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2010年 My Best

2010年鑑賞本数(新作、旧作、再鑑賞も含む)は293本(韓国137本、韓国以外156本)。
韓国映画と韓国映画以外のランキングです。★評価とリンクしていません。

日本未公開とは、劇場はおろか、映画祭上映、DVD等発売されていないものとする。
日本劇場未公開とは、映画祭上映またはDVD等発売されているものとする。

*韓国映画*
1. 301 302 <1995/韓>
2. 下女 <1960/韓>
3. 人を探します <2009/韓>日本未公開
4. 木のない山 <2009/韓>
5. 訪問者 <2006/韓>
6. 暴風前夜 <2009/韓>
7. 冬の小鳥 <2009/韓>

*韓国映画以外*
1. ハンガー <2008/アイルランド>日本劇場未公開
2. 尋問 <1982/ポーランド>
3. Next Door <2005/ノルウェー>日本未公開
4. Katalin Varga<2009/ルーマニア>日本未公開
5. 光のほうへ <2010/デンマーク>
6. Dead Man's Shoes <2004/UK>日本未公開
7. The Weakness of the Bolshevik <2003/スペイン>日本未公開
8. 16歳の合衆国 <2002/米>
9. この森で、天使はバスを降りた <1996/米>
10. 堕天使のパスポート <2002/UK>
11. Pradise Now <2005/イスラエル>
12. 4か月、3週間と2日 <2007/ルーマニア>
13. 父、帰る <2003/ロシア>
14. シクロ <1995/ベトナム>
15. 君を想って海をゆく <2009/フランス>
16. The Trap <2007/セルビア> 日本未公開
17. You Will Be Mine <2009/仏> 日本未公開

2010年の韓国公開映画、ドラマ共に私的には不作。何十本途中挫折したことか。最後まで観たとしても結局は韓国語勉強の題材になった程度のものが大半を占めている気がする。残念なことに来年公開作品でもあまり期待しているものはない。60年代~80年代作品を多く観ようと思っている。

韓国以外では、ポーランド映画に目覚め、視野が広がったように思う。来年はポーランド人監督作品を優先的に観たい。そして、中断している旧ソ連やロシアの長編ドラマも再挑戦したい。

韓国映画にしても韓国以外の映画にしても上位3位が群を抜いて面白かった。
来年も良い作品との出会いがありますように♪

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[ 2010/12/31 15:22 ] My Lanking & List | TB(4) | CM(13)

監禁ハイウェイ <2009/UK> ★

hush.jpg
Hush
2009/91min/UK
監督/脚本: マーク・トンデライ
出演:ウィリアム・アッシュ、クリスティン・ボトムリー、アンドレアス・ウィズニュースキー、クレア・キーラン
IMDb評価:6.1/10

邦題のセンス ★
衝撃度     ★
恐怖度     ★

激しい雨の中のハイウェイ。ゼイクスとベスは車で家路へ急ぐが、痴話喧嘩から険悪なムードに。べスはふてくされ、アイマスクをして寝てしまう。ゼイクスは運転を続けるが、追い越し際に偶然開いたトラックの荷台に裸の女性がいることを目撃する。もしや監禁されているのではないかと思い、警察に通報し、自分たちはトラックの後を追う。

ハイウェイから始まり、ドライブイン、駐車場、森林、森林にひっそりと佇む一軒家、、、と舞台は変わり、その都度予測不能なハラハラする事件がある。飽きずに展開するが、その場限りの出来事で伏線になっていないのが残念なところ。サブストーリーとしてゼイクスがべスの浮気知ってしまうが、これも最後まで活かしきれていない。危険を顧みず見知らぬ女性を助けようとするゼイクスの正義感もちょっと大袈裟。

クライマックスになるはずの救出劇もかなり呆気ない。犯人の動機も明かされず消化不良。ミステリーとしてではんく、単なる救出劇として観た方がよかったのかもしれない。この手の話はハリウッドもののほうが断然面白い。暇つぶしに観る程度の作品だと思うけど、どういうわけだか日本でDVDが発売されている。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/30
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237. ペパーミント・キャンディー <1999/韓> ★★★

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박하사탕/Peppermint Candy 
1999/130min
監督:イ・チャンドン「グリーンフィッシュ」「シークレット・サンシャイン」「
出演:ソル・ギョングムン・ソリ、キム・ヨジン
IMDb評価:7.7/10

韓流度 ★★
社会度 ★★★★

人は死ぬ時、過去が走馬灯のように蘇るというけれど、本作はまさに命を断つ瞬間に蘇る過去の出来事を描いた映画である。自殺を決意したヨンホは鉄橋の線路に立ち、自らの20年間を振り返る。韓国社会を背景に3日前、5年前、12年前、15年前、19年前、20年前というふうに現在から過去へと遡る逆順構造型、7章で構成されている。一体彼に何があったのか?何が彼を自殺までに追い込んだのか?観ているうちに「あ~そういうことだったのか」という瞬間が何度も訪れる。
candy1.jpg
章と章の間、列車が走る映像が使われていますが、併走する車や人々が後ろ向きに走っているので、巻き戻し映像だということがわかる。彼の運命とは列車のように敷かれたレール、すなわち時代に翻弄された人生を歩んだということだろうか。韓国は79年から99年までの20年間で、戒厳令の軍政国家から民主主義国家へと大きく生まれ変わっていった。ヨンホの場合、光州事件で自分の意思とは関係なく手を汚してしまった。そこから生まれた社会や人に対する不信感や絶望感。社会の変動が個人に与えた影響の大きさは計り知れない。こういった影響をどう受け止めるかで人生も大きく変わってしまうのだろう。

しかしながら、最終的に個人を支配するのは自分の意思である。妻との結婚や警察官になったことは間違った選択であり、罪悪感を感じていた。軌道修正にも悉く失敗している。罪深くもあり、愚かでもあったがゆえに自らの意思で自殺を決意している。

「人生は美しい」がキーワードとなっている。人生を絶つ直前に振り返りたくなるのは美しかった人生なのであろうか?美しかった人生の始まりにはペパーミント・キャンディーとの出会いがあり、「純粋」を暗喩しているように思える。「純粋」だった頃の良き思い出にはいつもペパーミント・キャンディーがあった。年を重ねれば重ねるほど忘れてしまう純粋な思いを変わらずに持ち続けることの難しさ。そして、大切さ。逆順構造型で描くことによって内に秘めていた思いや何が大切なのかが際立っているように思えた。

ヨンホより人生経験の浅い私には「人生の美しさ」がまだわからない。彼ほどの絶望を経験していないから本当の美しさを見極めることがでいないのかもしれない。ヨンホの年齢に近づいた時にまた観直したいと思う。

日本大衆文化が完全禁止されていた韓国において、98年秋にやっと一部解禁された。日本ではさりげなくニュースにされた程度だったけど、韓国にどっぷりハマっていた私には大ニュースだった。本作が日韓合同第1作目である。解禁直後は韓国も日本文化に溢れていたけど、今はどうだろうか。アジア全体が韓国ブームにおされて、日本文化は残念ながら廃れてしまっているような気がする。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/28
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(未) Hidden <2009/ノルウェー> ★★★

hidden.jpg
Skjult
2009/95min/ノルウェー
監督/脚本:Pål Øie
出演:クリストファー・ヨーネルセシリー・A・モスリ、Anders Danielsen Lie
IMDb評価:5.9/10

衝撃度 ★
恐怖度 ★★★
映像美 ★★★

アメリカでの評判を知り鑑賞。偶然にも以前観たノルウェー映画「Next Door」に出演した2人がこちらでも共演。hidden2.jpg
クリストファー・ヨーネルは私にとっての2作目にしてお気に入りの俳優さんになってしまった。切羽詰まった時の凍った表情がたまらなくいい。

裸の少年KKが森から道路へ駆け抜けるとちょうどそこへトラクターがやって来る。トラクターは少年を避けるためハンドルを切り返したが、停車していた車に衝突、炎上させてしまう。車に乗っていた夫婦は亡くなり、たまたま車を降りていた息子は間一髪を逃れはしたが、一瞬にして両親を亡くしてしまった。裸の少年KKは自分が招いた大惨事に腰を抜かし、息子は走って山奥へ逃げてしまう。

冒頭のツカミは見事にハマる面白さ。舞台となる森は、監督のご自宅だったか故郷近くのHordalandという町に実在する森だそうで、まさに本物のノルウェーの森。断崖絶壁の滝など手つかずの自然も素晴らしく、ホラーとしても絶好なロケーション。

裸の少年は大惨事の後、町を出て行ったようで、母の死をきっかけに19年ぶりに町へ舞い戻る。もはや廃墟と化した家を相続することになるが住める有様ではなく、近くのホテルに泊まることにするが、実はホテルと実家が繋がっているという事実を知ることとなる。そして、町では不可解な連続殺人事件が起こり、疑いの目は裸少年KKに・・・
hidden1.jpg
相続した家は幽霊屋敷となっていた。彼の幻想なのか、家が呪われているのか、すごい形相の幽霊が突如出現したりなど油断していると不意打ちをつかれる。驚きと恐怖のあまり何度息をのんだことか。常に点滅している蛍光灯や散らかり放題の部屋も不気味な演出が施されている。しかし、中盤からはミステリー仕立てとなっていく。
KKの表情は、終始曇っており、タイトル「Hidden」の通り何かを隠しているよう。ポスターにも「Fear what you can't see(見えないものを恐れる)」とあるが、本当の怖さは幽霊ではなく、見えないものにある。連続事件の謎と共にその見えない怖いものが徐々に明らかになっていく。結末は読めてしまったものの、ホラー映画とは思えないヒューマンドラマのようなエンディングに何とも言えない悲しさが込み上げた。若干説明不足だが、想像力に委ねられる被害者の息子の謎もミステリーらしくていい。KKの最後の表情が感慨深い。

予算は2万ユーロ程度だそうで、かなりチャレンジな撮影だった監督は語る。幽霊屋敷も森同様Hordalandに実在する家だとか。ただし、森と家は中心地にあり森とは離れていたため、あたかも森が裏にあるように見せるのに苦労したそうだ。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/28
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236. グリーンフィッシュ <1997/韓> ★★★★

green.jpg
초록 물고기/Green Fish
1997/114分/18歳以上
脚本:イ・チャンドン、オ・スンウク 
監督:イ・チャンドン[デビュー作]「シークレット・サンシャイン」「
助監督:チョン・ジニョン、オ・スンウク
撮影監督:ユ・ヨンギル
出演:ハン・ソッキュ、ムン・ソングン、シム・ヘジン、ミョン・ゲナム、ソン・ガンホ、チョン・ジニョン、イ・ムンシク  
IMDb評価:6.9/10

韓流度 ★★★★
暴力度 ★★
哲学度 ★★★

<あらすじ>
軍隊を除隊して故郷行の汽車に乗ったハン・マクトンは,汽車のデッキで風に飛んだミエのバラ色のスカーフを拾い,彼女をチンピラから助ける。マクトンは,スカーフを返すために訪れたあるナイトクラブで,歌を歌うミエと再会する。ミエは,ヨンドポ(永登浦)一帯を掌握した組織暴力団のボス,ペ・テゴンの情婦であり,彼を通じてマクトンの働き口を用意してくれる。マクトンは,ペ・テゴンの信任を一人占めするが,ミエとの不明瞭な関係は,危険な状況につながる。そんな時,ペ・テゴンの元ボスのキム・ヤンギルが現れる。ペ・テゴンは,全面戦争を避け,ミエを捧げまでしてヤンギルを避けようとするが,マクトンは,ヤンギルを殺害しようとする。

<レビュー>
生まれて初めて観た韓国映画を再観。当時は日本語字幕なんて存在しなかった時代。ろくに韓国語もわからないのに観れるだけでも有り難いと思いながら、喰いるように観ていたのが懐かしい。10年も経つと当時見えなかったものが見え、印象がかなり違う。再観してよかった。イ・チャンドンの監督デビュー作でもあり、当時、賞を総なめにした作品である。

軍隊を終えたばかりのごく普通の青年マクトン。都市化によって孤立し、バラバラになりつつある家族と昔のように一緒に暮らすというのが彼の夢であった。絶望の中で出会ってしまったヤクザ組織。家族意識の高いヤクザ組織はマクトンの目には自分の夢を実現しているかのように映ってしまったのではないだろうか。流されるがままに足を踏み入れ、忠誠を尽くそうともがく姿には迷いや戸惑いも滲み出ている。もぎこちない暴力シーンからは根っからの悪人ではないことがわかる。

グリーンフィッシュ(緑の魚)とは幼少時代の家族との良き思い出の象徴とされている。電話ボックスで泣き崩れながらグリーンフィッシュについて語るシーンが未だに名シーンと言われ続けるのも納得。かつて(今も?)「韓国ノワール映画の傑作」と評されたのも再観してようやく理解した。

テーマは家族の再生と崩壊。本作で描かれる家族とは「肉親の家族」のことでもあり「家族組織のヤクザ」のことでもある。情に厚い韓国らしい描き方。対極する二つの家族がマクトンを中心に再生と崩壊を描く。不条理でありながらも皮肉的な結末には全てが集約されており、死をも超越してしまっている。

大企業の地位を捨て俳優に転身したムン・ソングン。「知性派俳優」と呼ばれたり、「1000の顔を持つ男」とも呼ばれたりもするが、ほんとに次から次へといろんな役を演じている。本作のヤクザのボス役は、しゃべり方や歩き方、振る舞い方まで見事にこなしている。製作者としても参加しているそうだ。その他、ソン・ガンホなど大物俳優軍が名を連ねる。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/25
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(備忘録) 小説家を見つけたら <2000/米> ★★★

FINDING FORRESTER
2000/136min/アメリカ
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ショーン・コネリー、アンナ・パキン、マット・デイモン、ロブ・ブラウン
IMDb評価:7.2/10

「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のガス・ヴァン・サント監督が、伝説的な天才作家と文才のある黒人少年の心の交流を描いた人間ドラマ。ニューヨーク・ブロンクス。16歳の少年ジャマールは、ある日、バスケ仲間にそそのかされて忍び込んだ謎の老人の部屋にリュックを置き忘れてしまう。中には彼が秘密にしていた自分の創作ノートが入ってた。やがて、彼のもとに戻ってきたリュックの中のノートには赤字で老人の批評がびっしりと書かれていた……。(by allcinema)

VHSテープを整理していたら録画されていて再鑑賞。結末も知っていたけど、数年経って観るとやっぱり印象も変わる。備忘録程度にちょっとメモ。
今回新たに心に響いたのは、後継者を残すという老人の意志であり、遺志。
一般的に後継者を育てたいと思うのは、自分に自信があり、ある程度の地位を確立しているからこそ思うこと、だと思っていた。しかしながら、必ずしもそうではないような気がしてきた。
フォレスターは1冊しか出版しておらず、もしかしたら自信を喪失していたのかもしれない。
後継者を育てるということは子を設けることと同じであって、果たせなかった夢を子に託す親の心境と似ているのような気がした。

原題にしても邦題にしても、ジャマールを主体にしている。私は老人視点で観てしまった。

<鑑賞> 2010/12/25


[サイト内タグ検索] ガス・ヴァン・サント監督
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1周年 & 変更点について

(日時を遡って記事公開をしていますが)ブログを開設して今日で1年になりました。
日本での劇場公開とタイミングがずれるし、マニアックな作品が多いので、誰も見てくれないんじゃないかって思っていましたが、毎日のアクセス数もいつの間にか3ケタに。ありがとうございます。

ここ1週間ほどアクセス解析を分析してみて、ふと思ったこと。検索から来られる方はごく一握りで、大半の方は初回訪問ではないということ。お気に入りに入れてくださっているということなのでしょうか?もしそうなら有り難いことですね。どんな映画がお好きなのかな?どの記事を読んでくださっているのかな?なんて興味も湧きますが、こちらからは覗えないのが残念です。そんな方々からも気軽にコメントでもいただけたらいいなぁなんて思っている次第です。より多くの方々と分かち合えたらいいですね。

変更点について、ちょっとここにまとめておきます。
<タグ検索>
韓国映画にとどまらず、他国の映画もアップし始めてしまったため、タグ一欄が余計に使いづらくなってしまいました。ほとんどがカタカナで探しにくいし、数が多いのが難点。せめて50音順に並べ替えができたらと思い、テンプレートをいじってみましたが、うまくいきませんでした。そこで記事ごとに[サイト内タグ検索]をつけることにしました。サイト内にある同じタグの記事が表示されます。ご活用いただければと思います。

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同カテゴリー内の記事がランダムで9件表示されます。

<日本未公開映画>
タイトルだけ見てもわかるように、タイトルの前に(未)をつけることにしました。そして、『日本未公開』のユーザータグをつけ、サイト内検索もできるようにしようと思います。目次の下のサイトマップより、全タグ一覧を表示させるとトップに来る予定です。


また、「ぜひ観てください。」とご推薦いただいた映画も多々ありました。入手困難で観れなかった作品、残念ながら挫折してしまった作品は記事にしていません。ご了承ください。

ご推薦、ご要望、ご意見、苦情等々ありましたら遠慮なくどうぞ。2年目もどうぞよろしくお願いします。
ちょっと早いですが、よいお年を~
[タグ未指定]
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デザート・フラワー <独=オーストリア=仏> ★★★

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監修/原作:ワリス・ディリー
監督/脚本:シェリー・ホーマン
出演:リヤ・ケベデ、サリー・ホーキンス、ティモシー・スポール
IMDb評価:7.0/10

邦題のセンス ★★
衝撃度     ★★★★
社会度     ★★★★

彼女の名前はWaris。ソマリ語で「Desert Flower(砂漠の花)」の意。
貧しいソマリアの遊牧民家庭で生まれ育ち、スーパーモデルとして世に名をはせるまでの半生を描いてる。前半は華々しいファッション界へのサクセスストーリーだが、中盤からは本質である女性としての生き様に焦点を当てている。同じ女性でありながら、あまりにもショッキングな出来事に言葉を失う。
ワリス・ディリーの自伝「砂漠の女ディリー」をワリス本人による監修のもと映画化。
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彼女の生い立ちについて by Wikipedia
1965年、ソマリアの遊牧民の一族に生まれた。生まれた頃の家族構成は父、母、姉。姉は女子割礼の為に亡くなり、弟が1人出来るが厳しい環境に耐えられず餓死。しかし更にその後2人の弟が出来た。それ以降ワリスは親元を離れたので不明。

13歳の時、ラクダ5頭の為に60代の男性と結婚させられそうになったが、母の力を借りてソマリアの首都モガディシュに住んでいる母の妹に会うために、砂漠の中を1人逃げていった。奇跡的に母の妹に対面し、父に連れ戻されないように親戚を転々とした。その後、母の妹の夫である駐英ソマリア大使がイギリスで4年の任期の間、ロンドンの家で働いてくれるメイドを探すためにモガディシュに訪れ、そこに居合わせていたワリスが4年間ロンドンでメイドとして働くことになった。大使が任期を終え共に帰国せざるを得なかったが、帰国当日にパスポートを紛失したと嘘をついて時間を稼ぎ、そのままロンドンに留まった。その後カフェなどのアルバイトで生計を立てようとするが、簿給のため生活は苦しかった。最終的にはマクドナルドの店員の職を得る。


彼女はロンドンで生活することによって、自分が経験したFGM(女性性器切除)は忌まわしいアフリカの因習だということを初めて知る。フラッシュバックで明らかになる幼少時代の出来事があまりにも痛々しい。イスラム圏では女性の性欲をコントロールするためになされていることは知っていたけど、私の浅はかな知識を遥かに超える衝撃の事実。彼女の演説から明らかになるFGMの目的と初夜の儀式には自然と涙した。

FGMについて公の場の初めて語ったのが彼女でもある。FGM廃絶活動は今もなお続けている。女性の尊厳と権利のために訴え続ける彼女の強さはまさに「砂漠の花」。

2010年12月25日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開 

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/22
[サイト内タグ検索] サリー・ホーキンス
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ファザー、サン <2003/露=独=伊=蘭> ★★★★

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Отец и сын/ Father and son
2003/83min/ロシア=ドイツ=イタリア=オランダ
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
出演:アンドレイ・シチェティーニン、アレクセイ・ネイミシェフ
受賞:第56回カンヌ国際映画祭 国際批評家連盟賞
IMDb評価:6.4/10

邦題のセンス ★★
哲学度     ★★★★★
芸術度     ★★★
衝撃度     ★

中年にさしかかり、軍隊を退き予備役となった父親。若くして亡くなった妻との間に生まれた息子は、父親の後を追い、軍隊に入ろうと軍人養成学校に通う。2人は互いにかけがえのない存在だった。だがしかし、息子は思春期を迎え、やがて自立の道へと進んでゆく…。by allcinema

父と息子。時にはカップルであるかのように、時には兄弟であるかのように曖昧に描かれる。時代背景はおろか、時間も場所も特定できない。朝日とも夕日とも言い難い曖昧な光、無国籍でアンバランスな街並み、生活感のない家、霧がかった映像は非現実的で夢のよう。ぼやける輪郭も2人の曖昧な関係を効果的に見せている。
father2.jpgfather1.jpg
息子に亡き妻の面影を見出す父。父と同じ職業(軍人)に就こうとしている息子。超越した親子関係が見事に映し出される。子というものは成長し、いつしか親元を去る。その事実を頭ではわかってはいながら受け入れられない親の孤独、心の葛藤。子を持った者でなければわからない領域だが、この2人こそが理想的な親子像なのかもしれない。冒頭の裸のぶつかり合いは同性愛者のソクーロフだからこそ描けた美。一気に吸い寄せられてしまった。自身の父も軍人であったソクーロフ。ソ連時代にはあり得なかった父子関係への憧れのような気もする。

私にとって6作目となるソクーロフ作品。毎回、感性に直接訴えかけられ、言葉にできない「何か」に胸が締め付けられる。いつも普遍的でありながらあまり考えたことない難題を突き付けては、明白な答えを提示しないまま幕を閉じてしまう。

原題は「父と息子(Father and Son)」。邦題は「ファザー、サン」。
違いはたかがandの有無だが、意味合いが全然違う。andがなくなっただけで、親子の繋がりはなくなり、個々の独立が強くなる。父からの自立を描いている作品とはいえども、親子は切っても切れない関係。andは入れて欲しかったな。ちなみに中国語のタイトルは「父子迷情」。

(鑑賞> 英語字幕 2010/12/14
[サイト内タグ検索] アレクサンドル・ソクーロフ監督
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スイミング・プール <2003/仏=UK> ★★★★

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Swimming Pool
2003/102min/フランス=UK
監督/共同脚本:フランソワ・オゾン「まぼろし」
出演:シャーロット・ランプリング「まぼろし」、リュディヴィーヌ・サニエ「焼け石に水」、チャールズ・ダンス
IMDb評価:6.8/10
 
衝撃度 ★★★★
迷宮度 ★★★★★

創作活動に行き詰まっていたイギリスの女流ミステリー作家サラはある夏の日、出版社社長ジョンの勧めで南仏の彼の別荘を訪れる。そこは明るく静かで、誰にも邪魔されずに執筆できる最適な場所だった。しかし、サラがいよいよ仕事に取り掛かろうとした矢先、社長の娘ジュリーが別荘にやって来る。裸でプールを泳ぎ、毎夜男を連れ込んでは嬌声をあげるジュリーに苛立ち筆が進まないサラ。だがやがてサラは、ジュリーの若さと妖艶な振る舞いに強い刺激を受け、いつしか彼女をモデルに物語を紡ぎ始めるのだった…。by allcinema

バカンスを満喫しながらりラックスして執筆をすすめたいサラ。お酒、男、マリファナにふけ込むジュリー。全く対照的な女性2人の共同生活。サラは自由奔放なジュリーに苛立ちをみせるが、お腹の傷を見て以来興味を掻き立てられ、彼女のことを意地悪に調べ出していく。執筆のネタにとパソコンに入力していくうちに同情心も芽生え始める。そして次第に魅了され、ジュリーをモデルに物語を書き始めるのである。タイトルの「スイミング・プール」とは別荘にあるプールのことでもあり、サラが執筆する本のタイトルのことでもある。
サラが「見る女」で、ジュリーは「見られる女」。鏡越しの映像が効果的に用いられている。ジュリーも執筆のモデルにされていることは気付いているようで、お互いの心境にも変化がみられ、いい具合に化学反応を起こしていくが、何が現実で、何が本の内容なのかが曖昧に描かれ、次第に混乱に追い込む手法は迷路に迷い込んだかのよう。
現実と幻想。現在と過去。妄想と真実。幾重もの仕掛けを張り巡らせ、謎が二転三転していく。観る度に印象や解釈が異なり、おそらく4,5回は観ているのに、まだ理解できない。今まで観たオゾン監督作品で一番好きな作品。
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部屋の十字架、ジュリーの体の傷、ジュリーの母親、その母親を知る女性、ジュリーの日記、ジュリーの彼氏たち、サラの視線の先、そして何といっても「プール」。ベールに包まれ、このへんが紐を解くカギとなるが、解釈は観客と同じ数だけの答えが存在するだろう。
ポスターも謎に包まれている。プールサイドで横たわるジュリーに覆い被さる影は一体誰?謎は深まるばかり。。。

<鑑賞> 英語字幕 2010/11/1
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(未) Porn Theater (原題La chatte à deux têtes) <2002/フランス> ★★★

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La chatte à deux têtes
2002/90min/フランス
監督/脚本:ジャック・ノロ
出演:Vittoria Scognamiglio、ジャック・ノロまぼろし」、Sébastien Viala
IMDb評価:6.8/10

オゾン監督「まぼろし」に出演いていたジャック・ノロの監督作品だと知り、鑑賞。男性の園を覗き見してしまったような罪悪感さえ感じるすごいものを観てしまった。
パリのポルノ劇場のある一日。軸となるストーリーはなく、ここに来るお客たちの「様子」を描くだけの作品。
お客たちは当日券を買い劇場に入ると、ライターでシートを照らし何かを確認する。指定席の位置を確認しているのかと思ったら、シートの汚れをチェックしていたのである。客は男性のみ。スクリーンに映し出されるポルノを観ながら自慰行為にふける者がほとんどだが、次第に客同士その場で行為におよんだりもする。ポルノではなく、男性同意の行為を見て楽しむ者や交る者、女装をし、そういう商売をしている者までもいる。普通の男女のポルノを上映する劇場になぜゲイの方々が集まるのかが疑問ではあるが、バイな方々なのかしら?

上映中、警察数人がやってくる。劇場での行為に対するお咎めはなく、不法入国者の検挙のようだった。AIDSに対する議論もなされたり、ちょっとした社会勉強にもなった作品。こういう劇場って日本にあるのかしら?

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/18
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ジャック・ノロ
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(未) Disco Pigs <2001/アイルランド> ★★

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Disco Pigs
2001/93min/アイルランド
監督:Kirsten Sheridan
出演:キリアン・マーフィー、エレイン・キャシディ
IMDb評価:6.5/10

狂気度 ★
衝撃度 ★★

同じ病院、同じ日に生まれたPig(キリアン・マーフィー)とRunt(エレイン・キャシディ)。隣の部屋に暮らし、共に成長してきた2人は、学校に行くのも一緒。Discoでいたずらをする時も一緒。壁に穴を開けて、手をつないで寝るほど仲がいい。あたかも一卵性双生児のようにテレパシーで通じ合う2人はお互いの行動や気持ちが読めてしまう。

Discoからの帰り道にPigがRuntにキスをしてしまったことから、2人の関係に亀裂が入る。そして、何も言わずそのままRuntは寮に入ってしまうのだった。Runtが全てだったPigは腑抜け状態。バスに乗り、Runtを探しに出かけるのである。バスの中でウトウトしてしまうが、テレパシーなのか、偶然にもRuntがいる学校の前で目覚め、学校を訪ねるのである。RuntもPigが来ることを予感していた。この日は2人の17才の誕生日だった。

男女の幼馴染の友情が恋心に変わっちゃうのはごく自然の成り行きだと思うけど、Pigの場合は異常なまでの執着心へと変わってしまう。それが思わぬ方向へ進んでしまう悲劇。結末の落とし所がUK映画らしい(アイルランド映画だけど)と思った。
disco.jpgdisco1.jpg
台詞は英語なんだけど、南アイルランド特有の訛りだそうで、聞き取りはかなり大変。聞き取れなくても、表情や行動だけでもストーリの流れは十分わかるんだけど、後半からの2人の行動がどうも納得いかなくて、台詞に注意しながらもう一度観直してみた。

「What's the color of love?」(愛は何色?)海辺でRuntがPigに問うこの質問が鍵になっているような気がする。明確な答えは言っていないと思うけど、やたらと「Blue」が台詞に登場する。
「Blue Bell」という花についての会話もあったし、Runtが青いドレスを着ていたこともあった。自分をさらってくれる波になりたいとも言っているし、青い空を見つめるシーンも何度かあった。
そして、『憂鬱(Blue)になる前は長い昼寝をしていたの。温かいピンクの部屋(ママのお腹)にずっといるって決めたのに、ママがずっとここにいてはダメだって言うから私は生まれたの。』冒頭で、産まれる前のRuntが言っている。Runtにとってこの世の中はBlueだったのかな!?

2人の演技はすごいんだけど、ストーリーに説得力がなく、要点がぼやけていてはっきりしない。Pigの狂気的な役も結末に活かしきれていない。結局、何が言いたかったのだろうか!?

pigは豚のこと。runtは子豚とか生まれたばかりの赤ちゃんを指す。タイトルのPigsとはおそらくPigとRunt2人のことである。

<鑑賞> 2010/12/18
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この森で、天使はバスを降りた <1996/米> ★★★★

tenshi1.jpg
The Spitfire Grill
1996/119min/アメリカ
監督/脚本:リー・デヴィッド・ズロトフ
出演:アリソン・エリオット、エレン・バースティン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィル・パットン
IMDb評価:6.7/10

邦題のセンス ★★★★★
宗教度     ★★★★★
感動度     ★★★★
芸術度     ★★★★
暗喩度     ★★★★★

森の奥深くにある小さな町を通るバスからパーシーという少女が降りてくる。彼女は、ハナという無愛想な女が経営するレストラン『スピットファイアー・グリル』で働くことになる。町の人々はよそ者であるパーシーに奇異のまなざしを向けるが、パーシーの魅力に周囲の人々は惹かれてゆく。だが、彼女は誰にも言えない暗い過去があった。by allcinema

パーシーはなぜ刑務所に?なぜこの町に来たのか?疑問がつきまとうサスペンス形式な展開に見え隠れする宗教的プロットには鳥肌もの。催涙性はないのに、できすぎた脚本に久々に号泣した。
テーマは贖罪と再生。
以前観た時にはその暗喩的プロットに気付かず、ただただ悲しい映画だと思ってしまった。「死」の概念が違うアメリカと日本では受け入れられ方がだいぶ異なるでしょうね。宗教的に紐解く必要もあり、かなり奥深い。悲しい映画ではない。

刑務所から出所したパーシーが第2の地として選んだ「ギレアデ」という町。パーシーに何があったのか?なぜこの町に来たのか?彼女が丘で口づさむ「ギルギアの乳香(香油)」という歌の歌詞に込められている。

 There is a balm in Gilead ギレアデに乳香あり
 To make the wounded whole; 傷ついた人を癒してくれる
 There is a balm in Gilead ギレアデに乳香あり
 To heal the worried soul. 悩める心を癒してくれる
 Some times I feel discouraged, ときには失望することもある
 And think my work’s in vain, 我が労苦は無駄ではないかと
 But then the Holy Spirit でもそんなとき聖霊は
 Revives my soul again. 我が魂を再生させる

 If you can’t preach like Peter, たとえペテロのように語れなくても
 If you can’t pray like Paul, たとえパウロのように祈れなくても
 Just tell the love of Jesus, ただ主の愛を語り継ごう
 And say He died for all. 主は皆のために死んでくれたと

ギレアデとはイスラエルの乳香の産地。乳香とは樹木から分泌される樹脂のことで、空気に触れると乳化する。香水の香り付けや止血剤として用いられる。止血剤の研究をしているどこかの教授が樹皮を採取するシーンもある。
木の皮を剥ぐことは「傷」をつけることでもあるが、うまく「再生」させれば、良質な止血剤が得られ、町も活性化、「再生」されるのである。この歌詞はパーシーのみならず、「木」と「町」のことまで言及している。
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そして、ジョニー・Bと名付けられた森の住人。ジョニー(またはジョン)とはキリスト使徒12人の1人でもある。風貌からも「神」であることがわかる。パーシーはこの神に導かれこの町に来たのではないだろうか。キリストの構図があちこちに散りばめられ、邦題も隠されたテーマが見事に暗喩されている。パーシーの未来をも暗示しているラストにも逸脱。

森林伐採による自然破壊、ベトナム戦争の後遺症、暴行と性的虐待。アメリカの社会問題にも触れている。

<鑑賞> 日本語字幕 CSにて 2010/12/16
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ガーデン <1995/スロバキア> ★★★★

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Zahrada/ The Garden
1995/105min/スロバキア=フランス
監督/共同脚本:マルティン・シュリーク「私の好きなモノすべて」「不思議の世界地図」
出演:ロマン・ルクナール、マリアン・ラブダ、スザナ・スラヨヴァー
IMDb評価:8.1/10

仕立屋の父を持つ30歳のヤクブ。お客であり、人妻の年上テレサとの情事を父に見られてしまい、家を追い出されてしまう。郊外にある祖父が残してくれた家へ引っ越すことにした。

スロヴァキアのノスタルジックな田園風景にたたずむ廃墟同然の屋敷。修理をするかたわら、庭の手入れをする日々。そこには、ちょっと風変わりな人たちが次々と訪れ、10分前後、14章で綴られていく喜劇集。それぞれにテーマがあり、オチもある。
目覚めると見知らぬおじさんに抱かれていたり、傷口にオシッコをかけられたり、羊にベッドを食べられたり、都会では起こり得ないシュールなことだらけなのに、そんな出来事にヤクブはどんどん癒されていく。
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忙しい東京にいると、こんな長閑な所へ逃げ出したくなることがよくある。価値観も変わるだろうし、人間的にも丸くなっていくから親子のわだかまりとかも自然に解決していく。淡々と進むのに、遊び心いっぱいで、絵本に引き寄せられるような不思議な味わい。私は価値観を見直したい時、心に迷いがある時に観たくなる作品。
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ベッキー似の少女の可愛さにも癒される。

ヨーロッパではかなり有名な監督さん。日本では3作品を収めたDVD集が発売されている。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/15
[サイト内タグ検索] マルティン・シュリーク監督
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スール/その先は…愛 <1988/アルゼンチン> ★★★

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Sur/ Th South
1988/127min/アルゼンチン
監督/製作/脚本:フェルナンド・E・ソラナス
助監督:ギャスパー・ノエ
音楽:アストル・ピアソラ・キンテート
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ、ススー・ペコラーロ、フィリップ・レオタール、フィト・パエス、リト・クルス
受賞:1988カンヌ映画祭 監督賞
IMDb評価:7.3/10

邦題のセンス ★
社会度     ★★
映像美     ★★★
難解度     ★★

特筆すべきは助監督がギャスパー・ノエだということ。母国であるアルゼンチンでの助監督時代の2作品は「タンゴ -ガルデルの亡命- Tangos, l'exil de Gardel (1985)」と本作。ギャスパー・ノエの知名度とともに評判をちらほら目にするので観てみた。2作品とも邦題があるので日本で劇場公開された(?)ようだけど、日本語のサイトで関連記事を見ても彼の名前はない。

1983年のある夜、軍事独裁政権が終わり5年の刑務所暮らしから解放されたフロレアルが窓を叩く。そして物語は5年前にさかのぼり、フロレアルの幻想として独裁政権が崩壊するまでを描く。この時代、当局に捕まると、そのまま行方不明になることも少なくなかった。家族としてはどこの刑務所に収容されているのかも自分たちで探し出さなければならないし、無事に家に戻って来る保障もない。不条理な世の中、政治犯の不当な扱い、人々の苦悩の描き方、一度観ただけでは理解できない難解さもポーランド映画と似ている。国は違えど、同じことを願っている。
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冒頭のタンゴの生演奏にはシビレた。バックの青を基調といた映像もいい。月明かりが差し込む夜の海底のような神秘的な映像はおそらく幻想を表現しているのでしょう。幻想と音楽(特に歌詞)が絶妙にマッチしている。この映画のために書き下ろされた音楽なのだろうか。映像、音楽共に行きつく先は愛。

フロレアルの失った5年間。幻想と現実が交差し抽象的な展開に、動く時間軸。最後まで観てようやく謎が解けるような仕組みは少々疲れる。映像感覚は今のギャスパーに通ずるものを感じる。

邦題のスールって何のこと?って思ってたけど、原題の読みをそのままカタカナにしたものらしい。スペイン語わかる人しかわからない邦題って意味あるの!?

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/15
[サイト内タグ検索] ギャスパー・ノエ監督
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きっと観るつもりリスト

手元にあり観たいと思いつつ、先延ばしになり忘れつつある作品たち。
闇に葬られちゃう前に、忘れずに観切るぞ!と想いを込めて書き出してみた。
製作国ではなく、監督の出身国別。
「打ち消し」は鑑賞済み。

<アイスランド>
・フリドリック・トール・フリドリクソン監督「Devil's Island(1996)」
・Ragnar Bragason監督「Bjarnfreðarson(2009)」

<アイルランド>
・Leonard Abrahamson監督「Adam & Paul(2004)」
・Aisling Walsh「Song for a Raggy Boy(2003)」

<アメリカ>
・David Ayer監督「バッドタイム/Harsh Times(2005)」
・Neil Jordan「The Bucher Boy(1997)」

<アラブ首長国連邦UAE>
・Ali F. Mostafa「City of Life(2009)」

<UK>
・Christopher Morris「Four Lions(2010)」
・Roger Michell「Enduring Love (2004)」
・Alan Clarke監督「Scum(1979)」
・Christopher Smith監督「Black Death(2010)」
・Roland Joffé監督「The Killing Fields(1984)」
・Martin Campbell「Edge of Darkness(2010)」6.7メル・ギブソン

<イスラエル>
・Rafi Pitts「The Hunter(2010)」
・Scandar Copti, Yaron Shani「Ajami(2009)」

<イタリア>
・Robert Bresson監督「The Devil, Probably(1977)」
・Lina Wertmüller監督「Love and Anarchy(1973)」
・Marco Amenta「The Sicilian Girl(2009)」6.9

<ウルグアイ>
・Álvaro Brechner「Bad Day for Fishing(2009)」6.8

<オランダ>
・Mike van Diem「Character(1997)」
・Roel Reiné「Drifter(2008)」5.1

<カザフスタン>
・Akan Satayev「Strayed(2009)」
・Yermek Tursunov「Kelin(2009)」6.4

<カナダ>
・Jeanne Crépeau監督「Revoir Julie(1998)」フランス語

<グルジア>
・Levan Tutberidze「Trip To Karabakh(2005)」

<コロンビア>
・Joshua Marston「Maria Full of Grace(2004)」

<スウェーデン>
・Dusan Makavejev「Montenegro(1981)」
・Stefan Jarl「Nature's Warrior(1997」
・Joel Bergvall監督「Den osynlige(2002)」
・Ingmar Bergman監督「Autum Sonata(1978)」
・Jesper Ganslandt「The Ape(2009)」5.8
・Daniel Espinosa「Easy Money(2010)」

<スペイン>
・Gabe Ibáñez「Hierro(2009)」5.6
・Julio Medem「Room in Rome(2010)」

<チェコ>
・Juraj Herz監督「Cremator(1968)」
・Karel Kachyna監督「Prace(1960)」

<デンマーク>
・Gabriel Axel監督「Babette's Feast」
・Bille August監督「Pelle the Conqueror(1988)」
・Hella Joof監督「Hash Little Baby(2009)」
・Nicolas Winding Refn監督「Valhalla Rising(2009)」英語

<ドイツ>
・Marc Rothemund監督「Sopie Scholl(2005)」
・Hans-Christian Schmid監督「Requim(2006)」
・Jo Baier監督「Stauffenberg(2004)」
・Wim Wenders監督「Wings of Desire(1987)」
・Helmut Dziuba監督「Sabine Kleist, Aged Seven...(1982)」
・Werner Herzog監督「The Enigma of Kaspar Hauser(1974)」
・Sergei Loznitsa「My Job(2010)」7.0
・Shirin Neshat, Shoja Azari「Woman Without Men(2009)」6.4

<トルコ>
・Çagan Irmak「In Darkness(2009)」7.0
・Reha Erdem「Kosmos(2010)」
・Semih Kaplanoglu「Bal(2010)」

<ノルウェー>
・Erik Skjoldbjærg監督「Insomnia(1997)」
・Pål Øie監督「Hidden(2009)」
・Sara Johnsen「Upperdog(2009)」

<ハンガリー>
・István Szabó「Apa(1966)」
・Béla Tarr監督「Damnation(1987)」「Werckmeister Harmonies(2000)」
・Krisztina Goda監督「Children of Glory(2006)」

<フィンランド>
・Fyodor Bondarchuk監督「The 9th Company」

<フランス>
・ジャック・ノロ監督「Porn Theater(2002)」
・Pierre Salvadori監督「Priceless(2006)」
・Louis Malle監督「Black Moon (1975)」「さよなら子どもたち(1987)」
・Laurent Tirard監督「Molière(2007)」
・Gérard Corbiau監督「The King Is Dancing(2000)」
・Simone Bitton監督「Wall(2004)」
・Claude Chabrol監督「Madame Bovary(1991)」「La cérémonie(1995)」
・Eric Rohmer監督「La femme de l'aviateur(1981)」「Pauline at the Beach(1983)」
・Claude Miller監督「L'effrontée (1985)」
・Richard Berry監督「22Bullets(2010)」
・アニエス・ヴァルダ監督「The Beaches of Agnes(2008)」
・Yves Robert監督「My Mother's Castle(1990)」
・Maurice Pialat監督「À nos amours(1983)」
・Cédric Kahn監督「L'ennui(1998)」
・Leos Carax監督「Les amants du Pont-Neuf(1991)」「ポーラX(1999)」
・James Ivory監督「Quartet(1981)」
・Céline Sciamma監督「Water Lilies(2007)」
・Elie Chouraqui監督「Harrison's Flowers(2000)」
・Rémy Belvaux監督「Man Bites Dog(1992)」
・Claude Chabrol「Bellamy(2009)」6.1
・Olivier Marchal「MR73(2008)」6.7

<ブラジル>
・Fernando Meirelles監督「Blindness8(2008)」6.6

<ポーランド>
・クシシュトフ・キェシロフスキ監督 「トリコロール赤」「偶然」「Tramwaj(1966)」「病院(1976)」「Raiway Station(1980)」
・Kazimier Karabasz監督「The Musicians(1958)」
・アニエスカ・ホランド監督「Europa Europa(1990)」「The Seacret Garden(1993)」英語
・アンジェイ・ワイダ監督「鉄の男(1981)」
「カティンの森(2007)」「戦いの後の風景(1970)」「菖蒲(2009)」
・アンジェイ・ズラウスキ監督 「シルバー・グローブ/銀の惑星(1987)」
・Stanislaw Rózewicz監督「Westerplatte(1967)」
・Wojciech Has監督「Hourglass Sanatorium(1973)」
・イエジー・スコリモフスキ監督「The Shout(1978)」
・ロマン・ポランスキ監督「袋小路(1965)」「テナント/恐怖を借りた男(1976)」「Dance of the Vampires(1967)」「フランティック(1988)」「赤い航路(1992)」
・Krzysztof Zanussi監督「A Woman's decision(1975)」
・Wojciech Smarzowski「The Dark House(2009)」7.4
・Ryszard Bugajski「General Nil(2009)」7.0

<メキシコ>
・Carlos Carrera「Backyard(2009)」6.9

<ユーゴスラビア>
・Emir Kusturica監督「Black Cat White Cat(1998)」

<リトアニア>
・シャルナス・バルタス「Koridorius(1995)」「Few of Us(1996)」「A Casa(1997)」「ポーラX(1999)」

<ロシア>
・Aleksandr Rogozhkin「Peregon(2006)」「Chekist(1992)」
・Pavel Lungin「Tsar(2009)」
・Vasili Levin「Orion's Loop(1982)」
・Georgi Kropachyov, Konstantin Yershov「Viy(1967)」
・Valeriya Gay Germanika「Everybody dies but me (2008)」
・Vladimir Bortko「Taras Bulba(2009)」
・ニキータ・ミハルコフ「Friend Aong Strangers(1974)」「Sibiriada(1979)」「五つの夜に(1979)」「絆(1981)」「ウルガ(1991)」「太陽に灼かれて(1994)」 「12(2007)」
・Andrey Konchalovskiy監督「Sibiriada(1979)」
・Mikhail Romm監督「Nine Days of One Year(1962)」
・アンドレイ・タルコフスキー監督「Ther Will Be No Lave Today(1959)」「ローラとバイオリン(1960)」「アンドレイ・ルブリョフ (1966)」「ノスタルジア(1983)」「惑星ソラリス(1972)」「鏡(1975)」
・Dmitri Meskhiyev監督「Diary of a Kamikaze(2002)」「Our Town(2004)」
・Valeriy Todorovskiy監督「Stilyagi(2008)」
・Aleksandr Buravsky監督「Leningrad(2009)」
・Mark Zakharov監督「An Ordinary Miracle(1978)」
・Mikhail Kalatozov監督「The Cranes Are Flying(1956)」
・Konstantin Lopushansky監督「The Ugly Swans(2006)」
・Gennadi Kazansky監督「Old Man Khottabych(1956)」
・Kirill Lavrov監督「カラマゾフの兄弟(1969)」
・Aleksey Balabanov監督「Voyna(2002)」
・アレクサンドル・ソクーロフ監督「ボヴァリー夫人」「モレク神(1999)」「エルミタージュ幻想(2002)」「太陽(2005)」
・Aleksei Popogrebsky「How I Ended This Summer(2010)」
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[ 2010/12/15 10:37 ] My Lanking & List | TB(-) | CM(2)

赤い航路 <1992/仏=UK> ★★★

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Bitter Moon/ Lunes de Fiel
1992/140min/フランス=イギリス
ドラマ、ロマンス、スリラー
監督/製作/共同脚本:ロマン・ポランスキー
原作:パスカル・ブルックナー
出演:ピーター・コヨーテ、エマニュエル・セニエ、ヒュー・グラント、クリスティン・スコット・トーマス
言語:英語、フランス語
IMDb評価:6.9/10

衝撃度 ★★★
過激度 ★★★
扇情度 ★★★★

ポランスキー監督作品は数本しか観たことがなく、フランス映画としては異色なぐらいにしか思っていなかった。ポーランド出身であることを意識しつつ観直してみようと思っている。1作目は「赤い航路」。記事を書いていないだけで4作目を観終えているけど、たった一度や二度観ただけで理解しようとするのは大間違いであり、視点を変えて何度も観る必要があるように思える。

敬愛なるポランスキー監督についてはこちら

「Honey Moon(ハネムーン)」を皮肉った「Bitter Moon」が原題となっているけれど、どういうわけで邦題が「赤い航路」になってしまったのか!?劇中では新月から満月まで夜空の月が映し出され、その満ち欠けは運命や結末を暗示しているかのようでもある。
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結婚生活7年で夫婦生活にマンネリを感じていたナイジェルとフィオナ夫妻は客船クルーズでイスタンブールへ向かう。良識的でごく一般的な夫婦である。その船上でオスカーとミミ夫妻に出会う。ナイジェルは、妻にはない魔性の魅力を持ち合わせているミミへの関心を抱き始めるが、それを見抜いたのか、オスカーはナイジェルに話しかけ、部屋に招き入れる。そして、妻ミミとの出会いから性生活までを聞かれるともなく赤裸々に語り始めるのである。
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ダンススクールに通いバレリーナを目指す妻ミミのダンスといったら挑発的で扇情的。ありきたりの行為には飽き足らなくなり、欲望のままに愛し合う2人の性生活もあまりにも過激。演じるのは監督の3番目の妻エマニュエル・セニエ。これでもかというほど生々しい性の世界が繰り広げられる。異常な性生活に初めは嫌悪感さえ抱くナイジェルだけど、次第にもうちょっと他人の性生活を覗いてみたいといった好奇心が生まれてくる。しかし、性的欲望だけで結ばれた愛はそう長くは続かない。愛情と堕落から生まれる憎悪は表裏一体であること。精神的、肉体的苦痛、その変貌を見事に描き切っており、恐怖さえ感じる。性の虜となり堕落し破滅していく様は「盲獣」と通ずるものがある。

ナイジェル同様に私も嫌悪感を抱いたけど、気づいたら日常生活とは思えない刺激にぐいぐい引き込まれていた。しかしながら、皮肉的な結末には言葉を失う。ユダヤ人狩りの対象になったことや、2度目の妻の惨殺など、やはり監督自身の生い立ちが由来しているのだろうか。そういえば、オスカーはミミの妊娠を快く思ってなかった。「Polanski」で描かれていた2度目の妻の妊娠発覚時のポランスキーの反応と似ている。もしかしたら、オスカーは監督自身を投影しているのではないだろうか。ますますポランスキーに興味が湧いてきた。

ところで、どんどん過激になっていく2人の性生活はモザイクなしで上映されたのだろうか。

<鑑賞> 2010/12
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夜の第三部分 <1971/ポーランド> ★★★

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Trzecia czesc nocy
1971/105min/ポーランド
監督:アンジェイ・ズラウスキ「ポゼッション」「悪魔」「私生活のない女」「狂気の愛」「私の夜はあなたの昼より美しい」
脚本:ミロスラフ・ズラウスキ 、アンジェイ・ズラウスキ
出演:マウゴジャータ・ブラウネック、レシェック・テレシンスキ、ヤン・ノビツキ
IMDb評価:7.3/10

難解度 ★★★
隠喩度 ★★★★★
残酷度 ★★
衝撃度 ★★★
狂気度 ★★★

あまりのイカレっぷりに度肝抜かされた「ポゼッション」のアンジェイ・ズラウスキの処女作を鑑賞。作家であり脚本家であった父ミロスラフの自伝的な小説を父子で共同脚色。師匠のアンジェイ・ワイダが監修している。2作目「悪魔」で公開禁止、国外追放された監督だが、処女作からかなりきわどい。感動的であるはずの出産シーンもグロテスク。
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妻子を殺され、自身もゲシュタポに追われる主人公。偶然同じコートを着ていた男性が身代わりとなり射殺されてしまうが、奥さんが妻と瓜二つであった。身代わりになってしまったことへの罪悪感からか、シラミ培養の人体実験で生活費を稼ぐ。。。
第二次大戦下のポーランドを舞台に、1人の男が辿る数奇な運命を通して、故国が置かれてきた不条理な現実に迫った本作。強烈な印象に残ったのがシラミである。当時、シラミを媒体として流行していったチフス。アンネ・フランクの死因でもあった。片面がメッシュのマッチ箱サイズのケースには無数のシラミが入っており、太ももやふくらはぎにゴムでくくりつけ自分の血を吸わせる。そうやって培養させたシラミを抗チフス剤開発に役立てていたのである。
シラミとは、一生人間に寄生し、環境にあわせて生態をも変えるとか。恐ろしい。人間を翻弄している不条理なポーランド社会への皮肉であり、隠喩であることは明らかである。

ふたりのベロニカ」「ポゼッション」そして本作。1人二役のポーランド映画である。ドッペルゲンガーと解釈する方が多いようですが、私は違うような気がする。でも何を意図していうのかまだわからない。時間をかけて紐解いていきたい。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/11
[サイト内タグ検索] アンジェイ・ズラウスキ監督
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(未) A Matter of Size <2009/イスラエル=仏=独> ★★★

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סיפור גדול/ A matter of size
2009/90min/イスラエル=フランス=ドイツ
監督:イリズ・ダットモール監督
出演:イジク・コーヘン、トゥビル・ベネデク、スムル・リックコーヘン、イリトゥ・カブラン
言語:ヘブライ語、日本語、英語
IMDb評価:7.4/10

愛嬌度   ★★★
ブラック度 ★



韓国ですごい話題になっていたイスラエルの相撲コメディー。アメリカ盤DVDが待ち切れず、韓国盤で鑑賞してしまった。どこの国のだろうとスポーツ映画なんてど素人が次第にうまくなっていくといった内容で似通っている。熱血な暑苦しさはなく、ちゃんと家族愛が描かれていること、随所に笑えるポイントが散りばめられていたことが韓国人のツボだったように思える。意外とブラックでした。

155キロの主人公。太っていることが理由で働いていたレストランを解雇。通っていたダイエット教室の講師にまで馬鹿にされてしまう始末。母親がチラシで見つけた日本食レストランで働くことにした。そこでたまたまテレビで目にした日本の相撲に魅了され、始めようとするというシンプルなストーリー。

ダイエット、不倫、同性愛などの現代的なテーマを扱っており、50カ国で映画祭上映されたのも頷ける。。日本食レストランの経営者の名前が「キタノ」さんであること、ヤクザや相撲に関する解釈もかなりステレオタイプではある。日本では増量して相撲取りになるのに、ダイエット目的での相撲とは矛盾もしているが、勘違い日本ネタがさほど多いわけではない。日本でも受け入れられそうな面白さではある。
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最近では外国人の力士さんが増えているので、全く違和感がなかった。赤いふんどしがとってもキュート。神聖な森での稽古風景は赤いふんどしが映えている。「はっけよい」ではなく、「始め」という掛け声で始まるのも愛嬌があっていい。中東男性って毛むくじゃらなイメージだったけど、すべすべなキレイなお肌でした。

「キル・ビル」や「シカゴ」のプロデューサー、ボブ・ワインスタイン(Bob Weinstein)がリメイク権を購入。
2011年にリメイク版公開予定とか。

<鑑賞> 韓国語字幕 2010/12/12
[サイト内タグ検索] 日本未公開
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盲獣 <1969/日> ★★★★

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Blind Beast
1969/85min
監督:増村保造
原作:江戸川乱歩
出演:緑魔子、船越英二、千石規子
IMDb評価:7.2/10

狂気度 ★★★
変態度 ★★★★★
官能度 ★★★
残虐度 ★★★(直接描写はない)

かなり私のツボにはまってしまった盲目の芸術家と新進モデルとの究極「キチガイ」マゾ映画。

目が見えない者にとって残された感覚は聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
人間って、何かを失うと他の何かが発達するとはいうけど、盲目の芸術家にとってのそれは触覚であった。絵画、映画といった目で楽しむ芸術は数多く存在するが、触って楽しめる芸術はないため、世の中で一番触り心地のいい女性の彫刻を世に広めたいという理念を持っている。女性の体が触れるからという理由でマッサージ師になった彼は、忘れられない女性の体をパーツごとに作成し、アトリエに並べている。全て触覚だけを頼りに作られたオブジェの完成度の高さは彼の触覚の鋭さでもある。特に乳首の表現力の高さには寒気がする。写真からおわかりいただけますでしょうか?
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電車の中で学生たちの噂話を耳にする。あるモデルの体がすばらしいという噂である。ぜひとも彫刻にしたいと考えた芸術家は母親の力を借りてモデルを拉致、そして、この異様なアトリエに監禁させてしまう。最初は抵抗するが、身体中を触られているうちに快楽を感じるようになっていくモデル。やがて、、、
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出演者は3人のみである。個性の強さが良い具合に共鳴し合っている。船越英二さんはお名前だけは存じ上げているがお顔すら知らなかった。盲目の演技もさることながら、変態っぷりはお見事である。ネットリした触り方はほんとに気持ちが悪い。

行くとこまで行ってしまう究極のマゾ映画。間接描写なのに、エロさ、グロさはよく表現されている。
猛獣ではなく、盲獣というタイトルも素晴らしい。欧米では劇場公開、DVD発売もされるほど知名度が高い。

キム・ギヨンとかキム・ギドクに通ずる狂気。韓国映画でリメイクして欲しいなぁ。

<鑑賞> ギリシャ版DVD 英語字幕 2010/12/10
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(未) Seven Invisible Men (原題) <2005/リトアニア=仏=ポルトガル=蘭> ★★

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Septyni nematomi zmones
2005/119min/リトアニア=フランス=ポルトガル=オランダ
監督/脚本:シャルナス・バルタス
出演:Dmitriy Podnozov, Rita Klein and Aleksandre Saulov
言語:ロシア語
IMDb評価:7.2/10

芸術度 ★★★
難解度 ★★★

日本では「フュー・オブ・アス」と「自由」のみが公開されているようですが、まだまだ知名度は低いシャルナス・バルタス監督。レオス・カラックス監督「ポーラX」には俳優として出演している。代表作に「Koridorius(1995)」「Few of Us(1996)」「A Casa(1997)」がある。
本作はバルタス作品の中で最も台詞が多いと言われている。とはいえ、台詞の大半は後半に集中し、前半はまともな台詞がほとんどない。しかも、あまり意味がある台詞とも思えないし、放牧されている羊やアヒル、家畜などの鳴き声のほうがよっぽど耳に入る。定点カメラによる撮影で、人が去っても追ったりしないスタイルは相変わらず。バルタスはタルコフスキとよく比較されるけれど、本作では「サクリファイス(1986)」を彷彿させるショットが使われている。
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男3人、女1人が1台の盗難車に乗り込み、警察から逃げるべくどこかへ向かう。みな絶望的な表情で覇気がない。
行き着いた先はとある田舎の農家。撮影地ロシアの田園風景は美しく映し出されるが、人々の生活はお世辞にも裕福とは言い難い。今思えば、人里離れた僻地で暮らす農民たちも社会から逃げている人たちだったのかもしれない。社会からの脱落者たちが互いに共鳴し合い、自己破壊していく皮肉を描いているように思えるが、捉えどころのないストーリー展開も結末も抽象的。人間関係や心境すべてを理解するのにかなりの想像力を要する。タイトルの「Seven Invisible Men(7人の透明人間)」の意味もわからず。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/11
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大理石の男 <1977/ポーランド> ★★★

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Czlowiek z marmuru/ Mans of Marble/ L'homme de Marbre
1977/165min/ポーランド
監督:アンジェイ・ワイダ
出演:イエジ・ラジヴィオヴィッチ、クリスティナ・ヤンダ尋問」「デカローグ第2話
受賞:カンヌ映画祭 国際批評家賞
IMDb評価:8.0/10

難解度 ★★★
隠喩度 ★★★★★
社会度 ★★★★

<あらすじ>
映画学校の生徒アグニェシカは、1950年代の労働英雄の姿をテーマに卒業映画を作ろうとしていた。そんな中、博物館の倉庫でかつての労働英雄ビルクートの彫像を発見し、ビルクートの当時の状況やその後を知ろうと関係者への聞き込みを行うことで物語が展開する。

<レビュー>
クリスティナ・ヤンダのデビュー作。回想シーンが多いので出番は多くはないが、デビュー作にしてすごい演技力、存在感を放つ。

社会主義の理想そのもののはずだったビルクート。彼のドキュメンタリー映画を作ろうとしてたアグニェシカは当時の彼を知る者へ聞き込みを開始する。英雄としてもてはやされる一方で妬む人も多くおり、押し潰されていく悲劇が関係者への聞き込みで明らかになっていく。しかし大学や政府は過去が明らかになることを恐れ、撮影中止、機材の貸し出し禁止の処分を下す。
映像は50年代当時のフィルムと現在のフィルムが交互に流される。当時のポーランドの大統領とスターリンの写真が並んでいる映像もある。

理想ともてはやされ、理想に潰されたビルクート。監督の真意は、背景となるスターリニズム全盛時代への批判であって、一体国の掲げる理想とは何なのか?を皮肉たっぷりに綴っている。「連帯」結成前の作品であるにも関わらず、エンディングシーンの舞台がレーニンのグダニスク造船所前というのも意味ありげである。

それにしても3時間とは長い!何回途中挫折したことか。歴史の裏の事実を描いたのであろう本作は自分の勉強不足を再認識させられるだけだった。国際的評価は驚くほど高い。学生時代、歴史を勉強しなかったことが悔やまれる。もう少し歴史に興味が出てきたら観直してみよう。

政府の厳しい検閲でエンディングの削除を余儀なくされた本作。削除分はわざわざ続編「鉄の男」に収録させたとか。おそらく削除分が一番見応えがあるのでしょう。

<鑑賞> 英語字幕  2010/11/31
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8 -Eight- <2008/フランス> ★★★

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8 -Eight-
2008/100min/フランス
監督: ガエル・ガルシア・ベルナル、ミーラー・ナーイル、ジェーン・カンピオン、ヤン・クーネン、ヴィム・ヴェンダース、ガス・ヴァン・サント、アブデラマン・シサコ、ギャスパー・ノエ

社会度 ★★★★★
衝撃度 ★★★

2000年、国連ミレニアム・サミットで先進国が開発、貧困、人権、環境などの問題を改善するために8つの目標MDGs(Millennium Development Goals=ミレニアム開発目標)を掲げ、2015年までに達成することを宣言。本作は、設定されたの8つの目標をテーマに製作されている。それぞれの監督が、MDGsという「世界の約束」を果たすためにさらなる努力が必要であることを独自の方法論によって訴えかけている。

ゴール1:極度の貧困と飢餓の半減
『ティヤの夢』監督:アブデラマン・シサコ

エチオピアの片田舎にある小さな学校では、生徒たちがMDGsに関する授業を受けていた。
「人間は平等でなければいけないのに、裕福な人は富を分け合うのを嫌う。」と発言した生徒はMDGsが達成されることはないと言う。子どもでありながら鋭い発言に胸が痛む。

ゴール2:普遍的初等教育の達成
『手紙』監督:ガエル・ガルシア・ベルナル

手紙を書き、新聞を読むなど、日常のごく当たり前のことを通して、教育こそが自由になれる唯一の方法だということを改めて考える。「学校に行かなかったらどうなるの?」という息子の問いに「読み書きができない」と答えた父親。「読み書きができないと何もできないね」と息子の発言に、義務教育の有り難さを改めて実感。

ゴール3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
『How can it be?』監督:ミラ・ナイール

顔立ちからインド系の女性かと思ったら、イスラム教徒であった。男女平等ではないイスラム社会出身でありながら自由なアメリカでの生活をすることは葛藤も伴うであろう。これからは価値観に従って生きていこうとする彼女の決断はイスラム女性の希望でもある。勇気ある行動は事実に基づいているそうだ。

ゴール4:乳幼児死亡率の削減
『丘の上のマンション』監督:ガス・ヴァン・サント

自由な国アメリカの若者が暢気にスケボーを楽しんでいる映像を背景にメッセージが垂れ流されるだけだが、同じ地球の出来事とは思えないほどのギャップと衝撃がある。
・水質汚染で毎年180万人が死亡。
・発展途上国で殺菌消毒にかかる時間はたったの2時間10分。
・幼少時期においての死亡者はアメリカでは1000人中7人。シエラレオネ共和国では167人。
・途上国の水価格は先進国の5~10倍。
・アメリカの平均的摂取カロリーは3600kcalに対し、アフリカは698kcal。
・30秒に1人がマラリアで死亡。
私は海外の水で体調を崩し、ひどい目にあったことは何度もある。そして、東京の水道水も決してキレイだとは思っていない。入浴すれば塩素で肌は乾燥するし、もう何年も水道水は飲んでいない。蛇口をひねればいつでも可飲水がでてくること、水質汚染の心配がないことだけでも有り難いことということに気付いていなかった。

ゴール5:妊産婦の健康の改善
『パンシン・ブカのお話』監督:ヤン・クーネン

産気づく妊婦は村の女性たちの助けで出産をむかえようとするが、妊婦の状態は深刻であった。町の病院へ行くことを薦めるが、お金もなく、ボートもない一家には困難を極めた。お金がなかったがゆえの結末はあまりにもむなしい。

ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
『エイズ』監督:ギャスパー・ノエ

ブルキナファソのとある病院。HIVに感染した一人の男性がその経緯と危険性を語る。
軽い気持ちでバーの女性と関係をもった際に感染し、妻にまで感染してしまったと。大抵コンドームは使用していたが、必ずしもコンドームが安全だと限らないという。
・コンドームの保存方法が悪かったり、直射日光にあたったものは破れやすくなること。
・例え破れていなくても細かい穴からでもウイルスに感染する可能性があること。
・HIV-1患者がHIV-2に感染すると死を意味すること。
妻は既に亡くなり、今はもう誰とも関係をもっていない。心配はかけまいと、感染のことを娘たちには知らせていない。感染を知ってからは聖書を読み、宗教に頼るようになったという。浅はかな知識での性行為がどれほど危険なことなのか。

ゴール7:環境の持続可能性の確保
『ウォーター・ダイアリー』監督:ジェーン・カンピオン

11歳の少女はオーストラリアで発生した過去最悪の干ばつの間に起こった出来事や町人たちが見た夢を日記に綴っていた。子どもの見た夢にはユーモラスさもあるが、環境問題を気にはしながらもヘアスプレーを使う大人たちは矛盾だらけ。地球全体で取り組むべき環境問題は日常生活から見直す必要があるよに思えた。

ゴール8:開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
『人から人へ』監督:ヴィム・ヴェンダース

2007年、G8サミットがドイツで開催された。世界的影響力をもつ指導者たちが約束を守らなかったことで街では抗議活動がおこっていた。一方で、報道番組の制作チームは関連ニュースの編集を行っていた。ここでも、番組側にとって都合のいいように編集されそうになっていた。

正直なところ、MDGsにはあまり興味はなかった。監督の顔ぶれだけが魅力で鑑賞したけれど、思っていた以上に考えさせられてしまった。とはいえ、日本人には他人事。日本が直面している問題ではないからこそ、まずは個人の意識改善が必要なのかもしれない。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/10
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235. 浜辺の村 <1965/韓> ★★

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浜辺の村/The Sea Village
1965/91min/モノクロ
原作:オ・ヨンス
監督:キム・スヨン(金洙容)
出演:シン・ヨンギュン、コ・ウナ、ファン・ジョンスン

衝撃度 ★★
官能度 ★★

浜辺の村の漁船が出漁して波風にあって戻らなくなると,村には未亡人たちがどんどん増えていく。ヘスンもそんな未亡人のひとりだ。姑と二人きりで暮らす彼女は,ある日,炭焼き仕事をするソングと肉体関係を持って,ついに彼と再婚して陸に行く。しかし,ソングも徴用で引っ張られるようになり,彼女はまた浜辺の村へ戻る。その後,気が狂った彼女は,海が見える山に登って戻るあてのない夫を待つ。(シネマコリア)

キム・スヨンとはキム・ギヨン、シン・サンオク、ユ・ヒョンモク、イ・マニらととも韓国映画界の黄金時代である1950~1960年代を支えた人物。文芸作品を得意とし、「浜辺の村」と「霧」は特に評価が高い。韓国の映画監督中、最多記録を誇る(1998年現在)。

旦那の大半は漁師であり、妻たちは安全を祈願しながら旦那の帰りを待つ。しばし祈祷師も登場するが、未亡人は増える一方である。生計を立てるために自ら海女となり海に潜る。彼女たちとって海は男たちが命を落とした場所でもあり、波の音が男たちの声だとさえ言うものもいる。その声を聞きながら海へ潜り、海辺で生活する女たちはたくましくもあり、叙情的でもある。

人前で肌着になるのが恥ずかしいとされる時代でもある。肌着で海に潜ることを毎日していると麻痺してしまうのか、あまりにも開けっぴろげな性に関する台詞に圧倒される。今でもここまできわどい台詞はお目にかかれない。
性描写はないにしても、隣の部屋に義理の母親が寝ているのを知りながら、夜中に未亡人の寝室に忍び込んでしまうことにも驚かされる。しかしながら、キム・ギヨンやシン・サンオクのような毒々しさはない。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/8


[サイト内タグ検索] キム・スヨン監督
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レバノン <2009/イスラエル=フランス=レバノン=ドイツ> ★★

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Lebanon
2009/93min/イスラエル=フランス=レバノン=ドイツ
監督/脚本:サミュエル・マオス
出演: ヨアフ・ドナ、イタイ・タイラン、オシュリ・コーエン、アシュラフ・バーホムパラダイス・ナウ」「シリアの花嫁
受賞:2009年 第66回ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞
IMDb評価:7.0/10

残虐度 ★
社会度 ★★★

<あらすじ>
イスラエルがレバノンに侵攻した1982年6月、前線に配置されたイスラエル軍の若き戦車兵4人。彼らは戦車のスコープ越しに、砲撃で吹き飛ばされる兵士や無惨に殺される市民たちなど、悪夢のような光景を目の当たりにする。やがて、対戦車弾の直撃を受け敵中に孤立した彼らの身にも危機が迫り、彼らはこの地獄から脱出しようとするが……。

<レビュー>
1982年、レバノン戦争に従事したサミュエル・マオズ監督は自身の実体験を基にしている。既存の戦争映画とは全く違う斬新さは初監督とは思えない。

手足を失った民間人。射撃を躊躇する兵士。娘を必死で探す母親。炎上する民家。
ストーリーはスコープ越しに見える戦場のリアルな光景と4人の戦車兵の心情を描く。自分も戦車に同乗し、実際にスコープを覗きこんでいるような臨場感がある。とはいえ、戦車の中というだけで外とはかなりの温度差があり、戦車に守られているという気分にさえ感じる。
lebanon2.jpglebanon3.jpg
4人の戦車兵たちは志願兵なのかどうかは定かではないが、「家に帰りたい」「お母さんの所に帰りたい」という本音もでてくる。訓練を受け、覚悟の上でもやはり人間なのである。

かなりの残虐的な映像を予測(期待?)していたせいか、物足りないというか呆気なさを感じてしまった。戦争を経験していない日本人にも思い描ける光景ばかりなのである。スコープを使うというアイデア以外に見所は感じなかった。いたって普通の展開に衝撃もなし、期待以下。そして、私自身が閉所恐怖症な上に、すぐ車酔いをしてしまうので、密室の戦車と上下左右に動き続けるスコープ越しの映像はかなり具合悪くなってしまった。

12月11日よりシアターN渋谷限定公開。

<鑑賞> 韓国語字幕 2010/12/9
[サイト内タグ検索] アシュラフ・バーホム
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【短編】Factory <1971/ポーランド> ★★★

Fabryka
1971/17min/モノクロ/ポーランド
監督:クシシュトフ・キェシロフスキ監督
IMDb評価:5.9/10

工場にフォークリフトを導入するかどうかを検討する会議から始まる。工場の一室で行われているが、参加者は皆作業着ではなくスーツを着ている。後半になってやっと対顧客とのプロジェクト会議であったことがわかる。
どうやらここの製品が納期遅延しているらしく、延滞金も要求されている。輸送方法の変更も謀るつもりのようであった。

ポイントは全員がスーツ着用だということ。工場関係者が誰1人会議に参加していないことを意味している。工場労働者には意見を述べることも許されていないし、労働者へのシワ寄せもどうでもいいのでしょう。
現場を知らない官僚たちのみで決定づけられる表面的で絶対的な構造はポーランド社会への皮肉でもあることが観て取れる。
前職でこういう会議ばかりしていたので自分の仕事を覗いているようでもあった。退屈な作品だったけど、客観視できただけでも観る価値はあったかな。

<鑑賞> 英語字幕 2010/11/16
[サイト内タグ検索] クシシュトフ・キェシロフスキ監督
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まぼろし <2001/仏> ★★★★

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Sous le sable/ Under the Sand
2001/92min/フランス
監督/共同脚本:フランソワ・オゾン
出演:シャーロット・ランプリング、ブリュノ・クレメール、ジャック・ノロ
IMDb評価:7.1/10

衝撃度 ★★★
哲学度 ★★★
官能度 ★★

神経を病んで入水自殺をしたイギリスの女流作家ヴァージニア・ウルフと主人公のマリーを重ねて描いていると知り、若い頃に観て良さがわからなかった本作を観直して観た。「波」がキーとなっている。講義で朗読する彼女の代表作「波」、旅行先の「波」、エンディングの「波」。寄せては返す波が"生と死"を言わんとしているのだろう。当時34歳とは思えない憎い演出。突然、何の痕跡も残さずに夫が消えてしまったという事実を受け入れられない妻マリーを冷淡に、かつ客観的に映し出す。以前わからなかったことがす~っと胸に沁みてきた。
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愛する人を失うとはどういうことなのか?マリーは事実が受け入れられないからなのか最後まで涙を見せない。それがまた切ない。虚無感は涙や言葉からではなく、空気感から伝わってくる。マリーを見ていて、ふと幻肢を思い出した。事故などで手足を失っても、脳の錯覚により感覚が残っていることである。体の一部となっている伴侶を失うということは幻肢と同じ現象なのかもしれないと思った。しかし、どちらも脳が記憶している「まぼろし」にしか過ぎない。

なぜ夫は自分一人を残して去っていったのか、後にマリーは知ることとなる。その衝撃といったら。
一体、愛とは?夫婦とは?何がまぼろしで何が真実なのか?余韻を残すエンディングは秀逸!

生身の体を欲しがる欲望と、夫への恋慕を表現しきったマリー演じるシャーロット・ランプリングの中年女性の色香。若い子にはない円熟さ。複数の手が体を撫でまわすシーンは鳥肌が立った。
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<鑑賞> 英語字幕 2010/12/1,2015/3/18
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華麗なる詐欺師たち <2001/アルゼンチン> ★★★☆

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Nueve Reines/ Nine Queens
2000/115min/アルゼンチン
監督/脚本:ファビアン・ビエリンスキー
出演:ガストン・パウルス、リカルド・ダリン、レティシア・ブレディス、トマス・フォンシ
IMDb評価:7.8/10

邦題のセンス ★★★★
詐欺度     ★★★★★

アルゼンチンの映画賞を総なめにした本作。ソダーバーグプロデュース「クリミナル」(2004/米)としてリメイクされている。
始まってそうそう、コンビニで釣銭を誤魔化す巧妙なトリックが披露され、頭の中は???。種明かしはいろんなブログに書かれていて鑑賞後読みあさったけど、私は未だに理解できない。冒頭からのあまりのテンポのいい手口に映画への期待度も高まる。前半でアルゼンチン版オレオレ詐欺を始め、いろんな手口が披露されている。よっぽど疑い深くない限り、騙されてしまっても仕方がないと思う手口は、まさに華麗。関心させられっぱなしだった。
登場する詐欺師曰く、詐欺師と窃盗は違うそうで、詐欺師としてのプライドも高いのである。窃盗の鮮やかな手口も紹介されている。
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原題の「9つの女王」とは稀少価値の高い切手であり、それを手に入れて詐欺を働らこうという話である。冒頭がテンポ良かった割には中盤から失速してしまうが、それも計算の上だったのかもしれない。一体何が起こっていて、誰が仲間なのかわからなくなってしまう。詐欺師映画らしく、2転3転するオチにも見事にはめられてしまった。一番の詐欺師は監督だと思った。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/3
[サイト内タグ検索] リカルド・ダリン
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Angel of Fire <1992/メキシコ> ★★

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Ángel de fuego
1992/95min/メキシコ
監督:ダナ・ロトベルグ
出演:オトラ・プロドゥクトラ・マス、エバンヘリーナ・ソサ、リリア・アラゴン、
IMDb評価:7.3/10

衝撃度 ★★★
難解度 ★★★
宗教度 ★★★

13歳の少女は父親の子を妊娠してしまう。サーカス団員であるため、妊婦では仕事ができない。堕胎か脱退を命じられ、彼女はサーカスを去ることを選択した。

少女は父親が大好きでベッドに行っては笑顔で自ら裸になっており、性的虐待ではない。彼女にとっての性行為は、子どもの頃大好きなお父さんと一緒にお風呂に入るぐらいの感覚なのかもしれない。学校にも行っていないから年頃の男の子との交流がないことと、ファミリー経営なので家族に依存しすぎていることが要因に思える。

全ての責任は周囲の大人たちにあり、体裁や仕事を優先し、追い出してしまう現実。大人の都合に振り回される子どもたちによる悲劇を描いている。

“1992ベストラテン映画”だった本作。おそらく低予算なので地味な演出は仕方がないにしても、質素すぎる美術品に物足りない台詞はあまりにも不十分。冒頭のサーカスシーンや近親相姦は興味深かっただけに、中盤からの失速は残念すぎる。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/6
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ホワイトウイザード <1987/ノルウェー> ★★★

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Ofelas/ Pathfinder
1987/86min/ノルウェー
監督/脚本:ニルス・ゴープ
出演:ミッケル・ゴープ、 スヴェイン・スカッフェンベルイ
IMDb評価:7.5/10

残虐度 ★★
映像美 ★★★
感動度 ★★★
催涙度 ★★

<あらすじ>
古代ラップ伝説に基づき、ノルウェー映画界が総力を結集して製作したスペクタクル大作。1000年も前のノルウェーの最北端、ラップランド地方に住むラップ族の少年が、部落の人々を救うべく、恐るべき侵入者チュート族を相手にして勇敢に戦い抜いていく姿を、壮大な大自然を背景に語っていく。

<レビュー>
偶然、ダイ・ハードと比較する記事を目にし、この映画を知った。88年にオスカーにノミネートされており、「レジェンド・オブ・ウォーリアー 反逆の勇者」(2007/米)としてリメイクもされている。ラップ語初の作品だとか。

見渡す限り雪一面の大自然、しかも真冬で髭まで凍りつく寒さ。手作りのテントのような家に住み、狩りで仕留めた獲物の皮を服や靴にしている。1000年前が舞台なので、武器も弓矢や槍、ナイフぐらいしか出てこない。男は狩りにでかけ、女は家を守るという昔ながらの生活習慣、トナカイのソリでの引っ越しシーンも興味深い。
path1.jpg
皆で助け合い、時には自分が犠牲となってまでも部族を守ろうするラップ族に対し、侵入者チュート族は自分さえ助かれば仲間を犠牲にすることをも厭わない。悪役はとことん悪役に描かれている。

文明社会とは程遠く素朴だけど、ディズニー映画のようなファンタジーさもあり、期待をはるかに上回る面白さ。ダイ・ハードというよりクリフハンガーに近いと思った。CGなしなのに、見応えのある迫力と緊張感はカメラワークの凄さなのだろうか?

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/4
[タグ未指定]
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