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ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー (原題:Elles) <2011/仏=ポーランド=独> ★★★★

2013年3月6日DVD発売します。

elles.jpg Elles/Sponsoring
2011/99min/フランス=ポーランド=ドイツ
ドラマ
監督/脚本:Malgorzata Szumowska(監督デビュー作)
脚本:Tine Byrckel
出演:ジュリエット・ビノシュ、Anaïs Demoustier、Joanna Kulig
IMDb評価:5.9/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 ★★
民族度 ★★★
邦題センス なし(なんで女優名をタイトルに入れるの!?)
脚本 ★★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


パリに住むフランス人ジャーナリストのアンヌは、学生の売春について記事を書こうと2人の学生に直接会い、調査を開始する。一人はポーランドからの留学生で、一人は地方出身。2人のインタビューを重ねるごとに売春に対する概念が覆され、アンヌ自身も変化していく…。

監督は、本作がデビュー作となるポーランド人のMalgorzata Szumowska。
出演は、 ジュリエット・ビノシュ、「美しい人(2008)」「キリマンジャロの雪(2011)」のアナイス・ドゥムースティエ、「イリュージョン(2011)」のヨアンナ・クーリグ、「あの夏の子供たち (2009)」のルイ=ド・ドゥ・ランクザン、「カティンの森 (2007)」のアンジェイ・ヒラ、「尋問(1982)」「菖蒲(2009)」のクリスティーナ・ヤンダ

elles2.jpgアンネは自宅のPCに見知らぬ女性の動画を発見する。夫を問い詰めると、「世界中に娼婦はありふれているだろう。女に娼婦の何がわかる!?娼婦は男の権利だ!」と豪語する。そんな夫は妻が援助交際の女子学生にインタビューをし、記事を書こうとしていることを知らない。いや、もはや関心すらなく知ろうとともしていない。長男が大学生だから、結婚20年前後だろうか。夫婦を繋ぎ止めているのは息子2人であり、夫にとって妻は家政婦状態。夫婦生活はなく、夫はその日の気分でいろんな娼婦を楽しんでいるのだろう。冷蔵庫のドアにはいつも何か引っかかり、なかなか閉まらない。何度か試すとようやく閉まるドアは今にも壊れそうで、いつまで持つかわかららず、危うい夫婦関係を示唆している。

elles1.jpgそれに比べ、援助交際をしている2人。アンヌは会うまでは売春は“お金”目的だと思っていたが、決してそうではなかった。人生を謳歌し自立しており、男性から女として見てもらえるだけ主婦よりマシかもしれない。アンヌが買ってきて調理しようとしているまだ新鮮なホタテ貝は女性器のメタファーでもある。アンネは夫に捨てられる不安を解消するために、自ら娼婦のように淫らに夫を誘惑してみせるが、拒否され虚しいものだった。
インタビューをするにつれ性的に刺激されていく過程を描いているが、かなり挑発的で実験的。ジュリエット・ビノシュの自慰行為は話題を呼んだ通り、すごいシーンだった。女性監督による女性へ向けた応援歌でもあり警告。家庭崩壊を示唆すると同時に、現代社会の悲しい現実を浮かび上がらせている。

アンネ夫妻が友人たちを招いた食事会では一瞬にして男性客が売春の客に入れ変わる。全ての男性が娼婦の客になりうる現代社会で生きる女性はこの絶望をどう乗り越えればいいのだろうか。ラストの家族での平和な食事風景は、女性の理想?妄想?願望?

<観賞> 2012/7/21
初版:2012/7/26
最終版:2013/1/13

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(未) I'm Glad My Mother Is Alive <2009/仏> ★★★★☆

本作のクロード・ミレール監督が4月4日に死去されました。日本でもニュースになったのかな?本作鑑賞後にいろいろ検索していて知りました。
この日は眠れなくて、ずっと観ようと思いながら置き去りにしていた数十本の中から本作を何気なくチョイス。
しばらく遠のいていたフランス映画&私にとって初ミレール作品&亡くなった時刻と鑑賞時刻が重なっているという偶然。
ご冥福をお祈り申し上げます。

Im gladJe suis heureux que ma mère soit vivante/I'm glad my mother is alive
2011/90min/フランス
ドラマ
監督:クロード・ミレール、ネイサン・ミレール
出演:ヴァンサン・ロティエ、ソフィー・カターニ、クリスティーヌ・チティ
IMDb評価:6.5/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★

5歳の時に弟と一緒に養子に出されたトマはずっと母親のことを覚えており、憎み続けていた。それでも12歳の時に母親の住所を探し出し訪ねるが、母親はトマのことがわからない。思わず「家を間違えた」と嘘をつき母の家を後にした。その後、20歳になって、アルツハイマーの養父を施設に送る途中、母が住む住宅の前を通ったことをきっかけに、再び母を訪ねた。そして、育ての母には就職先が変わったと嘘をつき、産みの母の家で生活を始める…。

Im glad2監督は、「一番うまい歩き方(1975)」「ある秘密(2007)」のクロード・ミレールと息子のネイサン・ミレールの共同作。出演は、「ナルコ(2004)」「天使の宿り木(2004)」のヴァンサン・ロティエ、「トムボーイ(2011)」ソフィー・カターニ、「譜めくりの女 (2006)」クリスティーヌ・シティ。

弟にとっての母とは育ての母のみ。トマにとっての母は、産みの母?それとも、育ての母?
1歳の時に養子に出された弟には産みの母の記憶がなく、関心すらない。一方、物心がついた頃に捨てられたトマは心の中で憎み続けていた。育ての母の愛情に素直に答えられないトマは自身のアイデンティティーにいつも悩んでいた。“I'm glad that my mother is alive(お母さんが生きててよかった)”という言葉の重みが胸に突き刺さる愛憎劇。

衝突を繰り返しながらも心の距離を埋めようとするトマと産みの母のぎこちない共同生活。憎みながらも思い続けた産みの母は心のどこかではまだ母でもあり、時には初恋のような存在。共同生活は恋人との同棲生活のようでもあった。アイデンティティーに悩んできたトマは産みの母との生活で初めて自身の居場所を見つけたかのようにも見え、表情がどんどん明るくなっていく。一度はトマを捨てた産みの母だが、トマの気持ちを全て受け入れる懐の厚さに母の強さを感じた。

Im glad1育ての母+トマ、育ての母+トマの弟、産みの母+トマ、産みの母+異父兄弟。限られた登場人物の中でいろんな形の“母+息子”のエピソードを比較させるかのように静かに描き、心情を掘り下げていく。登場人物は多くを語らないものの、それぞれの立場によって様々な複雑な思いを抱えていることがそこはかとなく伝わる演出が巧み。

トマはなぜ敢えて困難な道を選ぼうとするのか。弟のように育ての母に委ねれば普通の幸せがあったであろうに。自分の気持ちに正直に生きることが正しいとは限らないが、逆らうことも簡単ではない。全体に地味な作りだが、作り過ぎないエピソードのリアル感、終盤にかけてサスペンスフルな展開になる。全体を通して伝わってくるのは、悲劇性である。何が間違っていて、何が正しかったのか答えは提示されない。“I'm glad that my mother is alive(お母さんが生きててよかった)”という言葉の裏にどんな思いが含まれているのか。様々な思いを持ち帰るに違いない。

<鑑賞> 2012/4/5

[サイト内タグ検索] 日本未公開

マーターズ <2008/仏=加> ★★

martyrs.jpg
Martyrs  
2007/100min/フランス=カナダ
ホラー、スリラー、ドラマ
監督:パスカル・ロジェ 
出演:モルジャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイ、カトリーヌ・べジャン、イザベル・ジャス、グザヴィエ・ドラン
IMDb評価:7.0/10

哲学度 ★★
宗教度 ★★★
嫌悪感 ★★★
ゴア度 ★★★★
衝撃度 ★★★

DVDレンタルしており、面白味半減してしまうので、簡単に。

martyrs1.jpg1971年のフランス。少女ルシ―は、下着姿で衰弱しきった姿を路上で発見され、保護された。食肉処理場で何者かによって監禁・拷問・虐待されており、自力で脱出したのだった。15年後、そんな惨いことをしていた者たちを探し出したルシ―は復讐に向かった。ごく普通の幸せそうな家庭であったが、ルシ―は一瞬にして血の海にしてしまう。後から駆けつけた親友のアンナも犯行現場に驚愕する。死体処理を終え立ち去ろうとするが、隠れ扉を見つけたアンナは秘密の部屋へ足を踏み入れると、そこには…。

監督は、「MOTHER マザー(2004)」のパスカル・ロジェ監督。ルシ―役は「中国の植物学者の娘たち(2005)」のミレーヌ・ジャンパノイ。殺害される一家の長男役は「マイマザー/青春の傷口」で監督主演を務めたグザヴィエ・ドラン。

martyrs2.jpg久しぶりに観たホラーが、こんなに強烈だったとは。アンナ役のモルジャーナ・アラウィは撮影中骨折し、ルシ―役のミレーヌ・ジャンパノイも殴られ過ぎて翌朝立ち上がれなかったというだけあって、リアルな描写は容赦ない。ジャンルは強いて言えば、スプラッターあり残虐行為満載の拷問系。しかも直接描写である。度を超えた要求をこなした女優魂を褒め讃えたいところだがやり過ぎ感は否めず、インパクトの大きさで言ったらかなり上位に食い込む問題作である。描写が強烈なので、免疫のある人、覚悟のある人にだけオススメします。

序盤はルシ―の凄惨な復讐劇を中心に展開するが、単なる序章にしか過ぎず、本番は主人公が親友のアンナに移ってからとなる。序盤とは全く違った展開を見せている。アンナは彼らの監禁・拷問・虐待の理由を知っているのかどうかは定かではないが、観ているこちら側は一体何が目的なのかがなかなか見えず、この先何が待ち受けているのか分からないという恐怖が襲いかかって来る。拷問の肉体的な痛みよりも怖いのは底知れぬ人間の恐怖である。一日一度の流動食と拷問を受ける毎日。精神的な苦痛の中での生かさず殺さずといった状況は、人間にとって一番つらい。

中盤、凡長に感じられる部分もあるが、筋立てはしっかりしており、哲学的で宗教的な解釈を要する結末はホラーというジャンルを超越している。タイトル“マーターズ(Martyrs)”には殉教者、犠牲者、目撃者、証人といった意味がある。私が思うに殉教者への崇敬が本作のテーマなのではないかと思う。肉体的、精神的苦痛の極限の果てに、人間には何が待ち受けているのか…目撃者のアンナは犠牲者でもあり、その後殉教者となり証人になるまでの苦痛を描いた作品。

<鑑賞> 英語吹き替え 2011/11/18
[サイト内タグ検索] グザヴィエ・ドラン監督

(未) Our Day Will Come <2010/仏> ★★★

our.jpg
Notre jour viendra
2010/90min/フランス
ドラマ
監督/脚本:ロメイン・ガヴラス(Romain Gavras)コスタ=ガヴラスのご子息
出演:ヴァンサン・カッセルオリヴィエ・バーテレミ
IMDb評価:6.1/10


社会度 ★★★
暴力度 ★★★
衝撃度 ★★★
哲学度 ★




our2.jpg赤毛の青年レミーは家族からも髪色のせいで煙たがられていた。偶然道であったパトリックもまた赤毛であり、親子ほどの年が離れているが、友情が芽生え始める。そして、共にアイルランドを目指し旅を始める…。

監督はコスタ=ガヴラスの息子さんであり、主にMVの監督をされている方。本作が映画長編監督デビュー作となる。社会性の強いお父様に近い作風であることを身構えて観たつもりだったが、暴力性ばかりが際立ち、ポイントがよくわからなかったのが本音。鑑賞後、手掛けたMVやCMを数本拝見し、監督のことを調べ上げていくうちに、自分の勉強不足の不甲斐なさに打ちのめされた。危うく★一つ評価をつけるところであった。

“Our day will come”と聞いてピンとくる方がどれだけいるのだろうか。IRA(アイルランド独立闘争(対英テロ闘争)を行ってきた武装組織)の有名なスローガンであり、知ってさえいれば容易に過激さが推測できるようでもある。

our1.jpg赤毛というだけ差別を受ける現状。赤毛の聖地(?)であるアイルランドを目指し、新たな人生を歩み出そうとする2人の物語。ありふれたロードムービーに留まらず、過程には人種差別や宗教問題、犯罪といった過激な展開運びが繰り広げられる。どれも到底日常では起こり得ないことばかり。もしかしたら各エピソードにはそれぞれ深いメッセージが込められているのかもしれないが、読み取れなかった私はヴァンサン・カッセルの強烈キャラばかり楽しませてもらった。このキャラクターを演じられるのはやはり彼しかいない。ヴァンサン・カッセルオリヴィエ・バーテレミの共演は「変態村」に続く3作品目となる。全く違った顔を見せてくれている。

本作の舞台はフランスであり、IRAはストーリーには直接絡んでこないが、示唆しているのは明らか。個人的には彼の鳥肌ものの演技だけでも観る価値はあったと思うが、状況がつかみにくい外国人のためにももう少し補足説明があってもよかったように思う。

本作を本気で鑑賞される方は話題になっていた予めM.I.AのMV「Born Free」を観ることをオススメします。
赤毛への差別やIRAの活動内容が描かれ、本作の補足説明のために作られたかのよう。


こちらは監督が手掛けたイヴサンローランのCM。テレビ放送されていた記憶がかすかに残っている。


<鑑賞> 英語字幕 2011/9/22

(未) Dog Pound <2010/仏=加=UK> ★★

dog_20110921220709.jpg
Dog Pound
2010/91min/フランス=カナダ=UK
ドラマ
監督/脚本:キム・シャピロン(長編2作目)
出演:Adam Butcher、Shane Kippel、Mateo Morales
言語:英語
IMDb評価:6.9/10

暴力度 ★★★
嫌悪感 ★★
衝撃度 ★★★(オリジナルを観ていなければ)





dog1.jpgドラッグ所持で捕まった16歳、車泥棒で捕まった15歳、他の施設で看守に暴行を働いた17歳の3人に少年が少年院に入ってくる。たまたま同日に入所したこの3人の院生活を描いているだけで、特にあらすじはない。

嫌悪感マックスで私が2度と観たくないアラン・クラーク監督「Scum(1977/1979)」のリメイク。オリジナルは、更生ではなく、罰せることを目的とし、80年代前半まで実在していたイギリスの少年院をモデルにしている。過激な暴力描写が理由で放送禁止になり、再度撮り直しの上、映画上映。数年後に更生目的の施設へと大幅改善された後にテレビ版の放送許可が下りたという経緯がある。本作はフランス人監督、カナダ人俳優によるリメイクで、舞台は不明。無関係の非イギリス人によるリメイクに意味があるのだろうか?

監督は「変人村(原題:Sheitan)」のキム・シャピロン監督。暴力描写は多いが、どれもオリジナルで描かれていたアイデアである。しかしながら、オリジナルのような嫌悪感を全面に出したような作風ではなく、かなりまろやかで観やすくなっていることは確か。オリジナルを観ていなければ十分楽しめるとは思うが、前作「変人村(原題:Sheitan)」のような独自性が感じられないのは残念。やっぱりこの監督には、ホラー路線で気味の悪い世界感を貫いて欲しい。第3作では再度ヴァンサン・カッセルとタッグを組むという噂が本当であって欲しい。

dog2.jpgタイトル“Dog Pound”とはアメリカでは野良犬を収容する施設のことを示す。野良犬のような素行の悪い少年を収容している施設という意味合いだろう。普段の行いによって制服が3種類に分けられているのは確かオリジナルにはなかった。要注意の問題児たちは目立つオレンジ、普通の少年たちは黒、模範的な少年たちは白のポロシャツと区分されている。しかし、白のポロシャツを着ているから真面目だというわけではなく、要領がよく、看守の目を騙すのがうまいだけ。差し入れのサンドイッチの中に薬を紛れ込ませたり、蔭で悪いことをしている。ドキュメンタリータッチで出演者たちの演技もリアルなのはオリジナル同様。主にカナダの国内ドラマで活躍している俳優ばかりで新人ではないが国際的に有名な俳優が1人も出演していないのは新鮮に映る。でもなんでカナダ人俳優ばかりの起用だったのだろうか?

<鑑賞> 2011/9/21
[サイト内タグ検索] 日本未公開 キム・シャピロン監督

変人村 (原題:Sheitan) <2006/仏> ★★★★

sheitan.jpg
Sheitan/Satan/死亡人偶
2006/94min/フランス
製作/出演:ヴァンサン・カッセル
監督/脚本:キム・シャピロン(長編監督デビュー作)
脚本:クリスチャン・シャピロン(キキ・ピカソ)
出演:オリヴィエ・バーテレミ、ロクサーヌ・メスキダ、ニコラス・ル・パタン、レイラ・ベクティ
IMDb評価:5.6/10

ゴア度 ★★
下品度 ★★
狂気度 ★★★
邦題のセンス なし
(確かに変った人だけど、変人は的外れ。それに村って何よ?)


sheitan1.jpgクリスマス前日、バート、ラジ、タイはヤスミンとイヴという女の子をクラブでナンパする。テンションの上がり過ぎた彼らは騒ぎを起こし、ビール瓶で殴られ、外に追い出されてしまう。行き場に困った5人は一台の車に乗り込み、片田舎にあるイヴの実家に遊びに行くことにする。しかしそこで、サタン崇拝者の使用人ジョセフの奇行に巻き込まれ、取り返しが付かない状況に陥ってゆく…。

グラフィック・デザイナーのキキ・ピカソ(クリスチャン・シャピロン)を父に持ち、自身も“kourtrajme”の一員としてアート界で活躍しているキム・シャピロンの長編監督デビュー作。お父様は脚本にも参加し、kourtrajmeのメンバーや友人で作り上げており、独自の世界観を放つ。彼の才能に惚れ込んでいるヴァンサン・カッセルが製作・主演。

私が本来求めている映画というのは「Movies that make me think(考えさせてくれる映画)」であって、そういった観点から言うと熱く語るような内容ではないが、ブッ飛び具合が結構ツボの★4つ。悪く言えば雑な脚本に悪趣味で下品な演出だが、良く言えば斬新な発想はオリジナリティーに溢れ、独特な感性。ユーロホラーなんて言い方をされているが、今までのフランス映画にはない独自の世界観を貫いている。安っぽさと詰めの甘さは否めないが、ヴァンサン・カッセルの狂演で運よく補充されている。脚本次第でものすごく傑作ホラーを作ってしまいそうな将来性に期待度大。ヴァンサン・カッセルとの再タッグを切望。

sheitan2.jpg郊外にあるイヴの家に行き着くまでが少々冗長であり、無駄に思うシーンも多いが、ヴァンサン・カッセルの登場で、一気に引き締まる。振る舞いや言動から完全にイッテるのが滲み出ていて存在そのものが不気味。彼が住む家も豪邸だが大量の人形があったり異様な雰囲気漂う。人がバンバン殺されるようなホラーではなく、不気味さを醸し出す芸術的なセンスが本作の見所でもある。ヴァンサン・カッセルの歯剥き出しで、終始ニヤニヤしてる気味の悪さも癖になる。

温泉でみんなで戯れるシーンや発情期でイカレてる姪っ子、近所の障害者の登場などメインストーリーに絡まず、意味のなさそうなシーンが多い。その辺を今後どうストーリーに活かすかが課題だと思われる。

一番のツボは結末にぴったりハマる中国語のタイトル「死亡人偶」である。驚愕の結末は、夢なのか、現実なのか、はたまた何だったのか観客に解釈を委ねるところもいい。

<鑑賞>英語字幕 2011/9/20

(未) 【短編】la barbichette <2002/仏> ★★★

barbichette.jpg
la barbichette
ドラマ
2002/7min/フランス
監督/脚本:キム・シャピロン(Kim Chapiron)キキ・ピカソのご子息
撮影:ロメイン・ガヴラス(Romain Gavras)コスタ=ガヴラスのご子息
出演:ヴァンサン・カッセルオリヴィエ・バーテレミ、Marko Payen
IMDb評価:6.2/10





グラフィック・デザイナーのキキ・ピカソ(クリスチャン・シャピロン)を父に持ち、自身も“kourtrajme”の一員としてアート界で活躍しているキム・シャピロンの監督デビュー作。コスタ=ガヴラス監督(「戒厳令」「Z」など) のご子息のロメイン・ガヴラスも“kourtrajme”のメンバーであり、撮影を担当。
次作であり長編デビューとなる「変人村(原題:Sheitan)」、ロメイン・ガヴラスの長編デビュー作「Our Day Will Come(原題:Notre jour viendra)/2010」もkourtrajmeメンバーや友人たちで作り上げている。本作出演のヴァンサン・カッセルオリヴィエ・バーテレミは「変人村」「Our~」両作に出演。キム・シャピロンは「Our~」に、ロメイン・ガヴラスは「変人村」に出演(uncredited) している。
余談だが、キム・シャピロンはリュディヴィーヌ・サニエの第2子の父親であり、現パートナーでもある。

タイトル“la barbichette”は日本でいう“にらめっこ”のこと。お互いのアゴをつまんでにらめっこをし、笑ったら負けというルール。
兄弟3人がソファーでテレビを見ていると長男のヴァンサンが母親に呼ばれるが、行くのが面倒な彼は弟と“にらめっこ”を始め、負けた方が母の元へ行くという話。「変人村」のような驚愕さは本作短編ではまだ見られない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/21


(未) Little White Lies <2010/仏> ★★☆

uso.jpg
Les petits mouchoirs
2010/154min/フランス
コメディー、ドラマ
監督/脚本:ギョーム・カネ(監督長編3作目)
出演:フランソワ・クリュゼ、マリオン・コティヤール、ブノワ・マジメル、ジル・ルルーシュ、ジャン・デュジャルダン
IMDb評価:7.1/10


衝撃度 ★
涙催度 ★
笑い度 ★★
ブラック度 なし



uso1.jpg30代という人生の節目の男女たちが、毎年恒例の海辺でのヴァカンスで友情を再確認する物語。広島とか津波が台詞に含まれていたので、日本公開が遅れているのでしょうか。このメンバーだったら日本公開すると思うので、あらすじや詳しい内容は伏せておきます。冒頭が一番面白く、何も知らずに観た方がいいので。

監督は本作が3作目となるギョーム・カネ。プライベートでのパートナー、マリオン・コティヤールを筆頭に長年の友人たちに出演を依頼し、自然な表情が引き出されている。監督自身の経験を少しずつ各キャラクターに投影したという。が、この手のただの友情ストーリーで2時間半は長い!食事し、海で遊び、お酒を楽しむといった別荘でのありふれた出来事を2時間も引っ張られるのはしんどい。仲のいい友人達を集めて、思い出をフィルムに収めておこう的なホームビデオをだらだら見せられてる気分になる。ホームビデオって本人たちがあとで懐かしむために撮るものでしょ。結局は自己満足にしか思えない作品。でも、その分監督の温かい眼差しを強く感じる作品でもある。

uso2.jpg英題は“罪のない嘘”。“嘘”を主題として観てしまったら、綺麗に収まっていこうとする終盤(ハッピーエンドという意味ではない)に違和感を感じ、収拾のつかないエンディングにもがいてしまった。と思ったら、原題は“小さなティッシュ”だとか。タイトルによって全然印象が違う。英題を知らずに観ていたら素直に泣けたかもしれない。“嘘”なんて言われてしまうと、ひねくれた姿勢で観てしまう。
でも嘘というよりは、“見栄とか意地”と言ったほうっがしっくりくる内容。いっそのこと、人間の嫌な部分が明るみになっていくようなのを描いて欲しかったが、監督が描こうとしたことと私の期待することがあまりにも違いすぎたということだろう。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/13

(未) Whatever Lola Wants <2007/仏=加> ★★

lola.jpg
Whatever Lola Wants
2007/115min/フランス=カナダ
ドラマ
監督/脚本:Nabil Ayouch(長編4作目)
出演:Achmed Akkabi、Milia Ayache、Assaad Bouab
言語:フランス語
IMDb評価:6.7/10


好きな俳優Assaad Bouab が出演していたので、奇跡的最後まで観たが、途中かなりの割合で早送り。
特筆すべきコメントもないので、超簡単に。




lola1.jpgニューヨークでジャズダンスのオーディションを受けるもののなかなか芽が出ないローラ。郵便配達のパートでどうにか生計をたてている。エジプト人の友人の紹介で、ベリーダンスに出会い、魅了されてしまったローラは郵便局に辞表を出し、エジプトへと旅立つ。そして、引退をしたベリーダンサー“イスマハン”に弟子入りをする…。

アリ・ザウーア通り」が良かったので、同監督のこちらを鑑賞したが、同じ監督とは思えないほどの軽い仕上がりにがっかり。世界的に評価された「アリ・ザウーア通り」とは対照的な出来栄えに、本作では何一つ賞を取れていなかったのも納得。中国と韓国では劇場公開している。どこの国にもこういうタイプの映画はあって、何も考えずに軽い気分で観たい時(人?)にはいいのかも。

lola2.jpgアメリカ人女性とエジプト人男性の恋愛における文化や宗教、価値観の違いは面白く観れたが、全て想定内で展開し、先が読めてしまう。結末も私が思っていたまんま。妖艶な踊りがメインなのも、それはそれでいいが、ど素人の私が見てもあまりお上手ではない。いきなり踊り出してしまうインド映画のようなノリも私は苦手。

<鑑賞> 2011/9/2
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Good Work <1999/仏> ★★★★★

good work
Beau Travail/Good Work
ドラマ
1999/92min/フランス
監督/脚本:クレール・ドゥニ
撮影:アニエス・ゴダール(Agnes Godard)
出演:ドニ・ラヴァン、ミシェル・シュボールニコラ・デュヴォシェル
IMDb評価:7.0/10

緊張感 ★★★★★
映像美 ★★★★
哲学度 ★★★


good work2舞台はアフリカ、ジブチ。フランス外人部隊の教官が、新たに入隊してきた青年に対する感情を回想するだけの至ってシンプルな内容。教官の視点で描かれた愛憎劇には特筆するあらすじもなければ台詞もほとんどないのに、映像の魅せる力には驚愕。女性監督による軍隊映画というだけでも特異かもしれないが、それだけではなくオリジナリティーに溢れている。軍隊映画なのにむさ苦しさがなく清潔感があり、緊張感が張り詰め、監督の冷徹さが光る秀作。以前、苦手な監督さんだと言ったことを訂正したい。「White Material」と本作は完全に私好み。クレール・ドゥニ監督の出世作であり、代表作でもある本作が日本未公開とは何とも残念。

私の大好きなトルコ人歌手タルカン「Şımarık(邦題:Chu!Chu!は恋の合言葉)」の曲をバックに踊るクラブシーンから始まる。部隊員たちと現地の若い女性たちが軽快に踊り始めたかと思うと、視線は不意に青年の方に向けられる。その場に居合わせた教官は青年を目で追っているのである。

good work1黙々と淡々とこなされる訓練風景はあたかも軽快な音楽に合わせて体を動かしているかのようにリズミカルな動きで、冒頭のクラブシーンと同様な空気感になっている。教官の指示や怒鳴り声は一切排除され、その代わりにクラシック音楽が優雅に流れる。不釣り合いに感じる訓練とクラシックのコンビネーションの調和は一体何なのか。教官の感情越しの映像には圧倒される。ある青年の肉体を見据える教官の視線は同性愛的な感情なのか、それとも若さへの嫉妬なのか、おそらく教官本人もわかっていない。曖昧な感情である証拠に、町行く女性たちや関係を持った女性のショットが突発的に挿入される。頭の中で、青年と女性たちを天秤にかけているのである。

教官の理性によって絶妙に保たれた距離感が全体に張り詰めた緊張感を生み出している。教官の頭の中にある回想録が説明不足のまま唐突に断片的に繋げられ、全体像が見えそうになった瞬間、この緊張感が放たれる。胸の内に押し殺されていた感情が爆発するラストには驚嘆。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/13

(未) Julia <2008/仏=米=メキシコ=ベルギー> ★★★☆

julia.jpg
Julia
2008/144min/フランス=アメリカ=メキシコ=ベルギー
犯罪、ドラマ、スリラー
監督/脚本:エリック・ゾンカ(Érick Zonca)
出演:ティルダ・スウィントン、ソール・ルビネック、サリー・バーマン、ケイト・デル・カスティージョ
言語:英語、スペイン語
映画祭:第58回ベルリン国際映画祭 コンペ部門出品
IMDb評価:7.0/10

哲学度 ★★
緊迫度 ★★
催涙度 ★



julia1.jpgジュリアはお酒と男にしか興味のないアルコール中毒者。クラブに行っては酔い潰れ、簡単に男と寝てしまう始末。とうとう会社もクビになってしまう。ある日向かいの家の女性と知り合いになり、ある仕事を持ちかけられる。親権を失い、息子を取り戻すために誘拐して欲しいという仕事だった。初めは断ったが、金に目がくらみ引き受けてしまう…。

「天使が見た夢(1998)」(未見)でカンヌ映画祭パルムドールノミネート、主演女優賞をもたらしたエリック・ゾンカ監督の最新作。
アルコールの飲めないティルダ・スウィントンがアル中を演じているが、この演技が素晴らしい。完全にイカレテいて、ふしだらっぷりが見事。今まで全く興味のない女優さんだっただけに、この演技力には驚き。ストーリー展開はよくあるスリラーだが、この強烈なキャラを受け入れられるかどうかで本作の評価は分かれそう。
 
julia2.jpg母親と綿密な誘拐劇の打ち合わせをしている時に、祖父が大富豪だと知ったジュリアは、母親のために誘拐するより祖父から金を巻き上げた方が効率がよいと考え、密かに計画を変更する。たとえ目の付けどころはよくても、毎日がアルコール漬けで、生き方そのものが無計画で無鉄砲。行き当たりばったりの誘拐劇は逆にスリルがあり、肝心な時に酔い潰れたり、行きずりの男と寝てしまったりで、その隙に子どもに逃げられてしまうのではと冷や冷やさせられる。
ジュリアのご機嫌で話がどう転がるかが見せ場で、アル中という設定がうまく活かされている。

子どもを誘拐し、祖父の住むメキシコへ車で向かうロードムービーだが、2時間半という時間がやや冗長に感じられる部分も。途中1時間ばっさり切ってもよかったとさえ思うが、話は意外な方向に向かい、ラスト30分は見応えがある。スペイン語の台詞に字幕はついておらず、スペイン語のわからないジュリアの焦りや恐怖を観ている側も同時に体験させられる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/11

[サイト内タグ検索] 日本未公開 ティルダ・スウィントン

西のエデン <2009/フランス> ★★★

eden.jpg
Eden á l' Ouest/Eden Is West
2008/110min/フランス=イタリア=ギリシャ
ドラマ、コメディー
監督:コスタ=ガヴラス(Costa-Gavras)
脚本:ジャン・クロード・グランバーグ
製作:ミシェル・レイ・ガヴラス
出演:リッカルド・スカマルチョ、ジュリアンヌ・コーラー
映画祭:
第59回ベルリン映画祭 クロージング
フランス映画祭2009 上映
IMDb評価:6.9/10

社会度 ★★
映像美 ★★


eden1.jpg密航者たちを大勢乗せた船。彼らは自分たちの身分証明書やパスポートを海に破り捨て、新たな地で人生を歩もうとしていた。その矢先、警備船に見つかり、エリアスとその他数人は危険を回避して海に飛び込んだ。目を覚ますと、そこはエーゲ海の高級リゾート地のヌーディストビーチであった。イスラム圏出身の彼はヌードの女性たちに戸惑うが、保安官の目を避けるため、どさくさにに紛れて自分も服を脱ぐ。脱衣所で他人の服を拝借し、その場を後にしようとするが、その服はホテル従業員の制服であった…。

ホテルの従業員の制服を着ているので、当然のことながら仕事を振られる。フランス語のわからないエリアスは適当に返事を交わし、その場をくり抜けてしまう機転の良さ。社会派かと思いきや、コメディーでいい意味でちょっと拍子抜け。「Z (1969)」や「戒厳令 État de siège (1972)」知られるギリシャのガヴラス監督の最新作であり、過去の作品とは全く異なる作風に驚かされる。
本来、不法入国者を題材にした作品は重々しく、冷たい扱いや彼らの苦悩、現実の厳しさを描く物が多い。しかし、本作では、捨てる神もいれば拾う神もいる。困っている様子を見かねて手を差し伸べてくれる人もたくさんおり、本作ほど不法移民者に対して温かい眼差しを感じた作品はない。

eden2.jpgポケットに札束を入れてくれたのを知らずに財布からお金を抜き取ろうとするところを気づかないフリをし見逃してくれた宿泊客。オープンカフェでお客の残り物を貪りつく姿を一度は怒るが、結局は見逃したギャルソン。みすぼらしい姿を見て可愛そうになり、亡き夫のジャケットをくれたマダム。彼らの優しさは身に沁みたであろう。しかしながら、一緒に船で来た友人たちが死体で海岸に打ち上げられたり、警察に捕まる友人を助けられない残酷な現実にも触れている。工場が低賃金で外国人を雇い、フランス人たちの職を脅かしているというフランス人目線の厳しい現実にも目が向けられている。


パリが“エデン(楽園)”だと信じているエリアスのギリシャからパリまでのロードムービー。行く先々で警官が多いのは、彼が恐れている心境の表れであろう。少々都合よく事が運び過ぎではあるが、そこにはユーモアがたっぷりである。パリはエリアスにとってのエデンになるのか…それとも夢に終わるのか…

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/9
[タグ未指定]

(未) In The Beginning <2009/仏> ★★★★☆

begin.jpgÀ l'origine/In The Beginning
2009/130min/フランス
ドラマ
監督/脚本:グザヴィエ・ジャノリ(Xavier Giannoli)「情痴 アヴァンチュール(2005)」
出演:フランソワ・クリュゼ、エマニュエル・ドゥヴォス、ジェラール・ドパルデューヴァンサン・ロティエ
映画祭:第62回(2009)カンヌ映画祭パルムドールノミネート
セザール賞 助演女優賞
IMDb評価:7.4/10

哲学度 ★★★
社会度 ★★★
緊迫度 ★★★

2009年のパルムドールノミネート20作品のうち、3作品が日本未発表になっている。本作はその一本。個人的にはこれぞカンヌ!という印象を受けた作品。


begin2.jpg詐欺師ポールは出所後、北フランスに建設途中の高速道路を見つける。町は、地域産業活性化の期待を寄せていたが、カブトムシ保護運動によって建設は中止になっていた。そこへポールはフィリップと名乗り、とある建築会社のマネージャーだと偽り現れたのである。市長を始め、住民たちまでもが疑うことなく信じ込み、大掛かりな工事は失業率回復にもつながり、再起をかけようと町が立ち上がる…。

実話を基にした話で、最初は半信半疑だったが、まず日本では絶対にあり得ない。日本人はちゃんと名刺交換し、どの役職なのかを重要視するのに対し、ヨーロッパは意見交換を交わしながら顔と名前を印象付けているビジネス方法だったりする。私の場合は、アジア人女性ってだけで一発で覚えてもらえるが、逆にこっちは記憶するのが大変だったり。日本企業では、たかが回覧板程度でも何人ものサインが必要だと聞く。私がいた会社は1億円程度なら、自分とボス2人のサインだけで取引完了となってしまうケースもある。名刺交換しないまま、その人への信頼だけで商談に入るケースも珍しくないので、やっぱり実際にあったと聞いて疑う余地はない。

begin1.jpgポールがなぜ専門知識を要する現場マネージャーという仕事を選んだのか、わからなかったが、会社仕様の便箋や書類は偽装し、素人には判別できないほど巧妙。しかし、ポールはおそらく建設に関する予備知識を兼ね備えてなく、部下に適切な指示を仰げないでいる。重機レンタルに関する契約条件、労働者たちとの契約条件も把握していない。怪しいと感じる場面はいくらでもあったが、関係者たちは歓喜のほうが大きく、詐欺師であることに誰も気付かない。それがもどかしく、ハラハラさせられる。

詐欺師でありながら、人々には感謝され、複雑な心境のポール。抑制された演技には葛藤がみられる。サイドストーリーとして描かれる女性市長とのロマンスもいい。人々に感謝され、必要とされることで人間性が変わり、騙していることへの罪悪感が芽生え、詐欺というよりは使命感で建設を終えようという意気込みに変わってきている。失業問題、地域活性化、環境破壊、人間のモラル。いろんな要素が含まれていて、かなり見応えがある。

登場する重機や建築資材の多さに圧倒される。地味になりかねない建築現場のシーンはスピード感のある演出で、重機の使い方が見事。マニアックで退屈になりかねないシーンに深みを持たせている。フランス以外に韓国製の重機が多かったのが少々気になった。日本製が使われていないことも不思議。

結末に触れています。
高速道路完成前に詐欺師とバレてしまい、ポールはこの町を後にした。しかし、高速道路は無事完成し、今も実際に使われているという。そして、ポールの行方はわからないとのこと。
その後、町は活性化したかはわからない。しかし、雇用に関しては、この建設のお陰で仕事にあやかった人は多かったはず。それでも詐欺師といわれてしまうのだろうか。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/5

(未) White Material <2009/仏=カメルーン> ★★★★

white_20110515221954.jpg
White Material
2009/106min/フランス=カメルーン
ドラマ
監督:クレール・ドゥニ「侵入者(原題:L'Intrus)
出演:イザベル・ユペール、クリストフ・ランベール、ニコラ・デュヴォシェル、イザアック・ド・バンコレ、ミシェル・シュボール
IMDb評価:7.0/10

第66回(2009)ヴェネチア国際映画祭コンペ出品

内戦が激化するアフリカのとある町。身の危険を感じているにも関わらず、コーヒー農園を経営する白人女性マリアは収穫間際の農園から離れることができない。一方、日に日にエスカレートする嫌がらせに耐えられない前夫はマリアに内緒でコーヒー農園を売り飛ばそうとするが…。


幼少時代をカメルーンで過ごした監督。 2010年はカンヌ映画祭「ある視点部門」の審査委員長を務めた。ゴンクール賞を受賞するなど高い評価を受けているアフリカ系若手女流作家マリー・ンディアイと脚本を共同執筆し、クレール・ドゥニ作品では初出演となるイザベル・ユペールが主演を務め、お馴染みのミシェル・シュボールも出演している。
「chocolat(ジョニー・デップのではないほう)」以降、またアフリカを舞台にし、内戦激化による白人支配の崩壊を描いている。いつも抽象的過ぎて、時間軸は動きまくり、緊張と集中を強いられるため、あまり得意な監督さんではないのだが、本作に限ってはかなりのツボ。自分好みのテーマということもあるだろうが、サスペンスより緊迫感があり、戦争映画より卑劣で、ホラーより怖い。かなりの見応えがある。

white1.jpg冒頭、身一つでヒッチハイクをし、車に乗り込むマリア。実はこれが結末となっていて、何かから逃げてきたのか、これから逃げようとしているのかは最後まで観ないとわからない。一体何があったのか、これからどうするのか、興味を湧かせる冒頭から魅入ってしまった。

内戦が激化し、従業員たちは仕事を放棄。次々と農園を去り始めてしまった。広大な土地を1人で賄いきれず、マリアは他の従業員を探しに町へ出るが、その間、自宅でもネックレスが奪われたり、息子が髪を切られたり、死の警告とも取れる牛の頭が収穫したコーヒー豆の中に入れられていた。しかし、マリアは決して屈しないし、祖国へ帰ろうともしない。
white2.jpg

コーヒー農園の運営はマリアだが、書類上は義父の所有である。“自分1人”対“住人”という状況まで追いこまれ、なぜここまでこの農園に執着するのか、正直理解できなかったのだが、だからこそ余計にエスカレートしていく嫌がらせは常に血の匂いがし、ただ事ではない緊張感が漂う。

ライターを「White Material(白人の持ち物)」と表現した少年がいた。マリアに銃をむけた女性がしていたネックレスはマリア宅から盗んだものであり、これも「White Material」である。かつてフランスはアフリカの一部諸国を植民地としていた。「White Material」とは物質的な物だけでなく、コーヒーやアフリカ諸国も言及しているのだろう。“雇い主と従業員”というよりむしろ、“入植者と現地人”といった構造も浮き彫りになっていく。暗黙の了解のごとく成り立っていたピラミッド構造が崩壊するという皮肉的な結末はいろいろと考えさせれる。

資本主義の趣向品であるコーヒー。コーヒー中毒の私としては、豆の収穫、焙煎などの一連の工程が観れるのは興味深かったが、それと同時に、ひどい寝床で奴隷のごとく働かされ、決して彼らの口に入ることなくヨーロッパへ出荷されていくことを思うと胸が痛む。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/14

クレール・ドゥニ監督プロフィール】
1948年4月21日、フランスのパリ生まれ。生後まもなく、クレール・ドゥニは家族とともにカメルーンへ渡る。父親は現地で公務員として働いた。しかし、クレール・ドゥニは病気にかかり、フランスへ戻らざるをえなくなる。部屋にこもりがちの孤独な少女時代を送ったという。読書や音楽を聴いて日々を過ごしていたが、次第に映画に興味を持つようになる。クレール・ドゥニは若くしてカメラマンと結婚し、彼のすすめでIDHECに入学し、映画を学んだ。

ジャック・リヴェット監督のアシスタントとして映画界入り。そして、ジャック・ルーフィオ監督、ジム・ジャームッシュ監督、ヴィム・ヴェンダース監督のもとで働いた。ヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」の撮影のとき、インスピレーションを得て、初長編監督作品「ショコラ」(1988年)を撮る。自伝的要素の強い作品で、高く評価され、セザール賞の初監督作品賞にノミネートされた。1994年には「パリ、18区、夜。」を発表。実際にあった老女連続殺人事件をもとに、パリ18区で暮らす人々を描いた。独特の映像世界を作り上げ、日本でも熱烈なファンを獲得する。

1996年には「ネネットとボニ」で、ロカルノ国際映画祭のグランプリを始めとする三冠を受賞。突然転がりこんできた妊娠中の妹と兄の、互いに反発しあいながらも求め合う姿を繊細に描いた。2000年の「Beau travail」では、アフリカのジブチのフランス外人部隊を舞台に描き、国際的に高い評価を得る。2001年の「ガーゴイル」では、ヴィンセント・ギャロとベアトリス・ダルを迎え、性的な欲望が高まると殺人の衝動にかられる奇病に侵された男女の姿を描いた。2005年の「侵入者(原題:L'Intrus)」は、ヴェネチア映画祭に正式出品されている。@フランス映画通信

水の中のつぼみ <2007/仏> ★★★☆

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水の中のつぼみ/Naissance des pieuvres/Water Lilies
2007/85min/フランス
ドラマ、青春
監督/脚本:セリーヌ・シアマ(Celine Sciamma)デビュー作
製作:ベネディクト・クーヴルール、ジェローム・ドプフェール
撮影:クリステル・フルニエ
音楽:パラ・ワン
出演:ポーリーヌ・アキュアール マリー、アデル・エネル フロリアーヌ、ルイーズ・ブラシェール アンヌ、ワラン・ジャッカン フランソワ
IMDb評価:6.7/10

2007年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品






性に揺れる思春期の少女たちの姿を淡いエロティシズムと瑞々しいタッチで綴ったガールズ・ムービー。監督はこれがデビューの女性監督セリーヌ・シアマ。親友の同級生アンヌを応援するためシンクロナイズド・スイミングの競技会場へとやって来た15歳の少女マリー。彼女はそこで、上級生の演技に目を奪われ、ひときわ華やかなチームのキャプテン、フロリアーヌの美しさに心奪われてしまう。彼女に近づきたい一心で、シンクロ・クラブに入部するマリー。やがて彼女は、フロリアーヌが周囲から男性関係が盛んだと噂されて孤立していることを知るのだが…。allcinema

tsubomi4.jpg中心となる少女3人。華奢で成長過程の身体にコンプレックスを抱くマリー。親友でぽっちゃりタイプながらシンクロを習うアンネ。妖艶でシンクロチームのキャプテンを務めるフロリアーヌ。
異性への意識が高まると同時に、同性の年上に対しても憧れが芽生える思春期。性への好奇心、処女喪失への焦りや恐れ、不安といった思春期特有の感情の描き方。身体の成長に心の成長が追い付いていなくて、アンバランスで落ち着かない感じ。レズビアンだと公言している監督さんだけあって、微妙な感情をうまく引き出している。撮影も女性というのもポイントかもしれない。本作が卒業制作だというから更に驚き。

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美を競い合うシンクロナイズド・スイミング。
一見優雅だが、水面下の手足はタコの足そのもの。あえて音楽を入れずに練習する風景に優雅さはなく、まさに少女たちの熾烈な戦いである。表面的な美しさの影には並々ならぬ努力がある。私も少々シンクロ経験があるので、彼女たちの演技後の作り笑顔が痛々しく感じた。

誰もが羨むような容姿のフロリアーヌ。美しすぎるがゆえに女の子たちからは妬まれ、男をたぶらかしているといった噂話も浮上してしまう。シンクロと同じように表面上は恵まれているかもしれないが、一番孤独を抱えているように思えた。
男性経験が豊富であると思われているがゆえに今更処女だなんて言い出せない。性体験に奥手なのも知られたくない。高飛車な振る舞いは孤独の裏返しなのだろうか。

tsubomi2.jpg驚いたことに本作に少女たちの両親はおろか、大人がほとんど登場しない。どんな映画でもいろんな世代の役どころがあって、どんな年齢の人が観ても共感できるようになっている。私の場合は、青春期をとっくに終えてはいるが、まだその親世代でもなく、その狭間。青春映画を観ると、まだ親の気持ちはわからず、誰と自分を重ねていいのかわからなくなってしまうことがよくある。本作は少女しか出てこないので、自然と少女の気分にさせてくれ、自分の淡い思春期を思い出させてくれた。

フランス語の原題は「タコの誕生」という意味。水中のシンクロの手足を想起させる“タコ”と、フランス語のスラングで“厄介者”の二つの意味を含ませている。一方、英題「Water Lilies」は、クロード・モネの有名な絵画“睡蓮”のことである。シンクロの少女たちを水に浮かぶ睡蓮の花に見立ていると思われる。邦題「水の中のつぼみ」のつぼみとは?

この先、結末に触れています。
洋服のままプールに飛び込みラストシーンはつぼみから見事咲かせた花に見立てているのだろうか。だとしたら、フロリアーヌが無事に花を咲かせることはできるのだろうか。マリーとアンネはひと夏の恋で成長を遂げ、フロリアーヌは一体何かを得たのだろうか。この先が思いやられる…。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/12
[タグ未指定]

(未) Human Zoo <2009/仏> ★★

human zoo
Human Zoo
2009/110min/フランス
ドラマ、犯罪
監督/脚本/出演:リー・ラスムッセン(長編デビュー作)
出演:Nikola Djuricko、Nick Corey、ヒアム・アッバスシリアの花嫁」「Lemon Tree」「パラダイスナウ」「Amreeka
言語:英語、セルビア語、フランス語、アルバニア語
IMDb評価:6.1/10

官能度 ★★★
刺激度 ★★
衝撃度 ★




デンマーク出身でGUCCI専属のスーパーモデルだったリー・ラスムッセンの長編デビュー作。映画学校出身だとは知らなかった。監督、脚本、出演までこなすとは。
中東出身のヒアム・アッバスが出演していることには驚いた。フランス語と英語も操る彼女はほんといろんな作品に登場してくる。出番は少なくなかったが、存在感があまりなかったのはファンとしては残念。

不法移民としてマルセイユに暮らすセルビア系アルバニア人のアドリアはかつてレイプにあいそうな寸前でSrdjanという男性に助けられた。共にベルグラードへ移り住み、そこでSrdjanは暗殺者へとなった。アドリアも武器の使い方を習得し、Srdjanの仕事を手助けしていた…。

human zoo1壁を走る男性に始まる冒頭を始め、ユニークな発想にオリジナリティーを感じる。ぎょっとさせるワンシーンの取り入れ方はモデル時代の自身の写真が活かされているのかもしれないと思った。指の切り落とし方など刺激も強い。

過去の出来事がトラウマとなって彼女を苦しめているという設定のようであるが、それほど悩んでいるいるようには見えなかった。トラウマとされている出来事と現在が行ったり来たり、シーンの切り替わりが頻繁すぎて疲れる。場所も言語も入り乱れていて、混乱するばかりであった。不法移民という設定も活かされておらず、強烈なベッドシーンだけが印象に残ってしまっている。モデル時代はヌードや際どい衣装のイメージが強いだけに、大胆なラブシーンのほうが本領発揮っといった感じ。脱ぎっぷりもかなりの潔さだった。今後の活躍に期待したい。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/1
[サイト内タグ検索] ヒアム・アッバス

アパートメント <1996/仏> ★★★☆

app.jpgL'appartement
1996/111min/仏=スペイン=伊
ドラマ、ミステリー、ロマンス
監督:ジル・ミモーニ
出演:ロマーヌ・ボーランジェ、ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ
IMDb評価:7.6/10



<あらすじ>
商社マンとして成功し、ニューヨークで知り合った美しい婚約者もいて幸福の絶頂期を満喫していたマックス。そんな時、彼はパリのカフェの公衆電話でかつて熱愛の果てに失恋したリザの声を聞く。謎の会話とホテルの鍵を残して街に消えた彼女の影を追うマックス。彼は彷徨のうちに豪華なアパートメントに入り込んでいた。そして次第にアリスの抗い難い魅力に捕らえられてゆくが……。



<レビュー>
実は「スパニッシュ・アパートメント」と間違えて観ちゃった。本作はタイトルすら知らなかったので、間違えない限り観る機会はなかったのかも。結果的には掘り出し物を見つけたような気分です。ヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチが本作をきっかけに結婚したことも後で知った。
2003年 ホワイト・ライズ(原題:WICKER PARK)としてリメイクされている。

app1.jpgすれ違いの恋、追いかける恋、待ち続ける恋、はぐらかす恋、諦め切れない恋、邪魔をする恋…
成就することを願いつつ、いっそのこと壊れてしまえばいいいなんて相反する思いが葛藤し、
だんだんと浮かび上がってくる人間関係と、彼らの心理に観ているこちらまで揺さぶられる不思議な作品でした。

今だったら携帯電話があるし、いつでも連絡を取れるけど、本作は携帯が普及する前の時代なので、家に電話をかけてもなかなかつながらなかったり、伝言が伝わらなかったり、手紙が本人に渡されなかったり、もどかしいすれ違いがかえって新鮮に映る。

蘇る元彼女との過去の記憶が回想シーンとなっており、時間軸がぐるぐる変わります。
リザとの出会いから、消えていった理由までが次第に明らかになるけれど、同時に、明らかになっていく背後の人間関係が複雑に絡みだし、え?そうだったの?って瞬間が何度もおとずれては、その度に覆される展開にはヤキモキさせられます。
身勝手とも取れる男女の行動がここまで周囲の運命まで狂わせて行くことを誰が予想していたか。
意外だったラストには切なさが残る。

<鑑賞> 英語字幕 2011/3/6
[サイト内タグ検索] ヴァンサン・カッセル

神々と男たち <2010/仏> ★★★

kamigami.jpg
神々と男たち/Des hommes et des dieux/Of Gods and Men
2010/122min/フランス
ドラマ、歴史
監督/脚本:グザヴィエ・ボーヴォワ
脚本:エティエンヌ・コマール
出演:ランベール・ウィルソン、マイケル・ロンズデール
受賞:20010年カンヌ国際映画祭グランプリ
   アカデミー外国語映画賞のフランス代表
IMDb評価:7.5/10






<あらすじ>
1990年代のアルジェリア。9名のフランス人修道士が現地のイスラム教徒と宗派を越えて交流していた。互いへの尊敬と慈愛に満ちた、静かで平和な日々。しかしアルジェリア軍と原理主義者による内戦は激化の一途をたどり、暴力の波が僧院の周辺まで迫ってきていた。アルジェリア政府やフランス内務省からの相次ぐ帰国要請、そして政府の警告通り、遂に武装集団が僧院に侵入してくる。帰国か、残留か--苦悩しながらも修道士たちが下した【決断】とは?

<レビュー>
フランスではイスラム文化排斥やブルカ禁止令など社会問題が騒がれているし、未だ真相究明のための裁判が行なわれている最中、この歴史的事実をどう描くのかに興味があった。

イスラム教圏のアルジェリアのチビリヌで修道院生活を送っていたフランス人修道士たちの人生に基づいている。修道士たちは、厳律シトー会(トラピスト会)に所属し、聖ベネディクトの戒律に厳格に従いながらも、宗教を超え、イスラム教の人々、貧しき人々への奉仕に捧げられていた。

修道士の日常や1人1人のキャラクターに焦点を当てている。
日常の中心となっている典礼の儀式や聖歌を歌うシーンが非常に多く、冗長に感じる部分もあるが、彼らの日常に触れれば触れるほど彼らの下した【決断】には信念の強さと覚悟を感じる。それは修道士としての誇りでもある。

今もなお世界中で宗教対立が起こっている中、修道士と地元住人の宗教を超えた交流も微笑ましい。
宗教とは対立すべきものではないことも無言で語っている。内戦による犠牲者が増えていたにも拘わらず、武力に屈せず、修道士としての任務を遂行しようとする姿は美しい。

個人的には自分の知っている事実がそのまま淡々と映像になっただけで、歴史的資料をみているようだった。複雑な事件であり、謎に包まれてる事件の真相、特に結末を知りたくて観たが、自分が一番期待していたことはテロップでさら~っと流されただけで自己満足度は低い。この作品がどうこうというより、修道士としての志の高さを評価したい。

<鑑賞> 英語字幕 2011/3/2
[タグ未指定]

長い旅 (原題:Le Grand Voyage) <2004/仏> ★★★★☆

voyage2.jpg長い旅/Le Grand Voyage
2004/107min/フランス=モロッコ
ドラマ
監督/脚本:イスマエル・フェルーキ(監督デビュー作)
出演:ニコラ・カザール、ムハンメド・マジュド、ジャキ・ネルセシアーン
受賞:2004年ヴェネチア国際映画祭新人監督賞 等
IMDb評価:7.2/10

宗教度 ★★★★★
衝撃度 ★★
感動度 ★★★

素敵な作品に出会いました。アラブ映画祭2006で上映されましたが、残念ながら配給がつかず一般上映されなかった作品。サウジアラビアの聖地メッカでの撮影が許可された初めての長編劇映画であり、大巡礼「ハッジ」のシーンは圧巻。一般的にイスラム教はあまりいいイメージがないけれど、これを観たら概念が覆されるでしょう。
「ハッジ」についてはWikipediaへ。

フランス生まれのモロッコ人移民二世レダは、熱心なイスラム教徒の父親にサウジアラビアのメッカへの巡礼に付き添うように頼まれる。レダは学校のテストも控えているし、そもそも熱心なイスラム教徒でもなく巡礼に興味もないが、父親に反対できず渋々同行することにする。2人はレダの運転する自動車でフランスを出発し、5千キロ離れたイスラム教の聖地メッカを目指す…。

voyage1.jpgサウジアラビアの聖地メッカへの大巡礼「ハッジ」は、特別な事情(経済面や健康面)を除いて義務付けられており、ムスリムにとっての集大成ともいえる儀式である。イスラム暦の12月の特定期間に行われ、それに合わせて世界中からムスリムが集まってくる。かつてはラクダにまたがり、砂漠を超えるという命がけのものであったそうだ。困難を乗り越えてこそが巡礼であり、飛行機より船、船より車で来ることに意義がある、と父は劇中で語る。道中出くわす人たちとの交流や騒動に巻き込まれるロードムービーではあるが、巡礼の旅を通して息子が成長していく過程をじんわり描いているところに素晴らしさがある。 

息子レダはフランス生まれであり、西洋的な考え方なのに対し、父親は厳格なムスリム。観光気分でベニスなどの観光地へ立ち寄り写真を撮りたがる息子であったが、「観光ではない」ときっぱり断る地親。巡礼そのものに価値を見出せない息子は父親の考え、行動が理解できない。ヨーロッパ、特にフランスでの宗教トラブルはニュース等で見るけれど、車内でも親子間で宗教トラブルが勃発しているのである。会話も息子はフランス語、父親はモロッコアラビア語を話してる。移民1世と2世の考え方の違い、宗教観の違いから車中では口論が絶えない。

voyage.jpgムスリムの同胞意識の高さには驚かされる。偶然出くわした程度の関係でもお互いに助け合い、お金に困っていると知れば快く手を差し伸べる父親の姿はレダの意識も徐々に変えていった。長い道中で出くわした人々とのエピソードはレダと父親に与えられた試練のようで、トラブルがある度に父と息子の距離が縮まっていくのである。まるでアラーの神からの指令のようでもある。

ジーパンにTシャツ、パーマ頭といった出で立ちのレダ。フランスで生まれたがゆえに、ムスリムの息子でありながらイスラム教を信仰していない。巡礼の旅の道中でも一度もお祈りはしていないし、父親の目を盗んでアルコールまで摂取している。しかしながら、帰り道は恵まれない女性へお金をあげていた。それは行きに父親がしてたことであり、理解できない行動の一つでもあった。巡礼への付き添いがもたらした息子の成長。これこそが父の望んでいた巡礼の意義だったように思う。

<鑑賞> 英語字幕 2011/2/27

[サイト内タグ検索] ムハンメド・マジュド

テナント 恐怖を借りた男<1976/仏> ★★★★

tennt.jpgLe locataire/ The Tenant
1976/126min/フランス
監督/脚本/出演:ロマン・ポランスキー
製作:アンドリュー・ブラウンズバーグ
原作:ローラン・トポル
音楽:フィリップ・サルド
出演:イザベル・アジャーニ、メルヴィン・ダグラス
受賞:1976年 カンヌ映画祭 パルムドール ノミネート
MDb評価:7.8/10



都市部に於ける共同住宅での恐怖を描く同義的作品として65年の「反撥」、68年「ローズマリーの赤ちゃん」と共に三部作の一角として位置付けられている。日本では劇場未公開のままビデオのみの封切りとなった。

古びたアパートに良さそうな部屋を見つけ、トレルコフスキーは中をみせてもらう。大家によると前の住人シモーネは飛び降り自殺を図り、入院していているという。ベランダから下を覗くと、自殺の形跡が残っていておぞましい。トレルコフスキーは何を思ったのか、彼女のお見舞いに行くのである。死ねば自分が入居できると思ったのか、これも何かの縁だと感じたのかはよくわからない。やがて、自殺女性は病院で亡くなり、トレルコフスキーはその部屋へ越してくる。部屋はそのままのため、家具どころか服や化粧品もそのまま残されている。私なら処分してしまうが、驚いたことに彼女の服やマニュキュアを手にとり、しばし眺める。一度しか会ったことのない女性なのに気にかかるのは、良心の呵責なのか、シモーネの執念が憑依したのか。そもそも、“自殺死”と聞いたら他の物件を探すのが一般的であろうが、敢えてこの部屋を選ぶのは監督のような人生を歩んできた者にとっては宿命になるのだろうか。

ユダヤ人狩りなどの紆余曲折を経て生まれ故郷フランスへ移住したポランスキー監督。本作主人公のトレルコフスキーもポーランドからの移民であり、監督自身が演じている。今までどんな人生を歩んできたのか、どんな思いでフランスへ舞い戻ってきたか、主人公と監督が重なって見えてしまう。
移民生活、集合住宅のようなすでに存在するコミュニティーに新しく入ることは、不安と期待が入り混じり、初めは孤独がつきまとう。友人を招いてホームパーティーをすれば、騒音がうるさいと隣人がすぐ怒鳴りこんでくるようでは静かにしていなければならない。口うるさい住人たちに悩まされ、シモーネの友人たちとも関わるようになり、煙草や飲み物の嗜好も変わり始める。そして、自分がシモーネになり変わり始めていることに気付き、妄想をも抱くようになる。

壁に埋められた歯、めまぐるしい螺旋階段、向かい窓の人影、深夜の来客・・・。
謎のキーワードが全体に散りばめられ、不安は余計に募る一方。
3部作に共通するのは、生活環境の変化からくる不安をうまく利用しており、妄想と現実の境目を曖昧にさせているところである。謎は明らかになったような、なっていないような、良い具合に余韻を残しつつ、観る者によって解釈が異なる面白さがある。
環境がめまぐるしく変わる人生を送ってきた監督は常に不安だったということだろうか。結末は監督の歪んだ世界観が多いに反映しているようにも感じる。主演のポランスキーはまさにハマリ役。

<鑑賞> 2011/1/23
[サイト内タグ検索] ロマン・ポランスキー監督

スイミング・プール <2003/仏=UK> ★★★★

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Swimming Pool
2003/102min/フランス=UK
監督/共同脚本:フランソワ・オゾン「まぼろし」
出演:シャーロット・ランプリング「まぼろし」、リュディヴィーヌ・サニエ「焼け石に水」、チャールズ・ダンス
IMDb評価:6.8/10
 
衝撃度 ★★★★
迷宮度 ★★★★★

創作活動に行き詰まっていたイギリスの女流ミステリー作家サラはある夏の日、出版社社長ジョンの勧めで南仏の彼の別荘を訪れる。そこは明るく静かで、誰にも邪魔されずに執筆できる最適な場所だった。しかし、サラがいよいよ仕事に取り掛かろうとした矢先、社長の娘ジュリーが別荘にやって来る。裸でプールを泳ぎ、毎夜男を連れ込んでは嬌声をあげるジュリーに苛立ち筆が進まないサラ。だがやがてサラは、ジュリーの若さと妖艶な振る舞いに強い刺激を受け、いつしか彼女をモデルに物語を紡ぎ始めるのだった…。by allcinema

バカンスを満喫しながらりラックスして執筆をすすめたいサラ。お酒、男、マリファナにふけ込むジュリー。全く対照的な女性2人の共同生活。サラは自由奔放なジュリーに苛立ちをみせるが、お腹の傷を見て以来興味を掻き立てられ、彼女のことを意地悪に調べ出していく。執筆のネタにとパソコンに入力していくうちに同情心も芽生え始める。そして次第に魅了され、ジュリーをモデルに物語を書き始めるのである。タイトルの「スイミング・プール」とは別荘にあるプールのことでもあり、サラが執筆する本のタイトルのことでもある。
サラが「見る女」で、ジュリーは「見られる女」。鏡越しの映像が効果的に用いられている。ジュリーも執筆のモデルにされていることは気付いているようで、お互いの心境にも変化がみられ、いい具合に化学反応を起こしていくが、何が現実で、何が本の内容なのかが曖昧に描かれ、次第に混乱に追い込む手法は迷路に迷い込んだかのよう。
現実と幻想。現在と過去。妄想と真実。幾重もの仕掛けを張り巡らせ、謎が二転三転していく。観る度に印象や解釈が異なり、おそらく4,5回は観ているのに、まだ理解できない。今まで観たオゾン監督作品で一番好きな作品。
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部屋の十字架、ジュリーの体の傷、ジュリーの母親、その母親を知る女性、ジュリーの日記、ジュリーの彼氏たち、サラの視線の先、そして何といっても「プール」。ベールに包まれ、このへんが紐を解くカギとなるが、解釈は観客と同じ数だけの答えが存在するだろう。
ポスターも謎に包まれている。プールサイドで横たわるジュリーに覆い被さる影は一体誰?謎は深まるばかり。。。

<鑑賞> 英語字幕 2010/11/1

(未) Porn Theater (原題La chatte à deux têtes) <2002/フランス> ★★★

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La chatte à deux têtes
2002/90min/フランス
監督/脚本:ジャック・ノロ
出演:Vittoria Scognamiglio、ジャック・ノロまぼろし」、Sébastien Viala
IMDb評価:6.8/10

オゾン監督「まぼろし」に出演いていたジャック・ノロの監督作品だと知り、鑑賞。男性の園を覗き見してしまったような罪悪感さえ感じるすごいものを観てしまった。
パリのポルノ劇場のある一日。軸となるストーリーはなく、ここに来るお客たちの「様子」を描くだけの作品。
お客たちは当日券を買い劇場に入ると、ライターでシートを照らし何かを確認する。指定席の位置を確認しているのかと思ったら、シートの汚れをチェックしていたのである。客は男性のみ。スクリーンに映し出されるポルノを観ながら自慰行為にふける者がほとんどだが、次第に客同士その場で行為におよんだりもする。ポルノではなく、男性同意の行為を見て楽しむ者や交る者、女装をし、そういう商売をしている者までもいる。普通の男女のポルノを上映する劇場になぜゲイの方々が集まるのかが疑問ではあるが、バイな方々なのかしら?

上映中、警察数人がやってくる。劇場での行為に対するお咎めはなく、不法入国者の検挙のようだった。AIDSに対する議論もなされたり、ちょっとした社会勉強にもなった作品。こういう劇場って日本にあるのかしら?

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/18
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ジャック・ノロ

赤い航路 <1992/仏=UK> ★★★

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Bitter Moon/ Lunes de Fiel
1992/140min/フランス=イギリス
ドラマ、ロマンス、スリラー
監督/製作/共同脚本:ロマン・ポランスキー
原作:パスカル・ブルックナー
出演:ピーター・コヨーテ、エマニュエル・セニエ、ヒュー・グラント、クリスティン・スコット・トーマス
言語:英語、フランス語
IMDb評価:6.9/10

衝撃度 ★★★
過激度 ★★★
扇情度 ★★★★

ポランスキー監督作品は数本しか観たことがなく、フランス映画としては異色なぐらいにしか思っていなかった。ポーランド出身であることを意識しつつ観直してみようと思っている。1作目は「赤い航路」。記事を書いていないだけで4作目を観終えているけど、たった一度や二度観ただけで理解しようとするのは大間違いであり、視点を変えて何度も観る必要があるように思える。

敬愛なるポランスキー監督についてはこちら

「Honey Moon(ハネムーン)」を皮肉った「Bitter Moon」が原題となっているけれど、どういうわけで邦題が「赤い航路」になってしまったのか!?劇中では新月から満月まで夜空の月が映し出され、その満ち欠けは運命や結末を暗示しているかのようでもある。
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結婚生活7年で夫婦生活にマンネリを感じていたナイジェルとフィオナ夫妻は客船クルーズでイスタンブールへ向かう。良識的でごく一般的な夫婦である。その船上でオスカーとミミ夫妻に出会う。ナイジェルは、妻にはない魔性の魅力を持ち合わせているミミへの関心を抱き始めるが、それを見抜いたのか、オスカーはナイジェルに話しかけ、部屋に招き入れる。そして、妻ミミとの出会いから性生活までを聞かれるともなく赤裸々に語り始めるのである。
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ダンススクールに通いバレリーナを目指す妻ミミのダンスといったら挑発的で扇情的。ありきたりの行為には飽き足らなくなり、欲望のままに愛し合う2人の性生活もあまりにも過激。演じるのは監督の3番目の妻エマニュエル・セニエ。これでもかというほど生々しい性の世界が繰り広げられる。異常な性生活に初めは嫌悪感さえ抱くナイジェルだけど、次第にもうちょっと他人の性生活を覗いてみたいといった好奇心が生まれてくる。しかし、性的欲望だけで結ばれた愛はそう長くは続かない。愛情と堕落から生まれる憎悪は表裏一体であること。精神的、肉体的苦痛、その変貌を見事に描き切っており、恐怖さえ感じる。性の虜となり堕落し破滅していく様は「盲獣」と通ずるものがある。

ナイジェル同様に私も嫌悪感を抱いたけど、気づいたら日常生活とは思えない刺激にぐいぐい引き込まれていた。しかしながら、皮肉的な結末には言葉を失う。ユダヤ人狩りの対象になったことや、2度目の妻の惨殺など、やはり監督自身の生い立ちが由来しているのだろうか。そういえば、オスカーはミミの妊娠を快く思ってなかった。「Polanski」で描かれていた2度目の妻の妊娠発覚時のポランスキーの反応と似ている。もしかしたら、オスカーは監督自身を投影しているのではないだろうか。ますますポランスキーに興味が湧いてきた。

ところで、どんどん過激になっていく2人の性生活はモザイクなしで上映されたのだろうか。

<鑑賞> 2010/12

8 -Eight- <2008/フランス> ★★★

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8 -Eight-
2008/100min/フランス
監督: ガエル・ガルシア・ベルナル、ミーラー・ナーイル、ジェーン・カンピオン、ヤン・クーネン、ヴィム・ヴェンダース、ガス・ヴァン・サント、アブデラマン・シサコ、ギャスパー・ノエ

社会度 ★★★★★
衝撃度 ★★★

2000年、国連ミレニアム・サミットで先進国が開発、貧困、人権、環境などの問題を改善するために8つの目標MDGs(Millennium Development Goals=ミレニアム開発目標)を掲げ、2015年までに達成することを宣言。本作は、設定されたの8つの目標をテーマに製作されている。それぞれの監督が、MDGsという「世界の約束」を果たすためにさらなる努力が必要であることを独自の方法論によって訴えかけている。

ゴール1:極度の貧困と飢餓の半減
『ティヤの夢』監督:アブデラマン・シサコ

エチオピアの片田舎にある小さな学校では、生徒たちがMDGsに関する授業を受けていた。
「人間は平等でなければいけないのに、裕福な人は富を分け合うのを嫌う。」と発言した生徒はMDGsが達成されることはないと言う。子どもでありながら鋭い発言に胸が痛む。

ゴール2:普遍的初等教育の達成
『手紙』監督:ガエル・ガルシア・ベルナル

手紙を書き、新聞を読むなど、日常のごく当たり前のことを通して、教育こそが自由になれる唯一の方法だということを改めて考える。「学校に行かなかったらどうなるの?」という息子の問いに「読み書きができない」と答えた父親。「読み書きができないと何もできないね」と息子の発言に、義務教育の有り難さを改めて実感。

ゴール3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
『How can it be?』監督:ミラ・ナイール

顔立ちからインド系の女性かと思ったら、イスラム教徒であった。男女平等ではないイスラム社会出身でありながら自由なアメリカでの生活をすることは葛藤も伴うであろう。これからは価値観に従って生きていこうとする彼女の決断はイスラム女性の希望でもある。勇気ある行動は事実に基づいているそうだ。

ゴール4:乳幼児死亡率の削減
『丘の上のマンション』監督:ガス・ヴァン・サント

自由な国アメリカの若者が暢気にスケボーを楽しんでいる映像を背景にメッセージが垂れ流されるだけだが、同じ地球の出来事とは思えないほどのギャップと衝撃がある。
・水質汚染で毎年180万人が死亡。
・発展途上国で殺菌消毒にかかる時間はたったの2時間10分。
・幼少時期においての死亡者はアメリカでは1000人中7人。シエラレオネ共和国では167人。
・途上国の水価格は先進国の5~10倍。
・アメリカの平均的摂取カロリーは3600kcalに対し、アフリカは698kcal。
・30秒に1人がマラリアで死亡。
私は海外の水で体調を崩し、ひどい目にあったことは何度もある。そして、東京の水道水も決してキレイだとは思っていない。入浴すれば塩素で肌は乾燥するし、もう何年も水道水は飲んでいない。蛇口をひねればいつでも可飲水がでてくること、水質汚染の心配がないことだけでも有り難いことということに気付いていなかった。

ゴール5:妊産婦の健康の改善
『パンシン・ブカのお話』監督:ヤン・クーネン

産気づく妊婦は村の女性たちの助けで出産をむかえようとするが、妊婦の状態は深刻であった。町の病院へ行くことを薦めるが、お金もなく、ボートもない一家には困難を極めた。お金がなかったがゆえの結末はあまりにもむなしい。

ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
『エイズ』監督:ギャスパー・ノエ

ブルキナファソのとある病院。HIVに感染した一人の男性がその経緯と危険性を語る。
軽い気持ちでバーの女性と関係をもった際に感染し、妻にまで感染してしまったと。大抵コンドームは使用していたが、必ずしもコンドームが安全だと限らないという。
・コンドームの保存方法が悪かったり、直射日光にあたったものは破れやすくなること。
・例え破れていなくても細かい穴からでもウイルスに感染する可能性があること。
・HIV-1患者がHIV-2に感染すると死を意味すること。
妻は既に亡くなり、今はもう誰とも関係をもっていない。心配はかけまいと、感染のことを娘たちには知らせていない。感染を知ってからは聖書を読み、宗教に頼るようになったという。浅はかな知識での性行為がどれほど危険なことなのか。

ゴール7:環境の持続可能性の確保
『ウォーター・ダイアリー』監督:ジェーン・カンピオン

11歳の少女はオーストラリアで発生した過去最悪の干ばつの間に起こった出来事や町人たちが見た夢を日記に綴っていた。子どもの見た夢にはユーモラスさもあるが、環境問題を気にはしながらもヘアスプレーを使う大人たちは矛盾だらけ。地球全体で取り組むべき環境問題は日常生活から見直す必要があるよに思えた。

ゴール8:開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
『人から人へ』監督:ヴィム・ヴェンダース

2007年、G8サミットがドイツで開催された。世界的影響力をもつ指導者たちが約束を守らなかったことで街では抗議活動がおこっていた。一方で、報道番組の制作チームは関連ニュースの編集を行っていた。ここでも、番組側にとって都合のいいように編集されそうになっていた。

正直なところ、MDGsにはあまり興味はなかった。監督の顔ぶれだけが魅力で鑑賞したけれど、思っていた以上に考えさせられてしまった。とはいえ、日本人には他人事。日本が直面している問題ではないからこそ、まずは個人の意識改善が必要なのかもしれない。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/10

まぼろし <2001/仏> ★★★★

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Sous le sable/ Under the Sand
2001/92min/フランス
監督/共同脚本:フランソワ・オゾン
出演:シャーロット・ランプリング、ブリュノ・クレメール、ジャック・ノロ
IMDb評価:7.1/10

衝撃度 ★★★
哲学度 ★★★
官能度 ★★

神経を病んで入水自殺をしたイギリスの女流作家ヴァージニア・ウルフと主人公のマリーを重ねて描いていると知り、若い頃に観て良さがわからなかった本作を観直して観た。「波」がキーとなっている。講義で朗読する彼女の代表作「波」、旅行先の「波」、エンディングの「波」。寄せては返す波が"生と死"を言わんとしているのだろう。当時34歳とは思えない憎い演出。突然、何の痕跡も残さずに夫が消えてしまったという事実を受け入れられない妻マリーを冷淡に、かつ客観的に映し出す。以前わからなかったことがす~っと胸に沁みてきた。
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愛する人を失うとはどういうことなのか?マリーは事実が受け入れられないからなのか最後まで涙を見せない。それがまた切ない。虚無感は涙や言葉からではなく、空気感から伝わってくる。マリーを見ていて、ふと幻肢を思い出した。事故などで手足を失っても、脳の錯覚により感覚が残っていることである。体の一部となっている伴侶を失うということは幻肢と同じ現象なのかもしれないと思った。しかし、どちらも脳が記憶している「まぼろし」にしか過ぎない。

なぜ夫は自分一人を残して去っていったのか、後にマリーは知ることとなる。その衝撃といったら。
一体、愛とは?夫婦とは?何がまぼろしで何が真実なのか?余韻を残すエンディングは秀逸!

生身の体を欲しがる欲望と、夫への恋慕を表現しきったマリー演じるシャーロット・ランプリングの中年女性の色香。若い子にはない円熟さ。複数の手が体を撫でまわすシーンは鳥肌が立った。
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<鑑賞> 英語字幕 2010/12/1,2015/3/18

君を想って海をゆく (原題:Welcome)<2009/フランス> ★★★★

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2009/110min/フランス
監督/共同脚本:フィリップ・リオレ
出演:ヴァンサン・ランドン、フィラ・エヴェルディ、オドレイ・ダナ
IMDb評価:7.5/10

邦題のセンス ★★★★
社会度     ★★★
衝撃度     ★★
感動度     ★★★

<あらすじ>
17歳のクルド人難民ビラルは、イラクからフランス最北端のカレにたどり着く。恋人の住むイギリスへ密航を試みるも失敗。ビラルには、英仏海峡を泳いで渡る手段しか残されていなかった。一方、フランス人のシモンは、かつては水泳選手として名を馳せたもののいまではコーチの職に甘んじ、妻とは別居中の身だ。そんな二人が市民プールで出会う。ビラルにクロールを指導することは、シモンにとって、難民を支援する団体に属する妻の心を取り戻すためにすぎなかった。しかし次第に二人の間には父子にも似た感情が流れ始める。果たして、ビラルは海峡を泳ぎ切り、イギリスの地を踏むことができるだろうか。

<レビュー>
原題は「Welcome(歓迎)」。邦題「君を想って海をゆく」がすでにネタバレしているように思ったけど、実は奥が深く、解釈の余地がある。「誰が誰を想って海をゆく」のかは解釈によって異なるからである。不法移民に関するフランス映画ってあまりにも多いのに、それでも本国でヒットした本作。あらすじを読んでもそそられなかったんだけど、素敵な映画でした。日本公開はちょっと意外だが、2010年12月18日公開。

イラクからフランスまでは4000キロ。驚いたことに17歳のクルド難民ビラルはこの距離を3カ月かけ、歩いてたどり着いていた。そして、イギリスにいる恋人に会い行くためにドーバー海峡を渡るという。難民の彼には英国に渡る方法は密航しかないのに。

フランスからイギリスに密入国する一般的な方法は、フェリーに乗る貨物トラックに忍び込むことだそうだ。フランスの最北端カレからトラックに乗り込む不法入国者は後を絶たない。検問所では全ての荷台を開けてチェックするわけではなく、二酸化炭素探知機を使って人間が隠れていないか調べる。密入国者は二酸化炭素濃度が探知されぬよう、ビニール袋を頭からかぶり息を潜める。本作でその様子が描かれているのは興味深い。ビラルは500ユーロの手数料を支払い、トラックの荷台に隠れて密航しようと試みるが、苦しくなりビニール袋をはずしてしまう。仲間を道連れにして失敗に終わってしまうである。

中東やアフリカ出身の不法移民たちが集まるキャンプ地がある。ボランティアから簡単な食事がもらえ、情報収集の場にもなると同時に噂が広まるのも早い。ビラルの失敗は皆が知っており、500ユーロを返せと道連れにされた者にはせがまれるし、トラックに乗せてくれる者もいない。同じ境遇の同志からも「Welcome」されていないのだ。皆命がけなのである。
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もはやドーバー海峡を泳いで渡る手段しか残されていないビラル。かろうじて泳げる程度の彼のフォームはぎこちなく、水泳教室に通い始める。そこで出会ったコーチ、シモン。離婚調停中の妻はキャンプ地でボランティアをしているが、不法移民には無関心な男であった。初めはビラルを助けることで妻とやり直せるかもしれないという思いからであったが、心境の変化が見られる。ビラルの物語で始まった本作は中盤からシモンの物語へと変わり、どんどん深みと重み、面白さを増していく。

不法入国者と一般市民、両者の視点で描かれ、距離を縮めるにつれ厳しい現実が浮き彫りになる。
不法入国者と関わりを避ける一般市民、世間の目、警察への密告、そしてイスラム社会の因習なども興味深い。

原題は「Welcome(歓迎)」。一体誰が誰を歓迎していたのか。これも解釈の余地があって、深い。

<鑑賞> 英語字幕 2010/11/26


ポゼッション <1981/フランス> ★★★★

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1981/123min/フランス=西ドイツ
脚本/監督:アンジェイ・ズラウスキ
出演:イザベル・アジャーニ、サム・ニール
受賞:カンヌ映画祭 女優賞
言語:英語
IMDb評価:7.1/10

難解度 ★★★
隠喩度 ★★★★★
残酷度 ★★★★
衝撃度 ★★★★★
狂気度 ★★★★★

本作はイザベル・アジャーニ出演のフランス映画。存じ上げない監督さんだけど、名前を見てすぐにポーランド人だと思い、ちょっと調べてみた。アンジェイ・ワイダの助手を務めたこともあり、ソフィー・マルソーと婚姻関係にあったとか。フランス留学後アンジェイ・ワイダのもとで映画作りを学び、ポーランドでデビューをするが、2作目「悪魔」の過激な内容が問題となり、本国では公開禁止。自身は国外追放処分を受ける。そこで、フランスで映画を作り本作のヒットで名は世界中に広まった。もう一度ポーランドで映画を作ろうと試みるが、やはり政府中止命令を受け、その後もフランスを拠点にしている。

タイトルの「possession」とは所有、憑依、妄執。「所有」したいという欲望が「妄執」状態になり、「妄執」に「憑依」される妻をイザベル・アジャーニが演じる。このイザベル・アジャーニがとにかく凄く、「アンチクラスト」は比にならない狂いっぷり。こんな狂った映画は今まで観たことがない。焦点の定まらない目、悪霊にとりつかれたかのような目と行動。彼女自身、怖くて観れないとか。一人二役していることにも全く気付かなかった。かなりエグいシーンが多くホラー映画に分類されているが、パルムドールにノミネートされたことを考えるとただのホラー映画であるはずがない。
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舞台は冷戦下のドイツ。言及はしていないが、鉄線の国境が見えるからベルリンでしょう。夫が長期出張から帰るや否や妻は家を飛び出してしまう。夫は不倫が原因だと考え、探偵を使って不倫相手を探そうとするというお話。ごくありふれた話ではあるが、観たこともない衝撃的な展開に冒頭から開いた口がふさがらない状態にさせられる。イザベル・アジャーニが地下鉄で暴れ狂う姿、執念という体液を吐き出す映像はこの世のものとは思えないほど気味が悪いが、一見の価値あり。夫サム・ニールのイカれっぷりも見逃せない。

ポーランド映画(ポーランド人監督)には隠喩が多いらしいが、本作も然り。監督曰く、善が悪に支配されるという不条理な世界を意図していたとか。変革していこうとする国家の体制とかポーランド人としての心の叫びをも代弁しているようにも感じた。

最近気づいたことが、国外追放や製作を禁じられるような作品こそが面白いということ。北朝鮮映画「プルガサリ」もそうだが、強い真意を命がけで伝えようとしている。

つい数か月前まではポーランド映画もポーランド人監督も避けてきていた。10代の頃、アンジェイ・ワイダやクシシュトフ・キェシロフスキ作品がつまらなくて仕方なかったからであるが、年を重ねてようやくわかることが増えてきた。これからはポーランド人監督に注目してみようと思う。

惜しくもパルムドールは逃したが、女優賞は獲得している。更に興味深いのが、パルムドールを受賞したのはアンジェイ・ワイダの「鉄の男」だということ。昔つらんなくて途中挫折した記憶があるけど、また観直してみようかな。。。

<鑑賞> 2010/11/24

[サイト内タグ検索] アンジェイ・ズラウスキ監督

ユマニテ <1999/ベルギー> ★★★☆

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L'humanite/Humanity/ユマニテ
1999/147min/ベルギー=フランス
監督/脚本:ブリュノ・デュモン
出演:エマニュエル・ショッテ、セヴリーヌ・カネル、フィリップ・テゥリエ
受賞:1999年カンヌ国際映画祭グランプリ/主演男優賞/主演女優賞
IMDb評価:6.7/10

芸術度 ★★★
衝撃度 ★★★
感動度 ★★
宗教度 ★★★★
性描写 ★★★★★(キレイという意味ではなく、多いという意味)

<あらすじ>
無垢でナイーブな刑事を主人公に、事件の捜査を脇において、彼の日常と、彼が思い寄せる女性とその恋人とのとの奇妙な関係を描いた異色の刑事ドラマ。北フランスのバイユール。ある日、少女の強姦殺人事件が発生する。捜査を担当するのは、無垢でナイーブな、およそ刑事らしくない男、ファラオン警部補。妻を事故で亡くし、母親と暮らす30代のファラオンは近所に住むドミノに思いを寄せていたが、彼女には恋人がいて、ファラオンは辛い現実を受け入れるのみだった……。

<レビュー>
主演の男女優は素人ながらカンヌで主演男女賞を受賞したことが大きな話題となった。何度観ても難解だ。
ブリュノ・デュモン監督の出身地である北フランスのバイユールが舞台。素朴で、殺伐とした所だ。その地で草むらに放り出された少女の死体。強姦され剥き出しになった下半身を映し出すオープニングから衝撃が走る。その直後、刑事のファラオンは好意を寄せている女性のセックスシーンを目撃してしまう。死をもたらしてしまった性器と性的欲求を発散する性器という極端な2つの性器はファラオンの目にはどう映ったのだろうか。

幾度となくセックスシーンがあるが、どれも肉体と肉体のぶつかり合いで、官能さはなく、動物の交尾のようだ。素人起用なので、自然というべきなのかもしれないが立ち振る舞い方なども荒く、安定していない。一方、キリストや絵画ミレーの構図、有名な写真の構図を効果的に使うなど、芸術的なセンスも垣間見れる。立ち寄った美術館で比較していた2枚の絵画は、生と死。性器同様、至る所にコントラストが際立っている。
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犯人は最後に判明するが、ほとんどその解決とかはどうでもいいかのように無視されまくっている。他人の痛みに共感して涙を流し、相手をやさしく抱きしめるファラオンは現代のキリストのようだ。宗教的要素が強いようにも思えるが、宗教映画ではないようにも思える。町に教会はあるが、出入りする者は誰もいないのだ。ドミノは教会を横目に興味はない様子で通り過ぎる。もはや宗教では救えないのだ。殺伐とした中で唯一の光がファラオンのような存在なのかもしれない。

<鑑賞> 英語字幕 2010/10/27
[サイト内タグ検索] ブリュノ・デュモン監督

(未) You Will Be Mine (原題Je te mangerais) <2009/仏> ★★★★

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Je te mangerais
2009/95min/フランス
監督:ソフィー・ラロワ
出演:ジュディット・デイヴィス、イシルド・ルベスコ、ヨハン・リベロー
IMDb評価:5.8/10

実家暮らしだったマリはピアノを学ぶために親元を離れ、幼馴染エマの大きなアパートでお世話になる。父親は既に亡くなっており、直後に母親は出て行き、エマは広~いアパートに一人暮らしだったのだ。孤独な日々を送っていたエマにとって、マリとの共同生活は楽しくて仕方なかったのだ。「お互い男性を連れ込むのはやめようね」とエマはマリに言う。この言葉が全ての始まりだった。原題「Je te mangerais」は直訳すると「I wolud eat you」になるが、英題は「You Will Be Mine」になってしまっている。いずれにしても、独占欲の強い恋愛ストーリーだということは安易に想像がつくタイトルだ。

次第にマリはエマの唇やうなじに怪しげな視線を向けるようになる。男性が女性を見るような視線だ。気になっている様子だが、観ているこちらも展開が気になる。しかし、マリはレズビアンではないようで、男友達を連れ込む。翌朝、エマは「約束忘れたの?あの男は誰?エッチしたんでしょ?」と問い詰めてくる。このあたりからエマの束縛が始まるのだ。お互い謝り、仲直りをした二人はクラブに出かけるが、マリはレイプされそうになるところをエマに助けられる。恐怖で泣きじゃくるマリを優しくなだめるエマ。そのままいい雰囲気になり、唇を重ねてしまうのだ。先に進もうとするエマだったが、「これ以上は無理」と突き放す。
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もうその気はないと告げるが、一度唇を許しただけでマリは自分の物だと思い込むエマ。怖い。
半ば強引に押し倒し、「私の物だと言って」と押さえつける。女性同士でもレイプだ。夜もベッドに忍び込むほどの執着。エマを受け入れられず、逃げ出したいマリは、ピアノのレッスンに身が入らない。

女性を愛してしまったエマが悪いのか?女性を受け入れられなかったマリが悪いのか?被害者は果たしてどちら?
独占、嫉妬、執着といったエマの行動は寂しさがゆえに引き起こしてしまったのではないだろうか?

フランス映画って大概は多くが語られず想像に委ねられる描き方が多い気がするけど、この作品はあまりにもストレートすぎて驚いた。ここまで人を愛すること、愛されたことがない私には少々羨ましくも見えたけど、恋愛にここまでエネルギーを注ぎたくはないかな。息切れしてしまう。でも、かなり面白かった。
DVDはUK版のみのようだ。DVDのタイトルは「Highly Strung」だ。

<鑑賞> 英語字幕 2010/10/17
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Out of the Blue (原題La Surprise) <2007/仏> ★★★★

La Surprise/ Out of the Blue
2007/90min/フランス
監督:Alain Tasma
脚本:Dominique Garnier
出演:Mireille Perrier、Rachida Brakni
IMDb評価:6.1/10

フランスのテレビ映画。その他、UKとUSAの映画祭のみの上映だ。かなりマイナーな映画な上、日本語での記事はないようだ。結末まで書いてしまいますので、鑑賞予定の方はご注意を。

原題「La Surprise」の驚きは何なのかだけに興味が湧き、予備知識なしで鑑賞。大学生の娘がいる母親マリオンは夫との別居を決意する。お互い結婚記念日を忘れてしまうようなら、一緒にいる意味がないと思ってしまったようだ。恋人がいるわけでもなく、1人暮らしを始めるのだ。妹の紹介で新しい女友達クラウドができた。年は離れているが、行動を共にすることが多くなった。タイトルから禁断な恋が始まるであろうことは予測できていたが、あらすじを全く知らなかった私にとっては思わぬ方向へと展開は進む。

マリオンはクラウドのことが気になって仕方がない。携帯を握りしめ、かかってくるのをひたすら待ったり、これが恋なのか何なのか自分でもわからない。2人でいる時はよそよそしくもあり、付き合い始めたばかりの少女のようだ。シーンを重ねるごとに二人の距離は近づき、自然と唇を重ねてしまう。そして、クラウドの一言「足の間にとても興味があるの」

クラウドは元々レズビアンであったが、マリオンはストレートな女性だ。やはり戸惑いを隠せない。クラウドとしばしの間距離を置くが、やはり一緒にいたいという気持ちが次第に膨れ上がり、体を重ねてしまう。自然の成り行きでクラウドに魅かれてしまったマリオン。同姓への目覚めは誰にでも起こり得ることがわかる。

同性愛の映画は数多くあるが、ストレートからの目覚めを描いた作品は私は初めて観た。同性愛って異質に感じてしまうが、好きになった相手がたまたま同性だっただけで、この作品を観る限りはごくごく自然な恋愛だ。彼女を受け入れることで、マリオンからは幸せが滲み出ている。一番の難関かと思われる家族へのカミングアウトもさりげなくこなしてしまっている。
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ストレートからの目覚め。それは微笑ましいLa Surpriseであった。

<鑑賞> 英語字幕 2010/10/15

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