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(未) The Escape <2009/デンマーク> ★★★☆

escape.jpg
Flugten/The escape
2009/114min/デンマーク
ドラマ、スリラー
監督:Kathrine Windfeld
脚本:Rasmus Heisterberg、Mette Heeno
出演:イーベン・ヤイレ、ラース・ミケルセン、Faegh Zamani、ソニア・リクターヘンリク・プリップミケール・ビアクケーアSarah Boberg
言語:英語、デンマーク語、アラビア語
IMDb評価:5.9/10

緊迫度 ★★★
社会度 ★★
ゴア度 ★



escape2.jpgアフガニスタンを取材中の女性ジャーナリスト、リッケはタリバンに拉致された。犯行声明文には1日1本の指を切り落とすとあり、その通りに左手の小指を切り落とされてしまう映像がデンマークにも流れる。その役目を任されたのが見張り役のナジールであった。英語ができるナジールはリッケと過ごす時間が多く、情が湧いてしまっていた。彼女の指を切り落とす任務に耐えられず、リッケに石で頭を殴らせ、そのスキに逃げられたという狂言まででっちあげ、リッケを解放させてしまう。
軍事専用機で無事にデンマークへ戻ったが、待ち構えていたのは自力で脱出したことに興味があるマスコミであった…。

テレビドラマを専門とする監督さんで、おそらく映画は初。ラース・ミケルセンの割と最近の映画を3本観たが、本作が一番いい。そして、ナジール役のFaegh Zamaniがとっても印象的。魅力的で綺麗な目がプロットとして使われている。他に出演作がないのか、英語で検索しても本作以外の情報が何もでてこない。人気出そうな、いや、出て欲しい青年。

escape1.jpg1人暮らしのリッケは家に戻ると、心配していた元交際相手トーマスからの留守電が何件も入っていた。戻ったら電話をくれと伝言が入っていたが、一度も返さなかったのは、弱さを見せたくなかったからなのか。一方、トーマスのほうはやっとリッケの大切さに気付いたようで会社にまで押し掛け、復縁を迫る。リッケは妻子がいると知っていながら、トーマスの腕に抱かれながらアフガニスタンでの恐怖に初めて涙するのであった。

ジャーナリストという職業柄、“自力での脱出劇”本を出版することになってしまったリッケ。脱出は狂言であり、もちろん全て嘘で固めた話であり、どうせ真実が明るみになることはないだろうと思っていたのである。ナジールが亡命し、自分を頼りにデンマークに向かっているとは露とも知らずに。

「The Escape」というタイトルなのに随分呆気なく脱出できたと思ったら、タリバンからの脱出劇だけではなく、ナジールが国から逃げてきたこと、不法入国者であるナジールを追ってくる警察から逃げること、そして、真実が明るみになることから逃げること、いろんなescapeが含まれている。

デンマーク映画にはないタイプのスリラーで、展開が全く読めず、“不倫”という嘘や“自力での脱出”という嘘がボロボロと剥がれ落ちてゆく様は面白い。不倫相手に対する奥さんの対応は大人で関心させられた。個人的には不倫話をもう少し膨らまして欲しかったのと、もうちょっと核心に触れたところまで見せて欲しかった。脱出方法は実は狂言だったというのをオチにしても面白かったように思う。なんか一歩足りないのが残念。

<鑑賞> 英語字幕 2011/6/26
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(未) Worlds Apart <2008/デンマーク> ★★★★

world.jpg
To verdener/Worlds Apart
2008/116min/デンマーク
ドラマ
監督/脚本:ニルス・アーゼン・オプレウ(Niels Arden Oplev)
出演:Rosalinde Mynsterピルウ・アスベックJens Jørn SpottagSarah Boberg
受賞:2009年デンマークアカデミー賞 助演男優賞、助演女優賞、編集賞
第81回(2009)アカデミー賞外国語映画賞デンマーク代表作品
IMDb評価:7.1/10

宗教度 ★★★★★
哲学度 ★★★

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のニルス・アーゼン・オプレウ監督の前作にあたる作品。
エホバの証人について詳しくはこちら



world2.jpg“エホバの証人”の娘として育てられた17歳のサラは、友人とクラブに行く。そこで、ある男性ティスと知り合い、家族に内緒で付き合うこととなった。うっかり終電に乗り過ごしてしまい、彼の家に泊ったことが父親にバレてしまった…。禁じられている性行為はしておらず、添い寝をしただけだったが、非“エホバの証人”宅で一夜を明かしてしまったことが問題となる…。

世俗に生きるか、宗教に生きるか…
恋愛と宗教の板挟みとなる少女の葛藤を描くことで、“エホバの証人”の実態も浮き彫りにしている。登場人物のほとんどが“エホバの証人”であるが、破門された実兄と非“エホバの証人”の彼氏ティスを据えたことで、客観的に映している。
world1.jpg
・選挙権を行使しない
・輸血の拒否
・誕生日を祝わない
・兵役拒否
・セックスはしない

禁止とされる事項を会話やエピソードとして自然に織り込むことで、“エホバの証人”の実態がよくわかるようになっている。特に“輸血の拒否”に関するエピソードが印象深い。
実兄の破門の理由は“そぐわない本を読んだ”からであった。本の内容は詳しくは言及していない。

破門した者は、家族との会話や食事も認められず、家を出なければならない。道で偶然会った場合でも挨拶することすら禁じられている。実際に、空気のように無視される場面もある。
家族意識が強い集団であるゆえ、宗教で結ばれた絆は強いが、その分、宗教で切り離された親子の縁は残酷である。「愛している」と言いつつ、「家族よりも神(エホバ)のほうが大事だ」とはっきり父親は言っている。“宗教とは何か”“家族とは何か”という自問が徐々に促されていく。親は子に何を教えるべきなのか、何を価値観として生きるべきか、観終わった後そんな問いが心に響いてきた。

world3.jpg結末に触れています。
彼へ別れの手紙を送り、教団へ反省文を書いたことで外泊のお咎めは免れたサラ。高校を退学し、伝道師になることまで決意したが、やはり彼のことが忘れられず、同棲を始めてしまう。結果、教団にバレ、サラも破門処分を下されてしまった。家族に会うことも話すことも許されず、悩み苦しむ姿があった。しかし、葛藤の末、彼女は故郷を去り、ヘルシンキで復学することを決意した。
実話を基ににしており、モデルになっているサラ本人は最後の列車のシーンで登場する。ヘルシンキ行きの列車に乗り込んできたサラに微笑むだけの登場だが、この笑顔は幸せいっぱいな笑顔だった。
その後、家族には会っていないと補足説明が入った。笑顔が本物の笑顔であったこと、再び家族に会えることを願いたい。

<鑑賞> 英語字幕 2011/6/10
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