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競馬場へ行く道 <1995/韓> ★★★

競馬場に行く道
競馬場へ行く道/The Road to the Racetrack
1991/138min/韓国
監督/脚本:チャン・ソヌ(監督4作目)
原作:ハ・イルジ
出演:カン・スヨン、ムン・ソングン、キム・ボヨン   

社会度 ★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 ★
民族度 ★★★
韓流度 ★★★

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★


フランスから5年ぶりにR(男)が帰国した。フランスで3年半同棲していたJ(女)が空港へ出迎えに行く。1年ぶりの再会を持ち詫びていたRとは裏腹に、Jの表情は冴えない。Rはフランスにいた時のようにセックスを求めるが、拒否されてしまった。R一人をモテールに残し、Jは帰るが、翌朝、また車で迎えに来た。食事はするがセックスはひたすら断るJに飽き飽きし始め、Rは“競馬場に行く道”というタイトルの小説を書き始めることにした…。

監督は、「華厳経(かげんきょう)(1993)」「LIES嘘(1999)」のチャン・ソヌ。
出演は、「シバジ(1986)」「ハラギャティ(波羅羯諦)(1989)」のカン・スヨン、「グリーン・フィッシュ(1997)」「秘花 ~スジョンの愛~(2000)」のムン・ソングン。

競馬場に行く道12人は会って食事をし、決まってホテルへ行く。男は女を求めるが、女は寸前の所で拒絶し始める。“次会った時に”と言ってその場をしのぐが、何度会っても同じことの繰り返し。新しい男ができたのかと尋ねても、違うという女。一体何のために会っているのか男にはわからなかった。ところが、突然結婚するからもう会えないと言い出す。しかし男は諦め切れない。

実は男には妻子がおり、数年前から離婚を申し出ていたが妻は応じようとしない。帰国後真っ先に離婚の話を切り出すが、妻に分かれる気はさらさらない。一方、結婚を予定している女のほうも別れたくないと言い始める。しかし、セックスは拒み続ける。よりを戻したい男と、セックスを拒否する女の会話を延々と垂れ流すだけで、かなりストレスフルであり挑戦的な作品。

女は文才がなく、フランス留学時代に論文を男に書いてもらい学位を取得したという経緯があった。学位を取ってしまった今となってはもはや男は用無しであり、さっと手を切りたいのが本音なのであろう。韓国への帰国後セックスを拒む理由にも納得できる。男も妻との離婚に関わらず女と定期的に会えればいいと思っているはずである。最後の驚くべきどんでん返しへ向けて、人間のいやらしい側面を見事に昇華させていく。

本作を観ていて思ったのは、ホン・サンス監督の作風に似ているということ。世界的に評価されているホン・サンス監督だが、発表はむしろこちらのほうが先である。最後のどんでん返しで全てが納得のいく結論付けがなされている分、私はこちらを評価したい。

<観賞> 2012/6/10

[サイト内タグ検索] ムン・ソングン
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236. グリーンフィッシュ <1997/韓> ★★★★

green.jpg
초록 물고기/Green Fish
1997/114分/18歳以上
脚本:イ・チャンドン、オ・スンウク 
監督:イ・チャンドン[デビュー作]「シークレット・サンシャイン」「
助監督:チョン・ジニョン、オ・スンウク
撮影監督:ユ・ヨンギル
出演:ハン・ソッキュ、ムン・ソングン、シム・ヘジン、ミョン・ゲナム、ソン・ガンホ、チョン・ジニョン、イ・ムンシク  
IMDb評価:6.9/10

韓流度 ★★★★
暴力度 ★★
哲学度 ★★★

<あらすじ>
軍隊を除隊して故郷行の汽車に乗ったハン・マクトンは,汽車のデッキで風に飛んだミエのバラ色のスカーフを拾い,彼女をチンピラから助ける。マクトンは,スカーフを返すために訪れたあるナイトクラブで,歌を歌うミエと再会する。ミエは,ヨンドポ(永登浦)一帯を掌握した組織暴力団のボス,ペ・テゴンの情婦であり,彼を通じてマクトンの働き口を用意してくれる。マクトンは,ペ・テゴンの信任を一人占めするが,ミエとの不明瞭な関係は,危険な状況につながる。そんな時,ペ・テゴンの元ボスのキム・ヤンギルが現れる。ペ・テゴンは,全面戦争を避け,ミエを捧げまでしてヤンギルを避けようとするが,マクトンは,ヤンギルを殺害しようとする。

<レビュー>
生まれて初めて観た韓国映画を再観。当時は日本語字幕なんて存在しなかった時代。ろくに韓国語もわからないのに観れるだけでも有り難いと思いながら、喰いるように観ていたのが懐かしい。10年も経つと当時見えなかったものが見え、印象がかなり違う。再観してよかった。イ・チャンドンの監督デビュー作でもあり、当時、賞を総なめにした作品である。

軍隊を終えたばかりのごく普通の青年マクトン。都市化によって孤立し、バラバラになりつつある家族と昔のように一緒に暮らすというのが彼の夢であった。絶望の中で出会ってしまったヤクザ組織。家族意識の高いヤクザ組織はマクトンの目には自分の夢を実現しているかのように映ってしまったのではないだろうか。流されるがままに足を踏み入れ、忠誠を尽くそうともがく姿には迷いや戸惑いも滲み出ている。もぎこちない暴力シーンからは根っからの悪人ではないことがわかる。

グリーンフィッシュ(緑の魚)とは幼少時代の家族との良き思い出の象徴とされている。電話ボックスで泣き崩れながらグリーンフィッシュについて語るシーンが未だに名シーンと言われ続けるのも納得。かつて(今も?)「韓国ノワール映画の傑作」と評されたのも再観してようやく理解した。

テーマは家族の再生と崩壊。本作で描かれる家族とは「肉親の家族」のことでもあり「家族組織のヤクザ」のことでもある。情に厚い韓国らしい描き方。対極する二つの家族がマクトンを中心に再生と崩壊を描く。不条理でありながらも皮肉的な結末には全てが集約されており、死をも超越してしまっている。

大企業の地位を捨て俳優に転身したムン・ソングン。「知性派俳優」と呼ばれたり、「1000の顔を持つ男」とも呼ばれたりもするが、ほんとに次から次へといろんな役を演じている。本作のヤクザのボス役は、しゃべり方や歩き方、振る舞い方まで見事にこなしている。製作者としても参加しているそうだ。その他、ソン・ガンホなど大物俳優軍が名を連ねる。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/25
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192. 秘花 ~スジョンの愛~ 原題:お!スジョン <2000> ★★★

soojung.jpg
おぉ!スジョン 오! 수정/ Virgin stripped bare by her bachelors
2000/126分 白黒
脚 本/監 督: ホン・サンス 
助 監 督: パク・チャノク「パジュ
出 演: チョン・ボソク、イ・ウンジュ、ムン・ソングン
受 賞:
2000 第13回 東京国際映画祭/審査員特別賞 (Special Jury Prize)、特別言及賞 (Special Mention)
2000 第45回 アジア太平洋映画祭/脚本賞
2000 第1回 釜山映画評論家協会賞/最優秀作品賞,脚本賞
2001 第37回 大鐘賞/新人女優賞(イ・ウンジュ)
映 画 祭:
2000 第53回 カンヌ映画祭「注目するに値する視線」部門 公式招請
2000 第25回 トロント国際映画祭 コンテンポラリー・ワールド・シネマ部門
2001 第30回 ロッテルダム国際映画祭

<あらすじ>
1人の女性を間に置いた2人の男の三角関係を当事者それぞれの違った記憶から独特のスタイルで描いたホン・サンス監督の3番目の作品

妻の叔父が運営する小さなプロダクション会社のPDクォン・ヨンスは,家庭持ちだが,同じ会社のケーブルTV構成作家のヤン・スジョンと親しい仲だ。

ヨンスは, 映画を作るための金銭的な援助を受けるために,画廊を経営する富裕な独身の後輩キム・ジェフンの美術展をスジョンとともに見に行く。ところが,ジェフンは,初めて会ったスジョンに引かれ,頻繁に会うようになり,ついに真剣につきあってみたいと告白する。

情けなくて無能力なヨンスに失望したスジョンは,心を変えたのか,ジェフンに酒を飲むときだけの恋人になると話し,二人はますます近づく。

二人は,ますます近づいてセックスを試みた瞬間,ジェフンは,スジョンが処女であることを知って感激する。

<レビュー>
同じような映像、なのに微妙に違う描写に混乱しました。
当事者三人の記憶を元にしたということで、食い違う描写になった納得。
     第1部 「一日中待つ」 ジェフンの記憶
     第2部 「もしかしたら偶然」 ジェフンの記憶
     第3部 「宙づりのケーブルカー」 スジョンの記憶
     第4部 「もしかしたら意図的」 スジョンの記憶
     第5部 「相手さえ見つければ思いのまま」 第1部から第4部に続く完結編

助監督がパク・チャノクというのが興味深かった。「パジュ」は時間軸がはっきりしない場面が多く、この作品と通ずるものを感じた。
コンセプトを知らずの観たので、この場面さっき観たと勘違いをし、早送りをしてしまった。
途中で構成に気付き、見直したぐらいだ。

女性の視点(記憶)と男性の視点(記憶)を比較できるようになっている。
もうすでに曖昧になっている記憶なのだろうか?映像が食い違っているところが面白い。
人間とは、自分にとって都合の良いことだけを記憶し、悪いことは記憶から消去してしまう.
そして、自分にとって都合のいいように解釈する合理的な動物だということがわかる。
自分にとっては運命的な瞬間であっても、他人から見ればどうでもいいことだったり。

男女の脳の違いを理論的に証明しているかのよう。
人間の生体を鋭く描いているので、怖い作品でもありました。


[サイト内タグ検索] ムン・ソングン ホン・サンス監督
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181. 冬の小鳥 <2009> ★★★★

韓仏映画共同制作協定第1回作品。
韓国生まれのフランス人ウニー・ルコント(Ounie Lecomte)自身の経験に基づく物語。

yohennsya.jpg

旅行者/여행자/A Brand New Life / Une Vie Toute Neuve
2009/92分/ドラマ/12歳以上
脚本/監督: ウニ・ルコント 
制作者: イ・チャンドン「シークレット・サンシャイン
出演:  チニ:キム・セロン 
      スッキ:パク・トヨン
      イェシン:コ・アソン
      保母:パク・ミョンシン
      ク院長:オ・マンソク
      チニの父:ソル・ギョング 
      医師:ムン・ソングン
受賞: 
2009 第12回 ディレクターズ・カット授賞式 今年の新人監督賞(ウニ・ルコント)
2009 第23回 シネキッド映画祭 審査委員賞(ウニ・ルコント)
2009 第3回 アジア太平洋スクリーンアワード 最優秀子供作品賞(ウニ・ルコント)
2009 第22回 東京国際映画祭 アジア映画賞(ウニ・ルコント)
映画祭:
2009 カンヌ国際映画祭 非コンペティション部門

<鑑賞> 字幕なし 2010/5/12
<レビュー>
少女の視線の高さに合わせた撮り方。お父さんが一緒にいるのに、なかなか顔は映らない。映るのは後ろ姿や横顔のみでなぜか寂しそう。次の日「旅行」に行こうと言われ少女は胸を弾ませるが、行き先はなんと孤児院だった。
父親に捨てられた事実をなかなか受け入れられず、孤児院を抜け出すが、結局行き場もなくすぐ戻ってくる。その後も父親を信じ、待ち続ける姿には胸打たれる。

外国人夫婦が養子を探しに来ると、孤児たちは身なりを整え選ばれるのを願う。孤児にとって養子縁組が決まるかで運命は別れるからだ。養子縁組に出される孤児を仰げば尊しを歌って「旅行者」として見送るシーンがある。1人目の時は状況がわからず歌えなかったが、2人目の時はうれしそうに歌う姿が見られ、馴染んで行く様子がうかがえる。
「愛を知る前に、別れと出会った」少女。
徐々に自身の立場を悟り、環境に適応していく姿が鮮明に描かれています。

孤児院の美化や海外養子縁組の肉親捜しといった作品が多い中、孤児院の現状やそこでの生活における子供の葛藤を描いた作品は珍しく、興味深かった。韓国映画によくある同情を誘って泣かせるような作品ではなく、少女の自然な演技に引き込まれる。悲しいお話なんだけど、子供の適応能力の高さと希望的な結末がせめてもの救いだ。
監督自身の経験に基づくとのことで、これが現実かと思うと、いたたまれないですね。

制作にはイ・チャンドン氏も携わっている。出演者もかなり豪華だ。それほど注目されているということだろう。

木のない山」も環境の変化に葛藤する子供を描いています。
こちらのほうが細部にこだわっていて、完成度は高いように感じた。



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