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扉をたたく人 (原題:The Visitor) <2007/米> ★★★★☆

visitor.jpg
The Visitor
2007/104min/アメリカ
ドラマ
監督/脚本:トム・マッカーシー「The Station Agent
出演:リチャード・ジェンキンスヒアム・アッバス、ハーズ・スレイマン、ダナイ・グリラ
IMDb評価:7.8/10

邦題センス ★★★★
社会度 ★★★★

ヒアム・アッバスの他作品については こちら






トム・マッカーシー監督のデビュー作「The Station Agent」鑑賞にあたり、2作目である本作を再鑑賞。以前観た時は★3つ。以前全く響かなかったシーンの多くで琴線に触れた。2作品共通して主人公は、閉ざしてしまった心がある人との出会いをきっかけに心を開く。出会いっていいなと思わせてくれる作品。リチャード・ジェンキンスにアカデミー賞主演男優賞のノミネートをもたらした。内に秘めたものは大きいが、うまく表現できない不器用な男性を見事に演じている。ヒアム・アッバスの登場でさらに引き締まったように思う。visitor3.jpg

妻に先立たれ喪失感を抱きながら人生を歩んできた大学教授のウォルター。
周囲のことに関心を持たず、閉ざしてしまった心を開いたのは、異人種で異文化だった。好んでいたクラシックとは違うシャンべに興味を持ち始め、新しい世界への扉を叩き始める。明らかに歩んできた道の違うシリア出身の若者タレクとの友情が芽生える過程にはデビュー作「The Station Agent」同様監督の温かい眼差しを感じるが、個人的な問題から厳しい現実へと視点は掘り下げられ、痛烈な批判が込められている。

visitor2.jpgvisitor1.jpg
核心、結末まで触れています。
原題visitorとは“訪問者”という意味。ウォルターは亡き妻が愛していたピアノのレッスンを受けていたが、上達しなかった。それは“扉をたたいた訪問者”である先生を受け入れることができなかったのである。レポートを提出に来た学生もまた“扉をたたいた訪問者”であり、やはり冷たくあしらっていた。しかし、移民カップルが暮らす自分の別宅へ行き、扉をたたいたことで立場は逆転する。不法入国で拘束されているタレクを気遣い、足げなく拘置所へ通い詰め、自身が“訪問者”となるのである。そして殻を破り、“訪問者”のタレクの母を快く迎え入れるウォルターの変貌を見せることで、非人道的な行為で移民への扉を閉ざしてしまったアメリカ社会への問題提起をしているように思う。

タレクを心配し様子を見に来た母親を乗せたフェリーから、自由の女神と911によって失ったワールドトレードセンターの跡地を同時に映し出している。移民によって作り上げられたアメリカを象徴する自由の女神はもはや何を意味するのか。911によって移民に対する不信感は強まり、公平さを失った今自由がある国とは言い難い。アメリカへの扉をたたこうとする移民への自由が与えられる時は来るのだろうか。

タレクに対してどうすることもできなかった無力さの嘆きなのか、安全保障を謳いながら移民を排除する社会への怒りなのか、あるいは哀しみなのか、、、悲痛な叫びを訴えるように鳴り響くラストのシャンベの演奏に希望を託したい。

<鑑賞> 2011/5/16
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フリー・ゾーン~明日が見える場所~ <2005/イスラエル> ★★★★

free zoneFree Zone
ドラマ
2005/90min/イスラエル=フランス=ベルギー=スペイン
監督/脚本:アモス・ギタイ
出演:ナタリー・ポートマン、ハンナ・ラズロ、ヒアム・アッバス
受賞:
第58回(2005)カンヌ国際映画祭女優賞(ハンナ・ラズロ)
言語:英語、アラビア語、ヘブライ語
IMDb評価:5.9/10

邦題のセンス なし
社会度 ★★★★★
隠喩度 ★★★★
残虐度 ★

ヒアム・アッバスの他作品については こちら

アメリカ人のレベッカ(ナタリー・ポートマン)は裕福なイスラエル人の婚約者と共にエルサレムで暮らしていた。しかし突然に婚約を破棄されてしまう。失意のレベッカは、彼女を空港に送り届けるために待っていたイスラエル人のハイヤー運転手ハンナ(ハンナ・ラズロ)に、「どこでもいいから連れて行って欲しい」と懇願する。 その日、装甲車の売り掛けビジネスをしている夫の代わりに、ヨルダンのフリーゾーン=自由貿易地区へ集金に向かわなければならなかったハンナは、それならば一緒にフリーゾーンへ行くかと誘い、フリーゾーンで「アメリカン」と呼ばれる男を訪ねるが…。@シネフィルイマジカ

映画はいきなり「子羊、子羊…」という歌をバックに、車中、傷心で泣き続けるレベッカをクローズアップで映し続ける。
「お父さんがコインたった2枚で買った子羊を猫が喰い殺してしまい、その猫を犬が襲い、棒で犬を叩き、その棒を燃やし、火を消した水を牛が飲み、その牛を肉屋が捌き、死神に殺された…私も子羊。もはや今は何者なのかわからない。いつも答えのでない質問をしてしまう。何かが変わる日は来るのだろうか。この悲劇はいつまで続くのだろうか。全てがまた始まろうとしてる…」といった内容の歌詞がすごい。ユダヤ系イスラエル人Chava Albersteinの「Had Gadia(Chad Gadya)」という曲である。劇中、何度か流れるが、永遠と終わりの見えない不条理な中東の現状と歌詞が重なる。

イスラエルと隣国のヨルダンを巡る一種のロードムービー。
別れた恋人と暮らしていたエルサレムをとにかく去りたいレベッカを連れ、ハンナは車でヨルダンの“フリーゾーン”と呼ばれる地区へと向かう。
走り出した車中では、レベッカの視点となる車窓からの眺め、客観的に見た車内の2人の様子、レベッカの脳裏にある思い出が二重にも三重にも重なる独特な映像が流れる。レベッカと運転手の出会い、レベッカが婚約者と別れるに至った経緯など個人的な問題をシャワーのように垂れ流しながら、中東の現状問題が見え隠れする映像は集中力を要する。

free zone1夫の代わりに“フリーゾーン”へ行ったハンナだが、そこで会うはずの“アメリカン”と呼ばれる男性はおらず、その代わりにパレスチナ人の女性が待っていた。
「お金を返して」「ここにはない」
「どこにあるの?」「わからない」
「アメリカンはどこへいるの?」「ここにはいない」
「なぜ来るのが遅れたの?」「遅れるって電話したじゃない」…
顔を合わせるや否や討論が始まるイスラエル人とパレスチナ人。2人は国そのものを象徴しており、水かけ論的な討論は未だ終わりの見えない中東関係のメタファーだと思われる。

free zone2“フリーゾーン”とは実在し、自由貿易区域とされている。こういう区域があることは知っていたが、もう少し平和な貿易を想像していた。実際には、戦争の武器とされている銃や装甲車が取引されている場だそうだ。そういったものを人々はここでアメリカ人に売り、更に隣国へ売られ、戦争の武器になっていくのである。戦争には反対だが、生きるために装甲車を売るハンナ。自分でも矛盾していることに気が付いてるが、生きるための手段なのである。ハンナもまた羊の歌の歌詞と同じように“答えの出ない質問”を繰り返していた。


全体的に混沌としていて、さらに隠喩に込める描写は曖昧。またしても自分の中東問題の知識力のなさを思い知らされた。私も含め、中東問題に日ごろ触れていない日本人には解釈が難しい。さらっと交わされる会話の中にも情勢の複雑さが垣間見れるし、どこの国と隣接していて、どことどこが敵なのか、アラビア語とヘブライ語を聞き分けられるかどうかで理解度は雲泥の差がある。しかし、釈然としない流れの中でも、市民の日常生活と絡み合う中東の複雑な情勢が痛く突き刺さる。
個人的には、民族思想・国際思想の強いナタリー・ポートマンヒアム・アッバスの出演&共演に大感激であった。

邦題の副題「~明日が見える場所~」には疑問を感じている。
結末に触れています。
一時は険悪なムードの時もあったが、帰りの車内、イスラエル人とパレスチナ人とアメリカ人の3人はいい気分でラジオから流れる音楽を聞いていた。しかし、その音楽はテロのニュースで中断されてしまう。一時、希望を感じさせながら、やはり明日は見えてこない。そして、国境でまた始まっってしまったイスラエル人とパレスチナ人の討論。やはり終わりは見えない…。だから、アメリカ人のレベッカはその場から逃げ去ったのである。明日はどこに見えるのか…楽観視できないことは私にだってわかる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/25
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(未) Red Satin (原題:Satin Rouge) <2002/チュニジア=仏> ★★★

satin.jpg
Satin rouge
2002/100min/チュニジア=フランス
ドラマ、ロマンス
監督/脚本:Raja Amari (長編デビュー作)
出演:ヒアム・アッバス、Hend El Fahem、Maher Kamoun
言語:フランス語
舞台:チュニス
IMDb評価:6.8/10

宗教度 ★
妖艶度 ★★★
映像美 ★★★

ヒアム・アッバスの他作品については こちら


satin2.jpg毎日帰りが遅い娘を心配し、母りリアは娘の行動を監視するようになる。昼間通うベリーダンス教室に行ってみると、太鼓演奏の男性と仲の良い姿を見かけた。男性の後をついて行くと夜はキャバレーで働いていた。娘も夜そこで働いているのではないかと、夜の営業中に店に行ってみたが娘はいなかった。しかし、りリアはベリーダンスの美しさに魅了されてしまう…。

かねてから自宅で音楽を聞きながらこっそり踊っていた様子を見ると関心はあったのだろう。キャバレーで娘は働いていなかったが、ダンサーの1人と仲良くなったこともあり、娘が眠った後キャバレーに通い詰めるようになる。こっそり衣装を試し、ちょっと踊って見たところをダンサーに認められ晴れてステージに立つこととなる。

satin1.jpgストーリーはいたって単純で、未亡人りリアがベリーダンスに出会ったことで再び輝き始める過程を描いているだけで、見所は映像美とヒアム・アッバスのベリーダンス。

青と白の街といわれるチュニスを舞台にしているだけあって、扉のチュニジアンブルーや青白い陽光といった青を意識した映像が特徴で、刺し色の赤が映える。りリアの心境の変化と共に洋服の色も地味な色から暖色系に変化し、表情も和らいでいくのが見て取れる。ヒアム・アッバスの出世作といわれている作品でもあり、数少ない主演作でもある。ダンスシーンがメインとなり、ヒアム・アッバスの妖艶なダンスシーンを見ることができる唯一の作品ではないだろうか。ついでに言うと、ベッドシーンもある。

忘れてならないのは、チュニジアはイスラム圏であるということ。当然、キャバレーで働く女性に対し批判的な女性もいる。タブーであるはずの結婚前の娘と彼氏との体の関係や、未亡人の恋愛もあからさまに描かれているが、私たちと同じ恋愛観や女性観をもっていることがわかって安心した。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/28
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ヒアム・アッバス
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灼熱の魂 (原題:Incendies) <2010/加=仏> ★★★★★

incendies.jpgIncendies
2010/131min/フランス=カナダ
ドラマ、ミステリー、戦争
監督/脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ(Denis Villeneuve) 「Polytechnique
原作戯曲:ワジ・ムアワッド(Wajdi Mouawad)
出演:ルブナ・アザバル(Lubna Azabal)、メリッサ・デゾルモー=プーラン(Mélissa Désormeaux-Poulin)、マキシム・ゴーデット(Maxim Gaudette)、 ムハンメド・マジュド
言語:フランス語、アラビア語、英語
舞台:カナダ、レバノン
IMDb評価:8.2/10

社会度 ★★
衝撃度 ★★★★

2011年第83回米国アカデミー賞 外国語映画賞エントリー65作品は こちら
2012年正月公開予定


*****2011年第83回米国アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート作品*****
未来を生きる君たちへ(デンマーク) - スサンネ・ビア
BIUTIFUL ビューティフル(メキシコ)- アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
Dogtooth (ギリシャ) - ヨルゴス・ランティモス
灼熱の魂 (原題:Incendies) (カナダ) - ドゥニ・ヴィルヌーヴ
Outside the Law (アルジェリア) - ラシッド・ブシャール
*************************************

incendies2.jpg母ナワルの死後、上司であり弁護士から遺書を渡される双子の姉弟ジャンヌとシモン。そこには、死んだと聞かされていた父親が中東に生きていること、秘密にしていた兄がいることが記されていた。そして、父親と兄を探しだし、手紙を渡して欲しいという遺言であった。姉ジャンヌは母の遺志に従い中東に赴き、母の祖国で母の人生を遡り始める…。

母ナワルは田舎の小さな村で、許されぬ恋愛の末に未婚のまま妊娠、出産。一家の恥だと“名誉殺人”の犠牲になるところ危うく免れ産み落とされた兄。育てることは許されなかったため、祖母は足に目印としてタトゥーを残し、孤児院へ預けられていた。その後、生き別れた子を探しに行くが、その先どんどん危険な運命を辿ることになってしまった。70年代、レバノンでは宗教上の内戦が激化しており、ナワルの壮絶な人生を通して、いかに戦争が卑劣か、逃げまどう難民の悲劇も浮かび上がってくる。

そんな母親の過去と対峙することとなった娘の複雑な表情が全てを物語っている。母が封印した過去は想像を絶する衝撃で、言葉を失ってしまった。
世の中には知らない方がいいこともある。しかし、母一人で抱えるには重すぎる運命。墓場まで持って行くには辛すぎる。もし自分が…と置き換えて考えてみると…消化しきれない。

incendies1.jpgフランス語のカナダ映画はほとんど観たことがなく、英語のカナダ映画は割と軽いという印象のが多いので、本作もそんな感じかと気軽に構えていたら、とんでもない衝撃にガツンとやられた。
レバノン出身のカナダ国籍の演劇人ワジディ・ムアワッドの戯曲を映画化したもので、そのオリジナルの舞台は「焼け焦げる魂」というタイトルで日本でも上演されている。演劇では3時間の作品を130分への短縮に成功している。映画としては少々長いが、短く感じるほどどっぷり浸からせてもらった。冷静に考えてみると人物関係が結構ややこしく、時間軸が過去と現在を行き来するが、混乱はほとんどない。いくつかの章に分かれていて、状況がキレイに整理されている見事な編集、構成。ミステリアスな展開にぐいぐい引き込み、一気に明らかにせず、じわりじわりとした描き方がもどかしいが、今年観た新作の中では上位に食い込んできそうな力作。アカデミー賞ノミニー作は「Outside the Law」以外の4作品観たが、本作が一番賞に値する作品に思う。

ムアワッドは1968年、レバノン生まれ。8歳の時に内戦の為、家族とフランスに亡命したが受け入れられず、カナダのケベックへ辿り着く。本作の舞台はレバノンとカナダだが、彼自身の経験ではないそうだ。

残念な点が、Radioheadの曲がオープニングと挿入歌に使われていたこと。Radioheadがどうこうではなく、作品の雰囲気と合っていない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/25
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(未) Impotence (原題:Xala) <1975/セネガル> ★★★☆

xala.jpg
Xala
1975/123min/セネガル
コメディー
監督/原作/脚本:センベーヌ・ウスマン「Mandabi
原作本:同名、翻訳本なし
出演:Fatim Diagne、Makhouredia Gueye、Thierno Leye、Dieynaba Niang
言語:フランス語、ウォロフ語
IMDb評価:6.9/10


ついにフランスから解放され、人々は歓喜の舞いを踊る。官僚のエル・ハジは、大統領とも親しく、運転手付きのベンツに乗るような生活を送っている。そして、3度目の結婚式を向かえることとなった。本妻も娘も3度目の結婚をよく思っていなかった。そして、初夜を向かえたが…。




xala1.jpg描かれているのはフランスからの解放直後であり、人々はフランス語を使っている。夫の3度目の結婚に反対の本妻は、結婚式へ向かう車でもそっぽを向き、夫がフランス語で話しかけても自国語であるウォロフ語で返答する。イスラムの男性主義社会でも夫にすら屈しない凛とした姿が描かれる。しかし、世間への体裁のために結婚式だけは出席する。

一方、初夜を向かえる第3夫人。
“結婚したのだから、夫に使えなければいけない”“男女は平等ではなく、夫の要求には逆らってはいけない”“(痛くても)声を上げてはいけない”などの手解きを母親から受ける。しかし、翌朝シーツに出血はなかった。原題「Xala」は呪いという意味だが、英題は…。同僚に良質なバイ×グラをもらったが、悲しくも効き目がなかったのである。しかし、無事に初夜を迎えられなかったのは、嫉妬する本妻の呪い(Xala)によるものだと考えている。

夫は入植国フランスの支配下で成功を治めた人物。薬なしでは男になれない夫は、フランスの支えなしでは無力であることを意味している。敢えてフランス語を使おうとしない本妻の態度は支配社会への批判とも取れる。
“呪い”とはフランスそのもののメタファーであり、呪縛を解き放つことで変革していこうとする国家体制を示唆しているのでないか。一夫多妻の問題点も提議しているように感じた。

若い妻との初夜を羨む同僚たちの性の手解きは開いた口が塞がらない。「Mandabi」以上のバカバカしさはかなりのブラック度で、アフリカ映画であることを忘れてしまいそうだが、トイレ事情の悪さのため、女性たちがバケツで持ってきて汚水を流すシーンや、ただ通り過ぎるだけだの戦争後遺症の人々を追うだけでも、アフリカ諸国の(当時かな?)現状を映している。
落ちぶれていくエリート官僚や政府、国への痛烈な批判の仕方はシン・サンオク監督のようでもあるし、性の描き方はキム・ギヨン監督。初夜を無事に終えたように見せるため、母親が鶏の生血をシーツに残すシーンや、エンディングの強烈さは脳裏に焼き付いて離れない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/22

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2011年 第64回カンヌ国際映画祭コンペ部門、ある視点部門 ノミネート・受賞作品

第64回カンヌ国際映画祭(5月11~22日)コンペティション部門、ある視点部門の受賞結果が発表された。(5月22、23日)

キム・ギドク監督の復帰&受賞が何よりもうれしい。昨日の朝結果を知り、興奮がまだ冷めない。
そして、大好きなデンマークのニコラス・ウィンディング・レフン監督、トルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督、ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の受賞。。。日本上映するかは疑問だが、待ち遠しい限り。
キルステン・ダンストの女優賞受賞も喜ばしい。
ラース・フォン・トリアー監督の発言、弁解、カンヌ追放騒ぎが気になる所だが、撮り続けてくれることを願いたい。
好き嫌いは別として、映画界には絶対必要な人材だとは思うから。

*「タイトル」監督名/国名 (★:Koo評価、満点5つ星)

【コンペティション部門】
Driveニコラス・ウィンディング・レフン監督/デンマーク 監督賞 ★★★★
「Footnote」ジョセフ・コーテス監督/イスラエル 脚本賞ジョセフ・シダー
「朱花の月」河瀬直美監督/日本
「一命」三池崇史監督/日本
「The Kid With A Bike」ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督/ベルギー グランプリ
「House of Tolerance」ベルトラン・ボネロ監督/フランス
「Le Havre」アキ・カウリスマキ監督/フィンランド 国際批評家連盟賞、エキュメリック賞次点
「Once Upon a Time in Anatolia」ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督/トルコ グランプリ
メランコリアラース・フォン・トリアー監督/デンマーク 女優賞キルステン・ダンスト ★★★★★
「Michael」マルクス・シュラインツアー監督/オーストリア
「Pater」アラン・カバリエ監督/フランス
「Polisse」マイウェン監督/フランス審査員賞
「The Skin I Live In」ペドロ・アルモドバル監督/スペイン
スリピングビューティー禁断の悦び」ジュリア・リー監督/オーストラリア★★★☆
「The Source」ラデュ・ミヘイレアニュ監督/ルーマニア
「This Must Be the Place」パオロ・ソレンティーノ監督/イタリア エキュメリック賞
「ツリー・オブ・ライフ」テレンス・マリック監督/アメリカ パルムドール賞(最高賞) ★★★★
「We Have a Pope」ナンニ・モレッティ監督/イタリア エキュメリック賞
少年は残酷な弓を射る」リン・ラムジー監督/イギリス ★★★★☆

【コンペ外上映作品】
「The Beaver」ジョディ・フォスター監督
「The Artist」ミシェル・アザナビシウス監督 男優賞ジャン・デュジャルダン
「The Conquest」グザビエ・ランジュ監督
「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命(いのち)の泉」ロブ・マーシャル監督

【ある視点部門】
「The Hunter」 Bakur Bakuradze/ロシア
「Halt auf freier Strecke」 アンドレアス・ドレーゼン/ドイツ ある視点賞(最高賞)
「Hors Satan」 ブリュノ・デュモン/フランス
「Martha Marcy May Marlene」 Sean Durkin/アメリカ
「Les Neiges du Kilimandjaro」 ロベール・ゲディギャン/フランス
「Skoonheid」 Oliver Hermanus/南アフリカ
「The Day He Arrives」 ホン・サンス/韓国
「Bonsái」 クリスチャン・ヒメネス/チリ
「Tatsumi」 エリック・クー/シンガポール
アリラン」 キム・ギドク/韓国 ある視点賞(最高賞) ★★★★★
「Et maintenant on va ou?/Where do we go now?」 ナディーン・ラバキー/フランス エキュメリック賞次点
「Loverboy」 カタリン・ミツレスク/ルーマニア
哀しき獣(原題:黄海)」 ナ・ホンジン/韓国 ★★★
Miss Bala」 Gerardo Naranjo/メキシコ ★★★★
「Trabalhar Cansa」 Juliana Rojas,Marco Dutra/ブラジル
「永遠の僕たち Restless」 ガス・ヴァン・サント/アメリカ
「L'Exercice de l'État/The Minister」 ピエール・ショレール/フランス 国際批評家連盟賞
「Toomelah」 Ivan Sen/オーストラリア
Oslo, 31. august」 Joachim Trier/ノルウェー ★★★★
Elena」アンドレイ・ズビャギンツェフ/ロシア 特別審査員賞 ★★★
「Au reoir」ムハマド・ラソウロフ 監督賞


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[ 2011/05/23 16:20 ] ★映画関連★ 映画賞 | TB(0) | CM(2)

(未) I Am Slave <2010/UK> ★★☆

slave.jpg
I Am Slave
2010/82min/UK
監督:ガブリエル・レンジ(Gabriel Range)「大統領暗殺」
原作:メンデ・ナーデル「メンデ 奴隷にされた少女」
出演:Wunmi Mosaku、イザアック・ド・バンコレ、Lubna Azabal、ヒアム・アッバス
ロケ地:ケニア
言語:英語
IMDb評価:7.2/10

「今も多くの女性たちが奴隷にされている事実を、世界中の人に知って欲しい」
メンデ・ナーデルは6年もの間奴隷として売られた後、生き地獄を体験し、どんな生活を虐げられたのかを記録した暴露本を出版した。本作はその映画化である。





slave2.jpgアフリカ、スーダンの山間。12歳の少女メンデは、両親や兄弟たちに囲まれ幸せに暮らしていた。しかし、ある晩、生活は一転する。村を襲撃され、メンデは拉致、人身売買の末、イギリスで奴隷として働くことを虐げられる…。

前半は、決して裕福ではないが、スーダンでの幸せな様子が描かれる。父親は村の相撲大会で優勝し、家族の誇りであった。メンデは両親にとってはお姫様として大事に育てられていた。ところが、村は襲撃され、娘が拉致されるのは一瞬の出来事であった。父親は警察や政府へ娘の捜索を願い出るが、誰も動いてはくれない。それどころか、「娘は生きている」とだけ告げられる。

slave1.jpg拉致された少女が集められ、イギリス人は舌で健康状態をチェックし、奴隷として働かせる少女を選んでいく。もし売れ残ってしまったらどうなるのかは描かれていなかった。選ばれた後は、イギリスの上流家庭での地獄の奴隷生活が始まるのであった。自由に電話をかけることも許されず、パスポートは雇い主が管理し、敷地の外には出られない。仕事が終わると光も入らず、窓のない地下に閉じ込められる生活。報酬らしいお金も自由ももらえず、ひたすら従事するだけの日々。

内戦が続くこの国では、今なお「奴隷制度」が存続し、5000人以上の少女がロンドンで奴隷として働いているという。監禁されているし、政府が情報を開示するとも思えないし、どうやって5000人という数をはじき出したのか疑問ではあるが、氷山の一角に過ぎないだろう。


出稼ぎで家政婦として従事するのとは全然違う。人権を完全無視し、本人の意思でもなければ、お金のためでもない。娘が奴隷として売り飛ばされたことを悟った父親は娘を探すためイギリスへ渡り、ゴミ収集の仕事をしながら、アフリカ系の少女たちに娘のことを聞いて回っていた。
メンデ・ナーデルは2000年9月逃亡に成功し、2002年12月英国に亡命。難民として永住権を手に入れた。世界各国で自らの体験談を語り、奴隷制廃絶を訴えている。未だ捕獲されている少女たちが無事に解放され、家族と会えることを心から願う。

スーダンの生活でも英語を使っていたのが不自然に思えたが、スーダンはフランス領ではなくイギリス領であったことを鑑賞後に知った。卑劣な雇い主をヒアム・アッバスが演じている。意外な役どころではあったが、さすがの貫録。
スーダン人の体験談が基なので、仕方ないのかもしれないが、こういう事実があるということを描いているだけで、奴隷制廃絶を訴えるまでの説得力がない。現在、奴隷を雇っている上流階級の人々が観て、あわよくば意識が変わればいいとは思うが、第3者が観て、人身売買に至る背景も見えなければ、解決策も見えない。
何もできない自分も歯痒いが、何も訴えかけてこない描き方も歯痒い。

<鑑賞> 2011/5/16
[サイト内タグ検索] ヒアム・アッバス 日本未公開
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(未)Money Order (原題:Mandabi) <1968/セネガル=仏> ★★★

mandabi.jpgMandabi/Money Order
1968/90min/セネガル=フランス
ドラマ
監督/原作/脚本:センベーヌ・ウスマン(Ousmane Sembene) 長編2作目
原作本:1966「Le mandat(The money-order)」
    邦訳「消えた郵便為替」片岡幸彦訳、青山社
出演:Makhouredia Gueye、Ynousse N'Diaye、Isseu Niang
言語:ウォロフ語(初)
IMDb評価:7.1/10

長編デビュー作「La Noire de...(Black Girl)」(未見)はアフリカにとって初の長編映画。
原作の翻訳本が出版されているのに、なぜ日本未公開
フィルムを保管していた所が火事にあったのに、DVD化しているとは不思議だけど、有り難い。
wikipediaは こちら

イブラヒムには、2人の妻と7人の子どもがいる。5年間無職でツケで食料を買うような生活を送っている。ある日、フランス パリで働く従兄から郵便為替が送られてきた。自分の母親とイブラヒムで使って欲しいと手紙が添えてあった。さっそく換金に郵便局へ向かう…。

mandabi1.jpg(右写真)郵便局に行くと、通常営業の窓口とは違うデスクがある。非識字者のために書類を読んでくれるのである。50セントの有料サービスとなっていた。そこで手紙を読んでもらうと、金額等々が書かれており、換金窓口に行きその旨を伝えるが、身分証明書が必要だと言われる。その足で役所に向かうが、今度は生年月日が必要とのこと。自分が生まれたのは1900年頃としか知らないため、親戚に聞きに行く。再び役所に行くが、今度は写真が必要だと言われ、写真屋に行き…といった具合で手際は悪いし、思うように事が運べない。郵便局での為替の保管は15日で、期限が過ぎるとフランスへ戻されるという。
たらい回しにされる様をもどかしくも面白く見せながら、アフリカの社会問題を鋭くついている。マニュアル通りにしかやってくれない役所等の対応は日本でも同様だが、識字率の低さや、これまで誕生日の自認が余り重要でなかったことなどの問題点も浮かび上がってくる。

ちょっと調べてみたら…
アフリカ諸国をはじめとする多くの国々が独立を果たした1960年代は、国際社会において非識字の問題が大きな注目を集めた。1964年にはユネスコにより識字プログラムが宣言されている。セネガルの識字率は21.0%(1980年)、38.3%(1999年)、40.2% (2006年)である。本作は1968年製作で、いつの設定なのかは不明。何らかの識字プログラムが適用されてるのか否かも不明だが、いずれのしても非識字率は低い。
mandabi2.jpg歯磨きや床屋さんによる鼻毛処理といったシーンは大胆でアフリカらしさがあり、ユーモラスさがある描き方をしている。フランスとロシアで生活したことがある監督さんなので、客観的でありながら、アフリカへの愛情も感じる。車の多さにも驚かされたし、ベッド生活ということも意外だった。生活のレベルはそれぞれで、ふかふかソファーでフランスパンにバターを塗り、コーヒーを飲む家庭もあれば、床に座り素手で混ぜながら食べる家庭もある。

主人公イブラヒムの家庭は後者であり、ツケで米を買う生活である。米を持って歩いていると、同情を買うような事情を言いながら米をもらいに来る隣人や、小銭をせびりに来る人は大勢いる。自分だって人様におすそわけするご身分ではないのに、イブラヒムは快く分けてしまう。人々は“アラーの神がきっと見ています”と感謝の意を示し、本人もご満悦。2人の妻にはお祈りを欠かすなと言いつつ、つい気持ちよく昼寝をしてしまい、金曜午後のお祈りに行きそびれ、焦る姿もなんだか憎めない。
そんな人の良さや良い意味でのいい加減さが仇となる結末は映画としては少々物足りなさを感じたが、全体低には好印象。鑑賞後に知ったけど、翻訳本のタイトルがネタバレしてる…。

<鑑賞> 英語字幕  2011/5/21


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(未) The Station Agent <2003/米> ★★★★

station.jpg
The Station Agent
2003/89min/アメリカ
コメディー、ドラマ
監督/脚本:トム・マッカーシー(監督デビュー作)
出演:Peter Dinklage、パトリシア・クラークソン、Bobby Cannavale、ミシェル・ウィリアムズ
受賞:2003サンダンス映画祭 脚本賞、観客賞
IMDb評価:7.9/10


「扉をたたく人」のトム・マッカーシー監督のデビュー作。





station1.jpg小人症である青年フィンは、同じく鉄道を愛するアフリカ系中年男性ヘンリーの経営する鉄道模型店でひっそりと働いていた。しかし、店で突然ヘンリーが倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまう。フィンには、ニューファンドランドにある古い駅舎がヘンリーの遺産として残されたと知り、そちらへ移り住むことにした…。

小人症なため人々の好奇の眼にさらされ、孤独を好むようになってしまったフィン。唯一の友人ヘンリーが亡くなり、1人田舎の駅舎でひっそりと暮らそうと考えていた。しかし、駅舎の目の前に移動トラックのホットドッグ屋があり、その従業員ジョーはプエルトリコ系でお調子者。引っ越してきたと知って以来、毎日家に来たり、外出先にくっついて来たりと放っておいてくれない。そしてさらに、オリヴィアはフィンのあまりの小ささに気付かず思わず車で引いてしまいそうになったことを機に顔見知りになり、家に出入りするようになる。

station2.jpg中心となる人物は3人で共通点は何もないように見えるが、強いていえば孤独。その3人が出会い、徐々に親しくなっていく過程を流れに任せ描いているだけだが、そのほのぼのさがとっても心地良く、ユーモアに癒される作品。
フィンが鉄道マニアという設定がまたいい。橋を通過する列車を見るのに打って付けの場所を見つけ、持参した本を読みながら列車が来るのを待ったり、車を運転できないから線路の上を歩いたり、鉄道に関するウンチクがあったり…鉄道に纏わるシーンが盛りだくさんだが、田舎の綺麗な情景に溶け込んでいてマニアックさはなく、鉄道好きでなくても楽しめる。

身長の低さから小学生の女の子には子どもと思われ、なんで学校行かないの?なんて問い詰められたり、椅子に座ると宙に浮いてしまう足だったり、小人症ならではのシーンも織り込まれているが、決して偏見ではなく、温かい眼差しで描かれている。外見や性別、国籍によらず誰しもが抱える孤独や疎外感。人間関係が嫌になったり、時には鬱陶しく思えることもあるけど、やっぱり人と触れ合うのっていいよなぁって思わせてくれる作品。

<鑑賞> 2011/5/17
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(未) Dry Season (原題:Daratt) <2006/チャド=仏=ベルギー=オーストリア> ★★★★★

daratt.jpg
Daratt/Dry Season
2006/チャド=フランス=ベルギー=オーストリア
ドラマ
監督/脚本/制作:マハマット=サレー・ハルーン(Mahamat-Saleh Haroun)
出演:アリ・バルカイ、Youssouf Djaoro、Aziza Hisseine、Khayar Oumar Defallah、Djibril Ibrahim
受賞:第63回(2006)ヴェネチア審査員特別賞
IMDb評価:6.8/10

監督は、今開催されている第64回カンヌ国際映画祭の審査員を務めている。
バイオグラフィーはこちら
最新作「A Screming Man」では第63回(2010)カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。



daratt1.jpg40年も続いた内戦で父親を亡くしてしまったため、アティムは盲目の祖父に育てられた。ある日、ラジオを聞いていたら、戦犯の罪は問わないといった内容のニュースを耳にする。祖父は父親を殺した男ナサムの殺害を孫アティムに命じ、父親の形見である銃を手渡す。アティムは車をヒッチハイクし、その男が住む街へ向かう…。

フランス語のラジオ放送やフランスパンの登場は、かつてフランス領であったことを感じさせる。
実際に内戦の映像はない。戦争孤児や後遺症の人々を映し出すだけでも悲劇さは十分伝わる。
戦争がもたらした悲劇は更なる悲劇を呼んでしまうのか…
復讐を決意し、殺意剥き出しのアティムが実行に及ぶまでの葛藤とナサムへの心境の変化を描く。

daratt2.jpg父親を殺害した男ナサムはパン屋を営んでいた。家の前で様子を覗っていると、近所の子どもたちにパンを無償で配っている姿があった。アティムも手を伸ばすと快く分けてくれた。アティムはその場でもらったパンを口にし、ナサムの目の前で吐き出してみたが、ナサムは怒ったりせず、仕事が欲しいなら明日出直せと言う。そして、翌日から見習いとして働くことになった。そのほうが殺しやすいと考えたからである。しかし、子どもたちには毎日パンを配り、ムスリムとして毎週モスクへ通い、アティムのことを我が子のように接してくれる姿を見ているうちに親子のような感情が芽生え始める。ナサムの妻は妊娠をしており、もし射殺してしまったら…同じ悲劇が繰り返されるだけである。

もはや目的が果たせなくなってしまったアティムは、パン屋を辞めて祖父の待つ故郷へ戻ることを告げるが、ナサム夫妻はアティムを養子にしたいと考えていた。ナサムは、養子の承諾が欲しいからと故郷へ戻るアティムについて行く…。

アフリカ人監督によるアフリカ映画全般に言えることだが、シンプルな脚本でわかりやすい展開の後には感動的なラストが待っていることが多い。“罪と罰”“復讐と赦し”をテーマにした作品は数多くあるが、群を抜く素晴らしいラストで、「Dry Season(乾季)」を潤す涙を流す人は多いはず。
祖父は盲目、ナサムは戦争で喉を切られ、機械を喉に当てて声を出している。現実を見ようとしない、真実を言えないことのメタファーのようにも使われている。マハマット=サレー・ハルーン監督と、話せないパン屋を演じたYoussouf Djaoroはこれから注目していきたい。

結末、核心に触れています。
盲目の祖父は足音から2人が一緒に帰ってきたことを悟る。ナサムと祖父は顔見知りだったようで、瞬時にアティムの正体を知るのである。祖父は自分の前で今射殺するよう命じるが、アティムが取った行動には意表をつかれた。空へ向かって撃ったのである。死んだと思い満足気な祖父とアティムの去る後ろ姿を見つめるナサムの表情といったら。

かたきを取るだけが復讐ではない。我が子のように可愛がり、養子にしたいとさえ考えた少年の正体を知り、捨てられたナサム。これからは罪を償いながら生きることが罰であり、一生悔やみ続けるであろう。これ以上の復讐はない。しかし、誰も傷つけていない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/11
[サイト内タグ検索] 日本未公開
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りんご (原題:Sib) <1998/イラン> ★★★

apple.jpgSib/The Apple
1998/86min/ イラン=仏=オランダ
ドラマ
監督/脚本:サミラ・マフマルバフ
脚本:モフセン・マフマルバフ
出演:マスメ・ナデリー、ザーラ・ナデリー、ゴルバナリ・ナデリー
言語:ペルシャ語
IMDb評価:7.2/10

イランの名匠モフセン・マフマルバフの娘、サミラ・マフマルバフ初監督のメルヘン・ドラマ。
父親に監禁され、生来一度も家の外に出してもらえない双子の少女。隣人達が署名運動を起こし、社会福祉事務所が2人を救出したという実話を撮影。現実と夢とがとけあう、みずみずしい映像を紡ぎ出す。97年夏のテヘラン。ナデリー家の父母は、2度と家に鍵を掛けて娘達を閉じこめないと約束して、12歳の双子の娘マスメとザーラを返して貰う。だが父親は目の不自由な妻のため、鍵を掛けて外出するのをやめない。見かねたソーシャルワーカーは、父親を家に閉じこめ、娘たちを外の世界へ出してやるが…。@allcinema

1997年の夏、テヘラン市南部であった実話だそうだ。監督は、イランの名匠モフセン・マフマルバフ監督の娘さんとはいえ、当時まだ18歳の女子高校生だという。実際の人物に即興で演じさせ、ドキュメンタリーのような臨場感とリアルさがある。父親であるモフセン・マフマルバフ監督は撮影には携わらず、編集程度の手伝いしかしていないというから更に驚き。

apple1.jpg
隣人たちの署名運動により明らかになった出来事一つを通して、イランの社会問題まで見えてくる。
65歳の父親は仕事をせず、物乞いをし生計を立てている。母は盲目であり、まともな教育も受けていない。顔まですっぽりチャドルを被っているので顔は見えず、年齢の推測もできないが、おそらく若くして50代の男性と結婚させられているのだろう。幸い子どもたちの目に異常はないように見えるが、貧困のため栄養不足による脳障害、外部との接触がなかったため言語障害、そして身体障害が診断された。実は母親には視力以外にも障害があり、遺伝も懸念されている。


障害のある母親と姉妹を閉じ込めてしまうという父親の行動は、“女の子は花。太陽にあたると枯れてしまう”という昔の教えを頑なに信じているからであった。老人の古い考え、村の慣習、貧困の悪循環の犠牲になるのは多くは女性たちであり、女性に不利な社会構造や男性の意識を変えることの大切さは近年イラン映画でも多く描かれるようになってきた。署名活動までして監禁少女たちを救おうと立ち上がった地域住人がいたということは意外だったが、素晴らしいこと。

apple2.jpg
福祉社会のお陰で無事に外へ出られた姉妹だが、“お金”という存在すらも知らなかった。外の世界の出来事全てが彼女たちには驚きで初めてのこと。外出もしないから、おそらく靴も持っていないのだろう。父親のと思われるぶかぶかのサンダルを履き、ぎこちない歩き方。鍵で門を開けること。福祉の人からもらった鏡で自分の顔を見ること。そして、買い物、友達作りといった初めての「社会行動」をほのぼのと描いている。タイトルにもなっている“りんご”を使ったシーンは印象深いシーンにできあがっている。

少女たちから見える新しい世界の発見は、封建的なイスラム社会における女性たちが自由になる瞬間を持ち望んでいる女性監督の強い思いでもあるのではないか。2人の適応能力の高さは、女性たちの可能性を示唆しているようにも感じる。ラストの母親の描き方も、滑稽にも見えるが、やはり自由を望んでいる。

[タグ未指定]
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(未) White Material <2009/仏=カメルーン> ★★★★

white_20110515221954.jpg
White Material
2009/106min/フランス=カメルーン
ドラマ
監督:クレール・ドゥニ「侵入者(原題:L'Intrus)
出演:イザベル・ユペール、クリストフ・ランベール、ニコラ・デュヴォシェル、イザアック・ド・バンコレ、ミシェル・シュボール
IMDb評価:7.0/10

第66回(2009)ヴェネチア国際映画祭コンペ出品

内戦が激化するアフリカのとある町。身の危険を感じているにも関わらず、コーヒー農園を経営する白人女性マリアは収穫間際の農園から離れることができない。一方、日に日にエスカレートする嫌がらせに耐えられない前夫はマリアに内緒でコーヒー農園を売り飛ばそうとするが…。


幼少時代をカメルーンで過ごした監督。 2010年はカンヌ映画祭「ある視点部門」の審査委員長を務めた。ゴンクール賞を受賞するなど高い評価を受けているアフリカ系若手女流作家マリー・ンディアイと脚本を共同執筆し、クレール・ドゥニ作品では初出演となるイザベル・ユペールが主演を務め、お馴染みのミシェル・シュボールも出演している。
「chocolat(ジョニー・デップのではないほう)」以降、またアフリカを舞台にし、内戦激化による白人支配の崩壊を描いている。いつも抽象的過ぎて、時間軸は動きまくり、緊張と集中を強いられるため、あまり得意な監督さんではないのだが、本作に限ってはかなりのツボ。自分好みのテーマということもあるだろうが、サスペンスより緊迫感があり、戦争映画より卑劣で、ホラーより怖い。かなりの見応えがある。

white1.jpg冒頭、身一つでヒッチハイクをし、車に乗り込むマリア。実はこれが結末となっていて、何かから逃げてきたのか、これから逃げようとしているのかは最後まで観ないとわからない。一体何があったのか、これからどうするのか、興味を湧かせる冒頭から魅入ってしまった。

内戦が激化し、従業員たちは仕事を放棄。次々と農園を去り始めてしまった。広大な土地を1人で賄いきれず、マリアは他の従業員を探しに町へ出るが、その間、自宅でもネックレスが奪われたり、息子が髪を切られたり、死の警告とも取れる牛の頭が収穫したコーヒー豆の中に入れられていた。しかし、マリアは決して屈しないし、祖国へ帰ろうともしない。
white2.jpg

コーヒー農園の運営はマリアだが、書類上は義父の所有である。“自分1人”対“住人”という状況まで追いこまれ、なぜここまでこの農園に執着するのか、正直理解できなかったのだが、だからこそ余計にエスカレートしていく嫌がらせは常に血の匂いがし、ただ事ではない緊張感が漂う。

ライターを「White Material(白人の持ち物)」と表現した少年がいた。マリアに銃をむけた女性がしていたネックレスはマリア宅から盗んだものであり、これも「White Material」である。かつてフランスはアフリカの一部諸国を植民地としていた。「White Material」とは物質的な物だけでなく、コーヒーやアフリカ諸国も言及しているのだろう。“雇い主と従業員”というよりむしろ、“入植者と現地人”といった構造も浮き彫りになっていく。暗黙の了解のごとく成り立っていたピラミッド構造が崩壊するという皮肉的な結末はいろいろと考えさせれる。

資本主義の趣向品であるコーヒー。コーヒー中毒の私としては、豆の収穫、焙煎などの一連の工程が観れるのは興味深かったが、それと同時に、ひどい寝床で奴隷のごとく働かされ、決して彼らの口に入ることなくヨーロッパへ出荷されていくことを思うと胸が痛む。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/14

クレール・ドゥニ監督プロフィール】
1948年4月21日、フランスのパリ生まれ。生後まもなく、クレール・ドゥニは家族とともにカメルーンへ渡る。父親は現地で公務員として働いた。しかし、クレール・ドゥニは病気にかかり、フランスへ戻らざるをえなくなる。部屋にこもりがちの孤独な少女時代を送ったという。読書や音楽を聴いて日々を過ごしていたが、次第に映画に興味を持つようになる。クレール・ドゥニは若くしてカメラマンと結婚し、彼のすすめでIDHECに入学し、映画を学んだ。

ジャック・リヴェット監督のアシスタントとして映画界入り。そして、ジャック・ルーフィオ監督、ジム・ジャームッシュ監督、ヴィム・ヴェンダース監督のもとで働いた。ヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」の撮影のとき、インスピレーションを得て、初長編監督作品「ショコラ」(1988年)を撮る。自伝的要素の強い作品で、高く評価され、セザール賞の初監督作品賞にノミネートされた。1994年には「パリ、18区、夜。」を発表。実際にあった老女連続殺人事件をもとに、パリ18区で暮らす人々を描いた。独特の映像世界を作り上げ、日本でも熱烈なファンを獲得する。

1996年には「ネネットとボニ」で、ロカルノ国際映画祭のグランプリを始めとする三冠を受賞。突然転がりこんできた妊娠中の妹と兄の、互いに反発しあいながらも求め合う姿を繊細に描いた。2000年の「Beau travail」では、アフリカのジブチのフランス外人部隊を舞台に描き、国際的に高い評価を得る。2001年の「ガーゴイル」では、ヴィンセント・ギャロとベアトリス・ダルを迎え、性的な欲望が高まると殺人の衝動にかられる奇病に侵された男女の姿を描いた。2005年の「侵入者(原題:L'Intrus)」は、ヴェネチア映画祭に正式出品されている。@フランス映画通信
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記事を書いている作品を自己判断でテーマ別に振り分けてみました。
リンクは付けていませんので(ごめんなさい。めんどくさかった)、記事をご覧になりたい方はお手数ですが、
国別カテゴリー、記事投稿日、検索等ご利用ください。国名が書いていないのは韓国です。

ネタバレはご了承ください。記憶を頼りに振り分けたので、勘違いによる間違いがあるかもしれません。
明らかに間違っている際はご指摘いただければ有り難いです。

【DV】
66. パンチレディー <2007> ★★★ - 2009.12.03
(未) Terribly Happy <2008/デンマーク> ★★★☆ - 2011.03.11

【いじめ、暴力】
115. 受取人不明 <2002> ★★★ - 2010.01.13
未来を生きる君たちへ <2010/デンマーク> ★★★★ - 2011.03.17
(未) Evil (原題:Ondskan) <2004/スウェーデン=デンマーク> ★★★ - 2011.02.07
(未) The Invisible <2002/スウェーデン> ★★★ - 2011.01.06

【移民】
182. 彷徨の日々 <2007> ★★★☆ - 2010.05.15
(未) Amreeka (原題) <2009/米> ★★★ - 2011.01.18

【家政婦】
209. 下女 <2010> ★★★★ - 2010.07.21
195. 下女 <1960> ★★★★★ - 2010.06.21
悲しみのミルク <2009/ペルー=スペイン> ★★★ - 2011.03.26
家政婦ラケルの反乱 <2009/チリ> ★★★★ - 2010.10.11
フィッシュチャイルド/ある湖の伝説 <2009/アルゼンチン> ★★★ - 2010.09.28
私がクマにきれた理由 <2007/米> ★★★ - 2010.09.30

【家族愛】
103. 過速スキャンダル <2008> ★★★ - 2009.10.29
はじめての大切なもの <2010/伊> ★★ - 2011.04.25

【監禁】
125. 殴打誘発者たち <2006> ★★★☆ - 2010.06.14
143. オルガミ <1997> ★★★☆ - 2010.06.01
122. 失踪 <2009> ★★ - 2010.05.11
30. チェイサー <2008> ★★★★ - 2009.11.10
(未) Strayed <2009/カザフスタン> ★★★ - 2011.04.24
(未) A Trip to Karabakh <2005/グルジア> ★★ - 2011.05.06
(未) Dogtooth (原題:Kynodontas) <2009/ギリシャ> ★★★★★ - 2011.02.01
監禁ハイウェイ <2009/UK> ★ - 2010.12.31

【慣習】
193. 高麗葬 <1963> ★★★☆ - 2010.06.20
(未) When We Leave (原題:Die Fremde) <2010/独> ★★★★★ - 2011.02.13
デザート・フラワー <独=オーストリア=仏> ★★★ - 2010.12.24
静かな光/Silent light <2007/メキシコ> ★★★★ - 2010.08.02
悲しみのミルク <2009/ペルー=スペイン> ★★★ - 2011.03.26

【汽車、列車】
23. 京義線 <2007> ★★★★☆ - 2009.11.04
236. グリーンフィッシュ <1997/韓> ★★★★ - 2010.12.27
237. ペパーミント・キャンディー <1999/韓> ★★★ - 2010.12.30
明日へのチケット <2005/伊> ★★ - 2010.06.05
(未) Transsiberian <2008/スペイン=独=UK=リトアニア> ★★★★ - 2010.09.28

【偽装結婚、国際結婚】
110. パイラン <2001> ★★★★★ - 2010.05.13
愛より強く <2004/独=トルコ> ★★★★ - 2010.05.25
(未) Stolen Eyes <2005/ブルガリア=トルコ> ★★★ - 2010.11.07

【近親者の死】
208. 詩 <2010> ★★★ - 2010.07.17
107. シークレット・サンシャイン 原題:密陽 <2007> ★★★★★ - 2010.01.04
まぼろし <2001/仏> ★★★★ - 2010.12.08
(未) The Tree <2010/仏=豪=独=伊> ★★★ - 2011.04.18
そして、私たちは愛に帰る <2007/独=トルコ=伊> ★★★★ - 2010.11.21
HANAMI <2008/独> ★★★ - 2010.10.22
Red Road <2006/英> ★★★ - 2010.08.20
(未) Gespenster <2005/独=仏> ★★★ - 2010.09.18
蜂蜜 (原題:Bal) <2010/トルコ=ドイツ> ★★★★ - 2011.03.27

【宮廷】
15. 宮女  ★★ - 2009.10.30
58. 霜花店 <2009> ★★★★★ - 2009.11.28
222. 内侍 <1968/韓> ★★★★★ - 2010.09.06
ある歌い女(うたいめ)の思い出 <1994/チュニジア> ★★★★★ - 2010.07.26

【刑務所】
201. ハーモニー <2010> ★★★ - 2010.07.01
134. 私たちの幸せな時間 <2006> ★★★★☆ - 2010.05.18
47. マイ・サン ~あふれる想い~ <2007> ★★★★ - 2009.11.18
35. マイ・ファーザー <2007> ★★★ - 2009.11.13
(未) If I Want To Whistle, I Whistle <2010/ルーマニア> ★★★★ - 2011.02.18
(未) Scum (原題) <1977,1979/UK> ★★ - 2011.01.07
Hunger <2008/アイルランド> ★★★★★ - 2010.07.31

【孤児、養子】
149. アカシア <2003> ★★★ - 2010.02.18
150. 木のない山 <2009> ★★★★ - 2010.02.19
181. 冬の小鳥 <2009> ★★★★ - 2010.05.12
177. プチトマト <2008> ★☆ - 2010.05.06
(未) Upperdog <2009/ノルウェー> ★★ - 2011.03.23
この道は母へとつづく <2005/ロシア> ★★★ - 2010.10.04
Ponette <1996/仏> - 2010.06.28
(未) Children Underground (原題) <2001/米> ★★★★ - 2011.01.14

【災害、事故】
1.ノートに眠った願い事 (原題:秋へ) ★★★ - 2009.10.26
235. 浜辺の村 <1965/韓> ★★ - 2010.12.10
54.  海雲台 <2009> ★★★★ - 2009.11.26

【思春期の性】
(未) Kid svensk <2007/フィンランド=スウェーデン> ★★★ - 2010.10.14
Noi the Albino <2003/アイスランド> ★★★ - 2010.06.01
デカローグ第6話 および 愛に関する短いフィルム <1989/ポーランド> ★★★★★ - 2010.11.18
水の中のつぼみ <2007/仏> ★★★☆ - 2011.04.15
(未)(備忘録) The Year of Awakening <1986/スペイン> ★★ - 2011.01.24

【宗教】
長い旅 (原題:Le Grand Voyage) <2004/仏> ★★★★☆ - 2011.03.02
(未) When We Leave (原題:Die Fremde) <2010/独> ★★★★★ - 2011.02.13
父、帰る <2003/ロシア> ★★★★★ - 2010.08.09
ユマニテ <1999/ベルギー> ★★★☆ - 2010.10.30

【集合住宅】
151. 赤い靴 <2005> ★★★★ - 2010.02.19
161. アパートメント <2006> ★★★ - 2010.03.12
200. 301 302 <1995> ★★★★★ - 2010.06.25
103. 鳥肌 <2001> ★★★★ - 2010.05.19
アパートメント <1996/仏> ★★★☆ - 2011.03.08
テナント 恐怖を借りた男<1976/仏> ★★★★ - 2011.02.10

【贖罪】
157. パジュ(坡州) <2009> ★★★ - 2010.03.06
アンチクライスト <2004/デンマーク=独=仏=スウェーデン=伊=ポーランド> ★★★ - 2010.11.29
(未) The Banishment <2007/ロシア> ★★★☆ - 2010.08.09
レ・ミゼラブル <2000/仏> ★★★★★ - 2010.10.10
息子のまなざし <2002/ベルギー> ★★★★★ - 2010.09.05
(未) Revanche <2008/オーストリア> ★★★☆ - 2011.05.13
この森で、天使はバスを降りた <1996/米> ★★★★ - 2010.12.18

【スポーツ、山登り】
212. スーパースター☆カム・サヨン <2004> ★★★ - 2010.07.22
116. 国家代表 <2009> ★★★☆ - 2010.01.12
66. パンチレディー <2007> ★★★ - 2009.12.03
50. マラソン <2006> ★★★★ - 2009.11.22
運命を分けたザイル <2003/UK> ★★★ - 2011.02.27
127時間 <2010/米> ★★★★★ - 2011.01.20
(未) A Matter of Size <2009/イスラエル=仏=独> ★★★ - 2010.12.13

【整形、美容】
16. 絶対の愛 原題:時間 <2006> ★★★★ - 2009.10.31
164. ヨガ学院 <2009> ★★ - 2010.03.27

【精神崩壊】
(未) Next Door <2005/ノルウェー> ★★★★ - 2010.05.24
ポゼッション <1981/フランス> ★★★★ - 2010.11.30
ブラックスワン <2010/米> ★★★★ - 2011.01.10
1408号室 <2007/米> ★★★ - 2011.02.07
盲獣 <1969/日> ★★★★ - 2010.12.12

【臓器提供】
(未) The Trap <2007/セルビア> ★★★★★ - 2010.10.09
堕天使のパスポート <2002/英> ★★★★★ - 2010.09.08
(未) Inhale (原題) <2010/米> ★★★★★ - 2011.01.17

【朝鮮族】
231. (未) 青い河は流れよ <2009/韓> ★★★ - 2010.11.08
249. キムチを売る女 (原題:芒種) <2005/韓> ★★★★★ - 2011.05.12
243. 黄海 (原題:황해) <2010/韓> ★★★ - 2011.04.05

【同性愛】
58. 霜花店 <2009> ★★★★★ - 2009.11.28
179. 少年、少年に会う <2008> ★ - 2010.05.09
180. 友達の関係? <2009> ★★★ - 2010.05.09 190. ハローマイラブ <2009> ★★★ - 2010.06.06
191. 暴風前夜 <2010> ★★★★ - 2010.06.17
(未) 【短編】Lucky Blue <2007/スウェーデン> ★★ - 2010.10.18
(未) Brotherhood <2009/デンマーク> ★★★ - 2011.03.29
(未) You I Love <2004/露> ★★ - 2011.02.04
(未) You Will Be Mine (原題Je te mangerais) <2009/仏> ★★★★ - 2010.10.18
(未) Out of the Blue (原題La Surprise) <2007/仏> ★★★★ - 2010.10.17
ローマ、愛の部屋 (英題:Room In Rome) <2010/スペイン> ★★★ - 2011.03.28
フィッシュチャイルド/ある湖の伝説 <2009/アルゼンチン> ★★★ - 2010.09.28

【トランスジェンダー】
32. 仮面 <2007> ★★★★★ - 2009.11.12
176. パパは女の人が好き <2010> ★★★★ - 2010.05.02

【ドラッグ】
169. マリンボーイ <2009> ★★★ - 2010.05.19
191. 暴風前夜 <2010> ★★★★ - 2010.06.17
光のほうへ (原題:Submarino) <2010/デンマーク=スウェーデン> ★★★★★ - 2011.04.02
プッシャー <1996/デンマーク> ★★★ - 2010.11.13
トレインスポッティング <1996/UK> ★★★☆ - 2011.02.12
Biutiful ビューティフル<2010/メキシコ> ★★☆ - 2011.05.14
ソフィアの夜明け <2009/ブルガリア> ★★★ - 2011.04.29

【内戦、紛争】
217. 小さな池 <2010/韓> ★★ - 2010.08.22
46. トンマッコリへようこそ <2006> ★★★ - 2009.11.18
カティンの森 <2007/ポーランド> ★★★★ - 2011.04.13
尋問 <1989/ポーランド> ★★★★★ - 2010.11.05
神々と男たち <2010/仏> ★★★ - 2011.03.03
This Is England <2006/UK> ★★★★ - 2011.02.06
レバノン <2009/イスラエル=フランス=レバノン=ドイツ> ★★ - 2010.12.09
(未) 【短編】Strangers <2008/イスラエル> ★★★ - 2010.08.03
(未) Lemon Tree <2008/イスラエル> ★★★ - 2010.08.03
シリアの花嫁 <2004/イスラエル> ★★★★★ - 2010.08.03
Paradise Now <2005/イスラエル> ★★★★★ - 2010.07.26
オフィシャル・ストーリー <1985/アルゼンチン> ★★★★☆ - 2011.01.24

【売春宿、ポルノ】
228. (未) 7月32日 <2010/韓> ★★★☆ - 2010.10.19
89. 悪い男 <2001> ★★★★★ - 2009.12.21
(未) Revanche <2008/オーストリア> ★★★☆ - 2011.05.13
(未) Import Export <2007/オーストリア> ★★★★☆ - 2010.10.31
(未) A Serbian Film <2010/セルビア> ★★ - 2011.04.12
(未) Porn Theater (原題La chatte à deux têtes) <2002/フランス> ★★★ - 2010.12.21
そして、私たちは愛に帰る <2007/独=トルコ=伊> ★★★★ - 2010.11.21
(未) Graphic Sexual Horror (原題) <2009/米> - 2011.01.18
ザ・ガールフレンド・エクスペリエンス <2009/米> ★★ - 2010.06.28
娼婦と鯨 <2004/アルゼンチン=スペイン> ★★★★☆ - 2011.04.03

【貧困】
(未) Winter's Bone (原題) <2010/米> ★★★☆ - 2011.01.29
(未) Last Resort <2000/英> ★★ - 2010.08.08
(未) Children Underground (原題) <2001/米> ★★★★ - 2011.01.14
Biutiful ビューティフル<2010/メキシコ> ★★☆ - 2011.05.14
同じ月の下で/ Under The Same Moon <2007/メキシコ> ★★★★★ - 2010.09.14
Angel of Fire <1992/メキシコ> ★★ - 2010.12.07
闇の列車、光の旅 <2009/メキシコ> ★★★★ - 2010.08.23

【復讐、呪い】
151. 赤い靴 <2005> ★★★★ - 2010.02.19
161. アパートメント <2006> ★★★ - 2010.03.12
170. 人を探します <2009> ★★★★★ - 2010.05.01
233. ビー・デビル(原題:キム・ボンナム殺人事件の顛末) <2010/韓> ★★★★ - 2010.12.01
(未) Katalin Varga <2009/ルーマニア=UK> ★★★★★ - 2010.10.23
(未) Revanche <2008/オーストリア> ★★★☆ - 2011.05.13
(未) Dead Man's Shoes <2004/英> ★★★★ - 2010.11.29
(未) A Somewhat Gentle Man <2010/ノルウェー> ★★☆ - 2011.04.27
(未) Dragonflies <2001/ノルウェー> ★★★★ - 2011.03.12
(未) 【短編】 Dog Altogether <2007/UK>★★★★ - 2011.03.09
Red Road <2006/英> ★★★ - 2010.08.20

【不治の病】
55. 悲しみよりもっと悲しい物語 <2009> ★★★ - 2009.11.27
185. ウェディングドレス <2010> ★★★★ - 2010.05.20
121. 最後の贈り物...帰休 <2008> ★★★ - 2010.01.16
29. 最後の約束 原題:11番目のお母さん <2007> ★★★ - 2009.11.09
211. 実家の母 <2010> ★★ - 2010.07.22
76. ハピネス 原題:幸福 <2007>★★★★★ - 2009.12.12
62. ユア・マイ・サンシャイン 原題:君は僕の運命 <2006> ★★★★★ - 2009.11.30
216. 私の愛,私のそばに <2009> ★★★ - 2010.08.02
菖蒲 <2009/ポーランド> ★★★★ - 2011.04.14
海を飛ぶ夢 <2004/スペイン> ★★★★ - 2010.09.13

【不治じゃない病、先天性】
68. バカ <2008> ★★★ - 2009.12.04
28. 母なる証明 <2009> ★★★★★ - 2009.11.09
娼婦と鯨 <2004/アルゼンチン=スペイン> ★★★★☆ - 2011.04.03
XXY <2007/アルゼンチン=仏=スペイン> ★★★★★ - 2011.01.23
(未) Nothing's All Bad <2010/デンマーク> ★★★ - 2011.03.05
(未) Gespenster <2005/独=仏> ★★★ - 2010.09.18

【プール】
スイミング・プール <2003/仏=UK> ★★★★ - 2010.12.22
(未) The Door <2010/独> ★★★ - 2011.03.30

【不法入国】
230. 風と砂の女 (原題:境界) <2007/韓=仏> ★★★ - 2010.11.09
33. クロッシング <2008> ★★★★ - 2009.11.12
168. ソウルのバングラデッシュ人 <2009/韓> ★★★★ - 2011.04.12
243. 黄海 (原題:황해) <2010/韓> ★★★ - 2011.04.05
君を想って海をゆく (原題:Welcome)<2009/フランス> ★★★★ - 2010.12.01
(未) Illegal <2010/ベルギー=ルクセンブルグ=仏> ★★ - 2011.02.15
同じ月の下で/ Under The Same Moon <2007/メキシコ> ★★★★★ - 2010.09.14
闇の列車、光の旅 <2009/メキシコ> ★★★★ - 2010.08.23
Biutiful ビューティフル<2010/メキシコ> ★★☆ - 2011.05.14

【不倫】
24. 今、愛する人と暮らしていますか? <2007> ★★ - 2009.11.04
141. 浮気な家族 <2003> ★★★☆ - 2010.06.20
153. 浮気日和 <2007> ★★ - 2010.02.21
18. キッチン -3人のレシピ- <2009> ★★★ - 2009.11.02
221. 霧は女のように囁く <1982/韓> ★★★★☆ - 2010.09.02
209. 下女 <2010> ★★★★ - 2010.07.21
195. 下女 <1960> ★★★★★ - 2010.06.21
196. 妻の恋人に会う <2007> ★★★★ - 2010.06.19
145. 妻が結婚した <2008> ★★★ - 2010.01.05
242. 2度目の愛 <2007/米=韓> ★★★★☆ - 2011.03.22
188. 秘密愛 <2010> ★★★ - 2010.05.30
175. 秘蜜 原題: 緑の椅子 <2005> ★ - 2010.05.01
229. ハッピー・エンド <1999/韓> ★★★ - 2010.11.01
247. ロマンスグレー <1963/韓> ★★★☆ - 2011.05.04
245. 烈女門 <1962/韓> ★★★★ - 2011.05.04
愛人/ラマン <1992/仏> ★★★★ - 2010.09.11
掟 <1990/ブルキナファソ> ★★★★ - 2010.09.02

【保険金詐欺、詐欺師】
カランチョ <2010/アルゼンチン=チリ=仏=韓国> ★★★★☆ - 2011.03.07
70. 黒い家 <2007> ★★★★★ - 2009.12.06
華麗なる詐欺師たち <2001/アルゼンチン> ★★★☆ - 2010.12.07
52. タッチャ <2006> ★★ - 2009.11.24

【密接社会、地域社会】
20. うちの町内<2007> ★★★ - 2009.11.03
74. イリ(裡里) <2008> ★★  - 2010.06.29
213. (未) 幸せな鬱陵(うつりょう)人 <2010> ★★ - 2010.07.22
56. チャウ <2009> ★★★ - 2009.11.28
(未) Terribly Happy <2008/デンマーク> ★★★☆ - 2011.03.11
ユマニテ <1999/ベルギー> ★★★☆ - 2010.10.30
(未) The Northerners <1992/オランダ> ★★★ - 2010.12.03

【ヤクザ】
41. 愛 サラン <2007> ★ - 2009.12.30
142. 映画は映画だ <2008> ★★★★☆ - 2010.02.07

【誘拐】
10. あいつの声 <2007> ★★ - 2009.11.022
41. (未) 心臓を脈打つ (原題:심장이 뛴다) <2010/韓> ★★ - 2011.03.18
107. シークレット・サンシャイン 原題:密陽 <2007> ★★★★★ - 2010.01.04
75. セブンデイズ  ★★★★★ - 2009.12.13
71.大誘拐 クォン・スンブン女史拉致事件  ★★★ - 2009.12.07
219. 破壊された男 <2010/韓> ★★★ - 2010.08.30

【レイプ】
14. 美しい <2008> ★★★★★ - 2009.10.31
(未) Katalin Varga <2009/ルーマニア=UK> ★★★★★ - 2010.10.23
ユマニテ <1999/ベルギー> ★★★☆ - 2010.10.30
ネイキッド <1993/UK> ★★ - 2011.02.11
冬の旅 <1985/仏> ★★★ - 2010.09.25
(未) Human Zoo <2009/仏> ★★ - 2011.04.04

【恋愛】
17. 6年目恋愛中 <2007> ★ - 2009.10.31
(未) Everyone Else <2009/独> ★★★☆ - 2011.04.23
ブルーバレンタイン <2010/米> ★★★★ - 2011.01.30

【老人と子ども】
124. おばあちゃんの家 <2002> ★★★★ - 2010.05.20
(未) Granny <2003/露=仏> ★★★☆ - 2010.10.17
チェチェンへ アレクサンドラの旅 <2007/ロシア> ★★★★ - 2010.09.09
Yaaba <1989/ブルキナファソ> ★★★★ - 2010.09.05
最終更新:2011/5/14
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[ 2011/05/15 17:38 ] インデックス | TB(0) | CM(0)

Biutiful ビューティフル<2010/メキシコ> ★★☆

biutiful.jpgBiutiful
2010/148min/メキシコ=スペイン
ドラマ
製作/監督/脚本:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:アルマンド・ボー、ニコラス・ギアコボン
出演:ハビエル・バルデム、ブランカ・ポルティージョ、ルーベン・オカンディアノ
受賞:
第63回カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞受賞(ハビエル・バルデム
第25回ゴヤ賞 主演男優賞
ノミネート:
第83回アカデミー主演男優賞、外国語作品賞
第68回ゴールデングローブ賞、外国語映画賞
第25回ゴヤ賞7部門(助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞、作曲賞)

6月25日より順次公開 公式ページはこちら

第83回(2011)アカデミー賞外国語映画賞エントリー65作品についてはこちら

中国やアフリカから来た不法滞在者たちに仕事を斡旋したり、霊能力を使ってご遺体の言い残したことを家族へ伝えるという仕事で生計をたてているウクシバル(バルデム)。2人の子どもがいるが、妻は病気を抱えている上に情緒不安定で麻薬に頼り、平穏な生活を送れない。そんな妻のためにウクシバルは麻薬取引にも関与し、子育てにも奮闘するが、体に異変を感じ検査を受ける。末期がんで余命いくばくもないことを知るが…。

biutiful1.jpg前作までの作品と明らかに違うのは、舞台が一か所(スペイン バルセロナ)で、1人の主人公ウクシバルを主軸に展開するという点である。監督はバルデムを想定して脚本を書き上げたというだけあって、死を意識し滲み出てくる哀しみと彼の特異な風貌が見事に重なる。全身全霊挑んだバルデムの演技は鳥肌もの。

貧困層で暮らし、良いとは言えない家庭環境、麻薬取引・不法労働者手配といった裏社会への関与、さらに自身が末期がんに冒されているという状況下で苦悩する姿を描く。裏社会で手を染め、所詮、自業自得な運命なのだろうと冷ややかに見ていたが、彼の生活を見れば見るほど、彼の性格を知れば知るほど、ウクシバルは“いい人”なのである。慈愛に満ちた父親であり、死者に対しても愛情を持って接し、子供たちのナニーに対しても紳士的な態度、麻薬取引関与も妻のためであった。裏社会へ足を踏み入れてしまったのは事情があるのだろう。

しかし、裏社会で働いていても“善人”というギャップは面白いが、本作は泥沼人生の中で足掻く主人公への同情に満ち溢れ過ぎていて、なかなか緊張感が高まらない。今までの作品のようなテンポのいい群像劇は見られない。
前半は面白かったのだが、冗長に感じる部分も多く、無駄に2時間半という長さにしたような退屈させ感じた。かなりシンプルな構造にはなっているが、中国人の恋愛、アフリカ系ナニーの状況等々、サブストーリーが散漫し過ぎてまとまりきれていない印象。

「バベル」「21グラム」で脚本を担当していたギエルモ・アリアガは本作では携わっていない。監督自身は初の脚本業ということだが、この辺が作風の違いに原因があるのだろう。観て2週間経ってこの記事を書いている今、バルデムの演技とバックに見えたサグラダ・ファミリアの美しさだけでストーリーは印象に残っていない。事実、海外の映画祭でほとんど話題にならず、主演男優賞しか受賞していないのがその証拠なのかもしれない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/6
[サイト内タグ検索] ハビエル・バルデム
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(未) Revanche <2008/オーストリア> ★★★☆

revanche1.jpgRevanche
2008/121min/オーストリア
犯罪、ドラマ、ロマンス
監督/脚本:ゲッツ・シュピールマン(Götz Spielmann)
出演:Johannes Krisch、イリーナ・ポタペンコ(Irina Potapenko)
IMDb評価:7.6/10

第81回(2008)アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート
第58回(2008)ベルリン国際映画祭 ヨーロッパ映画賞 他 

ゲッツ・シュピールマン監督は「Antares (2004)」でもアカデミー賞オーストリア代表に選ばれている。本作は、ノミネートもされたが、あの「おくりびと」に奪われてしまった。私は邦画の記事をほとんど書いていないけど、「おくりびと」は2度も観てる。比較すると本作はインパクトに欠けるかな。タイトル負けもしているような気もするし、「おくりびと」は「Depature」という英題が素晴らしすぎた。


タマラはウクライナ出身の不法滞在者で、借金を抱えながらウィーンで娼婦として働いている。恋愛はご法度だが、前科持ちで用心棒のアレックスとこっそり付き合っている。ある日、タマラは経営者から特別待遇の誘いを受けたが、断り、今の生活から抜け出したいと考えるようになる。しかし、お金がない2人は、手っ取り早い方法として銀行強盗を思いつくが、逃げる際出くわした警官がタイヤを狙った銃はタマラに命中してしまった…。

revanche.jpg前半は、売春宿での性行為やタマラとアレックスの営みを重視し、裸のシーンが多い。さらに金欲といった人間の欲望に重きを置いた前半だったが、銀行強盗を境に、関わった人々の大きく変わっていく人生や心理描写に流れは変わっていく。本来あるような強盗事件の解決に焦点を当てるサスペンスではない。
なぜわざわざ祖父の家近くの銀行を襲ったのかが謎なのだが、滅多に事件の起こらない片田舎であった。犯行後、アレックスは祖父の家でお世話になるのだが、シンプルな脚本だが、田舎の密接したコミュニティーをうまく利用した構成になっている。
revanche2.jpg過ってタマラを射殺してしまった警官。恋人タマラを失ったアレックス。1人の女性の死を異なる立場から捉え、それぞれ悔いる姿を映す。思わぬところで繋がっていた人間関係をうまく利用し、多面的な見せ方をしているのは面白い。

貧困層から抜け出すために倫理を失い、結果、彼女を死に導いてしまったことへの贖罪。彼女の命を奪った警官への復讐。タイトル通り「リベンジ(復讐)」が始まるのだが、意表をついた復讐方法であった。明確な答えは提示されず、少々説得力に欠けるが、誰も批判することなく、モラルとは一体何なのかゆっくり自問を促し、試練を生き抜くことの難しさを言いたかったような気がする。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/12
[サイト内タグ検索] 日本未公開
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249. キムチを売る女 (原題:芒種) <2005/韓> ★★★★★

kimuchi.jpg
キムチを売る女/芒種/Grain In Ear
2005/109min/韓国=中国
ドラマ
監督/脚本:チャン・リュ(またはチャン・リュル)
撮影:ユ・ヨンホン
美術:チャン・ヘ
出演:リュ・ヒョンヒ、キム・パク、ジュ・グァンヒョン、ワン・トンフィ
言語:中国語、朝鮮語
IMDb評価:7.2/10

受賞:
2005年カンヌ国際映画祭 批評家週間ACID賞
ペサロ国際映画祭 ニューシネマ部門グランプリ
釜山国際映画祭 ニューカレンツ部門グランプリ 他




中国北西部に暮らすスニは朝鮮族出身でシングルマザー。同じ長屋には若い娼婦たちが住んでおり、昼間は息子の遊び相手をしてくれるが、夜になると街へ仕事へでかける。町は過疎化が進み、工場がいくつかあるだけで女性の働き口はたかが知れている。スニは自転車でキムチを売りに歩く…。

kimuchi1.jpg舞台は中国であり、朝鮮語を母国語とする朝鮮族が主人公である。使われている言語は中国語だが、息子との会話では主に朝鮮語を使い、息子に覚えさせようとしているが、母以外に使う機会がないためなかなか覚えようとしない。「朝鮮族だろ?」と町で聞かれても返事をしないところを見ると民族差別があるのだろう。朝鮮族出身の監督自身の実体験が少なくとも投影されているのかもしれない。
町は過疎化が進み、これといった産業も娯楽もなく、町行く人は老人が多い。東京と比較すると長閑で良い所に見えてしまうが、ここで生活を営むことの厳しさは伝わってくる。公安の描き方は、監督の批判が含まれているように思えた。あれじゃ、少数民族は住みづらいだろう。さらに、生きていく術の一つとして売春が当然のような考えを持った男性ばかり。韓国映画に出てくる朝鮮族というと“女性の出稼ぎ”をテーマにした作品(「黄海」「青い河は流れよ」)が多いような気がするが、そうせざるを得ない環境だということにも納得させられる。

kimuchi2.jpg
固定カメラによるロングショットの映像をつなぎ合わせ、人が去ってもカメラは追わない。もちろん音楽もない。ゆったりと時間が流れ、不思議な空間となっている。暴力や性行為の直接描写を避け、音だけで表現したり、過度な説明はなく、状況から読み取っていく必要がある。淡々としながらも、理解する上で重要となるシーンが全体にさり気なく散りばめられ、うっかり寝てしまうと何が起こったのかわからなくなってしまうだろう。特に殺鼠剤の使い方は見逃せない。独特な構図の撮り方や青の効果的な使い方はあまり類を見ない美しさ。朝鮮族にしか描けない朝鮮族映画という点、においてもかなり私好みだが、睡魔と闘いながら観た人は多いと思う。2006年に一般公開されたことには驚き。

腕を組みながら窓の外を眺め、煙草を吸い、ちんたらと自転車を漕ぐスンヒ。何をするにもやる気がなさそうで、最後まで何事も起こらないかのようにストーリーはゆっくりと進み続ける。感情の起伏はなく、絶望から世の中への憎悪へと変わる心境は彼女の行動で読み取るしかない。「芒種」とはイネや麦など芒(のぎ)を持つ穀物の種を蒔く時期のことを指すが、タイトルが活かされているラストは心が蝕まれるような衝撃を覚えた。

監督が子供の頃よく目にしたという北朝鮮からの脱北者を描く最新作「豆満江」への期待度も高まる。

<鑑賞> 韓国語字幕 2011/5/10

チャン・リュ監督プロフィール
 1962年、中国吉林省で在中3世として生まれる。延辺大学にて中国文学を専攻し、卒業後は同大学で教職に就くものの天安門事件のために解雇される。作家活動の後に、2001年に短編「11歳」で映画監督デビュー。2004年に長編「唐詩」を、2005年に長編第2作「キムチを売る女」、その後「風と砂の女」「イリ(裡里)」「豆満江」を発表。

[サイト内タグ検索] チャン・リュ監督
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248. 愛おしきソナ <2009/韓=日> ★★★★

当ブログは制作国別に記事をカテゴリー分けしています。
本作は韓国制作ですが、内容により北朝鮮にカテゴライズしてます。
北朝鮮を描いたドキュメンタリー5本の記事を続けてアップしましたが、本作で最後にします。
8本観たけど、これ以上この国に触れていると頭おかしくなりそう。
心に余裕ができたら残りの記事アップするかも、しないかも。

sona.jpg
愛おしきソナ/Sona, the Other Myself
2009/82min/韓国=日本
ドキュメンタリー
監督/脚本/撮影:ヤン・ヨンヒ(梁 英姫)
IMDb評価:8.3/10

4月2日(土)よりポレポレ東中野、
4月23日(土)よりK's cinemaほか全国順次公開
公式ページはこちら

戦後の日本、メディアは北朝鮮は"地上の楽園"と讃えた。当時、在日朝鮮人に対する民族差別が酷く、就業っも困難であったことから、1959年から84年にかけて北朝鮮への"帰国事業"を行った。まだ見ぬ地へ希望を抱き、“地上の楽園”に渡った在日朝鮮人は9万人以上だという。社会主義国であり、一定水準の生活レベルと就業を約束し、当時はソ連の援助もあり、韓国や日本より裕福だと信じられていたが、現実はそう甘くはなかった。今もなお日朝間は国交が結ばれていないので、一度入国してしまうと、日本への再入国はほとんど不可能である。彼らは一体どんな生活を送っているのだろうか?

監督は、1970年代、韓国人両親の元、大阪で生まれた。6歳の時に、兄3人は帰国事業で北朝鮮へと渡った。幼かった監督と両親は大阪に残った。修学旅行で訪朝したことをきっかけに兄たちと連絡を取るようになり、10年以上平壌の生活を記録し続けてきた。前作「ディア・ピョンヤン」(未見)は兄3人を北朝鮮に送ってしまったことを後悔する朝鮮総連の幹部だった父と、監督との和解を主軸に描いているが、北朝鮮や拉致への批判を含んでいたため、以降入国を禁止されてしまっている。本作は前作で撮り溜めしておいた120時間の映像を再構成したものだという。姪のソナちゃんを中心したドキュメンタリーとなっている。

sona2.jpg本作の兄家族は平壌のマンションに住んでいる。住居地を自由に選択する権利がない北朝鮮において、平壌に住めるのは特権階級の模範家族だけである。しかし、それでも生活は苦しく、日本の両親からの仕送りをアテにしているという。1日2時間のみという水道制限、いつ停電になるかわからない電力事情。言動や思想の自由もない。

印象的だったのが、ソナちゃんが「カメラ止めて」と言ったことである。カメラを止めて監督である伯母に聞きたかったことは、アメリカのミュージカルのことであった。ここは、韓国のラジオを聴いただけで刑務所に入れられてしまう国。海外文化に触れることを禁止している北朝鮮で、そういった発言を映像に残すことが家族へも危険を及ぼすであろうことを子供でも知っているのである。

日本人からみると、かなりの不便を虐げられているように見えるが、家族は慎ましいながらも幸せそうで笑顔が絶えない。家族の絆が強いのである。韓国映画「クロッシング」でも、物質的豊かさだけを求めるのが必ずしも幸せだとは限らないことが描かれている。“地上の楽園”とまではいかなくても、“住めば都”なのだろう。電力不足と騒がれる今、不自由なく育った日本人も何が幸せなのか考える時なのかもしれない。

sona1.jpg監督は、もしあの時兄たちと北朝鮮に来ていたら…という思いでソナちゃんに自分を重ねて見てしまうという。金正日への忠誠を讃える歌を完璧に歌いこなすソナちゃん。お遊戯会のようなものを日本のテレビでもたまに見るが、完璧すぎて子供らしさがないとさえ思う。間違えたら刑罰があるから仕方ないことではあるが。
北朝鮮の進学は日本のような偏差値だけではなく、将軍様への忠誠心が大きく問われるという。日本のように自由に受験できるわけではなく、進学先も職種も政治的に教師たちによって決められてしまう。金日成総合大学という北での名門大学に合格したというソナちゃんは間違いなく、朝鮮総連の幹部で、模範的な朝鮮人だった祖父のDNAをしっかり受け継いでいる。
日本人からすれば、たかがミュージカルの話をするためにソナちゃんがカメラをストップさせたことを考えると、映像に収まっている発言も全てが本音ではないのだろう。家族を犠牲にしてまで本音をカメラに向かって話すわけがない。

日本と北朝鮮の両生活を経験している父親を持つソナちゃん。二つのアイデンティティーの狭間で大人になったらどんな価値観を持つのだろうか。ソナちゃんの話す言葉に朝鮮訛りがないのが少し気になった。

北朝鮮を描いたドキュメンタリーを8本続けて観たが、本作は明らかに異なった仕上がりになっている。唯一自由があり、選任ガイドなしで自由に歩き回ることが許されたのもヤン監督だけなのだろう。信ぴょう性があり、満足度は高い。家族に対しては温かい監督だが、北朝鮮に対しては終始批判的な眼差しなのがひしひしと伝わってくるのである。監督が入国禁止になるのも無理はない内容なのかもしれないが、もう観れないのかと思うと残念。

<鑑賞> 韓国版 2011/5/4
[タグ未指定]
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(未) North Korea: A Day in the Life <2004/オランダ> ★★★

当ブログは制作国別に記事をカテゴリー分けしています。
本作はオランダ制作ですが、内容により北朝鮮にカテゴライズしてます。
このまま見続けると私まで洗脳されそう…。北朝鮮関連記事あと一つで止めます。

a day
Noord-Korea: Een dag uit het leven/North Korea: A Day in the Life
2004/50min/オランダ
ドキュメンタリー
監督:Pieter Fleury
言語:朝鮮語
IMDb評価:7.3/10


タイトルの通り、北朝鮮でのある一日を追うドキュメンタリー。
一般家庭の母親とその子供が対象となっている。
興味深いのが子供の教育であった。


母親は子供を幼稚園に連れて行く道中、アメリカを非難中傷する歌詞の歌を歌う。まだ意味もわからない歳だろうが、子どもにも同じように歌わせ、歌詞を頭に叩き込んでいる。幼稚園で先生は子供たちに絵を見せながら“金正日のヒーロー話”をしてくれる。内容は、ある寒い冬の日。金正日は長靴を履いていたが、長靴を持っていない友人を気遣い、家に戻り友人と同じようなスニーカーに履き替えた。なんと素晴らしいお方なのでしょう…という話。他のドキュメンタリーでもこの話を子供に読み聞かせていたのを観たことがあるが、北朝鮮では基礎教育なのかもしれない。本作に限らず、アメリカを中傷する発言をよく耳にするのも、やはり幼少時代から植え付けられているからだとわかる。

母親は洋裁工場で働いている。日本でいうラジオ体操を皆でやり士気を高め、金正日を讃える歌を聞きながら一日500着(全員で)という目標のコートを縫う。平壌でも日常的に停電が起こっていることはどのドキュメンタリーでも必ずでてくるが、ミシン掛けの最中に停電が起こり、仕事の手は一斉に止まる。おそらく彼女たちはミシン掛け以外に能力がないのだろう。他に仕事を見つけて手伝うようなことはせず、談話やゲームを始める女性たちもいる。一方、いつどのタイミングで停電が起こるかわからないため、マネージャーたちは停電による影響を回避するために自家発電の導入を検討し始める。日本の現状を考えると他人事でもないが、北朝鮮の場合、停電は慢性的なことで今更?と思ってしまう。効率の悪い従業員をしっかり教育させるほうが先決のような気がする。

ヒョンスンの放課後」と同様、特定の人物を追いかけ、彼ら、ないし家族のインタビューを含めているが、本作のほうが客観的である。外国人の視点で描かれているが、制作側のナレーションはなく、称賛もしなければ批判もしない。しかし、明らかに外国人が見ておかしいと思う実態ばかりが抽出されており、無言で批判しているとも取れる。検閲で通るための限界の落とし所なのだろう。しかし監督は本作以外、北朝鮮関連のドキュメンタリーを撮っていない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/8
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ヒョンスンの放課後 (原題:A State of Mind) <2004/UK> ★

当ブログは制作国別に記事をカテゴリー分けしています。
本作はイギリス制作ですが、内容により北朝鮮にカテゴライズしてます。
あと数作品、北朝鮮関連記事が続く予定です。でも、ちょっと飽きてきた。

mind.jpgヒョンスンの放課後/A State of Mind/韓国:어떤 나라
2004/95min/UK
ドキュメンタリー
監督/脚本:ダニエル・ゴードン
音楽:バーナビー・テイラー
撮影:ニック・ベネット
編集:ピーター・ハッドン
言語:英語、朝鮮語
IMDb評価:7.8/10


北朝鮮と聞けば誰もが思い浮かべるマスゲーム。 金正日にご披露するためだけに練習を重ねている。ルーマニアのチャウシェスク政権やティトーのユーゴスラヴィアといった社会主義国によって行われていたものがマスゲームの先駆とされている。本作は2003年平壌で行われたマスゲームに参加した少女2人を追ったドキュメンタリーであり、日本では2006年に公開されている。


同じく北朝鮮を舞台にした前作「奇蹟のイレブン(2002年BBC製作)」で高評価を得、制作チームは外国人としては異例の無期限特別撮影許可を得ている。北朝鮮お墨付きの監督たちによる制作というのが最大のポイント。北朝鮮の本性をよく知り、報道基準をわきまえ、北朝鮮が海外に向けて何を発信したいのかがよ~くわかる作品に仕上がっている。イギリス人の視点ではなく、北朝鮮の立場に立ち、発信力のあるイギリスBBCが北朝鮮のために代弁しているだけの作品である。この作品を高く評価している人には事情を考慮した上で再評価していただきたい。

mind1.jpgマスゲームの練習風景は和気あいあいとし、同好会のような雰囲気。1人の些細なミスが全体の足を引っ張ると説明されているが、本番での些細なミスは抹消を意味すると聞いたことがある。そんな緊張感は一切見せようとしない。記念式典で披露する選抜メンバーに選ばれるかどうか、少女たちの不安な様子もあったが、選抜に関する映像もない。主題であるマスゲームの全貌のような内容を期待していたが、深く掘り下げることはなく、むしろ少女の生活環境に重きを置いている。
週末は家族みんなで金日成花、金正日花を見に展覧会へ足を運び、戦争博物館で戦争に触れ、金日成の誕生日は祝日で一年で最も重要とされ、地方へ家族旅行へ出かけ感謝の歌を歌う。金正日の誕生日、独立記念日は祝日で家族団欒。マスゲームでの披露は金一家への感謝の意だと言わんばかりに、どこへ行っても何をするにも金一家に関することばかりで、「ウリ アボジ(私たちのお父さん)」と呼んでいる。
この国では、市民が外国人と接することを禁じている。お墨付きの制作チームなので例外もあり得るかもしれないが、いずれにしても出演者は“政府によって選ばれた”模範的な家族であることは間違いないであろう。
“将軍様が理想とする平壌の家族像”というタイトルにしたほうがよかったように思う。

市民の生活を密着しているにも関わらず、彼女たちの背後に見える光景の多くは、ブロンズ像やご立派な施設で、「Welcome to North Korea」でオランダ人監督たちが案内された場所と同じであった。溢れる人たち、老人の姿もある。「Welcome~」撮影時と3~4年の差なのに、同じ国とは思えないほど活気に満ち溢れた街になっている。少女自宅の食卓には食べきれないほどのおかずが並び、果物は高級品とされているが、林檎を丸かじりなんて贅沢ぶりである。偽造ぶりには呆れるほどである。

しかし、マスゲームのレベルの高さだけは本物だろう。細切れにはなっているが、いろんなパターンのマスゲームが見れ、どれも圧巻である。数万人を動員し、金日成の誕生や朝鮮建国、反アメリカといった歴史をテーマにしており、通して見てみたいとさえ思わせる。

原題「A State of Mind」は“精神状態”や“心情”といった意。韓題「어떤 나라」は“ある国”。
同じ民族でありながら、第3者的な韓題が個人的にはツボ。
どちらも皮肉を込めた言い方に聞こえるが、邦題にはほんぼのとした印象を感じる。

<鑑賞> 2011/5/7
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(未) Welcome to North Korea <2001/オランダ> ★★★

当ブログは制作国別に記事をカテゴリー分けしています。
本作はオランダ制作ですが、内容により北朝鮮にカテゴライズしてます。
しばらく北朝鮮関連記事が続く予定です。

Noord-Korea/Welcome to North Korea
2001/50min/オランダ
ドキュメンタリー
監督:Raymond Feddema、Peter Tetteroo
言語:英語、韓国語
IMDb評価:7.8/10

オランダ人監督による北朝鮮ドキュメンタリー。厳格な監視の元、撮影を許可されたという。外国人観光客はガイドなしでは街を自由に歩き回れないということを聞いたことがあるが、外国人と話をすることも目を合わせることも禁じられているこの国では、“外国人と話しをすることが許されている”ガイドがご丁寧に案内してくれる。他の観光客と出くわさないように時間差でツアーが組まれているのか、38度線板門店以外で他の観光客の姿はない。

案内されるのは、35メートルもの金日成ブロンズ像、その他記念像、使用目的もなく建てられたように見えるご立派な施設、平壌唯一の図書館、大学での講義、学生の自習室、少女たちの踊りや歌のレッスン、記念式典で披露される少年たちの踊りの練習…
どこに行っても「金日成のご厚意のおかげで…」「金日成を讃えて…」という決まり文句で説明が始まり、全てが完璧で外国人観光客に見せしめるためだけに準備されている。ガイドも丸暗記した台詞しか言わない。粗相があれば罰せられるのであろう。

宿泊ホテルは45階建て2タワーだそうだが、宿泊客はたったの20人程度だろうという監督。ホテル内でも他の観光客とすれ違うことすらないと言う。
通行人のいない観光地、車窓から辛うじて見えた人々は同じ年齢層のみ、交通量のほとんどない交差点でエネルギッシュに手旗信号をする婦人警察、全てが不自然な光景である。年寄りや身体障害者は観光客が行かないような街の外に住まわされているか、外出禁止令が出ているのだろうと監督は示唆している。外国人の目に触れる人々は“選ばれた”人たちであり、庶民の日常は映らないように細工されているのである。

しかし、本作は単なる旅行記ではなく、離散家族の感動的な再会映像を挿入し、ドイツを引き合いに出していく。西洋的な見方でドイツと韓国・北朝鮮を比較し、南北統一の可能性について韓国側のインタビューも交えている。
「北と南の経済格差がなくならない限り統一はあり得ない」と韓国のある男性は語るが、離散家族のことを想うと胸が痛む。

本作の撮影は2001年である。1994年に金日成は亡くなり、長男の金正日が後継者となっていたが、未だに父 金日成を讃える声が大きい。10年後の今はどうなのだろうか。

<鑑賞> 2011/5/7
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金正日花 <2009/米=韓=仏> ★★

当ブログは制作国別に記事をカテゴリー分けしています。
本作はアメリカ制作ですが、内容により北朝鮮にカテゴライズしてます。
しばらく北朝鮮関連記事が続く予定です。

kim_20110507144039.jpg
金正日花/キムジョンギリア 
2009/75min/アメリカ=韓国=フランス
ドキュメンタリー
監督:N・C・ハイキン
IMDb評価:7.0/10



世界が好景気に沸く90年代初頭、北朝鮮を深刻な食糧危機が襲った。そして神のいない国で神のように崇められていた“首領様”キム・イルソンの死と、後継者キム・ジョンイルの世襲劇。その裏では、北朝鮮の人々は飢えに苦しめられ、またある者は理由なき“政治犯”として収容所に送られ、強制労働に駆り出されていた。本作は脱北者へのインタビューを中心に、ニュース映像や、北朝鮮政府のプロパガンダ映像も盛り込み、謎に包まれた国の実態に迫るドキュメンタリーである。@goo映画



kim1.jpgタイトルになっている“金正日花”とは花の名前である。愛、正義、平和、知恵を意味し、ベゴニアの品種改良で金正日46歳の誕生日に日本から贈られたそうだ。真っ赤で鮮やかなこの花とは裏腹にこの国の実態は謎に包まれている。

本作は、北朝鮮からの脱北に成功し、現在第3カ国で暮らす人々へのインタビューを中心としたドキュメンタリーである。脱北前の生活環境、脱北を決意させたきっかけ、その時の心境、脱北方法、今思う北朝鮮…が脱北者の口から述べられる。「外国の曲を自由に弾きたい」という些細な自由を求めて脱北を決意した者もいる。

少しでも上の命令に背けばすぐに処刑。犯罪者がいる家族は、3代先まで犯罪者とみなし収監。中国へ脱北し、取り押さえられると16歳~40歳であれば身売りされ性の奴隷。理由もなく政治犯とみなされ収監。
彼らは幼い頃から公開処刑を見せられ、恐怖心を植え付けられてきた。言動や思想は制限され、国営放送では将軍様を讃える番組ばかり。配給だけでは生活はままならないのに、食事の度に将軍様に感謝。25億円もの海外援助金もエリート官僚たちに分け与えられ、末端庶民への恩恵はない。

国民自らが立ちあがり独裁者を倒さなければ未来はないと語る脱北者たち。
外部との接触を遮断されている地方に暮らす人々は今もなお将軍様に洗脳されている。“井の中の蛙”な彼らが北朝鮮や将軍様の実態に気付く時は来るのだろうか。

本作はアメリカ制作であり、アメリカ人向けであると私は思う。日本人なら誰でも知っているような実態しか述べられていない。本作のためと思われる女性の踊りが無意味に挿入され、説得力に欠ける。ある番組で未公開作品として紹介されたことをきっかけに日本でDVD発売、劇場公開されたが、この程度かとがっかりさせられた。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/6
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(未) A Trip to Karabakh <2005/グルジア> ★★

a trip
Gaseirneba Karabaghshi /A Trip to Karabakh
2005/105min/グルジア共和国
アクション、アドベンチャー、ドラマ
監督:Levan Tutberidze
脚本:Irakli Solomonashvili、Aka Morchiladze
出演:Levan Doborjginidze、Mikheil Meskhi、Dato Iashvili
IMDb評価:7.6/10


ほとんど理解できなかったので簡単に。


グルジアの首都トビリシに住む青年2人は遥々ドラッグを買いに車を走らせたが、道に迷ってしまう。車を止めたら、武装集団に取り押さえられ、監禁されてしまう。そこはナゴルノ・カラバフ戦争(アルメニアとアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ自治州を巡る争い)真っ只中だった…。


スターリンの出身地である旧ソ連のグルジア共和国発の映画。本国のみならずロシアでもヒットしたようで「A Tri to Exit」というタイトルの続編もある。旧ソ連圏ではドラッグ絡みの話はまだまだ少ないし、評判の良さからかなり期待して観たが、正直、全く内容が理解できなかった。監禁されている間、父親や恋人との出来事が脳裏をよぎり、フラッシュバックとなっているため、時間軸が動きまくっている。切り替えがはっきりしておらず、混乱は避けられない。ドラッグの話も結局前半のほうだけで面白味にも欠ける。

辛うじてグルジア・アルメニア・アゼルバイジャンの位置関係はわかるが、ナゴルノ・カラバフ戦争と聞いてもピンとこない。国家関係の予備知識もあると楽しめたのかもしれない。
舞台はアルメニアとアゼルバイジャン、グルジアの軍事境界線で、それぞれの武装集団が登場する。問題はみんな同じ顔に見えてしまうこと。誰がグルジア人の主人公にとって見方なのか敵なのか見分けがつきにくい。台詞もロシア語、グルジア語、アルメニア語が使われており、聞き分けることも理解する上で重要だったように思う。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/5
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(未) Attenberg <2010/ギリシャ> ★★☆

attenberg.jpg
Attenberg
2010/95min/ギリシャ
ドラマ
監督/脚本/製作:アティーナ・レイチェル・トサンガリ(Athina Rachel Tsangari)
出演:アリアン・ラベド(Ariane Labed)、ヨルゴス・ランティモス(Giorgos Lanthimos)
IMDb評価:6.4/10


カンヌ国際映画祭「ある視点部門」受賞し、アカデミー賞外国語作品賞にノミネートされたギリシャ映画「Dogtooth (2009)」 でアソシエート・プロデューサーを務めたトサンガリの卒業制作作品以来の長編2作目。
2004年アテネオリンピック開会式などの映像監督の経歴を持つ。
Dogtooth (2009)」 のヨルゴス・ランティモス監督が本作では俳優として出演している。


***第67回ヴェネツィア国際映画祭***
金獅子賞: 「SOMEWHERE」- ソフィア・コッポラ
銀獅子賞(監督賞): アレックス・デ・ラ・イグレシア - 「Balada triste de trompeta」
ヴォルピ杯(男優賞): ヴィンセント・ギャロ - 「エッセンシャル・キリング
ヴォルピ杯(女優賞): アリアン・ラベド - 「Attenberg(本作)」
審査員特別賞: 「エッセンシャル・キリング」 - イエジー・スコリモフスキ
マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞): ミラ・クニス - 「ブラック・スワン
金オゼッラ賞(脚本賞): アレックス・デ・ラ・イグレシア - 「Balada triste de trompeta」
金オゼッラ賞(撮影賞): ミハイル・クリチマン - 「Овсянки」
*********************

attenberg1.jpg女性同士キスシーンから始まったかと思ったら、ツバをかけ合い、犬のように威嚇し始める。建築家の父に育てられているマリナは人間を奇妙に感じており、人と距離を置いた生活をしている。動物ドキュメンタリーや唯一の友であるベラから性について学んでいるという。冒頭のキスシーンはベラの性指導であったのである。
attenberg2.jpg



ベラと手をつなぎ動物の動きを真似たかのようなダンスをしたり、父親とベッドで動物のようにジャレあったり、動物ドキュメンタリーを教材にしているだけあって、マリナの行動は動物的で感情がない。裸のシーンが多いが、いやらしさはなく、女性や男性というより、オス・メスといった具合。マリナは動物のように本能のまま生きているということだろうか。男性より女性のほうが好きだと言いつつ、男性の体にも興味を持ち始め、自らのセクシュアリティに悩んでいるようでもあった。
人間とは?性とは?それが本作のテーマのようだが、ちょっとわかりにくい。ポスターの写真はマリナの背中である。腕を外したような状態が何を意味してるのかさっぱりわからない。

視点はユニークなんだけど、「Dogtooth (2009)」 と作風は似ていてオリジナリティーに欠ける。PCがフリーズしてしまったかと思うほどの沈黙が続いたり、誰も座っていない椅子を意味有りげに映したり、食事のシーンもないので生活感も全くない。人間があまり登場しないのが不自然にも見えるが、マリナが人と距離を置いた生活を送っていることの演出なのであろう。
Dogtooth (2009)」ほどぶっ飛んでるという印象はないが、海外版でも一か所モザイクが入っている。
マリナ役を演じたアリアン・ラベドは女優賞を受賞している。体当たりなレズシーンが評価されたのだろうか。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/4
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247. ロマンスグレー <1963/韓> ★★★☆

romance.jpg
로맨스그레이 /Romance Gray
1963/124min/モノクロ/韓国
コメディー、ドラマ
監督:シン・サンオク
出演:キム・スンホ、チェ・ウニ、チョ・ミリョン、キム・ヒガプ、シン・ヨンギュン、ハン・ウンジン


ロマンス・グレーとはロマンティック・グレーの和製英語であるが、韓国でも使われていたようでタイトルにもなっている。中年から初老男性の白髪混じりの男性を指す。
ムン・ヨソン監督にて1979年に同内容でリメイクされている。(未見)


romance1.jpg



そんなロマンスグレーの大学教授と社長の2人にはそれぞれ若い愛人がいる。その愛人たちは友人同士で一緒に暮らしている。愛人が家に来る時は片方は外出するといった配慮をしながら、愛人生活を楽しんでいる。面白いことに、社長の息子は教授の愛人と大学の同級生であり、夫人同士も知り合いといった関係。複雑な人間関係が巧妙に活かされている。

自分の愛人は1人暮らしをしていると思っていた大学教授と社長。密会場所である愛人の部屋で、鉢合わせなんてことも。愛人宅に他の男がいたらいくら不倫とはいえ普通なら修羅場となるだろうが、まずは愛人に直接事情を聞こうとする男性の紳士的な姿勢には好感。男性至上主義であった当時、愛人女性と対等な立場で描かれるのは珍しいのでは。とはいえ、不倫発覚後、夫人が友人たち数十人を引き連れ、愛人宅に乗り込むシーンは圧巻。

この時代に運転手付き、洋館に住み、レストランで洋食を楽しむといった優雅な生活。家では信頼も厚く、良き父である2人の家での過ごし方や家族との良好な関係は現在の韓国のホームドラマに通ずる。浮気現場を写真に収める、夫人には出張だと嘘をついて愛人宅へ行くといった今もなお変わらない行為は、50年も前の作品とは思えないほど違和感なく楽しめる。今となっては不倫映画は多くあるが、当時としては破格的であっただろう。シン・サンオク監督のコメディーは初めて観るが、らしく皮肉たっぷりにコミカルに描いている。不倫問題なのに、誰かを責めるような描き方もしていない。

シン・サンオク監督、当時の妻チェ・ウニは後に、そしてキム・スンウは以前に北に拉致されたという経験をしている。波乱万丈であっただろう彼らの人生を想像すると、こうやってお気楽な映画にも出演していることをうれしく思う。

<鑑賞> KMDbにて 2011/5/1
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246. 太陽のような少女 <1974/韓> ★★

taiyo2.jpg
太陽닮은似た女/太陽のような少女
1974/78min/韓国
ドラマ
監督:イ・マニ
出演:シン・ソンイル、ムン・スク「森浦(サンポ)へ行く道

あまり面白くなかったので、超簡単に。


大学浪人中のイニョンは友人たちと待ち合わせをしている海へ行く途中、旅費を盗まれてしまう。旅費を稼ごうと思いつき、まず乗ったタクシーの運転手ドンスと出会う。意気投合し、行動を共にするが、ドンスは犯罪者であった…。

太陽のように明るい少女目線で描かれるため、どんな困難も明るさで乗り切り、何もかもポジティブに描かれている。劇的な展開がないのがイ・マニ監督の作風なのかもしれないが、カラ元気にも見える行動に痛々しく感じてしまい、ハマれなかった。

少女役には監督の遺作「森浦(サンポ)へ行く道」と同女優ムン・スクを起用している。「森浦~」でもハツラツとした役であり、内容や作風も似ている。「森浦~」では社会のつまはじき者たちを主人公にしているが、本作は犯罪者を主人公とし、やはり監督の温かい眼差しを感じるが、退屈であった。

音楽の使い方や主人公女性のハツラツとした感じがアンジェイ・ワイダ監督「大理石の女」を彷彿とさせた。
500本以上の映画に出演している大御所シン・ソンイルの若かりし頃は噂通りハンサムで、他作品も観てみたいと思った。

<鑑賞> KMDbにて 2011/4/30
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245. 烈女門 <1962/韓> ★★★★

retsujyo1.jpg
烈女門/bound by Chastity Rule/The Red Gate
1962/101min/モノクロ/韓国 
ドラマ
監督/製作:シン・サンオク
出演:チェ・ウニハン・ウンジン
IMDb評価:7.7/10

シン・サンオク監督の代表作で、これまでフィルムが失われたとされてきたが、台湾で発見されて復元されたものである。同時代のものであり、やはり復元されたキム・ギヨン監督「高麗葬」に比べ、画質はかなり綺麗だった。主演は監督の元妻チェ・ウニが演じている。現在85歳でご健在である。
シン・サンオク監督やイム・グォンテク監督作品でお馴染みのハン・ウンジンは姑役を演じている。こちらも92歳でご健在。

舞台は1920年。ハンはキム家の長男の嫁として嫁いできたが、夫は子を残すことなくこの世を後にしてしまった。姑は40年間烈女として家庭を守り、玄関先には家門の名誉である烈女門が立っている。ハンは長男の嫁として、烈女門に恥じない様に生きなければならなかった…。

retsujyo2.jpg“烈女”とは節操を堅く守り、気性が激しい女。信義を堅く守る女のことである。夫と死別しても貞節を守ることが美徳とされ、そういう女性を讃えて立てた門を“烈女門”といい、日本の鳥居のような形の門である。本作はそんな門に翻弄され犠牲となり献身した女性の話である。

病気の夫を助けるために包丁で自らの指を切り落とし、夫に血を飲ませた嫁ハン。指のない女性が後の伏線となっているが、この時代には珍しくないという台詞もある。夫のために肉血をも差し出す行為を“烈行”というそうだ。鑑賞後に少し調べたら、死んだ夫と一緒に生き埋めや子育てが終わった後に後追い自殺した女性も少なくなかったという。本作でも亡き夫と一緒に嫁も生き埋めにすべきだったなんて台詞もでてくる。妻がそこまで献身するほど夫が素晴らしかったことの証明でもあり、家門の名誉、繁栄とされている。一方で、姑の献身によって烈女門が表彰されているキム家に嫁いだハンにとっては、抑圧的で犠牲そのものであった。部屋には“女不事二夫”という掛け軸がかけてあった。「女は二度夫を持つことはない」という意味である。好きな男性ができたこと自体、罪だと考えるハンは、その掛け軸を戒めとして生きていかなければならなかった。

今もなお韓国では“烈女”を題材にする映画やドラマは多いが、本作ほど烈女を中心にした作品を私は観たことがない。時代の流れと共に、否定的な考えを持つ世代も出てくる。儒教ならではの因習における女性の存在価値を問う本作は、烈女門への意義すら唱えているようにも感じた。自己犠牲となった女性の悲痛な叫びでもあった。

<鑑賞> KMDbにて 英語字幕 2011/4/30
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244. 森浦(サンポ)へ行く道 <1975/韓> ★★★

sampo1.jpg
森浦(サンポ)へ行く道/삼포 가는 길/The Way To Sampo
1975/100min/韓国
ドラマ
監督:イ・マニ(李晩煕)遺作
原作:ファン・ソギョン(黄皙暎)「森浦へ行く道」
脚本:ユ・ドンフン
撮影:キム・ドクチン
出演:ペク・イルソプ、キム・ジンギュ「下女(1960)」、ムン・スク
IMDb評価:6.2/10


“事情”を抱えた男女3人のロードムービー。
名匠イ・マニの遺作となった作品であり、70年代の傑作。
ヨンダル役は「下女(1960)」で家政婦と不倫をしていたキム・ジンギュが演じている。全く違う役柄で面影もない。



労働者のヨンダルは妻に自殺され、人生をやり直すために故郷である森浦(サンポ)を目指していた。道中、刑務所刑期を終えたチョンと飲み屋から逃げてきたホステスのペッカと出会い、旅を共にすることとなる。

出発点がどこで駅までどれほどの距離があったのかわからないのだが、数日かけ厳冬の中を徒歩で駅まで向かうのである。1975年の地方だと交通網がさほど発達していなかったのだろうか。親戚のフリをして葬儀に紛れ込み食事にありついたり、空家で夜を明かしたり、行き当たりばったりの道中、互いの境遇を打ち明けていくにつれ、心を通わせ、男女の情らしきものが芽生えていく。白銀の世界に映えるペッカの赤い服が印象的。ちなみに、ペッカとは白花という意味でもある。

3人の共通点は孤独であり、社会のつまはじき者である。支え合い、助け合いながら生きていくのが人間。劇的な展開はないが、おたがいの葛藤が生き生きと描かれ、生きていくことの厳しさへの温かい監督の眼差しが感じられる作品だった。

結末に触れています。ご自身の判断で読み進めてください。
チョンは、ヨンダルとペッカは一緒になるべきだと考えるようになっていた。ヨンダルも満更でもなかったようだが、今の境遇では男として女を養う自信がなかったのだろう。ナケナシの金を叩いてゆで卵を買い、ソウル行きの汽車に乗せる姿が切ない。しかし、ペッカは汽車に乗らず、ゆで卵を食べながら売春宿を眺めほほ笑む。嫌気がさして田舎を逃げ出したが、結局は元の世界戻るということだろう。一方、チョンとヨンダルはバスに乗るが、ヨルダンは仕事を見つけ途中下車し、チョンは1人で森浦へ向かう。森浦には立派な橋がかかり、観光地として繁栄していたことを知る。森浦にかかる橋は明るい未来への懸け橋でもあり、気持ちのいいエンディングであった。

<鑑賞> KMDbにて 2011/4/30
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