カテゴリー  [ ★中東・アフリカ映画レビュー★ ]

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(未) Hayat <2005/イラン>★★★☆

hayat1.jpgHayat
2005/75min/イラン
監督/脚本:ゴラム・レザ・ラメザニ(Gholam Reza Ramezani)(監督3作目)
脚本:Mojtaba Khoshkdaman
出演:Mohammad Sa'eed Babakhanlo、Mehrdad Hassani、Ghazaleh Parsafar
IMDb評価:7.0/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★


hayat3.jpg早朝、ハヤは母親にたたき起こされた。今日は大事な進級テストがあり、登校前に勉強するためである。同時に母は家事を始めようとしていた矢先、ハヤは父親の異変に気がついた。息をしていない。車を持っている近所の人にお願いして病院へ連れて行ってもらうことにした。母も病院へついて行き、ハヤは兄弟たちの面倒と留守番を任されることとなった。しかし、今日は大事なテストがあり、学校を休むわけにはいかない…。

監督は、「The Cart(ザクロ売りの息子)(1999)<未>」のゴラム・レザ・ラメザニ。たった一本シネフィルで放送されたのみ。

成績は良く、進級も確実だといわれているハヤであるが、家庭のことはあまり得意ではないのは日本の子供たちと同様である。普段見ている母の姿を見よう見真似でこなそうとするが、どれもこれもうまくいかない。牛の乳しぼりをしようとしたら牛に後ろ足で蹴られたり、鳥の餌作りの時だって袋をこぼしてしまい粉だらけ。それでも自分なりに一生懸命母の代理を努めようとしている姿は微笑ましい。

hayat2.jpg無事に家事が終わっても、赤ん坊を預かってくれる家を探さなければならない。ある家は出掛けていて留守だし、ある家は“学校は男が行くところ”と考えており、通学しているハヤに批判的なおばさんもいる。“女は挨拶だけできればいい”とさえ言うおばあちゃんもいるほどである。道端には煙草を吸ったり、お茶を飲んで暇潰しをしている中年男性が溢れているが、男が赤ん坊を見るなんて御法度なのだろう。男尊女卑が色濃く残る片田舎を舞台としている。

母親がやり残した家事を終わらせ、赤ん坊を誰かに預け、無事にテストを受けられるかどうか、といった至ってシンプルなストーリー。時間にしたら、たかだか2~3時間のことなのだが、てんやわんや奮闘する様はまるで長い一日を見ているかのよう。ハヤの健気さと心温まるラストにうるっときてしまった。

<観賞> 2013/1/31

[サイト内タグ検索] 日本未公開
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サイレンス <1998/イラン=仏=タジキスタン> ★★★☆

le silenceサイレンス/Sokout/Le Silence
1998/76min/イラン=フランス=タジキスタン
監督/脚本/編集:モフセン・マフマルバフ
助監督:マルズィエ・メシュキニ、サミラ・マフマルバフ
脚本監修:ハナ・マフマルバフ、スチール:メイサン・マフマルバフ
出演:タハミーネ・ノルマトワ、ナデレー・アブデラーイェワ
IMDb評価:6.9/10

社会度 ★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 ★★
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★ 
演出 ★★★★★
演技 ★★★


le silence1タジキスタンの田舎町。10歳の少年コルシッドは母親との二人暮し。彼は目が見えないが、楽器職人の親方の許で調律師として働いていた。楽器職人の家に住む少女ナデレーが、毎日彼を迎えに来る。彼は音の世界に生きていた。並外れてすぐれた聴覚をもつコルシッドは、町のざわめきや水の流れの音に美しさを感じることができた。だが家は貧しく、大家に5日以内に家賃を払わないと家から追い出すと言われてしまう……。@allcinema

監督は、「パンと植木鉢」「ギャベ」「サイクリスト」のモフセン・マフマルバフ。

le silence2少年コルシッドは盲目であり、一方で音にはすごい敏感である。コルシッドの立場になって町を歩くと、音の豊かさに気付かされる。動物の鳴き声、車の音、雨音、川のせせらぎ、鍋を叩く音、歌声…少年にとって聞こえる音は全て音楽。通勤途中に気になる音を聞くと、導かれるように音のほうへ吸い寄せられてしまう。後を追い、その音が何なのか確かめずにはいられない。音についていってしまうため、しばし仕事に遅刻をしてしまっている。それゆえ、仕事をクビになり、家賃滞納のため家も追い出されようとしている。ところが、その悲劇を描くのではなく、障害者として同情の目で描くのでもなく、少年の表情は常に晴れやかである。なぜなら、心に響いた音が、ベートーベンの交響曲「運命」の出だしと重なり、その上、少年の自由な発想によって視覚化されていくのである。その映像の綺麗さといったら。パラジャーノフを彷彿とさせる映像感覚は詩的で暗喩的なのだが、ぼんやり見ているだけでも魅惑的。

各作品ごとに趣きを変えている監督だが、本作は独特で妖艶な世界観を創り出している。イランでは撮影許可が下りなかったためタジキスタンでの撮影となり、従来のイラン映画とは異なり、女性たちは色彩豊かな民族衣装に身を纏い、ストーリーに花を添えている。なお、少女のダンスが検閲に引っ掛かり、イランでの上映も認められていないという。

<観賞> 2013/1
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カドッシュ <1999/イスラエル=仏> ★★★★

kadosh.jpgKadosh
1999/110min/イスラエル=フランス
ドラマ
監督:アモス・ギタイ 
出演:ヤエル・アバカシス、ヨラム・ハダブ、メイタル・バルダ 
IMDb評価:6.9/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★★★
宗教度 ★★★★★
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし
脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★


エルサレムにある超正統派の町、メア・シェアリーム。メイールとリブカ夫妻は10年の結婚生活で子宝に恵まれず、コミュニティーからはのけものにされ、ラビからは離婚を薦められている。一方リブカの妹は恋人がいるにもかかわらず、ラビから薦められた相手との結婚を強制される…。

監督は、イスラエルを代表するアモス・ギタイ。

kadosh1.jpg子をたくさん産んでこそ初めて女としての役目を果たせるとラビは言う。10年の結婚生活にも関わらず子宝に恵まれないことは夫としても恥であり、ラビは離婚を命じるが、夫は愛している妻を見捨てることはできない。そんな夫を不憫に思い、妻は産婦人科で検査を受けることにした。ところが、妊娠検査を受けること自体、ユダヤ教の戒律に反するという。さらに、不妊の原因は夫であることが判明。妻は驚くべき行動に移すのであった。一方、妹マルカはラビから薦められた男性との結婚に反発する。

“カドッシュ”とは、ユダヤ教の聖書(トーラー)に出てくる言葉で、“神聖”を意味するという。道徳規範や規則といった“戒律”は女性にとっては不利なことが多い。ユダヤ教とその戒律の中で“神聖”の犠牲となり、愛を貫くために翻弄される女性2人の物語である。

やむを得ず戒律を破りながら従順する姉と、反発しながらも結局は従わざるを得ない妹を対照的に描いている。幸せの基準は人それぞれ。人から強要されるものでもなければ押しつけられるものでもない。人間にとって大切なものは何か?コミュニティーで生きる上での見栄や体裁、覚悟といった普遍的なテーマでもあり、女性差別を浮き彫りにした挑戦的な作品。

中東映画で下着姿、ベッドシーンを初めて観たが、結婚するなら好きな人と、初夜はどんな感じなのか、不妊の原因を探るべく医師が聞き出す夫とのセックスの話を赤裸々に語るシーンはかなり挑発的であり、宗教は違えど女性として同じ思いを抱いていることに驚きと共に安堵。

<鑑賞> 2012/1/26
[サイト内タグ検索] アモス・ギタイ監督

すずめの唄 <2008/イラン> ★★★★

the song of sparrowsすずめの唄/The Song Of Sparrows/Avaze Gonjeshak-ha
2008/96min/イラン
ドラマ
監督:マジッド・マジディ(長編監督11作目)
出演:モハマド・アミル・ナージ、Maryam Akbari, Kamran Dehghan
受賞:2008年アカデミー賞外国語映画部門イラン代表(「おくりびと」が受賞)
IMDb評価:7.7/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★★★
演技 ★★★★★


the song of sparrows2イランの片田舎。ある父親は、ダチョウを飼育する農場で働いている。しかし、柵を開けていた隙に、飼育していたダチョウの1羽が逃走してしまった。同僚たちと追いかけるが、追いつかず、バイクで探しに行くがどこに行ってしまったのかもはや見当もつかない。ダチョウ1羽は200万トマン。次の日、仕事をクビになってしまった。
難聴の娘の壊れた補聴器を直しにバイクでテヘランへ向かった。ところが、バイクタクシーに間違わられ、客は次々とバイクにまたがってくる。失業中の父親はバイクタクシーで生計を立てることにした…。

監督は、「運動靴と赤い金魚 (1997)」「少女の髪どめ (2001)」のマジッド・マジディ。本作は、シネフィルイマジカのみでの放送。こんなにいい作品がなぜ、一般公開されないのか?

娘の補聴器が井戸に落ちてしまい、弟やその友達が必死で探しようやく見つけた。しかし、壊れており、買い替えが必要。保険に入っていないため、高額となる。来月のテストまでどうにかして新しい補聴器を買い与えたいと思う親心からストーリーは展開していく。父親の身に次々とふりかかる災難が軸に描かれるのだが、悲劇性はなくユーモラスで思わず引き込まれてしまう。

the song of sparrows1補聴器の修理に行ったテヘランは大都会。大量の車が行き交い、客は携帯電話でビジネスの話をしながらバイクにまたがる。高層ビルの建設ラッシュ。物が溢れ、人々は新製品を買い求め、まだ使えるものを捨てる。まさに資本主義。そこに足を踏み入れてしまった父親は、バイクタクシー運転手として働き、工事現場で拾ってきた廃材を転売するといった生活を始め、お金の味を知ってしまう。そして、自分自身を見失っていくのである。

補聴器を落とした井戸には長年のゴミが溜まり、使い物にならなかったが、そこで色とりどりの金魚を飼いたいと思い始めた息子。金魚を買うために花を売っていたとは知らずに、父親はすごい剣幕で息子を叱ってしまう。掃除をして綺麗になった井戸の屋根にはスズメが巣を作り始めていた。金に目がくらんでしまった父親とは正反対に、子供の純粋な思いに胸が温かくなる。
大切なものは何か?自分を見失なった父親がそれに気付く時はくるのだろうか。他作品と同様、人生の教訓が詰まった作品。人の優しさがすーっと心に響き、観る者を和ませてくれる。村と都会のコントラストも素晴らしかったが、子供たちが買ってきた金魚を床にぶちまけてしまったシーンの美しいこと。ポスターにもなっている。

<観賞> 2013/2/2

[サイト内タグ検索] マジッド・マジディ監督

(未) Or my treasure <2004/イスラエル> ★★★★

Or.jpgOr my treasure
2004/100min/イスラエル
ドラマ、ロマンス
監督/脚本:Keren Yedaya(長編監督デビュー作)
脚本:Sari Ezouz
出演:Dana Ivgy, ロニ・エルカベッツ、Meshar Cohen
受賞:2004年(第57回)カンヌ国際映画祭 カメラドール
IMDb評価:7.1/10

社会度 ★★★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★


or1.jpg18歳のオアは学生だが、あまり学校へは行かず、知人のレストランで皿洗いのバイトをしている。入院していた母親が無事退院することとなり、タクシーで病院へ迎えに行った。これから2人暮らしが始まる。母の新しい仕事も見つけてあり、今までの仕事を辞めて欲しいと考えているが、夜になると母はしきりに外出をしたがる。とうとう、娘の目を盗んで夜の街へ行ってしまった…。

監督は、本作が長編監督デビュー作となるKeren Yedaya。
出演は、「カップ・ファイナル (1991)」「ミュンヘン(2005)」のモシェ・イブキ の娘Dana Ivgy、「迷子の警察音楽隊(2007)」のロニ・エルカベッツ。

OR2.jpg母は元売春婦。家賃も体で払っていた。大家は退院した母をいやらしい目で見ており、誘惑してくる。母は退院した今でも娘の目を盗んでは、派手なメイクと衣装に身を包み、道端へ立とうとする。そんな母の売春をやめさせようとする娘オアの話である。

そんな母親を見て育ったオアはしっかり者で、必死でお金を稼ごうと皿洗いのバイトに精を出し、何よりも母を大事に思っている。ところが、バイト後のオアの周囲には男の子が集まってくる。オア自身も近所の男の子たちに体を触らせ、引き換えに煙草をもらっているのだった。健気に頑張っているかと思ったら、母とやっていることはたいした変わりない。救いようのないどん底の生活は観ていて胸が苦しくなる。

自分を犠牲にしてでも母に楽をさせたいというオアの気持ちは立派だが、何の解決策もなく悪循環。他に選択肢はいくらでもあるだろうに、なぜ母親と同じ道を歩んでしまうのか…。終盤に向けて次第に強かになっていくオアを見ていて、現実の厳しさと己の弱さに打ちひしがれた。

<観賞> 2013/1/12
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Love In Another Language <2009/トルコ> ★★☆

love in another language3Baska dilde ask /Love In Another Language
2009/98min/トルコ
ドラマ
監督/脚本:Ilksen Basarir(監督デビュー作)
脚本/出演:Mert Firat
出演:サーデット・アクソイ、Emre Karayel
IMDb評価:7.3/10

社会度 ★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 なし
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


love in another language1Onurは生まれつき耳が聞こえない。話すことはできるが、憐れんで見られることが嫌で話すことをやめていた。話す必要のない図書館で本の整理をして生計を立てている。一方、Zeynepは父親の小言に嫌嫌気がさしており、コールセンターという職業柄、人の話を聞くことにうんざりしていた。2人は友人の婚約パーティで出会い、意気投合。すぐに交際を始めることになった…。

監督は、本作が監督デビューとなるIlksen Basarir。
出演は、「ソフィアの夜明け(2009)」、セミフ・カプランオール監督作品「ミルク(2008)」「卵(2007)」のサーデット・アクソイ

love in another language2心やさしく、いつも受け身なOnurに対し、自分に正直で勝気なZeynep。正反対に思える2人であり、いつもZeynepのペース。タイトル“Love In Another Language”は“違う言葉での恋愛”という意味だが、出会った当初は筆談での会話だったが、Onurに内緒で徐々に手話も覚え、歩み寄る様子が自然に描かれる。一気に火がついた恋愛だが、徐々に障害が生じ、一緒に乗り越えていくといった王道のラブストーリー。

Onurの父は、幼い頃家族を残し出て行っていたという背景がある。その時のショックでしばらく話せなかったというが、ストーリーには絡んでこない。悲劇的な側面には目を向けず、あくまでも前向きな作品。
2人の障害となるエピソードも多く描かれているが、どれも中途半端で全体的なつながりが見えない。台詞量も膨大で、消化不良といったところ。結果的にあまり印象に残るシーンもなく、観たことすら忘れてしまいそうなほど薄っぺらい内容になっている。少々美化しすぎだとも感じられ、こういった映画に勇気づけられる人は少なくないのだろうとは思うが。

<観賞> 2013/1/23
[サイト内タグ検索] 日本未公開 サーデット・アクソイ

(未)(備忘録) The Abortion <2006/トルコ> ★★★

araf.jpgAraf/ The Abortion
2006/95/トルコ
ホラー、スリラー
監督/脚本:Biray Dalkiran(監督デビュー作)
脚本:Hakan Bilir
出演:Akasya Asiltürkmen、Murat Yildirim、Kubilay Tunçer
IMDb評価:2.6/10

社会度 ★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★

araf1.jpgカメラマンが自分に好意を寄せていることを知りながら、エダは妻子ある男性と関係を持っていた。ダンスアカデミーに通うエダはダンスの公演を控え練習に励んでいたが、公演前日に妊娠発覚。すでに16週目に入っており、すぐに中絶手術を受ける。時は3年経ち、エダはカメラマンと結婚し、新しい子を宿していた…。

中絶に対する批判が根源となっているトルコ発ホラー。トルコでは日本や韓国ホラーは大人気のようで、日本のホラーのパクリだという記事をあちこちで読んだ。あいにく、私は日本映画をほとんど観ないので比較は難しいが、確かに、どっかで観たようなネタの寄せ集めではある。IMDb評価も2.6とかなり低い。映画館に足を運ぶほどの作品ではないが、そこまで悪い作品ではない。

araf2.jpgストーリーは平凡で新鮮さはなく、先が読めてしまうのが難点だが、監督の意図が明確で見やすい。フィルターのかかった色味はアート的で、デフォルメ効果(広角レンズによるのかな?)と独特なアングルの映像がものすごい薄気味悪さを演出している。出演者以外、町にも病院にも道路にも全く人がおらず、過疎化かと思えば、生活感が感じられる集合住宅が舞台だったり、不自然さはあるものの、その分気味悪さを煽っている。中絶手術のシーンも痛々しく、直視できなかった。しばらくトラウマになりそう。無駄なエピソードがないので、ストレートな展開もいい。

<観賞> 2012/5/24


[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Kabuli Kid <2008/アフガニスタン=仏> ★★★☆

kabuli kid
Kabuli Kid
2008/97min/アフガニスタン=フランス
ドラマ
監督/脚本:Barmak Akram(監督デビュー作)
出演:Haji Gul Aser、Valéry Schatz、Amélie Glenn
IMDb評価:6.7/10

社会度 ★★★★
哲学度 ★★★
宗教度 ★★
官能度 なし
民族度 ★★★
ブラック度 ★★

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★


kabuli kid1アフガニスタンの首都カブールでタクシー運転手をしているカレドは、赤ん坊を抱いたある女性を目的地まで乗せた。次に乗って来た客に、「赤ん坊は男の子かい?」と聞かれ、前の客が置き忘れたことに気がついた。来た道を戻り女性の行方を捜すが、手掛かりは青いブルカと足首のホクロだけ。その晩は赤ん坊を家へ連れて帰ることにした。翌朝、孤児院へ連れていくが、5歳以上しか預かれないだとか、父親でない証明書が必要だとかいった理由で預かってくれない…。

戦中女性たちはレイプされ、その赤ん坊は次々と捨てられ、孤児院も定員オーバーしているため、置き去りというケースが増えているという。本作は、25年もの間続いた戦後混沌期を背景としている。女性のほとんどは全身ブルカ着用のため個人が特定しにくい。仮に目撃情報があったとしても、母親探しは難航しているという皮肉なもの。

kabuli kid2赤ん坊の母親は見つかるのか、赤ん坊はどうなるのかというのが軸のストーリーとなっているが、興味深かったのは、コーラー瓶のエピソード。タクシー運転手カレドはコーラー瓶を代用し哺乳瓶として使っていた。ところが転がってしまい、ある浮浪者が拾いミルクだけを飲み干し瓶を捨てる。そして、ある少年がその瓶を拾い換金するといった一連のサイクル。人によっては不必要でも十分需要があり、赤ん坊の運命をも示唆しているようにも取れる。

車窓から見える町の風景も見逃せない。子供の物乞い、物売りが多く目につき、おそらく孤児だろう。ここでは描かれないが犯罪も多いことが容易に推測できるほど街の治安は良くない。運転手の何気ない笑い話もアルカイダの実態など戦争にまつわる話ばかり。ジョークで笑い飛ばしてしまうまで心の傷は癒えたということだろうか。いかに身近な出来事であったかが垣間見れる。

学生にはタダで乗車させ、ある乗客には運賃を割引してあげたり、人情味あふれる運転手。シリアスな題材でありながら、心が温かくなる作品。戦争を終え復興に向かう中で、人は個人レベルで何が出来るかを考えさせてくれた。

<観賞> 2012/5/25

[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未)(備忘録) Semum <2008/トルコ> ★★★

semum_20120506113213.jpg
Semum
2008/116min/トルコ
ホラー、ファンタジー、犯罪
監督/脚本:Hasan Karacadag
出演:Ayça Inci、Burak Hakki、Cem Kurtoglu
IMDb評価:5.8/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


夫婦は見に来た物件がすぐに気に入り、借りることにした。友人も羨むほどの豪邸に大満足の妻であったが、壁にかかった絵が直しても直しても傾いていたり、屋根裏部屋からは物音がし、猫の様子もおかしい。専業主婦の妻は常に人の気配を感じており、夜中も時折目が覚めてしまう。夫はストレスだと言い、気にも留めない。そして、妻はついにその正体を見てしまった。夫は妻を精神科へ連れていくが、妻の病状は悪化するばかり…。

借りる時の不動産屋や庭師、隣人の妻の失踪など、何かと薄気味悪さを漂わせている。エクソシスト系の話で、迫力もあり、なかなかの見応えだが、お決まりパターンにはまりきった展開なので、結末が読めてしまうのは残念。イスラムで資本主義的な倫理観が意外だったが、アジアホラーにも通ずる思想観なので、オチも多くの人は予想圏内かもしれない。
イスラムらしさはなく、どこの国にも通ずる&作れそうなホラーな仕上がりではある。

<観賞> 2012/5/3
[サイト内タグ検索] 日本未公開

ザ・マッドネス 狂乱の森 (原題:Kalevet) <2010/イスラエル> ★★★★

レンタルしてます。

rabies.jpgKalevet/Rabies
2010/94min/イスラエル
コメディー、ホラー
監督/脚本/編集:ナヴォット・パプシャド、アハロン・ケシャレス(監督デビュー作)
出演:ヘンリー・デビッド、リアット・ハルレヴ、アニア・バクスタイン、ヤエル・グロブグラス、ラン・ダンケル、オフェル・シェヒター、ダニー・ゲヴァ、メナシェ・ノイ、ヤーロン・モトイラ
IMDb評価:6.0/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★
ゴア度 ★★
邦題のセンス ★(その通りの意だけど、これじゃ誰も借りないでしょ!?)

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★

rabies2.jpg車でテニスの試合に向かう男女4人は男をはねてしまった。病院に連れて行こうとするが、穴に落ちた妹を一緒に探して欲しいと頼まれ、男性2人は共に森へ入る。一方女性陣は警察に通報するが、駆けつけた警察はセクハラ男だった。この男から逃げるために森へ入るが…。

監督、脚本、編集をナヴォット・パプシャドとアハロン・ケシャレスの2人がこなしている。本作が監督デビュー作となる。出演は、「Eyes Wide Open(2009)」のラン・ダンケル

言葉があまり聞き慣れないヘブライ語なだけで、導入はくだらないハリウッドB級映画と何の変わりもないのだが、話はどんどん膨らみ、これ、かなり面白かった。せっかく我が国でレンタルしているのに、全く興味をそそられない邦題で可愛そう。監督デビュー作のようだが、とにかく脚本がいい。英題“Rabies”は狂犬病の意。狂犬病が広がって行くかのごとく、一度関わったがために負の連鎖に巻き込まれる悲劇をブラック満載で描いている。

rabies1.jpg舞台はとあるイスラエルの森。登場人物は兄妹、森林警備員、テニスの試合に向かう男女4人、警察官で偶然その場に居合わせた人たち。穴に落ちた妹が監禁され、その後行方不明となってしまったことから悲劇は始まった。

通常のホラーだと殺人魔との対決になるが、定番ホラーとは方向性が全く異なり、独自の世界感を放つ自爆系ホラー。ごくありふれた白昼の森に殺人魔がいる恐怖感を与えつつ、全く別の次元で思わぬ落とし穴があり、勘違いや嫉妬で突如、被害者が加害者になったり、話はどんどんこじれ全く予測つかない展開にハラハラドキドキ。人助けのつもりで手を差し出したにも関わらず、事態は思わぬ方向へと転がって行く様は現実にも十分起こり得る話でもあり、妙に説得力がある。登場人物の数だけドラマがあり、社会的な問題定義もされ、切なさが募るストーリー展開。世の中ってほんと理不尽。ちゃんとオチまで用意されてます。出演者も美形だらけ。

<鑑賞> 2012/4/14

[サイト内タグ検索] ラン・ダンケル

(未) Holy Guests <2004/イスラエル> ★★★

ushpizin.jpgUshpizin
2004/90min/イスラエル
コメディ
監督:Giddi Dar
脚本/出演:Shuli Rand
出演:Michal Bat-Sheva Rand、Shaul Mizrahi
IMDb評価:7.2/10

社会度 なし
宗教度 ★★★★
哲学度 ★★★
ブラック度 なし

脚本 ★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★

ushpizin2.jpgイスラエルに住むモシェ、マリ夫妻は結婚10年にも関わらず、子宝に恵まれないが、慎ましいながらも幸せに暮らしていた。町中の男性たちは、イスラエルの祝日Sukkotをお祝いをするための小屋を家の前に建て始めていた。しかし、モシェ、マリ夫妻は家賃も数か月滞っており、小家を建てる木材すら買えない。ところが、ある日慈善団体から1000ドルの寄付が舞い込んできた。そのお金で最高級のレモンを奮発して買い、小屋のための木材を買い、準備を始めた矢先、モシェの旧友2人が訪ねてきた。しかし、その2人は脱獄犯だった…。

監督はイスラエル出身のGiddi Dar監督。「Eddie King (1992)」に続く2作目となる。脚本を書いたShuli Randが主演を務めている。俳優出身であり、本作の脚本が最初で最後のようである。

ushpizin1.jpg信仰心の強い夫妻は、予期せぬ来客も幸運をもたらす神の恵みだと考えているため、できる限りのご馳走でもてなす。しかし、一向に帰ろうとしない2人はどんどんトラブルを起こし始める。マリも2人が脱獄犯であることを知ってしまい、家を出ていってしまう始末。お祝いのために購入したレモンもいつの間にか調理に使われてしまい、モシェの怒りは頂点へ。

イスラエルの祝日の1つSukkotには、男たちが建てた小屋で家族みんなで食事をしお祈りを捧げるという。そのお祝いの期間中に訪れた客をUshpizinと呼び、招き入れることで幸福が訪れるという言い伝えを背景としている。本作は、Sukkot前後のUshpizin(客)にまつわる騒動を微笑ましく楽観的に描いた作品。

意外だったのが、子どもも欲しい、おいしいものも食べたい、家も欲しい、酒も煙草も嗜むといった私たち日本人と何の変わらぬ世俗的な生活や望みを持っていること。ただ違うのは、良いことがあれば神に感謝し、悪いことが起これば神が与えてくれた試練であり、乗り越えられた時にもまた神に感謝。常に神の存在があるということ。何が起ころうと楽観的でいられるのも宗教のおかげなのかしら?
レモンが重要なアイテムになっているのだが、宗教的な役割が作品からは読めなかった。

<鑑賞> 2012/2/5
[サイト内タグ検索] 日本未公開

母をたずねて1800マイル <2001/仏=チュニジア=ベルギー> ★★★

keltoum.jpg
母をたずねて1800マイル/La Fille De Keltoum/Bent Keltoum
2001/102min/フランス=チュニジア=ベルギー
ドラマ
監督/脚本:メディ・カレフ
出演:シリア・マルキ、バヤ・ベラール、デボラ・ラミー、ジーン・ロジャー・ミロ、ブラヘムベン・サラーレフ、サミラ・ドラー、ファティマベン・サイダン
IMdb評価:6.9/10


社会度 ★★
哲学度 ★★
民族度 ★★★
宗教度 ★
邦題のセンス ★


keltoum2.jpgスイスに住むラリアは母親ケルトゥームに会いに遥々アルジェリアの砂漠地帯へやって来た。家を訪ねると、ケルトゥームの父親と伯母しかいなかった。ケルトゥームはシティーの高級ホテルで働いており、毎週金曜日に日用品や食料品と一緒に帰って来るという。しかし、金曜日になってもケルトゥームは帰ってこない。事情を察し父親を問い詰めると、実は何年も帰ってきていないという。ラリアはシティーのホテルまで会いに行くことにした…。

監督は、アルジェリア出身フランス在住のメーディ・シャレフ監督。本作のほかには「それでも生きる子どもたちへ」(未見)が発売されている。

keltoum1.jpg実はラリアはスイスへ養子縁組にだされており、自分を捨てた産みの母を憎み続け、殺しにきたのである。それを知った伯母も一緒にケルトゥームに会いに行くと言い出し、2人で旅を始めることにした。
見渡す限りの砂漠地帯で、人が暮らしていることが信じられないようなロケーション。撮影はチュニジアだという。路線バスとヒッチハイクで移動する道中立ち寄った店が男性専用であったり、スカーフで髪を隠すことを余儀なくされたり、行き当たりばったりの道中にも宗教的な背景が垣間見れ、ユーモラスに描かれている。

母への憎しみがあまり伝わってこず、1800マイルもの移動はさほど苦もなく終えてしまっている。スイスで育ったラリアにとっては驚きの連続であったであろう砂漠での出来事ですら淡々と描かれ、社会にすんなり溶け込んでいるのも少々腑に落ちない。

何かとつきまとって来る伯母、そして精神的な障害を抱えていること、庭にある井戸が伏線になっており、最後の最後に衝撃の真実が明かされる。出生の秘密の裏にはお国の厳しい事情が隠されており、何とも切ない気持ちにさせられた。★3つは終盤の衝撃に対する評価。この衝撃がなかったら、★1つ程度の内容でした。

<鑑賞> 2012/2/26
[タグ未指定]

(未) Life, Above All <2010/南ア=独> ★★★★

life.jpg
Life,Above All
2010/100min/南アフリカ=ドイツ
ドラマ
監督:オリヴァー・シュミッツOliver Schmitz
原作:「沈黙のはてに」アラン・ストラットン著、さくま ゆみこ 訳. あすなろ書房
脚本:Dennis Foon
出演:Khomotso Manyaka, Keaobaka Makanyane and Lerato Mvelase
IMDb評価:6.5/10

哲学度 ★★★
社会度 ★★★★
宗教度 ★
民族度 ★★
催涙度 ★★

2011年 米国アカデミー賞 外国語映画賞南アフリカ代表作

life2.jpgヨハネスブルグの郊外に暮らすチャンダは、アル中で病気の義父と病気の母親を抱えた、4人兄弟の長女である。家計は苦しく、食べるのもままならない状態。両親に変わり、妹と弟の面倒を見ており、生まれたばかりの赤ん坊の葬儀も自分が出さなくてはならない。その上、父は死体で発見され、母親は失踪してしまった。母の行き先を聞いて回っても、みな濁すだけであった。ついにチャンダは母親を探しに向かうが…。

監督は短編オムニバス映画「パリ、ジュテーム」の19区の監督をした南アフリカ出身のオリヴァー・シュミッツ。ベストセラー小説の映画化。翻訳本は数カ国で発売されている。

孤児の親友は10歳にも満たない若さで売春をし生計を立て、おまけにHIV感染者。日々の生活に精一杯で病院に行く余裕すらない。母親はそんな親友と付き合うことをよく思っていない。そんな時、父親が湖で水死体として発見され、母親は理由も言わずこの村を去ってしまった。チャンダの母親の病気が村全体に幸いをもたらしているという噂が流れ始めたからであった。本作は古くからの風習が色濃く残る村を背景とし、根拠のない噂話によって崩壊を余儀なくされた家族の物語である。

life1.jpgこれでもかというほど悪循環な負の連鎖。いくら聡明な少女だといえども、チャンダの身に降りかかる出来事は子ども1人で立ち向かうには重すぎる。貧困や売春、HIVといった深刻な状況が映しだされるが、それ以上に怖いのが噂話である。誰かが口を開けば噂話はあっという間に広がり、HIVよりも感染速度が速い。コミュニティー内で生きている限り誰にでも起こり得る話であり、遠く離れたアフリカに限ったことではない。噂話に翻弄され自分たちのことを白い目で見る村人たちにたった1人で立ち向かうチャンダの力強い姿には心打たれる。

<鑑賞> 英語字幕 2012/12/29

[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Autumn <2008/トルコ=独> ★★★★

sonbahar.jpg
Sonbahar
2008/106min/トルコ=ドイツ 
ドラマ
監督:オズジャン・アルペル(Ozcan Alper)
出演:Onur Saylak、Megi Kobaladze、Serkan Keskin
IMDb評価:7.4/10


哲学度 ★★
民族度 ★★★
宗教度 なし
社会度 ★★
自然美 ★★★★★



sonbahar1.jpg季節は秋。32歳になったユスフは政治犯としての10年の刑期を終え、冬の足音がすぐそこまで来ている山奥の故郷に戻る。姉は結婚してイスタンブールで暮らし、父親は服役中に亡くなり、家で彼を待っていてくれたのは老いた母だけであった。ユスフは服役中から肺に病を抱えており、咳き込む日々が続きなかなか寝付けない。老いた母は10年の月日を埋めるかのようにユスフの世話に精を出す。ある日幼馴染のミカイルと一緒にバーへ行き、ロシア出身の売春婦エカと出会う…。

私のにわかトルコブームの先駆けとなった作品。まださほど多くは観ていないが、本作は観た中でのトルコ映画ベスト。日本語での情報(監督、出演者も)は皆無に近く、知っている俳優は1人も出てこない。
作風としては同じくトルコ人のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督に近いが、世界的知名度の大差は世界3大映画祭での受賞の有無だろうか。

sonbahar2.jpg10年ぶりのユスフの懐かしい顔を一瞬誰なのか思い出せない者もおり、必ずといっていいほど名を聞かれる。よそ者がいない片田舎にユスフが刑務所に入っていたという事実を知らない者はいない。表向きは歓迎していても、皆腫れ物にでも触るかのよう。10年の空白、刑務所帰りという事実は無意識にも人間関係の壁を作ってしまっている。そんな時出会った売春婦のエカ。故郷に幼い娘を残しており、やはり孤独を感じていた。しかし、孤独という共通点で一度は引き合わされた2人が一緒になることを運命は許してくれなかった。

社会の片隅でもがき苦しむ人間の孤独と絶望を描いた傑作。人と人との距離について考えさせられるあたりはヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の「冬の旅」を彷彿とさせる。感情は抑制され、はっきりいって何も起こらないに等しいが、ここで描かれる人生のすれ違いや運命のいたずらは誰にでも起こり得る話であり、現実味がある。人間ドラマとして心を打つまでには及ばなかったのは残念だが、生きることや幸福を得ることの難しさを教えられた気がする。

ユスフの家の窓を開けると目の前には雲が広がっている。ユスフの実家は山の中腹だが、なんと雲の上。トルコ映画の映像の綺麗さにはいつも驚かされるが、本作は別格。台詞は少なく、感情表現も乏しく、見所の一つでもある映像美にも酔いしれそうになる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/11/29
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Bliss <2007/トルコ=ギリシャ> ★★★★

bliss.jpg
Mutluluk
2007/105min/トルコ=ギリシャ
ドラマ
監督/脚本:Abdullah Oguz
原作: Zülfü Livaneli
出演:Özgü Namal、Talat Bulut、Murat Han
IMDb評価:7.7/10


民族度 ★★★★
宗教度 ★★
社会度 ★★
映像美 ★★★★★



羊飼いの男が川辺に横たわっている娘メリェムを発見した。着衣の乱れから何をされたのかは一目瞭然。すぐに村中に噂は広まってしまった。しかし、当の本人は誰に何をされたのか口を開こうとしない。この村には、先祖の名誉を汚す者は殺さなければならない風習が残っていた。母親は娘メリェムを納屋に軟禁し、ロープを渡し自殺を促すが、メリェムは実行に移せない。そんな時、知り合いの息子ジャマールが除隊し、実家に戻ってきていた。数日後にイスタンブールに向かうというその息子に娘も一緒に連れて行ってもらうよう頼み、銃を手渡した。それは名誉殺人の依頼でもあったが…。

bliss2.jpg監督はテレビを中心に活躍していた方で、国際的知名度は低い。出演者もチョイ役には知っている顔ぶれがちらほらいたが、メインとなる3人は始めて観る顔ぶれ。しかしながら、国内の賞を総なめにしただけあって、今まで観たトルコ映画の中でも上位に入る傑作だった。トルコ映画の映像の美しさには毎度驚かされるが、本作は群を抜いて息をのむ美しさ。ほとんどのシーンが海や湖、山をバックにしており、文明的なものも登場しない。美しすぎる自然美以上にストーリーもインパクト大。

イスタンブールへ向かうメリャムを見送る近所の人たちやイスタンブールに住む親せきの表情が印象的。何のためにイスタンブールに送られたのかは皆瞬時に悟り、これからメリャムの身に降りかかることを暗じ、一同顔が強張るのであった。憐みの視線を向けるが、題材となっている“レイプ”“名誉殺人”といった語彙は台詞の中で一度も登場せず、敢えて話題にしないで伏せている演出がなされている。核心に触れる台詞がなくとも、重い空気感からは複雑な心情が読み取れる。当の本人の恐怖心も計り知れない。ジャマールはいつ撃ち殺すのか、メリャムはいつ殺されるのか、先が読めない展開は いい緊張感を生み出している。さらに、口封じのためにレイプ加害者もメリャムの命を狙っており、ストーリーはどんどん複雑化し、かなりの見応えがある。

bliss1.jpg名誉殺人という固有の風習を背景に、不本意でありながら殺すタイミングを見計らうジャマールと、いつか殺される恐怖に怯えながら一緒に旅を続けるメリャムの2人の葛藤を描いた作品。“名誉殺人”を題材にしたトルコ映画(ドイツ映画)は少なくないが、実行した男性家族の葛藤を描きつつも結局は実行し、実行者を讃える内容のほうが圧倒的に多いように見受けられる。本作においては男性意識の変化というか世代の違いというか、時代の変革をも感じさせるような展開。名誉殺人を真っ向から批判した作品でもある。
一体、人間にとって重要なのは家族の名誉なのか、個人の尊厳なのか、被害者家族はどうすべきか。
たった1件のレイプ事件を通して、イスラム社会において見失いがちな人間の尊厳について考えさせる内容となっている。

<鑑賞> 英語字幕 2011/12/1

[サイト内タグ検索] 日本未公開

静かな生活 <1974/イラン> ★★★★

still life静かな生活
1974/93min/イラン
ドラマ
監督/脚本:ソフラブ・シャヒド=サレス(Sohrab Shahid Saless)(長編2作目)
出演:サーラ・ヤズダニ、ハビブ・サファリアン
受賞:1975年ベルリン映画祭 銀熊賞
IMDb評価:7.0/10

邦題のセンス ★★
哲学度 ★
宗教度 なし
民族度 ★★★

2001年東京フィルメックス映画祭にて特集上映


still life1手動で踏切の遮断機の上げ下げをし、列車の合間に仮眠。決まった時間に帰宅し、決まった椅子で同じ紅茶を飲み、食事を済ませたらすぐさま就寝。変わらぬ老人の毎日が映し出されるだけで、特筆すべきストーリーはない。家にはテレビもなければ、電話もない。かろうじて電気はきてはいるが、生活は極めて質素。唯一の楽しみは息子の帰郷だけだろう。そんな何も起こらない日々は、老人の日々の生活パターンをしってしまうと、展開は容易に読めてしまう。台詞もほとんどなく、色彩も乏しく、全てにおいて地味なのに、この映画のすごい所は、そんな変わり映えのしない毎日を違ったアングルで撮っているため、不思議と新鮮に映るのである。気付くと眠っており、結果3日間に分けて観る羽目になったが、決して退屈なわけではない。十分に堪能させてもらった。 

still life2監督はアッバス・キアロスタミが一番尊敬すると監督だと語る人物。恥ずかしながら、最近イラン映画を追っかけていて始めて知った名前である。
監督は本作がイランで公開される前にイランを去り、ドイツへ亡命し、その後祖国へ足を踏み入れることなくこの世を去ってしまったことを鑑賞後に知った。退職通知を受け、この地を離れざるを得なかった本作の夫婦も監督のようにこの地に戻れなかったのかと思うと感慨深い。

英題“Still life”…それでも人生は続く…。邦題にはそんな前向きな思いが伝わらないのが唯一のマイナスポイント。

<鑑賞> 英語字幕 2012/1/5
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(未) A Man's Fear of God (原題:Takva) <2006/トルコ> ★★★★

takva.jpg
Takva/A Man's Fear of God
2006/96min/トルコ
製作:ファティ・アキン
監督:Özer Kiziltan(映画監督デビュー作)
脚本:Onder Cakar
出演:Erkan Can、Meray Ülgen、グヴェン・キラック、Öznur Kula、Erman Saban、Settar Tanriögen
IMDb評価:7.4/10


宗教度 ★★★★★
哲学度 ★★
民族度 ★★★
普遍度 なし


内向的な独身中年男性ハレムはアパートで独り暮らしをしている。いとこの誘いである集会に参加したところ、信仰心のあつさや世俗的なことへの無関心さが認められ、教団の長シャイフの元で働くことになり、家賃集金の仕事を任されることとなった。ところがハレムは、いつしか見知らぬ若い女性との性行為を夢に見るようになる。なぜこんな夢を見るのか、女性は誰なのか自分でもわからない。お祈りが足りないのではないかと考え、より一層お祈りに精を出すが報われない。そして、ハレムのお金に対する姿勢が変化し始め、夢の内容もエスカレートしていく…。

takva2.jpg監督はテレビで活躍されている方で、映画監督は本作がデビュー作となる。「愛より強く」のファティ・アキンが製作に携わっている。出演者は、トルコ映画を多く観ている人には豪華と思える顔ぶればかりだったが、自身出演作が日本で公開しているのはグヴェン・キラックの「愛より強く」のみという有り様。いかにトルコ映画がマイナーかが窺い知れる。

朝起きたらまず神に祈りを捧げ、質素で規則正しい生活をする日常生活が映し出される。主人公ハレムは世俗的なことには全く関心を持たず、みなのお手本となるような敬虔な生活を送っている。しかし、そんなハレムも欲に目が眩み、ジレンマに悩み苦しみとことん追い込まれていく様を描いた作品である。いくら信仰心が強くても生きている限り人間なら欲はあるだろうに、イスラムの人たちは欲をどう制御しているのかというのが、私の長年の疑問だったが、本作はまさに私が知りたかった疑問そのものだった。

タイトル“Takva”とはアラーの神への畏れや、畏れによって罪から逃れることなどを意味するという。
宗教を題材にした作品でも主人公が家でお祈りするシーンはあっても、礼拝でのお祈りシーンをまず見ることはあまりない。礼拝でのお祈りのシーンは本作の見所の一つでもある。何をしているのか全くわからなくても延々と流れる集団での礼拝のシーンは圧巻。咳一つせず真剣に見入ってしまった。

takva1.jpg以前、他の記事で夢占いのことを書いたことがあるが、夢は自身が気付かない“願望”を反映していることがあるという。ダイエットをしている人は日ごろ我慢しているケーキが夢に出てきたり。ハレムが見る夢は初めは若い女性とのセックスだけだったが、いつしかドル札が登場し、ドル札のシャワーを浴びながらセックスをするという自身の日頃の敬虔な生活からは想像もつかない内容。生涯独身であるハレムはおそらく今まで女性経験はない。生活も質素。ごく普通の生活ができれば満足といった風貌を見せつつ、心では密かに“願望”を抱えていたということだろうか。

たとえ夢だとしても、ドル札のシャワーを浴びながら若い女性とのセックスはあまりにも衝撃。一体夢は何なのか。自分はどうなってしまったか。この先どうすればいいのか。罪から逃れることはできるのか。本人にも真相はよくわかっていない。敬虔だったからこそ悩まされ、自身では解決できない問題に直面することになる。教団からの信頼も厚く、事業も任されるようになるが、その後、金に目が眩み売上の一部を着服までしてしまうのである。その一度の着服(2万ドル)を隠すため、更に罪を重ねるか…それとも計算ミスをしていたと謝ってしまうか…

本国では性的な夢が波紋を呼んだそうだが、問題なく国内でも上映され、大ヒットしたというから驚き。よく検閲に通ったものだと関心したのだが、宗教に悩んでも解決してくれるのも宗教というメッセージが込められているのが起因しているのだろう。
欲望の波に飲み込まれても決して流されることなく岸に戻ってこようとする姿は人間が試練を乗り越える姿でもある。欲を満たすことばかりが幸せだとは限らない。信仰問わず、資本主義者たちにもどこか通じる問題定義が感じられる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/12/7


別離 (英題:Separation) <2010/イラン> ★★★★★

separation.jpg別離/Jodaeiye Nader az Simin/ Nader and Simin, A Separation
2011/123min/イラン
ドラマ
監督/脚本:アスガー・ファルハディ(Asghar Farhadi)(監督5作目)
出演:レイラ・ハタミ、ペイマン・モアディ、シャハブ・ホセイニ、サレー・バヤト、サリナ・ファルハディ
受賞:第61回(2011)ベルリン映画祭金熊賞、銀熊賞の女優賞、男優賞
IMDb評価:8.6/10

哲学度 ★★★★
社会度 ★★★
宗教度 ★
民族度 ★★★
余韻度 ★★★★


separation1.jpgテヘランに住むナデルとシミン夫婦には11歳の娘テルメがいる。
シミンは夫と11歳の娘テルメと共にイランを出国したいと考えているが、ナデルは拒んだ。同居している父親がアルツハイマー病であり、置いては行けないからだ。仕方なくシミンは離婚を決意し、家庭裁判所で訴えたが、親権は父親に渡ってしまった。シミンは夫と娘を残し、実家へと帰るが、代わりに義父の面倒を見てくれる家政婦を雇った。ある日、少し早く夫が家へ帰ってきたら、家政婦の姿がない。アルツハイマー病の父親はベッドに足を縛られ、上半身はベッドから落ち意識を失っていた。更にお金まで消えていた。夫は家政婦が盗んだと思い込み、帰って来た家政婦をすぐさま追い出してしまう。突き飛ばしたら階段から転げ落ちてしまい、流産してしまった…。

2009年ベルリン国際映画祭で監督賞に輝いた「彼女が消えた浜辺」のアスガー・ファルハディ監督の最新作。

separation2.jpg個人の立場では正しいと思ったことをしたがゆえに泥沼にはまっていく悲劇と人々の葛藤を描いた作品。
舞台はイランのテヘラン。物語は、比較的余裕のある中流家庭の夫婦を中心に進行していく。ごく一般的な家庭でありながら、いろいろな問題が交差しながら複雑に絡み合い、人間心理の深いところまで掘り下げられている。

家政婦は妊婦であり、病院に行っていたという。アルツハイマー病の父親が1人で外出してしまい大騒ぎしたこともあり、仕方なく足をベッドに縛っていったのだった。そんな言い分を聞くことなく、夫は家政婦をはじき出してしまった。しかし、玄関の先はすぐ階段になっており、転げ落ちてしまった。家政婦は雇われた時に妊婦だと伝えたというが、夫は聞いていないという。言った、聞いてないの水かけ論。母親が家を出たことを発端に、アルツハイマーの父親の介護を巡る諍いや家政婦と雇い主の信頼関係にまで発展し、事態は思わぬ方向へと向かっていく悲劇を繊細に描いている。

ほんの些細な個人レベルのことでここまで大きな問題にまで発展していくとは誰が予想していただろうか。個人の立場で考えれば決して過ちではないが、宗教や倫理上では責められ、刑事事件絡みのサスペンスを見ているかのような緊張感を生みだしている演出力は卓越している。

イスラム社会における男女や格差問題を背景としており、家政婦が男性のオムツを取り替えることが宗教的倫理に触れるのかどうか電話で確認するあたりには宗教的な制約の違いを感じるものの、普遍的な問題を投げかけており、国籍問わず考えさせられる問題である。家族のためにどうすべきか、倫理的にはどうすべきか、観終わった後もいろいろな思いが頭を巡るであろう。

<鑑賞> 英語字幕 2011/11/9
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Innocence <1997/トルコ> ★★★

masumi.jpg
Masumiyet
1997/110min/トルコ
ドラマ
監督:ゼキ・デミルクブズ(Zeki Demirkubuz)(長編監督2作目)
出演:グヴェン・キラック(Güven Kiraç)、Haluk Bilginer、Derya Alabora
IMDb評価:8.3/10



哲学度 ★★★
社会度 ★
民族度 ★★★
余韻度 ★★
     
 

ユスフは姉の不倫相手を殺した罪で10年を刑務所で過ごし、刑期を終えようとしていたが、服役中、巨大地震に見舞われ、家族も家も失ってしまっていた。刑期を終えても行き場のないユスフは、刑期を伸ばしてくれと頼むが却下されてしまう。仕方なく、姉の住む町へと向かう。しかし、ユスフのことを許していない姉は顔すら合わせようとしない。いたたまれなくなったユスフは安い宿を住処とすることにした…。

masumi1.jpg監督は、「群れ」等で知られるゼキ・オクテン監督の助監督を経て、本作が長編2作目となる。。4作目「Fate」と5作目「The Confession」の2作品が2002年のカンヌ国際映画祭ある視点部門に同時出品されたこともあり、カンヌでも異例の扱いを受けている。ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督と共に、現代のイランを代表する映画監督であるが、日本では映画祭のみの上映に留まっているようだ。日本での劇場公開作品はなく、ソフト化されている作品も、CS等で放送されたこともない模様。

人間の絶望と孤独を描いた傑作。噂通りの作品だった。主人公は殺人罪を犯してはいるが、姉思いが強いゆえの出来事であった。心優しく内向的なキャラクターであり、困っている人には手を差し伸べずにはいられない。宿で一人淋しくテレビを見ていた少女にも優しく接する。その少女が風邪を引き看病をしたことで仲良くなった父親は、妻が娼婦ということで嫉妬心を燃やしており、ユセフは良き話し相手になってあげる。更に少女は聾唖障害を持ち、喉を切り声を失った姉と重ね合わせ、やはり放ってはおけない。

ユセフの周りは社会のどん底を這いずり回るように生きる人たちばかりで、警察沙汰になる者、希望を失い自殺する者、夜逃げする者といった人たちばかり。純粋なゆえに貧乏くじをを引いてしまうユセフは、いつも誰かの尻拭いをさせられる運命にある。常に絶望の淵に立たされているユセフだが、それでも前へ進もうとするユセフに感銘を受ける。

<鑑賞> 英語字幕 2011/10/19
[サイト内タグ検索] 日本未公開 グヴェン・キラック

アリ・ザウーア通り <2000/モロッコ=チュニジア=フランス=ベルギー> ★★★☆

ali.jpg
Ali Zaoua
2000/99min/モロッコ=チュニジア=フランス=ベルギー
ドラマ、犯罪
監督/脚本:Nabil Ayouch(長編2作目)
出演:Mounïm Kbab、Mustapha Hansali、Hicham Moussoune、サイード・タグマウイ、 ムハンメド・マジュド
IMDb評価:7.3/10


邦題のセンス なし(アリ・ザウーアは少年の名前。通りって何?)
ゴア度 ほとんどなし
涙催度 ★
社会度 ★★★





ali1.jpgストリートチルドレンのアリの夢は水兵になり、島で母と一緒に暮らすことであった。夢を叶えるべく、まずは知り合った漁師と島に旅立つ前日、アリは親友のクウィータに方位磁針をプレゼントした。方位磁針の針を頼りに自分を訪ねて来て欲しいという。しかしその直後、ストリートチルドレン同志の派閥抗争で、石が頭部に当たり、アリは殺されてしまう。クウィータたちはアリの遺体を埋葬するために奔走する…。

モロッコ人の両親を持ち、フランスで活躍するサイード・タグマウイや(私の大好きな)ムハンメド・マジュドといったベテランが脇を固めている。ストリートチルドレンを演じる子たちは皆演技経験がない。ほんとにストリートチルドレンの子たちなのかは不明だが、表情が豊かでかなりリアリティーのある演技をしている。特に、下写真の男の子の笑顔がいい緩衝材になっている。

ali2.jpgシンナーを吸って空腹を紛らわし、信号待ちの車の窓拭きをしたり、路上で煙草を売って小銭を稼ぎ、コンクリートの上で寝るストリートチルドレン。ほとんどが10歳以下だろうか。親や親戚がいる子もいるが、貧困や暴力、強姦といった理由で親元を離れている現実。見上げるとそびえ立つ高層ビルが虚しい。

確か97年。初めて韓国に行った時のこと。道端でスナックを食べ歩きしていたら一斉に子どもに囲まれ、瞬く間に奪われたことがある。身なりは汚く、今思えばストリートチルドレンだったんだよね。韓国もここ近年めっきり見かけなくなったけど、私が行った事ある国ではインドネシアやマレーシアは結構多い印象を持っている。日本の子どもたちもこういう作品観て、いかに自分たちが恵まれているかを知っておいた方がいい。日本だってこの先どうなるか…。

銃などの武器は一切ないが、ギャングとの派閥抗争はかなりリアル。本作で主軸となるクウィータたちはギャンググループから抜けようとしている勇気ある子どもたち。生き抜く過酷な現実ではなく、彼らの友情物語に重点を置いて描いているところには好感。友達思いのクウィータを中心に、希望を捨てず皆夢を抱き、ポジティブなところには救われる。クウィータはシンナーもやらない。子どもたちの妄想がアニメーションで挿入され、子どもらしいささやかな夢に希望が感じられる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/1
[サイト内タグ検索] ムハンメド・マジュド

冬の旅 (原題:Uzak) <2002/トルコ> ★★★★

uzak.jpg
Distance
2002/110min/トルコ
ドラマ
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(Nuri Bilge Ceylan)
出演:ムザフェア・オズデミル、モハメット・エミン・トプラク
受賞:2002年 カンヌ映画祭 審査員賞、最優秀男優賞
IMDb評価:7.5/10

映像美 ★
余韻度 ★★★★
邦題のセンス なし

最新作「Once Upon a Time in Anatolia」はカンヌで見事グランプリ受賞。本作でもカンヌで審査員賞と最優秀主演男優賞を受賞している。
自伝的3部作の「カサバ~町」「五月の雲」に続く最終章となる。未だ日本での劇場公開作はない。本作はシネフィル・イマジカで放送されている。

uzak2.jpg中年男性のマフムトは広告写真家としてイスタンブールのアパートで1人暮らしをしている。そこへ、親戚のユスフが地方からやって来る。働いていた工場が閉鎖し、失業してしまったユセフは、マフムトの所に居候しながら職を探すという。そして、男2人の共同生活がスタートした…。

裸一巻でイスタンブールに住みつき生活を始めたマフムトはかつてカメラマンを志していた。厳しい現実を前に夢を諦め、広告用の写真を撮って生計を立てているが、やりたい仕事ではなく情熱を失ってしまっている。一方まだ20代のユセフは未だ依存心が抜けず、現実の厳しさもまだ知らず、浮ついた理想の中で生きている。全く生き方の異なる2人を対照的に見せながら、孤独という共通点が浮き彫りになっていく。ムフムトは強がって生きているように見えるが、離婚歴があり、元妻は新しい亭主と共にカナダへ移住すると聞き、絶望は頂点に達するであった。

uzak1.jpg生き方の違うユセフは次第にムフムトの苛立ちの対象となり、緊張感が増していく。ついに怒りを爆発させるが、その原因となるのはトイレの流し忘れだったり、部屋で煙草を吸ったことだったり、ほんの些細なこと。男2人の生活は地味で、人間関係も希薄。はっきり言って、何も起こらないに等しい。台詞も極端に少なく、表情や空気感から読み取る必要がある。抑制された演出や色使いにも男の孤独がよく表れている。

ムフムト役のムザフェル・オズデミルは建築家、ユスフ役のエミン・トプラクはセラミック工場の労働者であり、役者を本業ではないが、ヌリ監督作品には必ず出演していた2人。寡黙ながらも良い演技を見せてくれている。残念なことにユスフ役のモハメット・エミン・トプラクはトルコでの授賞式出席後に交通事故で亡くなっている(享年28歳)。カンヌでの受賞は死後であった。本作が遺作になってしまったことを残念に思う。

結末に触れています。
黙って去っていったユサフが置いて行った煙草を海岸で吸うマフムト。その表情は、追い出してしまったことを後悔し孤独を噛み締めているのか、1人の生活に戻れることを喜んでいるのか、元妻を思っているのかはわからない。
原題の意は「距離」。人間の距離感の難しさがじわりじわりと心に沁みるラストに自然と涙した。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/30
[タグ未指定]

(未) The Curlew's Cry <1960/エジプト> ★★★☆

doaa.jpg
Doaa al-Karawan/The Curlew's Cry
ドラマ
1960/109min/エジプト
監督/脚本:ヘンリー・バラカート(Henry Barakat)
出演:ファテン・ハママ(Faten Hamama)、Ahmed Mazhar、Amina Rizk
映画祭:第10回(1960) ベルリン国際映画祭 コンペ出品
IMDb評価:7.4/10

宗教度 ★
民族度 ★★★
哲学度 ★★★


doaa2.jpg夫の死で妻と娘2人は家を追い出されてしまった。娘2人は叔父の紹介で富裕層のお宅で家政婦として働き始めるが、命令に従わないという理由で妹は追い出され、その上、一家の恥だと叔父に殺害されてしまった。妹の死に疑問を感じた姉アムナは、身分を偽りそのお宅で働き、真相を探り始めることにした…。

観れる機会の少ないアフリカ映画(それもエジプト)&クラシックというだけで感激。日本ではVHSすら出ていない模様。たとえどんな内容でもいいから観たくて飛び付いたのだけど、思わぬ展開に仰天。家政婦が主人公で、農薬が登場するといった展開はキム・ギヨン監督「下女(1960)」と一緒。偶然にも同じ1960年製作である。
IMDbではロマンスになっているが、潜入して死因が徐々に明らかになっていく展開はサスペンスとして見たほうが楽しめる。資料では109分との記載だが、実際には120分だった。

富裕層宅にはピアノがあり、アムナは生まれて初めてピアノというものを知り触れる。富裕層の女性たちはアムナのようにブルカではなく洋服を着、フランス語の家庭教師が来るといった優雅な生活。貧富の差は現代以上に開きがあるように見える。男性至上主義、イスラム社会における名誉殺人は今でも起こっていること。女性にとって不利な現代社会は60年代と何ら変わりないように映る。
doaa1.jpg妹の死後、仕えていたお宅を訪ねると、もう既に別の家政婦が仕えていた。友人だと偽って妹のことを尋ねると、新しい家政婦は家に快く招き入れてくれた。すると、そこへ主人が帰宅。アムナは家政婦の部屋へ隠れたが、主人はそんなことも知らず、家政婦をベッドに追い倒したのである。家政婦たちが長続きせず次々と辞めていくという噂、妹が背いた命令は主人の女癖だったと知ったアムナは復讐心に燃えるのであった。

妹を死に導いた主人を農薬で殺そうと決心し、家政婦として働くことに成功したアムナであったが、主人の優しさにアムナの心は傾き始め、日に日に彼への思いが強くなる。復讐と恋心のジレンマに苦しみ、感情を押し殺す様をあぶり出すように描いている。普遍的なテーマを扱っているが、イスラム社会ということもあって男性に逆らえず耐え抜く女性たちの姿が印象的。

結末に触れています。
殺害目的で近づいたことにいたたまれなくなったアムナは主人に自身の正体を暴露した。妹の分も愛したいという主人の言葉を信じ婚約までしてしまうが、やはり身分差の恋愛や結婚は許されない。2人の関係を知った叔父は銃でアムナを撃ち殺そうとするが、アムナを庇い主人が銃を受け死んでしまう。
名誉殺人が招いた悲劇。生き残ってしまったアムナは2人(妹と主人)の死をどう受け止めるのだろうか。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/24
[サイト内タグ検索] 日本未公開

柳の木のように (英題:The Willow Tree) <2005/イラン> ★★★

willow.jpg
柳の木のように/The Willow Tree
2005/96min/イラン
ドラマ
監督/脚本:マジッド・マジディ
出演:パービズ・パラスツイ、ロア・ティムリアン、モハマド・アミル・ナージ
IMDb評価:7.0/10

哲学度 ★★★
映像美 ★★★
催涙度 ★★★

アジアフォーカス・福岡映画祭2005にて上映



willow3.jpg8歳の時の火災により失明したユセフ。今は大学でペルシャ詩を教え、妻と娘と幸せに暮らしているが、37年間、光のない世界で生きている。ある日、具合が悪くなったユセフは病院へ行くが、国内での治療はできないと言われ、叔父の紹介でパリで治療を受けることとなった。より精密な検査をした結果、身体に異常はなく、むしろ角膜移植が可能であることが判明した。無事に手術は成功し、光を取り戻したが、彼の生活は予想外の方向へ…。

「少女の髪どめ」以来4年ぶりとなるマジッド・マジディ監督作品は、映画祭のみの上映。「太陽は、ぼくの瞳(1999)」でも盲人を主人公としているが、本作は珍しく子どもではなく成人男性を主役に据えている。視力が回復したことで変貌する人間性と果てしない欲望を描いている。

willow2.jpg手術を終え、テヘランの空港に着くと、大勢の迎えが来ていた。その中から記憶を頼りに探す老いた母。ガラスに映る自身の顔との対面。初めて見る妻や娘の顔…目に見える物全てを噛み締めるかのようにじっくり見つめ、37年間の空白を必死で埋めようとする。

大学での教師を辞め、自身の経験を活かし盲人学校の教師になろうと学校を訪ねるが、盲人たちの姿を見て自分もこうだったのかと驚愕する。
雪、花、そして叔父の親戚であり若くてキレイな女性パリ。自然と美しいものに心が奪われてしまうユセフ。欲深くなり、盲目だった37年間は全て無意味だったさえ思い始めてしまう。大学教授という地位、長年連れ添った妻…築き上げてきたものを捨て去り、人生を新しくやり直したいと考えるようになる。ずっと献身的だった妻にも冷たくなり、「母親の真似ごとはやめろ」と言ってしまい、妻はユセフの元を去っていく。視力回復したことで開かれようとしていた人生だが、皮肉にも本当に大切なものが見えなくなってしまう。引き換えに失った代償は大きい。

やはり、マジディ作品のラストにはどんでん返しがある。
結末に触れています。
盲目時代の書物や思い出の品、使用していたカバンなどを全て燃やし、人生の再出発を決意したが、回復したはずの視力がまた失れてしまう。泣き崩れるユセフは何を思って泣いているのか。再び失った視力なのか、それとも妻や娘なのか…
手探りで家へ戻り、焼け残った物を今更ながら必死で集める。カバンは焼けずに中庭の池に沈んでいた。ユセフが拾い上げてくれるのを待っていたかのように。

<鑑賞> 英語字幕 2011/6/20
[サイト内タグ検索] マジッド・マジディ監督

(未) Eyes Wide Open <2009/イスラエル> ★★★

eyes.jpgEyes Wide Open/Einayim Petukhoth
2009/91min/イスラエル
ドラマ
監督:Haim Tabakman
脚本:Merav Doster
出演:Zohar Shtrauss、ラン・ダンケル(Ran Danker)、Tinkerbell
IMDb評価:7.2/10

2009年 カンヌ映画祭 ある視点部門正式出品

宗教度 ★★
不快感 なし
映像美 ★★
哲学度 ★



eyes2.jpgミーハーな動機で観たものに関してはその人への興味だけで満足してしまうことが多く、記事にすることはほとんどないのですが、本作は、カンヌ出品作品で宗教絡みの話なので観て損はないという表向きの動機もあるけど、本音はRan Dankerという俳優目当てで鑑賞。結論から言うとミーハーな気持ちで観るのは失礼なほど真面目で重厚な作品だった。
カンヌ出席時の写真(右写真)をネットで見た時、「(V6の)岡田君、かっこよくなったなぁ。」と見間違えてしまったほどの極似。まだ映画出演は3本で、日本公開作はない。

舞台はエルサレム、ユダヤ教超正統派のコミュニティ。アーロンは妻子とつつましく暮らしている。父親の死後ショックで閉めていた肉屋を久しく開き、アルバイトの募集の張り紙を張り出した。そこへ、神学校の生徒だという青年エズリが電話を貸して欲しいと立ち寄る。話を聞いてみると、友人と連絡が取れず、行き場を失ったという。肉屋の2階の倉庫に寝泊まりさせてあげる代わりに、仕事を手伝ってもらうことにした…。
 

eye3.jpg

登場する男性たちは、黒い帽子に黒いスーツ、長い髭に長い横髪といった超正統派の特徴でもあるスタイル。集会やお祈りといった宗教独自の生活習慣も興味深い。私には宗教的知識とそれらの英語力が不足してるため、かなり聞き落としている箇所があるが、普遍的な恋愛映画として観ることができる。

実は、肉屋の主人である既婚中年男性アーロンと学生エズリの同性愛を描いた作品。宗教上、同性愛はご法度であり、小さいコミュニティーで隠しごとはできず、すぐに関係が知れ渡ってしまう。劇的な展開はなく、想定内での展開に収まってしまっているが、宗教と恋愛のジレンマで微動する心の揺れがよく描かれている。白黒の衣装同様に色彩のトーンも抑えられ、演出も淡々としているが、ラブシーンだけは情熱的。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/1
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ラン・ダンケル

(未) Wanderers of the Desert <1984/チュニジア> ★★

haimoune.jpg
El-haimoune /Les baliseurs du desert/Wanderers of the Desert
1984/95min/チュニジア
ドラマ
監督/脚本/出演:ナーセル・ヘミール(長編デビュー作)
出演:Soufiane Makni、Noureddine Kasbaoui
舞台:イラン
IMDb評価:6.8/10

宗教度 ★以上
哲学度 ★★以上
映像美 なし
難解度 ★★

ナーセル・ヘミール監督のデビュー作でもあり、主演を務めている。


haimoune2.jpgバスの運転手も知らないほどの小さな町にある男は教師として派遣された。この町は女と長老、子どもしかいない町であった。長老たちの話しによると、男性は年頃になると“巡視官”になってこの町を去り、二度と戻らないという。この呪縛から町を救うべく、長老たちはこの教師に希望を託すが…。

そもそも“巡視官”の意味がわからないのだが、一行であてもなく砂漠を彷徨い、命が尽きるまで使命を果たし続け、次の世代に役目を引き継ぎ、人知れず消えていく。風で砂が舞い上がり、砂色になった空と陸の境界線が見えないこの町は今にも砂にうずもれて消えてしまいそうである。風は死者の魂を運ぶともいうが、この町を飲み込もうとしている風は彼らの魂なのだろうか。

今ひとつ何が言いたいのか読み取れなかった。
埋もれそうな町を見ていると、近代化が進み、伝統がうもれていくことへの警鐘を促しているように感じるが、宗教的な観点から“生と死”について論じているのかもしれない。
haimoune1.jpg結末に触れています。
新任教師は町のために尽力をつくすが、神隠しにあってしまう。捜査願いを出すが、見つからなかった。あるリーダー格の少年は、男性たちが消えていくのをずっと目の当たりにし、自身の将来を案じていた。育ててくれた祖母の死をきっかけに、かつてのオアシスと言われ、憧れ続けていた異国の地へ旅立つのであった。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/31
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ナーセル・ヘミール監督

エミタイ <1971/セネガル> ★★★

emitai.jpg
Emitai
ドラマ
1971/103min/セネガル
監督/脚本:ウスマン・センベーヌ (Ousmane Sembene)
製作 ポーラン・スマヌー・ヴィエイラ (Paulin Soumanou Vieyra)
出演:ロベール・フォンテーヌ、ミシェル・ルノドー、ピエール・ブランシャール、アンドジョ・ディアウ
言語:ディオラ語、フランス語
IMDb評価:7.0/10

社会度 ★★★
民族度 ★★★★★


emitai1.jpg1940年代初期、フランス支配下のセネガル南部カザマンス地方。第2次世界大戦中でフランスはドイツと戦っており、この村からも若い男性は強制的に徴兵されてしまった。村に残っているのは長老、女性、子どもだけとなり、長老たちは祭壇に生贄を捧げ神に祈り続ける日々を送っていた。しかし、神へ祈りは届かず、フランスから来ていた大佐から兵員用の米までも徴収すると新たに言い渡される。ディオラ族にとって米は主食であるだけでなく、神聖なものであり、命令を拒んだ。その結果、妻や子どもたちが人質に取られてしまう…。

「エミタイ」とは“雷神”のことであり、雷神信仰のある村を舞台にしている。神に祈るための生贄の儀式が興味深い。アフリカ人監督が描くことに意義がある作品。背景にあるのは戦争と植民地軍による非人間的な態度であり、米を徴収されるぐらいなら死んだ方がマシだという誇り高きディオラ族の団結力には心打たれる。

結末に触れています。
軍に屈服し、米を運び出す男たちに訴えかけるような妻たちの歌声が響く。妻たちの蜂起する姿は力強い。妻たちの歌声で我に帰り、米の篭をおろしてしまった男たちの結末は虐殺であった。一列に並ばさせ、射撃されるシーンに直接描写はなく、ブラックアウトした画面に射撃の音が響きわたる。凄惨さがストレートに訴えかけてくる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/26
[サイト内タグ検索] ウスマン・センベーヌ監督

(未) Bab'Aziz <2005/チュニジア=イラン=仏> ★★★★★

babaziz.jpg
Bab'Aziz
ドラマ
2005/96min/チュニジア=イラン=フランス
監督/脚本:ナーセル・ヘミール(Nacer Khemir)
出演:Parviz Shahinkhou、Maryam Hamid、Hossein Panahi
舞台:イラン
言語:ペルシャ語、アラビア語
IMDb評価:7.2/10

宗教度 ★★★
哲学度 ★★★★★
映像美 ★★★★★



おそらく日本では作家として知られているナーセル・へミール監督。
「イスラムの言葉(原書名:PAROLES D’ISLAM)」(訳:いとう せいこう)という本が出版されている。(未読)
本作が長編3作目で、以降撮られていない。

babaziz3.jpg盲目の苦行僧バズアジズは30年に一度行われる宗教行事に参加すべく旅に出る。孫娘のイスタールも同行することとなった。昔話をしながら進む道中、出会った人々もまた物語を綴っていく…。

本作の主題は“イスラム神秘主義スーフィズム”である。スーフィズムでは禁欲的で厳しい修行を行い、また白い布状の服を身につけて一心不乱に回る、回旋舞踊と呼ばれるものを行ない、神との一体化を求めている。雑念を捨て去り一心に神の事をのみ考え、神と合一したという悟りが訪れるのを待つ。この境地に至った者は、時として聖者に認められ、崇拝の対象となった。イスラム教は仏教やキリスト教のような“偶像崇拝”を禁じており、タリバンのような“イスラム原理主義”はスーフィズムを異端とし厳しく批判している。イスラム武装勢力の攻撃対象とされることもあり、自爆攻撃といったニュースもよく目にする。本作ではスーフィズムの苦行の過程を寓話的に描いている。

babaziz1.jpg風の音しか聞こえない静寂な砂漠で綴られる数々の物語はアラビアンナイトを彷彿させる。苦行僧バズアジズの話と出会った人々の綴る物語の中に登場する人物とは、神と合一し悟りを開いた人たちである。神への近づき方は人それぞれ。話しをお互い交わしながらの旅の過程そのものが修行であり、修行僧たちを境地へと誘っていく。観ている側も雑念が払われ、一歩一歩神に近づいているような感覚にさえ陥ってくる。

babaziz2.jpg



アラビアンナイトのような神秘性。
叙情的旋律と歌詞。ジプシーたちの音楽のレベルの高さ。
字幕を目で追うのを忘れてしまうほど魅入ってしまう映像美。
魅惑的に描いた独特な世界観に圧倒される。
哲学映画といわれているだけあって難解であり、宗教的な儀式が多く、ある程度の知識が求められるが、たとえ無知でも観る価値があると思わせる崇高な映像の魔力を感じた。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/30
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ナーセル・ヘミール監督

フリー・ゾーン~明日が見える場所~ <2005/イスラエル> ★★★★

free zoneFree Zone
ドラマ
2005/90min/イスラエル=フランス=ベルギー=スペイン
監督/脚本:アモス・ギタイ
出演:ナタリー・ポートマン、ハンナ・ラズロ、ヒアム・アッバス
受賞:
第58回(2005)カンヌ国際映画祭女優賞(ハンナ・ラズロ)
言語:英語、アラビア語、ヘブライ語
IMDb評価:5.9/10

邦題のセンス なし
社会度 ★★★★★
隠喩度 ★★★★
残虐度 ★

ヒアム・アッバスの他作品については こちら

アメリカ人のレベッカ(ナタリー・ポートマン)は裕福なイスラエル人の婚約者と共にエルサレムで暮らしていた。しかし突然に婚約を破棄されてしまう。失意のレベッカは、彼女を空港に送り届けるために待っていたイスラエル人のハイヤー運転手ハンナ(ハンナ・ラズロ)に、「どこでもいいから連れて行って欲しい」と懇願する。 その日、装甲車の売り掛けビジネスをしている夫の代わりに、ヨルダンのフリーゾーン=自由貿易地区へ集金に向かわなければならなかったハンナは、それならば一緒にフリーゾーンへ行くかと誘い、フリーゾーンで「アメリカン」と呼ばれる男を訪ねるが…。@シネフィルイマジカ

映画はいきなり「子羊、子羊…」という歌をバックに、車中、傷心で泣き続けるレベッカをクローズアップで映し続ける。
「お父さんがコインたった2枚で買った子羊を猫が喰い殺してしまい、その猫を犬が襲い、棒で犬を叩き、その棒を燃やし、火を消した水を牛が飲み、その牛を肉屋が捌き、死神に殺された…私も子羊。もはや今は何者なのかわからない。いつも答えのでない質問をしてしまう。何かが変わる日は来るのだろうか。この悲劇はいつまで続くのだろうか。全てがまた始まろうとしてる…」といった内容の歌詞がすごい。ユダヤ系イスラエル人Chava Albersteinの「Had Gadia(Chad Gadya)」という曲である。劇中、何度か流れるが、永遠と終わりの見えない不条理な中東の現状と歌詞が重なる。

イスラエルと隣国のヨルダンを巡る一種のロードムービー。
別れた恋人と暮らしていたエルサレムをとにかく去りたいレベッカを連れ、ハンナは車でヨルダンの“フリーゾーン”と呼ばれる地区へと向かう。
走り出した車中では、レベッカの視点となる車窓からの眺め、客観的に見た車内の2人の様子、レベッカの脳裏にある思い出が二重にも三重にも重なる独特な映像が流れる。レベッカと運転手の出会い、レベッカが婚約者と別れるに至った経緯など個人的な問題をシャワーのように垂れ流しながら、中東の現状問題が見え隠れする映像は集中力を要する。

free zone1夫の代わりに“フリーゾーン”へ行ったハンナだが、そこで会うはずの“アメリカン”と呼ばれる男性はおらず、その代わりにパレスチナ人の女性が待っていた。
「お金を返して」「ここにはない」
「どこにあるの?」「わからない」
「アメリカンはどこへいるの?」「ここにはいない」
「なぜ来るのが遅れたの?」「遅れるって電話したじゃない」…
顔を合わせるや否や討論が始まるイスラエル人とパレスチナ人。2人は国そのものを象徴しており、水かけ論的な討論は未だ終わりの見えない中東関係のメタファーだと思われる。

free zone2“フリーゾーン”とは実在し、自由貿易区域とされている。こういう区域があることは知っていたが、もう少し平和な貿易を想像していた。実際には、戦争の武器とされている銃や装甲車が取引されている場だそうだ。そういったものを人々はここでアメリカ人に売り、更に隣国へ売られ、戦争の武器になっていくのである。戦争には反対だが、生きるために装甲車を売るハンナ。自分でも矛盾していることに気が付いてるが、生きるための手段なのである。ハンナもまた羊の歌の歌詞と同じように“答えの出ない質問”を繰り返していた。


全体的に混沌としていて、さらに隠喩に込める描写は曖昧。またしても自分の中東問題の知識力のなさを思い知らされた。私も含め、中東問題に日ごろ触れていない日本人には解釈が難しい。さらっと交わされる会話の中にも情勢の複雑さが垣間見れるし、どこの国と隣接していて、どことどこが敵なのか、アラビア語とヘブライ語を聞き分けられるかどうかで理解度は雲泥の差がある。しかし、釈然としない流れの中でも、市民の日常生活と絡み合う中東の複雑な情勢が痛く突き刺さる。
個人的には、民族思想・国際思想の強いナタリー・ポートマンヒアム・アッバスの出演&共演に大感激であった。

邦題の副題「~明日が見える場所~」には疑問を感じている。
結末に触れています。
一時は険悪なムードの時もあったが、帰りの車内、イスラエル人とパレスチナ人とアメリカ人の3人はいい気分でラジオから流れる音楽を聞いていた。しかし、その音楽はテロのニュースで中断されてしまう。一時、希望を感じさせながら、やはり明日は見えてこない。そして、国境でまた始まっってしまったイスラエル人とパレスチナ人の討論。やはり終わりは見えない…。だから、アメリカ人のレベッカはその場から逃げ去ったのである。明日はどこに見えるのか…楽観視できないことは私にだってわかる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/25

(未) Red Satin (原題:Satin Rouge) <2002/チュニジア=仏> ★★★

satin.jpg
Satin rouge
2002/100min/チュニジア=フランス
ドラマ、ロマンス
監督/脚本:Raja Amari (長編デビュー作)
出演:ヒアム・アッバス、Hend El Fahem、Maher Kamoun
言語:フランス語
舞台:チュニス
IMDb評価:6.8/10

宗教度 ★
妖艶度 ★★★
映像美 ★★★

ヒアム・アッバスの他作品については こちら


satin2.jpg毎日帰りが遅い娘を心配し、母りリアは娘の行動を監視するようになる。昼間通うベリーダンス教室に行ってみると、太鼓演奏の男性と仲の良い姿を見かけた。男性の後をついて行くと夜はキャバレーで働いていた。娘も夜そこで働いているのではないかと、夜の営業中に店に行ってみたが娘はいなかった。しかし、りリアはベリーダンスの美しさに魅了されてしまう…。

かねてから自宅で音楽を聞きながらこっそり踊っていた様子を見ると関心はあったのだろう。キャバレーで娘は働いていなかったが、ダンサーの1人と仲良くなったこともあり、娘が眠った後キャバレーに通い詰めるようになる。こっそり衣装を試し、ちょっと踊って見たところをダンサーに認められ晴れてステージに立つこととなる。

satin1.jpgストーリーはいたって単純で、未亡人りリアがベリーダンスに出会ったことで再び輝き始める過程を描いているだけで、見所は映像美とヒアム・アッバスのベリーダンス。

青と白の街といわれるチュニスを舞台にしているだけあって、扉のチュニジアンブルーや青白い陽光といった青を意識した映像が特徴で、刺し色の赤が映える。りリアの心境の変化と共に洋服の色も地味な色から暖色系に変化し、表情も和らいでいくのが見て取れる。ヒアム・アッバスの出世作といわれている作品でもあり、数少ない主演作でもある。ダンスシーンがメインとなり、ヒアム・アッバスの妖艶なダンスシーンを見ることができる唯一の作品ではないだろうか。ついでに言うと、ベッドシーンもある。

忘れてならないのは、チュニジアはイスラム圏であるということ。当然、キャバレーで働く女性に対し批判的な女性もいる。タブーであるはずの結婚前の娘と彼氏との体の関係や、未亡人の恋愛もあからさまに描かれているが、私たちと同じ恋愛観や女性観をもっていることがわかって安心した。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/28
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ヒアム・アッバス

(未) Impotence (原題:Xala) <1975/セネガル> ★★★☆

xala.jpg
Xala
1975/123min/セネガル
コメディー
監督/原作/脚本:センベーヌ・ウスマン「Mandabi
原作本:同名、翻訳本なし
出演:Fatim Diagne、Makhouredia Gueye、Thierno Leye、Dieynaba Niang
言語:フランス語、ウォロフ語
IMDb評価:6.9/10


ついにフランスから解放され、人々は歓喜の舞いを踊る。官僚のエル・ハジは、大統領とも親しく、運転手付きのベンツに乗るような生活を送っている。そして、3度目の結婚式を向かえることとなった。本妻も娘も3度目の結婚をよく思っていなかった。そして、初夜を向かえたが…。




xala1.jpg描かれているのはフランスからの解放直後であり、人々はフランス語を使っている。夫の3度目の結婚に反対の本妻は、結婚式へ向かう車でもそっぽを向き、夫がフランス語で話しかけても自国語であるウォロフ語で返答する。イスラムの男性主義社会でも夫にすら屈しない凛とした姿が描かれる。しかし、世間への体裁のために結婚式だけは出席する。

一方、初夜を向かえる第3夫人。
“結婚したのだから、夫に使えなければいけない”“男女は平等ではなく、夫の要求には逆らってはいけない”“(痛くても)声を上げてはいけない”などの手解きを母親から受ける。しかし、翌朝シーツに出血はなかった。原題「Xala」は呪いという意味だが、英題は…。同僚に良質なバイ×グラをもらったが、悲しくも効き目がなかったのである。しかし、無事に初夜を迎えられなかったのは、嫉妬する本妻の呪い(Xala)によるものだと考えている。

夫は入植国フランスの支配下で成功を治めた人物。薬なしでは男になれない夫は、フランスの支えなしでは無力であることを意味している。敢えてフランス語を使おうとしない本妻の態度は支配社会への批判とも取れる。
“呪い”とはフランスそのもののメタファーであり、呪縛を解き放つことで変革していこうとする国家体制を示唆しているのでないか。一夫多妻の問題点も提議しているように感じた。

若い妻との初夜を羨む同僚たちの性の手解きは開いた口が塞がらない。「Mandabi」以上のバカバカしさはかなりのブラック度で、アフリカ映画であることを忘れてしまいそうだが、トイレ事情の悪さのため、女性たちがバケツで持ってきて汚水を流すシーンや、ただ通り過ぎるだけだの戦争後遺症の人々を追うだけでも、アフリカ諸国の(当時かな?)現状を映している。
落ちぶれていくエリート官僚や政府、国への痛烈な批判の仕方はシン・サンオク監督のようでもあるし、性の描き方はキム・ギヨン監督。初夜を無事に終えたように見せるため、母親が鶏の生血をシーツに残すシーンや、エンディングの強烈さは脳裏に焼き付いて離れない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/22

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