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ピエタ <2012/韓> ★★★★☆

pieta.jpgPieta/ピエタ
2012/104min/韓国
監督/脚本:キム・ギドク (監督18作品目)
原作:パク・イニョン
出演:チョ・ミンス、イ・ジョンジン 
受賞:
2012年ヴェネチア映画祭 金獅子賞
2013年アカデミー賞外国語映画賞 韓国代表作
IMDb評価:7.2/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★★
宗教度 ★
官能度 ★(ヌードなし)
民族度 ★★
ゴア度 ★★(直接描写なし)
脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★★★
演技 ★★★★★

2013年(第85回)米アカデミー賞 外国語作品についてはこちら

************第69回 ヴェネチア国際映画祭受賞作************
金獅子賞:「Pieta」(韓国)キム・ギドク監督
銀獅子賞:「The Master」(米) ポール・トーマス・アンダーソン監督
審査員特別賞:「Paradise:Faith」(オーストリア=仏=独)
優秀男優賞:フィリップ・シーモア・ホフマン/ホアキン・フェニックス(「The Master」、米)
優秀女優賞:ハダス・ヤロン(「 Fill the Void」イスラエル)
最優秀新人賞:ファブリッツォ・ファルコ(Dormant Beauty」/「E Stato Il Figlio」、伊=仏)
優秀脚本賞:オリヴィエ・アサイヤス「Something In The Air」(仏)
優秀技術賞:ダニエーレ・チプリ「E Stato Il Figlio」(伊=仏)
*****************************************


身寄りがなく孤独に育ってきたカンドは非情なやり方で債務者たちから借金を取り立てる高利貸しとして生きてきた。そんな彼の前に、ある日“母親”だと名乗る女が現れる。女の正体を怪しみ混乱に陥るカンドは、生まれて初めて自分を訪ねてきた“母”に異常な執着を見せ始める。そうしたある日、女は姿を消し、まもなくカンドと彼女の間の残忍な真実が明らかになる。
決して許されることのない二人の男女。神よ、彼らに慈悲を。 @innolife

監督は、韓国の鬼才キム・ギドク監督。「アリラン」に続く18作目であり、日本公開も決定している。
出演は、新人ではなくそれほどヒット作はないものの着実に演技を積んできたチョ・ミンスとイ・ジョンジン。今後の活躍に注目したい。 

pieta2.jpg主人公は町工場一帯で取り立て屋として働くガンド。債務者たちの支払いが滞れば、自分の機械で手足を切断させ、保険金で支払わせるという卑劣なやり方でお金を巻き上げる、血も涙もない男である。身寄りはなく、死んだと思っていた母が目の前に現れ、狂う人生を描いている。シンプルなストーリーに最低限のキャストとセリフでありながら、母子の危うい関係が作品に緊張感を与え、またまた強烈な作品に仕上がっている。監督は一貫して暗欝な側面にスポットを当てているが、正直、以前の作品のような怒りをぶつけるような作品ではなく、丸くなったという印象を受けた。テレビインタビューなどほどんど受けなかった監督が、テレビ出演を快く引き受けていることにもつながっているのだろう。映像センスと見事なキャスティング、演技力で、感情を揺さぶる作品をこれからも期待したい。

舞台はソウル清渓川という町工場の一角。プレス、切断、板金、金型といった工業器具が並ぶ町工場一帯、かつては韓国産業発展に大きく貢献した地でもある。監督自身も16歳から20歳までこの地で機械工の見習いとして働いていたそうだ。 再開発のために、一帯が撤去される直前の撮影だったという。資本主義社会を真っ向から否定し続けている監督らしい抜群のロケーションだと思った。資本主義社会の裏で金属のゴミ山や廃墟、寂れ果てた一帯の殺伐さもまた作品に強烈な印象を残している。本作、ベネチアでの受賞のおかげでヒットしていたにもかかわらず、上映を打ち切ったのも、スポットが当たっていないが素晴らしい低予算映画が埋もれてしまわないようにという監督の配慮だという。主演の2人もノーギャラでの出演で、素晴らしい演技を見せている。

pieta1.jpg “ピエタ”とは、イタリア語で“悲哀"という意味。キリストの遺体を膝に抱いて嘆くマリア像のことを言うそうだ。その姿がポスターにも使われている。あるインタビューで監督は、“お金中心の資本主義社会の中で人々の信頼が消え、不信と憎しみで破滅に向かい墜落する私たちの残忍な自画像に対する警告映画”だと言及している。
必然的に自虐的な生き方を選んでしまったカンドは負債者たちに怪我を負わす加害者であると同時に、母親に捨てられた被害者でもある。この町工場も栄えた時代があった半面、資本主義の恩恵も受けず、犠牲となっている地。そして突然現れた母親も被害者であり、徐々に加害者へと変貌していく姿が後半の見せ場となっている。毎度のことながらセリフは少なく、抑揚のある表情での演技が卓越している。時々浮かべる笑みの不気味さ。不可解な行動。最後まで観て始めて理解できるストーリー運びにもため息。終盤のすさまじさはギドク監督だからこそなせる技。ギドク作品は観終えた時にどっと疲れがでるのだが、本作は初めてすぐにもう一度観たいと思った作品。金獅子賞も納得の傑作であった。
表裏一体である加害者と被害者。全ての人が神の慈悲を得られるのだろうか…。

<観賞> 2012/11/26


[サイト内タグ検索] キム・ギドク監督
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266. 二人の女 <2010/韓> ★★★

two.jpg
二人の女/두여자
2010/105min/韓国
ロマンス
監督/脚本:チョン・ユンス
出演:シン・ウンギョン、チョン・ジュノ、シム・イヨン



官能度 ★★★
哲学度 ★★★
社会度 ★★
民族度 ★




two2.jpg大学建築工学教授ジソクと産婦人科医ソヨン夫妻の10回目の結婚記念日。思い出のバーを貸し切り、妹夫婦とお祝いをしていた。ソヨンは夫のギターを弾き語りしようとケースを開けたら、コンドームが入っており疑惑を抱き始めた。夫婦間では使わないからである。ある日、夫の研究室を訪ねた際、ふとPCを覗いてしまった。ある学生からのチャットの内容に、夫の相手であると確信したソヨンは尾行を始め、ヨガの講師であることを知る。素知らぬ顔でジムに登録し、不倫相手と接点を試みる…。

監督は、「妻が結婚した」のチョン・ユンス。出演は、「花嫁はギャングスター」のシン・ウンギョン、「マイ・ボス・マイ・ヒーロー」のチョン・ジュノ、「パジュ」のシム・イヨン。

チョン・ユンス監督は、「今、愛する人と暮らしていますか?」では2組夫妻の四角関係、「妻が結婚した」では夫妻+男の三角関係、そして本作では夫婦+女の三角関係、どれも大人の交差する恋愛を描いている。3作品の中で本作が一番性描写が過激であり、結婚10年の夫婦とは思えないほど演出の凝ったベッドシーンには不自然に見えるが、仲の良さを強調したかったのだろう。3人のヌードをウリにしている宣伝方法にも首をかしげてしまうが、3作品の中では一番まともな倫理観のもとで展開していく。

two1.jpg韓国映画ではありきたりな三角関係であるが、時代の変化を感じる。妻は医師であり、金も名誉も手に入れている女性。別れても金銭的な苦労はしないという点においては男女平等であり、決して立場は弱くない。しかし、10年の結婚生活にも関わらず不妊という事実に妻は引け目を感じていたのかもしれない。不倫行為が許せず離婚を決意したというよりは、3人にとってどうするのが一番良いのかを冷静に見極めようとする姿には知性すら感じる。

妻は、夫とは別れることを前提に不倫相手に近づき、夫との情事を聞くわけだが、韓国特有の起伏の激しい感情のぶつかり合いではなく、冷静に不倫と向き合おうという姿勢を見せている。しかし、愛人と接点を持てば持つほど情が湧き、殺したいほど憎かった愛情に友情が芽生えてしまう。本作の主人公は“2人の女”であり、2人の友情が事を更に複雑にさせ、ストーリーにも面白さを持たせている。妻の職業、産婦人科医という設定が終盤でうまく使われており、それに恐怖をプラスさせている。夫への執念が導いた意外性のあるオチが私の評価を一気に高めている。

<鑑賞> 2011/11/1
[サイト内タグ検索] 日本未公開 チョン・ジュノ

263. ブラインド <2011/韓> ★★★★

blind.jpg
ブラインド/Blind
スリラー、ドラマ
2011/韓国
監督:アン・サンフン(長編監督2作目)
俳優:キム・ハヌル、ユ・スンホ、チョ・ヒボン



社会度 ★★
衝撃度 ★★
哲学度 ★★
ゴア度 ★




前途有望だった警察大生スアは不慮の事故で弟を失い、自身は失明をしてしまった。月日は3年経ち、スアは育った養護施設を訪れた帰りのタクシーで何かが車にぶつかった感覚を感じた。運転手は犬だと言い張るが、スアははっきり女性のうめき声を聞いていた。言い争いの末、運転手は目の見えないスアを1人残し立ち去ってしまった。
しかし、もう1人の目撃者がいた。キソブは自分の目ではっきり見たと証言し、感覚で記憶しているスアの証言とは食い違う。目の見えないスアの証言など誰も信用してくれないが…。

blind2.jpg韓国語の勉強を兼ねた暇つぶしで鑑賞したが、はっきり言ってほんとに面白かった。アン・サンフン監督の「アラン」に続く2作目となる。事件を解決する過程で、後天性障害を乗り越える姿が描かれる。
最近の韓国映画の傾向でもある派手すぎるアクションに頼り過ぎておらず、かつドラマな部分がしっかり描かれている。近年の韓国映画にしてはゴア度は低い。孤児院育ち、事故による後遺症、犬といった韓流作品が得意とする催涙性の高い素材を扱い、手に汗握るアクションが用意されており、いろんなジャンルがうまく融合されている。

自分のミスで弟を死なせてしまったことへの罪悪感、盲目になり今まで普通にできたことができなくなってしまったことへの苛立ち、序盤はスアの心境を重点にストーリーは展開していく。同情で涙を流させるような過剰な演出ではなく、むしろ強く耐え抜こうとするスアの姿に心打たれる。

blind1.jpg養護施設からの帰り道に遭遇した交通事故。目の見えないスアは目撃者にはなれず、何を話しても取り合ってくれない。ところが、あたかも見えているかのように刑事の特徴や癖、食べた物をずばり言い当て、担当刑事もスアの証言を信用せざるを得なくなる。
人間は何か失うと他の感覚が研ぎ澄まされるというが、スアも嗅覚と聴覚に優れており、車の匂い、シートの感触、運転手の腕時計の音、声を全て記憶していた。その記憶を掘り起こす作業で回想シーンが効果的に使われ、目撃者2人の食い違う証言が埋め合わされていく。

タクシーのひき逃げ事件はほんの一幕に過ぎず、同時に浮上してくるもう一つの事件。当然のことながら、スアは犯人に狙われるが、目の見えないスアは犯人がすぐ目の前にいることがわからない。携帯(多分iphone)の動画機能を駆使し犯人から逃げるシーン、電気を消して、犯人も目が見えない状態にさせ対等に対決するシーンは手に汗握る。序盤で描かれていた自分自身と戦うスアの姿はもはやない。障害を乗り越え犯人と戦う姿はたくましく映り、盲目であることさえも忘れさせる。

盲目のデメリット、メリットを活かしたしっかりした脚本で、マイナスポイントが見つからない。あまり好きではないキム・ハヌル、ユ・スンホのコンビだが、完璧なキャスティング。ますます青木さやかにしか見えないキム・ハヌルも難しい盲目の役で違った一面を見せている。まだまだ私には子役のイメージが強いユ・スンホも大人の演技で一皮剥けた印象。そして、刑事を演じるチョ・ヒボンの軽薄だが憎めないキャラクターが光っていた。スリラーでもお笑い要素が欠かせないのは韓流作品ではお決まりパターンだが、この方、出演数は多いものの、出番が少なく印象に残る作品が少ない。本作が良い転機になってくれることを願う。

<鑑賞> 2011/10/11
[サイト内タグ検索] 日本未公開 キム・ハヌル

262. 冬の蝶 <2011/韓> ★★★★

huyu.jpg
冬の蝶/겨울나비
2011/90min/韓
ドラマ
監督:キム・ギュミン(監督デビュー作)
出演:パク・ソヨン、チョン・スンウォン



催涙度 ★★
哲学度 ★★★
衝撃度 ★★★★
リアル度 ★★★






父親は病死し、11歳のジノは病気の母と2人暮らしをしている。友達ソンイルと山へ行き、まき木を集めては病気の母が市場へ売りに行き生計を立てている。そんなジノのささやかな願いは鶏肉を食べること。将来の夢は、一流の料理人になって、世界一おいしい鶏肉料理を母に食べさせることである。そして、ジノが最も恐れることは、病気の母が自分1人を残してこの世を去ってしまうことであった。いつものように友達が一緒に山へ行こうと誘いに来るが、ジノは冷たくあしらってしまう。朝食を食べたにも関わらず、少しでも空腹を満たそうとするソンイルのせいで、大事な母の取り分が少なくなるからである。
ところが、1人で山へ行ったジノは足を踏み外し山を転げ落ちてしまう…。

huyu1.jpg監督は脱北者で、「国境の南側」「クロッシング」、ドラマ「カインとアベル」などの作品にスタッフとして参加し、本作が監督デビューとなる。監督自身が実際に見聞きした実話を素材にしたノンフィクションだという。北朝鮮関連の話でハッピーエンドだとは思っていないが、驚愕の結末までもがまさか実話だったとは…。母子の日常生活を通して、深刻な食糧難を浮き彫りにし、結果招いてしまった親子の悲劇を描いている。年齢制限15歳以上だが、大人でも相当の覚悟が必要。

監督は、北朝鮮同胞の過酷な現実を見過ごすことはできない使命感から“北の現実”を描く作品をこれからも製作し続けると言っているが、観客の心を引き付ける事が出来るのは商業映画だけだとも言っている。次作は集客性の高い作品を目指しているという。私には共感しにくいご意見に首をかしげてしまうが、それだけ北への思いが人一倍強く、多くの人にも観ていただきたいのでしょう。

舞台は北朝鮮の黄海北道。質素な食事、殺風景な家、部屋の中心に飾られる将軍様の肖像画、警察の対応、市場の様子はとことんリアルさが追求されているが、残念なのが、言葉である。集中力を削がれるという理由から、台詞はあえて朝鮮語ではなく韓国語にしたというが、せっかくのリアルな演出が台無しになっているように思う。
食べるものがない北の地方住民は木の皮も喰いつくし、雑草すら生えていないと聞く。ジノが行く山は木が豊富で、まき木を見つけるのは容易である。切迫感が感じられない。冬の設定ではあるが、吐く息が白くないのも気になる所ではある。

huyu2.jpg詰めが甘いと感じる点はいくつかあるが、生活の厳しさや実態が容赦なく描かれている。許されざる保安員の態度もまた浮き彫りにしている。まき木を拾い集め帰路に帰る人々が必ず通る道には検問がある。2名の保安員が待機し、荷物検査をしている。いちゃもんをつけては人々からまき木を取り上げ、夜はその木でたき火をし、豊富な食事と酒にありつく姿は私が本で読んだ通りである。子どもが行方不明と知りながら協力してくれるわけでもない。本作では描かれていないが、賄賂なしで協力を仰ぐことは不可能なのだろう。本来なら住民の安全のために常駐してくれているはずなのに、むしろ生活を苦しめている矛盾した現実が覗える。

ジノはもちろん学校には行っていない。子どもには急すぎる山を登り、まき木を拾う仕事は決して楽ではない。帰路につくと、のこごりの刃を研ぎ、やっと夕食にありつくのである。そんな生活にも決して弱音を吐かず、常に病気の母を気遣い、鶏肉を食べることがひそかな願いであるジノは、毎晩布団の中で母と鶏肉話に盛り上がり、夢と希望に胸を膨らませるのであった。貧しいながらも2人で精一杯生き抜こうとする姿、お互いがお互いを気遣う姿には自然と涙が流れる。何の生活保障のない北朝鮮において微笑ましい家族愛だけが唯一の希望である。しかし、遭難したジノが何日も帰らない日が続き、母は正気を失う。砂をご飯と間違えて食べ、父親が鶏肉を食べている写真まで食べ尽くすのであった。極限の空腹の果ての結末には、(結末、反転しています)息子ジノを犬と間違えて殺傷し、煮込んで食べてしまうのであった。ジノが帰ってきたら食べさせようと残していたことから、幻覚症状だと認められたが、家族愛まで踏みにじってしまうほどの食糧難。社会体制への批判でもあり、告発でもある。意見のわかれる結末ではあるが、脱北者にしかわからないありのままの実情を描いてくれたことに今後の活躍にも期待したい。

冬に孵化してしまい羽ばたくことすらできずに一生を終えてしまう蝶がいることから、タイトル“冬の蝶”とは北朝鮮に生まれたことだけで幸せとは無縁の住民を連想させる。生まれ育った国で人生が決定づけられるのも運命である。将軍様を神だと信じ、肖像画に向かって祈っていた母が、国家の矛盾に気付く時が来るのだろうか。

<鑑賞> 2011/10/10
[サイト内タグ検索] 日本未公開

261. Bleak Night (原題:番人) <2010/韓> ★★★★☆

bleak.jpg番人 파수꾼/Bleak Night
2011/117min/韓国
ドラマ
監督/脚本:ユン・ソンヒョン(長編デビュー作)
出演:イ・ジェフン、ソ・ジュニョン、パク・チョンミン、チョ・ソンハ 
受賞:第15回(2010)釜山国際映画祭 ニューカレンツ賞
IMDb評価:6.7/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
衝撃度 ★★
暴力度 ★
邦題のセンス ★★★

2011アジアフォーカス福岡映画祭上映作品


高校生のギテが死んだ。父親は息子に無関心で、死後机の中から写真を見つけるが、息子と映っているのが誰なのかもわからない。罪悪感からか、今更ながら息子について知ろうと立ち上がる。担任教師に友達の連絡先を教えてもらい、息子との空白を埋めるべく、友達に会うが、皆息子のことを話したがらない。親友は2人いたが、中学生からの同級生である1人は息子が亡くなる前に転校し、もう1人は葬儀にも来なかったという事実を知る。息子の死には何か隠されていると確信した父親は、その真相を探ろうとする…。

長編デビュー作とは思えないほど完成度の高い秀作。韓国でも3月に劇場公開されたばかりで、日本でもアジアフォーカスのみの上映だが、一般公開ないしソフト化はすべき作品。個人的には「冬の小鳥」「息もできない」に続く作品だと感じた。少年3人と父親の視点で展開していくが、少年3人の心理をメインにしすぎているため、父親の心理描写が見えてこない。敢えて避けたのかもしれないが、もう少しバランスを取ってもよかったように思う。監督は1982年生まれで、父親の心境がまだわからないというのが本心かもしれないが。

bleak1.jpg高校を舞台にしてはいるが、韓流ドラマのような学園ドラマでなければ、サスペンスのような事件の謎解きを主眼にしている作品でもない。次第に明らかになっていくのは青春と友情が破壊していく過程である。息子の死を不審に思った父親が立ち上がったことをきっかけに、ギテの死に対する少年たちの心理を掘り下げていく。

ストーリーはギテの死後から始まり、父親の真相探しと友人たちの回想シーンが交差する形で物語は進行する。父親のシーンは時系列ではあるが、回想シーンは時間軸が前後するため少々混乱する。なかなか全体的な人間関係が掴みづらいのが難点ではあるが、カット分割と編集が見事でいい緊張感を作り出している。

中心となるギテ、ドンユン、ヒジュンは学校でも放課後でもつるんで遊んでいる親友3人である。2人は中学からの親友で、1人は高校からの付き合いとなる。常に行動を共にしているからこそ言える冗談やイタズラがきっかけとなり、歯車は狂い始めていた。
ギテは父子家庭で、母親がいない劣等感から虚勢を張るようになり、仲間内ではリーダー格のような存在となる。おそらくタイトル“番人”とはグループ内に自然と出来上がっていった役割を言っているのだろう。ギテの行動はエスカレートし、イジメともとれる行動を取り始める。好きな女の子を取れらまいと取った行動も許される行為ではない。結果、権力は友情との引き換えとなっていたのである。

bleak2.jpg父親は息子の友人たちに会い、息子のことや学校での様子などをやさしく尋ねるが、友人たちの表情は曇っている。核心に触れようとすると返事はきまって「わかりません」であった。駆け引きや感情の爆発、すれ違いが互いに及ぼす悪影響が導いてしまった悲劇は少年たちの心の傷を更に悪化させるものとなっていた。仲間から手を切ろうとする者、自分の殻に閉じこもってしまう者、流れに任せようとする者…少年たちは様々な方法でそれぞれの道へ進み、事実を封印しようとしていた。回想される各エピソードの中であぶり出される心理には崩壊していく過程が絶妙に描き込まれている。それは、不安定で不器用、でも繊細な10代の危うい心理描写。やりきれない思いや閉塞感、息苦しさが重く圧し掛かる力強い作品となっている。現実離れしたイケメンばかりの起用ではなく、ほとんどが新人に近い等身大の少年たちの熱演により、すごくリアルな世界を作り上げている。

権力による支配、コミュニケーション不足による誤解、人間関係の崩壊は、別に韓国の高校生に限らず、日本の高校生、いや大人にも起こり得ることである。改めて人間関係の難しさを考えさせられた作品である。死因ははっきり言及されておらず、どこまで父親に話したのかも定かではない。だが、確かなメッセージとして誰しもが様々な思いを感じ取るであろう。

余談だが、海外の評論に目立った高評価はない。私も英語字幕鑑賞で感じたのが、本作のような細かい心理描写は英語での表現には限界があるということ。日本語ならばっちりハマる訳があるのに、この英語じゃ伝わらない!と何度も突っ込みを入れながら字幕を目で追った。かなり端折られた英訳で、微妙なニュアンスは伝えきれていないだろう。字幕翻訳者の力量にもよるだろうが、字幕によって印象が左右されることを改めて思い知った。原語で理解できるのが一番いいのだが…日本語字幕でもう一度しっかり観たい。

<鑑賞> 英語字幕 2011/10/1

[サイト内タグ検索] イ・ジェフン

256. 豊山犬 <2011/韓> ★★★

豊山豊山犬
2011/121min/韓国
ドラマ、アクション
製作:キム・ギドク
監督:チョン・ジェホン「ビューティフル」(長編2作目)
出演:ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス、ハン・ギジュン、チョ・ムソン、チェ・ミョンス、オダギリ・ジョー(カメオ)
IMDb評価:6.9/10

ゴア度 ★★
社会度 ★★
哲学度 ★

アリラン」公開は無理だと思うけど、これは日本公開するでしょう。
第12回(2011)東京フィルメックス・コンペティション出品
アリラン」 はオープニング作品として決定しました。(2011/9/15)


休戦線を越えてソウルから平安まで何でも3時間で配達する正体不明の男(ユン・ケサン)。今回は品物ではない人を連れて来いという、史上最初のミッションを受けた。彼女はまさに南韓に亡命した北韓高位層幹部の愛人、イノク(キム・キュリ)だ。
ふたりは鉄条網を越えて微妙な感情を感じるようになり、これに気づいた“南韓要員“たちは、彼たちに危ない提案をしてくる。
一方、南亡命を処断するためにソウルに滞在していた“北韓スパイ集団“はイノクを拉致する計画まで立てて、彼らを取り囲む予断を許さない作戦が始まるが…@innolife

豊山1 監督は数多くいらっしゃるキム・ギドク師団の1人。「ビューティフル」に続く2作目となる。キム・ギドクが製作と聞いただけで観ないわけにはいかない。監督はOST全曲の作曲も手掛け、俳優達だけでなくスタッフもノーギャラで映画に参加、「映画は映画だ」の出演俳優ソ・ジソプ、カン・ジファンも出資参加し、“投資家”という形をとっている。全ての人が本作で発生する収益に対する持分を持っていることになる。映画仲間の裏切りで3年もの間ひきこもりになってしまったキム・ギドクが考え出したこの制作方法は、作品に対する皆の情熱がなければ成り立たない。俳優たちのノーギャラはホン・サンス監督作品にはよくあることだが、スタッフまでノーギャラはロードショー公開作品では初の試み。キム・ギドク監督に対する信頼と協力をうれしく思う。

制作方法以上に驚きなのが、キム・ギドク製作、そし南北分断という重い素材を扱っていながら大衆作品だということ。拷問や殺し合いシーンにはギドクらしい残虐さが感じられるが、思わず笑ってしまうようなユーモラス場面もあり、私の大好きなチェ・ミョンスがまさにハマリ役。従来のギドク作品のような体の底から湧きあがってくる社会への怒りや痛みを全面に押し出すような作品ではなく、南北統一への切実な願いが込められているような気がした。それは新作「アリラン」で暴露した出来事による傷心が原因なのだろうか。角がとれ丸くなったというより、哀しみに満ちている。結果的には内容的にも演出的にも多くの人に受け入れられる作品に仕上がっている。キム・ギドク監督復帰作がカンヌで受賞したことも後押ししていると思うが、ギドク作品としてはヒットし、超低予算(2億ウォン程度)なのでたった3日間で製作費を回収できてしまったというのも納得である。

豊山2“豊山犬”とは北朝鮮原産の狩猟用犬種で、特徴としては、警戒心が強く、一人の主人にのみ忠実だという。ユン・ゲサン演じる主人公は“豊山犬”というニックネームを持ち、猟犬のごとく主人の指令一つで北と南を行き来する正体不明の男である。話せないのか話さないのかは不明だが、一言も言葉を発しない。劇中でも北出身なのか南出身なのかが論点になっており、正体がバレルことを恐れ、敢えて言葉を発しないように見える。言葉を発する代わりに“豊山犬”という銘柄の北朝鮮の煙草を吸い、ベールに包まれたキャラクターを効果的に演出している。この煙草はタール含有量30㎎でかなり強いそうだ。涼しい顔をして吸う姿も不思議とタフな男に見えてくる。

前半は軍事境界線を行き来する緊張感とスピード感で息つく暇なく見せられるが、中盤から急に失速。いつの間にかラブストーリーが軸の展開になっている。2人が惹かれ合う様子をもう少し掘り下げないと無理がある。そして、キム・ギドクファンとしては、ストレートすぎる愛の形やありふれた表現方法にも不満を感じてしまう。「ビューティフル」で見せてくれたオリジナリティーある作品を撮ってくれることを願いたい。

キム・ギドク監督といえば多くの作品で一言も発しない人物を主人公に据えている。「悪い男」のチョ・ジェヒョン、「うつせみ」のチェヒ、「弓」のチョン・ソンファンやハン・ヨルム、「ブレス」のチャン・チェンに続いて本作でのユン・ゲサンの表情と息づかいだけの卓越した演技は見事。私自身、アイドル時代の大ファンであり、全盛期時代を知っている者としては全裸を直視するのには恥ずかしさもあったが、本作でアイドルのイメージが完全に払拭された。(私の嫌いな)キム・ギュりもたった2日間で消化したという完璧な北朝鮮訛りで熱演。

<鑑賞> 聞き取り80% 2011/8/18

170. 人を探します <2009/韓> ★★★★☆

person4.jpg
人を探します 사람을 차습니다/Missing Person
2008/95min/韓国
ドラマ、スリラー
監督/脚本:イ・ソ(監督デビュー作)
出演:チェ・ミョンス、キム・ギュナム、ペク・チニ
受賞:
2009 第50回 ギリシャ テッサロニキ国際映画祭 特別芸術貢献賞
2009 第10回 全州国際映画祭 JJ-Star賞

衝撃度 ★★★★
社会度 ★★★
ゴア度 ★★ 




ウォニョンは町で不動産を営み、副業として犬探しをしている。知的障害者キュナムは“犬を探しています”のビラを電信柱や壁に貼り生計を立てている。町内で続けて子犬が消える事件が発生し、人間まで姿を消え始める。知的障害者キュナムは“人を探しています”のビラ貼りの仕事も依頼される。しかし、一連の失踪事件の犯人としてキュナムを疑ったウォニョンは家を訪ねると、みじめな生活を目撃する…。

person2.jpg監督は、チョ・スンウ主演の「マラソン」の助監督をされていた方で本作がデビュー作品となる。主演は私の大好きなチェ・ミョンス。いつもながらオーバーな演技はまたいい味を出しているが、それ以上にインパクトが強いのがキュナム役の俳優さん。失礼ながら、貧相な風貌はキャラクター作りなのかと思ったら、舞台俳優の方でこういう風貌の持ち主のよう。本作の面白さは脚本だけではなく、キャラクターにどんぴしゃな彼の独特な風貌のおかげでもある。

不動産屋のウォンヨンは、昼間から友人らと花札で遊び、妻と子二人いながら、愛人、更に女子高生とも関係を持つ。愛人や不動産のお客に不満を感じた時、知的障害者キュナムを呼び付け虐待をし、ストレスの捌け口にしている。虐待の仕方も、ただ殴る蹴るだけではなく、犬のように4つん場にさせ、首輪をつけたり格好をさせ吠えさせてみたり、扱い方はひどい。さらに、花札仲間はそんな暴力を見て見ぬフリをするといった状況。ウォンヨンはこの地域では親分的存在であり、誰も逆らえない。そんな上下関係が物語の背景となっている。

person3.jpg知的障害のキョナムはウォンヨンから“犬探し”のチラシ貼りの仕事をもらっているが、次々と犬が失踪する事件が相次ぐ。実はキョナムが犬を誘拐していたのである。結果、チラシ貼りの仕事は増え、誘拐した犬たちと廃屋で同居生活を始めるようになる。ウォンヨンには犬扱いをされているキョナムだが、住んでいる廃屋には相応しくない立派な犬小屋を建て、犬を敬うかのように暮らしているのである。4つん場になり自分までドックフードを食べる姿は衝撃的である。次第に人間たちまで消えるようになり、“人を探しています”のチラシ貼りの仕事もするようになったことからこのタイトルがついている。

犬の失踪も人間の失踪もウォンヨンの指示なのかキョナムの独断なのかは最後まで不明だが、真相がわからないところに怖さがある。そして、キョナムは言葉を発しないが、おそらく話せないのではなく、話さないだけである。労働者であり障害者のキョナムが話したって誰も聞く耳を持たないからであろう。物事を理解していないような雰囲気を醸し出しつつ、実は全てを見抜いていたと思われる。話さない分焙り出すように描くキョナムの心理には恐怖を感じる。

社会の根底にあるファミリー的な上下関係、障害者や労働者への差別意識を浮かび上がらせ、そういった意識の上で成り立つ社会的構図への批判を描いている。飼い犬に手を噛まれる的な結末はキム・ギドク作品のように何だか癖になる作品。万人向けではないが、日本未発表とは惜しい。次回作の話を聞かないが、期待度の高い監督さんである。

<鑑賞> 字幕なし2010/4/20、字幕なし2011/8/27
初版:2010/4/21
最新版:2011/9/10

[サイト内タグ検索] 日本未公開 チェ・ミョンス ペク・チニ

73. ブレス <2007/韓> ★★★

最近はめっきりテンプレートのHTML編集はしていないのですが、左カラムが記事の最後に、右カラムが左側に来てしまっています。どうやらHomeだけが崩れてしまっているようです。原因不明なので、いっその事テンプレート変更させるべきか、編集頑張るか悩んでいます。少々お見苦しいですが、ご了承のほど。

原因となった記事を削除し、解決した模様。たぶん。

Breath.jpg
ブレス/Breath
2007/84min/韓国
ドラマ
監督/脚本/製作:キム・ギドク(監督14作目)
出演:チャン・チェンパク・チアハ・ジョンウ、カン・イニョン
IMDb評価:6.9/10


ゴア度 なし
社会度 ★★
哲学度 ★







breath1.jpg死を宣告されても自ら死のうとする死刑囚がいる
死を間近にしている死刑囚チャンジンは、鋭いキリで喉を刺して自殺しようとする。死を早めようとする彼の努力にもかかわらず、結局声を失っただけで再び刑務所に戻る。帰った場所で彼を待っていたのは、愛する若いチェス。しかしチャンジンが今生に残している未練は何もない。

何不自由ない人生で、行く場所を失った女がいる
何の不足もないヨンの人生は、夫の浮気が分ってから食い違い始める。偶然テレビで死刑囚チャンジンのニュースを見たヨンは、彼に妙な憐れみを感じて彼に会うために刑務所に向かう。幼い頃に経験した死の瞬間を死刑囚チャンジンに打明け、閉じていた心の扉を開けるが…
彼らが吸い込む息と吐き出す息は、それぞれの人生をどこに導くのか

ヨンはチャンジンのためにできることを探し、四季をプレゼントしようと決心する。死ぬこと以外は何もなかったチャンジンに、人生の温かみを吹き込むヨン。会い続けることで二人は単純な欲望以上の感情を抱くが、ヨンの夫は二人の関係に気づいて妨害し始める。…@innolife

breath2.jpg作曲家の夫と彫刻家の妻。夫婦愛は冷め切っており、2人を繋ぎ止めているのは娘一人の存在だけという脆い絆。夫の車の中で女性の髪どめを見つけ、ヨンの中で何かが崩れ始めた。
偶然テレビで観た死刑囚の自殺未遂の報道。死刑執行をただ待つだけの彼はこの世に未練はなく、何度も自らの“息”を断とうとしていたのである。自分の“孤独”と死刑囚の“孤独”を重ね合わせ、面会に足を運ぶヨン。夫の浮気を知り絶望的な女が自殺未遂を繰り返す死刑囚の男を求めるという、奇想天外な“愛”の物語。それはあまりにも息苦しい形であった。ギドク作品の中で最も抽象的だと思われる作品。

ヨンは死刑囚チャンジンの元恋人だと偽り、面会要請をする。会ったことすらない女性の面会を不信に思うチャンジンであったが、ある話を聞いて興味を抱くようになる。それはヨンが経験した9歳の時の5分間の死の体験であった。息が止まり、身体がふうっと浮かび上がるように軽くなった瞬間に感じる感覚が快感だと。“死”が引き合わせ、共に“息”をしようとする2人。チャンジンも彼女を生き甲斐にしようと“生”への渇望を見出すのであったが…。

核心、結末に触れていますが、面白さが半減するものだはありません。ご自身の判断で読み進めてください。
自殺未遂を繰り返す死刑囚に四季をプレゼントすることによって、“生”を実感させるための“息”を吹き込もうとするヨン。壁には四季を感じさせるポスターを貼り、小道具を持ち込み、歌をプレゼントする。春、夏、秋と届けるが、最後の面会時、冬を届けることはしなかった。そして、刑務所からの帰りの車中、夫と娘と冬の歌を一緒に歌った。冬を越し、じきこの夫婦には春が訪れることを、冬の歌が届けられなかった死刑囚チャン・ジンに春は訪れないことを示唆している。次の日はチャンジンの死刑執行日であった。

韓国人でないチャン・チェンをどう使うかに興味があったが、喉をつぶした役柄で、一言も発しないのも自然。見事な配役であり、目だけの表現は卓越している。ヨンに“息”を吹き込まれ、そのヨンに“息”を止められそうになった時のチャンジンの眼力は素晴らしかった。あんなにも死を求めた死刑囚が死を拒む矛盾は束の間の渇望を見出してしまった代償なのだろうか。あまりにも残酷である。

2人のエスカレートしていく行動を覗き続ける保安課長役は監督自ら演じている。顔ははっきり見えないが、画面に映っているのがはっきりとわかるのが薄気味悪い。何のために傍観しているのかが謎である。そして、「絶対の愛」以降、彫刻といったオブジェがやたら出てくる。監督の意図することは何なのか、何を投影しているのかが読み取れず、消化不良気味。

<鑑賞> 英語字幕2009/12/9、英語字幕2011/8/23

94. 春夏秋冬そして春 <2003/韓> ★★★★

春夏秋冬そして春봄 여름 가을 겨울 그리고 봄/Spring,Summer,Fall,Winter...And Spring
2003/106min/韓国
ドラマ
監督/脚本/出演:キム・ギドク
出演:オ・ヨンス、キム・ヨンミン、ソ・ジェギョン、ハ・ヨジン、パク・チア
制作費:10億ウォン
撮影場所:慶尚北道 青松郡 周王山国定公園 チュサン(注山)池
受賞:
2003 第24回 青龍映画賞 最優秀作品賞,技術賞
2003 第51回 サンセバスチャン国際映画祭 観客賞
2004 第41回 大鐘賞 最優秀作品賞
2003 第11回 春史羅雲奎映画芸術祭 制作賞,美術賞
2003 第56回 ロカルノ国際映画祭コンペティション
2004 第5回 スペイン ラスパルマス国際映画祭 国際コンペ部門 大賞,撮影賞
2003 アカデミー賞 外国語映画賞 韓国代表作品
IMDb評価:8.1/10(244位)





spring.jpg春...
業:いたずら好きの子供、殺生の業を始める。
万物が生成する春。森で捕まえた魚と蛙と蛇に石をぶら下げて困らせる意地悪ないたずらをし、天真爛漫な笑いを放つ子供。その姿を見守っていた老僧は、寝ついた子供の背中に石を縛っておく。眠りから覚めた子供が涙声で痛いと訴える。老僧は、過ちを戻せなければ、一生の業になることを悟らせる。
夏...
欲望:愛に目覚めた少年、執着を知るようになる。
子供が成長し、17歳の少年になった時。山寺に同い年の少女が療養しに入ってくる。少年の心に少女に向かう熱い愛がみなぎって、老僧も彼らの愛を感知する。少女が去った後、一層深まる愛の執着を振り切れない少年は、山寺を離れる。
spring2.jpg秋...
怒り:殺意を抱いた男、苦痛に陥る。
寺を離れた後、裏切った妻を殺して殺人犯になり、10数年ぶりに山寺に逃げてきた男。紅葉のように赤く燃え上がる怒りと苦痛に勝てず、仏像の前で自殺を試みた彼を殴りつける老僧。男は、老僧が木の床に書いてくれた般若心経を彫って心を静める。男が去った静かな山寺では、老僧が自らを荼毘に付す。
冬...
空っぽなこと:無意味さを感じる中年、内面の平和を求める。
中年の年齢となり、廃虚になった山寺へ戻った男。老僧の袈裟を集め、氷の仏像を作り、冬の山寺で心身を修練して内面の平和を求める毎日を送る。寺を訪れた名前の分からない女が幼い子供を残して去る。
そして春...
新しい人生の四季が始まる。
老人になった男は、いつのまにか育った童子僧と共に、山寺の平和な春の日を過ごしている。童子僧は、あの春の日の子供のように、魚と蛙と蛇の口の中に石ころを入れるいたずらをして明るい笑いを放っている。@innolife

spring1.jpg舞台は雄大な大自然に囲まれた湖上に浮かぶお寺。お寺は風によって湖上を移動している。陸へ上がる際は、凍結する冬以外はボートを漕いで行く。自然の四季を通し、この寺で生きる人間の生から死に至るまでの過程を心で見て感じる作品。監督他作の人間の暗部をえぐるような作風ではなく、全ての善悪を受け入れる包容力のような温かさが感じられ、歩んできた人生が長いほど身に沁みる部分が多いと思われる。

文明社会から隔離されたこの寺は周囲の風景に溶け込んでおり、ここに生きる人間とはちっぽっけな存在で、自然の中で生かされているという印象を受ける。
キリスト教徒でもあるキム・ギドク監督は他作でも仏教的な小道具をよく使うが、宗教問わず仏教的思想は人間の生き方に通ずるものがある。各季節ごとに教訓があり、悟りにも近い穏やかさがある。心が洗われ、精神が鎮まる感覚に陥る。キム・ギドク作品でここまで癒された作品はない。挿入歌には「アリラン」が使われている。苦痛や哀しみが込められた歌声と新作「アリラン」に込めた監督の思いが重なり、感動が込み上げてきた。

他作品で感じるような嫌悪感や不快感はほとんどないが、顔に貼った「閉」の紙やスカーフでの顔の隠し方、など、キム・ギドク監督らしい奇抜なセンスは光っている。ファンとしては監督自ら削る氷のオブジェも見逃せないが、浮かぶお寺だけではなく、床一面に書かれた般若心経や装飾品、陸の入口でもある門も興味深い。

春夏秋冬そして春。輪廻のような繰り返し。人間の人生もまた繰り返される。歩んできた人生、これから歩もうとする人生についてもう一度考えてみたくなった。

<鑑賞> 字幕なし2009/12/24、英語字幕2011/8/19
初版:2009/12/30
最新版:2011/8/20

[サイト内タグ検索] キム・ギドク監督 パク・チア

14. ビューティフル <2008/韓> ★★★★★

キム・ギドク製作最新作「豊山犬」、監督最新作「アリラン」を鑑賞し、気分はすっかりキム・ギドク。 勢いに乗って過去の作品も観直し中。興奮冷め止まないうち記事書き直す予定なので、しばらくギドク関連作品が続くと思います。

beautiful.jpg
美しい/아름답다/Beautiful
2007/87min
ドラマ
原案:キム・ギドク
脚本/監督:チョン・ジェホン(長編デビュー作)
出演:チャ・スヨン「ノーボーイズ、ノークライ」「オガムド」「ヨガ学院
    イ・チョニ「ハミング」「10億」 
    チェ・ミョンスセブンデイズ」「10億」 「人を探します
映画祭:
2008 第58回 ベルリン国際映画祭 パノラマ部門 招待作品
2008 第22回 福岡アジア映画祭2008 上映作品
IMDb評価:6.6/10





beautiful1.jpg美しいが、幸せでないウニョン(チャ・スヨン)。どこへ行ってもついてくる男たちの負担になる視線と、女たちの嫉妬と誤解が彼女を孤独にしている。
ある日、彼女のストーカーの1人ソンミン(キム・ミンス)から、背筋も凍るような強姦に遭い、彼から衝撃的な言葉を聞いてしまう。「あなたがとても美しいので、そうしました」衝撃を克服することができないウニョンは、全ての不幸は、自分が持った美しさのためだと考えるようになる。そして、その不幸を呪いながら、破滅の道を進むようになる。そんな彼女をせつない目で見守る一人の男ウンチョル(イ・チョニ)は、彼女の周りをウロウロし始める。@innolife

本作が長編デビュー作となるチョン・ジェホン監督は韓国美術界の巨匠キム・フンス画伯の外孫で、幼い頃に美術を学び、高校時代には声楽を専攻、その後経営学を学び、映画の演出を志すようになったという特異な履歴の持ち主。キム・ギドク監督作品「絶対の愛」「ブレス」の演出部を経て、キム・ギドク師団の中では初めてキム・ギドクフィルムで監督デビューをした。

ウニョンは誰もが羨む美貌の持ち主だが、女性からの嫉妬は強く、孤独な人生はあまりにも惨め。ストーカー被害の末、処女まで奪われてしまったウニョンだが、犯人との対面の際の言い草は「君が美しすぎて…」だった。そんなウニョンを影で支える警官までウニョンの魅了にハマってしまい、ついに欲望を抑えきれなくなってしまう…。

beautiful2.jpg何度観ても強烈で、大好きな作品。怒涛のごとく押し寄せるラスト10分の衝撃は何度観ても度肝を抜かれる。
キム・ギドク原案らしく容姿至上主義を痛烈に皮肉る内容、しかしながら、キム・ギドク原案としてはわかりやすくストレートな描き方。とはいえ、究極の愛の結末は評価が分かれるであろう作品。

キム・ギドク監督作品同様、強姦シーンがよく出てくる。無条件に嫌悪感を抱く女性は多いはず。しかしながら、ギドク作品の良い点としては、強姦という事件だけを描くのではなく、犯す立場と犯される立場両者の心理を客観的に捉えているところにある。犯され身も心もボロボロになっていく女性と同時に、良心の呵責に苦しみ警察に自首するストーカーや理性を抑えようともがき苦しむ警官の心理までも描き込んでいる。犯された女性だけが必ずしも被害者ではないという側面も見えてくる。

整形によって手に入れた美貌なのか生まれもったものなのかは言及されてはいないが、彼女が気になるのは周囲の視線だけであり、内面を磨こうとするわけでもない。外見ばかりに気をとられるのは、内面からの輝きがないからだということにも気がつかない。男性に見られることが快感だったウニョンだが、強姦を境に「醜くさえなれば…」と極端なまでに過食や拒食に走る。そして、男の幻想に悩まされ、精神が病んでいく様をほぼ無名だったチャ・スヨンが見事に演じている。その後数々の作品に出演しているが、本作ほどの熱演は見られない。

芸術家出身のキム・ギドク監督は細かい美術品一つ一つにも抜かりないが、本作は、よく言えばスタイリッシュだが、どこか冷たいという印象は否めない。最新作「豊山犬」でも同じ印象を受けた。本作に関してはその冷やかさが、恐怖心を更に引き立てるという幸いしていい方向に作用している。
キム・ギドクは数枚のシナリオだけを渡し、監督が脚本を作り上げたと言う。どこまでがキム・ギドクの案で、どこからが監督の案なのか境目がわからないほど、師匠の独特な世界観を貫いている。もしかしたら監督なりに色を付け加えた部分がストレートで観やすさの要因となっているのかもしれない。

<鑑賞> 2009/10/30、英語字幕 2011/8/19

初版:2009/11/1
最新版:2011/8/21


182. 彷徨の日々 <2007/韓> ★★★★

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彷徨の日々/방황의 날들/In Between Days
2007/80分/ドラマ/15歳以上
監督/脚本:キム・ソヨン(長編デビュー作)「木のない山
製作/脚本/編集:ブラッドリー・ラスト・グレイ(Bradley Rust Gray )
出演:キム・ジソン、カン・テグ 
受賞: 
2006 第32回 LA批評家協会賞 独立映画賞
2006 第22回 サンダンス映画祭 審査委員特別賞
2006 第56回 ベルリン国際映画祭 FIPRESCI賞 
言語:韓国語、英語
IMDb評価:5.9/10






between1.jpgエイミは、母と韓国からカナダに移住していくらも経たない。ろくに英語も話せず、学校にも馴染めない。彼女の唯一の友人は、同じく韓国からカナダに来て間もない同世代の青年トゥランだけだった。しかし、唯一言葉の通じるトゥランには友情以上の想いが芽生えるようになってきた…。

監督は12歳で家族と共にロスへ移住している。ご主人のブラッドリー・ラスト・グレイと4本の長編映画を共同制作をしている。本作がデビュー作であり、「木のない山」、旦那さん監督の「エクスプローディング・ガール」は日本では映画祭で上映されている。

新しい海外生活での少女の複雑な心理を描いた作品。目標を見失い流されていく様、夢と現実とのギャップ、絶望感、不安感、孤独、そして心の彷徨がリアルに描かれている。ご夫婦が手掛けた作品はどれも孤独や現実の厳しさをテーマにして、どれも興味深い。その中でも、監督自身の経験が投影されていると思われる本作が一番説得力があり、心に響く。

between.jpg子供の国際化教育なのか海外逃亡なのか、エイミーと母の移住の理由は述べられない。エイミーは英語もろくに話せず、授業にもついて行けず、いつも絵を描いて過ごしている。カナダ社会にもまったく溶け込めていない。自分から馴染もうとする気力もなく、全てのことを拒絶するかのようにいつもコートーのフードを被っている。そんな彼女が唯一心を許しているのは韓国人の男友達であった。自ずと友情は恋愛感情に変わっていくが、関係がこじれることを恐れ、素直に告白することもできない。そうこうしている間に、トゥランはアジア系の女友達と親しくなり、エイミーとトゥランの歯車は更に狂い始める。

母親ともうまくいっているようには見えない。学校のことなど初めは気に欠けていたが、徐々に薄れてきているのが見て取れる。新しい彼氏ができて、娘が悩みを抱え、学校を退学したことに気付くわけもない。

さほど裕福ではなく、移住の目的は娘の国際化教育ではなく、おそらく母親の身勝手であろう。海外移住に夢ふくらませていたのかもしれない。そんな夢見がちな母に付き合わされ、振り回されているエイミーは、雪道をコートのフードを被り、一度も笑顔を見せない。片意地を張り、涙すら見せない。男友達トゥランのことを「オッパ」と呼ぶこともなく、彼女自身が壁を作り微妙で曖昧な関係だったのかもしれない。クローズアップが多く、エイミーのやり場のない思いが胸に突き刺さる。

<鑑賞> 2010/5
初版:2010/5/15
最新版:2011/8/10


252. 晩秋 <1981/韓> ★★

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晩秋/Late Autumn
1981/95min/韓国 
ドラマ、ロマンス
監督:キム・スヨン
脚本:キム・ジホン
出演:キム・ヘジャ、チョン・ドンファン
IMDb評価:2.8/10

韓流度 ★
催涙度 なし
映像美 ★






late2.jpg殺人罪で服役中のヘリムは刑期がまだ2年残っているが、模範囚だったため母の墓参のための特別出獄を許可される。看守付きで江陵行きの列車に乗ったヘリムは、ボックス席である青年ミンギと会い、恋に落ちる。しかし、ミンギは犯罪組織に巻き込まれ、警察に追われており、一緒に逃げようと持ちかける。ミンギの提案を断り、服役終了後の2年後に会うことを約束し、刑務所に戻り刑期を全うすることにする。そして、約束通り待ち合わせ場所へ出向くが、ミンギは警察に捕まり、刑務所に送られたと知る…。

母なる証明」の母役のキム・ヘジャとドラマ「秋の童話」「冬のソナタ」「春のワルツ」でお馴染みのチャン・ドンファンの映画デビュー作となる。2人ともお若い。
late1.jpg
オリジナルはイ・マニが監督を務め、韓国映画史に残る不朽の名作といわれているが、残念ながらフィルムは現存していないため鑑賞不可能。脚本だけ残っておりその後4回リメイクされている。ヒョンビン出演の最新版は11月日本公開予定。

1966年 韓国 『晩秋』    イ・マニ監督 (オリジナル版)
1972年 日本 『約束』    斉藤耕一監督
1975年 韓国 『肉体の約束』 キム・ギヨン監督
1981年 韓国 『晩秋』    キム・スヨン監督
2010年 韓国 『晩秋』    キム・テヨン監督 (ヒョンビン主演)


2人の共通点は“孤独”であり、惹かれ合う様を描くロードムービー。複雑な2人の状況ゆえ、感情を抑えた演技ながら、情熱を燃やす恋物語は晩秋の紅葉でのラブシーンが印象的。裸は代役と思われるが、代役を使ってまでヌードのシーンを入れなくてもよかったように思う。冒頭から哀愁が漂い、ラストは悲壮感が突きつけられる。

日本でもリメイクされているので、おそらく観てる方も多いのでは?
韓国版4作品の脚本はキム・ジホンが担当しており、私が観たキム・ギヨン監督版と本作を比較するとストーリーや設定、構図に大差はなく、対照的な演出に監督のカラーが強くでていると感じる。キム・ギヨン監督版はアレンジをたっぷり加え、ヘリム、看守、祈祷師といった女性に強烈なインパクトがある仕上がりに対し、本作スヨン版は、文芸監督といわれるだけあり、原作を忠実にリメイクしたと言われている。かなり観やすいが、その分、面白味に欠ける。キム・ヘジャの個性もあまりでていない。

<鑑賞> KMDb配信にて 2011/7/10

[サイト内タグ検索] キム・ヘジャ キム・ギヨン監督

251. ヘファ, ドン (原題:혜화,동) <2011/韓> ★★★

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ヘファ,ドン/Re-encounter
2011/107min/韓国
ドラマ
監督/脚本:ミン・ヨングン(長編デビュー作)
出演:ユ・ダイン、ユ・ヨンソク 


韓流度 なし
催涙度 ★★★







re1.jpg18歳高校生の時に妊娠してしまったヘファ。妊娠を知ると交際していたハンスは忽然と姿を消してしまい、ヘファは1人で出産した。しかし、赤ちゃんは出産後亡くなってしまった。月日は5年経ち、ハンスがいきなり現れた。しかも、死んだと思っていた赤ちゃんが生きているという…。

インディペンデント映画のヒット基準といえる、観客動員数1万人の大台を超えた本作。ハンス役の青年は「オールド・ボーイ(03)」で子役デビューしたユ・ヨンソク。ヘファ役のユ・ダインは出演作は多数あるものの、初の主演作品。俳優への固定観念なしに新鮮に観られる。

re2.jpg
1人捨て犬の世話をしているヘファ。かつて恋人に捨てられた自分を癒し、救えなかった赤ちゃんへの罪滅ぼしをするかのようでもあり、切ない。5年ぶりに現れたハンスに「子どもに会いたいだろ?」と言われ、動揺し始める。
「タイトルの“ドン”は、韓国語で子どもを意味する“童”、舞台となった“冬”、心の動きを表す“動”など、さまざまに解釈できるよう、 あえて漢字をあてなかった」と監督は言う。台詞は少なく、地味な演出で、本来韓流映画に多くあるような見え見えの泣かせる演出はないが、自身の母性に気付き、揺れる心の動きを表す“動”を強く感じる演技力には自然と涙が出た。

英題のRe-encounterとは再対峙と訳すべきだろうか。封印してきた5年前の過去との再対峙。その相手は、自分を捨て、憎んできたハンスでもあり、死んだはずの赤ちゃんが生きているという事実でもある。未成年の出産、養子問題、海外留学といった社会問題にも触れており、感慨深い。まだ若いのに母は強し。

<鑑賞> 字幕なしのため、理解度70% 2011/7/5

[サイト内タグ検索] 日本未公開

239. (未) フェティッシュ (原題) <2008/米>

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Fetish
2008/90min/アメリカ
心理スリラー
監督:ソン・スボム(長編デビュー)
出演:ソン・ヘギョ、アルノ・フリッシュ、Athena Currey
言語:英語、韓国語
IMDb評価:6.6/10

<あらすじ>
断ち切ることのできない運命、その中に隠された致命的な欲望…

代々継承された世襲巫女の血を受け継いだ女性スクヒ(ソン・ヘギョ)。彼女は巫女の運命を避けるために、韓国系米国人ピーター(ロブ・ヤング)と見合い結婚をして、逃げるように米国に発つ。
全てが目新しい環境でスクヒは、篤実なキリスト教信者の夫と姑に従って教会にも行き、隣りに住む若い夫婦ジョン(アルノ・フリッシュ)とジュリー(Athena Currey)とも交流して、米国で新しい人生を始めるために努力する。
しかし巫女の運命は間違いなくスクヒの足を捉え、巫女の周囲の人々は死を迎えるという俗説のごとく突然夫と姑を失う。スクヒはますます迫る運命の陰から抜け出すために、自分自身を捨てて隣家の女ジュリーの全てにしたがって、秘められた欲望に目を開き始める…(by innolife.net)

<レビュー>
そもそも、巫女のような霊能力はどこへ逃げようと能力が薄れるわけではないだろう。アメリカに逃げれば巫女の運命を避けられると考えること自体が大間違い。どこへ逃げようと、どんなに努力しようとも巫女の運命はつきまとうはずである。
“巫女の周囲の人々は死を迎えるという俗説”のごとく向かえてしまった夫の死。運命を避けてきたはずで恐れてきたことであろうに、死をごく当たり前のように受け入れており、スクヒは強かである。姑の死でその強かさは更に増していく。
夫と姑を失ったスクヒは隣に住むアメリカ人夫妻の所に居座るようになり、私生活まで踏み込むようになる。勝手にプールを使ったり、韓国料理を作ったり、ジュリーに黒髪にするよう命じてしまう。2人ともロングの黒髪に同じ真っ赤な口紅までし、一見どっちがどっちかわからず、観ている側も惑わされる。何をしでかすのかわからないスクヒの行動をミステリー的に見せているが、巫女とは無関係なエピソードばかりである。巫女のエピソードなしでは韓国人女優を起用しても東洋らしさが見えない。

本作は映像物等級委員会等級審議7つの部門の中で選定性、主題、暴力性などで高い等級を受け、「主題、内容、セリフ、映像の表現で直接的で刺激的に表現しており、青少年には観覧を許容しない映画」という理由から青少年観覧不可等級が与えられている。韓国映画に多い性描写はほとんどなく、高い等級を受けている暴力性も取り立てて騒ぐほどでもない。一番問題となる“直接的で刺激的”な表現はおそらくドラッグ使用シーンであろう。韓国映画でドラッグを吸うシーンは観たことがないので、全く異なるセンスの刺激はむしろ新鮮に見える。

ニューヨークで活動されている韓国人ソン・スボム監督の長編映画デビュー作であり、ソン・ヘギョの海外デビュー作。アメリカ独立映画ですが、監督、主演共に韓国人なので、韓国にカテゴライズしています。

<鑑賞> 韓国語字幕 2011/1/17
[サイト内タグ検索] 日本未公開

237. ペパーミント・キャンディー <1999/韓> ★★★

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박하사탕/Peppermint Candy 
1999/130min
監督:イ・チャンドン「グリーンフィッシュ」「シークレット・サンシャイン」「
出演:ソル・ギョングムン・ソリ、キム・ヨジン
IMDb評価:7.7/10

韓流度 ★★
社会度 ★★★★

人は死ぬ時、過去が走馬灯のように蘇るというけれど、本作はまさに命を断つ瞬間に蘇る過去の出来事を描いた映画である。自殺を決意したヨンホは鉄橋の線路に立ち、自らの20年間を振り返る。韓国社会を背景に3日前、5年前、12年前、15年前、19年前、20年前というふうに現在から過去へと遡る逆順構造型、7章で構成されている。一体彼に何があったのか?何が彼を自殺までに追い込んだのか?観ているうちに「あ~そういうことだったのか」という瞬間が何度も訪れる。
candy1.jpg
章と章の間、列車が走る映像が使われていますが、併走する車や人々が後ろ向きに走っているので、巻き戻し映像だということがわかる。彼の運命とは列車のように敷かれたレール、すなわち時代に翻弄された人生を歩んだということだろうか。韓国は79年から99年までの20年間で、戒厳令の軍政国家から民主主義国家へと大きく生まれ変わっていった。ヨンホの場合、光州事件で自分の意思とは関係なく手を汚してしまった。そこから生まれた社会や人に対する不信感や絶望感。社会の変動が個人に与えた影響の大きさは計り知れない。こういった影響をどう受け止めるかで人生も大きく変わってしまうのだろう。

しかしながら、最終的に個人を支配するのは自分の意思である。妻との結婚や警察官になったことは間違った選択であり、罪悪感を感じていた。軌道修正にも悉く失敗している。罪深くもあり、愚かでもあったがゆえに自らの意思で自殺を決意している。

「人生は美しい」がキーワードとなっている。人生を絶つ直前に振り返りたくなるのは美しかった人生なのであろうか?美しかった人生の始まりにはペパーミント・キャンディーとの出会いがあり、「純粋」を暗喩しているように思える。「純粋」だった頃の良き思い出にはいつもペパーミント・キャンディーがあった。年を重ねれば重ねるほど忘れてしまう純粋な思いを変わらずに持ち続けることの難しさ。そして、大切さ。逆順構造型で描くことによって内に秘めていた思いや何が大切なのかが際立っているように思えた。

ヨンホより人生経験の浅い私には「人生の美しさ」がまだわからない。彼ほどの絶望を経験していないから本当の美しさを見極めることがでいないのかもしれない。ヨンホの年齢に近づいた時にまた観直したいと思う。

日本大衆文化が完全禁止されていた韓国において、98年秋にやっと一部解禁された。日本ではさりげなくニュースにされた程度だったけど、韓国にどっぷりハマっていた私には大ニュースだった。本作が日韓合同第1作目である。解禁直後は韓国も日本文化に溢れていたけど、今はどうだろうか。アジア全体が韓国ブームにおされて、日本文化は残念ながら廃れてしまっているような気がする。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/28

235. 浜辺の村 <1965/韓> ★★

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浜辺の村/The Sea Village
1965/91min/モノクロ
原作:オ・ヨンス
監督:キム・スヨン(金洙容)
出演:シン・ヨンギュン、コ・ウナ、ファン・ジョンスン

衝撃度 ★★
官能度 ★★

浜辺の村の漁船が出漁して波風にあって戻らなくなると,村には未亡人たちがどんどん増えていく。ヘスンもそんな未亡人のひとりだ。姑と二人きりで暮らす彼女は,ある日,炭焼き仕事をするソングと肉体関係を持って,ついに彼と再婚して陸に行く。しかし,ソングも徴用で引っ張られるようになり,彼女はまた浜辺の村へ戻る。その後,気が狂った彼女は,海が見える山に登って戻るあてのない夫を待つ。(シネマコリア)

キム・スヨンとはキム・ギヨン、シン・サンオク、ユ・ヒョンモク、イ・マニらととも韓国映画界の黄金時代である1950~1960年代を支えた人物。文芸作品を得意とし、「浜辺の村」と「霧」は特に評価が高い。韓国の映画監督中、最多記録を誇る(1998年現在)。

旦那の大半は漁師であり、妻たちは安全を祈願しながら旦那の帰りを待つ。しばし祈祷師も登場するが、未亡人は増える一方である。生計を立てるために自ら海女となり海に潜る。彼女たちとって海は男たちが命を落とした場所でもあり、波の音が男たちの声だとさえ言うものもいる。その声を聞きながら海へ潜り、海辺で生活する女たちはたくましくもあり、叙情的でもある。

人前で肌着になるのが恥ずかしいとされる時代でもある。肌着で海に潜ることを毎日していると麻痺してしまうのか、あまりにも開けっぴろげな性に関する台詞に圧倒される。今でもここまできわどい台詞はお目にかかれない。
性描写はないにしても、隣の部屋に義理の母親が寝ているのを知りながら、夜中に未亡人の寝室に忍び込んでしまうことにも驚かされる。しかしながら、キム・ギヨンやシン・サンオクのような毒々しさはない。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/8


[サイト内タグ検索] キム・スヨン監督

233. ビー・デビル(原題:キム・ボンナム殺人事件の顛末) <2010/韓> ★★★★

devil2.jpgdevil5.jpg
キム・ボンナム殺人事件の顛末 김복남 살인사건의 전말/Bedevilled
2010/115min
監督:チャン・チョルス 
出演:ソ・ヨンヒ、チ・ソンウォン 
 
邦題のセンス ★★★★
哲学度     ★★★
衝撃度     ★★★
残虐度     ★★★★

<あらすじ>
銀行で非正規職として仕事をするヘウォンは,休暇をもらって,幼い時しばらく住んでいたム島へ向かう。幼い時からの友だちポンナムがヘウォンを歓待するが,他の島の住民たちはヘウォンの訪問を喜ばない。ポンナムの配慮で安らかな休暇を楽しんでソウルでのストレスを忘れ去ったヘウォンに,ある日からポンナムの島生活が見え始める。三日に1度は夫に殴られ,一日中奴隷のように仕事をし,それだけでなく肉欲に執着する義理の弟に性的な虐待まで受けているのだった。だが,より一層驚くべきことは,島の人々が皆ポンナムの置かれた状況を無視することだ。ヘウォンもまた,自分と娘をソウルに連れていってくれというポンナムの丁寧な頼みを冷たく断ることになる。もはやム島でポンナムを支援する人は誰もいなくて,ポンナムは,この島で最も弱い存在になってしまう。眩しく太陽の光が照りつけるある日,ポンナムは,鎌を取り上げる。そして,しびれるように痛く,狂ったように残酷な血の色の復讐が始まる。

<レビュー>
チャン・チョルス監督の長編デビュー作。2011年春、日本劇場公開予定作品。
全く興味なかったけど、監督がキム・ギドクのお弟子さんだったと知り胸を弾ませながら鑑賞。作風は異なるものの、見せ方やメッセージ性、後半の暴力描写はキム・ギドクを彷彿とさせる。かなり乱暴な性的虐待、鎌による肉体切断、それに伴う血しぶきといった残虐描写は女性向けな映像でないですが、キム・ギドクのような毒々しさもなく、意図もストレートでわかりやすい。
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子供の頃に隣人から性的暴行を受けていた女性が20年後にその隣人を殺害するという事件、十数人の男子高生から性的暴行を受けていた一人の女子高生が加害者にされ、男子高生が咎められずに釈放されたという事件など実際に起きた事件をモチーフにしたとか。

邦題は「ビー・デビル」。性的虐待やスプラッター、肉体切断といったストレートな映像だが、一体誰が本当のデビル(悪魔)なのかわからなくなる。それ以前に、何が正しく、何が悪いのかすら混乱させられる。「傍観者がいる限り、加害者は絶えない」という監督は、"傍観者"の視点で描いているのです。

暴行を見て見ぬフリする傍観者、人殺しを見て見ぬフリする傍観者。傍観者という第3者の存在についてここまで冷淡に描いた作品は私にとって初めて。傍観者=非関係者だと思っていた自分が恥ずかしく思える。何もせず、助けなかった傍観者もまた罪なのである。

見て見ぬフリ。誰にでもあるのでは?痛いとこをつかれた気分。
罪の意識はなくとも、傍観者も加害者に加担している場合もあるということにショックを受けた。さすが、キム・ギドクのお弟子さん。なかなか私好みの作品でした。

主演のソ・ヨンヒにも驚かされた。化粧やキレイに着飾るどころか、畑仕事で日焼けした肌に、モンペ姿。一皮むけて、いい女優さんになられましたね。

<鑑賞> 2010/11/29

232. 豚が井戸に落ちた日 <1996/韓> ★

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豚が井戸に落ちた日/ 돼지가 우물에 빠진 날/ The day a pig fell into a well
1996/114min/韓国
原作:ク・ヒョソ 「面識のない夏」
脚本/監督:ホン・サンス
出演:イ・ウンギョン、キム・ウィソン、ソン・ガンホ

韓流度 なし
芸術度 なし
社会度 なし
感動度 なし
催涙度 なし
衝撃度 ★

<あらすじ>
立派な小説のひとつも出版できない30歳代の三流小説家キム・ヒョソプは, ポギョンという名の人妻と愛に陥っている。しかし,ヒョソプには,彼を尊敬し小説家の妻を夢見て何かと尽くすミンジェという女の子がいる。ポギョンの夫ドンウは,平凡なサラリーマン。小心者ながら潔癖症のドンウは,常に出先で妻のことが心配になる。ミンジェが切符売りをする映画館の職員ミンスは,彼女に片思いをしているが,その執着は異常だ。

<レビュー>
“韓国のゴダール”“エリック・ロメールの従弟”などと形容され大絶賛されるホン・サンス監督のデビュー作である。作家性と乾いた映像表現が高い評価を得ている。日本でも特別上映されることがあるからファンも多いのでしょう。私は苦手な監督なのですが、大絶賛の記事を読んではついつい観てしまい、その度に後悔させられる。もしかしたら昔の作品は今とは作風が違うかもと淡い期待を抱きながら観たが、デビュー作から一貫して同じスタイルを貫いてるようである。

冴えない小説家の男性。その不倫相手の女性。潔癖症で不倫妻を持つ旦那。小説家に思いを寄せる女性。オムニバス形式で4つの話は独立して進み、なかなか全体像が見えない。最後の最後でパズルのように明かされていく。とはいえ、あまりにも淡々と進み過ぎるストーリーは結局何が言いたいのかわからない。後からあらすじを読んで、そうだったのか。と納得させられるシーンが多い。

だらけた日常を、しかもどうでもいいことをねちねちと掘り下げていくスタイルは一貫している。出演者には当日台本を渡し、即興でやらせるのは有名だが、本作はあまりにも感覚的。毎度のことだが、いきなり挿入される激しいセックスシーンも意味不明。タイトルの意味は韓国語の慣用句かと思い調べたが結局わからない。

収穫は想定外のソン・ガンホの出演だった。ほんの少しの出演でも初々しい姿が見られただけでも観て損はなかったかな。

<鑑賞> 英語字幕 2010/11/21
[サイト内タグ検索] ホン・サンス監督

229. ハッピー・エンド <1999/韓> ★★★

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ハッピー・エンド/해피 엔드/Happy End
1999/99min
脚本/監督:チョン・ジウ  
出演:チェ・ミンシクチョン・ドヨンチュ・ジンモ、ファン・ミソン、チュ・ヒョン
受賞:
2000 第1回 釜山映画評論家協会賞 主演女優賞(チョン・ドヨン)
2000 第53回 カンヌ国際映画祭 批評家週間 招請
2000 第20回 映画評論家協会賞 新人監督賞,主演女優賞(チョン・ドヨン)
2000 第45回 アジア太平洋国際映画祭 主演男優賞(チェ・ミンシク
2000 第8回 春史映画芸術祭 主演女優賞(チョン・ドヨン)
2000 第37回 大鐘賞映画祭 主演男優賞(チェ・ミンシク),助演男優賞(チュ・ジンモ
2000 第14回 英国 リーズ国際映画祭 審査委員特別賞
IMDb評価:7.0/10

純愛度 なし
官能度 ★★★★
衝撃度 ★★★
感動度 ★★
催涙度 ★
演技力 ★★★★★

<あらすじ>
妻の不倫によるぞっとする異常な進行を描いた世紀末痴情劇。チョン・ドヨンの果敢なベッドシーンで注目され,興行的にも成功した作品。

6年間勤めた銀行を整理解雇されたソ・ミンギは,英語学院を運営する妻チェ・ボラの稼ぎに頼って久し振りの閑静な時間を送っている。忙しい妻の代わりに5ヶ月になる娘ソヨンの面倒をみながら,古本屋で小説を読んだり, 料理の本を開いて食べ物を作ったり, ゴミの分別回収の要領も体得していくミンギ。一方,ボラは,大学時代の恋人で軍入隊で別れたキム・イルボムに偶然に会い,夫に隠れて彼と常習的な出逢いを繰り返している。ミンギは,妻の不倫に気がついて,ほどなく彼らの密会場所のイルボムのオフィステルまで探り出すようになり,彼ら三人の互いに違う欲望が緊張を起こし始める。互いに違うハッピーエンディングを夢見る彼らの愛情,執着,殺意の三角関係は,予想できないエンディングに向かい駆け上がる。


<鑑賞> 字幕なし 2010/10/30

<レビュー>
当時、ベッドシーンが話題になっていた作品。観たいけど、チェ・ミンシクのベッドシーンはちょっとなぁ、、、なんて思いながら10年も経ってしまった。実際はチェ・ミンシクのベッドシーンはない。話題になっていたのはチャン・ドヨンのオールヌードだったのだ。冒頭から扇情的なベッドシーンに圧倒される。今観ても濃厚だと思うのだから、99年なら尚更だろう。「下女」のチャン・ドヨンはずいぶん大胆に脱いだものだと関心していたが、すでに本作でここまでこなしていたのなら、何でもできちゃうわね。愛人役には「霜花店」のチュ・ジンモ
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よくある不倫映画かと思ったら、不倫しているのは妻という男女逆転型であった。失業中の夫ミンギが家事全般を担い、妻ボラが家計を支えている。更に愛人イルボムに会社のホームページデザインを任せ、彼をも養っているのだ。夫はヨン様のテレビドラマ<愛の群像>(原題:私たちは本当に愛したのだろうか)に夢中で、牛乳パックを切り開いてゴミに出すなど、完全に主婦化している。しかし、車内に落ちている高速道路の領収書などから薄々と浮気を感ずいてしまった夫。ショックのあまりしばし抜け殻のようになるが、走行距離を日々ノートに記録するなど、妻の行動をチェックし、愛人宅まで突き止めてしまうのだ。このへんまではよくある不倫映画だ。面白くなるのはこれからなのだ。

タイトルは「ハッピーエンド」。ハッピーエンドの意味をストレートに捉えてしまうととんでもない結末に度肝を抜かされる。後半30分で夫の恐るべき復讐劇が繰り広げられるのだ。不倫の事実を知り殺意を感じ始めた夫が起こした行動は狂気的ではるかに予想を超え、結末が気になり目が離せなくなる。

↓以下、ネタバレします

227. 秘愛 Seacret Love <2005/韓> ★★★

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愛人 애인/The Intimate
2005/98min
監督:キム・テウン 
出演:ソン・ヒョナ、チョ・ドンヒョク 

<あらすじ>
女は,同じエレベーターに乗った魅力的な男に妙な気持ちを感じる。同じ日,パジュ(坡州)ヘイリでの再度の偶然,小心で静かな自分に軽く誘いをかけてくる男が嫌いではない。堂々としていて愉快な男にあまりにも簡単に引かれてしまった彼女は,即興的にセックスを許諾するようになる。7年付き合った男がいて,彼との結婚を控えているのに初めて見た男に度々引かれる理由は何だろうか。悩むには,彼と送れる時間があまりにも短い。一目で相手を確かめて,一気に愛を感じて愛を確認する女と男。一日という短い時間に,互いに溺れてしまった女と男。果たして私の男に知られず,恋人を胸深く隠せるだろうか。

<レビュー>
近年の韓国映画はベッドシーンをウリにしている作品が多い。描写も年々エスカレートしていて、結局ベッドシーンしか印象に残っていない、、、なんてのも少なくない。本作は、2005年最も美しいとか激しいベッドシーンに選ばれていた。5年も前なので、最近のとは比にならないだろうと思ったが、期待を裏切られた。体のラインがキレイな2人だから、シャワーシーンはため息がでるほどキレイだった。女性向けな描写なので、男性には物足りないかもしれない。

7年の交際の後、結婚を控えた女性の戸惑いを描いている。婚約者の男性はもはや全く魅力はなく、マンネリ化した関係。完全に冷め切ってしまっている。「7年も付き合えば誰だって同じだ。一緒に住んであげてもいい」なんて言われれば、結婚に戸惑うのも無理はないだろう。どんな男性が現れても、こんな婚約者に比べれば素敵に見えてしまうだろう。刺激を求めるのか、安定を求めるのか、年齢や価値観によって答えは変わるでしょうね。互いに惹かれあっているのに素直に言えないのがもどかしく、愛情表現が性行為となってしまっている。こんなにも体を求めあうのは心に隙間があったからでは?

私とは違う主人公の決断が哀しく見えてしまった。

原題は「愛人」。中国では「配偶者」の意味になるが、韓国では「恋人」。日本では不正常な関係を指す。国によって異なる意味をなす「愛人」という文字を目にすると、いつも曖昧な単語だなぁって思っていた。まさに本作は曖昧な関係を描いた内容で、「愛人」の意味の深さに共鳴した。

<鑑賞> 字幕なし 2010/9
[サイト内タグ検索] ソン・ヒョナ

219. 破壊された男 <2010/韓> ★★★

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破壊された男(파괴된 사나이)
2010/ハードボイルド、ヒューマンドラマ
監督:ウ・ミノ
出演:キム・ミョンミン、オム・ギジュン、パク・チュミ

<あらすじ>
娘を失って … 俺は死んだ
神に対する揺るぎない信仰を持っていた牧師チュ・ヨンス(キム・ミョンミン)に、5才になる娘ヘリンが誘拐される事件が発生する。チュ牧師は娘が無事に帰ってくるよう切実に祈祷を捧げるが、結局娘は帰ってこない。
8年後、死んだはずの娘が“奴”と一緒に現れた!
今度こそ絶対に取り戻す!!
神に対する信頼を喪失したまま自分の全てを失ったチュ・ヨンス。娘が生きているはずだと信じて疑わず、最後までヘリンを見つけるという妻ミンギョンを無視し、堕落した人生を生きていく。
8年後、神に対する信仰も家族もすべて失った彼に、一通の電話がかかってくる。死んだものとばかり思っていた娘が生きている!8年の歳月を元に戻すことができるただ一度の機会…。娘を取り戻すためのチュ・ヨンスの必死の追撃が始まる。

<レビュー>
誘拐事件+宗教という点から「シークレット・サンシャイン」や「渇き」的な話しかと思いきや、ストーリー展開は「チェイサー」を彷彿させた。
冒頭ですでに誘拐事件は起きており、犯人も早々と明かされている。
娘は見つからないまま崩壊されていく家庭、牧師であった父親の堕落の後、8年という月日はあっという間に過ぎ、
犯人がまた現れる。
キム・ミョンミンの今回の役は意外であったが、犯人との心理戦によって狂い始める演技が素晴らしかった。
私の愛、私のそばに」で難病を演じた彼とは思えない変身ぶり。
一方、犯人役のオム・ギジュンは舞台には立たれているそうですが、本作が映画デビューとなる。
チェイサー」と比較してしまうと、出演者のインパクトは薄いかな・・・

牧師であっても所詮彼も人間。
神にも救えないことがあることを自ら実感している。
やっぱり信じられるのは神や牧師、警察ではなく、家族だ。

ストーリーはテンポよく進み、こちらに深く考えさせる余裕を与えてくれない。
観終わって改めて考えてみると、腑に落ちない点は多々ある。
誘拐されている子は犯人の家に監禁されているが、逃げるチャンスはいくらでもあったように感じた。
犯人と過ごしている時の表情にも怯えている様子はほとんどなく、懐いているように見えた。
韓国お得意のどんでん返しにどんでん返しな結末を期待しすぎたせいか、結末もどうも腑に落ちない。

チェイサー」はすごい映画だったことを改めて実感。

<鑑賞> 字幕なし 2010/8/29
[サイト内タグ検索] キム・ミョンミン

ハウスメイド <2010> ★★★★

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2010/ドラマ
監督:イム・サンス
出演:チョン・ドヨンイ・ジョンジェ、ソウ、ユン・ヨジョン

<あらすじ>
白無垢のように純粋な女、大邸宅の下女になる

離婚後、食堂で働きながら明るく生きているウニ(チョン・ドヨン)、乳児教育科を出た経歴のために遥かに身分の高い大邸宅の下女として働くようになる。完ぺきに見える主人フン(イ・ジョンジェ)、双子を妊娠中の洗練された妻ハラ(ソウ)、ウニを母親のように従う6才になるナミ、そして家のことを総括する年老いた下女ピョンシク(ユン・ヨジョン)との生活は、不慣れだが楽しい。
極度に親切な主人に出会った。

そんなある日、主人一家の別荘に同行することになったウニは、部屋に訪ねてきたフンの誘惑に引きずり込まれ、肉体的な関係をもち本能的な幸福を感じる。その後もウニとフンはハラの目を盗んで刺激的な関係を続ける。しかしさほど経たないうちにピョンシクが彼らの関係に感づいて、平穏だった大邸宅に得体の知れない緊張感が漂い始める…。

ついに露になった関係と、隠しきれない秘密…を囲んだ彼らの交錯した欲望が激しく衝突する!

<レビュー>
オリジナルは韓国を代表する故キム・ギヨン監督の1960年の傑作。
今観ても衝撃の展開で描き、当時、アジアで注目された作品だ。
妻の妊娠のために下女を雇うこととなり、その女との関係を持つという軸のコンセプトはオリジナルと同じだけど、設定や結末は異なっている。
一番異なるのは、前作は下女が誘惑していたが、今作は主人が誘惑している点だ。
前作の魅力は「男を破滅に導く魔性の女(たち)」にあったが、今作はどうだろうか?
下女ウニ(チョン・ドヨン)は魔性どころかむしろ被害者だ。
妻の母親が一番の魔性かもしれない。ウニが気の毒で仕方なかった。
チャン・ドヨンの表情が物悲しく、ハマリ役だった。
セクシーさを強調した衣装にしたそうだが、いやらしさはない。
ベッドシーンや入浴シーンで全身ヌードも披露しているが、演技力があるので、こちらもいやらしさは感じない。

オープニングの出来事に疑問を感じながら観ていたが、エンディングに見事に連結されていた。
前作は社会的時代背景をよく映し出していたが、今作は世相を反映させている。
何でもしてあげられる女、何でも欲しがる女、なんでも手に入れる女の欲望が衝突し、見応えはある。
エンディングの衝撃度は強いが、オリジナル版に比べると遥かに劣る。
美術品は相当豪華だが、前作のこじんまりとした家のほうが閉鎖的でスリラー度は高い。
別作品として観た方がいいかもしれない。

<鑑賞> 2010/7/18


206. ベストセラー <2010> ★★★

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ベストセラー/베스트셀러/Bestseller
2010/117分/ミステリー
監督:イ・ジョンホ(『スーパーマンだった男』などで助監督)
出演:オム・ジョンファ、リュ・スンリョン、チョ・ジヌン、イ・ドギョン、パク・サラン、チェ・ミョンス

<あらすじ>
「必ず再起しなければならない!」
10年余り大韓民国最高のベストセラー作家として君臨してきたペク・ヒス。発表した新作小説が、ある公募展の審査委員を引き受けたときの作品を盗作したという疑惑を受けたヒスは、一瞬にして社会的な名声を失い、結婚生活にまで支障をきたす。そして2年間、創作できない状況に陥っていたヒスは、昔からの友人で出版社の編集長の勧誘で華やかな再起を夢見て、娘ヨニとともに田舎の人里離れた別荘に向かう。

「ヨニ、ママが聞いてあげる。ママにみんな話してみて…」
彼女たちが訪ねた別荘。そこは堅く閉ざされた2階の隈、間欠的に家全体に響く奇怪な進攻音、作業室の天井に徐々に広がる黒いカビなど、理由が分からない背筋が寒くなるような雰囲気を漂わせて、ヨニは「お姉さん」と呼ぶ正体が分からない誰かと会話をし始める。創作に渇望していたヒスは、順次ヨニが話す別荘で起こった背筋が寒くなるような話に執着して、結局その話を小説として完成させる。そしてもう一度ベストセラー作家として再起に成功する。

「絶対盗作であるはずがない!私が明らかにする!」
しかしその話さえ、すでに10年前に発表された小説と同じ内容であることが明らかになり、彼女はもう一度盗作論議の渦中に立つ。絶対盗作であるはずがないと主張するヒスは、別荘にある何かが同じ文を書くようにさせたと信じ、盗作疑惑を脱ぐために村に降りて行く。そしてそこで自身の小説と別荘にまつわる、ミステリーな事件と遭遇する…彼女は隠された真実を追って必死に追跡を始める!

<レビュー>
珍しく盗作を題材にした作品。
歌手の盗作疑惑が蔓延しきっている韓国において、盗作ネタはいかがなものか?
歌手の場合、疑惑曲の活動停止程度の処分で終止符を打たれることが多いので、小説作家もそんなもんかと思いきや、この作品においてはたった一度の盗作で一気に名声を失っている。韓国での意外な盗作の扱い方に興味を惹かれた。この盗作疑惑が本作ではミステリー要素のツールとして使われている。

盗作疑惑をかけられた作家ヒスは人生の再起をかけて友人の別荘に引っ越す。この別荘が薄気味悪い。生活感がなく、きしむ床や薄暗い雰囲気に恐怖を煽る音楽。そして、山奥という環境。更に町の住人達の行動もなんかおかしい。銃で捕えた獲物のさばき方はグロテスクで、快楽殺人を連想させる。深夜に観ていたので、あまりの恐さに途中中断し、続きは明るい昼間に鑑賞することにした。

娘ヨニは自分には見えない誰かから聞いたという話を興味深く話し始める。半信半疑の母ヒスであったが、あまりにも面白い話で本として出版し、晴れてベストセラー作家に舞い戻ることになる。しかし、これもまた盗作疑惑をかけられてしまう。
想像力の豊かな方なら、容易に想像ついていたかもしれないが、私には衝撃的なヨニの身にふりかかった出来事。この出来事と娘ヨニの存在がミステリー度を更に深めていっている。

自ら盗作疑惑を晴らすために一つ一つ鍵が解かれるごとに別荘の薄気味悪かった理由も判明していく。一気にスピードが増して、目が離せなくなります。極限状態での狂気的な役は「オーロラ姫」を彷彿させたが、設定とキャラクターがうまくマッチしていて、面白さはこちらが勝る。
オム・ジョンファ、脱がなくてもいい役者さんだったのね。

<鑑賞> 字幕なし 2010/7/5


[サイト内タグ検索] チェ・ミョンス

204. ハハハ(夏夏夏) <2010> ★★

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ハハハ(夏夏夏)/ 하하하
2010/115分/ドラマ
監督:ホン・サンス
出演:キム・サンギョン、ユ・ジュンサン、ムン・ソリキム・ガンウ
受賞:第63回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 最高賞

<あらすじ>
二人の男が語る夏の統営での出来事
カナダに移民する決心したムンギョン(キム・サンギョン)は、先輩チュンシク(ユ・ジュンサン)に会って、清渓山の麓でマッコリを飲む。二人とも少し前、それぞれ統営に旅行したことが分かり、マッコリを飲みながらそこでの楽しかったことを一つずつ話すことにする。

ムンギョンの話。統営の観光解説者ソンオク
「統営にいる母(ユン・ヨジョン)の家に泊まることになったムンギョンは、統営を歩き回って観光解説者ソンオク(ムン・ソリ)に出会い彼女につきまとい始める。ソンオクの恋人で海兵隊出身のチョンホ(キム・ガンウ)とぶつかるが、ついにソンオクの心をつかむことに成功して、一緒に移民しようと説得までする。
チュンシクの話。統営に一緒に行った女ヨンジュ
チュンシクは結婚しているが恋人ヨンンジュ(イェ・ジウォン)がいて、一緒に統営に旅行してきた。恋人はチュンシクに、離婚して自分と結婚することを要求し、チュンシクは苦しむ。統営を訪れている詩人チョンホとは親しい間柄で毎日のように飲み歩き、チョンホの恋人でアマチュア詩人のソンオクとも知りあいになる。

酒の肴がわりに夏の出来事を話していた二人の男。しかし話を聞いてみると彼らは同じ人々に会っていた!ただ楽しかったことだけを話すというニ人の男の漫談のようなコメントが、清々しい統営で起きた二つのカップルと憂鬱な詩人の出会いを、微妙な色合いの絵の具で完成していく。

<レビュー>
男2人が夏の出来事を語り合う場面を白黒の静止画にすることによって、回想シーンがより強調されています。
静止画と動画切り替えのタイミングが絶妙。
この映画の題名は感嘆詞のハ、夏を現わす漢字のハ、笑い声のハを組み合わしたそうです。
観終わると、緻密に計算されてつけられたタイトルだということがようやくわかる。
タイトルと内容も絶妙にリンクしています。

ホン・サンス監督は出演者に本番当日まで台本を渡さないそうです。
予め役作りをせずに、自然な振る舞いを期待しているのでしょうかね。
この作品に限らず日常生活をありのままに描いているので、そのほうが現実味が増すのかもしれません。
確かに、現実に起こり得る話しで、生活感には溢れていますね。

アドリブも許さないそうです。
だからか、自由がなく、型にはまった感じで、窮屈に感じてしまう。
遊び心もないし、クライマックスもないし、私はこのスタイルがとっても苦手です。

カンヌに何度か出品していて、この作品でやっと「ある視点」部門 最高賞を受賞。
ホン・サンス監督のスタイルを真似る若手の監督たちが多いとよく聞きます。
一方では、ホン・サンス監督作品は以前よりはるかにやわらかくなり、一般観客にも見やすくなった、と。

残念ながら、私にはまだまだ見にくい作品でした。

<鑑賞> 字幕なし 2010/7/4

192. 秘花 ~スジョンの愛~ 原題:お!スジョン <2000> ★★★

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おぉ!スジョン 오! 수정/ Virgin stripped bare by her bachelors
2000/126分 白黒
脚 本/監 督: ホン・サンス 
助 監 督: パク・チャノク「パジュ
出 演: チョン・ボソク、イ・ウンジュ、ムン・ソングン
受 賞:
2000 第13回 東京国際映画祭/審査員特別賞 (Special Jury Prize)、特別言及賞 (Special Mention)
2000 第45回 アジア太平洋映画祭/脚本賞
2000 第1回 釜山映画評論家協会賞/最優秀作品賞,脚本賞
2001 第37回 大鐘賞/新人女優賞(イ・ウンジュ)
映 画 祭:
2000 第53回 カンヌ映画祭「注目するに値する視線」部門 公式招請
2000 第25回 トロント国際映画祭 コンテンポラリー・ワールド・シネマ部門
2001 第30回 ロッテルダム国際映画祭

<あらすじ>
1人の女性を間に置いた2人の男の三角関係を当事者それぞれの違った記憶から独特のスタイルで描いたホン・サンス監督の3番目の作品

妻の叔父が運営する小さなプロダクション会社のPDクォン・ヨンスは,家庭持ちだが,同じ会社のケーブルTV構成作家のヤン・スジョンと親しい仲だ。

ヨンスは, 映画を作るための金銭的な援助を受けるために,画廊を経営する富裕な独身の後輩キム・ジェフンの美術展をスジョンとともに見に行く。ところが,ジェフンは,初めて会ったスジョンに引かれ,頻繁に会うようになり,ついに真剣につきあってみたいと告白する。

情けなくて無能力なヨンスに失望したスジョンは,心を変えたのか,ジェフンに酒を飲むときだけの恋人になると話し,二人はますます近づく。

二人は,ますます近づいてセックスを試みた瞬間,ジェフンは,スジョンが処女であることを知って感激する。

<レビュー>
同じような映像、なのに微妙に違う描写に混乱しました。
当事者三人の記憶を元にしたということで、食い違う描写になった納得。
     第1部 「一日中待つ」 ジェフンの記憶
     第2部 「もしかしたら偶然」 ジェフンの記憶
     第3部 「宙づりのケーブルカー」 スジョンの記憶
     第4部 「もしかしたら意図的」 スジョンの記憶
     第5部 「相手さえ見つければ思いのまま」 第1部から第4部に続く完結編

助監督がパク・チャノクというのが興味深かった。「パジュ」は時間軸がはっきりしない場面が多く、この作品と通ずるものを感じた。
コンセプトを知らずの観たので、この場面さっき観たと勘違いをし、早送りをしてしまった。
途中で構成に気付き、見直したぐらいだ。

女性の視点(記憶)と男性の視点(記憶)を比較できるようになっている。
もうすでに曖昧になっている記憶なのだろうか?映像が食い違っているところが面白い。
人間とは、自分にとって都合の良いことだけを記憶し、悪いことは記憶から消去してしまう.
そして、自分にとって都合のいいように解釈する合理的な動物だということがわかる。
自分にとっては運命的な瞬間であっても、他人から見ればどうでもいいことだったり。

男女の脳の違いを理論的に証明しているかのよう。
人間の生体を鋭く描いているので、怖い作品でもありました。


[サイト内タグ検索] ムン・ソングン ホン・サンス監督

199. ヒマラヤ、風がとどまる所 <2009> ★★★★

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ヒマラヤ,風がとどまる所 히말라야,바람이 머무는 곳
2009/96分/ドラマ/12歳以上
脚本、監督:チョン・スイル 
出演: チェ・ミンシク 
映 画 祭: 韓国映画ショーケース2009 上映作
      チェコ カルロビバリ国際映画祭競争
      第44回カルロビバリー国際映画祭

<あらすじ>
43歳のチェは,偶然に弟の工場でネパール青年トルジの葬式を目撃する。そして,彼の遺骨を故郷に伝達してくれという要請を受ける。
ヒマラヤ雪山の麓の山の頂上,人里離れた所に到着したチェは,トルジの家族たちに彼が死んだとは言えず,友人として立ち寄ったという嘘とともに,トルジのお金だけを渡す。
韓国に帰らず,そこに留まるようになったチェ。米国に子供たちといる妻に電話をかけて,戻ってくる叱責に心が痛む。

<レビュー>
トルジの家は途中、高山病になるほどの高地にあり、たどり着くのは容易ではない。
台詞もほとんどなく、ヒマラヤの厳しい地形をひたすら歩くシーンがしばらく続きます。
アート系チョン・スイル監督らしく壮大な風景をとことん優先した描写です。
台詞の代わりに、吹く風や風について歌った村人たちの歌声、生活音や家畜の鳴き声が画面全体を支配している。

映像の大半は家畜の世話、日常の食事、老人の集まり、子供の世話、宗教行事などの日常生活を淡々と描いているだけだ。
でも、日本の一般生活とはあまりにもかけ離れており、文化に精通していない者(私も含め)には何を意味しているのか理解できないシーンも多々ある。
この感覚的な雰囲気やギャップを興味深く観れるかどうかで評価は分かれるでしょう。

会社をリストラされ、家族はアメリカに住んでいるチェ(チェ・ミンシク)。
絶望的な思いでネパールの地を訪れたが、この壮大な自然の中で生き抜く彼らの生活に比べれば、
チェの悩みなんて私にはちっぽけに思えてしまう。
そして、家族の大切さや有り難さ、存在意義がここにはある。

しかし、彼自身何を思い、何を感じ、何を得たのか、劇中で明らかにされません。
観る側の想像力に委ねられています。

風は死者の魂を運ぶとされている。
この村を支配している風、それはトルジの魂なのだろうか。

<鑑賞> 字幕なし 2010/6/24

[サイト内タグ検索] チェ・ミンシク

198. フー・アー・ユー <2002> ★★★

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フー・アー・ユー/후 아 유/Who are U ?
2002/102分/メロー
監 督: チェ・ホ 
出 演: イ・ナヨン、チョ・スンウ、イ・ジャンウォン、チョ・ウンジ  

<あらすじ>
63ビルディングを舞台に<ネットワーク世代>と呼ばれる若者たちの愛と夢,希望を描いた新しい形の<青春映画>

2002年,ソウルの63ビルディング。チャットゲーム<フー・アー・ユー>のプランナー,ヒョンテは,2年以上準備してきたゲームの公開を控え,ベータテスト参加者の反応を見回して心労焦燥しているとき,掲示板に<フー・アー・ユー>を誹謗するIDピョリの文を見つけて憤慨する。
彼女が同じ建物の水族館ダイバーということがわかって,ヒョンテは,ベータテスター・インタビューを頼みに訪ねて行き,一目でその魅力に陥ってしまう。
人魚ショーをヒットさせるために練習に熱中している水族館ダイバー,インジュ。一時は国家代表水泳選手だったが,ケガをした後は63シーワールドでダイバーの仕事をしている。彼女は,<フー・アー・ユー>インタビューのために訪ねたヒョンテから過去のボーイフレンドの面影を感じる。
ヒョンテは,メルロというアバターで自分を隠してインジュのゲームパートナーになって近づくが,オンラインと現実の両側で彼女を知っていく,きわどいゲームを楽しみながら,ますます彼女に惹かれていく。

<レビュー>
出会い系オンラインゲームを通じた恋愛物語はいかにも韓国らしく、世代によって意見が変わるでしょうね。
しかし、ゲームはただのツールにしかすぎず、どこにでもいる普通の男女が主人公。
ゲームに依存しているわけでもなく、極端に人との交わりを拒み希薄した人間関係を描いているわけではない。
温かみがあって、邦画に近い構成になっている。
個人的には韓国らしいヒネリが欲しかったけど、気軽に観れてこれはこれでよかったかも。

インジュ(イ・ナヨン)はIDメルロが気になっているが、ヒョンテ(チャ・スンウ)とIDメルロが同一人物だと知らないため、三角関係のような描き方をしている。
ヒョンテの職業でもあるゲームの開発者と聞くと、閉じこもってずっとPCにかじり付き、人と交わらない日常を送っているイメージがある。
チャ・スンウ自身、出演作「タッチャ」のせいかもしれないけど、私には軽薄で冷淡なイメージがある。
彼のイメージにぴったりな役どころだと感じていたが、実はこの作品では全く正反対な性格であった。
終盤にさしかかるにつれ人柄の良さがよくでていて、誠実で好感が持てる男性。
意外な一面を観れた気がした。
歌も披露している。ミュージカル俳優なので、さすがにうまく、熱がこもっている。

劇中に登場するチャット・ゲーム『フー・アー・ユー?』は製作費3億ウォンが投入されている。
世界でウケそうなゲームだけど、もう世に出回ってるのかしら?
2002年にこのレベルとは、さすが韓国。



[タグ未指定]

191. 暴風前夜 <2010> ★★★★

bouhuu.jpg
暴風前夜/폭풍전야/Love Panished
2009/104分/メロー(愛情,ロマンス)
監 督: チョ・チャンホ 
出 演: キム・ナムギル、ファン・ウスレ、チョン・ユンミン、ユン・ジェムン、キム・ジェロク

<あらすじ>
愛を失くした男スイン、こんな私でもいいですか?

信じていた愛の背信後、寃罪を受けたまま収監生活を送っていたスイン(キム・ナムギル)。ある日監獄で出会ったサンビョン(チョン・ユンミン)の助けで、命を賭けた脱出に成功して復讐を始めようとするが、復讐する対象が目の前から消えてしまう。世の中が終わりだと感じたとき、自分に似た女が度々目に映る。
愛を忘れ去った女ミア、あなたが誰であっても関係ありません
独りで海辺のレストランを運営するミア(ファン・ウスレ)。ただ愛だけが真実だと信じていたが、毒々しい愛が彼女に残したものは深い傷と悲しみだけ。心を堅く閉ざした彼女の周囲をうろつく男。秘密を胸に秘めてきた彼の姿に、彼女も知らないうちに心が傾く。

すべてが絶望だった彼らに、空言のようにまた愛が始まる…

<レビュー>
あらすじからはさほど興味はそそられず、キム・ナムギル見たさに鑑賞。
韓国での酷評を読んでいたので、全く期待していなかったのですが、いい意味で完全に裏切られました。
あらすじからは想像もつかない度肝抜かれるシーンが。。。
ミアの深い傷の原因は思いもよらないものでした。(続きを読むに記載します)

主人公たちは極端な設定だけど、災難を悲劇的に描くわけでもなく、憐憫な情を誘うわけでもない。
催涙性もなく、衝撃的なことですら淡々と描いて、韓流作品ばかりを観ている方には戸惑うでしょう。
万人向け映画ではないテイストは2度観ないと良さがわからないフランス映画のよう。

この監督さん、どっかで名前観たことがあると思ったら、キム・ギドク「悪い男」の助監督さんでした。
どうりで私好みなわけだわ。
スイン(キム・ナムギル)とミア(ファン・ウスレ)の演技が引き出されていました。
傷みを耐え抜き、心を閉ざすスイン。
メロドラマではあるけれど、紆余曲折のあった二人は人生も恋愛も順調に進むわけもなく、絶望的な状況下での二人の心境がよく描かれています。
舞台は済州島。さざ波や波しぶき、豪雨は二人の心境を代弁するかのよう。
それに音楽も重なって、不思議な心地いい空間になっていました。
哀愁漂うラストシーンも印象深いです。

<鑑賞> 字幕なし 2010/6/2

↓ネタバレあります
[サイト内タグ検索] キム・ナムギル

188. 秘密愛 <2010> ★★★

himitsu.jpg


秘密愛 비밀애
2010/111分/メロー、ミステリー
監督: リュ・フン 
出演: ユ・ジテ、ユン・ジンソ    

<あらすじ>
結婚後2か月で不意の事故で昏睡状態に陥った夫チヌを看護するヨニの日常は,枯れた花のように無味乾燥なだけだ。

そんなある日,長い外国生活を終えて,チヌの弟チノが帰国する。チヌとそっくりな顔とそっくりな声,すべてのものがチヌのようなチノの姿に,ヨニは紛らわしい中で微妙な震えを感じる。

チノも活気を失ったまま暮らしているヨニを見て,いつのまにか憐憫以上のものになってしまった自分の感情を隠せない。結局,お互いに惹かれていることを隠せない彼らの危険な愛が始まる。

しかし,彼らの危険な愛もしばし。昏睡状態に陥っていったチヌが,奇跡的に目覚め,三人の愛は,破局に突き進み始める。

<レビュー>
運命だと思い結婚した人が植物人間に。看病に疲れ果てた時に現れた夫そっくりな双子の弟。
彼を通して夫を見るようになってしまう。そして「秘密の愛」を育んでしまう。
予告編に期待を膨らませ鑑賞したけど、あらすじ通りのストーリーが一時間も費やしており、メインになったであろう三角関係シーンを短時間に無理やり詰め込んだ感が否めない。
修羅場的シーンにもっと重きを置いて欲しかった。

一番がっかりなのは、ヨニ演じるユン・ジンソの演技力のなさ。
看病に疲れ果てた様、双子の弟への愛情、夫への後ろめたさなどの感情が全く表現されておらず、終始同じ表情なのです。
外見で選んでしまった愛なのか、内面をも愛していたのか、理性と本能の葛藤や苦悩が全く見られず。

予告編ではフランス映画風アート性の強い作品に思えたけど、それはベッドシーンのみ。
局部はうまく隠されており、息をのむ美しさでした。

終盤、吊り橋のシーン。ロケーションといい、ユン・ジテの二役の演技といい、圧巻でした。

[サイト内タグ検索] ユン・ジンソ

181. 冬の小鳥 <2009> ★★★★

韓仏映画共同制作協定第1回作品。
韓国生まれのフランス人ウニー・ルコント(Ounie Lecomte)自身の経験に基づく物語。

yohennsya.jpg

旅行者/여행자/A Brand New Life / Une Vie Toute Neuve
2009/92分/ドラマ/12歳以上
脚本/監督: ウニ・ルコント 
制作者: イ・チャンドン「シークレット・サンシャイン
出演:  チニ:キム・セロン 
      スッキ:パク・トヨン
      イェシン:コ・アソン
      保母:パク・ミョンシン
      ク院長:オ・マンソク
      チニの父:ソル・ギョング 
      医師:ムン・ソングン
受賞: 
2009 第12回 ディレクターズ・カット授賞式 今年の新人監督賞(ウニ・ルコント)
2009 第23回 シネキッド映画祭 審査委員賞(ウニ・ルコント)
2009 第3回 アジア太平洋スクリーンアワード 最優秀子供作品賞(ウニ・ルコント)
2009 第22回 東京国際映画祭 アジア映画賞(ウニ・ルコント)
映画祭:
2009 カンヌ国際映画祭 非コンペティション部門

<鑑賞> 字幕なし 2010/5/12
<レビュー>
少女の視線の高さに合わせた撮り方。お父さんが一緒にいるのに、なかなか顔は映らない。映るのは後ろ姿や横顔のみでなぜか寂しそう。次の日「旅行」に行こうと言われ少女は胸を弾ませるが、行き先はなんと孤児院だった。
父親に捨てられた事実をなかなか受け入れられず、孤児院を抜け出すが、結局行き場もなくすぐ戻ってくる。その後も父親を信じ、待ち続ける姿には胸打たれる。

外国人夫婦が養子を探しに来ると、孤児たちは身なりを整え選ばれるのを願う。孤児にとって養子縁組が決まるかで運命は別れるからだ。養子縁組に出される孤児を仰げば尊しを歌って「旅行者」として見送るシーンがある。1人目の時は状況がわからず歌えなかったが、2人目の時はうれしそうに歌う姿が見られ、馴染んで行く様子がうかがえる。
「愛を知る前に、別れと出会った」少女。
徐々に自身の立場を悟り、環境に適応していく姿が鮮明に描かれています。

孤児院の美化や海外養子縁組の肉親捜しといった作品が多い中、孤児院の現状やそこでの生活における子供の葛藤を描いた作品は珍しく、興味深かった。韓国映画によくある同情を誘って泣かせるような作品ではなく、少女の自然な演技に引き込まれる。悲しいお話なんだけど、子供の適応能力の高さと希望的な結末がせめてもの救いだ。
監督自身の経験に基づくとのことで、これが現実かと思うと、いたたまれないですね。

制作にはイ・チャンドン氏も携わっている。出演者もかなり豪華だ。それほど注目されているということだろう。

木のない山」も環境の変化に葛藤する子供を描いています。
こちらのほうが細部にこだわっていて、完成度は高いように感じた。



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