8 -Eight-
2008/100min/フランス
監督:
ガエル・ガルシア・ベルナル 、ミーラー・ナーイル、ジェーン・カンピオン、ヤン・クーネン、ヴィム・ヴェンダース、ガス・ヴァン・サント、アブデラマン・シサコ、ギャスパー・ノエ
社会度 ★★★★★
衝撃度 ★★★
2000年、国連ミレニアム・サミットで先進国が開発、貧困、人権、環境などの問題を改善するために8つの目標MDGs(Millennium Development Goals=ミレニアム開発目標)を掲げ、2015年までに達成することを宣言。本作は、設定されたの8つの目標をテーマに製作されている。それぞれの監督が、MDGsという「世界の約束」を果たすためにさらなる努力が必要であることを独自の方法論によって訴えかけている。
ゴール1:極度の貧困と飢餓の半減 『ティヤの夢』監督:アブデラマン・シサコ エチオピアの片田舎にある小さな学校では、生徒たちがMDGsに関する授業を受けていた。
「人間は平等でなければいけないのに、裕福な人は富を分け合うのを嫌う。」と発言した生徒はMDGsが達成されることはないと言う。子どもでありながら鋭い発言に胸が痛む。
ゴール2:普遍的初等教育の達成 『手紙』監督:ガエル・ガルシア・ベルナル 手紙を書き、新聞を読むなど、日常のごく当たり前のことを通して、教育こそが自由になれる唯一の方法だということを改めて考える。「学校に行かなかったらどうなるの?」という息子の問いに「読み書きができない」と答えた父親。「読み書きができないと何もできないね」と息子の発言に、義務教育の有り難さを改めて実感。
ゴール3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上 『How can it be?』監督:ミラ・ナイール 顔立ちからインド系の女性かと思ったら、イスラム教徒であった。男女平等ではないイスラム社会出身でありながら自由なアメリカでの生活をすることは葛藤も伴うであろう。これからは価値観に従って生きていこうとする彼女の決断はイスラム女性の希望でもある。勇気ある行動は事実に基づいているそうだ。
ゴール4:乳幼児死亡率の削減 『丘の上のマンション』監督:ガス・ヴァン・サント 自由な国アメリカの若者が暢気にスケボーを楽しんでいる映像を背景にメッセージが垂れ流されるだけだが、同じ地球の出来事とは思えないほどのギャップと衝撃がある。
・水質汚染で毎年180万人が死亡。
・発展途上国で殺菌消毒にかかる時間はたったの2時間10分。
・幼少時期においての死亡者はアメリカでは1000人中7人。シエラレオネ共和国では167人。
・途上国の水価格は先進国の5~10倍。
・アメリカの平均的摂取カロリーは3600kcalに対し、アフリカは698kcal。
・30秒に1人がマラリアで死亡。
私は海外の水で体調を崩し、ひどい目にあったことは何度もある。そして、東京の水道水も決してキレイだとは思っていない。入浴すれば塩素で肌は乾燥するし、もう何年も水道水は飲んでいない。蛇口をひねればいつでも可飲水がでてくること、水質汚染の心配がないことだけでも有り難いことということに気付いていなかった。
ゴール5:妊産婦の健康の改善 『パンシン・ブカのお話』監督:ヤン・クーネン 産気づく妊婦は村の女性たちの助けで出産をむかえようとするが、妊婦の状態は深刻であった。町の病院へ行くことを薦めるが、お金もなく、ボートもない一家には困難を極めた。お金がなかったがゆえの結末はあまりにもむなしい。
ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止 『エイズ』監督:ギャスパー・ノエ ブルキナファソのとある病院。HIVに感染した一人の男性がその経緯と危険性を語る。
軽い気持ちでバーの女性と関係をもった際に感染し、妻にまで感染してしまったと。大抵コンドームは使用していたが、必ずしもコンドームが安全だと限らないという。
・コンドームの保存方法が悪かったり、直射日光にあたったものは破れやすくなること。
・例え破れていなくても細かい穴からでもウイルスに感染する可能性があること。
・HIV-1患者がHIV-2に感染すると死を意味すること。
妻は既に亡くなり、今はもう誰とも関係をもっていない。心配はかけまいと、感染のことを娘たちには知らせていない。感染を知ってからは聖書を読み、宗教に頼るようになったという。浅はかな知識での性行為がどれほど危険なことなのか。
ゴール7:環境の持続可能性の確保 『ウォーター・ダイアリー』監督:ジェーン・カンピオン 11歳の少女はオーストラリアで発生した過去最悪の干ばつの間に起こった出来事や町人たちが見た夢を日記に綴っていた。子どもの見た夢にはユーモラスさもあるが、環境問題を気にはしながらもヘアスプレーを使う大人たちは矛盾だらけ。地球全体で取り組むべき環境問題は日常生活から見直す必要があるよに思えた。
ゴール8:開発のためのグローバル・パートナーシップの推進 『人から人へ』監督:ヴィム・ヴェンダース 2007年、G8サミットがドイツで開催された。世界的影響力をもつ指導者たちが約束を守らなかったことで街では抗議活動がおこっていた。一方で、報道番組の制作チームは関連ニュースの編集を行っていた。ここでも、番組側にとって都合のいいように編集されそうになっていた。
正直なところ、MDGsにはあまり興味はなかった。監督の顔ぶれだけが魅力で鑑賞したけれど、思っていた以上に考えさせられてしまった。とはいえ、日本人には他人事。日本が直面している問題ではないからこそ、まずは個人の意識改善が必要なのかもしれない。
<鑑賞> 英語字幕 2010/12/10
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