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(未)重さ <2012/韓国> ★★★

the weight
Weight
2012/107min/韓国
ドラマ
監督/脚本:ジョン・キュファン
出演:チョ・ジェヒョン、パク・チア
IMDb評価:6.6/10


社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 ★★
官能度 ★(ヌードあり)
民族度 ★★
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★ 


the-weight1.jpg 主な舞台となるのは、地下にある死体安置所。主人公の働くところである。運ばれてきた遺体を拭いて、綺麗にお化粧をして、棺桶に入れ、新たな旅立ちに備えるのが彼の仕事である。一方、彼の弟は女性になることを願い女装をしているが、まだ性転換手術は受けていない。生と死の狭間で揺り動く兄と女性と男性の狭間で揺り動く弟を描く。

二人は孤児院出身であり、幼少時代に養子に出されている。その時のトラウマも含め、幼少時代のフラッシュバックを効果的に挿入している。何と言っても本作の特徴はアート的な映像美。安置所での仕事風景ですら、魅せられる。人間の欲望をも巧みに映像化している。

the-weight2.jpgタイトルは“重さ”。おそらく生や性の重さのことを言っているのであろう。重い題材でありながら、明るいタッチで描いたブラックコメディー。「おくりびと」と比較している海外の記事をいくつか目にしたが、主人公の職業が似通っているだけで、共通点は一切ない。本作は明確なストーリーどころか、人間の欲望・愛・孤独を抽象的に、しかしながらユーモラスに描いた作品である。

注目すべき点は、キム・ギドク作品でお馴染みだったチョ・ジェヒョン、パク・チアの二人を主演に迎えた点でもある。本作の作風はギドクというよりはフィンランドのカウリスマキに近いドライなブラックコメディーだが、全く異なった作品での二人の共演も興味深い。

2014/6/8
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(未) 証 <2011/韓> ★★★★

証
A confession
2011/96min/韓国
ドラマ
監督/脚本:パク・スミン
出演:クォン・ヒョクプン、イ・ジュスン、イ・デヨン

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★★
宗教度 ★★★★★
官能度 なし
民族度 ★★★★
ゴア度 ★★

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★★


初老で一人暮らしのパク・トンジュンは友人の女性に教会で一緒にお祈りをしましょうとずっと誘われている。トンジュンはキリスト教信者であるが、今まで一度も教会へ出向いたことがない。ところがチラシを見ると、かつて一緒に仕事をしていた男が牧師になり、講演が予定されていることを知った。ずっと避けていた教会へ足を運び、その男に会うことにした…。

監督は、本作がデビュー作となるパク・スミン。
出演は、ポン・ジュノ作品に数多く出演しているクォン・ヒョクプン、パク・チャヌク作品でお馴染みのイ・デヨン。

証1無名監督のデビュー作、しかも独立映画でありながら、中堅実力派俳優が2人も出演していることに驚き、真意を自分の目で確かめてみることにした。

裏社会で日雇い暮らしをしているトンジュン。熟年カップルの恋愛話が静かに始まったかと思うと、現在と過去が行き来し、過去との対峙やトンジュンの葛藤が中心に描かれる。教会へ誘ってくれる女性と一緒にいる時だけ穏やかで、仕事となると人柄がまるで違う。一見するとどこにでもいるような初老トンジュンは一体何者で、過去にどんな罪を犯してきたのか、なぜ今のような生活をしているのか、サスペンス調に明かされていくが宗教的に紐解かれていくゆえ、解釈が難しい箇所も多く、語るのも難しい作品。この先、何度か観て理解を深めていく必要があるだろう。

ストーリーの核となる人物はトンジュン、元仕事仲間で牧師になった男、友人女性の息子の3人。
何らかの罪を犯した人物であり、それぞれの立場や視点で罪への意識が語られていく。

証2“罪と許し”をテーマとし、3人を通して伝わってくるのは、“罪を犯したら、誰が許すのか?人間なのか、神なのか。”“過去に犯した罪が祈りで救われるのか?”という問いかけ。祈りで救われると思っている者、自分には祈る資格すらないと考える者、3者3様の答えが提示される。

神が人間を見放したのではなく、人間が自分自身を見捨てたという事実が説得力をもって描かれる。結局は、事を解決するのは宗教ではなく、自分自身であるということ。それに気付かない者は地獄に落ちる現実の残酷さ。観るだけでもかなりのエネルギーを要した。これがデビュー作だとは信じられない完成度はイ・チャンドン監督「シークレット・サンシャイン(原題:密陽)(2007)」を彷彿とさせ、それ以上に挑発的で野心的。一般的に好まれる内容でもなければ、共感できる要素も一つもない。説明不足と思う部分も多いのだが、その分引き寄せられ完全にのめり込んでしまった。内臓を引っ掻きまわされる感覚、久々に味わった。

<観賞> 2012/8/12


[サイト内タグ検索] 日本未公開

愛人 もうひとりのわたし (原題:バニッシング・ツイン) <2000/韓>★★

twin.jpg愛人 もうひとりのわたし/배니싱 트윈/Vanishing Twin
2000/93min/韓国
ドラマ、恋愛
監督/脚本:ユン・テヨン
脚本:ソン・ドス
出演:チ・スウォン、ク・ピル、キム・ミョンス、シン・ヒョンジュ、イム・ジウン

社会度 なし
哲学度 なし
宗教度 なし
官能度 ★★★
民族度 ★
邦題のセンス ダメ。愛人って何?

脚本 ★ 
演出 ★★
演技 ★

twin1.jpgユジンは弁護士の夫と6歳の娘ミンジと幸せに暮らしていた。姉はアメリカに暮らしており、夫にもまだ紹介していなかった。その姉夫妻が久々に韓国に帰国するという。嬉しい反面、何か不安を感じるユジンだったが、夫はやっと姉と会えることを心待ちにしていた。ところが、義兄ジノが1人で帰国し、姉は自殺したと告げられる。やがて月日は経ち、友人がチャット相手から聞いたという狐の話を話し始めた。それはユジンが姉から聞いた話と同じであった。姉との関係を直観したユジンはその男性とコンタクトを取り始め、姉の自殺の原因を探り始める…。

監督は、イム・グォンテク監督やパク・チャヌク監督の助監督を経て本作がデビュー作となるユン・テヨン監督。出演は、「トゥー・カップス(1993)」「愛するのにいい日(1995)」のチ・スウォン、本作が俳優デビューとなるモデル出身のク・ピル、「Mirror 鏡の中(2003)」キム・ミョンス。

twin2.jpg原題“バニッシング・ツイン”とは、妊娠中、双子のうちの一人が子宮内で消えてしまう現象を表す医学用語だという。双子の姉の自殺の謎を探るにつれ、秘められた過去が明らかになるという心理ミステリーで、“バニッシング・ツイン”が紐を解く鍵となる。あまり知られていない医学用語に基づくアイデアはすごく面白いと思うのだが、サブストーリーやキャラクター設定が曖昧。
姉の夫の存在やチャットの相手が警察に追われている理由など、濁したまま収束し、闇に葬った感は否めない。

現実なのか妄想なのかを曖昧にさせる心理ミステリーのほうが面白味が増したようにも思えるが、セックスシーンの多さを負担を感じてしまった。製作はセックスを主体とした低予算映画を得意とするY2シネマ。監督と製作側の意向の違いがそのまま作品に反映されてしまったようだ。

<鑑賞> 2012/3/10
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異魚島 <1977/韓> ★★★

iodo.jpg異魚島/이어도/Io Island
1977/110min/韓国
ドラマ
監督:キム・ギヨン
出演:イ・ファシキム・ジョンチョルパク・チョンジャパク・アム、クォン・ミヘ、チェ・ユンソク   
IMDb:6.2/10
第28回ベルリン国際映画祭出品作品

社会度 ★★★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
民族度 ★★★★
鬼才度 ★★★
脚本 ★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★

iodo1.jpg現在…
ソウルの観光会社は済州島に新たな観光ホテルを建設した。そのキャンペーンとして記者たちを乗せた行き先不明の観光船が出港された。船に乗って告げられた行き先は“異魚島”。済州島の近くにあり、異魚島を見ると帰ってこれなくなるという伝説があった。その伝説の真相について乗客の2人は口論になっていた。すると、その1人ナムソクが失踪するという事件が起こった。チュンギョルは参考人として警察の事情聴取を受けるが、証拠不十分のため一旦釈放される。自らの容疑を晴らすため、ナムソクの出身地を訪ね、失踪原因と異魚島の伝説について調べ始める…。

回想…
男たちは漁に出たきり、船は帰ってこず、ナムソクは島唯一の男性となっていた。自分もこのままでは異魚島に命を取られてしまうと恐れたナムソクは恋人に必ず戻ると言い残し、島を去っていた。ソウルで大学を卒業し、アワビの養殖を始めるために帰郷する。一度は成功するものの、環境汚染で全滅し、繁殖方法を模索するが、ままならず、またソウルへ戻り新聞記者を始めていた。そして、観光船で失踪してしまった…。

監督は韓国映画界を代表する怪物キム・ギヨン監督の22作目。ギヨン監督には珍しい文芸作品。鬼才度は低めだが、医学の道を歩んだ経歴を感じさせる生物学的なテーマであり、私を虜にさせた一本である。
ギヨン作品の多くに出演し、眼力のあるイ・ファシパク・チョンジャが酒場役とムーダン役を演じ、ハマり役。癖のありすぎるキャスティングも見どころであり、タイトルに“女”が入っていないが、女性の苦悩をとことん掘り下げている。

iodo2.jpg失踪したナムソクは済州島近くの小さな島の出身であり、チョンギョルともう1人の男性はその島を訪ねた。生前のナムソクを知る人たちを一軒一軒訪ね、聞き回るうちに、ナムソクの過去と異魚島伝説が明らかになるというミステリー作品。
失踪原因の謎解きが主軸となり、男たちはどうなったのか、ナムソクの恋人は誰だったのか、恋人はその後どうなったのか、女たちの生活ぶり…など、現在と回想、幻想が入り乱れた構想になっており、あまり観客にやさしい作品ではない。映画字幕による2度目の鑑賞だが、あまりにも壮絶な人間ドラマなため、どれも現実とは考えにくく、どこからが幻想なのか自分なりの解釈に至っていない。

済州島同様、漁業が盛んな島であり、女たちは海女として海に潜り、男たちは漁船に乗って漁にでて生計を立てていた。しかし、漁に行ったきり船は帰ってこず、ナムソク1人を残し島に男はいなくなってしまっていた。島に残された女性たちは“異魚島”を見たから戻ってこれないという伝説を信じ込んで暮らしていた。長い部族社会で生きていたムーダン(巫女)の伝統と伝説が作り出した歪んだ社会を背景としている。

テーマは、“繁殖”。チュンギョルの妻は不妊に悩んでおり、精子を冷凍保存し、人工授精するというエピソードが冒頭から使われている。ナムソクの出身島でも男不在のため、子孫繁栄に苦しめられていた。子孫繁栄のために連れてこられた男性たちは、ムーダンから海女を数人ずつ割り当てられ、妊娠させる対価として彼女らの稼ぎで遊んで暮らしている。監督自身も妻から経済的援助を受けながら映画製作をしていたということもあり、やはりギヨン作品での男女の立場は普通の視点とは違う。女たちが男を求め、奪い合う姿は執念というより女性同士の意地のようにも感じるが、子を授かることができず、いわば女性としての役目を果たせない女性たちの苦悩を掘り下げている。アワビの養殖が環境汚染のために失敗し、新たに模索する姿も、そんな苦しむ女性たちの苦悩を反映させている。

印象的なのがムーダンの存在である。島での重要事項は全てムーダンの祈りによって取り決められ、翻弄されている女性たちの姿が強烈に描かれている。パンソリの力強い歌声がストーリーを引き立てていて、何よりも生命力の強さを感じさせる赤のチョゴリが艶めかしい。

<鑑賞> 2010、2012/3/13
初版:2010/6/20
最終版:2012/3/15

265. 愛してる、愛してない <2011/韓> ★★★★

愛してる
愛してる、愛してない/사랑한다, 사랑하지 않는다
2010/韓国
ドラマ
原作:井上荒野(いのうえあれの)「帰れない猫」
監督:イ・ユンギ(監督5作目)
出演:イム・スジョン、ヒョンビン、キム・ジス、キム・ジュンギ、キム・ヘオク、ハ・ジョンウ


共感度 ★★
哲学度 ★★
社会度 なし
余韻度 ★★★



日本に出張に行く彼女ヨンシンを空港まで見送る車内、ヨンシンは平然と「家を出ていくわ」と切り出す。ある程度予測していたのか、「新しい男ができたのか?」と聞き返す彼氏ジソクに対し、ヨンシンは「知ってたでしょ」と切り返す。ヨンシンの新しい彼氏が迎えに来る日、ジソクは彼女のために最後のおいしコーヒーを入れてあげる。そして、大事にしていたマグカップを丁寧に梱包し、荷造りを手伝う。最後の食事のためにレストランを予約したが、猫が家に迷い込んでしまい、それを理由に家で過ごすことになった。そして、夕食にパスタを作り始めたが…。

愛してる1本国よりもヨーロッパで高評価のイ・ユンギ作品。平 安寿子「アドリブ・ナイト」「素晴らしい一日」に引き続き、日本の小説を原作としている。出演はほぼ2人のみ。(私が大好きでお目当てのハ・ジョンウは声のみの出演だった。)演技力なしでは到底間が持たない危険をはらんでいるわけだが、非常に奥深い作品に仕上がっている。演技に定評のあるイム・スジョンはもちろんのこと、ヒョンビンがここまでやるとは驚いた。本作を最後に入隊してしまったが、除隊後の活躍には注目したい。

顔色を覗うとか行間を読むといった監督独特の間が重要な役割であり、監督のスタイルを知らずにヒョンビン目当てで観てしまうと多くの人が睡魔に襲われてしまうでしょう。別れを切り出す序盤の車のシーンを過ぎてしまうと、台詞は極端に少ない。舞台となるのは2人が暮らす家の中のみで、生活音しか聞こえない。ラジオやテレビから流れるニュースもストーリーに関連しており、聞き逃せない。

荷造りをしながら共有した空間や思い出に思いをはせる2人。アルバムなど効果的に使い、回想シーンに頼ることなく2人が寄り添った月日を感じさせる演出がなされている。一度は別れを切り出したものの、「愛してる、愛してない、愛してる、愛してない…」と自分に問いかけ、答えを出そうとしているヨンシンの葛藤が静かに描かれる。

愛してる2タイトルの日本語訳は“愛してる、愛してない”が自然だが、サランヘヨ(사랑해요)ではなく、サランハンダ(사랑한다)が使われているところに注意すべきだろう。直訳は、“愛してるんだ、愛してないんだ”のほうが近い。「愛してる、愛してない…」と花占いで花びらを一枚づつめくるのではなく、「愛してるんだ。いや、愛してないんだ。いや。愛してる。…」と自身に言い聞かせ、もう一度思い悩む姿が感じ取れる。

声を荒立てて怒ることなく、いたって冷静なジソク。共に過ごす最後の日をいい思い出にしようと取り繕っていたように思う。一方、引き止めてもくれないジソクへの苛立ちを隠せないヨンシン。女って否定して欲しくて思ってもいないことを口走ってしまうことがよくある。「好き」って言って欲しくて、わざと「嫌いになった?」って聞いてみたりね。男女の違いがよく表現されているのが興味深い。

2人の沈黙を埋めるかのように降り続ける雨が切ない。原作「帰れない猫」(未読)の名残を感じさせるかのように猫も登場し、ヨンシンの心境を暗示させ、結末は観る側の解釈に委ねている。

印象的なのが、少ない台詞の中で頻繁に使われていた「ケンチャナヨ(괜찮아요)」という台詞。日本語に訳してしまうと“大丈夫”なのだが、ジソクが頻繁に使っていた“ケンチャナ”の一言一言にはもっと奥深いニュアンスがあり、懐の厚さや気遣いを感じさせてくれる。

<鑑賞> 2011/10/22

257. アリラン <2011/韓> ★★★★★

arirang.jpg
Arirang
2011/100min/韓国
ドキュメンタリー
制作/監督/脚本/出演/編集/音楽:キム・ギドク
IMDb評価:7.3/10


衝撃度 ★★★★★
哲学度 ★★★★
社会度 ★★★


第12回(2011)東京フィルメックス・オープニング作品として決定しました。配給ついてますね。公開されることをほんとにうれしく思う。(2011/9/15)


2008年の「悲夢」の後忽然と姿を消してしまったキム・ギドク監督。本作はその3年の沈黙を破り、突如カンヌ映画祭「ある視点」部門に出品し、賞まで撮ってしまった衝撃作である。「2008年の『非夢』以後映画を撮れなかったが、私が私を撮るためにドキュメンタリーでもありドラマでもありファンタジーでもあるこの作品を撮った」と監督ご本人は劇中紹介されている。3年もの間、映画を撮れなかった決定的な理由が述べられ、自身の15本の映画を振り返りながら、“映画とは何か”を問答形式で解いていく監督初のドキュメンタリー作品。

arirang1.jpg監督自らが書き上げた脚本をご本人が演じ、監督、制作、映像、音楽も全て自らが担当している。それゆえに特殊な作品であり、過去の15作品とは全く異なるスタイル。山奥に1人引きこもり、自給自足の生活を送りながら、このままでいいのかと叱咤激励する叱るキム・ギドクと、傷つき情熱を失ったキム・ギドクの対談形式になっている。そして、それを冷静に見つめる傍観者キム・ギドクの1人三役。とてもユニークな構成になっている。質素ながらどことなくこだわりの感じられる食事。エスプレッソマシーンまで作ってしまう器用さはさすが。私も機械いじりや分解が好きなので、かなり興味深かった。

「アリラン」とは韓国で古くから愛されている民謡で、旅人が峠を越える時の辛さと困難を歌ったもので、監督ご自身がこの3年間経験した苦悩を重ね合わせている。“「アリラン」は辛い時悲しい時淋しい時に韓国人が歌う民謡であり、この歌を歌うと自分の思いが全て理解できるような気がする。”と語る監督は時折、目に涙を浮かべ、カメラ目線で熱く語る思いに私も自然と何度も涙した。1人三役を演じることで、客観的に自身の心境を分析し、告白してしまうとは、やはり監督はタダ者ではない。
叱咤激励するキム・ギドクは待ち望むファンそのものであり、ファンが知りたいことを全て質問してくれている。その期待に応えられず弱気なキム・ギドクを見るのはあまりにも辛かった。ギドク作品はいつも何度観ても痛みを伴うが、本作は拳銃で心臓を撃ち抜かれたような痛みを感じ息苦しい告白であった。

arirang2.jpgファンの方なら、“今まで何してたの?”“何があったの?”“次回作は?”と気になっていることでしょう。2人のキム・ギドク対談という形で、この3年間の心境や今後のことが包み隠さず語られる。その中でも韓国で波紋を呼んでいる“3年間映画を撮れなかった決定的な理由”が一番のメインであろう。2008年の「悲夢」当時、女優の意図せぬ事故と後輩映画監督の裏切り行為など、実名暴露で語られている。本人ならずとも、かなり衝撃的な暴露内容であるが、それ以上に監督らしいブラックの効いたものすごい強烈な結末に導いている。実名暴露された監督の心中察するに余るものがある。そして、韓国映画界を真正面から批判した発言も含まれている。本作では言及していないが、制作作品「豊山犬」での新しい制作方法(収益がギャラとして支払われるシステム)が裏付けとなるであろう。無言の韓国映画界への批判と取れる。

語られるのは批判ばかりではない。キム・ギドクの思想や哲学も語られ、ファンならば満足度の高い作品。集大成として観ることもできる。
カンヌ映画祭での本作の上映の様子を動画で観たが、ヨーロッパでは絶大な人気を誇るだけあって、上映前から爆発的な拍手で迎えられていたことをうれしく思う。“面白くないと言われても映画を撮りたい。映画を撮っている瞬間が一番幸せなんだ。”と前向きな発言に新作での帰還が待ち焦がれる。
過去に撮った15作品のこと、出演俳優などについて語られるため、観たことのない人には退屈そのもの。
ギドクファンしか観ないであろう作品だが、数作品観て苦手意識を持っている方にもぜひとも観ていただきたい。きっと印象が変わるであろう。

なお、本作は問題作とされ、韓国での公開は今のところ予定されていない。内容を加味すると日本での集客は見込めないであろう。映画祭あたりの公開に留まってしまうか。

<鑑賞> 字幕なし 聞き取り80% 2011/8/19、28
[サイト内タグ検索] 日本未公開 キム・ギドク監督

115. 受取人不明 <2002/韓> ★★★★★

unknown.jpg受取人不明/수취인불명/Address Unknown
2002/117min/韓国
ドラマ
脚本/監督:キム・ギドク (監督6作目)  
出演:ヤン・ドングン、パン・ミンジョン、キム・ヨンミン、チョ・ジェヒョン、パン・ウンジン、ミョン・ゲナム
受賞: 
2001 第2回 釜山映画評論家協会賞 助演男優賞
2001 第21回 映画評論家協会賞 新人男優賞、脚本賞
2002 第39回 大鐘賞/助演女優賞
IMDb評価:7.3/10

ゴア度 ★★★★
社会度 ★★★★
哲学度 ★★


unknown2.jpg黒人との混血児チャングクは,犬商人の仕事の手伝いをしながら,西洋人相手の娼婦だった母とたった二人で,村はずれの真っ赤なバスの中に暮らしている。
チャングクの母は,いつか米国にいる夫が自分たちを迎えに来てくれると信じて手紙を書くけれど,手紙はいつも受取人不明(Unknown Address)という真っ赤なスタンプが押されて戻ってくる。
幼い時,兄さんが射ったおもちゃ銃に当たって片方の目をなくしたウノクは,米軍病院で目の治療を受ける希望を抱いて,英語の勉強に熱中している。
村には,ウノクが好きな慎ましい少年チフム,ユギオ(6.25)勲章に執着するチフムの父,そしてチャングクを困らせる血も涙もない犬商人ケヌン(犬目)などが暮らしている。@innolife

1970年代、米軍部隊と隣接した田舎の村を舞台に、黒人混血児として差別を受ける青年と兄のいたずらで片目を失った少女、そして気が小さくいじめを受ける青年の3人の物語を中心にストーリーは展開していく。彼らの日常生活を通して、米軍基地、人種差別、6.25(ユギオ)戦争の傷跡など、韓国社会の闇における問題を浮き彫りにすると同時に、人々が社会に翻弄され、理不尽な運命に身を沈めていく様を描いている。両親の生き方を否定しながら翻弄されていく姿、アメリカを否定しながらも依存せざるを得ない状況など人間の矛盾に焦点を当てている。相変わらず奇抜な描き方をしており、観る者を選ぶが、着眼点はギドク作品の中で最も普遍的であり、最高傑作だと思っている。7割が実話を基にしているからか、かなり現実味を帯びている。3割の脚色部分も見分けがつかない。

unknown1.jpg海外での上映も視野に入っていたであろうに、韓国特有の食文化である犬をあっさり題材にしてしまうとは監督らしい。世代による犬に対する考え方の違いを映すことで時代の変化を演出している。犬を撲殺するシーンは叩く音や犬鳴き声、水たまりに滴る鮮血を見せるだけで直接描写はないが、ギドク監督らしい演出は見るに耐えられない。愛犬家の方にはかなりきついとは思うが、家畜だと思って割り切ってみるしかない。

若者3人を中心とした人間関係は複雑に絡まり合い、追い打ちをかけるかのような悲劇の連続は圧巻。緻密に計算された詰め込まれた脚本には脱帽。台詞はストレートだが、抽象的な描写も多い。伏線が多く、観る度に新発見があり、今回もハッとさせられた。“受取人不明”とは手紙のことだけではなく、自分を受け入れてくれる人がいないことも比喩している。観れば観るほど“受取人不明”の意味が深い。

ペットの犬と食用犬、弓と銃、韓国人とアメリカ人、支配する者と支配される者、アメリカに依存する若者と朝鮮戦争の栄光にすがる老人、母を殴れても犬を殺せない青年といじめで暴行される青年、朝鮮戦争で亡くなった夫の年金を頼りにする母と自分を捨てアメリカへ帰った夫を待つ母、そして、希望と絶望。対比するような描き方が面白い。
ギドク作品は、特定の小道具を効果的に使うことが多いが、本作では“受取人不明”のスタンプ、バス、弓の的、母の服、鮮血、そして「赤の家族」といった赤が印象的に使われている。おそらく“朝鮮”を象徴しているのだろう。混血児のチャングクがいじめっ子2人に対する台詞に「お前らみたいなアメリカかぶれがいるから韓国がダメになる。」という台詞の通り、朝鮮戦争やアメリカへの怒りや苛立ちが込められ、この悲劇は現代社会にもいまなお引き継がれていることを危惧している。彼らの生活なんか関係なく空を飛ぶ米軍機があまりにも切ない。

私の解釈にて結末に触れています。
死んだ息子チャングクを家に連れて帰る母。あたかも赤ん坊をあやすかのように抱きかかえているが、形や大きさから推測して、おそらく死んだ息子の頭部であろう。そして、直前に何かを食しているシーンがあった。ストーリーの流れから、食べていたのは息子の人肉と考えるのが妥当であろう。お腹を痛めて産んだ我が子を再びお腹に戻すことで“身元引受人”になったのだろうか。そして、その後焼身自殺をするのであった。

そして、最後の手紙。夫の知人からではあったが、結局受け取ることなく、真実を知ることなく死んでしまった母。結局、手紙は“受取人不明”になってしまった。

<鑑賞> 英語字幕2010/1/11、英語字幕2011/8/23
初版:2010/1/13
最新版:2011/8/25

234. アジョシ (原題아저씨)<2010/韓国> ★★☆

ojisan8.jpg
2010/119min
おじさん/아저씨/This Man
脚本/監督:イ・ジョンボム 
出演:ウォンビン母なる証明」、キム・セロン冬の小鳥

残虐度 ★★★
映像美 ★★★
感動度 ★★
催涙度 ★★

<あらすじ>
不幸な事件で妻を失い,世の中に背を向け,質屋を切り盛りし,寂しく暮らしている元特殊要員テシク。訪ねてくる人は,質屋に物を預けにくる人々とお隣り少女ソミだけだ。世の中から捨てられたソミとともに送る時間が多くなり,テシクとソミは,互いに心を開いて友だちになっていく。そんなある日,ソミが急に消える。ソミの母が犯罪事件にかかわり,一緒に拉致されてしまったのだ。ソミの行方を追ってまた世の中の外に出てくることになったテシク。たった一人の友だちのソミを危険から守るため,犯罪組織とある種の取引きをする。しかし,ソミの行方は相変らず不明で,警察がテシクを追いかけ始め,テシクは,犯罪組織と警察の両方の追撃を受けることになる。そして,その過程で,ベールに包まれていたテシクの秘密の過去もあらわれ始める。

<レビュー>ネタバレなしです。
ボサボサ頭でも仏頂面でも、いつでもどのシーンでもウォンビンはかっこよくて、まるでウォンビン宣伝映画。
ウォンビンウォンビンfanのためだけに作られたウォンビン映画でした。
冬の小鳥」のキム・セロンちゃん以外はほとんど無名の俳優さんばかりで、演技力はあるけど華がない。ウォンビンを引き立てるためだけに集められた無名俳優のみ。2大トップを売りにする映画は腐るほどあるけど、俳優1人だけに命をかけた作品はあまりないのでは?
ojisan4.jpgojisan6.jpg
近所のおじさんが実は・・・という設定は非現実的で面白いし、まだ33歳のウォンビンが「おじさん」というギャップもなかなかいい。けど、韓国映画を多く観られている方には何の新鮮味もないマンネリ化した展開がダラダラと続き、開始30分で集中力は途切れてしまった。ウォンビンの正体も妻の死の原因も容易に推測できてしまうでしょう。

話題になっている後半のアクションシーンは、計算され尽くし、型にはまった感じ。良く言えばスピード感があってキレがあるけど、悪く言えば振付通りで無駄はなく、緊張感もなし。もうちょっと無鉄砲な方が私はスリルを感じる。人はボコボコ死ぬし、血も多く流れるけど、韓国映画としては残虐度もかなり低い。そして、一番気になったのがボキャブラリーの乏しさである。

辞書にはのってなく、参考書にも出てこないため、机の上だけの勉強ではお目にかかれない汚い単語。私は、韓国は日本に比べてヤクザ用語や侮辱用語が豊富で無限にあると思っている。映画を観る度に新しい用語との出会いがあるのだが、日本語や英語には各々に相当する語彙がないのか、「この野郎」「fa●k you」と訳されることが多く、残念に思っていた。本作は犬の子という意味の개새끼(ケーセッキ)が過剰、かつ唯一と言っていいほどの使用量。アクションだけでなく、台詞までもが型にはまった正統派ヤクザ映画になってしまっている。ウォンビンの脱アイドル、今後演技派として活躍していこうとする意気込みは感じるし、間違いなく一歩前進にもなったが、もう一皮むけて欲しい。

間違いなく日本公開はされるでしょうが、気になるのは邦題。「おじさん」はいいタイトルだと思うけど、韓国語の「おじさん」は日本語の「おじさん」より広い意味で使われている。原題のままだと間抜けな気がする。

<鑑賞> 2010/12/4
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ウォンビン キム・セロン

231. (未) 青い河は流れよ <2009/韓> ★★★

blue.jpg
青い川は流れろ 푸른 강은 흘러라
2009/78min
原作:リャン・チュンシク,キム・ナミョン
脚本:イ・ジサン
監督:カン・ミジャ 
出演:キム・イェリ、ナム・チョル

純愛度 ★★★
芸術度 ★★
社会度 ★★★
衝撃度 ★★
感動度 ★★
催涙度 ★

<あらすじ>
中国朝鮮族第2高中学校3年生のスギとチョリは,お互いに愛のような友情をわかちあう間で,勉強もでき,他人をよく助ける正しい学生だ。トマンガン(豆満江)のほとりに暮らす二人は,トマンガン(豆満江)のようにいつも青く生きようと確かめ合っているが,チョリは,母が韓国で仕事をして送ったお金で,バイクと携帯電話を買ってしまう。チョリは,この時からトマンガン(豆満江)のようにいつも青く生きようとスギと話した青春の約束を破るようになるが,スギは,チョリを本来の姿に戻すため,厳しい叱責を加える。泥棒船に乗って韓国に行き,劣悪で苦痛な状況の中で仕事をしているチョリの母スヨン。韓国に戻ると話したチョリの母は,韓国で意外な事故に遭うようになる。

<レビュー>
舞台は、中国吉林省延辺。町には漢字とハングルが混在している。ここには、中国国籍だが韓国語(または朝鮮語)を話す中国朝鮮族と呼ばれる人々が住んでいる。この地域の学校教育も韓国語(または朝鮮語)で行われている。漢族と接する時は中国語を使うそうだ。新大久保のコリアタウンには朝鮮族の姿もよく見かけるが、韓国語がだいたいわかる私でも彼らの癖のある訛りはほとんど聞き取れない。韓国語と中国語がチャンポンしたように聞こえるのだ。朝鮮族の書いた小説が原作だが、本作のスタッフは全て韓国人とのことで、台詞も少々訛っている程度で、朝鮮語ではなく韓国語だったのが少々残念。

朝鮮族の住んでいる町がどういう所で、どんな生活をしているのか。そして、どちらのアイデンティティーを持っているのかに興味があった。数日前に観た「Stolen Eyes」ではブルガリアに住むトルコ人はブルガリア語を母国語としてながらトルコ人としてのアイデンティティーを持っていたからだ。劇中では、特に言及されておらず。

青い河とは豆満江のことだ。豆満江を境に北朝鮮と接しているため、不法入国が絶えない所だと記憶している。本作では北朝鮮には一切触れていなかった。「河の夢は海になること」だとチョリのお母さんは言う。「毎日休むことなく海に流れ込むように河のように自分も働き続けたい。そして、青い河のように澄んだ心を持ち続けたい。そんな青い河は夢だ。」という。そう言って、韓国へ出稼ぎに行くのだった。延辺地方は両親がそろっている家庭はほとんどないそうだ。韓国へ出稼ぎに行ってしまうからだ。小さい船で渡り、もちろん不法入国だ。危険を伴うのを承知で家族のために行くのだ。チョリの母も稼いでは仕送りをする。
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この町は素朴でのんびりしているが、資本主義の波はこんなところにも押し寄せている。
携帯電話、PC、オートバイ。日本の若者が欲しがるように、ここの若者も同様に欲しがる。
チョリと恋人のスギは毎日自転車で一緒に通学し、帰宅後はチャットでの会話を楽しんでいた。中学生らしく微笑ましいカップルだったが、クラスメートのバイクを見て、スギも買ってしまうのだ。しかも母の出稼ぎのお金で。どんな思いで得たお金なのか、親の気持ちを子は知らずに。このバイクのせいで2人の関係にも亀裂が走る。

2人の恋を軸に描かれる本作は、純粋で素朴でどこか懐かしさを感じる青春映画だ。未成年の喫煙、性への関心は普遍的テーマだ。その影に潜む朝鮮族の生活環境や問題、民族が違うというだけで弱い立場に立たされる現実。出稼ぎ者は女性が多いということにも驚かされた。不法入国、滞在と同時に問題提起される偽装結婚の話も本作で登場する。

<鑑賞> 英語字幕 2010/11/8
[サイト内タグ検索] 日本未公開

74. イリ(裡里) <2008> ★★ 

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イリ 이리
2008/107分/ドラマ/18歳以上 
脚本/監督:チャン・リュ(またはチャン・リュル)
出演:ユン・ジンソ、オム・テウン
映画祭: 2008 ローマ映画祭 競争部門 招請
      アジアフォーカス・福岡国際映画祭2009 上映作品
 

今から30余年前,韓国の小さな小都市のイリ(裡里)の駅で,史上初めて爆発事故が発生した。その後,イリは,イクサン(益山)へと地名が完全に変わってしまい,爆発事故が人々の脳裏から忘れられて久しい。
この事故で両親を失ったチンソは,当時,母のお腹の中で爆発事故の微振を受けて生まれた不運の女性。幼い子供のように純粋で幼い霊魂を持った彼女は,相変らずその都市に残って,傷と痛みをそっくり大事に保管したまま生きている。そんなチンソを見守り面倒を見てきた兄テウンは,徐々に彼女が手におえなくなり,ついにチンソを連れて海へ向かう。@infolife


1977年に実際に起きた「イリ駅爆破事故」。
事故から30年経ち、地名も変わり、人々の記憶からも消えつつある事故である。
そんな忘れられた地で社会から取り残されるかのように片隅で肩を寄せあって生きている孤児兄弟を描いています。

兄弟を取り巻く環境はほとんどが老人。事故後、地名が変わり、町も新しくなったのに、兄弟を取り巻く環境だけは時間が止まっているかのよう。明るい希望が全く見出せない。更に最悪なのが、人々は知恵遅れである妹ジンソをバカにし、強姦したり、ただ働きさせたりしている。拒否や反論する能力がないから、完全に利用されている。希望のない地での社会的弱者はあまりにも惨め過ぎる。しかし、ジンソは自分が惨めだと感じる能力がなく、いつも笑っているのだ。

事故の様子は全く映像になく、事故後の兄弟二人の生活を淡々と描いているだけで、まるでNHKのドキュメンタリー番組のような作品。事故で心の傷を負っているのに、兄弟二人の感情が乏しく、苦悩らしい感情が見られなかった。少々、リアリティーに欠けていたかなぁ。

ユン・ジンソはどの作品を観ても演技力のなさにがっかりさせられる。オム・テウンも感情を抑えてしまっていて、良さが全くでていない。

<鑑賞> 英語字幕 2009/12/9


[サイト内タグ検索] ユン・ジンソ チャン・リュ監督

映画は映画だ <2008/韓国> ★★★★☆


映画は映画だ
映画は映画だ/영화는 영화다/Rough Cut/ A Movie is a movie
2008/113min/韓国
アクション、犯罪、ドラマ
原作/脚本:キム・ギドク
監督/脚本:チャン・フン 
出演:ソ・ジソプカン・ジファン ソ・ジソプ、ホン・スヒョン、コ・チャンソク、ソン・ヨンテ 
IMDb 評価:7.3/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 ★
脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★


映画は映画だ1人気俳優のスタは新作のアクション映画でファイトシーンを撮影中、頭に血が上って共演者に大けがを負わせてしまう。そんな短気で傍若無人なスタの振る舞いによって彼の相手役を引き受けようという俳優がいなくなり、撮影が中断する事態に。そこでスタは、以前出会った俳優を夢見ていたというヤクザの男ガンペに話を持ちかける。ガンペは、ファイトシーンでは本気でやり合うことを条件に出演を承諾するが…。@allcnema

監督は、キム・ギドク監督の助監督を経て本作で監督デビューとなるチャン・フン。
シナリオと脚本は、師匠のキム・ギドクが担当。

映画は映画だ2“映画俳優になる夢を捨てられないヤクザ”と“ヤクザのような映画俳優”の友情を描いた話。ヤクザ映画の制作ロケと現実のヤクザの世界を交錯させながらユーモアを交えながらたっぷりに描くこの韓国映画は発想が面白い。
ヤクザのガンペは暴力団でナンバー2というポジションにいながら、人間らしい温かさも見せているのに対し、俳優スタは傲慢で気性が激しい。前半ではガンペは黒い服、スタは白い服を着ていることが多く、2人は職業や性格だけでなく、何もかもが対極の世界で生きていることを示している。

製作映画でのラストシーンは迫力満点。沼地で喧嘩をするシーンでは2人はたちまち泥まみれになり、どちらがどちらかも見分けがつかず、勝敗もわからない。ひとつだけわかっていることは、2人とも同じ泥色のグレーに染まったということ。それは黒と白を混ぜた色でもあり、2人の友情が実を結んだという証でもある。しかし、現実を突きつけられたラスト。2人が交差したのは所詮映画の中だけであった。

ヤクザはヤクザ。
俳優は俳優。
映画は映画。
現実は現実。
キム・ギドクらしさが光る衝撃的なラストだった。

韓国のヤクザ映画にしては暴力シーンは少なく、血も少ない。キム・ギドクらしい毒はなくマイルド。2大人気俳優起用で、で観やすく万人向きといった印象を受けた。しかしながら、ドラマの印象が強いソ・ジソプカン・ジファンをここまで変身させたのは見事だ。2人の最高傑作だと思っている。特に、ソ・ジソプの目の演技には脱帽。かなり面白かったが、キム・ギドクがメガホンをとっていたらどう仕上がっていたんだろうか?
     
<鑑賞> 2010/2/6、2012/7/4
初版:2010/3
最終版:2012/7/9

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