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ダークハウス/暗い家 <2009/ポーランド> ★★★

dark house
Dom zly/Dark House
2009/109min/ポーランド
犯罪、ドラマ、スリラー
監督:ボイテク・スマルゾフスキ
出演:アルカデュシ・ヤクビク、マリアン・ジエドジエル、バルトウォミエイ・トパ
受賞:
2009 ポーランド映画祭 監督賞、編集賞
2009 ワルシャワ映画祭 観客賞
IMDb評価:7.4/10


社会度 ★★★★
個性度 ★★★
陰湿度 ★★★★
衝撃度 ★ 



dark house2妻の突然死で傷心のシロドンはアルコールに依存してしまう。そんな生活から抜け出すべく、人里離れた農家を訪れ一夜を過ごすことにした。農夫は密造酒を作っており、あまりのおいしさに密造酒販売での一攫千金を持ちかけるが、その晩に痛ましい事件が起こってしまった。それから4年後、手錠を掛けられたシロドンは廃墟となったその家に連れてこられ、現場検証が始まるが…。

いったいここで何が起こったのか…
社会主義体制末期のポーランドを舞台にした殺人ミステリーだが、本質は上層部の圧力による不正隠ぺい、仲間同士の裏切りといった社会主義における現実を浮かびあがらせていく。

dark house1“1978年の事件発生”と“1982年の現場検証”の2つの時間を交互に並行して描かれる。78年は夜、82年は昼という設定が巧妙。78年は、共産党時代の最後の“暗い時代”であり、夜という設定。82年は、戒厳令下の時代だが、すでに後の民主化運動で主導的な役割を果たす労働組合「連帯」が結成され、国民が民主化運動に向かいつつあった時代でもあり、昼という設定。1963年生まれの監督さんなので、時代の変化を肌で感じていたのでしょう。二つの時代には明らかな境界線があり、普通のサスペンスとは一味異なった緊張感が漂い、陰湿で張り詰め過ぎた空気感には恐怖さえ感じ疲労困憊。



ポーランド映画を観ていてよく思うのが、“好き嫌い”と“良し悪し”は必ずしも一致するわけではないということ。ダークな作品が好きな私でも本作にはかなりの負担を感じ、何回挫折したかわからない。ポーランドの歴史的背景に興味がある人にしか良さは伝わりにくいけど、間違いなく良い映画だとは思う。長い歴史の中で幾度の不幸を乗り越えてきた心情が少しだけ理解できた気がした。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/26
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ソフィアの夜明け <2009/ブルガリア> ★★★

eastern.jpg
Eastern Plays
2009/83min/ブルガリア
ドラマ
監督/脚本:カメン・カレフ
出演:フリスト・フリストフ、オヴァネス・ドゥロシャン、サーデット・アクソイ
受賞:
2009 第22回東京国際映画祭 東京サクラグランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞
2010 ソフィア国際映画祭 ベストブルガリア映画賞
2009 ワルシャワ国際映画祭 最優秀作品賞 他
2011 アカデミー賞外国語映画賞ブルガリア代表
IMDb評価:7.1/10

2011年アカデミー賞外国語映画賞エントリー65作品についてはこちら



本作がデビュー作となるカメン・カレフ 監督は幼馴染のフリスト・フリストフの人生に感銘を受けて、実生活を基にした作品を作り上げた。仕事場、自宅、彼女といった私生活をそのまま映画化し、弟ゲオルギとトルコ人女性ウシュルは架空の人物だそうだが、どこまでが現実でどこからが演出なのか境界線が見えないリアルさがある。

eastern2.jpg舞台はブルガリアの首都ソフィア。旧ソ連的な殺風景な街並みはポーランドに似ている。38歳の主人公イツォ(フリスト)は人生に挫折しドラッグに溺れ、今は治療の身であるが、その苦しみからアルコールに依存している。17歳の弟ゲオルギは両親への反発から、特に強い思想があるわけでもなくネオナチに加わる。格差社会の底辺で絶望の淵の彷徨いをテーマにし、この街ソフィア、彼らに夜明けはくるのか?観る者に自問させ、心に響く作品だった。

テレビニュースや新聞の引用が印象的である。いつも新聞を読み、政治のニュースを見ている父親は外の世界へばかり目を向け、目の前の現実(息子のこと)から目を背けている。一方、食事中にチベットや中国の話をするトルコ人観光客の父親もまた国際問題に感心があるようだが、命の恩人であるイツォがブルガリア人というだけで娘と親しくすることをよく思っていない。ブルガリアとトルコ合作の映画を何作品か観てみて、隣り合うブルガリア・トルコ問題は日韓問題と似ているように感じる。

アンジェイ・ワイダ監督の最新作「菖蒲」を観て、本作を思い出し再観した。「菖蒲」では主演女優クリスティーナ・ヤンダ自身が撮影監督の夫との私生活を語るシーンが盛り込まれている。そして、彼は撮影終了前に亡くなっている。一方本作は、主演フリスト・フリストフ自身の自宅、職場、彼女といった私生活をそのまま映画化し、撮影終了前に亡くなっている。「菖蒲」では川に、本作ではボスフォラス海峡に希望を見出すという点も共通している。

eastern1.jpg本作がいつの間にか日本で公開されていたことにも驚いた。好きな作風だし、いい作品だけど、デンマーク映画(「光のほうへ」「Brotherhood」「Nothing's All Bad」など)や韓国映画(「彷徨の日々」「木のない山」など)にこの類の映画は多いので新鮮味が全くなかった。日本では珍しいブルガリア発ということと、主人公の死という事実が作品と重なり評価を(更に)押し上げている気はする。

イツォが出会い、魅了された美人トルコ人女性サーデット・(ウシュル・)アクソイはキャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演 「理想の彼氏」(未見)、6月公開予定セミ・カプランオール監督3部作トルコ映画「ミルク」「卵」に出演している。人気が出そうな予感。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/26
[サイト内タグ検索] サーデット・アクソイ
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(未) A Somewhat Gentle Man <2010/ノルウェー> ★★☆

somewhat.jpg
En ganske snill mann/A Somewhat Gentle Man
2010/105min/ノルウェー
コメディ、犯罪、ドラマ
監督:ハンス・ペーター・モランド「微熱 愛と革命の日々(2006)」
脚本:キム・フォップス・オーカソン
出演:ステラン・スカルスガルド、Jannike Kruse Jåtog、Jan Gunnar Røise、ビョルン・スンクェスト
IMDb評価:7.1/10
ベルリン国際映画祭2010 コンペティション部門出品


ギャングの一員だったウルリクは、殺人で服役していた刑務所から12年ぶりに釈放される。相棒ケニーを恨んでいることを知っていたボスは、ウルリクに復讐話を持ちかける。一方、かつての相棒ケニーはウルリクへの恩を忘れ、幸せな家庭を築いて暢気に暮らしていた。それを見て復讐心を露にするボスであったが、ウルリクはケニーのように穏やかな人生を過ごしたいと思うようになる…。

somewhat1.jpg
割とすんなり職を見つけ、部屋も借りてしまった。
ノックもせず部屋に入ってくる大家の女性は食事を運んでくれるが、性的要求もしてくる。お世辞にも魅力的な風貌ではないが、ウルリクは断れない。その後彼女ができても、やはり断れない。A Somewhat Gentle Manのタイトル通り、どこかしら優しい男のウルリク。女性には優しく、元妻には頭が上がらない姿からはギャングの面影は見えない。ましてや犯罪者(確か殺人)にも見えない。

somewhat2.jpg
北欧のコメディーとなると、カウリスマキやロイ・アンダーソンのような乾いた笑いが多い。存じ上げない監督さんだったが、スタイルはかなり似ている。ステラン・スカルスガルドはシリアスな役柄を得意とするイメージがありコメディーは意外だが、カウリスマキでお馴染みの亡きマルック・ペルトラより私好み。

どこかしら優しい男のうだつの上がらない、のらりくらりとした毎日。“これが人生さ”と言わんばかりのエンディングもやはり北欧に共通している。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/13

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マイ・オンリー・サンシャイン <2008/トルコ=ギリシャ=ブルガリア> ★★★★

sunshine.jpg
Hayat Var/My Only Sunsine
2008/121min/トルコ=ギリシャ=ブルガリア
ドラマ
監督/脚本:レハ・エルデム「コスモス
出演:エリット・イシジャン、エルダル・ベシッキチオウル
IMDb評価:7.2/10


映像美 ★★★☆
怪奇度 ★
社会度 ★
個性度 ★★★
邦題センス ★★★





危険でうす暗いが息を呑むほど美しいボスポラス海峡近くの川沿いに、14歳のハヤットの父と祖父は、掘っ立て小屋を建てて暮らしている。父は小さな船を持っており、雑多な、そして非合法でもある仕事をして、家族の生命を支えている。優雅な水の流れとは隔絶したハヤットの生活は、つらく厳しいものだ。しかし、彼女には生きようとする本能がある。世界の様々な不公正にもかかわらず、勇気と忍耐そして希望を持った彼女の気質が、生きていけることを指し示す。@24th 東京国際映画祭

sunshine4.jpg舞台はイスタンブール、巨大な貨物船が行き交うボスフォラス海峡。観光地として垣間見れるボスフォラス海峡とは全く異なる側面を映し出している。霧、壁に映る揺れる水面、船。水に纏わる映像や揺れる水面使いがたまらなくいい。台詞は少なく、状況も明確に提示されるわけではないのでかなり抽象的だが、その分映像に釘付けになる。

ハヤットの父親は小さなボートで大型船に近づき売春婦を送り込むような仕事をしている。海峡の近くの掘立小屋に暮らしており、ハヤットは父親の商売道具の小さなボートで学校へ通う。大型船はそんな小舟に気付くことなく往来を続け、ハヤットのちっぽけな存在や孤独を象徴するかのよう。

sunshine3.jpg父親は客と売春婦にまで自宅を提供し、その時ハヤットは離婚した母親の家へ連れて行かれる。しかし、母は既に新しい家庭を築いており、あまり歓迎されていない。家では肺の病気を抱えている寝たきり祖父の看病、学校でのイジメ。ハヤットには心の安らぐ所がない。大海原に浮かぶ大型船の往来による大波で時には転覆しそうになるボードも居場所のないハヤットそのもの。そんな不安定なハヤットの心を反映しているかのように映し出す揺れる水面がたまらなくいい。

押すと音楽の流れるぬいぐるみ。流れる音楽は「マイ・オンリー・サンシャイン」。英題、邦題にもなっている。♪ユアー・マイ・サンシャイン、マイ・オンリー・サンシャイン、ユー・メイク・ミー・ハッピー…♪という歌詞とは正反対の日々を送りながら、繰り返し聞き続けているのがあまりにも切ない。
ぬいぐるみの音楽を遮るかのように聞こえる子供たちのザワメキ、生き物の鳴き声、飛行機、銃声とパトカーの音。本来なら、もし幸せならこれほどまで気になることないであろう騒音が際立ち、思春期の情緒不安定さをうまく表現している。

世の中の全てが気に入らないかのようにく不貞腐れた態度で、七面鳥へ八つ当たりしたかと思えば、香水や口紅に関心を示す年頃の女の子ハヤット。少女を主人公にしてるだけあって、色彩が豊かで温かみが感じられる。服装が可愛らしく変化していくのも見逃せない。新作「コスモス」ほどの怪奇現象は見られなかったが、ブラックユーモアがあり、オリジナリティーに溢れている。孤独を表現していたボスフォラス海峡だが、希望を見出す場所として提示しているラストも好印象。
広告ポスターに良さが引き出されていないのが残念で仕方ない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/25

[サイト内タグ検索] レハ・エルデム監督
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はじめての大切なもの <2010/伊> ★★

prima.jpg
La prima cosa bella/The First Beautiful Thing
コメディー、ドラマ
2010/122min/イタリア
監督:パオロ・ヴィルズィ (Paolo Virzì)
出演:ミカエラ・ラマゾッティ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ステファニア・サンドレッリ
IMDb評価:7.5/10

2011年アカデミー賞外国語映画賞エントリー65作品についてはこちら
イタリア映画祭2011についてはこちら
本作は4/29,5/4東京上映

中年男性ブルーノは、ミラノの学校で教鞭をとっている。彼女と同棲をしているが、あまり幸せな人生ではない。そんな時、妹ヴァレリアに母が癌で余命いくばくもないという知らせを受ける。微妙な関係のまま疎遠になっていた母と関係を修復しようと帰郷するが…。
 

prima1.jpg時は遡り、1971年。母はママコンテストで優勝したことを機に、女優にスカウトされたりと町では目立つ存在になっていた。夫はそんな妻に嫉妬し、思春期の息子ブルーノは夫以外の男に色目を使う母を目の当たりにし、反感を持っていた。いくつになっても色気があり、どんなことにも愛情を注ぎ、時には恥ずかしいことも。天真爛漫過ぎる母を持ち、困惑する息子の視点で“母”が描かれる。

母が入院していると聞き久しぶりに会う息子の脳裏には母との過去の思い出が蘇り、時間軸は幼少期、大学生、現在と入り乱れる。思い出す瞬間にはいつも母がいた。

prima2.jpgどんな時でもそばにいてくれ、家族が危機的な状況に陥った時でも、楽観的だったからこそ笑いが絶えない温かい母。たとえどんな母であれ、やはり愛すべき存在。年齢と共に変化する内に秘めた母への思いがよく映し出されている。涙を洗い流してくれるようなユーモアが随所に散りばめられ、イタリア映画の魅力満載な作品。

とはいえ、私はイタリア映画、特にコメディーとはとことん相性が悪い。本作は共感できる、もしくは同世代のキャラクターがおらず、主人公がママコンテストの女王に選ばれたとはいえ、全然綺麗だとは思えないのもハマれなかった理由の一つかもしれない。唯一ラストだけは観てよかったと思えた。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/21
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(未) Strayed <2009/カザフスタン> ★★★

strayed.jpg
Zabludivshijsya/Strayed
2009/90min/カザフスタン
スリラー
監督:Akan Satayev
出演:Andrey Merzlikin、Tungyshbai Al-Tarazi
言語:ロシア語
IMDb評価:4.9/10

2011年アカデミー賞外国語映画賞エントリー65作品についてはこちら

一家を乗せた一台の車は、何かを恐れ、大通りではなく裏道の荒野を走っていた。しかし、道には数分前に自分が車の窓から投げ捨てたペットボトルが落ちていた。荒野を抜け切ろうと思っていたが、どうやら同じ所を走り続けたいたことに気付く。しかも、エンジンがストップしてしまい、仕方なく一家は一晩車で過ごすことにした。しかし、朝目を覚ますと、妻と息子が消えていた…。

strayed2.jpg目印となるような建物もなく、変わり映えのない景色、人気(ひとけ)もなく、車も通らない。おまけに携帯は圏外で道に迷うってしまうのも仕方ない。車の上に登り、辺りを見渡すと彼方にたった一軒の小屋を見つけた。訪ねてみると親子が住んでおり、道に迷ったこと、妻と息子が消えたことを話すと、あたかも関与しているかのように2人は全てを知っていた。原始的な生活をしており、地元住人ではないという2人の風貌は気味悪く、すぐその場を立ち去った。しかし、鍵がかかった部屋があり、そこに監禁されているのではないかという疑念が残る。
strayed3.jpg


妻と息子の行方探しとして始まったストーリーは、気味悪い親子の謎へと移り、中盤までは心理スリラーとしてなかなか面白い展開が続く。本作はアカデミー賞カザフ代表に選ばれている。「他国の作品にはカンヌやベニス国際映画祭にもノミネートされたものもあるが、それでも望みはある。」と監督は語っている。神、人間性、モラルを映し出す哲学的な描写を作りだすのに5、6年も費やしたそうだ。主演は有名ロシア人俳優(私は知らないけど)が、他はカザフの俳優が起用されている。正直なところ、国代表に選ばれるほどの作品だとは思わなかったのは、私の理解度が低く、腑に落ちない結末はおそらく監督のこだわりでもある宗教的見解が必要なのかもしれない。英題「Stray」とは“道に迷う、はぐれる”といった意味。私自身がストーリーからはぐれてしまった気分になってしまった。観る側の質を問われているようでもある。動向を見守るかのように出没する黒い犬と蛇がおそらく鍵になると思われる。strayed1.jpg

私にとって初カザフスタン映画となる。中央アジアに位置し、極東アジアとはまた違う顔立ちは新鮮に感じる。公用語はロシア語とカザフ語のようだが、本作は多分全てロシア語だった。小屋の使い方にはタルコフスキーの影響を受けているのは明らかだが、マイナーな国の作品は俳優への先入観がなく観れるというのも魅力。

<鑑賞> 一部英語字幕 2011/4/23

[サイト内タグ検索] 日本未公開
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恋愛社会学のススメ (原題: Everyone Else) <2009/独> ★★★☆

everyone2.jpg
Alle Anderen/Everyone Else
2009/119min/ドイツ
ドラマ、ロマンス
監督/脚本:マレン・エイド(Maren Ade)(長編2作目)
出演:ビルギット・ミニヒマイアー、Lars Eidinger、Hans-Jochen Wagner
受賞:ベルリン国際映画祭 銀熊賞審査員グランプリ
IMDb評価:6.7/10


邦題センス ★★★
普遍度 ★★★
新鮮度 ★
官能度 ☆






***********第59回(2009年) ベルリン国際映画祭受賞作***********  
金熊賞: 「悲しみのミルク」 - クラウディア・ローサ監督
銀熊賞:
審査員グランプリ:「Gigante」 - アドリアン・ビニエツ監督、「Alle Anderen(本作)」 - マレン・エイド監督
監督賞: アスガー・ファルハディ - 「彼女が消えた浜辺」
女優賞: ビルギット・ミニヒマイアー - 「Alle Anderen(本作)」
男優賞: ソティギ・クヤテ - 「London River」
脚本賞: アレサンドロ・キャモン、オーレン・ムーヴァーマン - 「The Messenger」
芸術貢献賞: 「Katalin Varga
アルフレード・バウアー賞:「菖蒲」 - アンジェイ・ワイダ監督、「Gigante」 - アドリアン・ビニエツ監督
*******************************************

彼の両親のサマーハウスで休暇を過ごす30代前半のドイツ人カップル。一見、幸せそうでどこにでもいそうだが、彼のほうは何かを言うタイミングを常に見計らっている。おそらく離婚を切り出すのかと思いきや、まだ結婚に辿りついていないカップルであった…。

everyone1.jpg女性監督による女性のための恋愛映画。いくら好きな人と結ばれても不安はつきもの。そんな恋愛中の痛みを描いている。普遍的な恋愛をテーマにしていながら、ロマンティックさはなく、現実を見据えた恋愛、必ずしも幸せいっぱいな側面を描いているわけではないところに共感。フランス映画ではなく、ドイツ映画というのも興味深い。冒頭10分ぐらいから涙が出そうになった。

背景は多く語られず、徐々に探っていくしかないため、観る人によっては退屈になりかねない。劇的な展開もないし、抽象的で明確な答えが用意されているわけではないので、観た人それぞれの解釈に委ねられている。しかし、同世代以上で、恋愛経験のある人ならきっと自分と重なる瞬間があるはず。

自分に自信がなく、別れを恐れ、愛してると言って欲しい彼女。言葉ではなく、態度で示そうとする彼。結婚間近にも見えなくもないが、もしかしたら付き合い始めたばかりなのかもしれない。何気ないことで口論になったり、でも嫌われるのが嫌でその場を取り繕ってみたり、否定して欲しくてわざと思ってもいないことを言ってみたり、お互いまだ知らないことも多く、少しづつ歩み寄ろうとする過程、私にも経験がある。

愛情表現が豊かでなく、一歩一歩慎重な彼が今求めているのは“安心”。10代の勢いだけの恋愛とは違い、結婚を意識しつつ冷静に相手を見極めようとしているのも見て取れる。一方、感情的になりやすい彼女が求めているのは“安心”ではなく“安定”。本当に待っているのは“愛してる”ではなく、“プロポーズ”なんだと思う。しかし、彼は“愛してる”の一言ですら素直に言葉にできない。些細なすれ違いがとっても歯痒い。この先、このカップルがどうなるのかは描かれておらず、想像するしかない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/22
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SFバイオワールド/女帝国の謎 <1983/ポーランド> ★★★★

sexmission.jpg
SFバイオワールド女帝国の謎/Seksmisja/Sex Mission
1983/120min/ポーランド
SF、コメディー
監督:ジュリアス・マチュルスキ (Juliusz Machulski) 
出演:オルジード・ルカセウィッツ殺人に関する短いフィルム」「尋問」「カティンの森」「Geeneral Nil」
イェジ・シュトゥールデカローグ10話」「トリコロール 白の愛
IMDb評価:7.8/10


邦題のセンス なし
ブラック度 ★
コメディ度 ★★★
隠喩度 ★★★
官能度 ★



1991年「不死への道」として冬眠カプセルが発明され、ノーベル賞を受賞した。アルベルトとマックスが被験者として3年間冬眠することになった。しかし、その間に戦争が勃発し、発見され解凍されたのは、53年の時を経た2044年だった。そして、男はバイオ兵器により絶滅し、女だけの国家となっていた…。

sexmission2.jpg1981年の戒厳令施行によりポーランドでは国内で公開・輸出が禁止されていた。1983年7月 戒厳令全面解除されたが、外国での映画製作を余儀なくされた監督も多くいた一方で、娯楽映画が量産されたという。娯楽色が強く、キェシロフスキ監督やワイダ監督好きには支持されにくいかもしれないが、自国産の映画を製作するための苦肉の策だったようにも思える。かなりのおバカ映画だが、社会風刺をユーモラスに描いている。第二次世界大戦後、女性や子供ばかりが残され、長らく男性不在、父親不在だったポーランドの歴史を皮肉っている。

地上は放射線に汚染されていると信じられており、地下国家が築かれていた。人工単為生殖によって子孫繁栄させ、女だけの世界を形成している。男がいないのだから、裸で歩きまわることへの羞恥心も全くなく、プールも全裸で泳ぐといった世界。もちろんセックスの概念もなく、男性性器を見ても何なのか検討もつかない。子供にパパのことを尋ねても、逆に「パパって何?」と問い正されてしまう。そんな世界で解凍されてしまったアルベルトとマックスは法廷での裁判で、去勢か死滅かの決をとられる。去勢されるぐらいなら死んだ方がマシだと考えたのが功を奏す。sexmission1.jpg

原題「Sex Mission」のSexは“性別”という意味と“セックス”の両方の意味をかけていて、オチもよくできている。 日本ではホラーに分類されているようだが、「トリコロール 白の愛」で性的不能だったイェジ・シュトゥールの魅力全開のコメディーである。女性が観ても不快感はなく、邦題でかなり損をしている傑作。
日本版VHSは90分だが、私が観たのはロシア版120分。テレビでも放送されたことがある。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/20


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THE レジェンド -伝説の勇者- <2003/ポーランド> ★★

regend.jpg
Stara basn. Kiedy slonce bylo bogiem
戦争、アクション、ファンタジー
2003/103min
製作/監督/脚本:イェジー・ホフマン
製作:イェジー・R・ミハルク
原作:ヨーゼフ・イグナツィ・クラシェフスキ
脚本:ヨーゼフ・ヘン
撮影:パーヴェル・レーベシェフ
出演:ミハウ・ジェブロフスキー、マリーナ・アレクサンドロワ、マウゴジャータ・フォレムニャック、ダニエル・オルブリフスキー、ボグダン・ステュープカ
IMDb評価:5.3/10

ポーランドを代表する監督さんということで鑑賞。かなりマイナー作品かと思いきや、日本発売しているとのことで、日本にはファンが多いということだろうか。



regend1.jpgポーランドは10世紀まで地方ごとにいくつかの西スラヴ人の公国によって分割支配されていた。10世紀後半にピャスト家がポラニェ族をまとめ、周辺諸部族を統一して、今日のポーランドの基盤を作り上げている。10世紀のポーランド建国において、その中心となったのがポラニェ族の豪族ピャスト家の一族だった。この一族によって開かれたポーランド最初の王朝をピャスト王朝という。権力を築きあげたのはピャストの息子シェモヴィトや、その子レシェクたちであり、世代を重ねるごとにその権力は大きくなり、レシェクの孫のミェシュコがポーランド統一を完成させていった。本作はピャストの息子シェモヴィトが、悪い国王ポピエルを倒すまでを描いている。

legend2.jpg
前王の死後、その息子二人が幼かったため、彼らが成長するまで弟のポピエルが継ぐことになる。しかし、元奴隷の妻にそそのかされ、彼女との間に作った息子を王位に即けようと悪だくみを始める。ポピエルの蛮行に気付いたピアストンは彼の元を去ったが、王からの追っ手に森の中で襲撃され、ヴァイキングのお守りを身につけていた狩人シェモヴィト(ミハウ・ジェブロフスキー)に助けられた。土地の有力者ヴィーシュの娘に恋したシェモヴィトは、彼女のために戦いに参加していくことになる…。


キリスト教が布教される前で、部族はそれぞれの神を信仰していた。部族ごとに違う習性やお祭りがあったり、魔女のおばあさんの媚薬や巫女さんの登場は雰囲気があってよかったが、演出が古く、私の趣旨には合わず。どこの国にもある部族争いなので、時代背景を知らなくてそれなりに楽しめるが、知ってると知らないとでは理解度に差は出るでしょうね。私は完全に知識不足。前半は面白く観れたが、段々出演者が増えるにつれ誰と誰が味方なのかごちゃごちゃになってしまった。名前も耳馴染みがなく、覚えきれない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/14
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パパの木 (原題:The Tree) <2010/豪=仏=独=伊> ★★★

2013年6月公開予定。

tree4.jpg
The Tree
2010/100min/フランス=オーストラリア=ドイツ=イタリア
ドラマ
監督/脚本:ジュリー・ベルトゥチェリ(長編2作目)
原作:ジュディ・パスコー処女作「パパの木」
出演:シャルロット・ゲンズブール、マートン・ソーカス
受賞:オーストラリア映画協会賞2010 作品賞、監督賞、脚色賞
映画祭:カンヌ映画祭2010 クロージング
ロケ地:オーストラリア クイーンズランド州Boonah
言語:英語
IMDb評価:6.7/10 

ジャン=ルイ・ベルトゥチェリ監督の娘であり、「トリコロール 青の愛」「ひとりぼっちの狩人たち L'Appât (1995)」等のアシスタントディレクターを経験し、「やさしい嘘」(未見)で長編デビューした女性監督。



私はオーストラリアに住んでいたことがありながら、オージーイングリッシュがわからないので、豪映画はほとんど観ない(観れない)が、本作はコテコテのオージーイングリッシュを話す人が出てこないので、幸い奇跡的にも最後まで観れた。
あ~こういう表現よく聞いたな~なんてオージー特有のスラングが使われ、コウモリ、カエルやカンガルーをごく自然に登場させる感じにオーストラリアらしさを感じた。
私は、カンガルーはもちろんだけどカエルとコウモリを生まれて初めて見たのもオーストラリアだった。森の入口に住んでいたことがあるので、夕方はコウモリが飛び回り、夜はカエルの鳴き声、通勤時にはカンガルーの群れなんかに遭遇していたので、すごく懐かしかった。

tree3.jpgオニール一家は、庭には大木がある所へ家ごと引っ越してきた。しかしある日、夫は運転中に心臓発作を起こし亡くなってしまう。走行中だった車は庭の大木へぶつかり止まった。一家の大黒柱を失い、残されたのは幼児から高校生までの4人の子供たちと母親。高校生の長男が一番現実を見据えており、亡き父の役目を果たそうとアルバイトを始める。母親は喪失感や精神的な疲れから、子供たちの世話どころか日常生活もままならない。唯一の女の子8歳のシモーヌは、庭にあり、父が亡くなる時にぶつかった大木に亡き父親の魂を感じるようになる。木に話しかけ、父親に甘えるかのようにそこで過ごす時間が増え始める。立ち直れない母を元気づけたく、木に父親の魂が宿るという秘密を母に打ち明ける。母も木で過ごすようになり、徐々に立ち直り始め、働き口を見つけてきたが…。

tree2.jpgようやく働き出した母。雇い主の男性との関係が親密になり、明るさを取り戻していく。しかしその一方で、庭の大木も成長し始める。枝を伸ばし、家全体を包み込むかのように根や枝を張り巡らす。そして、太い枝は折れてしまい、見事なまでに寝室を壊してしまう。妻の気持ちを読み取っているかのように反応を見せる大木の成長は、新しいカレとの仲を引き裂くかのようでもある。それは嫉妬なのか。お隣の奥さんが言うように、もはや木ではなく、タコのようでもあり、夫の執念とも取れる。

父の死を受け入れられないシモーネは、母が雇い主と仲良くすることを良く思っていない。8歳でありながら眼差しや言動は大人顔負け。女として再び花咲かせようとする母に賛成できず葛藤を生んでしまう。母へ抵抗し、木の上で生活を始める姿は亡き父の立場を守るかのようでもある。

tree1.jpg4人の母役を演じるゲンズブール。前作「アンチクライスト」とは全く違う雰囲気の主婦を演じているが、冒頭での家族の死と大木をシンボル的に使うという点は共通している。「アンチクライスト」で木での自慰行為がいまだ強烈に脳裏に焼き付いており、本作でも大木に関わるシーンになると問題とされていたシーンが頭をよぎってしまう。

結末に触れています。反転するとご覧になれます。
娘シモーネの抵抗が功を奏し、母は雇い主との関係を断ち切った。しかし、その矢先のハリケーン。大木は根こそぎ倒れてしまった。それは亡き父からの解放と自由を意味しているのだろう。全てのしがらみを断ち切り、再出発をきる母の顔は晴れ晴れとしていた。女性監督らしい繊細なタッチが好印象。

<鑑賞> 2011/4/16

初版:2011/4/18
[サイト内タグ検索] シャルロット・ゲンズブール
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水の中のつぼみ <2007/仏> ★★★☆

tsubomi1.jpg
水の中のつぼみ/Naissance des pieuvres/Water Lilies
2007/85min/フランス
ドラマ、青春
監督/脚本:セリーヌ・シアマ(Celine Sciamma)デビュー作
製作:ベネディクト・クーヴルール、ジェローム・ドプフェール
撮影:クリステル・フルニエ
音楽:パラ・ワン
出演:ポーリーヌ・アキュアール マリー、アデル・エネル フロリアーヌ、ルイーズ・ブラシェール アンヌ、ワラン・ジャッカン フランソワ
IMDb評価:6.7/10

2007年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品






性に揺れる思春期の少女たちの姿を淡いエロティシズムと瑞々しいタッチで綴ったガールズ・ムービー。監督はこれがデビューの女性監督セリーヌ・シアマ。親友の同級生アンヌを応援するためシンクロナイズド・スイミングの競技会場へとやって来た15歳の少女マリー。彼女はそこで、上級生の演技に目を奪われ、ひときわ華やかなチームのキャプテン、フロリアーヌの美しさに心奪われてしまう。彼女に近づきたい一心で、シンクロ・クラブに入部するマリー。やがて彼女は、フロリアーヌが周囲から男性関係が盛んだと噂されて孤立していることを知るのだが…。allcinema

tsubomi4.jpg中心となる少女3人。華奢で成長過程の身体にコンプレックスを抱くマリー。親友でぽっちゃりタイプながらシンクロを習うアンネ。妖艶でシンクロチームのキャプテンを務めるフロリアーヌ。
異性への意識が高まると同時に、同性の年上に対しても憧れが芽生える思春期。性への好奇心、処女喪失への焦りや恐れ、不安といった思春期特有の感情の描き方。身体の成長に心の成長が追い付いていなくて、アンバランスで落ち着かない感じ。レズビアンだと公言している監督さんだけあって、微妙な感情をうまく引き出している。撮影も女性というのもポイントかもしれない。本作が卒業制作だというから更に驚き。

tsubomi3.jpg
美を競い合うシンクロナイズド・スイミング。
一見優雅だが、水面下の手足はタコの足そのもの。あえて音楽を入れずに練習する風景に優雅さはなく、まさに少女たちの熾烈な戦いである。表面的な美しさの影には並々ならぬ努力がある。私も少々シンクロ経験があるので、彼女たちの演技後の作り笑顔が痛々しく感じた。

誰もが羨むような容姿のフロリアーヌ。美しすぎるがゆえに女の子たちからは妬まれ、男をたぶらかしているといった噂話も浮上してしまう。シンクロと同じように表面上は恵まれているかもしれないが、一番孤独を抱えているように思えた。
男性経験が豊富であると思われているがゆえに今更処女だなんて言い出せない。性体験に奥手なのも知られたくない。高飛車な振る舞いは孤独の裏返しなのだろうか。

tsubomi2.jpg驚いたことに本作に少女たちの両親はおろか、大人がほとんど登場しない。どんな映画でもいろんな世代の役どころがあって、どんな年齢の人が観ても共感できるようになっている。私の場合は、青春期をとっくに終えてはいるが、まだその親世代でもなく、その狭間。青春映画を観ると、まだ親の気持ちはわからず、誰と自分を重ねていいのかわからなくなってしまうことがよくある。本作は少女しか出てこないので、自然と少女の気分にさせてくれ、自分の淡い思春期を思い出させてくれた。

フランス語の原題は「タコの誕生」という意味。水中のシンクロの手足を想起させる“タコ”と、フランス語のスラングで“厄介者”の二つの意味を含ませている。一方、英題「Water Lilies」は、クロード・モネの有名な絵画“睡蓮”のことである。シンクロの少女たちを水に浮かぶ睡蓮の花に見立ていると思われる。邦題「水の中のつぼみ」のつぼみとは?

この先、結末に触れています。
洋服のままプールに飛び込みラストシーンはつぼみから見事咲かせた花に見立てているのだろうか。だとしたら、フロリアーヌが無事に花を咲かせることはできるのだろうか。マリーとアンネはひと夏の恋で成長を遂げ、フロリアーヌは一体何かを得たのだろうか。この先が思いやられる…。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/12
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菖蒲 <2009/ポーランド> ★★★★

tatarak.jpg
菖蒲/Sweet Rush/Tatarak
2009/85min/ポーランド
ドラマ
監督:アンジェイ・ワイダ「カティンの森」「大理石の男
原作:イワシュキェーヴィッチ同名短篇小説
出演:クリスティナ・ヤンダ尋問」「デカローグ第2話」「大理石の男」、Pawel Szajda、Roma Gasiorowska
受賞:第59回ベルリン国際映画祭 アルフレード・バウアー賞
IMDb評価:6.6/10

映像美 ★★★★
哲学度 ★★★
衝撃度 ★
社会度 ★

カティンの森」に続くワイダ監督最新作


*****第59回 ベルリン国際映画祭受賞作*****  
金熊賞: 「悲しみのミルク」 - クラウディア・ローサ監督
銀熊賞:
審査員グランプリ:「Gigante」 - アドリアン・ビニエツ監督、「Alle Anderen」 - マレン・エイド監督
監督賞: アスガー・ファルハディ - 「彼女が消えた浜辺」
女優賞: ビルギット・ミニヒマイアー - 「Alle Anderen
男優賞: ソティギ・クヤテ - 「London River」
脚本賞: アレサンドロ・キャモン、オーレン・ムーヴァーマン - 「The Messenger」
芸術貢献賞: 「Katalin Varga
アルフレード・バウアー賞:「菖蒲(本作)」 - アンジェイ・ワイダ監督、「Gigante」 - アドリアン・ビニエツ監督
***************************

tatarak2.jpg小さな町医者夫人マルタは不治の病に侵されているが、本人は告知を受けていない。ワルシャワ蜂起で亡くした息子を未だ思い続けるある日、生きていれば同じ世代の青年ボグシに出会う。次第に魅了され、川辺で逢引きをするが…。

本作は、原作小説の映画化「菖蒲」と監督自身も登場するそのメイキングシーン、そして女優クリスティナ・ヤンダの私生活のモノローグ(独白)の多重構成となっており、一見チグハグに思えるが見事に調和している。一番面白かったのは川辺でのメイキングシーンだったが、心に響いたのはモノローグだった。

女優クリスティナ・ヤンダの夫で撮影カメラマンのエドワード・クロシンスキーはワイダ監督とも馴染みが深い。ワイダ監督「約束の土地 Ziemia obiecana(1974)」、トリアー監督「Europa(1991)」、 キェシロフスキ監督「トリコロール 白の愛(1994)」、ロルフ・シューベル監督「暗い日曜日(1999)」などの撮影を担当した。2008年に病気で亡くなり、本作の撮影が延期になったという記事を以前どこかで読んだが、死をテーマとした本作でぜひとも夫のことを語りたいというヤンダの願いから、モノローグ部分を追加したという。台詞は彼女自身が書き上げ、部屋の中で延々と闘病生活から死まで語られる。英語字幕をひたすら目で追うのは正直つらかったが、3つの死の中で一番説得力があった。

tatarak1.jpgワルシャワ蜂起で亡くした息子。不治の病に侵されている夫人。そしてヤンダの夫。生きるということと表裏一体である死の影を漂わせながら、静かに綴られていく。“映画”部分は暖色を主体とした色調で悲壮感はなく、菖蒲が咲く川辺でゆらゆらと揺らぐ水面の映像が印象的。トキメイテいる時の女はほんとに美しい。写真の2人から死の文字は見えてこない。

一方、“モノローグ”部分はベッドと椅子しか置いていない殺風景な部屋でモノトーン。ポスターでも使われている。窓から差し込む光からは温かみを感じるが、現実をガツンと付きつけられたような衝撃を受けた。

tatarak3.jpgカティンの森」のようなタブー視された戦争ものの後に、本作のような文芸作品を撮るにはどう気持ちを入れ替えているのか。映画「菖蒲」をどんな心境で作ったのだろうか、という点にも興味があった。クリスティナ・ヤンダ主演でただの文芸作品に終わるわけがないが、彼女のモノローグがなかったら凡作で終わっていたように感じる。
現在85歳のワイダ監督。ワイダ監督作品はまだ数本しか観ていないが、本作は全く違う印象を受けた。かつてのような社会に刃向かう力強さはなくなり、勢いが衰え、丸くなったというか、監督自身役目を終え、穏やかに死を見つめ始めているのではないか。そんな心の内を覗いてしまったような気持ちにさえなった。
EUフィルムデイズで上映され、配給はまだついてないようだ。

<鑑賞>英語字幕 2011/4/11
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カティンの森 <2007/ポーランド> ★★★★

katyn.jpgKatyn
2007/122min/ポーランド
ドラマ、歴史、戦争
監督/脚本:アンジェイ・ワイダ
原作:アンジェイ・ムラルチク
脚本:ヴワディスワフ・パシコフスキ / プシェムィスワフ・ノヴァコフスキ
撮影:パヴェル・エデルマン
音楽:クシシュトフ・ペンデレツキ キャスト
出演:マヤ・オスタシャースカ、アルトゥール・ジミエウスキー、マヤ・コモロフスカ、ヴワディスワフ・コヴァルスキ、アンジェイ・ヒラ、ダヌタ・ステンカ、 オルジード・ルカセウィッツ
IMDb評価:7.1/10

2008アカデミー賞外国語映画賞の最終ノミネート作品
2008ドイツのベルリン国際映画祭にて特別上映
2008サンクトペテルブルグ国際映画祭にてクロージング上映

残酷度 ★★★★★
社会度 ★★★★★
 
急に観直してみたいという感情に掻き立てられた4月10日は偶然にも飛行機事故の1周忌であった。記事はこちら
ちょうど一年前の2010年4月10日、ポーランドの大統領専用機が墜落した事件で、レフ・カチンスキー大統領(当時)を含めて、搭乗していた96名全員が死亡した。当時、ポーランド代表団は、スモレンスク州で行われていた「カティンの森」事件追悼行事に参加する予定だった。この飛行機事故はまだ記憶に新しいが、さすがに日にちまでは覚えていなかった。偶然とはいえ、背筋がぞっとした。

katyn2.jpg1939年9月、ポーランドは西からドイツ、東からソ連に侵攻され、両国によって分割されてしまう。ソ連によって占領された東部へ、夫のアンジェイ大尉を捜しに妻のアンナと娘がやって来た。アンナは捕虜になっていた夫に再会するも、目の前で収容所へと移送されていく。やがて独ソ戦が始まり、1943年、ドイツは占領したカティンの森で虐殺されたポーランド将校たちの遺体を発見する。しかし、アンナは夫の死を信じられない。@goo映画

「カティンの森事件」とは、第二次世界大戦中にソ連のグニェズドヴォ近郊の森でポーランド軍将校、国境警備隊員、警官、一般官吏、聖職者がソ連の内務人民委員部によって銃殺された事件。1943年4月、不可侵条約を破ってソ連領に侵攻したドイツ軍が、元ソ連領のカティンの森の近くで、一万数千人のポーランド将校の死体を発見した。ドイツは、これを1940年のソ連軍の犯行であることを大々的に報じた。
その後ドイツが敗北し、大戦が終結した1945年以後、ポーランドはソ連の衛星国として復興の道を歩み始めた。そしてソ連はカティンの森事件をドイツ軍の仕業であると反論し、事件の真相に触れることはタブーとなった。苦難を乗り越え、大戦から生き残った軍人や国民、カティンで親族を失った遺族らには厳しい現実が待ち受けていたのである。@Wikipedia

katyn3.jpgドイツ軍に追われた人々と、ソ連軍に追われた人々がポーランド東部のブク川で鉢合わせになる冒頭シーンから尋常でない緊張感が漂う。ソ連へ連行される直前の夫アンジェイをようやく見つけ出した妻アンナは逃亡を持ちかけるが、軍への忠誠を誓ったアンジェイは後ろ髪を引かれる思いで列車に乗ってしまった。目の前で収容所へと移送されていく夫を見送る妻の姿は凛としていた。

ワイダ監督の父がこの事件の犠牲となっており、本作の大尉の妻アンナには、夫を待ちながら49歳で亡くなった自身の母親の姿が投影されているという。国が分断されると同時に引き裂かれた家族の思い。軍への忠誠を誓う男たちも辛い立場であるが、待ち続け、残される女たちも辛い。新聞の死亡者リストに夫の名がないことを確認しても、生きている保証もないが、死んだという確証もない。絶望の淵に立たされながらもドイツ軍に屈服せず凛とする妻たちには心打たれる。
生き残ってしまったことに苛まされ、自ら命を絶つ大尉の親友。ソ連軍によって白い部分を破り捨てられ、赤軍旗にされてしまった紅白2色のポーランド国旗。誰も抵抗せずにただ見ているだけの人々。戦争が終わった後も抑圧され続け、惑い、抵抗し、妥協し、そして苦悩は続くのである。

katyn1.jpgカチンの森で発見されたポーランド軍将校の遺体は4,243体。その多くは職業軍人ではなく、徴兵に応じた弁護士や高校教師、操縦士、技術者たちだった。ポーランド社会の中核をなす知識人層であり、復興を担うであろう人材ばかりだったことがわかる。戦後、家族のもとに帰ってきた兵士は、ポーランド軍将兵全体のわずか10%に過ぎず、ソ連の収容所から消えたポーランド軍将兵は、およそ25万人に上るという。社会的弱者の女性や子供ばかりが残され、戦後長らくソ連に依存せざるを得なかったポーランドの歴史を物語っている。

ワイダ監督作品には祖国への思いが溢れ、ほんとに勇気のある監督さんだとは思う。しかし、自身も犠牲者であり、人一倍強い思いを持っているがゆえにより一層残酷になってしまった感は否めない。ソ連軍による射撃シーンは直視できないほど残酷だが、同じ人間でありながらあそこまで感情を一切出さず、流れ作業的に撃ち殺せるものだろうか。非ポーランド人として客観的に観ると、ソ連軍の描き方があまりにもステレオタイプ過ぎる。ロシア人監督にも同テーマの作品を撮って欲しいと思うが…。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/10
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168. ソウルのバングラデッシュ人 <2009/韓> ★★★★

2011年5月28日新宿K's cinemaにて公開予定につき編集しました。

bandubi1.jpgソウルのバングラデッシュ人/반두비/Bandhobi
2009/107min/韓国
ドラマ
監督/脚本:シン・ドンイル「訪問者
脚本:イ・チャンウォン
出演:マーブブ・アラム・ポロブ、ペク・チニ人を探します」、キム・ジェロク訪問者
受賞:
第10回 全州国際映画祭 CGV韓国長編映画 封切り支援賞,観客評論家賞
第10回ソウル国際青少年映画祭韓国成長映画 発見部門観客賞
第31回フランス ナント三大陸映画祭コンペティション部門 グランプリ

社会度 ★★★★
衝撃度 ★
韓流度 なし

bang3.jpgトゲのある今時の女子高校生ミンソ。母子家庭であり、恋人に夢中の母親への反発が強い。自立心が強く、英語塾へ通うための費用を自分で稼いでいる。ある日、バスでバンぐラディッシュ出身の労働者カリムの財布を拾い、素知らぬ顔でバックへ入れてしまう。カリムはミンソを警察へ付き出す代わりにある提案を持ちかける…。

カリムが不法入国であることをいいことに、社長は1年分の賃金をピンはねしていたのである。韓国人が一緒なら対応してくれるだろうと考えたカリムは、ミンソに社長宅へ行ってお金を取り戻して欲しいと考えていたのである。
一方、ミンソはそんな外国人のカリムが一緒に歩くことで人目を気にしている。
韓国における外国人労働者の現状が強く描かれており、発展途上国出身外国人への軽視を特に強く訴えているように感じた。どちらも現代社会を風刺しており、日本にも共通する問題である。
女子高生が通う英語塾の教育の質の高さにも驚かされる。国際化社会における社会問題に深く切り込んだ作品。

bang1.jpg韓国社会から疎外され、差別を受ける外国人労働者と家族の愛情を受けていない女子高生。2人を引き合わせたのは孤独であろう。ミンソは、外国人労働者カリムとの出会いをきっかけに柔らかくなっていく。
Crying Nutの曲「ルクセンブルク」をミンソがカラオケで歌うシーンがある。
「肌の色や言葉が違ってもみんな人間だ」という歌詞には外国人への意識が変わった表れであろう。バングラ料理を食べるシーンが2度あるが、その食べ方の違いからもカリムがどれほどの影響力があったのかも見て取れる。


bang2.jpg観る者によって解釈が異なるであろうラストシーン。解釈の幅の残し方が私好み。切なさが残るが、カリムとの出会いは彼女を成長させた。

原題の「バンドゥビ Bandhobi」とはベンガル語で「友達」の意。商業作品ではないにしても、「ソウルのバングラデッシュ人」という邦題では全く興味が湧かないし足が遠のいてしまう。そのままカタカナにしてほうがよっぽどいいのに。

監督は「訪問者」のシン・ドンイル監督。
主演の女子高生ミンソを演じたペク・ジニは「人を探します」でデビュー。インパクトの強い役どころがあまりにも印象深く残っているが、本作もしかり。演技力の高さに驚きです。
シン・ドンイル監督に、ペク・ジニ。これからが楽しみです。

<鑑賞> 字幕なし 2010/4/19
初版:2010/5/6
最新版:2011/4/12





[サイト内タグ検索] ペク・チニ キム・ジェロク
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(未) A Serbian Film <2010/セルビア> ★★

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A Serbian Film/Srpski film
2010/104min/セルビア
アダルト、ドラマ、ホラー
監督/脚本/出演:Srdjan Spasojevic
出演:Sergej Trifunovic、Jelena Gavrilovic
IMDb評価:5.9/10

ゴア度 ★★★★★
倫理に反する度 ★★★★★





かつて有名なポルノ男優だったミロスは、今は足を洗い、妻と息子と平和に暮らしてる。しかし、芸術的な作品を撮りたいという監督から新たなポルノ映画出演の依頼を受ける。来年から小学校に通う息子が恥ずかしくないような父親でいたいとは思うが、生活費に余裕がない。海外輸出向けで国内では販売されないということで仕事を引き受けてしまった。契約書には映画の詳細は書いておらず、不安なまま現場に行くが…。

serbian2.jpgポルノ映画の監督を演じたSergej Trifunovicは旧ユーゴスラビアを代表する俳優の1人である。監督/脚本/主演を務めたSrdjan Spasojevicもかなりの認知度の俳優である。妻役のJelena Gavrilovic も無名女優ではない。旧ユーゴスラビア映画に詳しいわけでもない私が3人も知っているのだから、そんなに評判ほど酷くないだろうというのが観る前の意見であった。
ポルノ業界であれ、れっきとした職業。真面目な顔してセックスやテクニックの会話をしているのが可笑しい。
ポルノ業界を題材にしているのでそれなりにそういうシーンはあるが、中盤までは至って普通の内容であった。
一体どんなポルノ映画を撮らされるのか…というミステリー風に物語は進む。

学校のような撮影現場に着くや否やカメラがまわされおり、本人も状況をつかめぬまま行為が始まってしまう。流れに任せればいいという監督の助言通り仕事をこなそうとするが、まだあどけない少女が目の前で行為を見ているという設定に、さすがのミロスも行為を中断してしまった。しかし、契約書にサインをしてしまった以上、辞めることはできない。

ゴア描写がすごく、私も吐きそうになった作品でした。
今思い出しただけでも気分が悪い。この先不謹慎な表現が含まれます。ご自身の判断で読み進めてください。


目が覚めると、血だらけのまま自宅のベッドで寝ていた。曖昧な記憶を思い起こしてみるとおり、撮影日から3日経ていたことに気付く。不審に思い撮影現場に戻るとテープが散乱しており、人気のない森でこっそり観ることにする。すると、とんでもない映像が撮影されていた。ベッドに縛り付けた女性を犯す延長で、女性の首を切り落とす、自分も男性に犯されるといった尋常ではないハードプレーの連続であった。どうやら薬を飲まされ、プレーを強要されていたことが判明する。

serbian1.jpg中盤まではストーリーもしっかりしており“観れる”範囲であったが、後半は一気に加速し、かなり強烈。問題とされる部分がカットされているといわれているUK版の鑑賞だが、それでもかなりの問題作。何度も目を覆いながらも最後まで観れたのは神経が麻痺してしまったのかもしれない。恐ろしい映画だ。


冒頭、息子が何もわからずパパ出演のポルノ映画を見て、「パパは女の人と何してるの?」なんて聞くぐらいはたいしたことない。年齢制限があるし、性器の露出の高さも特に問題ではないが、使い方に問題がある。どう表現したらいいかわからないので、ここでは触れないことにする。

人間の倫理としてやっていいことと悪いことがある。映画にしていいことと悪いことがある。そんなのお構いなしで本作はやりたい放題。
生まれたばかりの赤ちゃんを犯し、出産を終えたばかりの母親は横で笑っている。
息子と奥さんまでポルノに出演させ、父親に息子を犯させるという設定も最低。

<鑑賞> UK版英語字幕 2011/4/5
[サイト内タグ検索] 日本未公開
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(未) I Am Dina <2002/スウェーデン=仏=ノルウェー=独=デンマーク> ★★★★

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I Am Dina
2002/125min/スウェーデン=仏=ノルウェー=独=デンマーク>
監督/脚本:オーレ・ボールネダル
原作:ハルビヨルグ・ヴァッスムー「Dina's book」(ノルウェーの汀の物語ディーナの愛 訳:佐々田 雅子)
出演:マリア・ボネヴィージェラール・ドパルデュー、クリストファー・エクルストン、ハンス・マセソン、マッツ・ミケルセンビョルン・スンクェストペルニラ・アウグスト
言語:英語
IMDb評価:6.4/10

映像美 ★★★★
ゴア度 ★★
哲学度 ★★

ノルウェー映画史上最高額の製作費(1億4400万ノルウェークローネ≒2100万米ドル)を投入した大作。第75回アカデミー賞外国語作品にもエントリーされた。ノルウェーで撮影しただけあって、フィヨルドの美しい景色に圧倒される。自然美だけでなく、時折盛り込まれている度肝抜く映像には驚かされるが、かなり私好みであった。
機械に袖を挟まれた娘を助けようとしたら熱湯を浴び亡くなってしまった母の死に様はあまりのインパクトに目に焼き付いて離れない。一線を画す美術装飾品は目にも鮮やかで、出演軍も国際性豊かで豪華。欲を言えば、台詞が英語ではないほうが雰囲気があっただろうに。
dina2.jpg
1860年代の北ノルウェー。少女ディーナは不慮の事故で母親を亡くししまう。ディーナを許すことができなった父親エドワードはディーナを屋根裏に監禁するなど厳しい人であった。
友人の薦めでディーナに家庭教師をつけるが、勉強よりもチェロの才能が花開き、その才能を認める父親の友人ジェイコフと結婚することになった。父エドワードは結婚に伴いチェロの家庭教師ロークにディーナの元を去るように頼む。しかし、去ろうとするロークに納得のいかないディーナは彼の首を絞めてしまう…。

dina1.jpgディーナは母の死を忘れるほど幼くはなかったし、父親の仕打ちもひどいものであった。そのトラウマが彼女を歪んだ性格にしてしまったようだ。
母を死なせてしまったことへの罪悪感、父に愛されない疎外感、父への不信感、反発。そして時折見る母の亡霊。娘の幸せを暖かく見守るというよりは、どこか抑圧的。ディーナは亡き母に恥じないよう、男に屈しない強かな女性を作り上げ、孤独をひたむきに隠していたようにも感じる。結婚して何か変わるかと思われたが、初夜も力づくで止めさせ、男に決して屈しない姿は貫いたままであった。

dina3.jpgそのジェイコフも結局は亡くなってしまった。ディーナは次々と周囲の男を虜にし、おして死に導いていく。全て母の因縁なのか。

正直、本作を通して何を伝えたかったのかよく読み取れなかったが、ディーナ役のマリア・ボネヴィーの演技が光る。野心家で、周囲の人々を支配する彼女の生き様を見事に演じ切っている。実際にノルウェー語、スウェーデン語、ロシア語、英語が話せるので、北欧映画には結構顔を出しているが、日本ではあまり知られていない?最も好きな女優さんの1人なので、もう少し注目度が高まってくれればいいのだが。

エンディングは2種類あるようで私が観たのはハッピーエンドではないほう。

<鑑賞> 2011/3/29
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フィンランド滞在記⑭ 日本とフィンランド

長期滞在してみて、旅行とは一味違う体験ができたのも事実。
観光地ではないからこそ貴重な体験ができたのも事実。
行かないとわからないこともあるけど、住んでみないとわからないことも沢山ある。
数日間は全てが珍しく、ありとあらゆる物を写真におさめようとするけど、気付くといつの間にか日常になってしまい写真もどんどん減っていく。またいつでも来れるという意識も働いていたのかもしれません。

日本人にとってフィンランドは遠い国であるように、フィンランド人も然り。
私がいた町は日本人の観光客は来ないので、町で日本語の看板を見かけることはなかった。
まして日本人は一度も見かけなかった。日本は中国の都市名だと思っている人が大勢いる。
電化製品だって、携帯はサムソン、NOKIAかモトローラ。テレビはフィリップス。
カメラはNiconやCanonを持っている人が多かったけど、日本企業だと認識している人は少ない。
つくづく遠い国であることを実感した。

それでも、カジュアルレストランや社員食堂にはドイツで作られたキッコーマンの醤油注ぎが置いてあった。
社員食堂では各テーブルに置いてあって、サラダのドレッシング代わりに使っている人が多かった。
私が使っていると、「日本にもある?」なんて聞かれたこともあった。
ドイツで作られているからドイツの調味料だと思っている人も少なくない。
スーパーには変な日本食もいっぱい売っていて、売れ行きも悪そうではなかった。(写真撮っておけばよかったと後悔)
無意識の内に日本に触れていることにおそらく彼らは気付いていない。私たちだって、「これって日本のものじゃなかったの?」なんてことよくある。

IMG_0881_convert_20110407152943.jpg
DSC00161_convert_20110407152907.jpg↑そんな町で鳥居を発見
地元で一番人気のクラブで開かれたRed Bull主催のパーティーでした。この日のために鳥居と桜の造花、提灯が装飾されていて、フィンランド風夜桜な気分!?
馬鹿騒ぎはするなと警告されているような気分になるけど、誰も鳥居を知らないだろうからお構いなし。Red Bullは飲み放題でした

鳥居は発砲スチロールで出来ていました。普段はこんなのはないので、この日のためにわざわざ作ったのだろうか?なにゆえに和をイメージしたのか気になる所ですが、確認できず。

←すごいお気に入りの同僚の写真。
独特のダンスを披露していて、いつも爆笑の渦。この日はステージに上げられていました
また顔隠すの忘れちゃった


パーティーが始まるのをちゃんと座って待っている地元っ子たち
礼儀正しい人種なので、しらふで馬鹿騒ぎしてることってほとんどない。
実は女の子にキスされるという苦い(淡い?)思い出がある。本気だったのか、ただからかわれただけなのか今でもよくわからない

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↑クラブでめちゃめちゃかかっていた曲です。
Sunrise Avenueというフィンランドのロックバンドの2006年発表3枚目のシングルで、スロバキア、ルーマニア、ロシアでも1位になりました。歌詞は英語です。今知りましたが、2009年だか2010年に日本デビューもしているそうです。

最後はかわいい子供の写真で締めたいと思います
何度かお会いした子供でなぜか私に懐いちゃってよく遊んでもらいました。柳原加奈子ちゃんを見るといつもこの子を思い出しちゃう。氷点下でも外で遊ばせたり、ベランダとかお庭でお昼寝させるらしいので、小さい子供はこんな服を着ている子が結構多いです。

フィンランドに行く前はもの凄い美系だらけかと思っていましたが、スウェーデンやノルウェーとは全く違う顔立ちをしていることに気付く。金髪に青い目だけどお鼻が低めで、アジア人には親しみを感じる顔立ち。この子も整い過ぎていない顔がとっても愛くるしかった。
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言葉だって、フィンランド語と日本語は同じウラル(URALI)言語に属するという説があります
子音と母音がセットになっているためか、意味は違えど同じ発音の言葉が数多くあり、「あれ?今の日本語?」って思うことがよくあります。その証拠として、フィンランド人の話す英語はカタカナのようで日本人にはとっても聞きやすい。特に語順が決まっていないという共通点もあり、音節も似ています。

男性の名前も60代以上ぐらいだと、ミカさんやアキさんがとっても多い。会社はミカさんだらけでした。

遠い国でも探せばいくらでも共通点はあり、親しみは感じられるはず。
日本でもフィンランドがもっと身近に感じられる日が訪れることを夢見て
フィンランド滞在記、完
続いて、オーストラリア滞在記も公開予定
[タグ未指定]
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フィンランド滞在記⑬ シリヤラインクルーズ

ガラス越しに建物のように見えるのがこれから乗ろうとしていた船、シリアライン日本販売代理店は こちら
夏は日本人の年配者が多いそうで、「両替しません」なんて日本語の張り紙があちこちにありました。
片言の日本語が話せるキャビンも乗り混むそうです。
私が乗った冬に日本人は珍しいそうで、ほとんどがロシア人でした
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地図は代理店さんのHPからお借りしました。
20:15 トゥルク発、翌日06:10 ストックホルム着
およそ11時間の旅です
復路はストックホルムからヘルシンキへ向かいました。

スウェーデンとフィンランドは時差が1時間あるので、時計の短針が2本あり国旗が貼られています
スウェーデン時間は6時10分
フィンランド時間は7時10分。実際はすごい見にくく混乱する

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IMG_1147_convert_20110406212146.jpg
総トン数 59,912トン、全長 202 m、乗客定員 3,013、デッキ数 13、 造船年 1993、全幅 32 m、キャビン数 1,152、搭載車数 340、巡航速度 21.5ノット
遠くからでも存在感大の大きさ。車も一緒に乗れちゃう


スイート、デラックス、Aクラス、Bクラス、B2クラス、Cクラスの6クラスあり、私たちが滞在したのは外窓付きのAクラス、119ユーロでした。夏の時期だと倍近いお値段になります
バスルーム(トイレとシャワースペース)は結構狭く、小柄な日本人はまだしも、大柄の人にはかなり不便。ベッドも簡易ベッドのような固さ。

CIMG0890_convert_20110406211429.jpgCIMG0891_convert_20110406211957.jpg

カジノ、クラブ、免税店、サウナ、ジム、プール、カラオケ、バー、レストラン、ゲームセンター、ショーステージがたくさんあり、見取り図がないと迷うほど。ライブやダンスショーが至る所で行われており、入場はどれも無料で魅力的。あちこちにタイムテーブルが貼ってあり、ストックホルムへ到着する寸前までショーがあり、寝る間を惜しんで巡りました。遊ぶのに忙しくて写真がほとんどないのが残念。下の写真は美男美女だらけのロシアダンサーのショーでした

免税店もかなり魅力。日本人が好むようなブランド品の販売はありませんが、ウォッカや北欧を中心としたお菓子の購入にはかなりオススメ(確か)アルコール5%以上のお酒の税金は25%なので、私は日本へのお土産も含めまとめ買い。品揃えも空港とは比にならないほど。

フィンランド、スウェーデン、ロシア料理を中心としたビュッフェスタイルのお食事も豪華。特にオススメなのが、ロシアのクレープ。キャビアとサワークリームを包んでいただくお惣菜クレープは美味
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出発のトゥルクの海は凍りかけていましたが、ストックホルムに近づくにつれ、凍りが解けていました。
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浮かぶ島にポツンと2軒。大型船が来る度に波がかぶってしまいそう。
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ストックホルムの朝日海も全く凍っていない。障害物が全くない朝日を見れたのは幸せでした
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冬の厳しいフィンランドは遭難時でも困らないように、どんなに山奥に行っても携帯が圏外にならないとは聞いていたのですが、海の上でも圏外になりませんでした

携帯電話が普及しているにも関わらず、公衆電話の数も多い。緊急時対応目的に作られていて、受話器を持ちあげ、確かダイヤルを回さなくても警察に繋がる。
私も一度お世話になったことがあって、「7分で行くよ」という電話対応の通りぴったり7分で駆けつけてくれたことに今でも感謝している。

フィンランド滞在記、次がラスト
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フィンランド滞在記⑫ ヘルシンキ旅行

シリヤライン(別記事で後日アップ)でストックホルムからヘルシンキへ移動。

ストックホルムのほうが重み(歴史?)を感じました。通勤時の駅前はスーツに身を固めた人たちばかりで、東京の丸の内のようでした。ちなみに、私が住んでいた町でスーツ着ている人なんかいない。
観光客としてお買いものをするんだったら、ヘルシンキよりストックホルムのほうが良さそう。

一番の観光名所、ヘルシンキ大聖堂詳しくはこちら
時間が早くて中には入れませんでした。階段の上にそびえ立ち、どこからでも見えます。街のランドマークになっています。
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ヘルシンキ大聖堂を背に撮影。乗ってきた船、シリアラインが左の遠くに見えます。
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都心部のオフィス街やっぱり高さが揃っている。
そして、真冬なのに雪がないことにびっくり。だからスーツにヒールで通勤できるのよね。
トラムが走っていて、移動手段も整っています。私がいた町とは全然違う。
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独特なデザインのテンペリアウキオ教会詳しくはこちら
自然の岩場をくり抜いて造られたとのことで、外観からも岩場であったことがわかります。中に入ると、ドーム型になっていて、やはり岩がむきだしになっています。窓ガラスで天井が支えられており、自然光が入り曇っていたのに思いのほか明るかった。パイプオルガンも置かれ、コンサートも開かれるそうです。
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教会には全く見えません。岩が剥き出しなのに、暖かみを感じました。天井が木だったからかな。
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フィンランド滞在記、あと二つ
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フィンランド滞在記⑪ ストックホルム旅行その2

メーラレン湖の湖畔に建つストックホルム市庁舎。詳しくはこちら
ノーベル賞の受賞祝賀会が開かれる所です。私には一生縁のないノーベル賞に少しだけ触れられました。

ここは市庁舎の中庭。アーチを抜けると広がるのがメーラレン湖。
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1階の建物の入り口を入ると、そこはノーベル賞受賞祝賀晩餐会場ともなるホール。
何も置かれていないので、広く感じます。
どこも柱がアーチ型になっています。
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ルート通りに一回りし、一番印象深いのが黄金の間。
ノーベル賞受賞祝賀パーティの舞踏会会場として使われるホールです。
1900万枚の金箔モザイクで飾られた壁面はまぶしい。
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上座の壁面には「メーラレンの女王」と呼ばれる女性が描かれている。
この間は、あれこれ知識がない私にはなぜだか仏教を感じる。建物全体はキリスト教の影響を多いに受けていると感じますが。
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stoholm0703+(55)_convert_20110407222626.jpg↓市議会議場
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←市議会議場の天井
会議場のデスクよりも天井に圧倒される。
ヴァイキング・ルネッサンスといわれる様式で、ヴァイキング船の船底のような形が特徴。


フィンランド滞在記、もうちょっと続く
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フィンランド滞在記⑩ ストックホルム旅行その1

シリヤライン(別記事で後日アップ)で訪れたストックホルム。
中世ヨーロッパの佇まいが色濃く残り、素敵な街でした良さが伝わらない写真しかないのが残念で仕方がない。
言い訳をすると、、、この日は天気が悪く、数ヵ月後に来る予定があったから、その時に撮ればいいと思っていたのです。でも実際は、住んでいた田舎には売っていない生活用品(服、下着、化粧品、食料品)を買うのに忙しく、写真撮る暇がなかった

丘から見える住宅地。日本でいうマンションのような建物の高さがほぼ同じである。
反対側のほうは観光名所となる大聖堂や王宮などが見渡せ、天気さえ良ければ絶景ポイントとなるはず
この日は嵐だったので、吹き飛ばされそうでした
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リッダーホルム教会
大聖堂と並んでストックホルムで最も古い教会のひとつ。
周囲の建物があまり高くないので、街のどこからでも見える。
観光客ならだれでも立ち寄る所なので、人を入れないで写真撮るのに一苦労。日本人だらけでした。
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左にある建物はラディソンホテル
1階にあるカフェの雰囲気がとってもいい。この写真を撮った後綺麗に晴れ、目の前が海なので景色も最高でした。お値段もそれなりですが。
お金持ちそうな地元のマダムが多く、敷居が高そうですが、ドレスコードもなくジーンズでも入れます。
日本人は見かけませんでした。
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水の都と言われるだけあって、ストックホルム港には大小様々な客船も往来し、個人のヨットも停泊していて優雅。
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ショッピング街
東京の繁華街のような“眠らない街”ではない。早朝はほんとに人がいない。
通貨はスウェーデンクローナですが、コンビニのような低価格でもカードを使うのが当たり前なので現金を持たなくても困らない。
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フランスっぽい建物。どこで撮ったか忘れました
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スウェーデンの王宮にて、青いユニフォームに金属ヘルメットの衛兵と青い帽子の衛兵との交代
帽子が違うのは階級の差?同僚が動画で撮影していたのですが、金属ヘルメットの衛兵さんはちらちらカメラを気にしている様子でした。写真は撮ってもいいけど、黒い線の内側は入っちゃダメだとご注意を受けました。
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フィンランド滞在記、もうちょっと続く
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フィンランド滞在記⑨ 温水プール

スキーウェアーのレンタルはないのに、水着のレンタルがあるのがなんだか不思議。
スライダー、波のプール、ジャグジーがあるだけの至って普通のプール施設ですが、新鮮だっだのが、屋外温水プールがあったこと真冬に行ったので、外は一面の雪景色、温泉気分で入れました。プールサイドには雪が積もっているので雪合戦したり、雪山に飛び込んだり、大はしゃぎでした。屋外の写真は一枚もありませんでした遊ぶのに夢中で誰も写真撮る余裕がなかったみたい。
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←ジャクジーはカップルで入っているのが多かったです。
同僚の顔隠すの忘れちゃった


↓水風呂は9-12℃。
足をちょっと入れて見ましたが、氷水のようでした。
誰も入っていなかったような…


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同僚が撮った男性サウナの入口プールで遊んだ後はサウナで疲れを取るのがこの国らしい。
水着は禁止で、もちろん男女別。日本と同じで裸の付き合いに慣れているようです。脱いだ水着を壁にかけて入ります。
体をタオルで隠すようなことはせずみんな堂々と入っていましたが、みなさんアジア人の裸は見慣れていないようで、じろじろ見られて恥ずかしかったです

写真、縮小したら見えなくなってしまいましたが、温度は45℃とドアに書いてあります。
日本や韓国のサウナに比べるとかなり低く、長~く入ってられます。


フィンランド滞在記、もうちょっと続く
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フィンランド滞在記⑧  レストラン

なんだか雪の写真ばかりなので、このへんで食事の写真をと思ったけど、写真があんまりなかった。
手書きのメモにはあれこれメモが残っているのに、大好きなスーパーやスウィーツ、お酒の写真がほとんどないなんて信じられない

海外、特にヨーロッパに行くと困るのがレストランの敷居が高いこと。1人では入りにくかったり、高級そうだったりで、躊躇してしまうことが多い。
町にあった唯一のマクドナルドですらも外観はこんなに立派。一度も入らなかったけど、値段はセットで1000円以上でした全然バリューじゃない価格。
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会社で貸し切ったから入れたようなものの、ジーパンで行ってしまい恥をかいたホテルのレストラン生演奏付きでフルコースでしたが、怖気づいてしまった私は何を食べたのかもよく覚えていない。
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フィンランド料理で私が思い浮かぶものと言えば、サーモン、トナカイ、ベリー。
近所のスーパーで売られている魚といえば、サーモン。肉といえば、トナカイなんです。
ソーセージやハムもトナカイ肉が多かったです。味は鹿に近いと思います。
北欧の人たちはベリー(多分ブラックベリー)の甘いソースと一緒に食べますが、意外と合うんですよ。
一番おいしかったのが、カジュアルなレストランで食べたベリーソース添えのトナカイの煮込み料理
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私がいた小さな町に日本食なんて売っておらず、ヘルシンキに旅行へ行った時にデパ地下で見つけさっそく購入。
日本にいてもお米を主食としない私も数カ月も食べていないと恋しくなりますお米もネタもおいしく、海外のお寿司としてはかなりレベルの高いお味でした。西洋の人たちはイカやタコは食べないのに、イカのお寿司が入っているのも珍しいのでは?値段は2000円ぐらいでした

こちらはストックホルムの観光地にあったセブンイレブン。飲み物、チョコレート、雑誌程度しか売っていないのにこんな立派な店構え。

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243. 哀しき獣 (原題:黄海) <2010/韓> ★★★

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黄海/황해
2010/156min/韓国
アクション、スリラー
監督/脚本:ナ・ホンジン「チェイサー
出演:ハ・ジョンウ2度目の愛」「絶対の愛」、キム・ユンソク、チョ・ソンハ

残虐度 ★★★★
スリル度 ★★
邦題のセンス ★
(あながち間違ってはいないけど、センスはないね。そのままでいいのに…)

ナ・ホンジン監督ハ・ジョンウ、キム・ユンソクの「チェイサー」トリオ最新作

東京国際映画祭、および一般公開は140分。私が観たのは韓国版156分。


黄海を渡った男、皆が彼を追う!
延辺でタクシーを運転しながら、詰まらない日々を生きるクナム。韓国に金を稼ぎに行った妻は6ヶ月間便りがなく、金を稼ぐためにマージャン屋に出入りするが、いつも負けるばかりだ。そんなある日、殺人請負業者ミョンガから韓国に行ってある男を殺してこいとの依頼を受けたクナムは、借金を返すために、そして妻に会うために黄海を渡る…
荒れた海を渡ってソウルまで来たクナムは、殺人の機会を狙うと同時に妻の行方を風の便りに捜す。しかし目標物はクナムの目の前で殺害され、クナムは現場から逃走するが、殺人の寃罪をこうむって警察に追われるようになる。これに請負殺人を依頼したテウォンは、証拠隠滅のためにクナムを殺そうとして、延辺にいたミョンガも黄海を渡りクナムを追い始める…
残酷な奴らから逃れるための切迫した死闘が始まる!@innolife

umi1.jpg始めの舞台となるのは、中国吉林省延辺。
ここには、中国国籍だが朝鮮語を話す中国朝鮮族と呼ばれる人々が住んでいる。町には漢字とハングルの看板が混在し、人々も朝鮮語と中国語をうまく操っている。「青い河は流れよ」でも描かれているように、女性の韓国への出稼ぎが多い地域であり、本作も妻が韓国に出稼ぎに行っている。「青い河は流れよ」では素朴な田舎で貧しいながらも幸せといったイメージで映し出されていた延辺地域だが、本作では町はネオンが輝き、エネルギッシュで活気があり、生活感の溢れる下流社会で生きる人々はみな切羽詰まっており、ギリギリの生活を送っている者が多い。犯罪が満洩しているようにも見える。
犬肉料理で有名な地域というだけあって、言われなければペット用の犬を売っているように見えるかもしれないが、犬行商のシーンも興味深い。犬料理をがっつり食べるシーンも出てくる。(食事後の骨の形で犬だと判別がつく。)

umi5.jpgクナムは借金返済のため、そして韓国へ出稼ぎに行ったまま連絡のない妻探しのために黄海を渡ることを決意する。大連まで汽車で渡り、そこから漁船に乗り換え、海を渡る。言うまでもないだろうが、不法入国である。皮肉にも幸福という名の漁船であった。道中、死ぬ女性もおり、クナムも意識朦朧とするなか韓国へ辿りつくのであった。

1タクシー運転手、2殺人者、3朝鮮族、4黄海の4部構成となっている。前半部分の延辺での生活、不法入国、依頼されている殺人のシュミレーションまでは面白く観ていたが、中盤からは人間関係は複雑になるし、中盤のクライマックスを境に、残虐シーンはやり過ぎ感がある。斧と包丁を振り回し、これでもかというほどの人がバタバタ死んでいく。
追ってくる警察から逃げ、証拠隠滅のために追ってくる者たちから逃げ、最終的には「チェイサー」的な逃亡劇という流れに行き着く。煙草の煙たさまで伝わってくる不衛生な部屋、役立たずな警察の描き方も「チェイサー」と同様。見所になるであろうカーチェイスは、映像を巧みに編集しただけで、実際にはカーチェイスはしていない。ぐるぐる回る映像に酔ってしまった。

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伏線が多い上に2時間半という長さは、自分の記憶力を試されているかにようでもあった。そして、解釈を覆されるラスト。今まで見せ付けられたのは一体何だったのかわからなくなる。観客に投げっぱなしのエンディングはどうも腑に落ちない。

犯罪とは無縁に生きてきたクナムの包丁を振り回すシーンは初めは全く板に付いておらず、撃たれた自分の傷を見てもうろたえるばかりであったが、だんだんと強かになっていく様には演技力が光る。朝鮮族という風貌も見事である。

<鑑賞> 2011/4/4

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(未) Human Zoo <2009/仏> ★★

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Human Zoo
2009/110min/フランス
ドラマ、犯罪
監督/脚本/出演:リー・ラスムッセン(長編デビュー作)
出演:Nikola Djuricko、Nick Corey、ヒアム・アッバスシリアの花嫁」「Lemon Tree」「パラダイスナウ」「Amreeka
言語:英語、セルビア語、フランス語、アルバニア語
IMDb評価:6.1/10

官能度 ★★★
刺激度 ★★
衝撃度 ★




デンマーク出身でGUCCI専属のスーパーモデルだったリー・ラスムッセンの長編デビュー作。映画学校出身だとは知らなかった。監督、脚本、出演までこなすとは。
中東出身のヒアム・アッバスが出演していることには驚いた。フランス語と英語も操る彼女はほんといろんな作品に登場してくる。出番は少なくなかったが、存在感があまりなかったのはファンとしては残念。

不法移民としてマルセイユに暮らすセルビア系アルバニア人のアドリアはかつてレイプにあいそうな寸前でSrdjanという男性に助けられた。共にベルグラードへ移り住み、そこでSrdjanは暗殺者へとなった。アドリアも武器の使い方を習得し、Srdjanの仕事を手助けしていた…。

human zoo1壁を走る男性に始まる冒頭を始め、ユニークな発想にオリジナリティーを感じる。ぎょっとさせるワンシーンの取り入れ方はモデル時代の自身の写真が活かされているのかもしれないと思った。指の切り落とし方など刺激も強い。

過去の出来事がトラウマとなって彼女を苦しめているという設定のようであるが、それほど悩んでいるいるようには見えなかった。トラウマとされている出来事と現在が行ったり来たり、シーンの切り替わりが頻繁すぎて疲れる。場所も言語も入り乱れていて、混乱するばかりであった。不法移民という設定も活かされておらず、強烈なベッドシーンだけが印象に残ってしまっている。モデル時代はヌードや際どい衣装のイメージが強いだけに、大胆なラブシーンのほうが本領発揮っといった感じ。脱ぎっぷりもかなりの潔さだった。今後の活躍に期待したい。

<鑑賞> 英語字幕 2011/4/1
[サイト内タグ検索] ヒアム・アッバス
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娼婦と鯨 <2004/アルゼンチン=スペイン> ★★★★☆

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La puta y la ballena
2004/120min/アルゼンチン=スペイン
製作/監督/脚本:ルイス・プエンソ「オフィシャル・ストーリー
製作:パブロ・ボッシ
製作総指揮: パブロ・ボッシ
脚本:アンヘルス・ゴンサレス・シンデ、ルシア・プエンソ「XXY」「フィッシュチャイルド」
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
出演:アイタナ・サンチェス=ギヨン、レオナルド・スバラグリアペップ・マンネ、ミゲル・アンヘル・ソラ
IMDb評価:7.0/10

官能度 ★★★★★
映像美 ★★★★




オフィシャル・ストーリー」でアルゼンチン初のアカデミー賞を受賞したルイス・プエンソ監督作品。本作が最後の監督作品であり、以降は娘であるルシア・プエンソ監督作品の制作に携わっている。そのルシア・プエンソは脚本に参加し、「XXY」で鮮烈な監督デビューを果たしている。「オフィシャル・ストーリー」と「XXY」をうまく融合させたような作品になっている。

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乳癌に侵された女性作家べラは、ある1枚の古い写真について記事を書いて欲しいと依頼を受ける。自分の若い頃によく似ていたが、1930年代の写真家と売春宿で働く娼婦の写真であった。治療のため入院していると、その写真に関する女性も入院しており、興味深い写真を持っていた。退院時にそれらの写真を持ち出し、写真と共に写真家と娼婦のことを知っている人に話を聞きながら、記録を辿っていくことにした…。

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現在と過去が交差し、全体像がつかめるまではかなり負担がかかるが、病魔に冒された現在の女性と、内戦に翻弄された過去の娼婦とが一本の線で交わる時の巧みな画がす~っと心に沁み渡る。それは、片乳を失った喪失感を娼婦の切ない思いが癒してくれていたのだと思う。辿れば辿るほどわかるのは、娼婦の切ない愛の軌跡であった。

乾いた大地にねっとり漂う官能。全くいやらしさのない裸体。
これぞアルゼンチンと言わんばかりのタンゴダンス。バンドネオンの音色。
どこをとっても珠玉。哀愁と官能に酔いしれてしまう。

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フィルター越しにしか女を見ることができない写真家と、バンドネオンを奏でるかのように女性を操り、そして心と香りで見分ける盲人。
娼婦として体を売りながらも心は見せない娼婦と、心は見せても乳房は見せない作家。
対比させるように描きながら、鯨の習性と人間の運命を重ね合わせる演出にはため息が出ちゃう。
70年という月日をかけて現れた鯨は、見守ってくれる母のようでもあり、全てを見透かしているかのように優しく迎え入れてくれる。
大海原を自由に悠々と泳ぐ鯨のように自由を求めた娼婦には女としての強さと覚悟を感じ、乳房を失った女性の心痛も見事に映し出している。

「価値と値段はちがうのよ!」劇中の痛烈なひと言。胸に刻んでおきたい台詞であった。
人生経験をもう少し積んだら、観直したい。

<鑑賞> シネフィルイマジカにて 2011/4/2
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光のほうへ (原題:Submarino) <2010/デンマーク=スウェーデン> ★★★★★ 

submarino.jpgSubmarino
2010/105min/デンマーク=スウェーデン
監督/共同脚本:トマス・ヴィンターベア「セレブレーション」「DEAR WENDY ディア・ウェンディ」
原作:ヨナス・T・ベングトソン/Jonas T. Bengtsson
脚本:トビアス・リンホルム/Tobias Lindholm「R」
出演:ヤコブ・セーダーグレンTerribly Happy」、ペーター・プラウボー、パトリシア・シューマン、モーテン・ローセ、ダール・サリム
受賞:デンマークアカデミー賞15部門ノミネート、5部門受賞ほか
音楽:Agnes Obel‘Riverside’
IMDb評価:7.6/10

邦題のセンス ★★★★
哲学度 ★★★★
映像美 ★★★★
衝撃度 ★★★
感動度 ★★★
宗教度 ★


公式ホームページはこちら
2011年 デンマークアカデミー賞ノミネート・受賞作品についてはこちら

トマス・ヴィンターベア監督といえば、ラース・フォン・トリアーと共に「ドグマ95」運動を起こした人物でもある。本作はドグマ映画ではない。2011年アカデミー賞デンマーク代表最終候補3作品に残っていたが、惜しくも逃してしまった。でも、きっと、ファンの多い日本でも公開はされるでしょう。2011年初夏公開予定。

submarino3.jpgアルコール中毒の母をもつ兄弟2人。さらに赤ちゃんが生まれるが、母は育児放棄。兄弟2人で赤ちゃんを育てるが、裕福な家庭ではなく十分なお金がない。仕方なく赤ちゃんのためにミルクを盗んでしまう。悪いことではあるけれど、母親の代わりにできる限るのことをし、知恵を出し合い良い名前を考え、教会で行うような洗礼(命名)まで行い、マーチンと名付けた。しかし、不慮の事故でその赤ちゃんを亡くしてしまう。10代の兄弟2人には辛すぎる突然死であった。心に深い傷を負ったまま時は経ち、2人はそれぞれ別の道を歩んでいた。生き別れになっていた2人は母の葬儀で再会を果たすが、兄は服役を終えてアルコール中毒に、弟はシングルファーザーで麻薬中毒になっていた…。

submarino1_20110401114657.jpg兄は友達想いで決して悪い男ではないが、自暴自棄でアルコール漬けの歪んだ日々を送り、過去を背負っている風貌である。弟は不慮の事故で亡くした赤ちゃんと同じ名前を息子につけた。母の二の舞にはなるまいという思いは強いが、ドラッグディーラーという危険と隣り合わせの生活である。
おそらく10年前後の空白があるだろうか。疎遠だった兄弟がお互いの空白の数年間のことを知らないように観客にもあまり教えてくれない。
母の葬儀で久しぶりの再会を果たすが、抱き合うようなことはしない。兄弟2人に余計な会話など必要なく、表情でお互いの気持ちを読み取っていて、漂う空気感が重くのしかかる。今まで2人をどれだけ苦しめてきたことか。

submarino4.jpgアルコールや麻薬に溺れるのは愛情や家族の欠如からであろう。孤独と絶望の闇で生きてきた2人にとって唯一の逃げる手段でもあった。母の遺産を拒否した兄の口から出た言葉は「あの人からは何ももらたくない。」であった。弟の死への罪の意識、そのトラウマが破片として胸を刺す。それでも母の死をきっかけに和解に向かっているかと思った矢先の悲劇はあまりのショックに言葉を失う。こんなにも苦しいドミノ倒し式の運命があるなんて。世界で一番幸せだと言われているデンマーク。運命に翻弄され、下流社会でうごめく兄弟2人の人生が痛い。
しかし、決して絶望的ではない。それでも、きっと光はある。そう思わせてくれるエンディングでのマーティンの笑顔が唯一の救いであった。

submarino2_20110401114657.jpg「Submarino」とは一般的には「潜水艦」の意味だが、「拷問」という意味もある。水に顔を沈め自白をさせる行為のことである。
人生において選択を迫られることは幾度となく訪れる。その度に間違った選択をしてしまった兄弟。時にブルー、時にグレーのフィルターがかかったような映像は運命という水の中のようでもある。彼らの人生はアルコールや麻薬に溺れ、もがき苦しみ、溺れる寸前であった。



非の打ちどころのない脚本と台詞、何といっても巧みな編集とスタイリッシュな映像美にはため息が出る。デンマーク映画らしくドラッグ使用シーンは刺激が強い。4人の人間が死ぬが、直接描写はなく、情に訴えかけてくるものがある。全体的には派手な演出ではないのに、選び抜かれたと思わせる台詞と映像にはかなりの説得力がある。ここまで心に突き刺さる作品は他にはない。スザンネ・ビア監督の「イン・ア・ベター・ワールド」よりも断然本作をオススメする。
1点気になることがある。弟の名が明かされていないことである。名前では呼ばず、「Brother」と呼んでいる。名前を付けないことでデンマーク社会の何かを示唆しているのだろうか。

<鑑賞> 英語字幕 2010/12/2、 2011/3/31

<追記 on 2011/3/1>
2011年アカデミー賞デンマーク代表最終候補3作品は、ご存じ「In a Better World」(監督:スザンネ・ビア)
と本作、「R」(監督:Michael Noer、トビアス・リンホルム)であった。
本国で一番の話題となっていたのは「In a Better World」ではなく、「R」でした。デンマークアカデミー賞では完全制覇している。その「R」の監督と脚本も務めたトビアス・リンホルム氏が本作の脚本を手掛けている。
本年度デンマークの映画界を最も賑わせた彼の名前はしっかりと私の頭の中に刻まれた。
ずっと追いかけていきたい。

悲劇的な話なのに観終わった後、一粒の光を感じさせてくれた。邦題の付け方に疑問を感じることがよくあるが、私の解釈通りの邦題が付けられたことをうれしく思う。
初版:2010/12/3
最新版:2011/4/2

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240. リターン <韓> ★★★

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リターン 리턴/Return/Wild Awake
2007/113min/韓国
監督/脚本:イ・ギュマン(デビュー作)
出演:キム・ミョンミン「破壊された男」「私の愛、私のそばに」、ユ・ジュンサン「ハハハ」、キム・テウ、チョン・ユソク
IMDb評価:6.0/10


心臓病手術を受けている間,手術の苦痛をそのまま感じる「手術中覚醒」を体験した10歳のナ・サンウ。サンウは,深刻な苦痛の記憶で異常な行動を見せ,大人たちは,サンウの苦痛の記憶を封印する。
幼なじみのカン・ウックァンの突然な訪問以後,自分の周りの人々が疑問の死を迎えていることに気づいたエリート外科医リュ・ジェウ。彼は,さらに,一緒に仕事をする麻酔科医のチャン・ソクホと精神科専門医オ・チフンと摩擦まで生じ,分からない事件にまきこまれ,妻のヒジンまで突然の事故に遭遇する。
続いて起こる疑問の事件の中心に,25年前に「手術中覚醒」を体験したナ・サンウが関連していることに気づいたリュ・ジェウ。彼の存在を追えば追うほど,ジェウには思いがけない真実が近寄ってくる。
外科医リュ・ジェウ,精神科医オ・チフン,麻酔科医チャン・ソクホ,そして,カン・ウックァン。25年前に消えたナ・サンウは誰なのか。@innolife

return1.jpg“anesthesia awareness”と呼ばれる症状(アネセシア・ウェアネス、麻酔覚醒、術中覚醒などと呼ばれている)
を題材にした医療スリラー。
全身麻酔にも関わらず手術中に麻酔から覚めてしまい、“神経”“意識”“聴覚”が正常に戻ってしまってはいるが、身体は硬直しているので目を開けることもできない。そのため、医師たちは麻酔が切れていることに気がつかず手術はそのまま続けられ、患者は痛みに耐えなければならない。実際に医療現場で起きていることだという。
そして、“聴覚”も正常なので、術中の医師たちの生々しい会話までもが聞こえてしまう。
「痛い~やめて~」誰にも届かない患者の心の悲鳴が痛々しい。

私も麻酔が途中で切れてしまうので、他人事に思えず、ぞっとした。私の場合は、麻酔が効きにくい体質らしく、全身麻酔も部分麻酔も毎回途中で切れてしまいます。全身麻酔の時は、意識が朦朧(もうろう)としている中で、先生の「麻酔追加しますね~」という声だけが聞こえたことは記憶している。先生曰く、目をぱっちり開け動いたから気付いたという。もし目を開けなかったら、もし動かなかったら、と思うと恐ろしい。

return2.jpg本作は、術中覚醒が原因で幼い少年サンウが殺人鬼と化してしまうという内容である。月日は25年経ち、少年サンウは一体誰なのか。妻を殺そうとしているのは誰なのか。2つの話が同時進行で進み、どう繋がっていくのかに興味が湧くが、ジェウに関わる全ての人物が怪しいような描き方をしておりなかなか全体像が見えてこない。伏線があまりにも多く相当脚本に凝っていることがわかるが、終始攪乱させるような展開で、どんでん返しのどんでん返しに振り回され、少々負担を感じる。

<鑑賞> 2011/3/14
[サイト内タグ検索] キム・ミョンミン
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イージーマネー (原題:Snabba Cash) <2010/スウェーデン> ★★


ザック・エフロン、大ヒットスウェーデン映画のリメイク版で主演 - シネマトゥデイ


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Snabba Cash/Easy Money
2010/124min/スウェーデン
ドラマ、犯罪、スリラー
監督:ダニエル・エスピノーサ(Daniel Espinosa)(長編3作目)
脚本:Maria Karlsson (screenplay)、
原作:イェンス・ラピドゥス(Jens Lapidus)同名小説
出演:ジョエル・キンナマン(Joel Kinnaman)「The Invisible」、マティアス・パディン、ドラゴミール・ムルジッチ
IMDb評価:6.6/10
イージーマネー』


ザック・エフロン主演ハリウッド版タイトルは「Fast Cash」。





面白かったけど、私好みではなかったので簡単に。
snabba2.jpg主人公ヨハンは、昼間はロースクールの学生だが、上流階級の友人たちとの交際のためにいろんなバイトをしている。お金のために麻薬取引に手を染めてしまうという至って単純な話。
スウェーデンではおそらく珍しいと思われるギャング絡みの話。相当ハリウッドを意識していると思ったけど、見事にハリウッドリメイク決定していた。この手の作品はハリウッド物のほうが断然面白いが、スウェーデン製作ということに稀少価値がある。正直、ハリウッドでリメイクするほどの内容だとは思わなかった。しかし、主演Joel Kinnamanの出世作になったことは間違いないだろう。

snabba1.jpgいかにもスウェーデン人な風貌で、上流階級社交界のほうがしっくりくるタイプ。犯罪が板についておらず、オドオドしている姿がいい。登場するギャングたちはスペイン語とセルビア語を話しているので、おそらくそちら出身の設定なのでしょう。いかにも悪そうな人たちとのギャップもいい。
冒頭からいきなり始まる脱獄劇は緊張感があって期待も高まるが、見せ場はここだけだったように思う。脱獄劇の必要性も感じられず、全体のストーリーとのバランスもよくない。「Easy Money」は荒稼ぎという意味だが、楽に稼いでいるようには見えない。ギャングやドラッグの話は、犯罪や裏切りがつきものだが、その辺の心理に重点を置いたほうがよかったように思う。サブプロットとして描かれるロマンスも中途半端になってしまっている。

<鑑賞> 英語字幕 2011/3/30
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