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マイ・マザー/青春の傷口 <2009/加> ★★★★★

キム・ギドク作品を一気に書き上げようと思っていたけど、精神的につらいので、ちょっと休憩。

killed.jpgJ'ai tué ma mère/I killed My Mother
2009/103min/カナダ
伝記、ドラマ
製作/監督/脚本/出演:グザヴィエ・ドラン(Xavier Dolan)
出演:アンヌ・ドルヴァル、フランソワ・アルノー、スザンヌ・クレマン、Manuel Tadros、ニール・シュナイダー
受賞:
2009カンヌ映画祭監督週間 SACD Prize、C.I.C.A.E. Award、Prix Regards Jeune
2010 アカデミー賞外国語映画賞カナダ代表
言語:フランス語
IMDb評価:7.3/10

哲学度 ★★★
社会度 ★★★
邦題のセンス なし
この邦題だと、ありがちな青春映画に思われがち。「母を殺した」のほうがインパクトがあっていい。

すっごい観たかった作品、シネフィルで放送してくれたことに感謝。永久保存版にします。

killed1.jpg16歳のユベールは母と二人暮らし。母のすることなすこと全てにイライラさせられている。彼女に対する愛情は人一倍あるものの、母親としては愛せず、悶々と過ごしていた。一方ユベールの母は、彼の同性の恋人の母から、息子たちが同性愛関係であることを聞き、衝撃を受ける…。@シネフィルイマジカ

17歳の時に書き上げた脚本を、弱冠21歳のドランが監督・製作・主演まで務めた半自伝的な作品。タイトルは「私は母親を殺した」という意で、ドキッとさせられるが、もちろん実際に殺したのではなく、「心の中で母の存在を消す」というニュアンスで使われている。母との関係に悩み苦しみ、衝突しながら成長する少年の姿を描いた愛憎劇。

母のことは愛してはいるが、憎い存在。食べ方も服のセンスも気に入らないし、いちいち口うるさい母に毎日イライラ。学校で両親の仕事のことを課題に出されるが、母と口も利きたくないユベールは“離婚した父とは会わないし、母は死にました”と嘘をついてしまう。母の存在を消すことで心の均衡を保とうとする。

素直になれず、自分の思い通りにならないもどかしさ。自分は大人だと思っていても、子ども扱いされる苛立ち。思春期特有の感情を繊細に描き込んでいる。両親の離婚が子どもにもたらす心理も鋭い。そして、息子との関係に悩む母親の葛藤もよく描かれている。親世代か子世代かによって観方も変わってきそうだが、私は母親になることを意識し始める世代でもあり、ちょうど双方の心理を興味深く観れた。

killed2.jpgルックスを見れば俳優を志すのは当然だと思うが、こんな完成度の高い映画を撮ってしまう才能には驚かされた。グザヴィエ・ドランは、同性愛者であることは以前から公表している。子どもの頃から、漠然と“変わった子ね”と片付けられるのを嫌っており、自分は人と何が“違う”のかをはっきりと自覚している。それは同性愛という観点だけではなく、自分の哲学としている。大人びた感性を持っていながら、自分の母親と恋人の母親を比較するあたりが子どもらしいとは思ったが、その“違い”を対比させるかのような描き方もうまい。母のことを“違いを理解する理性に欠けている。”と表現している台詞が印象的だったが、詩の引用・言葉の選び方・適格な表現力には知性が溢れている。いくつかのインタビューも観たが、かなり頭がよく、しっかりした考えや意見を持っている。卓越した自己分析力と観察力、そして表現力。完成度の高さは監督しての才能ではなく、1人の人間として完成しているから。痛みを経験したからこその成長が何よりもの強み。

芸術高校出身ということもあり、家のインテリアや数々の絵画のチョイスにも感性の豊かさがうかがえる。映像には直観の感性で撮ってしまったような思いっきりの良さがある。基本的な映画ロジックを無視したような自由な発想は若さだろうか。監督デビュー作品でいきなり長編を撮ってしまうのも若さがゆえだろう。これからが楽しみな方。
ちなみに、お父様はドラマを中心に活躍される俳優で、アパート管理人役として数分出演。

<鑑賞> シネフィルイマジカにて 久々の日本語の字幕に感動 2011/8/31
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73. ブレス <2007/韓> ★★★

最近はめっきりテンプレートのHTML編集はしていないのですが、左カラムが記事の最後に、右カラムが左側に来てしまっています。どうやらHomeだけが崩れてしまっているようです。原因不明なので、いっその事テンプレート変更させるべきか、編集頑張るか悩んでいます。少々お見苦しいですが、ご了承のほど。

原因となった記事を削除し、解決した模様。たぶん。

Breath.jpg
ブレス/Breath
2007/84min/韓国
ドラマ
監督/脚本/製作:キム・ギドク(監督14作目)
出演:チャン・チェンパク・チアハ・ジョンウ、カン・イニョン
IMDb評価:6.9/10


ゴア度 なし
社会度 ★★
哲学度 ★







breath1.jpg死を宣告されても自ら死のうとする死刑囚がいる
死を間近にしている死刑囚チャンジンは、鋭いキリで喉を刺して自殺しようとする。死を早めようとする彼の努力にもかかわらず、結局声を失っただけで再び刑務所に戻る。帰った場所で彼を待っていたのは、愛する若いチェス。しかしチャンジンが今生に残している未練は何もない。

何不自由ない人生で、行く場所を失った女がいる
何の不足もないヨンの人生は、夫の浮気が分ってから食い違い始める。偶然テレビで死刑囚チャンジンのニュースを見たヨンは、彼に妙な憐れみを感じて彼に会うために刑務所に向かう。幼い頃に経験した死の瞬間を死刑囚チャンジンに打明け、閉じていた心の扉を開けるが…
彼らが吸い込む息と吐き出す息は、それぞれの人生をどこに導くのか

ヨンはチャンジンのためにできることを探し、四季をプレゼントしようと決心する。死ぬこと以外は何もなかったチャンジンに、人生の温かみを吹き込むヨン。会い続けることで二人は単純な欲望以上の感情を抱くが、ヨンの夫は二人の関係に気づいて妨害し始める。…@innolife

breath2.jpg作曲家の夫と彫刻家の妻。夫婦愛は冷め切っており、2人を繋ぎ止めているのは娘一人の存在だけという脆い絆。夫の車の中で女性の髪どめを見つけ、ヨンの中で何かが崩れ始めた。
偶然テレビで観た死刑囚の自殺未遂の報道。死刑執行をただ待つだけの彼はこの世に未練はなく、何度も自らの“息”を断とうとしていたのである。自分の“孤独”と死刑囚の“孤独”を重ね合わせ、面会に足を運ぶヨン。夫の浮気を知り絶望的な女が自殺未遂を繰り返す死刑囚の男を求めるという、奇想天外な“愛”の物語。それはあまりにも息苦しい形であった。ギドク作品の中で最も抽象的だと思われる作品。

ヨンは死刑囚チャンジンの元恋人だと偽り、面会要請をする。会ったことすらない女性の面会を不信に思うチャンジンであったが、ある話を聞いて興味を抱くようになる。それはヨンが経験した9歳の時の5分間の死の体験であった。息が止まり、身体がふうっと浮かび上がるように軽くなった瞬間に感じる感覚が快感だと。“死”が引き合わせ、共に“息”をしようとする2人。チャンジンも彼女を生き甲斐にしようと“生”への渇望を見出すのであったが…。

核心、結末に触れていますが、面白さが半減するものだはありません。ご自身の判断で読み進めてください。
自殺未遂を繰り返す死刑囚に四季をプレゼントすることによって、“生”を実感させるための“息”を吹き込もうとするヨン。壁には四季を感じさせるポスターを貼り、小道具を持ち込み、歌をプレゼントする。春、夏、秋と届けるが、最後の面会時、冬を届けることはしなかった。そして、刑務所からの帰りの車中、夫と娘と冬の歌を一緒に歌った。冬を越し、じきこの夫婦には春が訪れることを、冬の歌が届けられなかった死刑囚チャン・ジンに春は訪れないことを示唆している。次の日はチャンジンの死刑執行日であった。

韓国人でないチャン・チェンをどう使うかに興味があったが、喉をつぶした役柄で、一言も発しないのも自然。見事な配役であり、目だけの表現は卓越している。ヨンに“息”を吹き込まれ、そのヨンに“息”を止められそうになった時のチャンジンの眼力は素晴らしかった。あんなにも死を求めた死刑囚が死を拒む矛盾は束の間の渇望を見出してしまった代償なのだろうか。あまりにも残酷である。

2人のエスカレートしていく行動を覗き続ける保安課長役は監督自ら演じている。顔ははっきり見えないが、画面に映っているのがはっきりとわかるのが薄気味悪い。何のために傍観しているのかが謎である。そして、「絶対の愛」以降、彫刻といったオブジェがやたら出てくる。監督の意図することは何なのか、何を投影しているのかが読み取れず、消化不良気味。

<鑑賞> 英語字幕2009/12/9、英語字幕2011/8/23

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16. 絶対の愛 (原題:時間) <2006/韓> ★★★★★

time_20110831205515.jpg시간/Time
2006/98min
ドラマ、ロマンス 
監督/脚本:キム・ギドク (監督13作目)
助監督:チャン・フン
出演:ソン・ヒョナハ・ジョンウ、パク・チヨン、キム・ソンミン、パク・チヨン、チョン・ギョウン
IMDb評価:7.2/10

助監督を務めるは「映画は映画だ」「義兄弟」の監督、チャン・フン氏。最新作「アリラン」で暴露された張本人である。「アリラン」鑑賞後に観ると感慨深いものがある。

ゴア度 ★(整形手術の映像がかなりグロテスク)
社会度 ★★★★
哲学度 ★★★★
邦題のセンス 最悪


time1.jpg長い時間を一緒にした恋人セヒとジヌ。セヒはジヌの愛が変わったことを感じ、その理由が自分がもう新しくないからだと考える。ジヌはそんな彼女の敏感な反応に疲れを感じる。傷ついたセヒはある日突然全ての跡を消したまま去り、果敢にも整形手術で新しい人間になろうとする。そしてある日、ジヌはセヒとよく行った行き付けカフェで自らを”セヒ”と紹介する妙な雰囲気のウェートレスに出会う。新しいセヒと愛に陷るジヌ、 セヒは彼を誘惑すると同時に彼が以前のセヒとの愛を忘れたのではないのかと試し、結局彼は以前のセヒを忘れることが出来なかった事を知る。しかし以前に戻る事は出来ない彼女は以前のセヒの写真で作った仮面をかぶって現われ、戻って来た自分を愛して欲しいと言って事実を告白する。驚いたジヌは席を蹴飛ばして去ってしまう。一人残されたセヒはジヌも新しい姿で自分の前に現われるはずだと知るようになる。@innolife

本作は世界有数の整形大国になってしまった韓国社会の現状を背景にしている。顔と体さえ新しくすれば倦怠期を乗り越えられると考えてしまったことが事の発端。時間とは絶対的な物であり、リセットできるわけではない。逆らえない時間の流れに対してどう成長していくかが人間に課せられた課題であるのに、整形によって時間を巻き戻そうとする世の女性たちの安易な考えを真っ向から批判している。見るに堪えられない整形手術の様子を前触れなしに冒頭でいきなり見せるところも監督らしい。セヒの「時間が怖い」という台詞にあるように、時間と共に色褪せていく愛を描いた作品。男女問わず抱えている悩みでもあり、永遠の課題であろう。皮肉たっぷりの描き方がたまらなく好き。もう何度観たかわからない。

time2.jpgセヒを演じるソン・ヒョナは、整形経験アリ(二重瞼と歯茎)。整形前か整形後かは不明だが、ミスコリアのタイトルまで手に入れたのに麻薬逮捕やヌード写真発表と何かとお騒がせな人。その後それなりにドラマ出演はあるが、どれも恵まれた役ではない。整形が全てを幸せにするわけではないことはご本人がおわかりのはず。自問自答を促されるような展開をどう感じているのか一度聞いてみたいものである。彼女のキャスティングには説得力がある。

一筋縄では終わらないのがキム・ギドク。新しい容姿を手に入れても失った代償はあまりにも大きい。整形そのものに意義を唱える結末は壮絶。ギドク作品はいつも両者の立場がきちんと描かれているが、本作では整形医師の立場までも描かれているところが面白い。「美」だけを追究し報酬を得る医師に対しても疑問を投げかけている。

原題は“時間”。“絶対の愛”を求めたがゆえのストーリー展開ではあるが、愛にばかり注目していると結末で混乱は避けられない。“時間”という鋭い着眼点に焦点を向けないと、監督の真意も見落としかねない。

<鑑賞>2009/10/30、2011/3、英語字幕2011/8/24
初版:2009/10/30
最新版:2011/8/28

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115. 受取人不明 <2002/韓> ★★★★★

unknown.jpg受取人不明/수취인불명/Address Unknown
2002/117min/韓国
ドラマ
脚本/監督:キム・ギドク (監督6作目)  
出演:ヤン・ドングン、パン・ミンジョン、キム・ヨンミン、チョ・ジェヒョン、パン・ウンジン、ミョン・ゲナム
受賞: 
2001 第2回 釜山映画評論家協会賞 助演男優賞
2001 第21回 映画評論家協会賞 新人男優賞、脚本賞
2002 第39回 大鐘賞/助演女優賞
IMDb評価:7.3/10

ゴア度 ★★★★
社会度 ★★★★
哲学度 ★★


unknown2.jpg黒人との混血児チャングクは,犬商人の仕事の手伝いをしながら,西洋人相手の娼婦だった母とたった二人で,村はずれの真っ赤なバスの中に暮らしている。
チャングクの母は,いつか米国にいる夫が自分たちを迎えに来てくれると信じて手紙を書くけれど,手紙はいつも受取人不明(Unknown Address)という真っ赤なスタンプが押されて戻ってくる。
幼い時,兄さんが射ったおもちゃ銃に当たって片方の目をなくしたウノクは,米軍病院で目の治療を受ける希望を抱いて,英語の勉強に熱中している。
村には,ウノクが好きな慎ましい少年チフム,ユギオ(6.25)勲章に執着するチフムの父,そしてチャングクを困らせる血も涙もない犬商人ケヌン(犬目)などが暮らしている。@innolife

1970年代、米軍部隊と隣接した田舎の村を舞台に、黒人混血児として差別を受ける青年と兄のいたずらで片目を失った少女、そして気が小さくいじめを受ける青年の3人の物語を中心にストーリーは展開していく。彼らの日常生活を通して、米軍基地、人種差別、6.25(ユギオ)戦争の傷跡など、韓国社会の闇における問題を浮き彫りにすると同時に、人々が社会に翻弄され、理不尽な運命に身を沈めていく様を描いている。両親の生き方を否定しながら翻弄されていく姿、アメリカを否定しながらも依存せざるを得ない状況など人間の矛盾に焦点を当てている。相変わらず奇抜な描き方をしており、観る者を選ぶが、着眼点はギドク作品の中で最も普遍的であり、最高傑作だと思っている。7割が実話を基にしているからか、かなり現実味を帯びている。3割の脚色部分も見分けがつかない。

unknown1.jpg海外での上映も視野に入っていたであろうに、韓国特有の食文化である犬をあっさり題材にしてしまうとは監督らしい。世代による犬に対する考え方の違いを映すことで時代の変化を演出している。犬を撲殺するシーンは叩く音や犬鳴き声、水たまりに滴る鮮血を見せるだけで直接描写はないが、ギドク監督らしい演出は見るに耐えられない。愛犬家の方にはかなりきついとは思うが、家畜だと思って割り切ってみるしかない。

若者3人を中心とした人間関係は複雑に絡まり合い、追い打ちをかけるかのような悲劇の連続は圧巻。緻密に計算された詰め込まれた脚本には脱帽。台詞はストレートだが、抽象的な描写も多い。伏線が多く、観る度に新発見があり、今回もハッとさせられた。“受取人不明”とは手紙のことだけではなく、自分を受け入れてくれる人がいないことも比喩している。観れば観るほど“受取人不明”の意味が深い。

ペットの犬と食用犬、弓と銃、韓国人とアメリカ人、支配する者と支配される者、アメリカに依存する若者と朝鮮戦争の栄光にすがる老人、母を殴れても犬を殺せない青年といじめで暴行される青年、朝鮮戦争で亡くなった夫の年金を頼りにする母と自分を捨てアメリカへ帰った夫を待つ母、そして、希望と絶望。対比するような描き方が面白い。
ギドク作品は、特定の小道具を効果的に使うことが多いが、本作では“受取人不明”のスタンプ、バス、弓の的、母の服、鮮血、そして「赤の家族」といった赤が印象的に使われている。おそらく“朝鮮”を象徴しているのだろう。混血児のチャングクがいじめっ子2人に対する台詞に「お前らみたいなアメリカかぶれがいるから韓国がダメになる。」という台詞の通り、朝鮮戦争やアメリカへの怒りや苛立ちが込められ、この悲劇は現代社会にもいまなお引き継がれていることを危惧している。彼らの生活なんか関係なく空を飛ぶ米軍機があまりにも切ない。

私の解釈にて結末に触れています。
死んだ息子チャングクを家に連れて帰る母。あたかも赤ん坊をあやすかのように抱きかかえているが、形や大きさから推測して、おそらく死んだ息子の頭部であろう。そして、直前に何かを食しているシーンがあった。ストーリーの流れから、食べていたのは息子の人肉と考えるのが妥当であろう。お腹を痛めて産んだ我が子を再びお腹に戻すことで“身元引受人”になったのだろうか。そして、その後焼身自殺をするのであった。

そして、最後の手紙。夫の知人からではあったが、結局受け取ることなく、真実を知ることなく死んでしまった母。結局、手紙は“受取人不明”になってしまった。

<鑑賞> 英語字幕2010/1/11、英語字幕2011/8/23
初版:2010/1/13
最新版:2011/8/25

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94. 春夏秋冬そして春 <2003/韓> ★★★★

春夏秋冬そして春봄 여름 가을 겨울 그리고 봄/Spring,Summer,Fall,Winter...And Spring
2003/106min/韓国
ドラマ
監督/脚本/出演:キム・ギドク
出演:オ・ヨンス、キム・ヨンミン、ソ・ジェギョン、ハ・ヨジン、パク・チア
制作費:10億ウォン
撮影場所:慶尚北道 青松郡 周王山国定公園 チュサン(注山)池
受賞:
2003 第24回 青龍映画賞 最優秀作品賞,技術賞
2003 第51回 サンセバスチャン国際映画祭 観客賞
2004 第41回 大鐘賞 最優秀作品賞
2003 第11回 春史羅雲奎映画芸術祭 制作賞,美術賞
2003 第56回 ロカルノ国際映画祭コンペティション
2004 第5回 スペイン ラスパルマス国際映画祭 国際コンペ部門 大賞,撮影賞
2003 アカデミー賞 外国語映画賞 韓国代表作品
IMDb評価:8.1/10(244位)





spring.jpg春...
業:いたずら好きの子供、殺生の業を始める。
万物が生成する春。森で捕まえた魚と蛙と蛇に石をぶら下げて困らせる意地悪ないたずらをし、天真爛漫な笑いを放つ子供。その姿を見守っていた老僧は、寝ついた子供の背中に石を縛っておく。眠りから覚めた子供が涙声で痛いと訴える。老僧は、過ちを戻せなければ、一生の業になることを悟らせる。
夏...
欲望:愛に目覚めた少年、執着を知るようになる。
子供が成長し、17歳の少年になった時。山寺に同い年の少女が療養しに入ってくる。少年の心に少女に向かう熱い愛がみなぎって、老僧も彼らの愛を感知する。少女が去った後、一層深まる愛の執着を振り切れない少年は、山寺を離れる。
spring2.jpg秋...
怒り:殺意を抱いた男、苦痛に陥る。
寺を離れた後、裏切った妻を殺して殺人犯になり、10数年ぶりに山寺に逃げてきた男。紅葉のように赤く燃え上がる怒りと苦痛に勝てず、仏像の前で自殺を試みた彼を殴りつける老僧。男は、老僧が木の床に書いてくれた般若心経を彫って心を静める。男が去った静かな山寺では、老僧が自らを荼毘に付す。
冬...
空っぽなこと:無意味さを感じる中年、内面の平和を求める。
中年の年齢となり、廃虚になった山寺へ戻った男。老僧の袈裟を集め、氷の仏像を作り、冬の山寺で心身を修練して内面の平和を求める毎日を送る。寺を訪れた名前の分からない女が幼い子供を残して去る。
そして春...
新しい人生の四季が始まる。
老人になった男は、いつのまにか育った童子僧と共に、山寺の平和な春の日を過ごしている。童子僧は、あの春の日の子供のように、魚と蛙と蛇の口の中に石ころを入れるいたずらをして明るい笑いを放っている。@innolife

spring1.jpg舞台は雄大な大自然に囲まれた湖上に浮かぶお寺。お寺は風によって湖上を移動している。陸へ上がる際は、凍結する冬以外はボートを漕いで行く。自然の四季を通し、この寺で生きる人間の生から死に至るまでの過程を心で見て感じる作品。監督他作の人間の暗部をえぐるような作風ではなく、全ての善悪を受け入れる包容力のような温かさが感じられ、歩んできた人生が長いほど身に沁みる部分が多いと思われる。

文明社会から隔離されたこの寺は周囲の風景に溶け込んでおり、ここに生きる人間とはちっぽっけな存在で、自然の中で生かされているという印象を受ける。
キリスト教徒でもあるキム・ギドク監督は他作でも仏教的な小道具をよく使うが、宗教問わず仏教的思想は人間の生き方に通ずるものがある。各季節ごとに教訓があり、悟りにも近い穏やかさがある。心が洗われ、精神が鎮まる感覚に陥る。キム・ギドク作品でここまで癒された作品はない。挿入歌には「アリラン」が使われている。苦痛や哀しみが込められた歌声と新作「アリラン」に込めた監督の思いが重なり、感動が込み上げてきた。

他作品で感じるような嫌悪感や不快感はほとんどないが、顔に貼った「閉」の紙やスカーフでの顔の隠し方、など、キム・ギドク監督らしい奇抜なセンスは光っている。ファンとしては監督自ら削る氷のオブジェも見逃せないが、浮かぶお寺だけではなく、床一面に書かれた般若心経や装飾品、陸の入口でもある門も興味深い。

春夏秋冬そして春。輪廻のような繰り返し。人間の人生もまた繰り返される。歩んできた人生、これから歩もうとする人生についてもう一度考えてみたくなった。

<鑑賞> 字幕なし2009/12/24、英語字幕2011/8/19
初版:2009/12/30
最新版:2011/8/20

[サイト内タグ検索] キム・ギドク監督 パク・チア
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14. ビューティフル <2008/韓> ★★★★★

キム・ギドク製作最新作「豊山犬」、監督最新作「アリラン」を鑑賞し、気分はすっかりキム・ギドク。 勢いに乗って過去の作品も観直し中。興奮冷め止まないうち記事書き直す予定なので、しばらくギドク関連作品が続くと思います。

beautiful.jpg
美しい/아름답다/Beautiful
2007/87min
ドラマ
原案:キム・ギドク
脚本/監督:チョン・ジェホン(長編デビュー作)
出演:チャ・スヨン「ノーボーイズ、ノークライ」「オガムド」「ヨガ学院
    イ・チョニ「ハミング」「10億」 
    チェ・ミョンスセブンデイズ」「10億」 「人を探します
映画祭:
2008 第58回 ベルリン国際映画祭 パノラマ部門 招待作品
2008 第22回 福岡アジア映画祭2008 上映作品
IMDb評価:6.6/10





beautiful1.jpg美しいが、幸せでないウニョン(チャ・スヨン)。どこへ行ってもついてくる男たちの負担になる視線と、女たちの嫉妬と誤解が彼女を孤独にしている。
ある日、彼女のストーカーの1人ソンミン(キム・ミンス)から、背筋も凍るような強姦に遭い、彼から衝撃的な言葉を聞いてしまう。「あなたがとても美しいので、そうしました」衝撃を克服することができないウニョンは、全ての不幸は、自分が持った美しさのためだと考えるようになる。そして、その不幸を呪いながら、破滅の道を進むようになる。そんな彼女をせつない目で見守る一人の男ウンチョル(イ・チョニ)は、彼女の周りをウロウロし始める。@innolife

本作が長編デビュー作となるチョン・ジェホン監督は韓国美術界の巨匠キム・フンス画伯の外孫で、幼い頃に美術を学び、高校時代には声楽を専攻、その後経営学を学び、映画の演出を志すようになったという特異な履歴の持ち主。キム・ギドク監督作品「絶対の愛」「ブレス」の演出部を経て、キム・ギドク師団の中では初めてキム・ギドクフィルムで監督デビューをした。

ウニョンは誰もが羨む美貌の持ち主だが、女性からの嫉妬は強く、孤独な人生はあまりにも惨め。ストーカー被害の末、処女まで奪われてしまったウニョンだが、犯人との対面の際の言い草は「君が美しすぎて…」だった。そんなウニョンを影で支える警官までウニョンの魅了にハマってしまい、ついに欲望を抑えきれなくなってしまう…。

beautiful2.jpg何度観ても強烈で、大好きな作品。怒涛のごとく押し寄せるラスト10分の衝撃は何度観ても度肝を抜かれる。
キム・ギドク原案らしく容姿至上主義を痛烈に皮肉る内容、しかしながら、キム・ギドク原案としてはわかりやすくストレートな描き方。とはいえ、究極の愛の結末は評価が分かれるであろう作品。

キム・ギドク監督作品同様、強姦シーンがよく出てくる。無条件に嫌悪感を抱く女性は多いはず。しかしながら、ギドク作品の良い点としては、強姦という事件だけを描くのではなく、犯す立場と犯される立場両者の心理を客観的に捉えているところにある。犯され身も心もボロボロになっていく女性と同時に、良心の呵責に苦しみ警察に自首するストーカーや理性を抑えようともがき苦しむ警官の心理までも描き込んでいる。犯された女性だけが必ずしも被害者ではないという側面も見えてくる。

整形によって手に入れた美貌なのか生まれもったものなのかは言及されてはいないが、彼女が気になるのは周囲の視線だけであり、内面を磨こうとするわけでもない。外見ばかりに気をとられるのは、内面からの輝きがないからだということにも気がつかない。男性に見られることが快感だったウニョンだが、強姦を境に「醜くさえなれば…」と極端なまでに過食や拒食に走る。そして、男の幻想に悩まされ、精神が病んでいく様をほぼ無名だったチャ・スヨンが見事に演じている。その後数々の作品に出演しているが、本作ほどの熱演は見られない。

芸術家出身のキム・ギドク監督は細かい美術品一つ一つにも抜かりないが、本作は、よく言えばスタイリッシュだが、どこか冷たいという印象は否めない。最新作「豊山犬」でも同じ印象を受けた。本作に関してはその冷やかさが、恐怖心を更に引き立てるという幸いしていい方向に作用している。
キム・ギドクは数枚のシナリオだけを渡し、監督が脚本を作り上げたと言う。どこまでがキム・ギドクの案で、どこからが監督の案なのか境目がわからないほど、師匠の独特な世界観を貫いている。もしかしたら監督なりに色を付け加えた部分がストレートで観やすさの要因となっているのかもしれない。

<鑑賞> 2009/10/30、英語字幕 2011/8/19

初版:2009/11/1
最新版:2011/8/21


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(未) The Scouting Book for Boys <2009/UK> ★★★★

scouting.jpg
The Scouting Book for Boys
2009/93min/UK
ドラマ、スリラー
監督:Tom Harper(監督デビュー作)
脚本:Jack Thorne
出演:トーマス・ターグースホリデイ・グレインジャー(Holliday Grainger)、レイフ・スポール(Rafe Spall)、スーザン・リンチ(Susan Lynch)
IMDb評価:6.7/10


衝撃度 ★★★
映像美 ★★
嫌悪感 ★★




scouting1.jpgキャラバンに住むデビッドとエミリーは幼馴染で仲の良い兄妹のような関係。ある日、エミリーは離婚している父親と住むためにこの地を離れることになってしまった。ここを離れたくないエミリーは海岸の洞窟に身を隠すことを思いつき、デビッドも手を貸すことになるが、事態は思わぬ方向へ…。

2006年にBAFTA映画賞の短編部門で大賞受賞以降、主にTVドラマで経験を積んだ方で本作が監督デビュー作になる。俳優のトム・ハーパーとは異なる。主役は私のお気に入りの「This is England」のトーマス・ターグース。デビッド演じるトーマス・ターグースも、エミリー演じるホリデイ・グレインジャーも童顔で設定年齢より実年齢が上なので、難しい年頃を熱演。本作の監督、脚本コンビはドラマ版「This is England'86」にも参加されている。

scouting2.jpg幼馴染の2人は恋人に間違いられるほどいつも一緒にいる。エミリーは平気でデビッドの前で下着姿にはなるし、異性として意識していないのに対し、デビッドはエミリーに恋心を寄せ始めている。前半は10代の性の目覚めを描いているようなよくある青春映画のようなストーリー展開だが、中盤から問題が絡み合い全く予想のつかない展開になっていく。

この地を離れたくないエミリーが思い付いたことは、人目の付かない洞窟に身を隠すこと。物事の是非がまだわからない子どもの衝動的な行動って時にはとんでもないことがある。

両親は2日間戻ってこない娘を心配して、警察へ捜索願を提出し、いつもつるんでいるデビッドは必然と詳しい情報提供を求められる。その上、地元テレビまで失踪事件を嗅ぎつけ、デビッドはテレビにも出演する羽目になる。洞窟に雲隠れしているエミリーは事の重大さに気付くわけもなく、ワガママ言い邦題。デビッドだって状況がヤバくなっていくのはわかってはいるが、エミリーのそばにいたい一心で、着替えや食糧をせっせと運び、海で釣りをしたり至れり尽くせり。しかし、エミリーはデビッドにも秘密にしていたことがあり、知ったデビッドは動揺を隠せない。

一向に解決の目処が立たないことに腹を立てた母親の警察への暴行、町中に貼られた失踪写真、町をあげての捜索活動。もう一歩も後に引けない状況で、板挟みになっている苦しい立場のデビッドの心境が謎に満ちていて、心拍数も高まる展開になっていく。理解に苦しむ結末ではあったが、10代の衝動や不安がよく描かれている作品だった。

結末に触れています。
エミリーは母親の恋人の子どもを妊娠していた。その事実を知ったデビッドはエミリーの足を岩でつぶしてしまう。おそらくエミリーに裏切られたと思ったのであろう。自分の過ちに気付いた時にはエミリーは死んでおり、死体は海へと沈めてしまった。さすがに嫌悪感の残る結末だが、10代の衝動的な行動として解釈。

<鑑賞> エミリーの訛りがひどくて聞き取り50% 2011/8/8

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(未) Jane Eyre <2011/UK> ★★

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Jane Eyre
2010/120min/UK=アメリカ
ドラマ
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ「闇の列車、光の旅(2009)」
原作:シャーロット・ブロンテ(Charlotte Bronte )
脚本:モイラ・ブッフィーニ(Moira Buffini)
出演:ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダーホリデイ・グレインジャーサリー・ホーキンスクレイグ・ロバーツ
IMDb評価:7.7/10








Jane1.jpg主人公ジェーン・エアは孤児となり、叔母のリード夫人とその子供達から虐待されて育つ。ある日ジェーンは教育施設ローウッドに送られ、そこで優しいテンプル先生やヘレン・バーンズと出会う。ヘレンを通して初めて忍耐と信仰心を知ったが、そのヘレンは学校内の伝染病にかかり死亡する。
生徒として6年間、教師として2年間ローウッドで過ごした後、ジェーンはソーンフィールド邸で家庭教師として雇われる。そこの当主・ロチェスターに結婚を申し込まれるが、結婚式の際に狂人の妻の存在が判明し、衝撃を受けたジェーンは一人黙ってソーンフィールドを出る。路頭に迷い、行き倒れになりかけたところを牧師セント・ジョンに助けられ、その家へ身を寄せることになる。しばらくしてジョンがジェーンの従兄であることが判明する。1年ほどそこで過ごすが、セント・ジョンに妻としてインドへ同行することを求められ、ジェーンの心は揺れ動く。しかし、ジョンの求婚を受けようとしたときに、ジェーンはロチェスターの自分を呼ぶ声を聞き、家を出た。
その後ロチェスターのもとを訪ね、ジェーンは昨秋の火事でロチェスター夫人が亡くなり、ロチェスター自身も片腕を失った上盲目になったことを知る。ロチェスターと結婚することを自ら誓ったジェーンはそのもとを離れず、二人は静かに結婚式を挙げた。@Wikipedia

jane2.jpg本を読むのが大嫌いなのが原因だとは思うが、私は文学映画や古典劇が大の苦手。「ジェーン・エア」ももちろん読んだことはないが、おおまかなストーリーぐらいは知っている。このあまりにも有名で、何度も映画されている話をフクナガ監督がどう描くかだけに興味があって鑑賞。前作「闇の列車、光の旅(2009)」のような独自性で、古典の枠を破ってくれそうな淡い期待を寄せていた。

決して美人ではなかったといわれているジェーン役がいい。このミア・ワシコウスカという女優さん、いつ見ても幸が薄い感じであか抜けなくて、田舎臭いってず~っと思っていたので、この地味な風貌は私が抱く役柄のイメージにぴったり。のどかな田園風景や衣装、美術品も雰囲気があってすごくいい。退屈になりがちな古典劇だが、テンポのある展開もいい。
しかしながら、あまりにも原作通りの直球ストレートな展開で先が読めてしまう。当時の社会常識から逸脱する女性の生き方を主軸にした作品だが、もっとヒネリを加えて現代風にしたらよかったように思う。古典劇を忠実に再現したといえばそれまでだが、独自性はおろか、リメイクする意味もわからない。脚色を控えていても決して退屈する作品ではないが、私の趣向には合わず。

<鑑賞> 2011/8/6
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【短編】 Plastic Bag <2009/米> ★★★★

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Plastic Bag
2009/18min/アメリカ
短編、ドラマ
監督/脚本:ラミン・バーラニ(Ramin Bahrani)
撮影:マイケル・シモンズ(Michael Simmonds)
声の出演:Werner Herzog
IMDb評価:8.0/10

社会度 ★★★
映像美 ★★★★

移民3部作「Man Push Cart(2005)」「Chop Shop(2007)」「グッバイ・ソロ(2008)」のあとに発表された短編。撮影は3部作を担当したマイケル・シモンズが担当。「Project Nim(2011)」という人間に育てられたチンパンジーのドキュメンタリー映画の撮影を担当された方でもあり、個人的に今注目している。

bag1.jpgスーパー等でもらうレジ袋。家へ持ち帰った後は、中に氷を入れて捻挫した足を冷やすのに使う人もいれば、犬の汚物入れに使ったりと買い物の後の使い道は人それぞれ。そこらへんに適当に放り投げられたものは風に流されるまま宙を舞い、木や排水溝に引っ掛かったり。自然界に還元されることなく袋としての役目を終える悲しい運命。
レジ袋の視点で描いた旅路と共に考えさせられるエコ。レジ袋から見た人間の無頓着で関心のなさを鋭く突いた作品。

最近、日本ではレジ袋をもらわない代わりにポイント還元や数円引いてくれるサービスをしてるスーパーもあるけど、国によっては全く配布していないところもある。フィンランドにいた時、国民1人1人の環境問題に関する意識の高さに関心しっぱなしだったけど、日本にいると、ついつい意識は薄らいでしまう。そんな自分をちょっと反省。

<鑑賞> 2011/8/11

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グッバイ・ソロ <2008/米> ★★★★

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Goodbye Solo
2008/94min/アメリカ
ドラマ
監督/脚本:ラミン・バーラニ(Ramin Bahrani)
撮影:マイケル・シモンズ(Michael Simmonds)
出演:スレイマン・スイ・サバネ、レッド・ウエスト、ディアナ・フランコ・ガリンド、カルメン・レイバ
受賞:2008年ヴェネチア映画祭国際批評家連盟賞
IMDb評価:7.4/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
映像美 ★★★




solo1.jpgアメリカ、ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム。セネガル人ソロは、メキシコ人で妊娠中の妻キエラと9歳になるおませな義理の娘アレックスと3人暮らし。家族により良い生活をさせようと、航空機の客室乗務員になることを目標に、タクシードライバーとして生計を立てている。
ある夜ソロは、乗客である老いた白人ウィリアムに、2週間のあいだに山の近くまで連れて行くよう依頼される。ウィリアムの計画を悟ったソロは、彼をどうにか思いとどまらせようと考える。そんな中、客室乗務員の夢を妻に反対され家を出て、ウィリアムのモーテルに転がり込んだソロとウィリアムの間には、徐々に友情が芽生えてゆく。約束の日、山に向かうソロとアレックスとウィリアム。ソロはウイリアムを思いとどまらせる事ができるのか…?@シネフィルイマジカ                                              

イラン系アメリカ人の監督で、移民三部作を発表。本作は3作目。全て海外映画祭で受賞しており、インディペンデント映画界を担う存在として注目をあびている。日本での公開作はない。ソロを演じたスレイマン・スイ・サバネは元パイロットという経歴をお持ちの方。レッド・ウエストはエルビス・プレスリーの親友として知られているようで、彼と共にドラマや映画出演し、楽曲も提供している。

solo2.jpg家族のために夢に向かって生きている男性と自らの意思で人生の幕を閉じようとしている老人の話である。夢に向かう男の話はありふれているし、人種や世代、境遇の垣根を越えた友情が芽生える話もそう珍しい話ではない。心を閉ざしてしまっている老人の心をどう溶かすか、そして老人が匂わす“自殺”をどう引き止めるかがテーマである。

個人的にはソロのような人の私生活に踏み込んでくるタイプは好きではないが、それがソロの優しさであることが十分に伝わる好感の持てるキャラクター。自殺を思い留まらせるのに説教じみたものはなく、決して偽善者でもなく、家に招き家族を紹介したり、お気に入れの場所へ案内したりして友情の芽生える課程はごくごく自然。シンプルで静かなストーリーだが、特に終盤の展開運びが素晴らしい。霧が立ち込め、朝日が差し込む映像のキレイさも感慨深い。一般受けする内容ではないため誰にでもオススメできる作品ではないが、自殺により家族や知人を失った経験のある人は私のように求めていた答えを得られるかもしれない。

<鑑賞> 2011/8/11
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【短編】 Muta <2011/アルゼンチン> ★★★★

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Muta
2011/7min/アルゼンチン=イタリア
ドラマ、ファンタジー
監督/脚本:ルクレシア・マルテル(Lucrecia Martel)
出演:María Alche

才能溢れる多彩な女性映画監督たちとコラボレーションし、“ラブアフェア”を表現するMIU MIUのショートフィルムプロジェクト「女性たちの物語」。第一弾では、ゾエ・カサヴェテスを監督に招き、『パウダールーム(The Powder Room)』を発表。第二弾として発表されたのが、「顔のない女」のアルゼンチンのルクレシア・マルテル監督の「MUTA」。興味ある方は公式ページでどうぞ。動画サイトにもアップされてます。ファッション界では話題になっていますが、ショートムービーだからか映画ファンの間ではあまり聞きませんね。

「Mute(静寂)」と「Transfomation(変容)」の意味をもつ造語で、コンセプトは“女性のもつ変容する力”
舞台は熱帯の海に停泊した船の船上。メスのサナギという設定のキレイな女性たちはMIU MIUの高級ドレスに身を包み、巣をイメージした窓から次々と巣立っていく様子を描いている。

監督独自の視点で描かれた映像はミステリアスで、変貌を成し遂げた女性のみなぎるパワーは私が抱くMIU MIUのイメージそのもの。美しい女性たちの顔が隠されている演出は、顔を覗きたいという衝動が掻き立てられると同時に、衣装のセンスの良さが際立って見える。私はPRADAがあまり好きではないので、MIU MIUもあまり興味がないブランドでしたが、MIU MIUワールドを堪能。

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ハンガー <2008/アイルランド> ★★★★★

1日1本ペースで観ていると、どうでもよかった内容はほんとにあっという間に消えてしまい、いい作品だけしか記憶に残らない。普段このブログを読んでくださっている方はお気付きかと思いますが、私は娯楽大作系の商業映画はほとんど観ません。観るとしたら語学勉強のためだったり、俳優目当てといった理由の時だけ。
解釈や評価は人それぞれで、私が思う“いい作品”とは、考えさせられる内容であることと、何か強烈なインパクトを残してくれるかどうか。本作はおよそ1年前に観て以来、いろんなシーンがず~っと脳裏にこびりついている。この1年間300本前後の作品を観ているけど、本作以上の強烈な衝撃を感じた作品には出会えていない。ここ2、3年で観た中でもベスト作品。今回、観直しても感想は変わらない。再見につき、記事大幅修正しました。

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Hunger
2008/96分/アイルランド
伝記、ドラマ
監督/脚本:スティーブ・マックィーン(映画監督デビュー作品)
出演:マイケル・ファスベンダー、スチュアート・グラハム
受賞:2008年 カンヌ映画祭 ゴールデンカメラ他32受賞、17ノミネート
IMDb評価:7.6/10


待望の2作目「Shame」は再度マイケル・ファスベンダーを主演に迎えている。セックス中毒の話らしい。イギリスでは今秋、アメリカは2012年公開予定。本作は映画祭上映したキリ、配給がつかなかったので、次作も無理でしょう。新作には期待しても、日本公開には期待せず。楽しみで仕方がない。



hunger2_20110813140520.jpgタイトル「ハンガー」とはハンガー(飢餓)・ストライキ(Hunger strike)のことである。
非暴力抵抗運動の方法の一つであり、何らかの主張を世間に広く訴えるために行うストライキの一種。
北アイルランドをイギリスから分離し、アイルランドへの併合を求める組織アイルランド共和国暫定派(PIRA)の囚人達が1977年から政治犯ではなく、テロリストとして扱われた事に対し、メイズ刑務所内では撤回要求する動きが起きた。
制限されている収容所の中で彼らが取った手段とは、“ブランケット・プロテスト(犯罪者ではないので、囚人服着用を拒否し、毛布だけで過ごし、政治犯であることを主張する手段)”、“ダーティ・プロテスト(房内の壁を糞尿で塗りたくること)”、そして、“ハンガー・ストライキ”であった。1981年にPIRAの1人ボビー・サンズが刑務所内でハンガー・ストライキという飢餓による非暴力抵抗運動を行い、66日間の抵抗の末27歳で餓死した。死に至るまでの歴史的事実の6カ月間を描いている。

監督はアーティスト出身のアフリカ系イギリス人。絵画展をひらくほどの実力の持ち主で、その後戦争カメラマンとしてイランへ出向き、戦死した兵士の顔写真を切手にするプロジェクトで一気に注目を浴びる存在となった。本作が監督デビュー作となる。この事件に実際に関わった人たちに会い、脚本を練り上げたという。多くを語らず台詞は徹底的に排除され、映像の力で魅せていく描写はシンプルでストレートだが、ディテールまでにも拘りを感じる。ピンと張りつめた空気は一時も緩むことなく、息をするのも忘れるほどの緊張感と、説得力のある演技は刺激が強いが目を背けずに観て欲しい。

hunger3_20110813170135.jpg出勤前の看守の朝の風景から始まる。キレイにアイロンのかかった服の着方、食事の仕方、手の洗い方から彼が神経質で几帳面な性格であるということがわかる。手の甲は傷だらけのため、水が沁みる。毎度のことで沁みるのをわかっていながら気を引き締めるかのようにしばし手を水につける。そして、玄関を出ると近所に不審者がいないことを確認し、車の下まで念入りにチェックする。いくら神経質な性格でも普通は車の下までは見ないだろう。淡々と描いているが、冒頭から緊張感が漂い、彼の尋常ではない行動から、看守たちと囚人たちとの関係の悪さや、非人道的な暴行が行われているであろうことは容易に想像がつく。

“ノーウォッシュ・プロテクト”をしている囚人を部屋から引きづり出し、拳で顔を殴り押さえつけながら神や髭を切り、体を硬いブラシで洗い、肛門検査の際抵抗した者に対しては棒でたたきつけたりと、前半は容赦ない看守の暴行と決して思想を崩さない囚人たちの戦いが次々と映し出される。それと同時に、看守は拳からは血が滲み、水に手をつけては、しみる痛みを噛み締め、1人外で煙草を吸いながら考え込む。暴行の様子が見るに耐えられず、壁の向こうで泣き出す機動隊もいる。本作の素晴らしい点の一つしては、誰かを批判することなく、囚人、看守、政治といった様々な局面から歴史的事実を見つめている点である。

hunger_20110813140520.jpg“There's no such things as political violence, political murder ... ”
サッチャーの実際のスピーチやラジオ放送が引用されている。 囚人たちの要求はただ一つ。自分たちは犯罪者のテロリストではなく政治犯だということ。
見所の一つでもあるのが、中盤のボビーと神父が語り合うシーンである。アングルを変えず1カットで延々と17分。 唯一、まともな台詞があるシーンでもある。ボビーは“ポリティカル”を認めない英国政府に対する主張として“ハンガー・ストライキ”を実行することを神父に伝え、彼の思想や信念が語られる。
神とは?自由とは?死とは?
揺るぎない彼の思想や主張が社会にどれほどの影響を及ぼしたかも垣間見れた気がした。

そして、“ハンガー・ストライキ”は唐突に始まる。数十人が行ったとされるが、ボビーの様子だけが映し出される。日に日にやせ衰え、骨と皮だけが残り、体中に残る床ずれからは血が滲みが痛々しい。演じたマイケル・ファスベンダーは医師管理のもと過酷なダイエットを行ったというが、全く面影がないほどの激痩せぶり。作品としてこれ以上の説得力はない。意識が朦朧とし、目を開ける力すら失っている中で、母を見つめ何を思ったのか。心情は想像するしかない。死に向かう彼をじっと見守ることしかできない母の心痛は計り知れない。

<鑑賞> 2010/7、2011/8/13英語字幕

初版:2010/7/31
最新版:2011/8/13

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エクスプローディング・ガール <2009/アメリカ> ★★★

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The Exploding Girl
2009/79min/アメリカ
ドラマ
製作/監督/脚本/編集:ブラッドリー・ラスト・グレイ
製作/編集:キム・ソヨン「彷徨の日々」「木のない山
出演: ゾーイ・カザン、マーク・レンドール、マリヤン・ウルバーノ
IMDb評価:6.4/10









exploding1.jpg大学が夏休みに入り、アイヴィーはニューヨークの実家に帰省する。幼なじみのアルもアイヴィーの家に身を寄せることになった。アイヴィーは彼氏のグレッグに電話をかけるがなかなか繋がらず、留守電にメッセージを残すことが多い。アルとパーティーにいったり散歩に行ったり過ごしていても、楽しめる気分になれない。そして、ある日グレッグに思いもよらないことを告げられる…。

余談だが、映画サイトにて「ソルト(Salt)」の監督と紹介されているものだから、アンジェリーナ・ジョリーの「ソルト」だと勘違いしている人があまりにも多いのが面白い。作風の比較をしているブロガ-さんも発見。本監督の「ソルト(Salt)」はアイスランド映画、日本未公開。

exploding2.jpgグレッグは一度も登場することなく、携帯で話す声だけ。その声はどこかよそよそしく、何か言いたそうでもどかしい。アイヴィーはその様子を感じており、不安を感じていた。幼なじみのアルには想いを寄せている子がいて、その子の相談にも気分が乗らない。
アイヴィーは癲癇に苦しみ、薬を常用。母親の手助けなしではお風呂にも入れない。いつ発作が起こるかわからず、更にグレッグのことで感情的にも常に揺れている。タイトルはいつエクスプローディング(爆発する)するか分からない肉体的にも精神的にも不安定な境遇であることを示唆している。

恋に悩む女子大生を主人公に据えておきながら、恋愛話を主軸にせず、孤独や不安といった普遍的な心理を描くスタイルは奥さまキム・ソヨン監督に通ずる。
友情が恋愛感情に変わっていくのに気が付いていながら、素直に告白することもできないもどかしさ。一歩前に踏み出すことへの躊躇。デビュー作「彷徨の日々」 の主人公の少女と共通の心理との葛藤を描いている。カメラはアイヴィーの行動を追い続け、奥さま作品のようなクローズアップが多いというより、隠し撮りのような映像になっている。自然体でありながら、ここまで感情表現の繊細なアメリカ映画は記憶にない。終盤、幸せの象徴であるハトが飛び立つシーンの美しさとラストシーンは今まで観た映画の中でも上位に入る素晴らしさ。欲を言うと、キャラクター全てが良い人すぎるということがちょっと不自然でもある。

<鑑賞> 2011/8/10
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150. 木のない山 <2009/韓> ★★★★

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木のない山 나무없는 상/Treeless Mountain
2009/89min/韓国
ドラマ 
監督/脚本/編集:キム・ソヨン 「彷徨の日々
製作/編集:ブラッドリー・ラスト・グレイ
出演:キム・ヒヨン、キム・ソンヒ
受賞:2009年 東京フィルメックス 審査員特別賞
IMDb評価:7.0/10


シネフィル・イマジカで放送されている。
ブラッドリー・ラスト・グレイ、キム・ソヨンご夫婦の共同制作2作目。1作目同様、少女たちのクローズアップが多く、ドキュメンタリー風になっており、大人への批判、子どもへの温かい眼差しが感じられる作品。この作品以降、アメリカを舞台にした作品になってしまい、少々残念。ぜひとも韓国人を主人公とした独自性の感じられる作品で力を発揮して欲しい。



treeless1.jpg6歳のチンと妹のピンの二人の姉妹は,お母さんと暮らしている。生計が苦しくなり,二人の子供を育てるのが難しくなったお母さんは,チンとピンを地方で暮らす叔母に預けて父を探しに出かける。しかし,叔母は,身世打令(自分の身の上について愚痴をこぼすこと)ばかりで,酒ばかり飲んで,二人の姉妹には無関心だ。お母さんがいなくなった日,チンとピンは,豚の貯金箱が満杯になればお母さんが戻ってくるという約束を信じて,イナゴを焼いては売り,大きいコインを小さいコインに変えていきながら,少しずつ貯金箱を満たしていく。貯金箱が満杯になった日,約束と違ってお母さんは戻ってくることはなく,しばらくして二人の姉妹は,田舎の祖母に預けられるようになる。みんなの荷物になるだけのチンとピン,この小さな少女たちの居場所はどこにあるのだろうか。

treeless3.jpg無力な子供二人が環境の変化と共に成長していく姿を描いている。
一番親や大人を必要としている時期なのに、子供を置いて姿を消す母親、子供を押しつけられて喧嘩をする親戚。
無責任な大人たちがいる一方で、自身の立場を悟ってしまった子供たちには、いたたまれない気持ちになると同時に適応能力の高さにも驚かされる。
身勝手な親、世間の冷たさ、生きることの辛さ。姉妹は現実の厳しさを肌身に染みるほど理解してしまっており、生きる術を探し始めるのである。

子どもばかりに焦点が当てられているが、身勝手な大人への批判的な監督の眼差しも伝わってくる。両親にとって子供とは一体何か。子は宝というが、それは恵まれた環境においてのことで、社会的弱者にとっては、大きな負担となっていることが悲しい。

タイトルの“木”とは両親、“山”とは家族を表わしているとのこと。すなわち、“両親のいない家族”である。
本作でいう山とは近所のバス停の前にあるごみ山のことであり、子どもでも簡単に登りきれる高さである。迎えに来てくれるかもしれない母親をひたすら待ち、裏切られ、2人で生きていくことを決意した山である。ごみ山に姉妹2人で立つシーンが何度かあるが、シーンごとに姉妹の表情は違う。素朴な子供二人の純粋な演技のみで成り立っており、それだけでも観る価値は十分ある。

<鑑賞> 2010/2/18

初版:2010/2/19
最新版:2011/8/10


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182. 彷徨の日々 <2007/韓> ★★★★

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彷徨の日々/방황의 날들/In Between Days
2007/80分/ドラマ/15歳以上
監督/脚本:キム・ソヨン(長編デビュー作)「木のない山
製作/脚本/編集:ブラッドリー・ラスト・グレイ(Bradley Rust Gray )
出演:キム・ジソン、カン・テグ 
受賞: 
2006 第32回 LA批評家協会賞 独立映画賞
2006 第22回 サンダンス映画祭 審査委員特別賞
2006 第56回 ベルリン国際映画祭 FIPRESCI賞 
言語:韓国語、英語
IMDb評価:5.9/10






between1.jpgエイミは、母と韓国からカナダに移住していくらも経たない。ろくに英語も話せず、学校にも馴染めない。彼女の唯一の友人は、同じく韓国からカナダに来て間もない同世代の青年トゥランだけだった。しかし、唯一言葉の通じるトゥランには友情以上の想いが芽生えるようになってきた…。

監督は12歳で家族と共にロスへ移住している。ご主人のブラッドリー・ラスト・グレイと4本の長編映画を共同制作をしている。本作がデビュー作であり、「木のない山」、旦那さん監督の「エクスプローディング・ガール」は日本では映画祭で上映されている。

新しい海外生活での少女の複雑な心理を描いた作品。目標を見失い流されていく様、夢と現実とのギャップ、絶望感、不安感、孤独、そして心の彷徨がリアルに描かれている。ご夫婦が手掛けた作品はどれも孤独や現実の厳しさをテーマにして、どれも興味深い。その中でも、監督自身の経験が投影されていると思われる本作が一番説得力があり、心に響く。

between.jpg子供の国際化教育なのか海外逃亡なのか、エイミーと母の移住の理由は述べられない。エイミーは英語もろくに話せず、授業にもついて行けず、いつも絵を描いて過ごしている。カナダ社会にもまったく溶け込めていない。自分から馴染もうとする気力もなく、全てのことを拒絶するかのようにいつもコートーのフードを被っている。そんな彼女が唯一心を許しているのは韓国人の男友達であった。自ずと友情は恋愛感情に変わっていくが、関係がこじれることを恐れ、素直に告白することもできない。そうこうしている間に、トゥランはアジア系の女友達と親しくなり、エイミーとトゥランの歯車は更に狂い始める。

母親ともうまくいっているようには見えない。学校のことなど初めは気に欠けていたが、徐々に薄れてきているのが見て取れる。新しい彼氏ができて、娘が悩みを抱え、学校を退学したことに気付くわけもない。

さほど裕福ではなく、移住の目的は娘の国際化教育ではなく、おそらく母親の身勝手であろう。海外移住に夢ふくらませていたのかもしれない。そんな夢見がちな母に付き合わされ、振り回されているエイミーは、雪道をコートのフードを被り、一度も笑顔を見せない。片意地を張り、涙すら見せない。男友達トゥランのことを「オッパ」と呼ぶこともなく、彼女自身が壁を作り微妙で曖昧な関係だったのかもしれない。クローズアップが多く、エイミーのやり場のない思いが胸に突き刺さる。

<鑑賞> 2010/5
初版:2010/5/15
最新版:2011/8/10


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(未) A Woman Goes To The Doctor <2010/オランダ> ★★★★

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Stricken
2009/105min/オランダ
ドラマ、ロマンス
監督:Reinout Oerlemans(監督デビュー作)
脚本:Gert Embrechts (screenplay), Kluun (novel)
出演:カリス・ファン・ハウテン、Barry Atsma、Anna Drijver
IMDb評価:6.6/10

官能度 ★★★★
哲学度 ★★★
映像美 ★★






stricken1.jpgスティンは一目惚れのカルマンをロマンティックなデートで口説き落とし、結婚までこぎつけた。子どもが産まれた後もそのロマンティックさは変わらなかったが、海外出張先ではクラブに通い、浮気癖は直っていなかった。そんな生活を続けていた矢先、妻の乳房に違和感を感じ病院に検査に行くと乳がんを宣告されてしまった。スティンは一緒に戦うと誓うが…。

女遊びが派手なだけあって、まぁ、みんな脱ぐわ脱ぐわ。(そもそも女性のヌードが出てこないオランダ映画は観たことないが)ベッドシーンもかなり大胆。局部がきちんと隠されているのは好印象。癌を題材にしているので勝手にシリアスな話かと思いきや、むしろ中盤までは官能ドラマ。
いくつかの章に分かれ、1章はスティンの派手な浮気も含めた2人の日常生活、2章は癌を宣告されたカルマンの心境、3章では夫スティンの心境、4章では再びカルマンに重きを置いている。癌の進行具合によって変わりゆく状況は後半になるにつれ見応えがある展開になり、結末には意表突かれた。

stricken2.jpg妻帯者でありながら浮気をする男性の肩を持つ気はさらさらないが、考えさせられたことは確かである。
妻を支えると決意しつつ、浮気癖が一向に直らないスティンだが、妻の癌(死)を一番恐れていたのはスティン自身であり、女性との情事に癒しを求めていたのである。ただの女好きだった彼だが、妻の癌発覚後は女性たちとの情事で気持ちをコントロールし、奮い立たせていたのが見て取れる。妻の前では気丈に振る舞うが、一時そばを離れると彼も弱いちっぽけな人間であった。つくづくこういう状況での男は弱いと感じてしまう。

全体を通してクラブで踊りまくるシーンが多いが、後半になるにつれ、心象映像のようにも見せている。もしかしたら、情事も心象映像だったのかもしれない。妻に心配かけまいとクラブでの楽しかった出来事を思い出し、気分を高めていたのだろうか。ジェットコースターのアップダウンのような起伏の変化の激しさをクラブのライトで表現するなど、観ていて疲れるが、死に向かう患者を抱えている精神的な疲労をよく投影している。それがものすごい重い。

結末に触れています。
妻カルマンがベッドで娘に手紙と箱を渡し、横でスティンが号泣。娘との最後のお別れであった。
妻の選択はなんと(まだ唯一かな?)オランダで合法化されている“安楽死”であった。自宅には既に親戚や友人が集まり、本人の心の準備が整い次第ホームドクターが手際良く施す姿は違和感を感じたが、やはり死に対しての概念が日本とは違う。特に宗教には触れていないが、それを踏まえた上で観ると本人の意思を尊重する家族や友人の姿には感動さえ覚える。

妻の死後、妻の結婚指輪を小指にはめ、娘にサーフィンを教えるラストシーンは初めて父親らしい姿であった。スティンにとって妻がどれだけ大きい存在だったのか。小指に託された決意が今度こそ本物であるといのだが。

<鑑賞> 英語字幕 2011/8/4
[サイト内タグ検索] 日本未公開
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密告の砦 <1965/ハンガリー> ★★★

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Szegénylegények/The Round-Up/The Hopeless Ones
1965/90min/モノクロ/ハンガリー
ドラマ、戦争
監督:ミクローシュ・ヤンチョー
脚本:ジュラ・ヘルナーディ
撮影:タマーシュ・ショムロー
美術:タマーシュ・バノヴィッチ
編集:ゾルタン・ファルカシェ
出演:ヤーノシュ・ゲルベ、ティボル・モルナール、アンドラーシュ・コザーク、ガーボル・アガールディ、ゾルタン・ラティノヴィッチ
受賞:1966年ハンガリー批評家選出最優秀映画賞、1967年度英国批評家協会優秀外国映画賞
IMDb評価:7.8/10



round1.jpgオーストリアとハンガリーの二重帝国治下に入って3年目の1869年。抗オーストリアゲリラ<絶望団>の残党たちは、1848年のオーストリアとの独立戦争での敗戦以来、首領のシャーンドルを中心にゲリラ活動を続けていた。残党に怯える政府は荒野の中に砦を建て、数百人のハンガリー農民を刈り込んだ。政府には誰が残党なのかわからないため、拷問や密告で残党を焙り出そうとする…。

実話の映画化作品。対オーストリアとの独立戦争に敗れ、権力支配下の犠牲になっていく姿を描いている。監督は御年90歳。本作は短編を含め35作品目、現在97作品。今でもコンスタントに撮られている。日本公開作は本作と「ハンガリアン狂詩曲(1979)」しかないとは何ということか。。。

台詞は極端なほどに削られ、はっきり言って説明不足である。検閲による削除なのか、ブツ切れと思える箇所がたくさんあり、繋がりがよくわからないことも多々。しかしながら、計算し尽くされたと思わせる構図の撮り方や、戦争映画とは思えないほどの静寂な雰囲気、一歩下がった監督の冷静な距離感がえらく気に入ってしまった。

round2.jpg老農婦の密告から始まり、密告に重点を置いている。首領シャーンドルは農民たちの英雄とされ、その英雄視を打破させるのが政府の狙いであった。政府は自由を引き換えに密告を推奨し、処刑を恐れ仲間を密告する者もいるが、むしろ、頑なに口を割らずに沈黙する姿のほうが印象に残っている。この極限の状況下で口を割らない者たちの心境を掘り下げて欲しかったが、感情移入させないのが監督のスタイル、ないし意図したことなのだろう。この辺がアンジェイ・ワイダとは異なる点でもある。あくまでも淡々と描かれている。密告し自由を手にしても、結局は殺されてしまう理不尽さは静寂だからこそ一層際立っている。

<鑑賞> 英語字幕 2011/8/6
[タグ未指定]
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ラップランド・オデッセイ <2010/フィンランド> ★★★

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Napapiirin sankarit
2010/92min/フィンランド=アイスランド=スウェーデン
コメディー、ドラマ、ロマンス
監督:ドメ・カルコスキ(Dome Karukoski)
脚本:ペコ・ペソネン
出演:ユッシ・バタネン、ヤスペル・ペーッコネン、ティモ・ラビカイネン、パメラ・トラ
IMDb評価:7.0/10


ブラック度 ★★
映像美 ★★
普遍度 ★★★

「フィンランド映画祭2011」にて上映


監督はキプロス共和国出身でフィンランドに移住した方。本作は長編4作目。2作目の「The Home of Dark Butterflies」はアカデミー賞外国語映画フィンランド代表に選出され、3作目の「禁断の果実」はフィンランド映画祭で上映されている。

lapland2.jpgラップランド出身のヤンヌはイナリという彼女と同棲している。タイタニックをテレビで放送するから家で一緒に観る約束をしていたが、ヤンヌは男友達との約束を優先し、帰ってこなかった。むしろ、その代わりにDVDを入手したと誇らしげ。イナリはそんな彼に嫌気がさし、地デジボックスを明朝までに手に入れなかったら家を出ていくと言い出し、荷づくりを始めてしまう。ヤンヌはイナリのために地デジボックスを入手し、イナリを引き止めることはできるのか…。

東京なら電器屋は深夜までやってるし、入手はさほど困難ではないが、フィンランドは冬季は夜の営業が禁じられているため夕方には閉店になってしまう。この国では入手困難な地デジボックスを探し求めるドタバタコメディーである。いつもつるんでいる友人2人を引き連れ、車で200km先の叔父が電器店を経営しているロバニエミまで向かう道中の出来事を面白おかしく描いている。フィンランド発といえど、カウリスマキとは作風は全く異なり、シニカルな笑いではなく大爆笑させられるシーンも多い。

lapland1.jpg路肩にはトナカイがいて、夜空にはオーロラが普通に見えるロケーションは最高。外国人に聞き慣れない地名や電機メーカー名が理解できれば楽しさは増したであろう。HDMIケーブルを巡った喧嘩も配線を自分でやったことのあるような人なら結構面白い。

結局はイナリも地デジボックスなんてどうでもよかったはず。うだつの上がらない彼氏が自分のためにどこまで尽くしてくれるかを知るべく課題を課したのである。ヤンヌにはそんな女心がわかるわけでもなく、イナリがなぜ急にそんなワガママを言い出したのか訳を考えるわけでもなく、とにかくボックスを入手しさすれば全てが解決していると思っている暢気さそのものには失笑。女性から見た男性の愚かな部分をうまく捉えている。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/18
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ドメ・カルコスキ監督
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バイオレンス・レイク (原題:Eden Lake) <2008/UK> ★★★

eden_20110802121119.jpg
Eden Lake
2008/91min/UK
ホラー、スリラー
監督/脚本:ジェームズ・ワトキンス(James Watkins)(監督デビュー作)
出演:ケリー・ライリー、マイケル・ファスベンダー、フィン・アトキンス、トーマス・ターグース
IMDb評価:6.9/10

ゴア度 ★★★★★
恐怖度 ★★★★★
嫌悪感 ★★★★★
邦題のセンス ★★

日本国内にてDVD発売してます。


eden1_20110802121119.jpgロマンティックな週末を森に囲まれた湖畔で過ごすジェニーとスティーブ。スティーブはジェニーにプロポーズをするつもりだった。湖畔にテントを張り、2人きりで過ごそうと思っていたが、近くに地元の不良たちが騒いでおり、プロポーズしたくてもなかなか言い出せない。ステレオの音を少し小さくして欲しいとお願いしに行ったところ、その一言が癇に障ったようで言い争いになってしまい、スティーブは少年たちの犬を殺してしまった。翌朝目を覚ますと、森に止めていた車が消えており、彼らの悪質なイタズラはエスカレートしていく。

プロポーズしたい相手を目の前に、正義感が働き過ぎてしまうスティーブ。ただただみっともない姿を見せたくなく、不良たちに果敢に挑んでいくが、イタズラはどんどんエスカレートし、2人では手に負えずカップルは森の中を逃げ回る羽目になる。相手は土地勘のある地元少年たち。逃げようにも常に先を越され、結局スティーブは捕まってしまう。それはゲームの序章に過ぎず、ここからゲームが始まるのであった…。

監督は脚本家出身であり、「ディセント2」を担当している。本作がデビュー作である。「This is England」で惚れ込んでしまったトーマス・ターグースが不良グループの一員を演じている。

eden2_20110802121119.jpgこれはほんとに怖い。怖いのは、不良たちは正気ではなく、常識が全く通用しないということだけだはなく、集団心理が最悪な方向へ働いていること。リーダー格の少年が全てを牛耳っており、何となく悪いことをしていることに気が付いている少年もいるが、みんなやってるからいいかといった思いや仲間外れにされたくない気持ちから、ついつい加担してしまっている。その集団心理を利用し、不良たちは殺人ゲームを始めるのであった。

スティーブを縛りつけ、リーダーの命令で1人1人がナイフでいろんなところを刺していく。女の子は一部始終を動画で撮る始末。すごいグロテスクで、冒している彼らでさえ直視できない。私だって何度目を背けたかわからない。そして、救いようのない結末で、気分は最悪。後味の悪さは今まで観た映画の中で最悪かもしれない。看板などの文字が反転しているのが気になったが、秩序の欠如を言わんとしていていたのなら、この結末にも頷ける。少々やり過ぎかとは思うが、緊張感の高さとスピード感は評価したい。決して緩めることなく、いろんな出来事が怒涛のように押し寄せ、かなり面白かった。

<鑑賞> 2011/4/3
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冬の旅 (原題:Uzak) <2002/トルコ> ★★★★

uzak.jpg
Distance
2002/110min/トルコ
ドラマ
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(Nuri Bilge Ceylan)
出演:ムザフェア・オズデミル、モハメット・エミン・トプラク
受賞:2002年 カンヌ映画祭 審査員賞、最優秀男優賞
IMDb評価:7.5/10

映像美 ★
余韻度 ★★★★
邦題のセンス なし

最新作「Once Upon a Time in Anatolia」はカンヌで見事グランプリ受賞。本作でもカンヌで審査員賞と最優秀主演男優賞を受賞している。
自伝的3部作の「カサバ~町」「五月の雲」に続く最終章となる。未だ日本での劇場公開作はない。本作はシネフィル・イマジカで放送されている。

uzak2.jpg中年男性のマフムトは広告写真家としてイスタンブールのアパートで1人暮らしをしている。そこへ、親戚のユスフが地方からやって来る。働いていた工場が閉鎖し、失業してしまったユセフは、マフムトの所に居候しながら職を探すという。そして、男2人の共同生活がスタートした…。

裸一巻でイスタンブールに住みつき生活を始めたマフムトはかつてカメラマンを志していた。厳しい現実を前に夢を諦め、広告用の写真を撮って生計を立てているが、やりたい仕事ではなく情熱を失ってしまっている。一方まだ20代のユセフは未だ依存心が抜けず、現実の厳しさもまだ知らず、浮ついた理想の中で生きている。全く生き方の異なる2人を対照的に見せながら、孤独という共通点が浮き彫りになっていく。ムフムトは強がって生きているように見えるが、離婚歴があり、元妻は新しい亭主と共にカナダへ移住すると聞き、絶望は頂点に達するであった。

uzak1.jpg生き方の違うユセフは次第にムフムトの苛立ちの対象となり、緊張感が増していく。ついに怒りを爆発させるが、その原因となるのはトイレの流し忘れだったり、部屋で煙草を吸ったことだったり、ほんの些細なこと。男2人の生活は地味で、人間関係も希薄。はっきり言って、何も起こらないに等しい。台詞も極端に少なく、表情や空気感から読み取る必要がある。抑制された演出や色使いにも男の孤独がよく表れている。

ムフムト役のムザフェル・オズデミルは建築家、ユスフ役のエミン・トプラクはセラミック工場の労働者であり、役者を本業ではないが、ヌリ監督作品には必ず出演していた2人。寡黙ながらも良い演技を見せてくれている。残念なことにユスフ役のモハメット・エミン・トプラクはトルコでの授賞式出席後に交通事故で亡くなっている(享年28歳)。カンヌでの受賞は死後であった。本作が遺作になってしまったことを残念に思う。

結末に触れています。
黙って去っていったユサフが置いて行った煙草を海岸で吸うマフムト。その表情は、追い出してしまったことを後悔し孤独を噛み締めているのか、1人の生活に戻れることを喜んでいるのか、元妻を思っているのかはわからない。
原題の意は「距離」。人間の距離感の難しさがじわりじわりと心に沁みるラストに自然と涙した。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/30
[タグ未指定]
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255. ソウル・コンパニオン 肉体の虜 (原題:買春) <1988/韓国> ★★

売春 메춘/Prostitution  Selling Body
1988/96min/韓国
成人映画
原作:ユン・イルン
監督:ユ・ジンソン  
出演:ナ・ヨンヒ、キム・ムニ、マ・フンシク、イ・ヒョンジュン

邦題のセンス ★
官能度 ★★★
韓流度 ★★

売春婦をしているナヨンは偶然幼馴染のムニと再会した。ムニも売春婦にまで落ちていてが、売春婦でもいいと言ってくれる恋人ヨンミンがいた。ムニは、ヨンミンが司法試験に合格するまで身の周りの世話をしようと売春宿を出て一緒に暮らすようになったが、試験に合格したヨンミンは…。

na.jpg原題もすごいけど、邦題もすごい。更にすごいのがVHSのパッケージ。完全にポルノ映画。刺激が強すぎるので画像アップするの止めました。日本ではVHSがでていて、レンタル落ちがネットに出回っています。80年代の作品なので、近年の性描写をウりにしている作品ほどの露出はなく、顔のアップや胸を横から映すぐらい。間違いなく男性には物足りないでしょう。しかしながらネチネチとした愛撫がものすごくイヤらしくて表情のアップが官能的。主演はなんとナ・ヨンヒ。昔は官能映画に出演していたのは知っていたが、まさか脱いでいたとは知らなかった。最近ではテレビ出演のほうが多く、衝撃はかなり大きい。

官能作品を得意とする監督さんで、代表作と言われているが、売春婦や家政婦を主人公とした韓国映画を多くご覧になっている方なら、容易に想像つく展開におさまっている。それなりに面白く観れたが、数日後には観たことすら忘れているような作品。もう少しインパクトのある結末にしたほうが見応えがあったように思えるが、官能映画ということなら、ストーリーにあれこれ要求するほうが間違っているのだろう。

結末に触れています。
ヨンミンは司法試験に合格するや否や家を飛び出していた。ムニは大家さんに婚約したと聞かされ、ショックで自殺を図ってしまう。幼馴染のナヨンはヨンミンの結婚式当日、ムニのお骨を持って怒鳴り込みに行き、結婚式をめちゃめちゃにする。ヨンミンは「肉体の虜」という副題をつけるほどムニにのめり込んでいたのなら、金と名誉のためにこんなにあっさり女を捨てられるものなのだろうか。

<鑑賞> KMDbにて8月無料配信 2011/8/5
[タグ未指定]
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サブマリン <2010/UK> ★★★

submarine.jpg
Submarine
2010/97min/UK
コメディ、青春
製作総指揮/出演:ベン・スティラー
監督/脚本:リチャード・アヨエイド(Richard Ayoade)(長編映画デビュー)
原作:ジョー・ダンソーン(Joe Dunthorne) 同名小説
音楽:アークティックモンキーズのアレックス・ターナー
出演:クレイグ・ロバーツノア・テイラーパディ・コンシダインサリー・ホーキンス、ヤスミン・ペイジ
IMDb評価:7.5/10


ブラック度 なし
爽快度 ★★★
映像美 ★★



16歳の誕生日までに彼女を作って童貞を喪失したいと夢見るオリバー。密かにお目当ての子もいる。しかし、それ以外にも悩み事がある。それは、両親が7か月もセックスをしていないということ。お母さんの前に現れた隣人のせいで、父親との関係は遠のくばかり。夫婦仲も無事戻り、童貞喪失できるのだろうか…。

小説のようにプロローグ、パート1、パート2、エピローグといった風に展開する。パート1は自身の恋愛事情について、パート2は両親や隣人などの大人の恋愛事情について。監督は、ミュージックビデオの監督でもありコメディアンでもあるので、かなりのユーモアのセンスを織り込み、ミュージックビデオ同様の独自な世界観を出している。音楽の使い方も見事。15歳の目線で、かなりのテンポの早さで面白おかしく描いている。製作はあのベン・スティラー。父親役にノア・テイラー、隣人役に私の大好きなパディ・コンシダインといった個性派が脇を固め、オリバーが心を寄せる女の子を演じるヤスミン・ペイジという女優さんもなかなかのキャラ。主役のCraig Roberts君は、「闇の列車、光の旅」のケイリー・フクナガ監督の新作「Jane Eyre」にも出演しており、人気がでそうな予感。

submarine1.jpgオリバーの身の周りで起こっていることってごくごく普通のこと。でもオリバーにとっては初めての経験ばかりでどれも一大事。両親の行動をチェックしてノートにつけたりと、オリバーの特技は観察力と分析。自身のデーターを基に、母の浮気を阻止すべく奮闘したり、両親の夫婦生活がうまく行くように灯りを調節したりと、彼なりに頑張ってはみるもの、なんだかいつも空回り。でも、こういう歯痒い経験って思春期には誰でもあったはず。そんな誰にでもある苦い思い出を笑い飛ばしてくれる爽快さはやはりコメディー出身の監督さんらしい。深い洞察力には驚かされる。

それに、オリバーの頭の中はいつも妄想でいっぱい。
自分が死んだらどういう葬儀になるか?あの子と付き合えたらどうなる?初夜はこうしようかな?両親が離婚したら自分はどうなる?考える暇なくテンポよく進んでしまうので、結局のところ、身の周りで起こっている出来事が妄想なのか現実なのかすごく曖昧。でもそんなのどうでもいい。いろんな出来事を通して、彼自身に成長が見られ、少しづつ大きくなっていくのがわかる。夢と愛が詰まっているこういう映画もたまにはいいよね。

<鑑賞> 字幕なし 理解度70% 2011/8/1
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(未) Good Work <1999/仏> ★★★★★

good work
Beau Travail/Good Work
ドラマ
1999/92min/フランス
監督/脚本:クレール・ドゥニ
撮影:アニエス・ゴダール(Agnes Godard)
出演:ドニ・ラヴァン、ミシェル・シュボールニコラ・デュヴォシェル
IMDb評価:7.0/10

緊張感 ★★★★★
映像美 ★★★★
哲学度 ★★★


good work2舞台はアフリカ、ジブチ。フランス外人部隊の教官が、新たに入隊してきた青年に対する感情を回想するだけの至ってシンプルな内容。教官の視点で描かれた愛憎劇には特筆するあらすじもなければ台詞もほとんどないのに、映像の魅せる力には驚愕。女性監督による軍隊映画というだけでも特異かもしれないが、それだけではなくオリジナリティーに溢れている。軍隊映画なのにむさ苦しさがなく清潔感があり、緊張感が張り詰め、監督の冷徹さが光る秀作。以前、苦手な監督さんだと言ったことを訂正したい。「White Material」と本作は完全に私好み。クレール・ドゥニ監督の出世作であり、代表作でもある本作が日本未公開とは何とも残念。

私の大好きなトルコ人歌手タルカン「Şımarık(邦題:Chu!Chu!は恋の合言葉)」の曲をバックに踊るクラブシーンから始まる。部隊員たちと現地の若い女性たちが軽快に踊り始めたかと思うと、視線は不意に青年の方に向けられる。その場に居合わせた教官は青年を目で追っているのである。

good work1黙々と淡々とこなされる訓練風景はあたかも軽快な音楽に合わせて体を動かしているかのようにリズミカルな動きで、冒頭のクラブシーンと同様な空気感になっている。教官の指示や怒鳴り声は一切排除され、その代わりにクラシック音楽が優雅に流れる。不釣り合いに感じる訓練とクラシックのコンビネーションの調和は一体何なのか。教官の感情越しの映像には圧倒される。ある青年の肉体を見据える教官の視線は同性愛的な感情なのか、それとも若さへの嫉妬なのか、おそらく教官本人もわかっていない。曖昧な感情である証拠に、町行く女性たちや関係を持った女性のショットが突発的に挿入される。頭の中で、青年と女性たちを天秤にかけているのである。

教官の理性によって絶妙に保たれた距離感が全体に張り詰めた緊張感を生み出している。教官の頭の中にある回想録が説明不足のまま唐突に断片的に繋げられ、全体像が見えそうになった瞬間、この緊張感が放たれる。胸の内に押し殺されていた感情が爆発するラストには驚嘆。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/13
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ゲストハウス狂騒曲 <1999/UK> ☆

guest.jpg
ゲストハウス狂騒曲/GUEST HOUSE PARADISO
コメディー、スリラー
1999/86min/UK
監督/脚本/出演:エイドリアン・エドモンドソン
出演:リック・メイヨール、ヴァンサン・カッセル、エレーヌ・マユー
IMDb評価:5.5/10

ブラック度 ★★★★★
お下劣度 ★★★★★


二度と観ない様に備忘録として。



guest2.jpgリチャードとエディはイギリス一最悪なホテルを経営している。原子力発電所のすぐ隣に立地している上、コック長はアル中の不法滞在外国人。更に、お客が嫌がることをするという悪趣味。お客は当然何も知らずに来るが、すぐに逃げ出してしまう。悪評は広まり、しばらくお客は来ていなかった。ところが、イタリアの人気女優が結婚が嫌で逃げ出し、このホテルへやって来た。さらに家族連れまで宿泊に来た…。

イギリスのコメディアン、エイドリアン・エドモンドソンとリック・メイヨールが手掛けたノンストップお下劣ブラックコメディー。ヴァンサン・カッセル見たさに鑑賞したが、こんなお下劣な最悪コメディーは初めて。経歴に傷がつくからこういうのには出演して欲しくない。

guest1.jpgあんまり褒めたくはないが、2人のおバカコンビが繰り広げる悪行のネタはかなり豊富で中盤まではかなり笑える。嘔吐を吹き散らかすシーンは直視できないけど。

隣接してる原発がストーリーに絡んでこなかったのがせめてもの救い。観た次の日に地震が起きて、今の原発ニュースを見る度に本作を思い出してしまう。

<鑑賞> 2011/3/10
[サイト内タグ検索] ヴァンサン・カッセル
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(未) Adrift <2009/ブラジル> ★★★★★

adrift.jpg
Adrift
2009/97min/ブラジル
ドラマ
監督:エイトール・ダリア(Heitor Dhalia)
出演:Laura Neiva、ヴァンサン・カッセル、カミーラ・ベル、Débora Bloch、カウアン・ヘイモンド
IMDb評価:6.8/10


映像美 ★★★
衝撃度 ★★
緊迫度 ★
哲学度 ★★★



adrift2.jpg80年代、14歳のフィリッパは家族5人(両親と子ども3人)で休暇をブラジルのサマーハウスで過ごしていた。友人たちと毎日ビーチで遊び、年頃の彼らの関心事は性のことばかり。誰それは初体験を済ませたとか、相手は誰だったとか、フィリッパも早く処女を喪失したいと願っていた。そんな時、父親が若い女性とキスしている所を偶然目撃してしまい、親子関係にもヒビが入り始める…。

日本では「尻に憑かれた男(2007)」(未見)のみがソフト化しているブラジル、エイトール・ダリア監督の長編3作目。ブラジルとフランスでのヒットにより、次作「Gone(2012)」はアマンダ・サイフリッドを主演にむかえたハリウッド作。大好きなヴァンサン・カッセル目当てで期待せず観たが、下半期に観た中で一番面白かった。一か月ぶりの5つ星。

フィリッパの視点で、前半は良好で理想的な家族関係が描かれる。しかし、子どもたちがいない所での夫婦仲は決して良くない。夫婦は一度は離婚を考えたが、子どもたちのためにやり直そうと精一杯取り繕っていたのである。よって、フィリッパの目には仲の良い姿しか映らない。そんな中、フィリッパは小説家の父の書斎で若い女性との親しげな写真を見つけてしまい、夜出かける父親の尾行をしてしまう。行った先は写真の女性の家であった。2人の熱いキスを目撃して以来、父親への不信感は募り始める。同時にうまく行きそうだったボーイフレンドともうまく行かなくなってしまう。

adrift1.jpg父親への不信感が募り始めると、両親の不仲も目につくようになり、フィリッパは父親の浮気が夫婦仲を裂いたと勝手に思い込むようになる。本作の良い点として、観客にもそう思わせるような演出がなされているということ。母親はアルコール依存症で父親の浮気が原因だと誰しもが思うだろう。しかしながら、フィリッパ同様、母親への同情心が向けられ始めた頃、どんでん返しが待っている。

多感な年頃のフィリッパは自暴自棄に走る。タイトル“漂流”の通り、彼女の心は当てもなく彷徨い続け、どこへ漂着するのか。全ての事実を受け入れ、一回り大きくなったと感じさせるラストには感動。

<鑑賞> 英語字幕 2011/8/2
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ヴァンサン・カッセル
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(未) Happy Thankyou More Please <2010/米> ★★★☆

happy_20110801180714.jpg
Happy Thankyou More Please
2010/100min/アメリカ
コメディ、ドラマ
監督/脚本/主演:ジョシュ・ラドナー(Josh Radnor)
出演:マリン・アッカーマン、ケイト・マーラ、リチャード・ジェンキンズ、ゾーイ・カザン、トニー・ヘイル
受賞:2010サンダンス映画祭 観客賞
IMDb評価:6.9/10


普遍度 ★★★★★






happy1_20110801180714.jpgNYに住む作家志望のサムは30歳を目前とし、自身の人生を見つめ直していたが、気楽な独身生活から抜け出せないでいた。出版社との打ち合わせに向かう途中の地下鉄で少年ラシーンに出会う。電車の中で家族とはぐれてしまったのかと思ったら、既に6つのフォスターハウスを転々としてきたことを知り、数日間だけ自分の家で預かることにした…。

私には珍しいHappyムービー。派手さはないけど、恋や人生に悩む私と同世代の(若者?)6人が等身大で描かれている。本作の良い点は、少年との奇妙な縁をきっかけに、全てがポジティブな方向へ向かっていくこと。人との出会いっていいなぁと感じささせてくれたトム・マッカーシー監督(「扉をたたく人」)のデビュー作「The Station Agent」と同じ香りがする良作。「ママと恋に落ちるまで」のジョシュ・ラドナーが初監督、脚本、そして主演をつとめている。

happy2_20110801180713.jpgサムは地下鉄で見つけた少年ラシーンのせいで、打ち合わせを不意にしてしまった。もしかしたら、人生を大きく変えるチャンスだったかもしれないのに、サムはラシーンを責めることなく優しく接する。しかし、このラシーンのお陰で気になっていた女性と急接近するチャンスを得て、いい方向へ事が運ぶようになる。サムを取り巻く人々も幸せを掴むきっかけが舞い込み始める。

登場するのは20代、30代の男女6人+地下鉄で会った子ども。仕事も恋愛もうまくいかない男、自分を想ってくれる男性を素直に受け入れられない女、妊娠を彼氏に告げられない女…どこにでもいる男女で、同世代以上の人ならきっと共感できるキャラクターがいるはず。私は自分が悩んでいる内容とも重なり、あっという間に感情移入してしまい、台詞の一言一言がグサグサと心に突き刺さってきた。

幸せになるチャンスってどこに転がっているかわからない。ひょっとしたら手の届く所にあるのに気付かないだけかもしれない(これはこないだ占い師さんに言われたことでもあったりする)。他人に無関心な現代人への警告にも感じた。未成年の子どもを勝手に預かってしまったことの是非は別として、些細なことがきっかけで風向きが変わるってこともある。
“Go get yourself loved”一歩前に踏み出す勇気が大事だって教えてもらえた気がした。

<鑑賞> 2011/7/31
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(未) The Curlew's Cry <1960/エジプト> ★★★☆

doaa.jpg
Doaa al-Karawan/The Curlew's Cry
ドラマ
1960/109min/エジプト
監督/脚本:ヘンリー・バラカート(Henry Barakat)
出演:ファテン・ハママ(Faten Hamama)、Ahmed Mazhar、Amina Rizk
映画祭:第10回(1960) ベルリン国際映画祭 コンペ出品
IMDb評価:7.4/10

宗教度 ★
民族度 ★★★
哲学度 ★★★


doaa2.jpg夫の死で妻と娘2人は家を追い出されてしまった。娘2人は叔父の紹介で富裕層のお宅で家政婦として働き始めるが、命令に従わないという理由で妹は追い出され、その上、一家の恥だと叔父に殺害されてしまった。妹の死に疑問を感じた姉アムナは、身分を偽りそのお宅で働き、真相を探り始めることにした…。

観れる機会の少ないアフリカ映画(それもエジプト)&クラシックというだけで感激。日本ではVHSすら出ていない模様。たとえどんな内容でもいいから観たくて飛び付いたのだけど、思わぬ展開に仰天。家政婦が主人公で、農薬が登場するといった展開はキム・ギヨン監督「下女(1960)」と一緒。偶然にも同じ1960年製作である。
IMDbではロマンスになっているが、潜入して死因が徐々に明らかになっていく展開はサスペンスとして見たほうが楽しめる。資料では109分との記載だが、実際には120分だった。

富裕層宅にはピアノがあり、アムナは生まれて初めてピアノというものを知り触れる。富裕層の女性たちはアムナのようにブルカではなく洋服を着、フランス語の家庭教師が来るといった優雅な生活。貧富の差は現代以上に開きがあるように見える。男性至上主義、イスラム社会における名誉殺人は今でも起こっていること。女性にとって不利な現代社会は60年代と何ら変わりないように映る。
doaa1.jpg妹の死後、仕えていたお宅を訪ねると、もう既に別の家政婦が仕えていた。友人だと偽って妹のことを尋ねると、新しい家政婦は家に快く招き入れてくれた。すると、そこへ主人が帰宅。アムナは家政婦の部屋へ隠れたが、主人はそんなことも知らず、家政婦をベッドに追い倒したのである。家政婦たちが長続きせず次々と辞めていくという噂、妹が背いた命令は主人の女癖だったと知ったアムナは復讐心に燃えるのであった。

妹を死に導いた主人を農薬で殺そうと決心し、家政婦として働くことに成功したアムナであったが、主人の優しさにアムナの心は傾き始め、日に日に彼への思いが強くなる。復讐と恋心のジレンマに苦しみ、感情を押し殺す様をあぶり出すように描いている。普遍的なテーマを扱っているが、イスラム社会ということもあって男性に逆らえず耐え抜く女性たちの姿が印象的。

結末に触れています。
殺害目的で近づいたことにいたたまれなくなったアムナは主人に自身の正体を暴露した。妹の分も愛したいという主人の言葉を信じ婚約までしてしまうが、やはり身分差の恋愛や結婚は許されない。2人の関係を知った叔父は銃でアムナを撃ち殺そうとするが、アムナを庇い主人が銃を受け死んでしまう。
名誉殺人が招いた悲劇。生き残ってしまったアムナは2人(妹と主人)の死をどう受け止めるのだろうか。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/24
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