる。過去は過去として受け止めることができなければ前に進むことはできない。過去と対峙することでのリーナの心境の変化がよく表現されており、初監督作とは思えない力量を感じる。ノオミ・ラパスの演技が素晴らしい。毎回違った役柄で完璧な役作りには関心させられる。

<観賞> 2012/4/18

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(未) I Am Dina <2002/スウェーデン=仏=ノルウェー=独=デンマーク> ★★★★

dina.jpg
I Am Dina
2002/125min/スウェーデン=仏=ノルウェー=独=デンマーク>
監督/脚本:オーレ・ボールネダル
原作:ハルビヨルグ・ヴァッスムー「Dina's book」(ノルウェーの汀の物語ディーナの愛 訳:佐々田 雅子)
出演:マリア・ボネヴィージェラール・ドパルデュー、クリストファー・エクルストン、ハンス・マセソン、マッツ・ミケルセンビョルン・スンクェストペルニラ・アウグスト
言語:英語
IMDb評価:6.4/10

映像美 ★★★★
ゴア度 ★★
哲学度 ★★

ノルウェー映画史上最高額の製作費(1億4400万ノルウェークローネ≒2100万米ドル)を投入した大作。第75回アカデミー賞外国語作品にもエントリーされた。ノルウェーで撮影しただけあって、フィヨルドの美しい景色に圧倒される。自然美だけでなく、時折盛り込まれている度肝抜く映像には驚かされるが、かなり私好みであった。
機械に袖を挟まれた娘を助けようとしたら熱湯を浴び亡くなってしまった母の死に様はあまりのインパクトに目に焼き付いて離れない。一線を画す美術装飾品は目にも鮮やかで、出演軍も国際性豊かで豪華。欲を言えば、台詞が英語ではないほうが雰囲気があっただろうに。
dina2.jpg
1860年代の北ノルウェー。少女ディーナは不慮の事故で母親を亡くししまう。ディーナを許すことができなった父親エドワードはディーナを屋根裏に監禁するなど厳しい人であった。
友人の薦めでディーナに家庭教師をつけるが、勉強よりもチェロの才能が花開き、その才能を認める父親の友人ジェイコフと結婚することになった。父エドワードは結婚に伴いチェロの家庭教師ロークにディーナの元を去るように頼む。しかし、去ろうとするロークに納得のいかないディーナは彼の首を絞めてしまう…。

dina1.jpgディーナは母の死を忘れるほど幼くはなかったし、父親の仕打ちもひどいものであった。そのトラウマが彼女を歪んだ性格にしてしまったようだ。
母を死なせてしまったことへの罪悪感、父に愛されない疎外感、父への不信感、反発。そして時折見る母の亡霊。娘の幸せを暖かく見守るというよりは、どこか抑圧的。ディーナは亡き母に恥じないよう、男に屈しない強かな女性を作り上げ、孤独をひたむきに隠していたようにも感じる。結婚して何か変わるかと思われたが、初夜も力づくで止めさせ、男に決して屈しない姿は貫いたままであった。

dina3.jpgそのジェイコフも結局は亡くなってしまった。ディーナは次々と周囲の男を虜にし、おして死に導いていく。全て母の因縁なのか。

正直、本作を通して何を伝えたかったのかよく読み取れなかったが、ディーナ役のマリア・ボネヴィーの演技が光る。野心家で、周囲の人々を支配する彼女の生き様を見事に演じ切っている。実際にノルウェー語、スウェーデン語、ロシア語、英語が話せるので、北欧映画には結構顔を出しているが、日本ではあまり知られていない?最も好きな女優さんの1人なので、もう少し注目度が高まってくれればいいのだが。

エンディングは2種類あるようで私が観たのはハッピーエンドではないほう。

<鑑賞> 2011/3/29
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