カテゴリー  [ ★欧州映画レビュー★ ]

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(未) For Those Who Can Tell No Tales <2013/ボスニア> ★★★★

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For Those Who Can Tell No Tales
2013/82min/ボスニア ヘルツェゴビナ
ドラマ
監督/ 脚本:ヤスミラ・ジュバニッチ(Jasmila Zbanic)
出演:Kym Vercoe,Simon McBurney
IMDb評価:6.4/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★
演出 ★★★
演技 ★★★ 


ForThoseWhoCanTellNoTalesX960.jpgオーストラリア人のキムはガイドブックを片手にボスニアへ一人旅へ行くこととなった。サラエボから地方まで足を延ばし、ガイドブックで勧められているホテルに宿泊することにしたが、なぜかなかなか眠りにつけない。旅は終わり、シドニーに戻り、訪れた町や滞在したホテルについて調べてみたところ、宿泊したホテルはまさにボスニア紛争において、レイプキャンプとなっていたホテルだった・・・。

監督は、『サラエボ、希望の街角』『サラエボの花』のヤスミラ・ジュバニッチ。
主演のKym Vercoeはシドニーで活躍する舞台女優。映画出演は本作のみとなる。以前プライベートでボスニアへ旅行へ行った際に感じたことを映画として残したく、自ら監督に映画化を依頼したという。旅行記のような印象を受けるが、ドキュメンタリータッチで進行していく。舞台女優というだけあって、さすがの存在感。

冒頭、いきなり警察で取り調べを受けるキム。ここに着た目的などを尋問されているが、キムの態度は至って冷静で強気。取り上げられたパスポートを返してもらおうと警察を説得しているのである。
作品は初めてのボスニア旅行へ胸を弾ませていた数ヶ月前、帰国後旅行の感想を周囲に話すその数ヶ月後、2度目の訪問、警察での取り調べを交互に映し、2度の旅行において何を感じたのか、キムの心境が描かれている。

137950957282993091228.jpg主な舞台となるのは、世界遺産に指定されたヴィシェグラードという町。所々住宅の壁に銃弾の後が無様に残るが、長閑で牧歌的な田舎町であり、ゆったりとした時間が優雅に流れている。キムはガイドブックに紹介されている通りに観光し、宿を予約。ロマンチックな夜を過ごせると書いてあったが、実際はなかなか眠りにつけない。後味悪くボスニアを後にするのであった。

キムが頼りにしていたのは、ボスニア在住のアメリカ人が書いたガイドブック。ボスニア人の妻を持ち、こちらに暮らしているという実在の人物である。彼自らが案内してくれるツアーに参加し、レイプキャンプだったホテルをなぜガイドブックに、しかもロマンチックだと推奨しているのかというキムの問いかけに対する、“みんな前に進もうとしているんだ”という返答が印象的。原題は“真実を話せない人々のために”。本作で、レイプ事件を含め、紛争当時のことを自ら語ろうとする人物はいない。決して隠しているわけではなく、前を進もうとしている人たち。本作は、戦争の是非と問うものでもなければ、歴史的事実を周知させるために描かれたのでもない。現地で暮らす人々がきちんと前に進んでいることを感じさせる作品だった。

ちなみにヴィシェグラードのことは、私が本屋で立ち読みした日本のガイドブック数冊にはおまけ程度に紹介されているが、レイプキャンプの記載は一切ない。そして、世界遺産でありながら、この地を訪れる日本のツアー(大手数社)は私が探した限りない。

2015/2/22、3/23

今月、ボスニア旅行へ行った際の写真。一応、別に旅行記書く予定です。
(上)郊外の民家。窓は割れたままで、住んでる人はいない。
(下)サラエボ市内。あいにくの雪だったが、とても綺麗な町だった。
IMG_5644.jpg
IMG_5707.jpg
[サイト内タグ検索] 日本未公開
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(未) As If I am Not There <アイルランド=マケドニア=スウェーデン> ★★★★☆

2015/2/25 再鑑賞による追記、星評価★★★☆→★★★★☆に変更

as if
As If I Am Not There
2010/109min/アイルランド=マケドニア=スウェーデン
ドラマ
監督:ファニタ・ウィルソン(Juanita Wilson)(長編監督デビュー作)
原作:Slavenka Drakulić
出演: Natasa Petrovic、Fedja Stukan、ステラン・スカルスガルド
受賞:第8回(2011)アイルランド・アカデミー賞 作品賞、監督賞、脚本
IMDb評価:7.3/10

第24回(2011)ヨーロッパ映画賞 作品賞候補 全45作品についてはこちら
第84回(2012)アカデミー賞 外国語映画賞アイルランド代表作品 全作品についてはこちら

衝撃度 ★★★★★
哲学度 ★★★★
社会度 ★★★


サミラはサラエボで学校教師として働いていたが、地方への赴任が決まった。引っ越しも済み、授業も始まった矢先、銃を持った男が部屋に突然乱入し、すぐ荷物をまとめろと言われる。村の住民たちは一斉にある場所へ集められ、男女別に分けられた。男性たちがその場を後にすると、すぐに銃声が響き渡り、女性たちは何が起こったのかを察する。そして、バスで別の場所へと連れて行かれた。老女たちは労働を虐げられ、若い女性たちは…。

監督はアイルランド人女性。監督デビュー作「The Door」は、アカデミー賞短編賞にノミネートされ、本作が2作目。長編ではデビュー作となる。
ストックホルム在住のクロアチア人作家 Slavenka Drakulićの体験記を原作としている。政治的な理由で、スウェーデンに亡命し、現在は数カ国に渡って新聞や雑誌にコラムを掲載している。
ステラン・スカルスガルド以外は国際的には無名な俳優ばかり。IMDbによると、大半が旧ユーゴスラビア出身のようである。戦争経験者であるかと思うと、感慨深いものがある。

as if2ユーゴスラビアから独立したボスニア・ヘルツェゴビナで1992年から1995年まで続いた内戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景とし、犠牲になった1人の女性の運命を体験記に基づいて描く。

冒頭、シャワーを浴びているサミラは出血している。そして、横たわるサミラに水のようなものを掛けられるシーン、そして、赤ん坊が映し出される。補足説明はなく、サラエボを去るサミラの姿に切り替わるが、それが何を意味するのか徐々に明かされていく。

サエラを含めた数人の若い女性たちは兵士たちの性の奴隷となった。身も心もボロボロになり、もはや身だしなみに気遣う女性は1人もいない。しかし、みすぼらしい姿を鏡で見て愕然としたサエラは急に化粧をし始める。安い女になりたくなかったのである。そして、キャプテン専属の愛人となるのであった。手荒な部下たちに弄ばれるよりずっとマシであった。時折、笑顔を見せるようになる。

ところが、キャプテンが老人を銃撃しているのを目撃してしまい、サミラは動揺を隠せない。銃で人を殺すのは自分の意思ではなく、上からの指示でやむを得ないというキャプテン。自分も男に服従しているサミラと同じ立場であると主張する。その日を境に、キャプテンはサミラを呼ばなくなった。心境の変化があったことは推測できるが、描かれてはいない。倫理的な観点から心理を深堀りして欲しかったと思う。

as if1女性なら誰しも怒りが込み上げてくる話である。女性監督でありながら、主観的になっておらず、淡々と進んでいく。一体何事が起こっているのか戸惑うシーンも多く、敢えて伏せた描き方をしているようでもあるが、全く飽きさせない作り。ショックのほうが大きいが、100分がもの凄く短く感じるほどハマってしまった。
終盤になると、おそらく意図的だとは思うが台詞の全くないシーンが続く。ドラマチックな描き方をしているが、映像から読み取るには説明不足であり、観る者に解釈を委ねるにしても曖昧すぎる点がいくつもある。
ご本人が今スウェーデンで幸せに生きてらっしゃることが結論と考えることもできるが、どうも釈然としない…


追記2015/2/25(核心に触れています。)
アラブ国へ旅行へ行く前にと再鑑賞。以前観た時は、勉強不足であったことを痛感した。
本作で描かれているのはボスニア紛争の、まさに民族浄化といられている出来事で、セルビア人によるムスリム人女性のレイプ事件を軸としている。冒頭でサミラは産まれたばかりの赤ん坊を見つめているが、その表情は複雑。なぜならサミラは複数男性にレイプされており、望まれた子供ではないからである。本などによると、こうして産まれた子供たちは捨てられ、やむなく施設で育てられるケースが多かったという。
作品の配分としては、ボスニア紛争での出来事に重きを置いているが、どんな状況下でも一人の人間として懸命に生き、諦めない姿には心打たれる。中絶が間に合わず、やむを得ず出産するが、捨てるか育てるかどうか女性としての葛藤も繊細に描かれている。自分がサミラの立場だったらどのような決断を下すだろうか。本作の決断は観客自身に委ねられている。

<鑑賞> 英語字幕 2011/10/28、2015/2/24
初版2011/11/4
追記2015/2/25

(未) The Abandoned <2010/ボス=クロ=仏> ★★☆

Ostavljeni.jpg
Ostavljeni/ The Abandoned
2010/85min/ボスニア・ヘルツェゴビナ=クロアチア=仏
ドラマ
監督:Adis Bakrac
脚本:Zlatko Topcic
出演:Tony Grga, Mirsad Tuka, Mira Furlan
IMDb評価:6.6/10


社会度 ★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


ostavljeni1Alenは孤児院で育てられている。両親はジャーナリストであり、父親はイギリス、母親はパリ在住。仕事で世界を飛び回っており、子育てができないからだと聞かされている。いつか母に会いにパリへ行くことを夢見、母に何度も手紙を書いているが、一度も返事がないことに疑問を抱くようになる。所長に尋ねても、出生のことは教えてくれない。孤児たちに盗みをさせ、荒金を稼いでいる近所の店主に書類を入手してもらうと、産みの母は国内に暮らしているという・・・。

孤児院でAlenはみんなからハーフだとからかわれていた。ムスリム人とセルビア人のハーフだからだ。しかしながら、本人はおろか、子供たちにはハーフの意味はわかっていない。

ostavljeni2.jpgボスニア戦争において、セルビア人男性はムスリム人女性をレイプの上、強制出産させ、セルビア人の子供を産ませる“民族浄化”を行っていた。
本作のテーマは孤児の母親探しだが、“民族浄化”がもたらした悲劇が背景として浮かび上がる。本作ではその結果産まれてきた子供の悲劇が描かれている。
レイプの犠牲も悲劇だが、暴行によって望まぬ子供を産まざるを得なかったことや産まれてきた子供には更なる悲劇である。この孤児院でもその犠牲者はAlenだけではないだろう。

孤児の視点で描かれており、説得力に欠ける展開だった。なぜ孤児院に預けたのか・・・歴史的背景も交えた状況説明がないと、外国人には理解しがたい。

2015/2/12
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エネミー・マイン <2011/ セル=ボス=クロ=ハン> ★★★

来月セルビアやボスニアに旅行へ行くため、再鑑賞。
いつの間にか、日本でもレンタルされていたようです。

enemy.jpgNeprijatelj/ The Enemy
2011/108min/セルビア=ボスニア・ヘルツェゴビナ=クロアチア=ハンガリー
ドラマ、ミステリー、スリラー
監督/脚本:デヤン・ゼチェヴィッチ
出演:アレクサンダル・ストイコヴィッチ、ヴク・コスィッチ、 ティホミル・スタニッチ、リュボミル・バンドヴィッチ、 スラヴコ・スティマチ
IMDb評価:7.3/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★
宗教度 ★☆
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 ★
脚本 ★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★

enemy1.jpg1995年、ボスニア紛争終結直後。小隊たちはボスニア国境付近で地雷撤去作業を進める。この地域一帯の住人たちは戦争の犠牲者になってしまったか、避難したかのどちらかであったが、近くの廃工場地下から老人が発見された。老人は敵が地雷を埋めた場所を知っていたため、口封じに監禁されたという。その男は周囲から“サタン”と呼ばれていた・・・。

enemy2.jpgストーリーは終戦5日後からスタートする。舞台となるのは、つい先日まで戦争があったことなど感じさせない長閑な田園地帯だが、あちこちに地雷が埋まっているという。敵国が埋めた地雷は手探りで探り当て、撤去するという地道な作業の繰り返し。死と隣り合わせの作業のため、地雷の犠牲者となる隊員も出てくる。そんな時、“サタン”と呼ばれる老人が発見された。彼が来てからというもの、本隊との通信が途絶えてしまったり、仲間割れが始まったり、不幸の始まりだった。メンバー全員の精神が徐々に崩壊していく。

本作はセルビアから見たボスニア戦争を背景としている。セルビア人・クロアチア人・ムスリム人の民族・宗教浄化の縮図を見ているかのようだった。“サタン”とよばれる老人は制圧されたイスラム教のメタファーなのではないだろうか。戦争映画でありながら、どこかファンタジーを感じる展開に仕上がっているが、絶望感に溢れた悲しくもあり力強い作品。

2013, 2015/2/10
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(未)Miss Violence <2013/ギリシャ>★★★★

miss-violence.jpg
Miss Violence
2013/98min/ギリシャ
ドラマ
監督/脚本:Alexandros Avranas
脚本/出演:Kostas Peroulis
出演:Constantinos Athanasiades, Chloe Bolota
IMDb評価:7.1/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★★
ゴア度 ★

脚本 ★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★ 


miss_violence2.jpg
三女Angelikiの11歳の誕生日を家族で祝っていた最中、Angelikiは笑顔でベランダから飛び降りてしまった。警察は自殺とは別に、事件として捜査を始めていたが、家族はかたくなに事故だと言い張る・・・ 。

長女は唐突に「妊娠したの」と母親に伝えるが、母親はたいして関心を示さない。三女のAngelikiが亡くなったというのに、誰も動揺を見せない。その後、死について触れようとしない。


miss_violence1.jpg
なぜ11歳の娘が、しかも自分の誕生日にベランダから飛び降りたのか?を紐解いていくストーリーだが、一般的な警察による謎解きというよりは、家族の日常生活から観客に真相を読み取らせ、家族の実態を明らかにしていく展開。ドラマというよりは、観る者に恐怖を与えるホラー要素のほうが強い。抽象的でありながらも、台詞の一言一言がプロットになっており、頭によぎる、まさか?な展開を衝撃的に映像で見せていく挑戦的な作品。観る人を選ぶ作品であるが、またブログを始めたいと思える作品だった。不自然なほどに登場人物は限定されており、この一家だけに焦点が絞られている。極端に感情表現が乏しく、家族の絆が全く見られない。独特なカメラワークは家族の歪みを表現していたのかもしれない。

<鑑賞>2014/6/7
[サイト内タグ検索] 日本未公開

トランス 愛の晩餐 <1982/西ドイツ> ★★★★

der fanDer Fan/ The Fan
1982/西ドイツ
ホラー
監督/脚本:エックハルト・シュミット
出演:デジレー・ノスブッシュ、ボド・スタイガー、シモーネ・ブラーマン、クリスチャン・シモン
IMDb評価:5.7/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 ★★
民族度 なし
ゴア度 ★★★★

脚本 ★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★


der fan116歳のシモーネは“R”というスターを愛し、毎日ファンレターの返事を待ち望んでいる。学校に行っても考えるのは彼のことばかりで授業も上の空。意を決して、ファンレターの返事を直接聞きに行くことにした。ヒッチハイクでようやくテレビ局についたがその日は“R”の出演はなく、本人は現れなかった。翌日再びテレビ局を訪れると、シモーネに気がついた“R”のほうから歩み寄って来てくれた。放心状態のシモーネは失神してしまった。目を覚ますと、手を握ってくれていたのは“R”。その日はスタジオの案内をしてくれ、伯父の別荘にも連れて行ってくれ、一夜を共にすることとなった…。

いくらメールを送っても返事が来ない…。いてもたってもいられず、会いに行った、なんて経験は誰にでもあるかもしれないが、通用するのは実生活の知り合いに限ってだろう。本作に至って、その相手となるのは雲の上の存在のスーパースターである。一途にスターを思う少女の究極の陶酔愛を描いたカルト作品。

der fan2前半は全く抑揚がなく、大好きなファンを思う心情をダラダラと描くだけの退屈な展開が続く。無駄なシーンも多く、時間を引き延ばしているだけのようにも感じるほどダルい。正直、何度も眠りに落ちていた。あらすじだけだとありふれた映画に聞こえがちだが、カルト作品だということを忘れずに観ていただきたい。前半と後半はまるで違う作品を観ているかのようで、中盤から展開は豹変する。

大好きな彼を生で見ることができただけでもファンとしてはうれしい限りだが、夢のような時間を過ごすことができたシモーネは「永遠に一緒にいたい。」と思うまでになっていた。独占欲は大爆発し、次第に行動は想像もつかない方向へとエスカレートしていく。本作の特徴は、感情表現があまり豊かではなく、狂気的でもない。直接描写もなく、スプラッターもないが、内面からくる不快感は人を選ぶことに変わりはない。淡々としているのが余計にショッキング。精神的ダメージは大きく、後味も悪いが、究極の愛を語る上で最高の衝撃結末で締めくくられている。実際にあった事件を元にしているというが、どこまでが事実でどこからがフィクションなのか…。

<観賞> 2013/2/6
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そのひとときの自由 <2008/オーストリア=仏=トルコ> ★★★

for a moment freedom
そのひとときの自由/For a Moment, Freedom
2008/110min/オーストリア=フランス=トルコ
ドラマ
監督:アラシュ.T.リアヒ(Arash T. Riahi)
出演:Navíd Akhavan, Pourya Mahyari, Elika Bozorgi
受賞:2008年モントリオール世界映画祭 Golden Zenith賞(金賞)

社会度 ★★
哲学度 ★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 なし
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


for a moment freedom1イラン。ある青年たちは、祖父母と住む親戚の子供と共に車を乗り継ぎどこかへ向かう。祖父母は別れを惜しんでいる。別の家族も同じ車に乗り込んできた。ギリギリのところまで車で向かい、後は歩いて国境を越えてトルコを目指すという。野宿をしながら無事に国境を超え、なんとかイスタンブールへ着いた。あてもなく安宿に向かうと、同様にイランから来た男組がいた。3組はそれぞれ難民認定が下されるまで安宿に滞在することとなった…。

監督は、イラン人のアラシュ.T.リアヒ。ドキュメンタリー出身であり、フィクション映画は初監督となる。本作は、第6回(2011)難民映画祭にて上映。

家族、親戚の子供を預かった従弟、友人同士の男性。3組の難民のイラン脱出から難民認定までを描いた作品。なかでも、認定が下りるのをひたすら待つ期間を中心に構成されている。
国連で難民認定を受けるとヨーロッパへ亡命できるという話を聞き、毎朝、申請の列に並ぶ。警察が来れば即座に逃げ、去ればまた並ぶといったことの繰り返し。警察に捕まれば、強制送還は免れない。危険と隣り合わせで期待と不安が入り交ざる。背景の違う3組の状況が並行して描かれ、それぞれが異なる結末を迎えることとなる。亡命したからといって、幸せが保障されるわけではない。自由を手に入れた者、ほんの少しの可能性に賭け、身を滅ぼす者、彼らの厳しい現実が待ち受けている。

for a moment freedom2本作の特徴は何と言っても、登場人物がポジティブだということ。作風は社会派というほど堅苦しくもなく、予備知識なくても楽しめる作品に仕上がっているが、最大の欠点にもなっている。ハラハラさせられる危機一髪の状況が随所に盛り込まれ、全体的に見せ場は多く、作品としても面白いのだが、緊張感の欠片もない。命がけである国境超えも家族のピクニックを見ているかのようで、いかにも作り上げたドラマ。警察の目を盗み、隠れるように生活しているのだが、不必要にも思えるユーモアさがあり、全体的な印象として緩さが目立ってしまっている。それぞれのキャラクター設定も曖昧で、ストーリー進行と共に掘り下げていくわけでもなく、脱出後から描かれているため、どういった背景での亡命なのか見えてこない。

製作国を見ての通り、本作は欧欧州映画。主要人物がイラン人で、イラン人の視点として描かれても、欧州目線になってしまっている。第3者の空想に思えてならない。どうせならEU視点のほうが観たかったものだが。

<観賞> 2012/2/11
[タグ未指定]

(未) The White Masai <2005/独> ★★★☆

The White MasaiThe White Masai
2005/131min/ドイツ
ドラマ、ロマンス
監督:ヘルミーネ・フントゥゲボールト
脚本:Corinne Hofmann、Johannes W. Betz
出演:ニーナ・ホス、ジャッキー・イド
IMDb評価:6.4/10

社会度 なし
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 ★★
民族度 ★★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★
演出 ★★★
演技 ★★★


The White Masai2スイス人のカローラは彼氏とケニアへ旅行中だった。滞在最終日、船上で偶然見かけたマサイ族に一目ぼれをしてしまう。その後、市場で助けてもらったことをきっかけに一日ガイドをしてもらうが、帰国する日になってもその彼のことが忘れられない。彼氏と空港で別れ、マサイ族の彼に会いに行くことにした…。

監督は、「リトル・ウィッチ ビビと魔法のクリスタル(2002)」のヘルミーネ・フントゥゲボールト。出演は、「ブラッディ・パーティ (2010)」「東ベルリンから来た女 (2012)」のニーナ・ホス、「イングロリアス・バスターズ (2009)」のジャッキー・イド。

The White Masai1帰国日、マサイ族の彼は故郷へ戻っており、カローラはたった一人彼を探しに何日もかけ慣れないバスを乗り継いで故郷へ向かう。たった一枚の写真と名前だけで探しに行く無謀さ。実話を基にしているというが、出来過ぎたストーリーに見えてしまった。マサイ族が住む砂漠地帯にドイツ語圏の白人が2人もいるのだろうか。カローラのよき相談相手としてストーリーにいいバランスを与えてはいるが、現実的ではない。本作の見所といえば、文化の違いだろう。

マサイ族との出会いから結婚、そして、あることを決意するまでを描いている。前半は、生活習慣の違いを楽しんでおり、家族の反対を押し切ってまでの結婚への決意や相手への敬意などが感じられるが、徐々に衝突が増えていく。カローラの視点で描かれており、先進国で暮らす日本人にも驚かされるような生活スタイルが見れるのは興味深く、カローラの苦悩も手に取るようにわかる。しかし、カローラがなぜそこまでマサイ族の彼に惹かれたのかは描かれていない。

<観賞> 2012/1/4

[サイト内タグ検索] 日本未公開 ニーナ・ホス

(未) Paradise:Love <2012/オーストリア=独=仏> ★★★★

paradise loveParadise:Love
2012/120min/オーストリア=ドイツ=フランス
ドラマ
監督:ウルリヒ・ザイドル(Ulrich Seidl)
出演:Mrgarete Tiesel, Peter Kazungu, Inge Maux, Dunja Sowinetz, Helen Brugat, Gabriel Mwarua
IMDb評価:6.90

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 ★★(ヌードあり)
民族度 なし
ゴア度 なし

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★

2012年 第65回カンヌ国際映画祭コンペ部門出品作品

paradise love1オーストリア人のテレサは友人たちとケニアのビーチへ旅行へ行く。現地のアフリカ人男性は白人女性を“シュガーママ”と呼んでいる。ホテルから一歩外に出ると、アクセサリー売りやバイクタクシーの運転手たちがシュガーママに群がってくる。テレサが前に進めないほど囲まれ困っていると、ある青年がそこから助けてくれた。片言のドイツ語を話し、物売りの青年たちとは少しタイプの違う青年だった…。

監督は、オーストリア人のウルリヒ・ザイドル。

初老女性たちの旅行の目的は若い男の子たちと遊ぶことである。テレサの友人にはすでにトイボーイがおり、テレサにも早く作るように提案をしてくる。まんざらでもないテレサは、ここ数年ご無沙汰だっただけに、不安と期待が入り混じる。決して若くはない彼女たちだが、若い男の子たちは群がり、甘い言葉を囁いてくる。簡単に男が手に入るからパラダイスなのだろうか。初老であっても、この地で若い男の子を引っ掻けるのに苦労はしない。お金はあるが愛に飢えている白人女性と上辺だけの愛の見返りにお金を期待するアフリカ人男性を対照的に見せている。そんな男女の羨望とギヴ&テイクを描いた作品。パラダイス3部作の第1作目。

paradise love2甘い偽りの囁きに引っかかり、現地の男の子とデートをし、そのままベッドインしてしまうテレサ。彼らの手口は、ベッドインのあと、「家族が病気だ」「親戚の子供の病院費が払えない」と同情を引くようなことを言い、遠まわしに金を要求してくることだった。若いアフリカ人男性を利用しようと考えている白人女性が逆に被害者になっていく姿をアイロニックに、カメラは淡々とテレサの行動を追っていく。固定カメラで、一定の距離間を保った独特なカメラワークで、ドラマチックな展開はないが、説得力がある。ここがパラダイスに見える綺麗すぎるビーチでとしても、パラダイスなどどこにもない。つかの間の偽装恋愛の末に残るのは虚しさだけ。何気ないテレサの行動や表情からそういった心情が読み取れ、リアリティー感がある。

舞台となるのは、どこまでも続く綺麗な青いビーチ。映像も青を基調としている。貫禄たっぷりの女性たちの豪快な脱ぎっぷりには脱帽。

<観賞> 2013/1/10
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ウルリヒ・ザイドル監督

ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー (原題:Elles) <2011/仏=ポーランド=独> ★★★★

2013年3月6日DVD発売します。

elles.jpg Elles/Sponsoring
2011/99min/フランス=ポーランド=ドイツ
ドラマ
監督/脚本:Malgorzata Szumowska(監督デビュー作)
脚本:Tine Byrckel
出演:ジュリエット・ビノシュ、Anaïs Demoustier、Joanna Kulig
IMDb評価:5.9/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 ★★
民族度 ★★★
邦題センス なし(なんで女優名をタイトルに入れるの!?)
脚本 ★★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


パリに住むフランス人ジャーナリストのアンヌは、学生の売春について記事を書こうと2人の学生に直接会い、調査を開始する。一人はポーランドからの留学生で、一人は地方出身。2人のインタビューを重ねるごとに売春に対する概念が覆され、アンヌ自身も変化していく…。

監督は、本作がデビュー作となるポーランド人のMalgorzata Szumowska。
出演は、 ジュリエット・ビノシュ、「美しい人(2008)」「キリマンジャロの雪(2011)」のアナイス・ドゥムースティエ、「イリュージョン(2011)」のヨアンナ・クーリグ、「あの夏の子供たち (2009)」のルイ=ド・ドゥ・ランクザン、「カティンの森 (2007)」のアンジェイ・ヒラ、「尋問(1982)」「菖蒲(2009)」のクリスティーナ・ヤンダ

elles2.jpgアンネは自宅のPCに見知らぬ女性の動画を発見する。夫を問い詰めると、「世界中に娼婦はありふれているだろう。女に娼婦の何がわかる!?娼婦は男の権利だ!」と豪語する。そんな夫は妻が援助交際の女子学生にインタビューをし、記事を書こうとしていることを知らない。いや、もはや関心すらなく知ろうとともしていない。長男が大学生だから、結婚20年前後だろうか。夫婦を繋ぎ止めているのは息子2人であり、夫にとって妻は家政婦状態。夫婦生活はなく、夫はその日の気分でいろんな娼婦を楽しんでいるのだろう。冷蔵庫のドアにはいつも何か引っかかり、なかなか閉まらない。何度か試すとようやく閉まるドアは今にも壊れそうで、いつまで持つかわかららず、危うい夫婦関係を示唆している。

elles1.jpgそれに比べ、援助交際をしている2人。アンヌは会うまでは売春は“お金”目的だと思っていたが、決してそうではなかった。人生を謳歌し自立しており、男性から女として見てもらえるだけ主婦よりマシかもしれない。アンヌが買ってきて調理しようとしているまだ新鮮なホタテ貝は女性器のメタファーでもある。アンネは夫に捨てられる不安を解消するために、自ら娼婦のように淫らに夫を誘惑してみせるが、拒否され虚しいものだった。
インタビューをするにつれ性的に刺激されていく過程を描いているが、かなり挑発的で実験的。ジュリエット・ビノシュの自慰行為は話題を呼んだ通り、すごいシーンだった。女性監督による女性へ向けた応援歌でもあり警告。家庭崩壊を示唆すると同時に、現代社会の悲しい現実を浮かび上がらせている。

アンネ夫妻が友人たちを招いた食事会では一瞬にして男性客が売春の客に入れ変わる。全ての男性が娼婦の客になりうる現代社会で生きる女性はこの絶望をどう乗り越えればいいのだろうか。ラストの家族での平和な食事風景は、女性の理想?妄想?願望?

<観賞> 2012/7/21
初版:2012/7/26
最終版:2013/1/13

シスター <2012/スイス=仏> ★★★☆

sister3.jpgL’enfant d’en haut/Sister
2012/97min/スイス=フランス
ドラマ
監督/脚本:ウルスラ・メイヤー
出演:レア・セドゥー、ケイシー・モテ・クライン、マーティン・コムストン、ジリアン・アンダーソン    
受賞:2012年(第62回)ベルリン国際映画祭 銀熊賞(特別賞)
   2013年(第85回)米アカデミー賞 外国語作品 スイス代表作
IMDb評価:7.1/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 なし
ゴア度 なし
脚本 ★★★ 
演出 ★★
演技 ★★★★ 

2013年(第85回)米アカデミー賞 外国語作品についてはこちら

***********2012年(第62回)ベルリン国際映画祭************
<金熊賞>: 「塀の中のジュリアス・シーザー」- パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督

<銀熊賞>
審査員グランプリ:「Just the Wind」 - ベンス・フリーガウフ監督
特別賞:「シスター」- ウルスラ・メイヤー監督
監督賞: クリスティアン・ペツォールト - 「東ベルリンから来た女
女優賞: ラシェル・ムワンザ - 「魔女と呼ばれた少女/War Witch
男優賞: ミッケル・フォルスガード - 「A Royal Affair」
芸術貢献賞: ルッツ・ライテマイヤー - 「White Deer Plain」
脚本賞: ニコライ・アーセル、ラスマス・ヘイスターバング - 「A Royal Affair」
アルフレード・バウアー賞:「Tabu」 - ミゲル・ゴメス監督

<国際批評家連盟賞>
コンペティション部門: 「Tabu」 - ミゲル・ゴメス監督
パノラマ部門: 「Atomic Age」 - Héléna Klotz監督
フォーラム部門: 「Hemel」 - Sacha Polak監督
**************************************


Sister1.jpgまだあどけなさが残るシモンは両親を亡くし、姉と暮らしている。姉は職を失ったばかりで、シモンはスキー場でスキー板やゴーグルを盗んでは転売し、生計をたてている。姉はそんな弟が嫌で一度は家を出るが、結局戻って来た。しかし、金銭的に弟に頼る生活。2人にはある秘密が隠されていた…。

監督は、「ホーム 我が家」でデビューしたフランスの女流監督ウルスラ・メイヤー。
出演は、監督のデビュー作「ホーム 我が家」で同じくデビューしたケイシー・モテ・クライン、「美しい人(2008)」「ミッドナイト・イン・パリ(2011)」のレア・セイドゥ、「アリス・クリードの失踪 (2009)」のマーティン・コムストン、 米ドラマ「X-ファイル」のジリアン・アンダーソン。

sister2.jpgスキーシーズンが収入源となるスイスの雪山を舞台としている。冬季になると世界中からはスキーヤーが集まり、その人たち相手に商売をする人たちがどっと押し寄せる。シモンが雪山に登るのはスキーを楽しむのではなく、客のスキー用具を盗むため。麓に戻り転売し、その金に依存する姉。社会の片隅で孤独に生きる姉弟2人の生活を描いている。

事実だとは信じ難いストーリーだが、あまりにもリアル。綺麗すぎる山岳だが、山の高低差と同じように貧富の差が浮き彫りになっている。山と麓との生活を比較するように描いているため、姉弟の悲惨な生活がより一層残酷に見える。盗んだサンドイッチの具に文句を言いながら、隠れるように汚いトイレで食す姿が印象的だが、サンドイッチにありつけるだけで十分だと思えるほど2人の生活は切迫している。日本でも親が子供に万引きをさせているというニュースを度々耳にするが、まだあどけなさが残る少年シモンにもおそらく悪意はない。ただただ姉を喜ばせるためだけに悪事を働き、生活が改善する兆しも見えないまま2人はどこへ向かうのだろうか。

<観賞> 2012/12/1

[サイト内タグ検索] ウルスラ・メイヤー監督

東ベルリンから来た女(原題:Barbara) <2012/独> ★★★★

2013年1月 Bunkamura ル・シネマ他ロードショー決定。

Barbara.jpg東ベルリンから来た女/Barbara
2012/105min/ドイツ
ドラマ
監督/脚本:クリスティアン・ペッツォルト(Christian Petzold)
出演:ニーナ・ホス、ロナルド・ツェァフェルト、ライナー・ボック
受賞:2012年(第62回)ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)
   2013年(第85回)米アカデミー賞 外国語作品 ドイツ代表作
IMDb評価:7.3/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし
邦題のセンス ★★★
脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★★ 

2013年(第85回)米アカデミー賞 外国語作品についてはこちら

***********2012年(第62回)ベルリン国際映画祭************
<金熊賞>: 「塀の中のジュリアス・シーザー」- パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督

<銀熊賞>
審査員グランプリ:「Just the Wind」 - ベンス・フリーガウフ監督
特別賞:「シスター」- ウルスラ・メイヤー監督
監督賞: クリスティアン・ペツォールト - 「東ベルリンから来た女
女優賞: ラシェル・ムワンザ - 「魔女と呼ばれた少女/War Witch
男優賞: ミッケル・フォルスガード - 「A Royal Affair」
芸術貢献賞: ルッツ・ライテマイヤー - 「White Deer Plain」
脚本賞: ニコライ・アーセル、ラスマス・ヘイスターバング - 「A Royal Affair」
アルフレード・バウアー賞:「Tabu」 - ミゲル・ゴメス監督

<国際批評家連盟賞>
コンペティション部門: 「Tabu」 - ミゲル・ゴメス監督
パノラマ部門: 「Atomic Age」 - Héléna Klotz監督
フォーラム部門: 「Hemel」 - Sacha Polak監督
**************************************


1980年の旧東ドイツ。田舎町の病院にバーバラという女医が赴任して来た。かつてはベルリンの大病院に勤務していたが、田舎へ左遷させられたのであった。そんな彼女には常にシュタージの監視が付いており、田舎の生活にも仲間にも馴染めない。西ベルリンへ住む恋人とは一目を避けて会っていた。そして、ある計画を実行しようとしていた…。

barbara2.jpg監督は、「Gespenster(2005)」「Yella(2008)」に続くベルリン国際映画祭コンペ出品作となるクリスティアン・ペッツォルト監督。本作が日本初公開作となる。
出演は、監督作の出演が5作目となるニーナ・ホス

バスに乗ってどこかへ向かうバーバラ。ある場所へ着くと一人庭のベンチで一服する。その姿を見て噂をする白衣の人たち。なぜか彼らはバーバラの“何か”を知っている。

ここはバーバーラがこれから働こうとする病院。小児科の医師としてやって来た。初出勤なのに、噂はすでに広まっており、同僚たちは距離を置こうとしている。バーバラの表情は初日の緊張感や期待というより、諦めにも見え、バーバラもまた同僚たちと群れをなさない。はたして、何なのか…説明不足で観客を置き去りのままストーリーは淡々と進んでいく。

barbara1.jpg舞台はベルリンの壁崩壊の9年前の1980年。西ベルリンに暮らす恋人と堂々と会うこともできず、一目を避けた逢瀬、シュタージの監視、偏見の目…自由がなく、神経が擦り減っていくバーバラの日々を冷徹に見つめ、田舎へ左遷されてから、あることを決意するまでのバーバラを描く。

殺伐とした風景に女性らしさのない冷たい部屋、窓から外を覗けば、監視の車がいつも止まっている。全く自由のない生活は不安と恐怖しかない。画面いっぱいに広がるピンと張り詰めた緊張感、バーバラの凛とした表情が唯一緩むのは恋人と会う時だけだった、同僚アンドレに会うまでは。自由で豊かな西への憧れ、希望。東での医師としての使命感。西の恋人、東の同僚アンドレ。揺れ動く女心を繊細に描くが、サスペンスフルな展開は後半に向けてさらに緊張感を高めている。

クリスティアン・ペッツォルト監督作品に登場する主人公はいつも内に何かを秘めており、ミステリアスな行動から主人公の心理を覗くのがほんとに巧い。全体的に静かな作品だが、バーバラの魂の叫びに感情が揺さぶられた。緊張感といい空気感がたまらなく好き。

<観賞> 2012/11/22

(未) Blind <2007/オランダ=ベルギー=ブルガリア> ★★★★☆

blind_20121014122533.jpg
Blind
2007/98min/オランダ=ベルギー=ブルガリア
ドラマ、ロマンス
監督/脚本:タマル・ファン・デン・ドップ(Tamar van den Dop)
出演:Joren Seldeslachts、ハリナ・ライン(Halina Reijn)、Katelijne Verbeke
IMDb評価:7.1/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 ★
民族度 ★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★ 


blind2_20121014122532.jpg盲目のルーベンは母親と大きな屋敷に暮らし、現実を受け止められずに苦しんでいた。世話係としてやってきたマリーのおかげで、やっと外の世界を知るようになり、身の回りのことも自分一人でできるようになる。自然と2人は惹かれあうようになっていった。ついにルーベンが視力回復手術を受けることとなった。喜んでくれると思ったマリーはルーベンの前からそっと姿を消えて行ってしまった…。

監督は、「キャラクター/孤独な人の肖像(1996)」「ヒヤシンス・ブルーの少女 (2003)」に出演していたタマル・ファン・デン・ドップ。
出演は、「ワルキューレ(2008)」「ブラックブック(2006)」のハリナ・ライン、「キャラクター/孤独な人の肖像(1996)」「ヒヤシンス・ブルーの少女 (2003)」のヤン・デクレール。 

blind1_20121014122532.jpgルーベンに歳を聞かれたマリーは「21歳」と答えたが、実際はかなり年上の設定。髪の色も「赤毛」だと嘘をついている。盲目の男ルーベンと姿を見られたくない女マリー。マリーはアルビノであり、顔に傷もあった。容姿にコンプレックスを持っていたマリーは姿を見られるのが怖く、姿を消していたのであった。ルーベンが視力を回復した後でも恋は永遠かということをテーマとしている。

お金持ちの息子とその世話係の女の恋愛話を軸とし、子供のころ読んだ絵本“みにくいアヒルの子”“シンデレラ”といったストーリー展開。舞台は冬のベルギー田園。瞬間瞬間、絵画のような綺麗すぎるショットもどこか童話を思わせる。シンプルなストーリーで先が読めてしまうのだが、多くを語らず、補足説明もないため、想像力を掻き立てる進行となっている。秘密を抱えるマリーの知られざる過去はフラッシュバックを多用に用い、効果的に演出。盲目であることの苦悩やコンプレックスを抱く女の苦悩がよく描かれ、白銀の世界がより一層寂しさを表現している。

<観賞> 2012/10/14

[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) A Trip <2011/スロベニア> ★★★

izlet.jpg
Izlet/A Trip
2011/80min/スロベニア
ドラマ
監督/脚本:Nejc Gazvoda(長編監督デビュー作)
出演:Luka Cimpric、Jure Henigman、Nina Rakovec
IMDb評価:7.1/10

社会度 ★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★ 


2013年(第85回)アカデミー賞スロベニア代表作品

izlet1.jpg高校の親友3人が久しぶりに集まり、車で旅にでる。一人は軍人で、旅を終えたらすぐまたアフガニスタンの戦地へ行かなければならない。紅一点のニーナは留学に行く予定で、ゲイのアンドレイは町に留まるとう。次いつ会えるかわからない3人は今しかできないことを楽しむ。ところが、3人の関係がギクシャクし始める。3人の友情はどうなるのか…。

監督は、本作が長編監督デビューとなるNejc Gazvoda。

車でビーチへ向かう3人。途中森で一服したり、橋の上で遊んだり、気ままに旅路を進めている。次にいつ会えるかわからない3人は別れを惜しむわけでもなく、今しかできないこと(イタズラも)を楽しんでいる。ところが、青春を謳歌するというより、どこか人生への諦めを感じる。ニーナは決して海へ入らず、留学も嘘であり、3人の関係はギクシャクし始める。表面的には楽しそうに振舞っているが、3人ともどこか陰があり、互いに顔色を疑うかのような様子も見せている。何か切り出すタイミングを見計らっているようでもある。最後の思い出作りのようでもあり、終始不吉な何かを匂わせている。

出演者はほぼ3人のみ。気心の知れた3人の悪ふざけ、他愛もない話を垂れ流すだけのロードムービー。中盤までは三角関係のこじれによる友情の分裂だとばかり思っていたが、信頼で結ばれた3人にとって嘘は裏切りでもある。しかし、もし自分がニーナの立場だったらと考えさせられ、終盤20分でグッときた。国籍や性別を問わず置き換えられるところに普遍性を持たせているが、アカデミー賞スロベニア代表に選ばれた本作、もしかしたらもっと深い意図があったのかもしれないが、感じ取れなかった。

<観賞> 2012/8/11
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Ave <2011/ブルガリア> ★★★

ave.jpg
Ave
2011/86min/ブルガリア
監督/脚本:Konstantin Bojanov
脚本:Arnold Barkus
出演:Angela Nedialkova、オヴァネス・ドゥロシャン、Martin Brambach
IMDb評価:7.3/10

社会度 ★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


ave1.jpgカルメンはヒッチハイクをしようと道に立っていた。そこへ謎の少女がやってくる。彼女もカルメンの後ろに立ちヒッチハイクを始めた。先にカルメンが車を止めたが、少女も一緒に乗り込んできた。祖母が癌で田舎へ向かうというその少女は、たった今会ったばかりなのに、カルメンと兄弟だと嘘をつく。その後も、嘘をついてはドライバーの同情を買い、一緒にヒッチハイクを続けたが、カルメンはたまらなくなり、別行動をとることにした…。

監督は、本作がデビュー作となる。
出演は、「ソフィアの夜明け」のオヴァネス・ドゥロシャンとAngela Nedialkova。

ave2.jpgヒッチハイクを乗り継ぐ2人の交流を描いたロードムービー。劇的なことは起こらず、一期一会な出会いによる心境の変化を掘り下げた作品である。乗り継ぎ、次々と変わるドライバーからも人生や社会的背景が見えてくるセリフ使いが興味深い。
カルメンは友人の葬儀に参列するために故郷に戻ろうとしていたこと、少女は家出娘で、弟の消息を探していることなど2人の状況が旅を進めるごとに徐々に明かされていく。

少女がなぜ男たちを嘘で煙に巻くのかは想像に任されている。父親の再婚や、弟の失踪で心を痛めており、嘘で自身を取り繕っていたようにも思う。日本でも社会問題(?)になっている、渋谷に集まる家出少女と被って見えたのは本作の少女が場所を問わない等身大の若者だったということだろうか。

オチがなく、解釈も観る者それぞれに委ねており、曖昧なのだが後を引くエンディング。頼るあてがなく、誰でもいいから支えが欲しい時ってきっと誰にでもあるはず。一期一会でも人の運命を変える出会いについて考えさせられた。

<観賞> 2012/7/16

[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Circus Colombia <2010/ボスニア ヘルツェゴビナ=仏=英=スロヴェニア=独=ベルギー=セルビア> ★★★☆

Cirkus ColumbiaCirkus Columbia/Circus Colombia
2010/113min/ボスニア ヘルツェゴビナ=仏=英=スロヴェニア=独=ベルギー=セルビア
ドラマ
監督/脚本:ダニス・タノヴィッチ
原作:Ivica Djikic
出演:ミキ・マノイロヴィッチ、ミラ・ファーラン、Boris Ler、Jelena Stupljanin
IMDb評価:7.1/10

社会度 ★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 ★

脚本 ★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★  

2011年 第83回米国アカデミー賞 外国語映画賞ボスニア ヘルツェゴビナ代表作品
他作品についてはこちら

Cirkus Columbia2妻子を置いて一人でドイツへ亡命していたDivkoが20年ぶりに帰ってきた。若い女性を連れており、離婚するためだった。幼馴染の市長と手を組み、自分名義の家に住む妻子を追い出し、新しい彼女と住み始める。すぐさま離婚の手続きを済ませると言っていたDivkoだが、連れてきた大切な黒猫がいなくなってしまい、新しい彼女との関係にも暗雲が立ち込める…。

監督は、「ノー・マンズ・ランド (2001)」「美しき運命の傷痕 (2005)」のダニス・タノヴィッチ。
出演は、「パパは、出張中!(1985)」「アンダーグラウンド(1995)」「ベオグラードの罠(2007)」「愛人のいる生活(2010)」のミキ・マイノロヴィッチ。 「LOST(テレビドラマ)」のミラ・ファーラン。

Cirkus Columbia1時代は1991年。最もユーゴスラビアに影響を与えた政治家であり、大統領、ユーゴスラビア共産主義者同盟の指導者ヨシップ・ブロズ・チトーのカリスマと宥和政策によって、国内の民族主義者の活動が抑えられ、ユーゴスラビアを一つの統一国家に収斂されていたが、1980年チトーの死後、カリスマがいないこの体制は徐々に崩壊していった。カリスマ亡き後の「自由」は、即ち多民族それぞれの民族主義、分裂主義、偏狭な他民族排除主義の勃興を許すことになる。冷戦崩壊後の1990年代には民族間の対立や紛争が激化し、一連のユーゴスラビア紛争が勃発。各共和国は独立を勝ち取るための紛争に突入したといった時代背景がある。(Wikipediaより一部抜粋、編集)

一人で亡命し、20年間一度も連絡をしてこなかった夫がやっと戻って来たかと思ったら、それは離婚するためであり、妻子を家から追い出すとはあまりにも身勝手で手荒。とはいえ、時代背景を考えると、Divko一人を責めるわけにもいかない。

紛争に翻弄される一市民の視点で描かれ、戦闘シーンなどはない。同国でありながら多民族が暮らす少数民族間の対立が絶えず、突然不当に逮捕されたり、何が起こるのか予測もつかない。しかしながら、町は長閑で人々も平和に暮らしており、紛争とは無縁にも思えるほど緊張感がない。リアルさもなく、ファンタジーのような空想的エンディングも綺麗すぎる。

<観賞> 2012/7/25


[サイト内タグ検索] 日本未公開 ミキ・マノイロヴィッチ

(未) Doodslap <2012/オランダ> ★★★

doodslag.jpg
Doodslap
2012/81min/オランダ
スリラー
監督:ピートル・カイパース 
脚本:Marcel Lenssen
出演:テオ・マーセン、マリアム・ハッソーニ
IMDb評価:6.8/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 ★
民族度 ★

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★

doodslag1.jpg重体の妊婦から要請があり、救助隊員のマックスは救急車で向かう。その途中少年に道を塞がれ、事情を聞くと友人が怪我をしているため病院へ搬送してほしいという。マックスは先に連絡を受けた妊婦を先に搬送しなければならないことを伝え、振り切ったが、その際、少年は頭を打ってしまう。マックスは処置をせずその場を後にしてしまった。無事に妊婦と赤ん坊を救ったが、同時刻隣の処置室で、自分が怪我をさせた少年が亡くなってしまった…。

監督は、「ホラーバス オノバルと魔王フェルシ (2005)」「ザ・ホステージ (2005)」のピートル・カイパース。
出演は、「ネコのミヌース(2001)」「ドゥーニャとデイジー(2008)」のテオ・マーセン、「ドゥーニャとデイジー(2008)」「1988 レジスタンス -戦場の勇者たち-(2010)」のマリアム・ハッソーニ。

doodslag2.jpg本作にはマックスを支持する者がほとんど登場しない。あるテレビの有名司会者は自身が務める番組にマックスを出演させ、正義を訴えようとするが、それはただの人気稼ぎで偽善者だった。仕事熱心で、仲間からの信頼も厚かったマックスだが、少年事件を機に彼の人間関係にまでもヒビが入ってしまう。刑務所での刑期を終え、マックスは当然のように仕事復帰しようとするが、仕事場にもう席はなかった。死なせてしまった少年の友達たちからは悪質な嫌がらせを受け、町を出るはめに。マックスは追いつめられ、どんどん孤立していく。

悪意はないとはいえ、少年を一人殺してしまった救急隊員の苦悩に焦点を当てた作品。ストーリーは観る者を飽きさせないスピード感があり、かなり見応えのあるスリラーになっている。鋭い視点での問題提起だが、マックスはどうすべきだったのかを考えさせるというより、少々偏った描き方をしている点が残念なところでもある。マックスを支持する者、例えば救ってもらった妊婦がその後のストーリーに絡んでくるとか、裁判の風景も弁護の比重を重くしていれば、もっと奥行きがでていたように思う。マックスの行動は賛否両論であり、劇中で答えを出すべき問題でもないが、マックスを非難する者ばかりが登場しては理不尽すぎる。マックスの行為は正しかったのか、それとも自分が怪我をさせた少年を乗せるべきだったのか、観る者に自問を促し、考察を深めてくれるエピソードがもう少しあってもよかったように思う。

“Doodslag”とはオランダ語で“故殺”の意。少年の死亡に関して言えば“過失”だと思うが、ラストに大逆転が待っている。マックスの苦悩は痛いほどよく描かれているのだが、結末の落とし所にも不満が残る。

<観賞> 201/6/20

[サイト内タグ検索] 日本未公開

愛人のいる生活 (英題:Just Between Us) <2010/クロアチア=セルビア=スロベニア > ★★★☆

レンタルしてます。

just between usJust Between Us
2010/87min/クロアチア=セルビア=スロベニア
監督/脚本:ライコ・グゥルリッチ(Rajko Grlic)
脚本: アンテ・トミッチ
出演:ミキ・マノイロヴィッチ、ボヤン・ナヴォイッチ、デリア・ロレンチ、クセニヤ・マリンコヴィッチ、ナターシャ・ドルチッチ、ニーナ・イヴァニシ、イヴァナ・ロスチ
IMDb評価:6.4/10
社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 ★★★
民族度 なし
邦題のセンス なし(愛人ストーリーが主題ではない!)

脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★


just between us1ニコラとブラツォの父親が死んだ。葬儀の夜、酔いつぶれた2人はニコラの家で飲み直そうとするが、ニコラはそのままソファーで寝てしまった。その間、弟ブラツォがトイレに入ると、体外受精用の容器が置いてあり、ブラツォは自分の精子を仕込んでしまった。ニコラ夫妻は子宝に恵まれず、妻は体外受精を望んでおり、翌日、病院に持って行ってしまった。そして、妻は妊娠した…。

監督は、東京国際映画祭でグランプリを受賞したことのあるライコ・グゥルリッチ。
出演は、「パパは、出張中!(1985)」「アンダーグラウンド(1995)」「ベオグラードの罠(2007)」ミキ・マイノロヴィッチ

just between us2妻との間に子供はおらず体外受精を試みている一方で、実はニコラには愛人がおり、4歳の息子までいる。妻には出張だと嘘をついては愛人宅へ通う生活を5年も続けている。そして、さらに弟の妻は元恋人という人間関係。 ニコラ、ニコラの妻、ニコラの愛人、ニコラの弟ブラツォ、ブラツォの妻5人が繰り広げる愛憎劇。

最大の特徴は、不倫、癌の再発、インポテンス、不妊治療、自殺といったシリアスな題材を扱っていながら、決して重くなく、バカバカしいと思えてしまうほどの楽観的な作風。はっきり言ってかなりくだらない、かなり面白い。オオカミのような鋭い目つきで女性を品定めしたかと思えば、濡れた子犬のように愛くるしく女性に迫るニコラは最低だが、どこか憎めない。

英題“Just Between Us”は“ここだけの話”という意味。ニコラとブラツォの“ここだけの話”的な女性関係がリズミカルにボロボロ明らかになり、豊富なエピソードと5人の葛藤を織り込ませた複合的な構成だが、高質でスピーディ。全てが壊れてしまうのではないかと思わせながら、うまく収束していく展開も巧み。幸せな家庭を気付くためには多少の嘘が必要な時もある…ってことなのかな。

<観賞>2012/6/2

[サイト内タグ検索] ミキ・マイノロヴィッチ

(未) Heaven <2012/オランダ> ★★★

hemel.jpgHemel
2012/80min/オランダ
ドラマ
監督:Sacha Polak(長編デビュー作)
脚本:Helena van der Meulen
出演:Hannah Hoekstra、Hans Dagelet、Rifka Lodeizen
受賞:第62回ベルリン映画祭は国際批評家連盟賞フォーラム部門
IMDb評価:6.8/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★★
宗教度 ★
官能度 ★★
民族度 ★★

脚本 ★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★


hemel2.jpg手当たり次第男と寝るへメルの日常をカメラは追うだけで、特にあらすじはない。

監督は、本作が長編デビューとなるSacha Polak。
出演は、「Doodslag(2012)」のHannah Hoekstra、「アムステルダム無情(1988)」「悪魔の密室(1983)」のHans Dagelet。

男とベッドでじゃれ合うシーンからいきなり始まるが、お互いよく知らない間柄であることがよくわかる会話の内容。体を重ねただけで、会話はぎこちない。部屋には女性の生活用品があるが、へメルのものではない。どうやら行きずりの男のようであり、以降この男は登場しない。そして、クラブに行っては男を誘惑し、家へ連れて帰るが、セックスが追われば追い返すといった生活…。

hemel1.jpg80分という決して長くない作品の中で、一体何人の男と寝ただろうか。とにかくセックスシーンが多く、会話もセックスのことばかりだったが、いろんな思いが胸に突き刺さる痛い作品だった。

へメル本人は知らないが、母親は自殺をしており、父子家庭で育ってきた。行きずりの男とのセックスを謳歌しているが、そこに愛はない。父親の彼女への嫉妬心が強く、わざと父親の性癖を話したり、仲たがいをするような話ばかりしている。伝わってくるのは、父親への愛である。風呂上がり裸のままで父親の前に現れたり、父親も娘の前で平気で風呂に入ったりしている様子をみると、おそらく父親にとってもへメルは小さい娘のままなのだろう。父親と新しい彼女の同居を知ったへメルは、自立し、本当の愛を見つけることができるのだろうか…。

原題“Hemel”とはHeavenの意であり、主人公の名前でもある。天国という名はあまりにも皮肉。

<観賞> 2012/6/18

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(未) The Weakness of the Bolshevik <2003/スペイン> ★★★★★

bolshevik.jpgLa flaqueza del bolchevique/The Weakness of the Bolshevik
2003/95min/スペイン
ドラマ
原作:ロレンソ・シルバ
監督:Manuel Martín Cuenca
出演:ルイス・トサルマリア・バルベルデ
IMDb評価:7.1/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★


bolshevik1.jpg月曜の朝。渋滞している道路をお気に入りのロックを聞きながら出勤するパブロはほんの一瞬の不注意で追突事故を起こしてしまう。書類のやり取りを済まし、30分遅れで出社した。ところが、書類に記載されている被害者の住所から電話番号を突き止め、イタズラ電話をかけ始めた。電話口に出たのはお手伝いさんで、「成り行きでコンドームなしでセックスしたから、妊娠していないかどうか心配だ」という伝言を残した。その後もストーカー行為とイタズラ電話を続け、女性の反応を楽しみつつ、警察のフリをして娘に近づいた…。

出演は、「プリズン211(2009)」「雨さえも~ボリビアの熱い一日~ (2010)」「スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜(2011)」のルイス・トサル、「メリッサ・P ~青い蕾~ (2005)」「汚れなき情事(2009)」「NAKED マン・ハンティング」のマリア・バルベルデマリア・バルベルデのデビュー作となる。

bolshevik2.jpgパブロは30代。エリート銀行マンで整った身なり。16歳の娘は警察だと言う男に警戒心はなかった。それどころか、偶然を装い何度も出くわす内に、お互い恋心を抱くようになる。少女との恋はいけないことだと知り、実らないということも知りながらも、理性と感情の間で揺れ動く男の心境が見事に演じられていた。
交通事故の被害者宅へのイタズラ電話は、憂さ晴らしやマンネリの日常からの脱却といったほんの出来心だったと思われる。ところが、着信記録からは身元が割り出され、被害者女性は仕返しを計画していた。そんなことも知らずに、会い続ける2人。結局、感情のまま体を合わせてしまうだろうと思った矢先の出来事…ほんの不注意が引き起こした交通事故が招いた悲劇を描いている。

パブロの行為はエスカレートしていき、被害者女性の反応を楽しむ様子は異常者である。パブロの視点で描かれており、異常者の心理まで掘り下げられている。単なる追突事故が引き金になってストーカー行為にまで及んでしまうようなことが日常に潜んでいるかと思うと恐ろしい。しかし、本作の面白いところと怖いところは、不注意の積み重ねで狂ってしまう人生である。ほんの些細な交通事故に始まり、恋愛映画にシフトしたかと思うと瞬く間に転落していく悲劇。イタズラ電話は度が過ぎたとはいえ、その代償としては大きすぎる。

<鑑賞> 2010/9/21、2012/3/6
初版:2010/10/2
最終版:2012/6/18

スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜 <2011/スペイン> ★★★★

2012年8月11日公開予定

sleep tightスリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜/Sleep Tight/Mientras Duermes
2011/102min/スペイン
サスペンス/ホラー
監督:ジャウマ・バラゲロ
脚本:アルベルト・マリーニ
出演:ルイス・トサル、マルタ・エトゥラ、アルベルト・サン・フアン、ペトラ・マルティネス、カルロス・ラサルテ
IMDb評価:7.0/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★
邦題のセンス★★(主人公は美女ではなく管理人。管理人の異常な夜です。)

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★


sleep tight2朝5時に目覚ましをかけ、シャワーを浴び、セサルのマンションの管理人としての仕事がスタートする。郵便物を各々のポストへ入れ、住人達が出かけ際に頼む水道管の修理やペットのえさやりをやるだけの仕事。入院の母の見舞いとやりがいのない仕事だけの毎日に生きがいなどなかった。ところが、いつしか住居人のことを観察するのが日課となっていった…。

監督は、「REC/レック」シリーズのジャウマ・バラゲロ監督。 出演は、「プリズン211(2009)」「雨さえも~ボリビアの熱い一日~ (2010)」のルイス・トサル、「プリズン211(2009)」のマルタ・エトゥラ、「優しく殺して(2003)」の アルベルト・サン・フアン 。

管理人セサルの背景は詳しくは描かれない。プライベートといえば入院中の母を見舞うだけであり、ただ寂しいだけの男のようである。しかし、人当たりは良く、住人たちも気軽に雑用を頼み、自分たちが家を空けている間に管理人が部屋に入ることに何の不信感も抱いていない。住人達がそんな彼への信頼を見せる中、セサルはとんでもない行動を取るようになる。幸せからはほど遠いセサルは、いつしか幸せそうな人たちを不幸にさせることが彼の生きがいとなっていってしまっていたのである。そのターゲットとなったのが、若くて天真爛漫なマンション住人クララ。クララの恐怖的心理を浮かび上がらせながら管理人セサルの素性を明かしていく心理ミステリー作品。

sleep tight1序盤では、紳士的で好意的なセサルが描かれる。住人同様、観る側も信頼してしまうキャラクターであり、まさかの行動には自分の目を疑ってしまう。序盤で見てきたセサルの誠意が全て偽善であったことが次々と明らかになっていく。そのネタばれがじわりじわりと小出しに描かれていて、想像力と恐怖心はどんどん膨らんでいく。もしかしたら…いや、まさか!そこまでは…といった展開の連続で、現実にも起こり得ることでもあり、恐怖心は一層煽られる。

ルイス・トサルは好きな俳優の一人だが、癖がある役を演じさせたら天下一品。心理的な怖さでいったら今年一番かもしれないキャラクター像を気持ち悪いほど好演。クララは実生活でのパートナーであるマルタ・エトゥラが演じている。ますますトサル×エトゥラ カップルのファンになってしまった。

序盤~中盤までのプチネタばれ。ご自身の判断で反転して読み進めてください。
管理人セサルは合鍵をつかってクララの部屋へ毎晩忍び込んでいた。帰宅時間前にベッドの下に潜り込み、クララが眠りに落ちるのを息をひそめて待つ。鏡を使い、ベッドの下から寝たことを確認すると、クララに薬を嗅がせ、朝まで目を覚ますことはない。セサルはクララのベッドで添い寝をし、5時に起きて何食わぬ顔をして管理人業務を始めていた。7時に起きるクララは、睡眠中に起こっていることを知らない。

<観賞> 2012/6/14

[サイト内タグ検索] ルイス・トサル

籠の中の乙女 (原題:Kynodontas) <2009/ギリシャ> ★★★★★

日本公開決定したので、最新記事として再アップします。記事内容は書き変えていません。
2012年8月公開予定。

**************************************

この新感覚はカンヌ国際映画祭「ある視点部門」受賞も納得。でも、洗脳は怖い。

dogtooth.jpg
Kynodontas/ Dogtooth
2009/94min/ギリシャ
ドラマ、コメディー
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:Christos Stergioglou、Michele Valley、Aggeliki Papoulia
IMDb評価:7.4/10

露出度    ★★★
ユニーク度 ★★★★★
邦題のセンス ★★(“籠の中”という表現は正しいけど、乙女だけではない!)




なんじゃこりゃ。笑っていいのか悩んでしまうんだけど、かなりツボにハマった。不自然な演技で変な撮り方、ゆる~い感じで展開するのに、開いた口がふさがらなくなる。ものすごい想像力が豊かというのか、あまりにも尋常じゃなくて何が起こるのかさっぱい検討がつかない。性器の露出が多いのに、ごく自然に見えるのが不思議。カンヌ国際映画祭「ある視点部門」受賞し、アカデミー賞にノミネートされている。

プール付きの家に暮らす5人家族。かなり高い垣根やら塀に囲まれた自宅に娘2人と息子1人は監禁され、外部との接触をしないようにしている。父親は車で通勤しているが、母親が外へ出るのも見たことがない。もちろん子どもたちは学校には行かず、両親が教育をしてるのである。“今日の単語”をテープで流し言葉を覚えさせている。単語の意味は両親の都合ですり替わっている。“ゾンビ”は“黄色い花”だと教えられているため、「庭にゾンビが二つあるよ~」なんて無邪気に言うのである。驚いたことに、父親は息子の性処理のために、同僚(部下?)の女性を金で雇っている。自宅の所在がバレナイように目隠しをさせて車で連れてくるのである。この女性が子どもたちにとって外部との唯一の接点であり、外への関心を抱くようになる。
dogtooth1.jpgdogtooth2.jpg
子どもといっても年齢は20歳前後。体つきは大人なのに毎日することといったら、庭やプール、おもちゃで遊ぶことである。兄弟3人で遊ぶ姿は幼稚園の園児のようでもあるが、外の世界を知らないためおかしいことに気付いていない。お風呂も一緒に入ったり、同じベッドで寝たり、性的な行為をしているようにも見えるが、本人たちにはそういった意識はないのだろう。父の言うことは絶対であり、完全に洗脳されている。子どもたちの将来を不意にしてることに罪の意識はないのだろうか。

洗脳とか性秩序の乱れは北朝鮮の独裁政治(北は裕福だが、南は貧しいと洗脳させたり、出世のために妻や娘を指しだす)とかぶる。監督の意図は、もしかしてギリシャの独裁軍事政権への批判?

タイトル「dogtooth」とは「犬歯」のこと。犬歯が抜けたら外へ出られるという教育を受けているのである。世界で一番恐ろしい動物は猫で、犬の鳴き声をして追い払う方法も教えられている。姉妹同志や父親、父親が連れてくる女性の下半身や肩、おなかを舐める行為をよくしている。もしかしたら、この人たちは犬なのでは?という疑問が・・・。

<鑑賞> 英語字幕 2011/2/1
初版:2011/2/2
最終更新日:2012/6/15
[タグ未指定]

スペイン一家監禁事件 <2010/スペイン> ★★☆

kidnapped.jpgスペイン一家監禁事件/Secuestrados/Kidnapped
2010/85min/スペイン
ホラー、スリラー
監督/脚本:ミゲル・アンヘル・ビバス(長編監督2作目)
脚本:ハビエル・ガルシア
出演:フェルナンド・カヨ ハイメ 、アナ・ワヘネル マルタ、マヌエラ・ベイェス、ギレルモ・バリエントス
IMDb評価:6.4/10

社会度 ★★★
哲学度 なし
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 なし
邦題センス なし (ネタばれしてるし…)

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


kidnapped1.jpg郊外の新興住宅地に引っ越してきたばかりのハイメとその妻マルタ、そして年頃の一人娘イサ。ところがその夜、あまりにも不条理な悲劇が一家を襲う。覆面を被った3人の男が家に押し入り、ハイメたちを監禁すると、金品を要求する。男たちは情け容赦ない暴力で一家を服従させると、その命をもてあそぶように残忍な暴行と陵辱を繰り返していく。@allcinema

監督は、「Reflections(2002)」の ミゲル・アンヘル・ビバスの長編監督2作目。
出演は、「永遠のこどもたち(2007)」のフェルナンド・カヨ。


kidnapped2.jpg冒頭、いきなりポスターのシーンから始まる。実際は透明の袋ではなく白い袋で、苦しんでいる表情は見えないもののかなり衝撃的なオープニングで期待も高まったが…。

とあるスペインの“一家監禁事件”の一部始終を垂れ流すだけの作品。ただただ事件を傍観するだけの映像は、家に設置した防犯カメラの映像をそのまま映画化したようなもの。決してつまらない作品ではないが、犯行に至った経緯の説明がなく、ただただ惨劇を見せられるだけでは被害者に感情移入にし、同情させられるだけ。理不尽さを描きたかったのかもしれないが、この程度の犯罪は世界中で起こっているのが現状。本作からは何のメッセージも感じられない。結末もなければオチもなく、オープニングとエンディングのシークエンスの繋がりもわからず理解不能。特に目新しい犯罪でもなく、ゴア度も高くなく、ホラーとしてもスリラーとしても伏線が弱い。

唯一評価するとしたら、見せ方が特徴的。同時進行で起こっている2つの出来事が左右2画面で表示され、スピードアップし、緊迫感が高まる効果的な見せ方だと思う。もっと多用してもよかったようにも思うが、内容的には短編で十分だっだ。

<観賞> 2012/5/18
[タグ未指定]

(未) The Great Water <2004/マケドニア=チェコ=米=独> ★★

golemata-voda.jpg
Golemata Voda
2004/93min/マケドニア=チェコ=アメリカ=ドイツ
ドラマ、戦争
監督/脚本:Ivo Trajkov
原作:Zhivko Chingo
出演:Saso Kekenovski、Maja Stankovska、Mitko Apostolovski、Meto Jovanovski
IMDb評価:6.6/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★

脚本 ★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★


great water初老のレムが救急車で病院へ担ぎ込まれた。生死を彷徨うレムの脳裏に浮かぶのは幼少時代のある出来事であった…。

監督は、「Wingless(2009)」のIvo Trajkov。日本での発表作はない。出演は、「ハッピー’49(1986)」のMeto Jovanovski。

背景は、スターリン時代のユーゴスラビア。戦争孤児たちが収容されている孤児院を舞台としている。そこで幼少時代を過ごしたレムの視線から孤児たちがどんな生活を送って来たのかが丁寧に描かれている。浮き彫りになるのは、監獄のような地獄の生活。孤児院の非情な扱いの実態。初老のレム自身のナレーションで物語は進行していく。

大人たちの身勝手で引き裂かれる友情。悪意のない背信行為。子供のころは理解できなかったいろんなことが思い起こされ大人になってわかるようになり、レムの心を痛めつけていた。死を間近にしたレムの心のわだかまりとなっている出来事が回想される。テーマは、背信と懺悔。

マケドニアの映画は私にとっておそらく初となる。ロシアというよりポーランドに近い作風。悪い映画ではないが、オリジナリティーに欠け、少々退屈。

<観賞> 2012/5/16

[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Wasted Youth <2011/ギリシャ> ★★★☆

wastedyouth.jpg
Wasted Youth
2011/122min/ギリシャ
ドラマ
製作/監督/脚本:Argyris Papadimitropoulos、
監督/脚本/撮影:Jan Vogel
出演:Haris Markou、Ieronymos Kaletsanos、Arthouros Kiviliov
IMDb評価:6.2/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★

脚本 ★★★ 
演出 ★★
演技 ★★★

wastedyouth1.jpgあてもなく友人たちとスケボーをする16歳の青年ハリスと警察官の中年男性ヴァシリスの二つのストーリーを並行してドキュメンタリー風に描いている。平凡な日常を垂れ流すだけで特にあらすじはない。

あれこれうるさい父親とは顔を合わせる度に喧嘩、友人たちと過ごす合間に入院中の母を見舞う程度で、あてもなく友人たちとつるむだけでハリスの一日は過ぎ去っていく。一方、警察官のヴァリシウスも14歳の反抗期の娘と妻のためにだけに面白くもない警察官を続け、つまらない時間が流れるだけであった。

2人は世代は違うものの、人生に目的がないという共通点がある。しかし、16歳のハリスは自由を謳歌し、楽観的。今の生き方ではいけないことに本人はまだ気が付いていない。一方、中年のヴァシリスは人生に見切りをつけ悲観的に描かれている。世代も境遇も違う2人を対照的に描き、人生の意味や運命を考えさせてくれる作品。

wastedyouth2.jpg監督は「Bank Bang(2006)」に続く2作目となるArgyris Papadimitropoulos。撮影に携わるJan Vogelはドキュメンタリー出身。

平凡でありきたりな日常生活を映しているだけだが、作り過ぎないエピソードはリアル感があり、独特なカメラワークが飽きさせない映像になっている。視点もユニークでオリジナリティーがある。一歩下がった視点で、キャラクターの心理までは掘り下げられていない。感情移入しにくく客観的に観ることができるが、多くの人は平凡すぎてつまらないという感想を持つかもしれない。彼らの生き方は人生の縮図として見ることもでき、財政危機のギリシャが舞台というのも感慨深いものがある。私には日本のそう遠くない未来に見えてしまった。

<鑑賞> 2011/4/11




[サイト内タグ検索] 日本未公開

クロストロフォビア [閉所恐怖症] <2011/オランダ> ★★★

2012/06/02 DVDレンタル開始

claus.jpg
Claustrofabia
スリラー
2011/90min/オランダ
監督:ボビー・ボアマンス(Bobby Boermans)(長編監督デビュー作)
脚本:ロバート・A・ヤンセン(Robert Arthur Jansen)
出演:ドラガン・バケマ、アリソン・キャロル、Jappe Claes、カロリーン・スプアー、シス・ロマー、
IMDb評価:7.0/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★
ゴア度 ★

脚本 ★★★ 
演出 ★★
演技 ★★★

claus1.jpg医学生のエヴァは新しいマンションに引っ越し、新しい生活を始めようとしていた。学業よりも女優のオーディションを優先しており、その日もオーディションを無事済まし、友人とクラブに遊びに行っていた。同じマンションに住むアレックスを偶然見つけ、一緒に盛り上がっていた。家へ戻り、自分のベッドで休んだはずが、目を覚ましたら見知らぬ地下室で寝かされていた。しばらくすると、マスクを被った男性が食事を運んでくるが、エヴァは一体何の目的で監禁されているのかわからない…。

監督は本作が長編デビューとなるBobby Boermans。出演は、「裸の診察室(2010)」のドラガン・バケマ、体操選手出身のアリソン・キャロル。

claus2.jpgエヴァが引っ越すと、向かいの部屋の窓越しからいつも見ている男がいたり、ドア穴から覗く者もいたり、登場人物が少ないにも関わらず犯人候補として何人か用意されている。エヴァはきちんと食事を与えられ、性的虐待も受けていない。犯人の隙を見計らって逃げようとするのは監禁映画では当然の成り行きだが、割と早い段階で犯人は明かされ、監禁目的が何なのかが見所になっている。細かい配役のキャラクター設定もしっかりしており、オチまで用意されており、結構見応えがあった。

ネタバレ。結末まで触れています。ご自身の判断で反転して読み進めてください。
同じマンションに住むアレックスは、数年前の交通事故で妻を植物人間にさせてしまい、医師のアレックスは自宅で看病していた。肝臓移植が必要だがドナーは見つからず、監禁目的は肝臓移植であった。全て計画的で地下室には監禁部屋と手術室を完備。麻酔で眠らせている間に、エヴァの肝臓を1つ妻に移植してしまった。
最後に、オランダでは年間200人が腎臓ドナー不足で亡くなっているというメッセージが流れる。実際にこういう事件も起こり得ると思わされた矢先、何とこの事件はエヴァが受けたオーディションだったというオチだった。

<鑑賞> 2012/3/31
[タグ未指定]

(未) I'm Glad My Mother Is Alive <2009/仏> ★★★★☆

本作のクロード・ミレール監督が4月4日に死去されました。日本でもニュースになったのかな?本作鑑賞後にいろいろ検索していて知りました。
この日は眠れなくて、ずっと観ようと思いながら置き去りにしていた数十本の中から本作を何気なくチョイス。
しばらく遠のいていたフランス映画&私にとって初ミレール作品&亡くなった時刻と鑑賞時刻が重なっているという偶然。
ご冥福をお祈り申し上げます。

Im gladJe suis heureux que ma mère soit vivante/I'm glad my mother is alive
2011/90min/フランス
ドラマ
監督:クロード・ミレール、ネイサン・ミレール
出演:ヴァンサン・ロティエ、ソフィー・カターニ、クリスティーヌ・チティ
IMDb評価:6.5/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★

5歳の時に弟と一緒に養子に出されたトマはずっと母親のことを覚えており、憎み続けていた。それでも12歳の時に母親の住所を探し出し訪ねるが、母親はトマのことがわからない。思わず「家を間違えた」と嘘をつき母の家を後にした。その後、20歳になって、アルツハイマーの養父を施設に送る途中、母が住む住宅の前を通ったことをきっかけに、再び母を訪ねた。そして、育ての母には就職先が変わったと嘘をつき、産みの母の家で生活を始める…。

Im glad2監督は、「一番うまい歩き方(1975)」「ある秘密(2007)」のクロード・ミレールと息子のネイサン・ミレールの共同作。出演は、「ナルコ(2004)」「天使の宿り木(2004)」のヴァンサン・ロティエ、「トムボーイ(2011)」ソフィー・カターニ、「譜めくりの女 (2006)」クリスティーヌ・シティ。

弟にとっての母とは育ての母のみ。トマにとっての母は、産みの母?それとも、育ての母?
1歳の時に養子に出された弟には産みの母の記憶がなく、関心すらない。一方、物心がついた頃に捨てられたトマは心の中で憎み続けていた。育ての母の愛情に素直に答えられないトマは自身のアイデンティティーにいつも悩んでいた。“I'm glad that my mother is alive(お母さんが生きててよかった)”という言葉の重みが胸に突き刺さる愛憎劇。

衝突を繰り返しながらも心の距離を埋めようとするトマと産みの母のぎこちない共同生活。憎みながらも思い続けた産みの母は心のどこかではまだ母でもあり、時には初恋のような存在。共同生活は恋人との同棲生活のようでもあった。アイデンティティーに悩んできたトマは産みの母との生活で初めて自身の居場所を見つけたかのようにも見え、表情がどんどん明るくなっていく。一度はトマを捨てた産みの母だが、トマの気持ちを全て受け入れる懐の厚さに母の強さを感じた。

Im glad1育ての母+トマ、育ての母+トマの弟、産みの母+トマ、産みの母+異父兄弟。限られた登場人物の中でいろんな形の“母+息子”のエピソードを比較させるかのように静かに描き、心情を掘り下げていく。登場人物は多くを語らないものの、それぞれの立場によって様々な複雑な思いを抱えていることがそこはかとなく伝わる演出が巧み。

トマはなぜ敢えて困難な道を選ぼうとするのか。弟のように育ての母に委ねれば普通の幸せがあったであろうに。自分の気持ちに正直に生きることが正しいとは限らないが、逆らうことも簡単ではない。全体に地味な作りだが、作り過ぎないエピソードのリアル感、終盤にかけてサスペンスフルな展開になる。全体を通して伝わってくるのは、悲劇性である。何が間違っていて、何が正しかったのか答えは提示されない。“I'm glad that my mother is alive(お母さんが生きててよかった)”という言葉の裏にどんな思いが含まれているのか。様々な思いを持ち帰るに違いない。

<鑑賞> 2012/4/5

[サイト内タグ検索] 日本未公開

海と大陸 <2011/伊=仏> ★★★

terra.jpgTerraferma
2011/88min/イタリア=フランス
ドラマ
監督:エマヌエーレ・クリアレーゼ(Emanuele Crialese)(長編監督4作目)
出演:Filippo Pucillo、Donatella Finocchiaro、Beppe Fiorello、Mimmo Cuticchio、Martina Codecasa、Tiziana Lodato
IMDb評価:6.8/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
自然美 ★★★
民族度 ★★

脚本 ★★★ 
演出 ★★
演技 ★★★

terra1.jpg漁業が衰退の一途を辿るシチリアの離島で、20歳のフィリッポは、漁師だった亡き父の後を継いだ。一方で、島から出て行くことを夢見る母は、観光業で当座の生活をしのごうとする。だが、フィリッポと祖父が海上で遭難していたアフリカ難民を救ったことから、事態は一変する。雄大なシチリアの海を背景に、未来に向かって生き抜こうとする人々を力強く映し出した本作は、昨年のヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞、本年の米アカデミー賞イタリア代表にも選ばれた。@イタリア映画祭2012

監督は「新世界(2006)」のエマヌエーレ・クリアレーゼ。

terra2.jpg漁師として育った者たちには、かつて“海で溺れている者は助ける”というルールがあった。祖父と同世代の漁師たちが引退し、漁師も世代交代すればルールも変わる。社会の常識も変化してきている。よりよい暮らしを求め、アフリカ大陸から泳いでくる者が後を絶たない。フィリッポと祖父は海で子どもや妊婦、青年たちを助けたことで一家は避難を浴びることとなってしまう。

不法移民であれど同じ人間である。海を泳いでいる彼らが助けを求めてきた時、法に従い船には乗せずその手を振り払って海原に置き去りにすべきなのか、それとも法に逆らい彼らを船に乗せるべきなのか…。

簡単に線引きのできないモラルについて問題定義した作品。一般市民の立場から描かれ、力強くも温かく描かれている。散りばめられたアンモラルな行為は感慨深いものがあり、素晴らしい映画だとは思うのだが、私はやっぱりイタリア映画は肌に合わない。イマイチ心に響かなかった。

<鑑賞> 2012/4/1
[タグ未指定]

(未) The Island <2011/ブルガリア=スウェーデン> ★★

island.jpgThe Island
2011/95min/ブルガリア=スウェーデン
ドラマ
監督/脚本:カメン・カレフ
出演:トゥーレ・リントハート、レティシア・カスタ
IMDb評価:5.3/10

社会度 ★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
民族度 なし
官能度 ★

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★

island2.jpgダニエルとソフィアは30代のカップルで、パリに住んでいる。休暇を利用して2人でブルガリアへ旅行へ出かける。首都ソフィアに着くとブルガリア語を話すダニエルにソフィーは驚かされる。問い詰めると、ダニエルは幼少時代をソフィアで過ごしたという。船に乗り、ある島を訪ねるが、人々は風変わりな人ばかりでソフィーは気に入らない。一日でも早く帰りたいが、ダニエルは理由をつけては滞在を延ばそうとする。そんな時、ダニエルはソフィーのカバンの中から妊娠検査薬を見つけてしまい、口論になってしまう。ソフィーは妊娠を望んでいて、ピルを飲んでいると嘘をついていたのだ。関係はこじれ、ソフィーは1人で帰国してしまう…。

監督は「ソフィーの夜明け」で鮮烈なデビューを果たしたブルガリア人カメン・カレフ監督の2作目。
出演は、「君がための」に出演していたデンマーク人のトゥーレ・リントハート、「ゲンスブールと女たち(2010)」に出演していたフランス人のレティシア・カスタ。

island1.jpg前半は、うまくいっているカップルの無計画で行き当たりばったりの旅行で、とにかく仲の良い様子が描かれるが、実はダニエルの頭の中で計画されていたことであり、隠していた過去が徐々に明かされていく。実はブルガリア語を話せること、旅行は計画的であったこと、ピルを飲んでいると嘘をついていたこと…いろんな要因が重なり2人の歯車が狂って行く。

背景が描かれないままストーリーは唐突に進み、彼女を1人で帰らせてまで島に残る理由は何なのか、ダニエルの企みは一体何なのか…心理ミステリーのようであり、あたかも犯罪が起こりそうな前触れだったり、見せ方がうまいと唸らされたが、中盤から雲行きが怪しくなってしまっている。個人的には「Big Brother」は大好きなバラエティー番組であり、海外に住んでた時はUK版をよく観ていたが、ダニエルがブルガリア版に出演することになり、ストーリーはとんでもない方向へ突っ走ってしまう。

心の内面を描いた作品であり、はっきりいって私にはかなり難解。前半のミステリアスな方向のままなら面白かったのだが、哲学的で、監督の意図が全く掴めなかった。挑発的で前作以上に人を選ぶ作品。

<鑑賞> 2012/3/11
[サイト内タグ検索] 日本未公開 トゥーレ・リントハート

官能 (英題:The Days Between) <2001/ドイツ> ★★★☆

in den
In den Tag hinein/TheDays Between
2001/118 min/ドイツ
ドラマ
監督/脚本: マリア・スペト(Maria Speth)
撮影: ラインホルト・フォルシュナイダー
出演:ザビーネ・ティモテオ、ヒロキ・マノ、フロリアン・ミュラー・モールンゲン
IMDb評価:7.2/10


社会度 ★★
哲学度 ★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 なし
邦題のセンス 最低!

脚本 ★★
演出 ★★★
演技 ★★★
カメラ ★★★★

in den1大学の食堂で働くリンにはデビッドという彼氏がいる。デビッドは水泳選手であり、鍛えられた肉体は魅力的だが愛想がない。リンがセックスしたい時にだけ会うといった関係。ある日、リンは食堂で日本人留学生コージと出会う。コージは自転車でリンの後をつけるようになる…。

監督は本作が長編監督デビュー作となるドイツ人女流マリア・スペト監督。主演はスイス出身のザビーネ・ティモテオ。出演数も多く、ドイツ映画でたまに観かける顔だが、日本ではDVD発売は本作と「僕の友達(2006)」、「裸の診察室(2010)」の3本のみ。日本人のヒロキ・マノという方も出演しており、ドイツ在住のカメラマンさんで、映画出演は本作が最初で最後のようです。

偶然出くわした作品。思いっきり私好みだった。ということは一般的には好まれない可能性が高く、日本でのDVD発売に驚いている。おそらく日本人が出演しているからなのだろうとは思うが、それにしても邦題がひどすぎる。男女のヌードはあるが、日本版は当然修正が入っているだろうし、扇情的なシーンは皆無で、“官能”というタイトルは観ずに適当につけたとしか思えない。どういう人たちが好み求める映画なのか見極めた上で、しかるべき邦題つけて欲しい。 私がつけるとしたら“彷徨”。

in den2日本人留学生のコージはあまりドイツ語が得意ではなく、リンとの会話が噛み合っていない時がある。相手に伝わらないことをわかっていながら日本語で語るシーンがあるのだが、そこに字幕はない(アメリカ版鑑賞)。非日本人は雰囲気から台詞の内容を推理するしかない。全体的に曖昧を上回る曖昧さで、あまり詳しく説明されておらず、特に人間関係が希釈な上に、少ない登場人物の相関図ですら後半にならないと描けない。かといって不十分かといったら、ただ露骨に描かれていないだけで、ボカし具合が芸術にすら感じる雰囲気のある不思議な異色の恋愛ストーリー。

原題は“漫然と暮らす”といった意味のようで、あえてこれといってやりたいこともなく、将来への希望も展望も見出せない等身大の若者を主人公に据えている。コージも、外国人から見た間違った日本人像ではなく、まさにリアルな日本人の若者。ドイツ人のリンに押され気味で困惑する姿とか、様子を覗いながら一歩一歩づつリンとの距離を縮めて行こうとする姿には日本人のやさしさを感じる。
2人は新しい出会いに胸を弾ませるわけでもなく、余計に苦しむだけだったように思う。彼らの日常はさっぱりしており、黄色や青のフィルターがかかったような映像で、悲壮感も漂う。人間誰しもが進む道に疑問を感じることはあるが、葛藤ではなく、人生を諦めている若者の姿ほど悲しいものはない。観た人の数だけ解釈が異なる結末は、しばらく頭の中を占領してしまいそう。

カメラワークがすごくよかった。監督と共に、撮影者も追ってみようと思う。

<鑑賞> 2012/3/1
[タグ未指定]
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