カテゴリー  [ ★北米・南米映画レビュー★ ]

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魔女と呼ばれた少女 <2012/カナダ> ★★★★☆

2013年3月9日 シネマート新宿他にてロードショー

war witch3Rebelle/War Witch
2012/90min/カナダ
ドラマ、戦争
監督/脚本:キム・グエン(長編4作目)
出演:ラシェル・ムワンザ、アラン・バスティアン、セルジュ・カニアンダ
受賞:2012(第62回)ベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)
2013(第85回)米国アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート
IMDb評価:7.0/10
社会度 ★★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 ★★
邦題センス ★★★★
脚本 ★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★

2013年(第85回)米アカデミー賞 外国語作品についてはこちら

***********2012年(第62回)ベルリン国際映画祭************
<金熊賞>: 「塀の中のジュリアス・シーザー」- パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督

<銀熊賞>
審査員グランプリ:「Just the Wind」 - ベンス・フリーガウフ監督
特別賞:「シスター」- ウルスラ・メイヤー監督
監督賞: クリスティアン・ペツォールト - 「東ベルリンから来た女
女優賞: ラシェル・ムワンザ - 「魔女と呼ばれた少女/War Witch
男優賞: ミッケル・フォルスガード - 「A Royal Affair」
芸術貢献賞: ルッツ・ライテマイヤー - 「White Deer Plain」
脚本賞: ニコライ・アーセル、ラスマス・ヘイスターバング - 「A Royal Affair」
アルフレード・バウアー賞:「Tabu」 - ミゲル・ゴメス監督

<国際批評家連盟賞>
コンペティション部門: 「Tabu」 - ミゲル・ゴメス監督
パノラマ部門: 「Atomic Age」 - Héléna Klotz監督
フォーラム部門: 「Hemel」 - Sacha Polak監督
**************************************


war witch1カナダの新鋭キム・グエン監督が、アフリカ諸国にいまだ存在する少年兵の問題を背景に、生と死、現実と幻想を交錯させて描くドラマ。紛争の絶えないコンゴ民主共和国。平和な村から拉致され、反政府軍の兵士として戦わされることになった少女コモナは、死んだはずの人たちに導かれるようにして、全滅必至のゲリラ戦を生き延びた。亡霊を見ることができる力が勝利を招くと、コモナは魔女として崇められるようになるが、いずれ殺されることを悟ったコモナは、最愛の少年と逃避行に出る…。

監督は、ベトナム系カナダ人のキム・グエン。撮影は、全てコンゴだという。

コモナ、少女12歳。その日の朝、うれしそうに母親に髪を結ってもらっていた。ところが幸せな生活は一転。海からやって来た反政府軍に村を襲撃された。「両親を打ち殺せ!さもないとお前を殺す!」と銃を突きつけられ、自分の手で愛する両親を射殺した。死を悲しむ余裕もなければ、埋葬することも許されない。他の子供たちと拉致され、少年兵としての過酷な訓練を受けさせられる。訓練の合間に樹液を飲まされると、幻想で死人が見えるようになっていた。そして、死人たちに情報を教えられ、幾度となくゲリラ戦を勝ち抜いてきたのであった。それが、コモナが“魔女”と呼ばれ、崇められるようになった背景である。

war witch2拉致され、兵士として生きる少年たちを描く作品は数多くあるが、本作の主人公は拉致された少女である。15歳になったコモナがお腹の中の赤ん坊に語りかけることでストーリーは進行し、拉致後の波乱な運命と恋の行方が語られていく。何といっても、本作の魅力は“魔女”と呼ばれたコモナを演じた少女の熱演にある。兵士として軍事訓練を受けた彼女は銃を持たせると一気に戦士の顔になるが、恋心に胸を弾ませる時の表情はまだあどけなさが残る少女であった。緊張感ある戦士の顔と心を許した乙女の顔の両方を見事に演じたラシェル・ムワンザがベルリン映画祭での女優賞受賞は納得。手持ちカメラによる撮影も臨場感があり、彼女の様々な表情を余すことなく映し出している。

白塗りの黒人たちが亡霊として度々登場する。緊迫感のあるゲリラ戦において不自然なファンタジーな展開かと思いきや、不思議と作品に溶け込んでいる。おそらく、亡霊たちは彼女の優しさといった内面を暗喩させているのだと思う。ゲリラ戦、恋愛、ファンタジーといった相反する要素が融合した見事な作品。殺さなければ、殺される…体を張ったコモナの生き方は想像を絶し、思わず目を覆ってしまうシーンも数多いが、決して諦めない精神には心打たれる。

<観賞> 2013/1/20
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(未) We3 <2011/ブラジル> ★★☆

os3.jpgWe3/Os3
2011/80min/ブラジル
ドラマ
監督/脚本:Nando Olival(監督2作品目)
脚本:Thiago Dottori
出演:Gabriel Godoy, Victor Mendes and Juliana Schalch
IMDb評価:5.8/10

社会度 ★★
哲学度 ★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★
演技 ★★ 


os31.jpg大学に進学のため、3人はそれぞれ違う地方からサンパウロに上京してきた。そして、偶然居合わせたあるパーティーで知り合った。同じ大学の新入生だと知り、同居を始めることとした。それを知り、3人の共同生活をライブ中継したいという男が現れる。それは3人が新製品を使っている様子をライブ中継し、ネット販売で売ろうというビジネスを始めようとしていた…。

監督は、本作が長編2作目となるNando Olival。

パーティーで知り合った3人はすぐに意気投合。同棲生活も常に笑いは絶えない。通学するのも帰宅するのも、屋上のプールに入るのもいつも一緒であった。前半は3人の自由気ままな日常生活が描かれる。

os32.jpg男女3人の共同生活は次第に三角関係に発展し、もつれ(の末の破滅)を描いた作品かと思えば、そうではない。予想に反する展開を見せ、3人に商品を使わせ販売しようというビジネスは面白い。ユニークな発想でオチも用意されている。しかし、どうもよくわからない作品だった。発想のユニークさだけで何のメッセージもなければ、明確な結論もない。気軽に観るにしても面白みに欠ける。

<観賞> 2012/9/26


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(未) Film Geek <2005/米> ★★★

film geekFilm Geek
2005/78min/アメリカ
コメディー
監督/脚本/編集:James Westby(長編監督4作目)
出演:Melik Malkasian, Ritah Parrish and John Breen
IMDb評価:6.1/10

社会度 ★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 ★

脚本 ★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★ 


film geek1映画をこよなく愛するスコッティはビデオレンタルショップでバイトをしている。お客に「タイトルがわからなくて…天国がついてたんだけど…」と聞かれると、“天国”が入っているタイトルだけをひたすら並べ上げることができる。さらに、お客の映画トークに口を挟んだり、聞かれてもいないのに自分の好きな映画の話を始めたり、しまいには“スコッティーの好きな映画”というコーナーを勝手に作ってしまう始末。とうとうバイトはクビになってしまった。他のビデオ店を回り、新しいバイト先を探すが、なかなか見つからない。仕方なく、在庫倉庫でのバイトを始めることにした…。

監督は、本作が4作目となるJames Westby。
出演は、James Westby監督作品でお馴染みのMelik Malkasian。
手作り感のある映像に、素朴な演技のため、素人さんが遊びで撮ったような雰囲気。本作が4作目とは驚き。

新しいバイト先でも、全く映画に興味のない人にも映画の話ばかり、しかも内容はマニアの領域。周囲はドン引きなことにも気が付いていない。バスで一目ぼれした女性と一度はデートするが、その後避けられていることにも当然気付いていない。隣人の女性なんか、挨拶したって目も合わせない。着ている服だっていつもビデオショップのユニホームのまま。クビになったのに、返さず着ているのである。

タイトルは“映画オタク”の意。でも、主人公は映画オタクといっても、データーベースを丸ごと暗記しただけの知識詰め込み型の生き字引。彼がする映画の話といったら、「あの映画は何年製作で、監督は誰誰、俳優は誰誰…」といった具合。頭にインプットされている膨大な情報をアウトプットするだけで、作品の考察をするわけではない。なぜ自分が女性から距離を置かれているのかとか、なぜ友達がいないのかも考えることもできず、周囲の気持ちを感じ取ることもできない。趣味でご立派な映画のホームページを作っているけど、訪問者数はごくわずか。ホームページの内容は映画の中では紹介はされていないけど、覗かなくても大方予想はつく。映画好きの私だって全く興味が湧かないつまんないサイトだと思う。

“映画は違う世界に行けるから好き”という劇中の本人のセリフ通り、彼が映画に求めているのはワクワク感とかハッピーエンド(私とは逆…)。そんな映画と同じ人生を夢見て、毎日映画と妄想の中で生きている。私だって映画のように事がうまく進めばいいのにって思うことはあるけど、現実はそうは甘くないことは誰でも知ってる。でも、スコッティーは自分の不甲斐なさに気が付いていない。コメディーらしいオチだったけど、かわいそうになってしまった。

<観賞> 2012/8/16

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(未) Angels of the Sun <2006/ブラジル> ★★★☆

angels of the sun
Angels of the Sun/Anjos do Sol
2006/92min/ブラジル
ドラマ
監督/脚本:Rudi Lagemann(監督デビュー作)
出演:アントニオ・カローニ、オタヴィオ・アウグスト、Darlene Glória
IMDb評価:7.3/10

社会度 ★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★

angels of the sun22002年、ある片田舎の漁師町に一人の男がやって来た。長女の安否を聞くと、サンパウロで元気にしていると言うが、男の表情は浮かない。そして、妹たちの品定めを始めた。三女が気に入り、両親は荷造りをするように言いつけた。そして、男と三女マリアは町を出て行った。船とトラックを乗り継ぎ、行き着いた先には同い年ぐらいの少女たちが大勢いた。またトラックの荷台に押し込められ、着くとマダムが待っており、お風呂と着替えをさせられ、オークションにかけられた。息子の誕生日プレゼントとして少女を買いに来た男はマリアを落札し、童貞喪失の手伝いをさせられた。そして、今度はアマゾンジャングルの奥地にある売春宿に売り飛ばされた…。

監督は、俳優出身のRudi Lagemann。
出演は、「狂熱の白昼夢(2002)」のアントニオ・カローニ、「セントラル・ステーション (1998)」のオタヴィオ・アウグスト。

angels of the sun1訳の分らぬまま連れまわされ、最終的に行き着いたのはジャングルの奥地。鉱山地で男性労働者が多く、立地的にも脱出は不可能と思われる場所である。売春宿で働く女性たちも両親に売られ、マリアに同情する者はいないどころか、衣食住が与えられるだけ幸せだという女性もいるほど。
12歳のマリアの初日は外まで列ができるほどのお客が集まった。明け方まで男たちの性処理の相手をさせられ、身も心もボロボロになったマリアは、同じ日に売られた少女と一緒に脱出を試みるが、あえなく失敗。2人は連れ戻され、友人は見せしめに殺されてしまった。それでも懲りず、今度はマリアは一人での脱出を試みるが、実家に戻れるわけではない。

ブラジルの少女売春の実態を実話に基づいて描いた作品。本作のような僻地に送られるケースも多く、ブラジル政府も実態を把握しきれないという。貧困層で生まれ育ち、生き伸びるための術として未だにこんなことがあることに心が痛む。まだ両親に甘えたい年頃でありながら、徐々に状況を理解し、一人で生きる覚悟を決めた姿には自然と涙が流れた。
シリアスな題材でありながら、私には珍しいエンタメ性の強い作品。痛々しいシーンはないが、マリアの苦悩がよく表現されている。マリアの苦悩が決意に変わった瞬間には力強ささえ感じた。

<観賞> 2012/6/14

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(未) Rain <2008/アルゼンチン> ★★★

lluvia.jpg
Rain/Lluvia
2008/110min/アルゼンチン
ドラマ
監督/脚本:パウラ・エルナンデス
出演:Valeria Bertuccelli、エルネスト・アルテリオ
IMDb評価:6.7/10

社会度 ★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★

脚本 ★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★


lluvia1.jpgある雨の日のブエノスアイレス。アルマは大渋滞で身動きがとれずにいた。車中、途方に暮れていたら、見知らぬ男性が車に乗り込んできた。危害を加えるつもりはないというその男性は怪我をし、血を流している。応急処置を施し、その男性が宿泊しているホテルへ送って別れたが、翌日、アルマはその男性に会いに、再びホテルを訪ねる…。

監督は、「オリンダのリストランテ(2001)」のパウラ・エルナンデス。
出演は、「XXY(2007)」のValeria Bertuccelli、「木曜日の未亡人(2009)」のエルネスト・アルテリオ。



lluvia2.jpgある事情で車生活をしていたアルマ、ある事情でブエノスアイレスへ来ていたスペイン人のロベルト。都会の片隅で偶然出会った見知らぬ2人の一期一会な出会いを通じて2人の心境の変化を描くロードムービー。

タイトル“Lluvia”は雨の意。シーンのほとんどが雨で、どんよりした天気。表情の異なる雨が、心の微動を繊細に表現している。あらすじなどなく、ほとんど何も起こらず、かなりのスローテンポだが、退屈になりがちなストーリーを情緒的に演出している。

大都市にいればいるほど人との距離ができ、見知らぬ人への警戒心が強まるこの世の中。人との出会いっていいなぁと思わせてくれる作品だった。ありふれているが、あまり着目されないような地味なキャラクター設定に共感してしまう点も多い。接点がなく、雨によって結びつけられる男女が恋に発展することを示唆させながら、もどかしくストーリーは進み、しかし、どこか温かみのある眼差し。2人がどんな事情を抱えているのかは徐々に明かされていくが、感傷に浸る作品でもなければ、過去を振り返る作品でもない。

主演2人は出演数は少なくはないが、まだまだ主演級の主演作は少ない。失礼ながら、美男美女ではなく、大物のオーラがない2人を主演に置いているところにも親近感。

<観賞> 2012/5/14

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(未) Cleopatra <2003/アルゼンチン> ★★

Cleopatra.jpgCleopatra
2003/104min/アルゼンチン
コメディ、ドラマ
監督/脚本:Eduardo Mignogna
出演:ノルマ・アレアンドロ、ナタリア・オレイロ、レオナルド・スバラグリア
IMDb評価:6.9/10

社会度 ★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★
ブラック度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


Cleopatra1.jpgクレオパトラは最近、長年務めた教師を定年退職した。無職の夫は毎日家でゴロゴロテレビを見て時間が過ぎるのをただただ待つだけの生活。夫のようにはなりたくないクレオパトラは第2の人生のために、あるドラマのオーディションを受けるが、緊張のあまり恥ずかしい失敗をしてしまう。トイレで泣いているとある有名女優が慰めてくれた。意気投合し、その日は女優の家へ泊まることにした。次の日家へ帰ろうとしたが、旅に出かけるという女優のお伴をすることにした…。

監督は、「Autumn Sun(1996)」「The Lighthouse (1998) 」のEduardo Mignogna。日本での発表作がないようだが、アルゼンチンを代表する監督の一人。私にとって3作目だが、どれもハマれず…。
出演は、「オフィシャル・ストーリー (1985)」でカンヌ映画祭女優賞受賞のノルマ・アレアンドロ、ウルグアイ出身でアルゼンチンを中心に活躍する歌手のナタリア・オレイロ、「娼婦と鯨(2004)」「NAKEDマン・ハンティング(2007)」「木曜日の未亡人(2009)」のレオナルド・スバラグリア

Cleopatra2.jpg輝かしい女優生活を送る彼女も人には言えぬ私生活に問題を抱えていた。全てを投げ出し逃げ出したい時って誰にでもある。偶然出くわした、親子ほど離れた2人の現実からの逃避行ロードムービー。

人生の岐路に立った時、“やるべきことをやるか”、“やりたいことをやるか”、“ちょっと立ち止まってみるか”。人生は何歳からでもやり直せるというメッセージが込められている。普遍的なテーマで、観る人を選ばない作品だが、2人の行動があまりにも身勝手で無責任。いい大人が取る行動にしては無鉄砲すぎる。かといってドラマチックな展開があるわけでもなく、面白さにも欠ける。カンヌで女優賞を受賞したノルマ・アレアンドロの演技だけが見所。

<観賞> 2012/5/13

(備忘録) そして、一粒のひかり <2004/米=コロンビア> ★★★

maria.jpgそして、一粒のひかり/Maria Full of Grace
2004/101min/アメリカ=コロンビア
ドラマ
監督/脚本:ジョシュア・マーストン
出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ、イェニー・パオラ・ベガ、ギリエド・ロペス、ホン・アレックス・トロ、パトリシア・ラエ

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
邦題のセンス ★★★

脚本 ★★★ 
演出 ★★
演技 ★★


コロンビアの小さな田舎町。バラ農園で単調な仕事に従事する17歳の少女マリア。母や幼児を抱えた姉をはじめ一家の家計はマリアの収入に頼っていた。ところがささいなトラブルで仕事を失い、おまけに愛してもいないボーイフレンドの子を妊娠してしまったマリア。追い詰められた彼女は、最大5000ドルという巨額の報酬に心動かされ、“ミュール”という仕事を引き受けてしまう。しかしそれは、麻薬を詰めた小さなゴム袋を大量に飲み込み密輸する運び屋のことで、もし胃の中で袋が破れたら死んでしまうというあまりにも危険な仕事だった。@allcinema

面白かったんだけど、淡々としていて胸に迫るものがなく、調べてみたら監督はアメリカ人なのね。
コロンビアの少女を主人公にしたドキュメンタリー風だが、先進国視点で客観的すぎる。
いかにも作り上げました的なストーリーでリアルさにも欠ける。
アメリカ人監督による商業映画だね。
命がけで稼ぐ5000ドルという金額がコロンビアではどれほどの大金なのかも見えてこないから、単なる気楽なアルバイト程度にしか見えないし、少女たちの切羽詰まった様子も伺えない。心の成長と一粒のひかりを見せたいのはわかるが、マリアの選んだ生き方を推奨しているようにも見える。厳しい現実が伝わってこない。上っ面な感じは否めない。

<観賞> 2012/5/2

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(未) No Return <2010/アルゼンチン=西> ★★★★

sin retornoSin retorno
2010/104min/アルゼンチン=スペイン
ドラマ、スリラー
監督/脚本:Miguel Cohan(監督デビュー作)
脚本:Ana Cohan
出演:レオナルド・スバラグリア、バルバラ・ゴエナガ、アナ・セレンターノ、フェデリコ・ルッピ、Martin Slipak、Bárbara Goenaga
IMDb評価:6.8/10

社会度 ★★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★
脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★

sin retorno2パブロは深夜、自転車で帰宅中、書類が風に舞ってしまい、道路の真ん中で拾い上げていると車が突っ込んできてしまった。幸いなことに被害は自転車だけで、パブロに怪我はなかった。運転手フェデリコもそれを確認し、その場を去った。ところが、パブロは壊れた自転車をいじっていたら今度は他の車が突っ込んできてしまった。ついにパブロは帰らぬ人となってしまう。運転手マティアスは救急車を呼びはしたが、怖さのあまりその場を後にし、両親には車が盗まれたと嘘をついてしまう。そして、最初の運転手フェデリコが逮捕されてしまった…。

監督は、「木曜日の未亡人(2009)」のマルセロ・ピニェイロ監督の助監督を務めていたMiguel Cohanの監督デビュー作。
出演は、「娼婦と鯨(2004)」「NAKEDマン・ハンティング(2007)」「木曜日の未亡人(2009)」のレオナルド・スバラグリア、「TIME CRIMES タイム クライムス(2007)」のバルバラ・ゴエナガ、「失われた肌(2007)」「木曜日の未亡人(2009)」のアナ・セレンターノ、「クロノス(1992)」「パンズ・ラビリンス(2006)」のフェデリコ・ルッピ。

sin retorno1最初の運転手フェデリコはまさかパブロがその後亡くなっていたと想像することもなく、車を修理に出してしまっていた。事件直後のことでもあり、事故目撃情報や、車の損傷からフェデリコが容疑者として逮捕されてしまった。自分は自転車を轢いただけだど主張するが、弁解の余地はなく、刑務所に送られてしまった。冤罪で刑務所にぶち込まれてしまったフェデリコの復讐劇がスタートする。

全く接点のないフェデリコ、マティアス、パブロの3人のある晩の様子が並行して描かれ、家庭事情もよく作り込まれている。1件の交通事故で3人は結びつき、以降ストーリーはシリアスな方向へと移行し、最後まで目が離せない。一夜にして一転してしまう悲劇を描いており、復讐劇が軸となるが、一味違う心理スリラーになっている。テーマは良心の呵責、贖罪、赦し。

冤罪で捕まってしまったフェデリコ、事実を隠し怯えるマティアスとその両親、亡くなったパブロの父親の視点で展開しており、それぞれの心理状態に伴う行動を対比させるように描く奥行きのある複雑構造になっている。恐ろしいのは、ここで描かれていることは悪意のない交通事故が発端で、いつ自分の身に降りかかるかわからないほど身近に潜んでいるということ。それぞれが追い込まれていく心理に迫ったストーリー展開といい、演出、演技全てにおいて文句のつけようがない完成度。本人の良心に委ね、余韻を含ませた結末もいい。

<鑑賞> 2012/4/6

(未) Penumbra <2011/アルゼンチン> ★★★★

penumbra.jpgPenumbra
2011/90min/アルゼンチン
ホラー、スリラー
監督/脚本:アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ、ラミロ・ガルシア・ボグリアーノ
出演:クリスティーナ・ブロンド、Camila Bordonaba、Berta Muñiz
IMDb評価:6.1/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 なし
ゴア度 ★★(スプラッターあり)

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★

penumbra1.jpgマルガリータは父の遺産のアパートを相続していた。借りたいという人が見つかり、アパートの前で待ち合わせをしていたがなかなか現れない。痺れを切らし部屋へ上がると、すでに男女が部屋の前にいた。さっそく部屋を案内をすると気に入ってくれ、その人に貸すこととなった。契約に必要な書類をもってくるという男性に電話を掛けたいが、携帯を忘れたため貸して欲しいと言われ、マルガリータは快く貸し、その間向かいのスーパーで買い物をすることとした…。

監督は「36 PASOS (2006)」「ザ・ヘル ネクストステージ(2008)」(どちらも未見)のスペイン人アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ監督の長編9作目。4作品は日本でもソフト化しているので、本作もあり得るかも。出演は、「スパニッシュ・アパートメント(2002)」「ロシアン・ドールズ(2005)」のクリスティーナ・ブロンド。

penumbra2.jpgマルガリータの携帯は終始鳴りっぱなしで所構わず出てしまう。字幕が目で追い切れないほどの会話量と感情的な話口調、身勝手な態度がどうも好きになれない。
失くした鍵を探しにアパートと買い物に行ったスーパーを行ったり来たり、今度は携帯の充電が切れ、電話を借りに下の階へ行ったり来たり。マルガリーターはとにかく落ち着きがなく、いちいち癇に障るキャラクター。その設定が伏線となり結末まで上手に活かされている。

部屋の前にいた男女がアパートを借りにきた人たちだと勝手に勘違いしてしまったことが事の全ての発端。マルガリータはその場の感情だけで行動するタイプで、物事を深く考えない。訪ねてきた男女にはそんな安易なマルガリータのキャラクターは好都合であり、二人のペースにどんどんはまっていってしまう。そんなことにも気付かず振り回されるマルガリータをうまく利用しようと企んでいる男女の仕草や目配せがいちいち気味悪く、マルガリーターが部屋を離れる度に仲間は増え、気味悪さも一層増していく。

タイトルは日食の意。皆既日食が予告された当日を背景としており、何が起こるのか誰にも予測できない日でもある。この日に起きたことは奇跡的体験だったのか?それとも妄想だったのか?世の中、理屈では説明できないことが数多くあるけれど、なんとも後味が悪く、こんな気味の悪い映画初めて観た。現実だったのか妄想だったのか、境目を曖昧にし、解釈は観る側に委ねているが、クライマックスとなる終盤の強烈さはトラウマになりそう。世の中で一番怖いのって幽霊なんかじゃなくて、何を考えているかわからない人や理屈が通らない人、洗脳されている人…。本作の登場人物はそんな人たちばかりだった。

かなり癖のある監督だとは聞いていたが、もう少し追っかけてみたいと思った。

<鑑賞> 2012/4/19
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Mediaterous <2011/アルゼンチン> ★★★☆

sidewalk.jpgMedeaneras/Sidewalls
2011/95min/アルゼンチン
ドラマ
監督/脚本:Gustavo Taretto
出演:Javier Drolas、ピラール・ロペス・デ・アジャラ、イネス・エフロン
IMDb評価:7.4/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 ★
民族度 ★

脚本 ★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★

sidewalk1.jpgアメリカに行ったきり戻ってこない彼女が置いて行った犬と一緒にすんでいるマーティンはwebデザイナーで家のPCで仕事をし、ゲームをし、音楽を聴き、買い物まで済ましてしまっている。一方向かいのアパートに住むマリアは建築家でありながらショップのディスプレーの仕事をしている。家で一緒に過ごすのはマネキンたち。見知らぬ2人は偶然街ですれ違うが…。

監督は本作が長編デビューとなるアルゼンチン出身のGustavo Taretto。
出演は、「シルビアのいる街で (2007)」ピラール・ロペス・デ・アジャラ、「XXY(2007)」のイネス・エフロン


sidewalk2.jpg舞台は、アルゼンチンのブエノスアイレス。いろんなコンセプトの建物が不規則に立ち並び、多民族が行き交う大都会。あたかも「ウォーリーを探せ!」の中に迷い込んでしまったかのようでもある。短い秋、長い冬、待ちに待った春を背景とし、秋では終わりそうな恋、冬では終わってしまった恋、春では始まりそうな恋を2人並行に描き、孤独や恐怖症、自殺といった現代病に迫った作品。

自分にとってのウォーリーは誰なのか?探している人がわかっていても見つけるのが難しいのに、探している人がわからなくてどうやって見つけるられるのか?
空に張り巡らされた無数の配線は人間を結びつけるためなのか、それとも遮断させるためなのか。
携帯が世界中で繋がる現代、その携帯のせいで人とのコミュニケーションが減り、語彙力低下している現実への警告。
ロジカルなストーリーテリングがとてもわかりやすく、明確なメッセージがストレートに響く。淡々とドライな展開で、悲観的な2人を主人公にしていながら、どこか楽観的で温かみのあるのも魅力。選曲もストーリーにバッチリ合っているし、建造物の構造を人生論で紐解く展開といい、理屈っぽい感じがかなりのツボだった。
2人が住む部屋には日本の食材が数多くあり、ウォーリーを探せ的な感覚になれるのも楽しい。

<鑑賞> 2012/4/1
[サイト内タグ検索] 日本未公開 イネス・エフロン

ヒドゥン・フェイス <2011/コロンビア=西> ★★★★

2012年9月4日より シアターN渋谷にて公開予定

hidden_20120212233529.jpgLa cara oculta/The Hidden Face
スリラー
2011/92min/コロンビア=スペイン
出演:マルチナ・ガルシア、キム・グティエレス、クララ・ラゴ
IMDb評価:6.4/10

社会度 ★★
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 ★

脚本 ★★★★ 
演出 ★★
演技 ★★★
編集 ★★★★


hidden1_20120212233530.jpgスペインで指揮者を務めるアドリアンはコロンビアの交響楽団から誘いを受ける。デザイナーをしている恋人のべレンも悩んだ末同行することとなった。しばらくベルリンで暮らすという夫婦の豪邸を借り、コロンビアでの生活がスタートした。ところが、アドリアが交響楽団の隊員と親しげな様子を不審に思い、携帯をチェックするとメールのやり取りや電話の着信が残っていた。問いただすと、興味があって誘ったことがあるが断られたという驚きの答えが帰って来た。ベレンはスペインに帰るか否か大家に相談すると…。
一方アドリアンがお詫びの花束を持ち帰ると、家にべレンの姿はなく、“ビデオを見て”というメモが書き残されていた。それは別れを告げるビデオメッセージであった。失恋のショックでバーに飲みに行き、酔い潰れてしまい、店員の部屋へ泊ったことをきっかけに新しい恋がスタートし、バーの店員と同棲することとなってしまった…。

監督はコロンビア出身のAndrés Baizで「Satan(2007)」に続く長編2作目。出演は「Rage(2009)」のMartina García、「蒼ざめた官能<未>(2006)」「マルティナの住む街(2011)」のキム・グティエレス、「マルティナの住む街(2011)」のClara Lago。

hidden2_20120212233529.jpg揺れる浴槽の水面、排水溝から聞こえる声、鏡越しにセックスを見ている犬、やたら映る鏡。
べレンは既に亡くなっており、部屋に幽霊がいるかのような演出がなされており、調査する警察の疑いの目はアドリアンと新しい恋人に向けられる。

中盤から加速がかかり、一体べレンの身に何があったのかは視点を変えた映像と巧みな編集によって徐々に明らかになっていくが、まさかの意外な展開を見せる。女たちの嫉妬を利用した駆け引きといったアイデアが面白い。

去年ほど映画鑑賞に時間を割けないため選りすぐって観ているつもりだが、あまりいい映画に出会えていない。いっその事予備知識の全くない作品を行き当たりばったりに選んだのが本作。スリラーでありながら地味な演出と分かりやすい謎解きがとっても気に入った。主要人物の3人もかなりの美形で映える。アイデアと脚本、編集の勝利。読めない意外な展開と余韻を残す結末も◎。

(あまりの面白さに書かずにはいられない。少々ネタ明かし。結末には触れていません。ご自身の判断で反転して読み進めてください。)
大家の提案は、アドリアンをテストすることだった。やたら映る鏡はマジックミラーとなっており、背後には隠し部屋が用意されていたのである。アドリアンの様子を鏡越しに観察し、反省を見せたところで中から鍵を開けて出るつもりが、肝心の鍵を持ちこむのを忘れてしまった。携帯は圏外。食料も持ち込んでいなかった。挙句の果てに、新しい彼女とのセックスまで見せ付けられ、自身の行いを悔やむベルンであった。揺れる水面は助けを求め中から叩いているからであった。一方新しい彼女ファビアナは、一度は幽霊がいると思い始めるが、カラクリに気付く。しかし、開けては愛するアドリアンを奪い合うことになるため、鍵を開けなかった。鏡越しの見えない女の戦いが始まるのであった…。

<鑑賞> 2012/2/12
[タグ未指定]

波に流れて (原題:Undertow) <2009/ペルー=コロンビア=仏=独> ★★★★

これ、実は昨年のベストに入れ忘れてしまった作品です…。
言い訳をすると、ちゃんと記事書こうと思っていながら、書くのが難しくて放っておいてしまったためです。
順位は11位から20位の中にランクインです。

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Contracorriente/Undertow
2009/100min/ペルー=コロンビア=フランス=ドイツ
監督/脚本:ハビエル・フエンテス・レオン
出演:Cristian Mercado、Tatiana Astengo、Manolo Cardona
受賞:サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドラマ部門 観客賞
アカデミー賞・外国語映画賞ペルー代表作品
IMDb評価:7.6/10

自然美 ★★★★
哲学度 ★★★
社会度 ★★
催涙度 ★★★
邦題のセンス ★★★

2010年東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映


undertow2.jpgミゲルはペルーの小さな漁村で生まれ育ち、結婚した今もその地に暮らしている。新婚で、妻マリエラは妊娠中。もうすぐ生まれてくる赤ちゃんが男の子であることを信じ、毎日お腹に話しかけている。漁師仲間たちとも古い付き合いで、幸せに暮らしていた。ある日従兄が亡くなり、葬式を上げることとなった。その様子をずっとカメラに撮っている者がいる。夏になると毎年やって来るサンチアゴという男だ。よそ者というだけではなく、ゲイだということで村人たちは距離を置いているが、ミゲルとサンディアゴは実は交際をしており、密かに逢引きを重ねていた。ところが、最近サンチアゴを見かけないと人々は言い出した。自分には見えるのにサンチアゴは幽霊となっていたのである。幽霊のほうが逢引きには都合がよく、波に流され命を落としてしまったサンチアゴの遺体が浮かび上がってこないように岩にくくりつけた。そんな時、若いカップルが2人っきりになれる場所を求めてサンチアゴのアトリエに入ってしまった。そこで目にしたのは、ミゲルをモデルにしたのヌードや肖像画。瞬時に2人の関係を悟り、瞬く間に噂話は広がり、夫婦生活にヒビが入り始める…。

監督はペルー出身のハビエル・フエンテス・レオン。本作が長編初監督作品とは思えないほど高い完成度。ラブシーン(男性同士)の美しさと繊細さは今まで観た上位に食い込む上、ゲイ映画の中ではベスト。緻密に練られた脚本と、冒頭の従兄の死とサンチアゴの死のシークエンスには鳥肌が立った。デビュー作でのこの完成度、早くも次回作に期待が膨らむが、私が調べた限りでは製作の話は一切ないようである。

undertow1.jpgこの漁村では男性近親者が水葬することで死者の魂も天国に行けるという言い伝えがあることが、冒頭の従兄の葬式で説明されている。逆に言えば、それを怠れば、死者の魂はこの世に彷徨い続けることを意味している。ミゲルはその言い伝えを熟知した上で、サンチアゴの遺体が浮かび上がってこないように岩にくくりつけたのである。自分以外には見えない幽霊は逢引きには好都合であり、成仏させなければいつでも会えるという自分の欲だけのために都合よくその言い伝えを利用したのである。中盤までは、身勝手で全く共感できないキャラクターとして描かれている。
美しすぎる開放的な海とは正反対な閉鎖的な考えの片田舎の小さな漁村を舞台としており、生まれた時からこの村に住むミゲルにとってはこの村での生活が全てである。妻を裏切り、しかもゲイだということが知れ渡り、村人たちにはどう説明するのか、妻との関係はどうなるのか、…ミゲルの心境の変化と男としてのケジメが描かれている。

タイトル“Undertow”は底流、暗流の意味で、表面に現れない心情のことを言っているのだろう。中国のタイトル“心底的逆流”が見事にハマっている。邦題“波に流れて”の波は心の波だけではなく、波に流されてしまったサンチアゴ自身のことも含めているのだろう。打ち寄せる波のように揺れる感情を繊細に描いている。男のケジメを見せたラストで我慢していた涙がこぼれ落ちた。私の記憶では、一番(もしかしたら唯一)泣いたゲイ映画かもしれない。

<鑑賞> 2011/11/24
[タグ未指定]

(未) Speak <2004/米> ★★★☆

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Speak
2004/89min/アメリカ
ドラマ、青春
監督/脚本:Jessica Sharzer(長編監督デビュー作)
原作:ローリー・ハルツ・アンダーソン「スピーク」主婦の友社
出演:クリステン・スチュワート、ハリー・ハーシュ、スティーブ・ザーン 
IMDb評価:7.7/10


共感度 ★★★
社会度 ★★★
哲学度 ★★
涙催度 ★★★



高校生になる直前の夏休み、友人宅でのパーティである事件が起こった。メリンダは警察に通報したが、実際には未成年の飲酒で友人たちが摘発されてしまった。友人たちには裏切り行為だと勘違いされ、新学期を迎えても誰も口を聞いてくれない。真相を話すことよりも黙秘することを選んだメリンダはどんどん孤立してしまう。しかし、ある美術教師との出会いでメリンダの心境が変わり始める…。

speak1.jpg主演は「トワイライト〜初恋〜」のクリステン・スチュワート。「パニック・ルーム」でジョディ・フォスターの娘役を演じた2年後に主役、しかもこんなに素晴らしい演技を見せるとは。14歳で、あどけなさが残る。
原作本は日本のみならず数カ国で翻訳されているが、信じられないのが、普遍的なテーマでありながら本作はどこの国でも一般公開されていないこと。

夏休み明けの新学期から描かれる。メリンダは皮肉っぽくて、可愛げがないが、どこか憎めないキャラクター。しかし、メリンダがなぜみんなに無視をされ、こんなにつらい思いをしているのかわからないまま物語は進行する。パーティでの出来事が回想シーンとして丁寧に描かれ、何があったのかじんわりと明かされていくにつれ、1人で抱え込んでいる姿には自然と涙が流れる。事件前と後のメリンダは全くの別人のようで、沈黙で痛みを表現する演技は見事。

メリンダほどの経験はないにしても、友人に無視をされるといった経験はきっと誰にでもあるのでは?辛ければ辛いほど人には話しにくくなる。話せるぐらいだったらとっくに話してるわけで、話せないから余計に辛くて。沈黙を選んでしまうのは、その方が楽だということもあるだろう。1人で抱え込み、殻に閉じこもってしまうメリンダのキャラクターにはものすごく共感。

speak2.jpgメリンダは美術の授業の課題に出された“木”を描き続ける。没頭できる何かを見つけることも大切なのだろう。没頭することは、嫌なことを忘れられる時間でもあったが、絵を描く才能を見事に開花している。そんなメリンダを温かく見守ってくれた美術教師は変わり者と言われているフリーマン先生。皮肉にも変わり者とレッテルを貼られている先生との出会いできっかけを掴み、自分らしさを取り戻していく様を描く。
さらに両親から美術道具セットのプレゼント。娘の変化に気付いていないようで実はちゃんと見ている両親からのクリスマスプレゼントになんだかじんわりとさせられた。

いじめの対象となった子と親しくすれば、自分も仲間外れになってしまうことを恐れ、皆メリンダとは距離を置くようになってしまっている。横目でチラチラ見る子もおり、気にかけているようにも見えるが、集団心理は怖い。しかし、本作は良き理解者がたった1人いることで前向きにもなれること、聞く耳を持つことの大切さを教えてくれている。一歩踏み出して見ると思っていたより簡単だったり…とわかっていてもいざ行動するのは難しい。

結末はどうやら本とは違うらしく、意外だったが、ほっこりさせられた。

<鑑賞> 2011/11/9
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Sweet Jane <1998/米> ★★★☆

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Sweet Jane
1998/83min/アメリカ
ドラマ
監督/脚本:ジョー・ゲイトン(Joe Gayton)
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、サマンサ・マシス
IMDb評価:7.3/10


社会度 ★★★
哲学度 ★
涙催度 ★



swwet1_20111126154616.jpgヘロイン中毒のジェーンは入院中に医師からHIVに感染していることを告げられる。病院を抜け出し街を歩いていると誰かに付けられていることに気が付いた。その少年トニーはジェーンが天使に見え、ついてきた来たという。まだ14歳なのに身寄りがないと知り、行動を共にする…。

監督のジョー・ゲイトンは「ファースター 怒りの銃弾(2010)」「過ぎゆく夏(1992)」の脚本家でもあり、監督作品は本作が3作目となる。監督作品に劇場公開作はない。
出演は、「(500)日のサマー」のジョセフ・ゴードン=レヴィット、「ブロークン・アロー(1996)」「アメリカン・サイコ(2000)」のサマンサ・マシス。

トニーは14歳にしてエイズ患者。HIVは父親から母親に、そして息子トニーにも感染してしまったという。父親の苦しむ死に際を目の当たりにし、母親の亡くなる姿を見たくなく、逃げ出してきたという。14歳にしてそう遠くない将来に訪れる死を覚悟し、絶望的に生きる少年である。一方ジェーンは街角に立ちお客の相手をする売春婦。関係を持った男の名前を書き出すように病院で言われるが、職業上いつ誰から感染したのか見当もつかない。偶然にも引き合わせた2人のHIV感染者の心の交流を描く。

出演者はほぼ2人で、ほとんど何も起こらず、会話だけでストーリーは展開していく。トニーを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットの実年齢が17歳とは思えないほど童顔だが、演技は既に成熟している。偶然にも最新作「50/50」では余命を宣告されたガン患者を演じているが、死を目の前にした恐怖という点では本作の演技の方がはるかに勝る。

ミステリアス・スキン」で興味を持ったジョセフ・ゴードン=レヴィット作品を最近観漁っているのだが、つらい過去を背負っていたり、病に苦しんでいたり、重すぎるのばかり。HIVの恐怖を知らしめる結末はあまりにも悲しくて涙すらでなかった。地味だが、一生忘れられない結末になりそう。

<鑑賞> 2011/11/25

50/50 <2010/米> ★★★

50.jpg50/50
2010/100min/アメリカ
ドラマ
製作/出演:セス・ローゲン
監督:ジョナサン・レビン
脚本:ウィル・レイサー
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン、アナ・ケンドリック、ブライス・ダラス・ハワード、アンジェリカ・ヒューストン、マット・フルーワー、フィリップ・ベイカー・ホール
IMDb評価:8.3/10

哲学度 ★
社会度 ★★
涙催度 ★★★
ブラック度 ★

こんなに早く日本で公開されることもあるのね。
2011年12月1日より劇場公開。簡単に。

50-1.jpg「(500)日のサマー」のジョセフ・ゴードン=レビットが主演し、ガンで余命宣告を受けた青年の姿を笑いや涙を交えて描くハートフルドラマ。

酒もタバコもやらない普通の青年アダムは27歳でガンを患い、生存率50%と宣告される。同僚や恋人、家族は病気を気づかってどこかよそよそしくなっていくなか、悪友カイルだけはガンをネタにナンパに連れ出すなど、いつも通りに接してくれていた。アダムはなんとかガンを笑い飛ばそうと日々を過ごしていくが、刻々と進む病状に次第に平穏を装えなくなってしまう。カイル役のセス・ローゲンが製作を務め、ガンを克服した親友の脚本家の実体験をもとに映画化した。@映画.com

監督のジョナサン・レビンは、「マンディ・レイン 血まみれ金髪女子高生(2006)」「The Wackness(2008)」に続く3作目で初の日本上映作品となる。出演は、「(500)日のサマー」のジョセフ・ゴードン=レヴィット、コメディアンで「グリーン・ホーネット」の脚本・主演を務めたセス・ローゲン。母親役には「アダムス・ファミリー」のアンジェリカ・ヒューストン。

50-2.jpg病気を宣告されて、周囲の人に言うタイプと言わないタイプがいるが、私は完全に後者。会社を辞めざるを得ない場合も、事実は隠し通すと思う。失恋とかでも傷が癒えてしばらく経ってからでないと人には話せないし、話さない。本作の主人公アダム27歳は突如癌の宣告を受け、会社や友人、恋人に話す、私とは違うタイプ。実は私も子どもの頃余命宣告を受けたことがある。完治した今でもその事実は両親以外知らない。アダムのように話せればもう少し前向きに暮らせたのではないか…少々羨ましくも思う。生存率50%からタイトル“50/50”が付けられている。癌と向き合う生活を時にはシリアスに時にはユーモラスに描いている。

アダムがガンに侵されていると知り、死に向き合う恐怖からアダムの前から姿を消そうとする者もいる中、一緒に戦おうと親身になってくれる者もいる。自分にとって誰が大切なのかを考えさせてくれるドラマだった。

演技に定評のあるジョセフ・ゴードン=レヴィットについては今更語ることはないが、脇役の素晴らしさも本作の成功に貢献している。特にセス・ローゲン。コメディアンなだけあって、何度笑わされたことか。気分が沈んでいる時にはほんと有り難い存在。

<鑑賞> 2011/11/24
[サイト内タグ検索] ジョセフ・ゴードン=レヴィット

(未) The Believer <2001/米> ★★★★★

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The Believer
2001/102min/アメリカ
監督/脚本/出演:ヘンリー・ビーン
出演:ライアン・ゴズリング、サマー・フェニックス、ビリー・ゼイン、テレサ・ラッセル、ギャレット・ディラハント
受賞:第17回(2001)サンダンス映画祭 審査員賞
IMDb評価:7.3/10


宗教度 ★★★★
哲学度 ★★★
社会度 ★
ゴア度 ★
嫌悪感 ★★


ダニエルは子どもの頃から弁が立ち、小学校でも先生に盾付いていた。成人した今ではスキンヘッドにナチのTシャツという姿で反ユダヤを掲げるネオナチのスポークスマンとして活動をしている。町でユダヤ人の姿を見かけると追いかけて、電車の中でも嫌がらせをし、その後暴行を企てていた。しかし時折、ネオナチの活動とは真逆の行動をしてしまうことがあり、仲間からも疑いをかけられるようになる…。

believer1.jpg監督のヘンリー・ビーンは、リチャード・ギア主演「インターナル・フェア」、シャロン・ストーン主演「氷の微笑2」の脚本を担当していた方で、本作が監督デビュー作となる。
主演は、「きみに読む物語」のライアン・ゴズリング。本作が映画初主演となる。

ダニエルの思想や歩んできた過去は回想シーンとして徐々に明かされ、なぜネオナチに傾倒していったのかが丁寧に描かれる。何より驚かされたのは、ダニエル自身がユダヤ人であるということ。本作は、監督自身がユダヤ人でありながらネオナチを素材にしたということが争点となり、サンダンスでの審査員賞を始め、海外で数々受賞したにも関わらず、アメリカでは一般公開されていないという事実がある。しかし特筆したいのは、ネオナチを素材にしているが、ユダヤ人やユダヤ教を批判した作品ではないということ。本作は、ユダヤ人がユダヤ人として生きることの葛藤を描いた作品である。

緊張感と説得力のある演技とストーリ展開には圧倒された。本作がもう少し社会的認知度の高い作品であったら、演じるライアン・ゴズリングの代表作になっていたことは間違いないだろう。初主演にしてもの凄い存在感を放っている。不動の人気は本作を観れば納得である。

believer2.jpg私も矛盾を感じつつの鑑賞で、中盤までの反ユダヤ的な行動やユダヤ教に対する批判的思想は、ユダヤ人でなくともあまり気分のいい展開ではない。しかし、親の期待に応えられず、敷かれたレールを外れ不良になってしまった青年の葛藤と捉えれば普遍的なテーマにも感じられ、終盤になるにつれて共感度が高くなる。ユダヤへの愛が感じられる内容だが、本作を批判している人たちは、最後まで観ていないのはないかとさえ感じてしまう。

大人たちの言うこと全てに反発するかのようにネオナチに傾倒したが、心のどこかではユダヤ教を否定しきれず、タリート(ユダヤ教の礼拝の時に男性が着用する、布製の肩掛け)を腰に巻いてTシャツで隠し、こっそり集会に通う姿も見られる。恋人がヘブライ語に興味を示したのをきっかけに、ユダヤ教への思いを一層強めるのであった。そして、ネオナチとユダヤとのジレンマに苦しみ抜いた末の結末はあまりにも哀しいが、観た者全ての心に響く印象的なシーンに導いている。

結末に触れています。
ダニエルはネオナチの仲間たちと共に集会の時間に合わせて爆弾を仕掛けていたのである。集会に参加していたダニエルは他の信者たちを一斉に外へ逃がし、自分1人が犠牲となった。そして、ひたすた階段を駆け上るダニエルに小学校の先生の姿が声をかける。「上に行っても何もないよ。」と。天国を目指しているのだろう。先生の言葉を振り払っても登り続けるダニエル。悔いるダニエルに酬いはあるのだろうか。

<鑑賞> 2011/11/21
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ライアン・ゴズリング

(未) A Bear Named Winnie <2004/加> ★★★

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A Bear Named Winnie
2004/90min/カナダ
ドラマ、戦争
監督/脚本:ジョン・ケント・ハリソン
出演:マイケル・ファスベンダー、ギル・ベローズ、デヴィッド・スーシェ、、スティーヴン・フライ
IMDb評価:6.9/10



A.A.ミルン童話「クマのプーさん」の着想になった物語。
あまりにも有名な話なので、結末まで書いています。




winnie2.jpg第一次大戦中のカナダ。獣医のハリー・コルボーン中尉は、休憩のために下車した町で売られている小熊に出会い、20ドルで購入する。コルボーンの故郷であるウィニペグ(Winnipeg)からウィニー(Winnie)と名づけられた。大佐の命令で一度は森に返すが、戻ってきてしまい、一緒に渡英することになる。しかし、前線には連れては行けず、最終的にはロンドン動物園に預けられ、人気者となる。そこに「クマのプーさん」の原作者ミルン親子が遊びに来ていた。父親が息子にウィニーの生い立ちを話し聞かせる姿があった。

監督は「トロイ ザ・ウォーズ」のジョン・ケント・ハリソン監督。出演は「エンジェル」「イングロリアス・バスターズ」のマイケル・ファスベンダー、「名探偵ポワロ」でポワロ役のデヴィッド・スーシェ、「ショーシャンクの空に」のギル・ベローズ、「Vフォー・ヴェンデッタ」のスティーヴン・フライ。

winnie1.jpg癒された~。子ども向けのテレビ映画で、わかりやすいストーリー展開。背景が戦争といえど戦闘シーンもなければ、血も流れない。私のように汚れてしまった大人が見ると、突っ込みたい所もあるが、ツベコベ語るのは止めます。
名優が名を連ねるが、主演はクマのウィニー。愛くるしい仕草が何ともいえない。常にコルボーンの後をちょこちょこついて回っていて、一緒にベッドで寝る姿は恋人のよう。メイキング映像を見ると、ほんとに懐いているようで、繋ぎ合わせではなく、もしかしたら実際に撮っていたのかも。

実際はコヨーテが原因なのだが、馬が逃げてしまったことに濡れ衣を着せられてしまい、森に返すように命じられてしまう。コルボーンはルームメートと森の深い所まで行き、置き去りにするが、何度試みても戻ってきてしまった。仕方なく、大佐たちには内緒で一緒に渡英してしまう。しかし、さすがに前線には連れて行けないので、ロンドン動物園に預けることになった。動物園でも当初は凶暴だと決めつけられ、“危険”という看板まで貼りつけられたが、人間に育てられたウィニーはおとなしい。檻に落ちた子どもを襲うのではなく、顔をぺろぺろ舐める姿を見て、飼育員たちは安心するのであった。負傷したコルボーンが療養中、寝言でウィニーに名前を呼んでいたと知り、すっかり大きくなってしまったウィニーがお見舞いに来たりと、ウィニーはとことん愛くるしい。
ウィニーは亡くなる20歳まで動物園の人気者だった。

<鑑賞> 2011/11/18

(未) Manic <2001/米> ★

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Manic
2001/100min/アメリカ
ドラマ、犯罪
監督:ジョーダン・メラメッドJordan Melamed
脚本/出演:Michael Bacall
脚本:Blayne Weaver
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ズーイー・デシャネル、ドン・チードル、エルデン・ヘンソン
IMDb評価:7.4/10

社会度 ★★
哲学度 ★
ゴア度 ★★
嫌悪感 ★★★



manic1.jpgライルは学校での喧嘩で相手に50針も縫わせる重症を負わせてしまった。大人たちはライルの言い分を聞こうとせず、そのまま精神病院に送ってしまう。ライルはセラピーを受けながら自分を見つめ直していく…。

監督は、ジョエル・シューマカー監督チェイス・クロフォード主演「トゥエルヴ(2010)」の脚本を担当したジョーダン・メラメッドの唯一の監督作品。出演は、「(500)日のサマー」のジョセフ・ゴードン=レヴィットとズーイー・デシャネル、「ホテル・ルワンダ」のドン・チードル。

これ、ポイントが全くわからなかった。ドキュメンタリー風に、精神病院の様子をひたすら垂れ流すだけの作品。本当に精神病の人もいるが、ほとんどの子は家庭環境が問題で、ドラッグや暴力に依存している子たち。自傷癖があり、リストカットを見せ合ったり、グループセラピーで境遇を告白しながら傷を舐め合う。普通に生活していたら想像もできないほど壮絶な人生を歩んできた子たちばかりで、すぐ感情的になり、観ている側も精神が病みそうになる。

実情を赤裸々に映すドキュメンタリーならばこういう展開も多少理解はできるが、問題定義だけで、監督の意図するものが何なのかもわからなければ、前向きな解決策も読み取れない。手持ちカメラの映像は臨場感があるのだが、酔ってしまう欠点もある。内容も内容なだけに、具合悪くなってしまった。トリアー監督の「イディオッツ」を彷彿とさせる作風で鬱に苛まれそうになる。

<鑑賞> 2011/11/17

(未) Roger Dodger <2002/米> ★★

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Roger Dodger
2002/106min/アメリカ
ドラマ、コメディ
監督/脚本:ディラン・キッド(監督デビュー作)
出演:キャンベル・スコット、ジェシー・アイゼンバーグ、イザベラ・ロッセリーニ、エリザベス・バークレー、ジェニファー・ビールス
IMDb評価:7.1/10


社会度 ★★★
哲学度 なし
共感度 なし
官能度 なし
ブラック度 なし


roger1.jpgニューヨークの広告会社でコピーライターをしているロジャーの所に 甥で16歳のニックが訪ねてきた。はやく童貞を卒業したく、手解きを受けに来たのである。金曜の夜、ロジャーは行きつけのバーや友人宅のパーティ、売春宿に連れ出し、ニックのお相手してくれる女性を探す…。

監督は「ルイーズに訪れた恋は…(2004)」のディラン・キッド監督の監督デビュー作。
「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグの映画デビュー作。「ソーシャル~」の捲し立てる口調にハマれなかったのだが、デビュー作からすでに頭角を現している。倍以上も年の離れた女性に熱弁をふるうあたり、ドン引きしてしまった。私は「ソーシャル~」が嫌いなのではなく、ジェシー・アイゼンバーグが嫌いなのかも…。

roger2.jpgロジャーは既婚者であり、女性経験豊富と自負している。持論のセックス論を理論的に並べ立ててはひけらかし、年下男性には慕われるが、女性には印象はよくない。説得力のある口調に説教をされている気分になり、私だったら、一緒に飲みたくもないし、寝たくないタイプ。

物語はほとんどロジャーの会話だけで成り立っていて、ロジャーの経験を基にしたセックス論を軸に展開していく。この手のことは成り行きに任せるのが一番で、16歳なのだからそんなに焦る必要もないとは思うが、ニックは必死で、ロジャーのプランを一つ一つこなしていくのである。

はやくバージンを喪失したいと焦る気持ちはよ~くわかるが、それを手助けするロジャーのやり方には共感できない。お酒の力を借り、勢いで事を運ばせようとしたり、友人に頼んでみたり、挙句の果てに最終手段は娼婦である。“セックスはどこにでもある”というのが彼の持論だが、どれも子どもが思い付くような方法であって、健全とはいえないし、ロジャーの思うように事は運ばない。大人なら、彼女を見つけるほうを伝授してあげるべきだと思うが、ロジャー自身も健全な道を歩んでこなかったのかもしれない。

結局、ニックはロジャーから学んだことはあったのだろうか…

<鑑賞> 2011/11/15
[サイト内タグ検索] 日本未公開

Mysterious Skin <2004/米> ★★★★

skin.jpgミステリアス・スキン/Mysterious Skin
2004/アメリカ
製作/監督/脚本/編集:グレッグ・アラキ
ドラマ、同性愛
原作:スコット・ヘイム
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブラディ・コーベット、ミシェル・トラッチェンバーグ、エリザベス・シュー
IMDb評価:7.8/10

2004年第61回ヴェネツィア国際映画祭
2005年東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映

嫌悪感 ★★★
社会度 ★★★
哲学度 ★★
刺激度 ★★★★★


カンザスの田舎町の少年ニールとブライアンは幼少時代同じリトルリーグに入団していた。男性コーチは性的虐待をしており、2人はその犠牲となっていた。ブライアンはその時は記憶が曖昧で、宇宙人に誘拐されたと信じ込み、ニールは男娼となっていた…。

skin1.jpg監督は日系三世のアメリカ人、グレッグ・アラキ。主役ニール役には「(500)日のサマー」 や「インセプション」のジョセフ・ゴードン=レヴィット。母親役にはエリザベス・シュー 。ブライアン役には「ファニ―ゲーム」のブラディ・コーベット。

同性愛やレイプを素材とした作品は人並みには観ているし、本作の概要も知っていたし、それなりに構えて観たつもりだったが、吐きそうになった。監督ご自身が同性愛者なだけあって、男性から見た男性の描き方のリアルさには、恐怖でおののいてしまった。しかしそれがまた癖になりそうな刺激。幼児性的虐待、エイズ、性病といった要素も加わり、本作の前に北野武作品をいくつか観たが、全て色褪せてしまうほどの問題作。グレッグ・アラキ監督には苦手意識があったのだが、本作は本人原作ではなく、他作とは作風が異なっていることを後になって知った。ジョセフ・ゴードン=レヴィットにも全く興味もなかったのに、不思議な魅力に執り付かれてしまった。(後日、出演作品アップ予定)当時23歳でありながら、14歳から成人までの役を見事にこなしている。

2人の幼少時代のリトルリーグの様子から丁寧に描かれる。コーチは子どもが好きなお菓子やおもちゃを用意し、数日間かけてじんわりと手懐けた後、行為に及ぶといったことを日常的にやっていた。子どもにしてみれば何をされているのか全くわからない。ニールに至っては行為はコーチのご褒美だと勘違いしてしまうという始末。回想シーンはどこかファンタジーのようなカラフルな世界になっており、ニールにとっては楽しかった出来事として記憶されいるのが恐ろしい。ニールは鮮明に覚えていて、ブライアンはうろ覚えになっている性的虐待の記憶が、2人の運命を翻弄していることだけは確か。性的虐待を受けた子どもがその後どう成長していくのかを描いた作品。

skin2.jpgニールの生き方が壮絶。コーチのせいで男性に目覚めてしまったニールは、男娼となり年上男性とばかり関係を持つようになる。その時に想像するのはコーチの姿であった。田舎町にそんなにゲイがいるとは思えないが、町の全ての男性と寝たとまで豪語している。やがて、更なる収入を求めてニューヨークに渡る。そして、客にコンドームを使うように言われ、コンドームの存在を初めて知るのであった。股間に痒みを訴えており、毛虱だろうか、その後治療を受けた様子もない。いかに危険な橋を渡って来たのかがうかがい知れる。幼馴染のウェンディに安全な仕事に就くようにとピザ屋店員の仕事を紹介してもらうが、すぐに男娼の仕事に戻ってしまうのであった。しかも、都会は田舎町とは違って一般的な性行為では満足できない客ばかり。その後どんな危険が待っているのか露とも知らずに。

やがて大人になり、実家に帰ると、ブライアンが待っていた。ブライアンは忌まわしい過去を記憶から消し去り、その空白は宇宙人にさらわれたからだと信じ込んでいたが、曖昧な記憶を埋めるためにニールに会いに来たのであった。

ニールに衝撃の事実を聞き、傷を舐め合う2人、その後どういう道を歩むのだろうか。一見対照的な2人であり、生き方も真逆であったが、絶望的ではなく、2人で乗り越えられそうな期待がやんわりと込められている。
幼児の性的虐待のシーンは編集を巧みに使い繋ぎ合わせたと知り、安堵。仮に映画だとしても子どもを犠牲にして性的虐待シーンを撮っていたとしたら、作品としてのメッセージ性を失ってしまうから。幼児虐待に強い批判的な描き方をしているが、同性愛者に対しての目線は温かい。

<鑑賞> 2011/11/11
[サイト内タグ検索] ジョセフ・ゴードン=レヴィット

(未) Wristcutters A Love Story <2006/米> ★★★

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Wristcutters: A Love Story
2006/88min/アメリカ
コメディ
監督/脚本:Goran Dukic(長編監督デビュー作)
出演:パトリック・フュジット、シャニン・ソサモン、Shea Whigham、レスリー・ビブ
IMDb評価:7.5/10


社会度 ★★★
共感度 ★★
哲学度 ★
ブラック度 ★★



wrist1.jpg彼女にフラレ傷心のジアは自宅のバスルームで手首を切り自殺を図った。しかし、目を覚ました死後の世界は、自殺した人たちだけが住む世界だった。人々は普通に生活しており、ジアは“カミカゼ”というピザ屋でバイトを始めるが、生活はパッとしない。そんな時バーで知り合ったロック歌手ユージンから、ジアをフッタ彼女も自殺を図り、この世界にいると言うことを聞く。生きていくのが嫌で自殺を図ったのに、それでも尚また生かされていても夢も希望もなかったが、“生き甲斐”(死んでいるのだが)を見出したかのようにジアのスイッチが入り、ユージンと共に彼女を探す旅に出る…。死後の世界での異色なロードムービー。

監督はクロアチア人で、本作が長編デビューとなる。主演は「あの頃ペニー・レイン」のパトリック・フュジット。

wrist2.jpg人々が普通に生活し、インフラ設備も整っており、一見、何の変哲もない世界だが、何か変。一度は希望を失い自殺した者ばかりなので、活気はなく、顔色も悪いし、状況もひどい世界。しかも、自殺した時の姿そのままなので、頭に銃痕が残ってる人なんかもぞろぞろいる。ジアも手首に傷が残ったままである。自殺により自らの命を絶ったといってもただ異次元に移動しただけで、思い出はそのまま残っている。良き思い出もあれば、自殺に至るまでの辛い体験も全て記憶しており、何かがリセットされるわけではないから、思考も悲観的なままである。しかし、自殺という素材をこんなにコミカルに描いている作品は初めてで、発想が新鮮で面白い。この世界で暮らす人たちは人生には失敗したが、“自殺の成功者”であり、初対面の人たちとの会話は決まって自殺方法。自殺理由ははっきりいってそれほど深刻なものではないが、呆気らかんと話す自殺エピソードが面白い。

死後の世界は決してユートピアではなく、前いた世界のほうがよっぽどよかったとを後悔させられることになる。皮肉にも、自殺をして初めて気がつく。私たちも大切な人を失ってみて初めて有難みに気がつくってことがあるけど、気がついた時は後の祭り。自殺してもいいことはないよってメッセージがきちんと込められている。

面白いのが、実はリアルライフと繋がっているブラックホールなんかもあったりして、気持ちいいエンディングになっている。

<鑑賞> 2011/11/5
[サイト内タグ検索] 日本未公開

(未) Pu-239 (別題:The Half Life of Timofey Berezin) <2006/米> ★★★☆

pu.jpg
Pu-239/The Half Life of Timofey Berezin
2006/97min/アメリカ
ドラマ、コメディ
製作:スティーヴン・ソダーバーグ
監督/脚本:スコット・Z・バーンズ(Scott Z. Burns)
原作:Ken Kalfus (short story "PU-239")
出演:パディ・コンシダイン、Oscar Isaac、Valeriu Pavel Dan、ジェイソン・フレミング、ニコライ・リー・カース
IMDb評価:6.9/10

社会度 ★★★★★
ブラック度 ★★★
哲学度 ★★★



ロシアの原子力発電所で事故が起き、自動制御システムが作動し、作業員のティモフェイは閉じ込められてしまった。施設責任者はそれを知りながら助けることなく逃げてしまう。放射能を浴びてしまったティモフェイはシャワー洗浄し、数値を測るが正常範囲内であったと知らされ、書類にサインの上、解雇。しかし、実は規定値以上の量を浴びてしまったことを後から知ってしまった。体調にも変化が現れ始め、余命あとわずかだということを悟った。職を失い、このままでは妻と7歳の息子を養えない。ティモフェイは施設から“プルトニウム(Pu-239)”を盗み出し、売り捌くことで収入を得ようと考えた…。

pu1.jpg「コンテイジョン」「インフォーマント!」の脚本家スコット・Z・バーンズの監督デビュー作。スティーヴン・ソダーバーグが製作を務める。主演はイギリス人のパディ・コンシダイン

ティモフェイは段ボールに“Pu-239”とだけ書き、100g30,000ドルでブラックマーケットで売り捌こうとしていた。そのマーケットはあるギャングたちの縄張りで、ギャングの一員シヴは「プ(Pu)って何だ?」と話しかける。“Pu-239”と化学記号で書いてしまうと、分かる人には分かるが、分からない人には分からない。シヴはギャングの下っ端で、車のワイパーや飼い犬を盗んでは売り捌き、得た金はボスに取られる生活。一攫千金でギャングから抜け出したいと思っていた矢先でもあり、何だかよくわからない物を売ろうとしているティモフェイの手助けをすることにした。
全く違う道を歩んできた2人だが、共に息子がおり、家族には普通の生活を送らせてあげたいとただただ願う良き父であった。

pu2.jpgギャングたちの行動をコミカルに描いているが、プルトニウムが何なのか知らないが故の無知なる行動には顔が引きつってしまう。自身が被爆者であるにも関わらず、プルトニウムを売ろうというティモフェイの考えも到底理解できない。悪人の手に渡り、核兵器でも作られたら自分の二の舞になる被害者が続出することは明らかである。しかし、余命わずかだと悟った彼はそんなことどうでもよく、身近な物で金になる物であれば何でもよかったのであろう。

被爆したティモフェイは、毛が抜け始め、吐血し、鼻や耳からも出血、皮膚も爛れていた。製作は2006年。広島、長崎、チェルノブイリに関しても言及しており、明らかに放射能の危険性を訴える内容である。隠ぺい体質の国営企業、危険物質の管理の甘さ、犠牲となる作業員といった、今の日本では決して他人事ではない問題がいろいろと見えてくる。

ギャングのボスは、マックのポテトは6分後に廃棄されるが、それを拾えば7分後にはビジネスになるとも言っている。どこにビジネスが転がっているのかわからない。見極めるのも才能であると妙に関心させられてしまった。しかし、チョコレートに含まれるテオブロミン(Theobromine)が犬にとって強い毒性であることを知らなかった。チョコレート8ピース食べて死んでしまうアフガン犬のエピソードは身近な物にも危険が潜んでいることを暗示していたのだろう。取り扱い方によってはたとえ悪意がなくてもどんな危険を及ぼすのかわからない。プラトニウムも手に渡った人の知識や使い方によってどう扱われるのか…

<鑑賞> 2011/11/14

(未) Stephanie Daley <2006/米> ★★★☆

step_20111108221915.jpg
Stephanie Daley
2006/92min/アメリカ
ドラマ
製作/出演:ティルダ・スウィントン
監督/脚本:Hilary Brougher(監督2作目)
出演:アンバー・タンブリン、Timothy Hutton
IMDb評価:6.2/10


社会度 ★★★★
哲学度 ★★★
宗教度 ★
余韻度 ★★★



少女が血を流しながら雪の上を歩いている。
スキー場のトイレで嬰児(えいじ)の死体が発見された。

学校のスキー教室に参加していた16歳の女子高生ステファニーは殺人容疑と死体遺棄容疑で逮捕された。未成年の彼女には検察側のカウンセリングが付き、一体何があったのか調査が行われた。ステファニーはリフトで上に登り、いざ滑ろうとした矢先、激しい腹痛に見舞われ、トイレに駆け込む。ドアの隙間からステファニーの苦しむ姿が見えるが誰も気にはとめない。トイレの一室でこんなに苦しんでいる子がいることなど誰も予想せず、トイレでぺちゃくちゃとおしゃべりする少女たちがいる中、ステファニーは声を抑えながら出産してしまった。死体は彼女が産み落とした嬰児だった。しかし、妊娠しているとは知らなかった、そして、死産だったと主張する。ステファニー本人は本当に妊娠に気が付いていなかったか…本当に死産だったのか…カウンセラーは妊娠前後の出来事からを詳しく聞き出し、カウンセリングによって真相を暴いていく…。

step1_20111108221915.jpg女優のティルダ・スウィントンが製作とカウンセラーのリンディー役を務める。監督は本作が2作目となる女流監督、Hilary Brougher。日本での公開作、ソフト化作品はない。主演は「127時間」のアンバー・タンブリン。

一番の論点となるのは、ステファニーは本当に妊娠に気が付いていなかったかどうかである。もしかしたら、気付いていた上で今まで隠し通していたのかもしれない…。犯罪なのか事故なのか、緊張感のある見せ方で、かなりハラハラさせられた。
カウンセリングを行うリンディーは29週の妊婦であり、40代半ば。高齢出産への不安を抱え情緒不安定なリンディーと、妊娠していることを知らなかったと主張するステファニーを対照的に描く。
リンディーは待ち望んでいた妊娠であるのに対し、ステファニーは望んでいなかったとはいえ、あまりにも平然とした態度でのカウンセリングには少々違和感を感じる。印象的なのは、警察による誘導尋問的な取り調べではなく、カウンセラーによるカウンセリングの仕方である。いつ、どこで、誰と何があったのか、妊娠前後の出来事からを詳しく聞き出し、本人に思い起こさせると同時に、感情まで引き出し、嘘を見抜こうとしているのである。

step2_20111108221915.jpg1人での壮絶な出産が地獄であり、地獄の体験でもうすでに罪は償ったと言うステファニー。しかし、その地獄を招いたのは自業自得とも考えられる。
未成年の軽率な性交渉、避妊を怠ったこと、生理不順を気にしなかったこと…学校で性教育を受けていたとはいえ、カウンセリングから見えてくるのはそういった教育が全く無意味であることと避妊への無関心さ。日本は避妊は男性がするという認識が高いが、欧米はその辺も男女平等で、避妊方法にピルを選択する人のほうが多いと感じる。自分の身は自分で守るという意識も高い。ステファニーが避妊を怠ったという責任も大きいであろう。
本作で彼女の行動の是非をめぐるわけではないが、観る側にも自問を促し考えさせる展開を見せている。ステファニーの何が間違っていたのか、どうすべきだったのか明確な答えも提示されず、結末も観る側の解釈に委ねられている。

ティーンエージャーの妊娠ストーリーはありふれているが、私が知っているのはほとんどがハッピーエンドで、そんなに現実は甘くないのに、妊娠の先には幸せな結婚生活が待っていると勘違いしてしまうような作品ばかり。その点、本作は未成年が観るべき内容。どうせ妊娠なんかしないって軽く思っている未成年には特に観て欲しいが、おそらくいい年の大人しか観ないんだろうな。

<鑑賞> 2011/11/7
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ティルダ・スウィントン

ウェイバック 脱出6500km <2010/米> ★★

2012年9月8日公開予定

the way back
The Way Back
2010/133min/アメリカ=アラブ首長国連邦
アドベンチャー、ドラマ
製作/監督/脚本:ピーター・ウィアー
原作: スラボミール・ラウィッツ
出演:ジム・スタージェス、コリン・ファレル、エド・ハリス、シアーシャ・ローナン、マーク・ストロング、ドラゴス・ブクルグスタフ・スカルスガルド
IMDb評価:7.3/10

自然美 ★★★
哲学度 ★
社会度 なし
余韻度 なし
感動度 なし
スリル度 なし


the way back1時は第二次世界大戦。ポーランド兵士のヤヌスはスパイ容疑をかけられていた。ソ連兵に脅迫され妻は嘘の証言をしてしまい、シベリア強制収容所に送られてしまうが、収容所で出会った人たちとの脱出を図る…。

監督は「今を生きる」「刑事ジョン・ブック/目撃者」の名匠ピーター・ウィアー。スラボミール・ラウィッツ手記小説「脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち」の映画化である。
出演は「ラスベガスをぶっつぶせ」のジム・スタージェス、コリン・ファレル、エド・ハリス、「ラブリーボーン」「つぐない」のシアーシャ・ローナン。

the way back2第二次世界大戦中といえど、戦争の様子や尋問、拷問のシーンはほとんどない。収容所といっても、檻に囲まれているわけではない。脱獄しても、極寒のシベリアでどうせ生き延びれないから、平地にただポツンと収容所が建っているだけなのである。それでもヤヌスは脱出を図ることにした。逃げることは容易であり、シベリアからインドまでの4000キロに渡るサバイバルをメインに描いているのだが…

どうも演出が甘い。任務中も人がバタバタと凍死する環境であるのに、脱獄してから環境が緩やかに見えてしまう。南東へ向かっているのだから、寒さは和らぎ雪も解けてくるのはわかるが、少々過酷なハイキング程度にしか見えず過酷さが全く伝わってこない。本人が本を書いているのだから生き延びたのは分かりきっている。タイトルを見れば、シベリアからインドまで歩いたこともわかる。どうサバイバルしたのかが見せ場であるのだが、苦労が見えない。そもそもなぜインドを目指したのかもわからない。

極限の環境であるのにも関わらず、仲間意識が強く、相手を思いやる気持ちばかり強く、美化しすぎ。仲間割れといった醜い骨肉の争いもない。リアルさが感じられないのも演技ではなく演出のせいだろう。俳優の持ち味も引き出し切れていない。コリン・ファレルのこんなに存在感の薄い作品、初めて観たよ。エド・ハリスも大好きな俳優さんだけど、なんだかなぁ。名匠ピーター・ウィアー監督にしてはお粗末すぎる。どうせなら、もっととことん感動系にしたほうがよかったのでは?
ロシアの農夫、モンゴルの遊牧民、チベット族、紅茶栽培風景の登場でその土地特有の自然美は楽しめる。

<鑑賞> 2011/10/27

(未) Heartbeats <2010/加> ★★★★

heart3.jpg
Les amours imaginaires/Heartbeats
2010/カナダ
ドラマ、ロマンス
製作/監督/脚本/出演/編集/衣装:グザヴィエ・ドラン
出演:モニア・ショクリ、ニール・シュナイダー
言語:フランス語
IMDb評価:6.9/10


普遍度 ★★★
哲学度 ★
官能度 ★★
映像美 ★★



heart1.jpgマリーとフランシスは大親友である。その2人の前に田舎から引っ越してきた青年ニコラが現れる。女性のマリーも男性のフランシスもニコラに心を奪われてしまう。そして、奇妙な三角関係が始まる…。

監督はカナダの新鋭、グザヴィエ・ドラン監督。カンヌ映画祭監督週間にて初長編「マイ・マザー/青春の傷口(原題:僕は母を殺した)(2009)」で鮮烈デビューを果たし、その1年後本作で再びカンヌに出品。デビュー作では同性愛者であることへの悩みや母との葛藤といった苦しい胸の内の告白に対し、本作ではそういった悩みを達観した落ち着きさえも見せ、普遍的な恋愛や友情を描いている。等身大の思いや悩みを投影しており、続編という位置づけではないが、順に見ると一歩大人になったと感じられ、監督自身の人間的成長が見られる。次回作はご本人の出演がないのが残念だが、どんな監督作品を見せてくれるのか楽しみ。
ニコラを演じるのは、前作で寮の友人を演じたニール・シュナイダー

heart2.jpg中心となる3人は等身大の若者。同じ男性ニコラを好きになってしまった親友マリーとフランシスの視点で描かれる。2人は内心ニコラに興味津々なのに悪口を言っては相手の腹を探ってみたり、ニコラの思わせぶりな仕草に期待を持ったり、ニコラ中心の生活が始まる。果たしてニコラの思いはどこにあるのか、ニコラの手の平でコロコロと転がされているようなストーリー展開をみせる。
うまくいかないもどかしさ、ほろ苦い思い、嫉妬、腹の探り合い、駆け引き、友情との天秤。
男性の同性愛的感情も含まれるが、至って純粋な恋心が描かれる。誰しもが経験する普遍的なストーリーだが、前作同様オリジナリティーに溢れ、この監督の手にかかると感性の豊かさが際立ち、見えるもの全てがオシャレになってしまう。

前作は詩の引用が印象的だったが、本作では映画界を代表するスターの名前が羅列される。ポップなカラーアート、ヴィンテージの服、クラシックな音楽、前作同様、独自のスタイルを貫徹している。次回作も同じ世界感を貫いてくれることを切望。

原題は“空想の恋”。また憎いタイトルをつけている。つまり、成就しない恋である。笑えるオチもこの方らしい憎い演出。この監督、タダ者ではない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/10/15

(未) Dakota Skye <2008/米> ★★★

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Dakota Skye
2008/89min/アメリカ
ドラマ、ロマンス
監督:John Humber(長編監督デビュー作)
脚本:Chad J. Shonk
出演:Scott F. Anderson、Matt Baker、Eileen April Boylan、Ian Nelson
IMDb評価:6.4/10


哲学度 ★★
普遍度 ★★★
催涙度 ★★
官能度 なし




dakota1.jpg17歳のダコタ・スカイはどこにでもいる普通の高校生だが、1つだけ不思議なパワーを持っている。それは人が嘘をつく時の本音がわかってしまうこと。進学や将来のことばかり気にしている同級生、仕事でいつも家にいない母親、関係は悪くはないけど、いつも嘘ばかりの彼氏ケビンにうんざりしていた。そんな時、彼氏の友人ジョナがニューヨークからやって来た。行動を共にするようになるが、彼の本音が読み取れない。パワーが薄れたのか、それとも嘘をつかない人なのか…。

監督は、ジョニー・デップ主演「ブロウ(2001)」、ジョン・トラボルタ主演「ソードフィッシュ(2001)」などにスタッフとして参加していた方で、短編監督2本を経て、本作が長編デビュー作となる。出演者もさほど有名な人はでていない。スーパーパワー系の話だとSF風だと思いがちだが、心情がよく描かれている良質なドラマ。

dakota2.jpg犬が病院に運ばれ、「大丈夫。きっと良くなるわよ。」と言われても、「もうすぐ死ぬわよ。」って本音が見えてしまう。セックス中、彼氏が「I love you」と言ってくれても、本心が「I love sex」だと見破ってからは冷めた表情。“嘘も方便”って言葉もあるし、必ずしも嘘が悪いとは思わない。でも人間ってどうしても本音と建前があって、社会にでると建前ばっかりでほんと嫌になることがある。歯の浮くようなことばかり言う人もいるし、この人の本心がわかったらどんなにいいだろうって思うことはある。主人公ダコタはそんな本音がわかってしまうというスーパーパワーを持っている。しかし、その能力が優位に働いているわけではなく、かえってこのパワーのせいで人を信じることができない。人間は皆嘘をつくって思い込んでしまっているため、いつも投げやりな態度で卑屈。可愛げがなく、夢も希望も見失いかけてしまっている。そんな時現れた彼氏の友人ジョナ。いつも調子のいい彼氏ケビンとは違って、真面目で誠実な彼に出会ってから、微妙な変化を見せ始める。ストーリーが素朴だからこそ際立つ2人の演技力。感情の微妙な揺れが見事に表現されている。

多感な年頃の青春ものではあるが、人の嘘を見破れるというスーパーパワーのお陰で、趣旨の異なる作品。特別な能力の有無に関わらず、人間関係に悩まされた事のある人なら共感ポイントがある普遍的な話。信じられる人を見つけるって大事だなって考えさせられた。

<鑑賞> 2011/10/16
[サイト内タグ検索] 日本未公開

ドライブ <2011/米> ★★★★

drive.jpg
Drive
2011/97min/アメリカ
アクション、犯罪、ドラマ
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
原作:James Sallisの同名小説
脚本:Hossein Amini
出演:ライアン・ゴズリングキャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、アルバート・ブルックス、ロン・パールマン
受賞:第64回(2011)カンヌ映画祭 監督賞 (その他ノミネート、受賞作品はこちら)
IMDb評価:8.7/10

嫌悪感 ★★★
映像美 ★★
社会度 なし
哲学度 なし


drive1.jpg主人公の男は、昼はハリウッド映画のカースタントマンとして働き、運転技術を買われ、夜は組織の逃走車両のドライバーの仕事をしている。隣に住む女性に恋をするが、彼女が陰謀に巻き込まれている事を知り、守るために体を張って危険を冒す…。

10本指に入るほど好きなニコラス・ウィンディング・レフン監督。日本での公開作はなくソフト化もたった2作であり、知名度が低いのは仕方ないとは思うが、今公開されているアメリカでもまだまだ無名に近いようでアメリカ映画には類を見ない作風が今更ながら話題を呼んでいる。カンヌで監督賞を受賞しているが、オスカーにも絡んできそうな勢いをみせていると素人ながらに感じる。作品賞、監督賞、主演男優賞あたりノミネートされるのでは?

監督にとって初のアメリカ映画であり、唯一脚本に携わっていない作品となるが、過去2作品「Bronson」「Valhalla Rising」と同様の作風であり、あたかも監督自身が脚本を書き上げたかのように消化し、独自の世界感を作り出している。次作とその次もライアン・ゴズリングを主演に迎えたアメリカ映画となるらしい。いち早く目をつけていたことに若干の優越感を感じつつ、デンマークから離れてしまったことは少々淋しい。

drive2.jpgはっきり言って、何度もアメリカで映画化されたようなカーアクションであり、ストーリ自体には新鮮味はない。この監督の魅力は平凡なストーリーをどう個性的に、そして主演俳優の潜在能力をいかに引き出すかである。「Bronson」でのトム・ハーディーや「Valhalla Rising」でのマッツ・ミケルセンが魅せてくれたようにライアン・ゴズリングも今までにない存在感を放ち、驚愕の一面を見せている。アクションスターとして名を馳せる日はそう遠くないかもしれない。
前半は、主人公と周囲の人たちとの交流や心情に重きを置いた人間ドラマがしっかり描かれる。後半では寡黙な主人公からは想像もできないほど目の離せない凶暴ぶりが怒涛のように押し寄せ、暴れぶりは相当の覚悟を要する。
ハリウッド映画のような派手な演出はないが、残酷さは脳裏に焼きつき嫌悪感たっぷりである。しかしながら、キレのある運転さばきや暴力描写ですら鮮やかでもあり、各シーンが芸術的に撮られ監督の個性が光る。女性とのロマンスに頼りすぎない展開もこの監督のスタイル。アメリカ進出に作風がハリウッド化してしまったのではいう懸念もあったが、心配無用だった。控えている監督×ゴズリングの2作品への期待も高まる。

<鑑賞> 理解度80% 2011/9/26

海へ (原題:Alamar) <2009/メキシコ> ★★★★

alamar.jpg
Alamar/To the Sea
2010/72min/メキシコ
ドラマ
監督:ペドロ・ゴンサレス・ルビオ(Pedro Gonzalez-Rubio)(長編監督2作目)
出演:Natan Machado Palombini、Jorge Machado、Nestór Marín
IMDb評価:7.2/10


映像美 ★★★★★
余韻度 ★★★
哲学度 ★★





alamar1.jpg少年ナタンは、イタリア人の母とメキシコ人の父を持つ。両親は離婚し、母とローマに住んでいるが、休暇の数日間をメキシコの海で父親と過ごすこととなった。舞台は世界第2位のサンゴ礁群の広さを持ち、世界遺産となっているメキシコ、バンコ・チンチョロ(Banco Chinchorro)。大自然の中で繰り広げられる父子の日常生活をドキュメンタリーのように描きながら、ナタンの心情が静かに紡ぎだされる。

監督は、ドキュメンタリーの撮影出身で、本作の撮影も自身がされている。本作は“なら国際映画祭2010”で上映され、見事ゴールデンSHIKA賞を受賞している。次回作NARAtive作品の舞台は十津川村に決定し、撮影は台風襲来の前に終了している模様。本作でとっても綺麗な映像を魅せてくれた監督の目に十津川村はどう映るのだろうか。

alamar2.jpgナタンの父親は漁業を営む老人と暮らしている。魚やロブスターを獲って生計をたて、自分たちが食べる魚も潜って獲り、すぐさま海の上で調理をする。魚のアラを海に投げると魚や鳥が集まり、亀と戯れ、自然の生き物たちと共存する毎日。都会育ちのナタンにとってはここで起こる全てのことが新鮮であるが、父と老人にとっては“生きる”ための術であった。大自然で過ごす数日間はとても意義のある経験となり、一日一日成長している姿がじんわりと映し出される。

軸となるストーリーはなく、言ってみれば大自然が主役である。実際は違うようだが、脚本なんかなく、自然な姿を隠し撮りしているような味わいがある。親子の会話は極力抑えられ、ゆったりのんびりした時間の流れと澄み切った空や海が一番印象に残る。私自身、大人になって田舎暮らしを経験し自然に対する思いが大きく変わったことを実感している。大自然の有難みを知ったのはつい最近のこと。ナタンのような子どもの頃に経験しておきたかったと思う。

「題名AlamarにはMar(海)とAmar(愛)というテーマが込められています。」と語る監督が言っているが、海への接し方には愛情が溢れている。“生命とは何か”静かに自問自答を促しながら、自然を守らなければならない使命感がじんわりと沁み渡ってくる。

<鑑賞>英語字幕2011/9/12
[タグ未指定]

(未) ウェンディ&ルーシー <2008/米> ★★★★

wendy.jpg
Wendy and Lucy
2008/80min
ドラマ
原作:ジョナサン・レイモンドの短編小説
監督/脚本:ケリー・ライヒャルト(Kelly Reichardt)(長編4作目)
出演: ミシェル・ウィリアムズ、ウォーリー・ダルトン、Lucy、David Koppell
IMDb評価:7.1/10


社会度 ★★
催涙度 ★
ゴア度 なし




wendy1.jpg仕事を求めて、愛犬ルーシーと車でアラスカへ向かうウェンディ。ところが途中のオレゴンで車が故障し、旅は一時中断。所持金を少しでも残しておきたい彼女はドッグ・フードを万引きしてしまい、警察に連行されてしまう。長い拘留後に彼女は釈放されるが、店の外に繋いでおいたルーシーの姿は消えていた。なけなしのお金で車を修理に出し、野宿をしながら必死に愛犬を捜すウェンディだったが…。@シネフィル

ケリー・ライヒャルト監督のオレゴン3部作の2作目。ミシェル・ウィリアムズ演じるウェンディーはホームレスの役柄であり、撮影期間中お風呂に入らず、ノーメイクで挑んだという。とことんシンプルさを追究したストーリーは彼女の演技なしでは成立しなかったと思わせるほどの演技を見せている。ルーシー役の犬は監督が飼われている犬であり、監督3部作の1作目にも出演している。

ウェンディーはとことん運が悪い。家もなく職もないのに、兼住居であり交通手段の車は故障し、唯一の心の支えである愛犬ルーシーもいなくなり、不安要素ばかりが積み重なる。それは個人主義集団のアメリカで生きる不安の象徴ともいえるだろう。ウェンディー+愛犬ルーシーの“旅の過程”に焦点を当てているが、困難でなかなか前に進めない。しかし、差し当たって大事件が起こるわけでもなく、生きていれば、この程度の困難はつきものである。誰にでも起こり得る出来事を解決する過程はごく普通だが、リアルなアメリカの姿が投影されている。

wendy2.jpg韓国映画で犬が登場すると、間違いなく催涙性が高く、みえみえの演出に嫌気がさすことが多い。アメリカだとディズニー系のような感動系(?)がすぐに頭に浮かぶが、泣く気にもなれないほど厳しい現実や個人の力ではどうにもならない人間の弱さを突きつけられる。ウェンディーの鼻歌以外音楽はなく、静かにしかも淡々とストーリーは進むが、女性1人で生きることの難しさや無防備でいることの危険さも伝わってくる。

監督は、05年のハリケーン・カトリーナで家や家族を失った人たちがゼロから再出発する人々のことを考えている時にこの物語に巡り合ったという。主人公ルーシーの背景は描かれず、災害の犠牲者なのかどうかもわからない。もしかしたら、大恐慌以来最悪と言われるアメリカの不況に大打撃を受け、職を求めてアラスカを目指しているのかもしれない。しかし、旅はここからという所でストーリは唐突に終わってしまう。
私の目には、ウェンディーは全てを失ったというより、全てを投げ捨てたキャラクターで、過去を断ち切り新たな生活を求めてアラスカを目指しているように映るが、解釈は観客の想像に委ねられている。

面白いのが、本作を憂鬱映画だという人が多いということ。私は過去の自分とは断ち切り、前に進もうとする姿に力強さを感じた。結末を前向きに捉えているが、本作で号泣したという人たちの琴線はどこだったのだろうか。

<鑑賞> 2011/9/5
[サイト内タグ検索] ミシェル・ウィリアムズ

南から来た女 (原題:Lifting de corazón) <2007/アルゼンチン=西> ★★★☆

lifting.jpg
Lifting de corazón/Heartlift
2005/94min/アルゼンチン=スペイン
コメディー、ドラマ、ロマンス
監督:エリセオ・スビエラ
出演:ペップ・マンネ、マリアナ・アンヒエーリ、マリア・バランコ、アルトゥーロ・ボーニン
IMDb評価:5.6/10

ブラック度 ★★
哲学度 ★★★
官能度 ★★★
邦題のセンス ん~




lifting1.jpg美しい妻と子供に囲まれて順風満帆の人生を送るセビリアの美容整形外科医アントニオは、学会で出張したブエノスアイレスで若くて魅力的な女性デリアと出会い、恋に落ちてしまう。情熱的なロマンスに溺れ、スペインに帰国しても元の生活に戻ることができないアントニオは…。@シネフィル

アルゼンチン出身のエリセオ・スビエラ監督、性のストレートな描き方には若干苦手意識がある。IMDb評価がかなり低いのは、監督の持ち味であるブラック要素が控えめだからなのか。かえって私には好印象であった。不倫が題材とはいえ、普遍的な“老い”というテーマを描いており、この監督には珍しくかなりまともな内容。
主演は(私の好きな)ペップ・マンネ。シネフィル放送作品だと、ルイス・プエンソ監督「娼婦と鯨」での夫役。

lifting2.jpg大学で教壇に立ち、海外の学会でも発表するほど整形外科医としての名声を築いているアントニオ。患者の気持ちと、時間と共に衰えていく容姿の怖さを一番によくわかっている人物でもある。しかし、倫理的に悩む一面も見せている。

患者の願いは時間を遡ることで、医師にできることは手を貸すことだが、それが倫理的といえるのか
大衆文化による影響を考える必要がある 
自然の要求なのか他人の目を気にしてのことなのか
だが、美貌を賛美する風潮が広がったことで整形外科の可能性も広がった


アントニオは、娘の妊娠を知り、祖父になる喜びを感じる一方、老いを感じていた。もう1人子どもを作ろうと妻に打診するが、年寄りの母親より若いおばあちゃんのほうがいいと断られてしまう。そんな時に出張先で出会ってしまった若く魅力的な女性。すぐに恋に落ち、溺れていくが、結局は自身の老いを再確認するだけであった。

倫理的観点との矛盾に悩まされながら、揺れる思いを巧みに描いている。数日前に再アップしたキム・ギドク作品「絶対の愛(原題:時間)」では、整形手術によって時間を巻き戻そうとする女性への皮肉や整形外科医の意義を描いているが、本作は男性整形外科医の視点による自身の“老い”がテーマである。作風もアプローチの仕方も全く異なるのに、結論の落とし所が同じであるところが面白い。中年男性の揺れる思いに焦点を当てており、ドロドロな泥沼感がないのも好印象。

原題は「中心部を持ちあげる」という意味。アントニオは豊胸手術の名医でもあった。

<鑑賞> シネフィルにて 2011/8/30
[サイト内タグ検索] ペップ・マンネ
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