月別アーカイブ  [ 2011年09月 ] 

≪ 前月 |  2011年09月  | 翌月 ≫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[タグ未指定]
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

260. ママは娼婦(別タイトル:母さんは娼婦だ) <2011/韓> ★★★☆

mama.jpg
Mother is a Whore
2009/95min/韓国
ドラマ
監督/脚本/出演:イ・サンウ(長編監督2作目)
出演:イ・ヨンニョ、クァン・ブンタク

社会度 ★★★
衝撃度 ★★★
哲学度 ★★
暴力度 ★
宗教度 ★
官能度 なし

第32回(2010)ぴあフィルムフェスティバル上映作品


mama3.jpg母を誰よりも愛している38歳の息子サンウは未だ独身。エイズで働けないサンウに代わり生計を立てているのは60歳の母親であり、仕事は娼婦。息子は下半身障害者や肢体障害者の客を連れて来ては母に相手をさせ、15分7000ウォンの収入を得ている。母もまた足に障害を抱えている。お客に抱かれている時は生きていることが実感でき、働くことが好きだという母は、具合が悪くても弱音を吐かない。そんな母を見て、サンウは自分たちを捨てた父親への怒りが抑えられなくなっていく…。

韓国はまたとんでもない監督を輩出してしまった。
“世界がまず驚いた。韓国映画至上 一番破格的な映画”というキャッチフレーズが付けられている本作の監督はキム・ギドク監督作品「絶対の愛」の演出部、「ブレス」の撮影チームに所属していた方で、監督2作目となる。タイトルだけでもインパクト十分だが、内容や素材はそれ以上の衝撃作。キム・ギドク監督のお弟子さんと知った上での鑑賞だったが、構えが甘かった。初期のギドク作品のような作風で、心理的な痛みはキム・ギドク同様、もしかしたらそれ以上かもしれない。シリーズ第二弾「親父はイヌだ」、シリーズ最後「俺はゴミだ」という作品も用意されている。

監督自身が主演を演じ、娼婦母親役には「親切なクムジャさん」パク・チャヌク作品でお馴染みのイ・ヨンニョ。この方なしではこの作品は成立しなかったと思わせるさすがの存在感。

mama2.jpg韓国に行くとコーヒー配達を口実に体を売っている女性たちをよく目にするが、地方に行けば行くほど、娼婦の年齢層が高くなっていることには薄々気が付いていた。本作でも60歳の娼婦が描かれている。エイズの息子と足に障害を持つ母は共に働きに行くのは難しい。苦渋の選択で、主に障害者を相手に身体を売って生計を立てている。社会的弱者が生きる術は他にはないものなのか。現実の厳しさを突き付けられる。
息子が母親に娼婦をさせるとはとんでもない話ではあるが、監督の言わんとしていることは至って真面目。主軸として描かれるのは、社会の端っ子で支え合って必死に生きようとする親子の物語である。母親に娼婦をさせ倫理的に悶え苦しむ息子の姿がせめてもの救い。韓国映画らしく母への愛や感謝の気持ちに溢れている作品でもある。

エイズに感染してしまい人生が狂ってしまったことへの後悔、自分たちを捨て新しい家族と共に幸せに暮らしている父親への憤り、八方塞な現実へのやるせなさがひしひしと伝わってくる。性病への無関心さ、障害者への冷たい風当たり、宗教へのめり込み過ぎることへの危険性、野放しな性犯罪など、監督のメッセージは明確でストレート。少々詰め込み過ぎな感じは否めないが、韓国の社会問題を鋭く提議しており、実情の一幕をそのまま切り取ったかのようなリアルさが感じられる。

目を背けたくなるような暴力シーンや性描写はやはり師匠の影響を感じさせる。父親は犬肉専門店を経営しており、手懐けた犬を食べてしまう事実も見逃せない。素材からしても作品全体に嫌悪感を抱く人のほうが多いかもしれない。ギドク同様、観客を選ぶ作品であることは確かであるが、日本を始め世界でも賞を撮っているのも事実である。今後も商業映画へ靡くことなく、独自の作品を作り続けてくれることを切望。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/29
[サイト内タグ検索] キム・ギドク監督
関連記事
スポンサーサイト

(未) A Call Girl <2009/スロベニア=独=セルビア=クロアチア=ボスニア=ヘルチェゴビナ> ★★★★

slovenka.jpg
Slovenka
2009/90min/スロベニア=独=セルビア=クロアチア=ボスニア=ヘルチェゴビナ
ドラマ
監督/脚本:Damjan Kozole
脚本:Ognjen Svilicic
出演: ニーナ・イヴァニシ(Nina Ivanisin)、Peter Musevski、Primoz Pirnat
IMDb評価:6.4/10


社会度 ★★★
哲学度 ★★
官能度 なし
暴力度 ★





slovenka1.jpgサーシャは呼ばれたホテルの部屋を訪ねると、外国人男性は薬を飲んでおり、心臓発作で倒れてしまった。すぐさま救急車を呼び、サーシャは部屋を後にする。その後ニュースで、男性は亡くなり自分が疑われている事を知るが、コールガールの仕事を辞めるわけにはいかない。警察の目を気にしながら仕事を続けるが、自体は思わぬ方向へ…。

ドキュメンタリー出身の監督さんのようであり、背景がほとんど説明されぬままサーシャの日常が淡々と進む。どこか冷やかで感情移入させない距離感のある撮り方をしている。一つ一つの出来事が表面だけであまり深堀りしない描き方をしており、各々のエピソードの結末は観客に投げっぱなし。冒頭で描かれる死亡事故も収束していない。しかしながら、意外な展開を見せ、妙に好奇心が掻き立てられる。

父親に育てられている大学生のサーシャは大学進学後、大学の近くで1人暮らしをしている。新聞に広告を出し、営業用と個人携帯を持ち歩き、依頼の電話があると待ち合わせ場所に出向く。費用は200ユーロ、場所はホテルの1室や顧客の自宅。見知らぬ男性と密室で2人きりになるため、危険な目に逢うこともある。学生にしては高級なマンションを借り、返済するためにコールガールのアルバイトにより一層精を出す。
何学部なのかはわからないが、文法ではなく会話を重視した授業はもちろん、スロベニア人には発音し難い発音に関する授業もあり、日本とは違って活きた英語を教えている。そのため、外国人相手でも英語力が活かされているのがわかる。

slovenka2.jpg普通の女子大生がコールガールの仕事をする理由は主に二つあると思っている。家族の家計を支えるためか、自身の見栄や物欲を満たすためである。貧困国では圧倒的に前者が多く、そういった状況下で働かざるを得ない女の子を同情的に描く作品が多い中、本作は後者であった。
私の中で、セルビア・クロアチア・ルーマニアら辺と同じ状況で、スロベニアも貧困国だと勘違いしていた。スロベニアはユーゴスラビア連邦時代は連邦の中で最も経済的に豊かな先進地域であったことを始めて知った。通りでコールガール・サーシャの生活から社会的経済的側面が見えてこないわけだ。

スティーヴン・ソーダバーグ監督「ザ・ガールフレンド・エクスペリエンス」では高級コールガールを通して社会的地位の高い職業を持つ人間の孤独に焦点を当てているが、本作ではコールガール・サーシャの孤独に着目している。別れた母親との問題や不倫関係もサブストーリーとして描かれているが、淋しさを埋めるために体を売っていたのだろう。

コールガールを主役に据えるストーリーには珍しく、家族関係が丁寧に描かれているのは好感が持てる。サーシャの父親を見ていて、サーシャのことを愛しているのは十分伝わってくる。でも、口数が少なく、愛情表現も乏しいが、陰で見守ってくれている感じが日本のお父さんのような感じがした。文化的にはドイツ語圏の影響を強く受けているスロベニア人の気質もドイツ語圏に近く、日本にも近いのかもしれない。ほとんど笑わないサーシャだが、父親や幼馴染の前ではいい笑顔を見せるのであった。自立しているようでも、やはり誰かに依存せざるを得ない人間の弱さや父親の存在の大きさに気付けただけでもサーシャにとっては危ない橋も悪い経験ではなかったのかもしれない。

スロベニアについてWikipediaより一部抜粋…
スロベニア人の気質は勤勉で秩序的と言われており、文化的にはドイツ語圏の影響を強く受けている。こうした条件のために、ユーゴスラビア連邦時代は連邦の中で最も経済的に豊かな先進地域となっていた。ユーゴスラビア連邦から独立した後、初期の経済的混乱からすぐに立ち直り、国民1人当たりのGDPは欧州連合(EU)内でもギリシャ、ポルトガルに匹敵する水準となった。これは、2004年にEUに加盟した旧社会主義諸国の中では最も高い水準であり、2008年には旧社会主義諸国で初めて欧州連合の議長国となった。政治的な面でも、スロベニアは民主的な政体を安定して維持しており、その地理的・経済的特徴が良い影響を与えているとみられる。


<鑑賞> 英語字幕 2011/9/24
[サイト内タグ検索] 日本未公開 ニーナ・イヴァニシ
関連記事

心の中の赤いリス <1993/スペイン> ★★☆

 
risu.jpg
La ardilla roja/The Red Squirrel
1993/114min/スペイン
コメディー、ドラマ
監督: フリオ・メデム
出演: ナンチョ・ノボ、エマ・スワレス、マリア・バランコ、カルロス・ゴメス
IMDb評価:7.3/10


社会度 ★
官能度 ★
哲学度 ★★
ゴア度 ★

シネフィルで放送済み作品。


risu2.jpgホタは自殺をしようと真夜中の海岸沿いに立っていた。躊躇しかけたところに、後ろから一台のバイクが猛スピードでガードレールに激突し、そのまま砂浜に投げ出されてしまった。救急車で病院に担ぎ込んだが、幸い怪我はなかったが、記憶喪失を診断されてしまった。たまたま居合わせたホセであったが、医師には自分の恋人で、“エリザ”という名前だと嘘をついてしまう。記憶回復のために、“La ardilla roja(赤いリス)”と言う名前のキャンプ場で過ごすことにしたが…。

自ら命を断とうとしていた2人の偶然の出会いと心の再生を描いている。メデム作品は3作品観て、ようやく作風が見えてきたような気がする。おそらく“偶然と必然”といったことをテーマとしていて、人間の潜在意識に着眼しているのだろう。監督は医学の道に進んでいながら、映画監督に転身したという経歴をお持ちだが、もしかして心療医学専門なのでは?複雑な心理を独創的に描いている。

risu1.jpg初めて会った女性が記憶喪失だと知り、なぜ恋人だと嘘をついたのか、理由は触れられない。子供騙しのような嘘でホセは理想像を作り上げ、その理想の中で何の疑いもなく生きようとするエリザだが、次第に惹かれあい、心は再生していく。しかし、嘘は必ずバレテしまう。一体何が嘘だったのか…、騙されていたのは観客であって、どんでん返し的な結末は面白い。
元歌手だったというホセのヒット曲が劇中何度も流れ、そのタイミングも絶妙。だが、メデム作品は導入部で興味を引き付けるのがうまいといつも感じるが、無駄に官能シーンは多いし、どうも腑に落ちない点が多すぎて混乱させられる。リスの生態についての説明が理解できなかったのが悔やまれる。日本語字幕で観直したい。

<鑑賞> 英語字幕 2011/8/30
[サイト内タグ検索] フリオ・メデム監督
関連記事

The CAT ザ・キャット (原題:猫) <2011/韓> ★★★

neko.jpg
猫:死を見るふたつの目(고양이)
2011/韓国
ミステリー
製作:イ・ジュンドン
監督:ピョン・スンウク
出演:パク・ミニョン、キム・ドンウク、イ・ハヌィ



恐怖度 ★★★
ゴア度 ★
哲学度 ★★




neko2.jpg幼い頃のショックで閉所恐怖症を抱えている“ソヨン”。ある日、ソヨンが勤めるペットショップに立ち寄った猫“ビダン”の主人がエレベーターで疑問死するという事件が起こる。理由の知れない恐怖におわれたまま残酷な姿で発見された“ビダン”の主人。死の瞬間、密閉された空間で共にしていたのは猫の“ビダン”だけだ。 主人を失ったビダンを家に連れてきたソヨンは、正体の分からないおかっぱ頭の少女の幻影を目撃する。幼い頃のショックを克服する過程だという医者の言葉に希望を抱いてみるが、引き続いて悪夢にうなされるソヨン。それから数日後、新しい猫をもらってきた友人“ポピ”がソヨンの家で死体となって発見されるのだが…。連続する疑問死。すべての死を見守ってきた唯一のふたつの目“猫”。
ソヨンの身の周りをめぐり回る死のミステリーが始まる!@innolife

製作は、「シークレット・サンシャイン」「ペパーミントキャンディー」「詩」などで知られるイ・チャンドン監督の弟さんイ・ジュンドン氏。兄弟であれ作風は全く異なる。主演はドラマ「成均館スキャンダル」のパク・ミニョンに、ドラマ「コーヒープリンス1号店」のキム・ドンウク。個人的には注目度の高い若手のお2人。ペットショップ経営者には「コーヒープリンス1号店」「秋の童話」など韓国ドラマでお馴染みのイ・ハヌィ。

neko1.jpg警察はエレベーターでの死亡事故の様子を防犯カメラで確認するが、被害者以外には猫しか乗っていなかったが、明らかに何かに怯えている様子が映っていた。ソヨンは飼い主を失ったその猫を引き取り、家で面倒を見始めるが、何か気配を感じ始める。それはおかっぱの少女の幽霊であった。なぜ少女は猫に付きまとい、彷徨い続け、悪さをするのか、そして正体は…韓国ホラーの定番のストーリー展開に、情で訴える結末ではあるが、結構見応えのある作品だった。

本作では猫の存在が重要な鍵となっている。もちろんCGだとは思うが、過剰で大袈裟になりすぎず、でも習性を繊細に捉えており、自然な演技(?)が恐ろしさを演出している。ノラ猫の集団のような光景は恐ろしく、夜中に電気を消して観ていたが、あまりの怖さに明るい昼間に観たほど。でも昼間観るとあんまり怖くなかったね。

主人公はごくありふれた町の清潔感のあるペットショップで働くごく普通の女の子ソヨン。1人暮らしをするアパートもごくごく普通である。そんな当たり前の環境で突如現れた怪奇現象は現実にも起こりそうでほんとに怖い。
私も主人公ソヨン同様閉所恐怖症。エレベーターが止まっってしまった経験があり、それ以来エレベーターには恐る恐る乗っている。更に、私は大の猫嫌い。猫って、人間の目には見えない何かに逆毛立てていることよくあるよね。あれって幽霊に向かってなのかどうかはわからないけど、私の恐れている心理がずばり描かれているもんだから余計に怖かった。

<鑑賞> 2011/9/12
[サイト内タグ検索] 日本未公開 キム・ドンウク
関連記事

(未) Mamma Gogo <2010/アイスランド> ★★★

mamma.jpg
Mamma Go Go
2010/90min/アイスランド
ドラマ、コメディー
監督:フリドリック・トール・フリドリクソン
出演:Kristbjörg Kjeld、Hilmir Snær Guðnason、Gunnar Eyjólfsson
IMDb評価:6.7/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★
映像美 ★★
ブラック度 ★★





mamma1.jpg主人公は“自分の映画はアイスランド人には理解できない”と嘆き、オスカー受賞を狙う映画監督。2人の姉がおり、父親は他界、母親は1人暮らしをしている。家族みんな車ですぐ駆けつけられる距離に暮らし、頻繁に顔を合わせるような良好な家族関係である。ある日、母親が知らない人の葬儀に参列をし、子どもだちを驚かせる。母自身もなぜ行ったのかわからないと言う。家へ行くと、ガスレンジの上に箒がおいてあったり、最近の行動が可笑しいことに気付き、病院へ連れて行くと、アルツハイマーだと診断される…。

アイスランド映画と聞いたらまず名前が浮かぶフリドリクソン監督。日本では公開作は少ないが、精力的に撮り続けている。 監督の自伝的ストーリーで、アルツハイマーになってしまった母の失踪を時にはシリアスに時にはユーモラスに描いている。国は違えど、同じ問題を抱えているのがわかる。母のアルツハイマーの告知を受け、子どもたちはどう向き合うべきか、シンプルなストーリーでありながらちゃんと明確なメッセージを残している。この監督は小難しくなくて観やすいのがいい。かつて、日本には同じ火山国として親しみを感じると言っていたが、精霊に対する思想は日本人に通ずる描き方をするといつも感じる。作品には死者や精霊がごく当然のように登場するが、本作でも亡くなった父親がごく自然に登場する。お墓参りに行く習慣があることは知らなかった。不吉なことの前兆として黒猫が横切る演出もされている。

mamma_20110926142827.jpg夫に先立たれ、寂しい思いをしている母。子どもたちが独立し、孫の誕生は喜ばしいことではあるが、やはり老後の1人暮らしに孤独感はつきもの。そんな思いが亡き夫の魂を導いたのかもしれない。見守るかのように寄り添う亡き夫の登場には心温まる。

子どもたちは、アルツハイマーになり1人暮らしが難しくなった母を老人ホームに送り込んでしまう。母の行動をユーモラスに描くが、誰も母を引き取れない現実の厳しさは日本も然り。遅かれ早かれ同じような状況が誰しもにも訪れるかと思うとあまり笑い飛ばせるえる問題ではないが、深刻に受け止めず楽観的に受け止めているのもこの監督らしい。

サブストーリーとして、さり気なく自身の映画に対する思いが投影されている。アイスランドで最も成功している映画監督だとは思うが、それでも苦悩があることが述べられている。たとえ国内で認められなくてもオスカーを狙う思いはこの監督さんに限ったことではないだろう。

アイスランドは外国人の出稼ぎ労働者が多いと聞いたことがあるが、確かに画面に映り込む人物も外国人の姿が多い。老人ホームで働く人たちもアジア人女性が多かった。皆アイスランド語を上手に操っているが、実際に出稼ぎ者や移住者がアイスランド語を習得しているかは興味深いところでもある。

<鑑賞> 韓国語字幕 理解度80% 2011/8/27

関連記事

海へ (原題:Alamar) <2009/メキシコ> ★★★★

alamar.jpg
Alamar/To the Sea
2010/72min/メキシコ
ドラマ
監督:ペドロ・ゴンサレス・ルビオ(Pedro Gonzalez-Rubio)(長編監督2作目)
出演:Natan Machado Palombini、Jorge Machado、Nestór Marín
IMDb評価:7.2/10


映像美 ★★★★★
余韻度 ★★★
哲学度 ★★





alamar1.jpg少年ナタンは、イタリア人の母とメキシコ人の父を持つ。両親は離婚し、母とローマに住んでいるが、休暇の数日間をメキシコの海で父親と過ごすこととなった。舞台は世界第2位のサンゴ礁群の広さを持ち、世界遺産となっているメキシコ、バンコ・チンチョロ(Banco Chinchorro)。大自然の中で繰り広げられる父子の日常生活をドキュメンタリーのように描きながら、ナタンの心情が静かに紡ぎだされる。

監督は、ドキュメンタリーの撮影出身で、本作の撮影も自身がされている。本作は“なら国際映画祭2010”で上映され、見事ゴールデンSHIKA賞を受賞している。次回作NARAtive作品の舞台は十津川村に決定し、撮影は台風襲来の前に終了している模様。本作でとっても綺麗な映像を魅せてくれた監督の目に十津川村はどう映るのだろうか。

alamar2.jpgナタンの父親は漁業を営む老人と暮らしている。魚やロブスターを獲って生計をたて、自分たちが食べる魚も潜って獲り、すぐさま海の上で調理をする。魚のアラを海に投げると魚や鳥が集まり、亀と戯れ、自然の生き物たちと共存する毎日。都会育ちのナタンにとってはここで起こる全てのことが新鮮であるが、父と老人にとっては“生きる”ための術であった。大自然で過ごす数日間はとても意義のある経験となり、一日一日成長している姿がじんわりと映し出される。

軸となるストーリーはなく、言ってみれば大自然が主役である。実際は違うようだが、脚本なんかなく、自然な姿を隠し撮りしているような味わいがある。親子の会話は極力抑えられ、ゆったりのんびりした時間の流れと澄み切った空や海が一番印象に残る。私自身、大人になって田舎暮らしを経験し自然に対する思いが大きく変わったことを実感している。大自然の有難みを知ったのはつい最近のこと。ナタンのような子どもの頃に経験しておきたかったと思う。

「題名AlamarにはMar(海)とAmar(愛)というテーマが込められています。」と語る監督が言っているが、海への接し方には愛情が溢れている。“生命とは何か”静かに自問自答を促しながら、自然を守らなければならない使命感がじんわりと沁み渡ってくる。

<鑑賞>英語字幕2011/9/12
[タグ未指定]
関連記事

(未) Dog Pound <2010/仏=加=UK> ★★

dog_20110921220709.jpg
Dog Pound
2010/91min/フランス=カナダ=UK
ドラマ
監督/脚本:キム・シャピロン(長編2作目)
出演:Adam Butcher、Shane Kippel、Mateo Morales
言語:英語
IMDb評価:6.9/10

暴力度 ★★★
嫌悪感 ★★
衝撃度 ★★★(オリジナルを観ていなければ)





dog1.jpgドラッグ所持で捕まった16歳、車泥棒で捕まった15歳、他の施設で看守に暴行を働いた17歳の3人に少年が少年院に入ってくる。たまたま同日に入所したこの3人の院生活を描いているだけで、特にあらすじはない。

嫌悪感マックスで私が2度と観たくないアラン・クラーク監督「Scum(1977/1979)」のリメイク。オリジナルは、更生ではなく、罰せることを目的とし、80年代前半まで実在していたイギリスの少年院をモデルにしている。過激な暴力描写が理由で放送禁止になり、再度撮り直しの上、映画上映。数年後に更生目的の施設へと大幅改善された後にテレビ版の放送許可が下りたという経緯がある。本作はフランス人監督、カナダ人俳優によるリメイクで、舞台は不明。無関係の非イギリス人によるリメイクに意味があるのだろうか?

監督は「変人村(原題:Sheitan)」のキム・シャピロン監督。暴力描写は多いが、どれもオリジナルで描かれていたアイデアである。しかしながら、オリジナルのような嫌悪感を全面に出したような作風ではなく、かなりまろやかで観やすくなっていることは確か。オリジナルを観ていなければ十分楽しめるとは思うが、前作「変人村(原題:Sheitan)」のような独自性が感じられないのは残念。やっぱりこの監督には、ホラー路線で気味の悪い世界感を貫いて欲しい。第3作では再度ヴァンサン・カッセルとタッグを組むという噂が本当であって欲しい。

dog2.jpgタイトル“Dog Pound”とはアメリカでは野良犬を収容する施設のことを示す。野良犬のような素行の悪い少年を収容している施設という意味合いだろう。普段の行いによって制服が3種類に分けられているのは確かオリジナルにはなかった。要注意の問題児たちは目立つオレンジ、普通の少年たちは黒、模範的な少年たちは白のポロシャツと区分されている。しかし、白のポロシャツを着ているから真面目だというわけではなく、要領がよく、看守の目を騙すのがうまいだけ。差し入れのサンドイッチの中に薬を紛れ込ませたり、蔭で悪いことをしている。ドキュメンタリータッチで出演者たちの演技もリアルなのはオリジナル同様。主にカナダの国内ドラマで活躍している俳優ばかりで新人ではないが国際的に有名な俳優が1人も出演していないのは新鮮に映る。でもなんでカナダ人俳優ばかりの起用だったのだろうか?

<鑑賞> 2011/9/21
[サイト内タグ検索] 日本未公開 キム・シャピロン監督
関連記事

変人村 (原題:Sheitan) <2006/仏> ★★★★

sheitan.jpg
Sheitan/Satan/死亡人偶
2006/94min/フランス
製作/出演:ヴァンサン・カッセル
監督/脚本:キム・シャピロン(長編監督デビュー作)
脚本:クリスチャン・シャピロン(キキ・ピカソ)
出演:オリヴィエ・バーテレミ、ロクサーヌ・メスキダ、ニコラス・ル・パタン、レイラ・ベクティ
IMDb評価:5.6/10

ゴア度 ★★
下品度 ★★
狂気度 ★★★
邦題のセンス なし
(確かに変った人だけど、変人は的外れ。それに村って何よ?)


sheitan1.jpgクリスマス前日、バート、ラジ、タイはヤスミンとイヴという女の子をクラブでナンパする。テンションの上がり過ぎた彼らは騒ぎを起こし、ビール瓶で殴られ、外に追い出されてしまう。行き場に困った5人は一台の車に乗り込み、片田舎にあるイヴの実家に遊びに行くことにする。しかしそこで、サタン崇拝者の使用人ジョセフの奇行に巻き込まれ、取り返しが付かない状況に陥ってゆく…。

グラフィック・デザイナーのキキ・ピカソ(クリスチャン・シャピロン)を父に持ち、自身も“kourtrajme”の一員としてアート界で活躍しているキム・シャピロンの長編監督デビュー作。お父様は脚本にも参加し、kourtrajmeのメンバーや友人で作り上げており、独自の世界観を放つ。彼の才能に惚れ込んでいるヴァンサン・カッセルが製作・主演。

私が本来求めている映画というのは「Movies that make me think(考えさせてくれる映画)」であって、そういった観点から言うと熱く語るような内容ではないが、ブッ飛び具合が結構ツボの★4つ。悪く言えば雑な脚本に悪趣味で下品な演出だが、良く言えば斬新な発想はオリジナリティーに溢れ、独特な感性。ユーロホラーなんて言い方をされているが、今までのフランス映画にはない独自の世界観を貫いている。安っぽさと詰めの甘さは否めないが、ヴァンサン・カッセルの狂演で運よく補充されている。脚本次第でものすごく傑作ホラーを作ってしまいそうな将来性に期待度大。ヴァンサン・カッセルとの再タッグを切望。

sheitan2.jpg郊外にあるイヴの家に行き着くまでが少々冗長であり、無駄に思うシーンも多いが、ヴァンサン・カッセルの登場で、一気に引き締まる。振る舞いや言動から完全にイッテるのが滲み出ていて存在そのものが不気味。彼が住む家も豪邸だが大量の人形があったり異様な雰囲気漂う。人がバンバン殺されるようなホラーではなく、不気味さを醸し出す芸術的なセンスが本作の見所でもある。ヴァンサン・カッセルの歯剥き出しで、終始ニヤニヤしてる気味の悪さも癖になる。

温泉でみんなで戯れるシーンや発情期でイカレてる姪っ子、近所の障害者の登場などメインストーリーに絡まず、意味のなさそうなシーンが多い。その辺を今後どうストーリーに活かすかが課題だと思われる。

一番のツボは結末にぴったりハマる中国語のタイトル「死亡人偶」である。驚愕の結末は、夢なのか、現実なのか、はたまた何だったのか観客に解釈を委ねるところもいい。

<鑑賞>英語字幕 2011/9/20
関連記事

(未) 【短編】la barbichette <2002/仏> ★★★

barbichette.jpg
la barbichette
ドラマ
2002/7min/フランス
監督/脚本:キム・シャピロン(Kim Chapiron)キキ・ピカソのご子息
撮影:ロメイン・ガヴラス(Romain Gavras)コスタ=ガヴラスのご子息
出演:ヴァンサン・カッセルオリヴィエ・バーテレミ、Marko Payen
IMDb評価:6.2/10





グラフィック・デザイナーのキキ・ピカソ(クリスチャン・シャピロン)を父に持ち、自身も“kourtrajme”の一員としてアート界で活躍しているキム・シャピロンの監督デビュー作。コスタ=ガヴラス監督(「戒厳令」「Z」など) のご子息のロメイン・ガヴラスも“kourtrajme”のメンバーであり、撮影を担当。
次作であり長編デビューとなる「変人村(原題:Sheitan)」、ロメイン・ガヴラスの長編デビュー作「Our Day Will Come(原題:Notre jour viendra)/2010」もkourtrajmeメンバーや友人たちで作り上げている。本作出演のヴァンサン・カッセルオリヴィエ・バーテレミは「変人村」「Our~」両作に出演。キム・シャピロンは「Our~」に、ロメイン・ガヴラスは「変人村」に出演(uncredited) している。
余談だが、キム・シャピロンはリュディヴィーヌ・サニエの第2子の父親であり、現パートナーでもある。

タイトル“la barbichette”は日本でいう“にらめっこ”のこと。お互いのアゴをつまんでにらめっこをし、笑ったら負けというルール。
兄弟3人がソファーでテレビを見ていると長男のヴァンサンが母親に呼ばれるが、行くのが面倒な彼は弟と“にらめっこ”を始め、負けた方が母の元へ行くという話。「変人村」のような驚愕さは本作短編ではまだ見られない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/21


関連記事

パラサイトX (原題:Vikaren) <2007/デンマーク> ★★

vikaren.jpg
Vikaren
2007/93min/デンマーク
監督/脚本:オーレ・ボールネダル(Ole Bornedal)
脚本/出演:ヘンリク・プリップ
出演:パプリカ・スティーンウルリッヒ・トムセンソニア・リクター、ヨナス・ヴァンドシュナイダー
IMDb評価:6.1/10


哲学度 ★
ゴア度 なし
社会度 なし
邦題のセンス 最悪(有名タイトルにXを付ければいいって考えよくないよね)



vikaren2.jpg小学6年生のカールのクラスに、病気の担任の代理でウーラという女性教師がやって来た。彼女の厳しい授業、狂った言動にクラスの多くの生徒が不信感を抱き、両親たちに話すと、辞任を求める声が次々と上がった。しかし、教育長の登場で、両親たちはすっかり騙されてしまう。しかし、カールは教育長の正体を見てしまった…。

デンマーク映画には欠かせない、しかも私の大好きな4人(パプリカ・スティーンウルリッヒ・トムセンソニア・リクターヘンリク・プリップ)が一斉出演と知り、鑑賞。ヘンリク・プリップに至っては脚本にも参加している。監督は「モルグ/1996」「ナイトウォッチ/1998」で知られているオーレ・ボールネダル監督

vikaren1.jpgホラーだとは知っていたが、内容は児童向けでゴア描写はほとんどない。個人的には期待していたもの(グロテスクなホラー)と異なり満足度は低めだし、少々強引で無理な展開は否めないが、決してひどい映画ではない。投げやりな邦題でかなり損をしている。英題は“代理”。代理教師ウーラを演じるのはパプリカ・スティーン。この方の演技にはいつも驚かされる。ウーラのイッテる目とか無機質な感じが気持ち悪いのに、最後には愛着が湧いてしまうのは子ども向けの演出なのだろうか。怪奇な行動もアイデアが豊富で楽しませてもらった。

主人公の少年カールは事故で母を亡くしたばかりで心を閉ざしていた。代理教員ウーラの秘密を探る過程でクラスにも徐々に慣れていき、前向きな心の成長を見せている。タイトルやらジャケットからはなかなか伝わってこないが、割としっかりとしたドラマを描いている。“母の死”を未だ受け入れられない現実とオーバーラップさせるように描かれる“代理教師ウーラの存在”を否定する演出には関心してしまった。

カール役のヨナス・ヴァンドシュナイダー君は本作が映画初出演のようだが、なかなかの美少年で大物俳優たちにも劣らない熱演を魅せている。次作「Timetrip(原題:Vølvens forbandelse)/2009」では主演を務めている。将来性に期待。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/16
関連記事

(未) Sunstorm <2007/スウェーデン> ★★★

storm.jpgSunstorm/Solstorm
2007/103min/スウェーデン
ミステリー、スリラー
監督:Leif Lindblom
原作:オーサ・ラーソン「オーロラの向こう側」ハヤカワ・ミステリ文庫、松下祥子訳、2008年
脚本:Klas Abrahamsson、Jimmy Lagnefors
出演:Izabella Scorupco、ミカエル・パーシュブラント、Jakob Eklund
IMDb評価:5.0/10

宗教度 ★★★
ゴア度 ★
緊迫度 ★★
哲学度 ★★★
嫌悪感 ★★★


storm1.jpgある事件が原因でレベッカは故郷キールナを飛び出し、ストックホルムで弁護士として働いていた。ある日、かつての親友から電話が入る。彼女の弟であり教会のカリスマ宗教師ヴィクトールが教会内で惨殺され、自分が目撃者だという。レベッカ自身も教会とは深い因縁があり、多忙な弁護士業務を投げ捨て、北の故郷へと向かうが、凶器の包丁が自宅から見つかり容疑者として逮捕されてしまう。友人の無実を信じ、真犯人を探そうとするが、否応なく過去と対峙させられることとなる…。

原作のオーサ・ラーソンはキールナで生まれ育ち、弁護士として働いた後、本作の原作本「オーロラの向こう側」で作家デビュー。スウェーデン推理作家アカデミーの最優秀新人賞を獲得した。同書と同一人物を主人公とした第二作「赤い夏の日」では、最優秀長篇賞を獲得している。監督はテレビで活躍されている方で本作が唯一の映画作品。

storm2.jpg友人の無実を信じるレベッカが真犯人を探す物語だが、自分の過去が惨殺事件にも深く関与していることを知った時のレベッカの心理に重きを置いている。被害者ヴィクトールが所属していた教会は、キリスト教系のいわゆる新興宗教。死から蘇った経験があり、教祖として崇められていた。
犯人探しの過程で明らかになるこの宗教団体の内在している闇、殺害方法、ドロドロとした人間関係、心理の掘り下げ方は容赦なく凄惨で心苦しい。キャラクターも一癖も二癖もある人たちばかりで、彼らの苛立ちややるせなさが深く胸に突き刺さり、はっきり言って気が滅入る。心理を深読みしよとすればするほど気分は悪くなるのに、不思議と先が気になるストーリー展開。原作本は未読なのだが、読んだ方のブログ等を拝見すると、同じような感想を抱いている人が多いのが興味深い。

しかしながら、推理サスペンスとして観るには伏線が弱く、惜しいといった印象。レベッカの弁護士としての職業もほとんどストーリーに活かされていない。同じくスウェーデン小説の映画化、ミレニアムシリーズや「ぼくのエリ」には一歩及ばず。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/21
関連記事

(未) Home of Dark Butterflies <2008/フィンランド> ★★★★

home_20110720152447.jpg
Tummien perhosten koti
2008/105min/フィンランド
ドラマ、ミステリー
監督:ドメ・カルコスキ「Lapland Odyssey
原作:Leena Lander
脚本:Marko Leino
出演:Niilo Syväoja、Tommi Korpela、Kristiina Halttu、カティ・オウティネンペルッティ・スヴェホルム
IMDb評価:6.9/10

ゴア度 ★
民族度 ★★
緊迫度 ★★★
哲学度 ★★★


dark2.jpg悲劇的な幼年時代を過ごしトラウマになっている少年ユハニは、両親への反発から問題ばかり起こしていた。手に負えない両親はユハニを離れ小島にある更生所に送ってしまう。ある日、経営難で運営を断ち切るという話が浮上し、少年7人は家へ帰されることを告げられるが、7人はここに残ることを希望する。家に戻るよりはここにいた方がずっとマシだからだ。そこで、少年たちは養蚕業を始め、運営資金を稼ごうと起ち上がる…。

監督はキプロス共和国出身で、5歳でフィンランドに移住した方。本作は長編2作目にして米アカデミー賞外国語映画部門フィンランド代表候補作品に選出されている。3作目「禁断の果実」はフィンランド映画祭で上映されている。

本作はホラーではないし、季節も夏なのに、とにかく暗く、身震いするような寒さ。ここ数カ月の間に観た作品では一番怖かったし、今まで観たフィン映画で一番面白かった。スウェーデンが得意とするような心理スリラーで、コメディーばかりを描いているドメ・カルコスキ監督にこんな隠れた才能があったことには驚き。隠れたプロットが多くありそうで、何度か観ないと理解できないような難解さがある。日を改めて再見し、加筆したいと思う。

dark1.jpgここは少年院ではなく、更生施設。少年たちは犯罪を犯しているわけではなく、ある程度自由が許されている。なぜここに送られてきたのかが徐々に明かされていくが、想像を超える陰惨な悲劇には言葉を失ってしまう。明かし方もじわりじわりと神経を逆立てするような描き方で背筋が凍ってしまった。少年たちの過去を知り、彼らの心理全てを見透かしたような施設長もまた不気味。カウリスマキ作品でお馴染みのカティ・オウティネンが演じる施設で働く手伝い人の存在にもゾッとさせられる。
幼少時代の出来事が及ぼす影響、集団心理の描き方は興味深く、考えさせられる。

タイトルに“バタフライ”があるが、蝶ではなく蚕蛾(カイコガ)のことを言っている。
カイコは家蚕(かさん)とも呼ばれ、家畜化された昆虫で、野生には生息しない。また、野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物として知られ、人間による管理なしでは生育することができない。そんな習性と少年たちをかぶせるようなストーリー展開が素晴らしい。

<鑑賞> 英語字幕 2011/7/18

関連記事

(未) Sauna <2008/フィンランド> ★★★

sauna.jpg
Sauna
2008/83min/フィンランド
歴史、ホラー
監督:Antti-Jussi Annila(長編2作目)
脚本:Iiro Küttner
出演:Ville Virtanen、Tommi Eronen、Viktor Klimenko、カティ・オウティネン
IMDb評価:6.4/10


ゴア度 ★★
民族度 ★★★
緊迫度 ★★
哲学度 ★★★



sauna1.jpg1595年、ロシアとの戦争が終結し、ロシアとスウェーデンは共同で新たな国境を調査していた。ロシアからは戦時中に70人もの敵を殺したことが自慢のエリック、スウェーデンからはクヌート兄弟が参加し、共に北へ向かう。道中、ある村人を惨殺し、その娘を地下室に閉じ込めたまま一団はその村を去っていた。すると、行く先々で少女の亡霊らしきものを見かけ、罪の意識に苦しみ始める。そして、その後、辿りついた村は湿地帯に囲まれ、沼地にはサウナ小屋が佇んでいた。このサウナに入った者は全ての罪を洗い流すことができるという文書を発見した一団だが・・・。

映像に全く色がなくて薄暗く、殺伐と死重苦しい雰囲気はいかにも北欧ホラー。ゴア度は低めだが、湿った空気感と鮮血の対比が醸し出している雰囲気がいい。カウリスマキが苦手で、フィンランド映画全般に対して苦手意識を持ってしまっているが、ホラーは結構良作に出くわす率が高いので、最近、積極的に観ている。

sauna2.jpg本作はフィンランドの誇り“サウナ”がうまくストーリーを引っ張っている。“サウナ”とは…
湖のほとりにサウナ小屋を建て、今では主に憩いの場として使われるが、かつては結婚式前の新婦が身体を清め、出産する場、老人にとっては死期が近付くと向かう場であった。遺体を安置する場所として使う地域もあったとか。劇中では“サウナ”に対する説明は十分なされていないので、知っているかどうかで理解度が大きく分かれるであろう。生や死の表現として“サウナ”が使われ、神聖な場所といった意味合いが強い。日本でいうと神社のような感じだろうか。一団が最後に行き着いた村は、沼地にサウナが佇んでいた。その村は病人が死ぬこともなく、赤ん坊が産まれない村であった。本来の“サウナ”として機能していない事実がストーリーの鍵となってくる。

フィンランドの国宗はキリスト教ではあるが、一般的に結婚式と葬式以外に教会に通う習慣はなく、事実上、無神論者が多い。 成仏していない亡霊の登場の仕方も日本に通ずるものがあり、宗教観が近いような印象を受けた。テンポが遅いのに、複雑な展開に混乱するが、結末の衝撃のために我慢して観てよかったと思えた作品。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/14
[サイト内タグ検索] 日本未公開 カティ・オウティネン
関連記事

(未) Izzat <2005/ノルウェー> ★★★

izzat.jpg
Izzat
2005/107min/ノルウェー
アクション、コメディ、犯罪
監督/脚本:Ulrik Imtiaz Rolfsen(監督デビュー作)
脚本/出演:Leon Bashir
出演:Emil Marwa、Ove Andreassen
IMDb評価:6.4/10


ブラック度 ★
犯罪度 ★★★★
社会度 ★
ゴア度 ★



izzat1.jpg舞台はノルウェー、オスロ。パキスタンからの移民2世の少年3人はノルウェー国籍を保有し、ノルウェー語も流暢ではあるが、移民という理由から学校ではいじめられており、強くてカッコよく、町を支配しているパキスタン・ギャングに憧れていた。ある手助けがきっかけで能力を買われ、少年3人もギャングに仲間入りさせてもらうことになるのだが…。

ノルウェー映画(デンマーク映画も)を観ていると、パキスタン人を話題に、時には差別した台詞がよくでてくるのが気になってはいた。Wikipediaによると、移民1世及びノルウェー生まれの移民2世は全人口の11.4%で、その中でもパキスタン出身者は6%を占めると言う。これが多いのか少ないのかは判断しかねるが、本作はノルウェー生まれのパキスタン人移民2世の話である。

少年3人の背景にあるのは、移民1世である両親はノルウェー語が話せず、同じパキスタン人としか付き合えず、ノルウェー社会に溶け込めない。そして、低所得という家庭の経済状態。安易な逃げ道としてギャングに入ってしまう。タイトル「Izzat」とはウルドゥ語で“尊厳・名誉”という意である。中心人物ワシムの幼少時代を描く前半はギャングに対する“尊厳”、時が経つにつれ家族や民族に対する“尊厳”へとワシムの心情の変化や葛藤を描いている。

izzat2.jpg人口の少ないノルウェーにとって大きな労働力になることを期待し積極的に受け入れてきている移民。移民者たちをどう寛容に受け入れるかが国にとっての課題なのだろう。しかしながら、ノルウェー人視点の論争的な作品ではなく、残念ながら一般的な犯罪映画に留まってしまっている。
出演者のほとんどがパキスタン人で、台詞のほとんどもウルドゥ語であり、ノルウェーが舞台だと感じる部分は少ない。移民者の失業率の高さ、低所得、一般的に多産で今後も人口が増えることへの危惧などノルウェー社会に及ぼす影響などにも触れて欲しかった。パキスタン人から見たノルウェーやパキスタンらしいエピソードももう少しあったほうが良かったように思う。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/15
[サイト内タグ検索] 日本未公開
関連記事

(未) Tomme Tonner <2010/ノルウェー> ★

tomme.jpg
Tomme tønner
2010/87min/ノルウェー
アクション、コメディー、犯罪
監督/脚本: Leon Bashir、Sebastian Dalén
出演:キム・ボドゥニアスラッコ・ラボヴィッククリストファー・ヨーネル、ヴェガール・ホール、ビョルン・スンクェストキッレ・ヘルム、Anders Danielsen Lie
IMDb評価:5.6/10


ブラック度 ★★
犯罪度 ★★
社会度 なし
ゴア度 ★



パキスタン人ギャングを描いたノルウェー映画「Izzat」で脚本に参加し、出演していたLeon Bashirの初監督作であり、本人も出演(たぶん主演)。珍しいノルウェー産のアクション映画と、ノルウェー映画には欠かせないベテラン俳優が多数出演していることで話題になった。続編が今年本国で公開されている。

tomme1.jpg泥棒に入ろうとしても何をやるにもヘマばかりの3人の行動を面白く描いているだけで、はっきり言って、内容もポイントもない犯罪もの。編集に凝り過ぎていて、画面が頻繁に切り替わり過ぎるのと、その度に派手な音楽ががちゃがちゃ変わるのは頭痛を引き起こす。ネタもオリジナリティーがなくて、いろんな映画で描かれているシーンの寄せ集めといった印象を受ける。お目当ての俳優が出ていない限り、観る価値がない。

ちなみに、私の目当てはキム・ボドゥニアクリストファー・ヨーネル。偶然にもスラッコ・ラボヴィックが出演していて、キム・ボドゥニアと「プッシャー」での立場が逆転したような役柄は個人的には面白かったが、クリストファー・ヨーネルは完全にミスキャスト。この方顔色が悪いから神経衰弱していく役は適役だが、本作のような麻薬中毒者は性に合わない。悪役にも成りきれていない。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/12
関連記事

257. アリラン <2011/韓> ★★★★★

arirang.jpg
Arirang
2011/100min/韓国
ドキュメンタリー
制作/監督/脚本/出演/編集/音楽:キム・ギドク
IMDb評価:7.3/10


衝撃度 ★★★★★
哲学度 ★★★★
社会度 ★★★


第12回(2011)東京フィルメックス・オープニング作品として決定しました。配給ついてますね。公開されることをほんとにうれしく思う。(2011/9/15)


2008年の「悲夢」の後忽然と姿を消してしまったキム・ギドク監督。本作はその3年の沈黙を破り、突如カンヌ映画祭「ある視点」部門に出品し、賞まで撮ってしまった衝撃作である。「2008年の『非夢』以後映画を撮れなかったが、私が私を撮るためにドキュメンタリーでもありドラマでもありファンタジーでもあるこの作品を撮った」と監督ご本人は劇中紹介されている。3年もの間、映画を撮れなかった決定的な理由が述べられ、自身の15本の映画を振り返りながら、“映画とは何か”を問答形式で解いていく監督初のドキュメンタリー作品。

arirang1.jpg監督自らが書き上げた脚本をご本人が演じ、監督、制作、映像、音楽も全て自らが担当している。それゆえに特殊な作品であり、過去の15作品とは全く異なるスタイル。山奥に1人引きこもり、自給自足の生活を送りながら、このままでいいのかと叱咤激励する叱るキム・ギドクと、傷つき情熱を失ったキム・ギドクの対談形式になっている。そして、それを冷静に見つめる傍観者キム・ギドクの1人三役。とてもユニークな構成になっている。質素ながらどことなくこだわりの感じられる食事。エスプレッソマシーンまで作ってしまう器用さはさすが。私も機械いじりや分解が好きなので、かなり興味深かった。

「アリラン」とは韓国で古くから愛されている民謡で、旅人が峠を越える時の辛さと困難を歌ったもので、監督ご自身がこの3年間経験した苦悩を重ね合わせている。“「アリラン」は辛い時悲しい時淋しい時に韓国人が歌う民謡であり、この歌を歌うと自分の思いが全て理解できるような気がする。”と語る監督は時折、目に涙を浮かべ、カメラ目線で熱く語る思いに私も自然と何度も涙した。1人三役を演じることで、客観的に自身の心境を分析し、告白してしまうとは、やはり監督はタダ者ではない。
叱咤激励するキム・ギドクは待ち望むファンそのものであり、ファンが知りたいことを全て質問してくれている。その期待に応えられず弱気なキム・ギドクを見るのはあまりにも辛かった。ギドク作品はいつも何度観ても痛みを伴うが、本作は拳銃で心臓を撃ち抜かれたような痛みを感じ息苦しい告白であった。

arirang2.jpgファンの方なら、“今まで何してたの?”“何があったの?”“次回作は?”と気になっていることでしょう。2人のキム・ギドク対談という形で、この3年間の心境や今後のことが包み隠さず語られる。その中でも韓国で波紋を呼んでいる“3年間映画を撮れなかった決定的な理由”が一番のメインであろう。2008年の「悲夢」当時、女優の意図せぬ事故と後輩映画監督の裏切り行為など、実名暴露で語られている。本人ならずとも、かなり衝撃的な暴露内容であるが、それ以上に監督らしいブラックの効いたものすごい強烈な結末に導いている。実名暴露された監督の心中察するに余るものがある。そして、韓国映画界を真正面から批判した発言も含まれている。本作では言及していないが、制作作品「豊山犬」での新しい制作方法(収益がギャラとして支払われるシステム)が裏付けとなるであろう。無言の韓国映画界への批判と取れる。

語られるのは批判ばかりではない。キム・ギドクの思想や哲学も語られ、ファンならば満足度の高い作品。集大成として観ることもできる。
カンヌ映画祭での本作の上映の様子を動画で観たが、ヨーロッパでは絶大な人気を誇るだけあって、上映前から爆発的な拍手で迎えられていたことをうれしく思う。“面白くないと言われても映画を撮りたい。映画を撮っている瞬間が一番幸せなんだ。”と前向きな発言に新作での帰還が待ち焦がれる。
過去に撮った15作品のこと、出演俳優などについて語られるため、観たことのない人には退屈そのもの。
ギドクファンしか観ないであろう作品だが、数作品観て苦手意識を持っている方にもぜひとも観ていただきたい。きっと印象が変わるであろう。

なお、本作は問題作とされ、韓国での公開は今のところ予定されていない。内容を加味すると日本での集客は見込めないであろう。映画祭あたりの公開に留まってしまうか。

<鑑賞> 字幕なし 聞き取り80% 2011/8/19、28
[サイト内タグ検索] 日本未公開 キム・ギドク監督
関連記事

256. 豊山犬 <2011/韓> ★★★

豊山豊山犬
2011/121min/韓国
ドラマ、アクション
製作:キム・ギドク
監督:チョン・ジェホン「ビューティフル」(長編2作目)
出演:ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス、ハン・ギジュン、チョ・ムソン、チェ・ミョンス、オダギリ・ジョー(カメオ)
IMDb評価:6.9/10

ゴア度 ★★
社会度 ★★
哲学度 ★

アリラン」公開は無理だと思うけど、これは日本公開するでしょう。
第12回(2011)東京フィルメックス・コンペティション出品
アリラン」 はオープニング作品として決定しました。(2011/9/15)


休戦線を越えてソウルから平安まで何でも3時間で配達する正体不明の男(ユン・ケサン)。今回は品物ではない人を連れて来いという、史上最初のミッションを受けた。彼女はまさに南韓に亡命した北韓高位層幹部の愛人、イノク(キム・キュリ)だ。
ふたりは鉄条網を越えて微妙な感情を感じるようになり、これに気づいた“南韓要員“たちは、彼たちに危ない提案をしてくる。
一方、南亡命を処断するためにソウルに滞在していた“北韓スパイ集団“はイノクを拉致する計画まで立てて、彼らを取り囲む予断を許さない作戦が始まるが…@innolife

豊山1 監督は数多くいらっしゃるキム・ギドク師団の1人。「ビューティフル」に続く2作目となる。キム・ギドクが製作と聞いただけで観ないわけにはいかない。監督はOST全曲の作曲も手掛け、俳優達だけでなくスタッフもノーギャラで映画に参加、「映画は映画だ」の出演俳優ソ・ジソプ、カン・ジファンも出資参加し、“投資家”という形をとっている。全ての人が本作で発生する収益に対する持分を持っていることになる。映画仲間の裏切りで3年もの間ひきこもりになってしまったキム・ギドクが考え出したこの制作方法は、作品に対する皆の情熱がなければ成り立たない。俳優たちのノーギャラはホン・サンス監督作品にはよくあることだが、スタッフまでノーギャラはロードショー公開作品では初の試み。キム・ギドク監督に対する信頼と協力をうれしく思う。

制作方法以上に驚きなのが、キム・ギドク製作、そし南北分断という重い素材を扱っていながら大衆作品だということ。拷問や殺し合いシーンにはギドクらしい残虐さが感じられるが、思わず笑ってしまうようなユーモラス場面もあり、私の大好きなチェ・ミョンスがまさにハマリ役。従来のギドク作品のような体の底から湧きあがってくる社会への怒りや痛みを全面に押し出すような作品ではなく、南北統一への切実な願いが込められているような気がした。それは新作「アリラン」で暴露した出来事による傷心が原因なのだろうか。角がとれ丸くなったというより、哀しみに満ちている。結果的には内容的にも演出的にも多くの人に受け入れられる作品に仕上がっている。キム・ギドク監督復帰作がカンヌで受賞したことも後押ししていると思うが、ギドク作品としてはヒットし、超低予算(2億ウォン程度)なのでたった3日間で製作費を回収できてしまったというのも納得である。

豊山2“豊山犬”とは北朝鮮原産の狩猟用犬種で、特徴としては、警戒心が強く、一人の主人にのみ忠実だという。ユン・ゲサン演じる主人公は“豊山犬”というニックネームを持ち、猟犬のごとく主人の指令一つで北と南を行き来する正体不明の男である。話せないのか話さないのかは不明だが、一言も言葉を発しない。劇中でも北出身なのか南出身なのかが論点になっており、正体がバレルことを恐れ、敢えて言葉を発しないように見える。言葉を発する代わりに“豊山犬”という銘柄の北朝鮮の煙草を吸い、ベールに包まれたキャラクターを効果的に演出している。この煙草はタール含有量30㎎でかなり強いそうだ。涼しい顔をして吸う姿も不思議とタフな男に見えてくる。

前半は軍事境界線を行き来する緊張感とスピード感で息つく暇なく見せられるが、中盤から急に失速。いつの間にかラブストーリーが軸の展開になっている。2人が惹かれ合う様子をもう少し掘り下げないと無理がある。そして、キム・ギドクファンとしては、ストレートすぎる愛の形やありふれた表現方法にも不満を感じてしまう。「ビューティフル」で見せてくれたオリジナリティーある作品を撮ってくれることを願いたい。

キム・ギドク監督といえば多くの作品で一言も発しない人物を主人公に据えている。「悪い男」のチョ・ジェヒョン、「うつせみ」のチェヒ、「弓」のチョン・ソンファンやハン・ヨルム、「ブレス」のチャン・チェンに続いて本作でのユン・ゲサンの表情と息づかいだけの卓越した演技は見事。私自身、アイドル時代の大ファンであり、全盛期時代を知っている者としては全裸を直視するのには恥ずかしさもあったが、本作でアイドルのイメージが完全に払拭された。(私の嫌いな)キム・ギュりもたった2日間で消化したという完璧な北朝鮮訛りで熱演。

<鑑賞> 聞き取り80% 2011/8/18
関連記事

(未) Little White Lies <2010/仏> ★★☆

uso.jpg
Les petits mouchoirs
2010/154min/フランス
コメディー、ドラマ
監督/脚本:ギョーム・カネ(監督長編3作目)
出演:フランソワ・クリュゼ、マリオン・コティヤール、ブノワ・マジメル、ジル・ルルーシュ、ジャン・デュジャルダン
IMDb評価:7.1/10


衝撃度 ★
涙催度 ★
笑い度 ★★
ブラック度 なし



uso1.jpg30代という人生の節目の男女たちが、毎年恒例の海辺でのヴァカンスで友情を再確認する物語。広島とか津波が台詞に含まれていたので、日本公開が遅れているのでしょうか。このメンバーだったら日本公開すると思うので、あらすじや詳しい内容は伏せておきます。冒頭が一番面白く、何も知らずに観た方がいいので。

監督は本作が3作目となるギョーム・カネ。プライベートでのパートナー、マリオン・コティヤールを筆頭に長年の友人たちに出演を依頼し、自然な表情が引き出されている。監督自身の経験を少しずつ各キャラクターに投影したという。が、この手のただの友情ストーリーで2時間半は長い!食事し、海で遊び、お酒を楽しむといった別荘でのありふれた出来事を2時間も引っ張られるのはしんどい。仲のいい友人達を集めて、思い出をフィルムに収めておこう的なホームビデオをだらだら見せられてる気分になる。ホームビデオって本人たちがあとで懐かしむために撮るものでしょ。結局は自己満足にしか思えない作品。でも、その分監督の温かい眼差しを強く感じる作品でもある。

uso2.jpg英題は“罪のない嘘”。“嘘”を主題として観てしまったら、綺麗に収まっていこうとする終盤(ハッピーエンドという意味ではない)に違和感を感じ、収拾のつかないエンディングにもがいてしまった。と思ったら、原題は“小さなティッシュ”だとか。タイトルによって全然印象が違う。英題を知らずに観ていたら素直に泣けたかもしれない。“嘘”なんて言われてしまうと、ひねくれた姿勢で観てしまう。
でも嘘というよりは、“見栄とか意地”と言ったほうっがしっくりくる内容。いっそのこと、人間の嫌な部分が明るみになっていくようなのを描いて欲しかったが、監督が描こうとしたことと私の期待することがあまりにも違いすぎたということだろう。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/13
関連記事

170. 人を探します <2009/韓> ★★★★☆

person4.jpg
人を探します 사람을 차습니다/Missing Person
2008/95min/韓国
ドラマ、スリラー
監督/脚本:イ・ソ(監督デビュー作)
出演:チェ・ミョンス、キム・ギュナム、ペク・チニ
受賞:
2009 第50回 ギリシャ テッサロニキ国際映画祭 特別芸術貢献賞
2009 第10回 全州国際映画祭 JJ-Star賞

衝撃度 ★★★★
社会度 ★★★
ゴア度 ★★ 




ウォニョンは町で不動産を営み、副業として犬探しをしている。知的障害者キュナムは“犬を探しています”のビラを電信柱や壁に貼り生計を立てている。町内で続けて子犬が消える事件が発生し、人間まで姿を消え始める。知的障害者キュナムは“人を探しています”のビラ貼りの仕事も依頼される。しかし、一連の失踪事件の犯人としてキュナムを疑ったウォニョンは家を訪ねると、みじめな生活を目撃する…。

person2.jpg監督は、チョ・スンウ主演の「マラソン」の助監督をされていた方で本作がデビュー作品となる。主演は私の大好きなチェ・ミョンス。いつもながらオーバーな演技はまたいい味を出しているが、それ以上にインパクトが強いのがキュナム役の俳優さん。失礼ながら、貧相な風貌はキャラクター作りなのかと思ったら、舞台俳優の方でこういう風貌の持ち主のよう。本作の面白さは脚本だけではなく、キャラクターにどんぴしゃな彼の独特な風貌のおかげでもある。

不動産屋のウォンヨンは、昼間から友人らと花札で遊び、妻と子二人いながら、愛人、更に女子高生とも関係を持つ。愛人や不動産のお客に不満を感じた時、知的障害者キュナムを呼び付け虐待をし、ストレスの捌け口にしている。虐待の仕方も、ただ殴る蹴るだけではなく、犬のように4つん場にさせ、首輪をつけたり格好をさせ吠えさせてみたり、扱い方はひどい。さらに、花札仲間はそんな暴力を見て見ぬフリをするといった状況。ウォンヨンはこの地域では親分的存在であり、誰も逆らえない。そんな上下関係が物語の背景となっている。

person3.jpg知的障害のキョナムはウォンヨンから“犬探し”のチラシ貼りの仕事をもらっているが、次々と犬が失踪する事件が相次ぐ。実はキョナムが犬を誘拐していたのである。結果、チラシ貼りの仕事は増え、誘拐した犬たちと廃屋で同居生活を始めるようになる。ウォンヨンには犬扱いをされているキョナムだが、住んでいる廃屋には相応しくない立派な犬小屋を建て、犬を敬うかのように暮らしているのである。4つん場になり自分までドックフードを食べる姿は衝撃的である。次第に人間たちまで消えるようになり、“人を探しています”のチラシ貼りの仕事もするようになったことからこのタイトルがついている。

犬の失踪も人間の失踪もウォンヨンの指示なのかキョナムの独断なのかは最後まで不明だが、真相がわからないところに怖さがある。そして、キョナムは言葉を発しないが、おそらく話せないのではなく、話さないだけである。労働者であり障害者のキョナムが話したって誰も聞く耳を持たないからであろう。物事を理解していないような雰囲気を醸し出しつつ、実は全てを見抜いていたと思われる。話さない分焙り出すように描くキョナムの心理には恐怖を感じる。

社会の根底にあるファミリー的な上下関係、障害者や労働者への差別意識を浮かび上がらせ、そういった意識の上で成り立つ社会的構図への批判を描いている。飼い犬に手を噛まれる的な結末はキム・ギドク作品のように何だか癖になる作品。万人向けではないが、日本未発表とは惜しい。次回作の話を聞かないが、期待度の高い監督さんである。

<鑑賞> 字幕なし2010/4/20、字幕なし2011/8/27
初版:2010/4/21
最新版:2011/9/10

[サイト内タグ検索] 日本未公開 チェ・ミョンス ペク・チニ
関連記事

(未) Pusher <2010/UK> ★★★

pusher2-1.jpg
Pusher
2010/107min/UK
犯罪
監督/脚本/出演:Assad Raja
脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:Mahima Chaudhry、Marc Anwar、パーシャ・ボカリー
言語:ヒンドゥ語、英語
IMDb評価:6.8/10

スリル度 ★★★
ゴア度 ★★★
衝撃度 ★★
社会度 ★★




デンマークのニコラス・ウィンディング・レフン監督デビュー作「プッシャー」のリメイク版。
本作では舞台をコペンハーゲンからロンドンに移し、核となる登場人物はインド人でヒンドゥ語で演じている。キャラクター名をインド人の名前に変えたり、BGMがインド音楽になった程度のマイナーチェンジと終盤以外は、英語字幕の台詞や立ち位置に至るまでオリジナルとほとんど同じであるが、オリジナルとは少々違う印象を受ける。

バー、部屋、刑務所、ナイトクラブといったフランク(オリジナルの主人公)の行く場所は全て狭く、小汚く、薄暗い。いかにも裏社会といった雰囲気で、一般に生活していたらおそらく関わることがないような場所であった。本作での主人公もフランクと同じ行動パターンであるが、無駄に広い部屋のスペース、バーにあるビリヤード台、明るい照明、窓から入る日差しなどの存在だけで緊迫感は緩み、裏社会を覗いているような印象がなくなる。

オリジナルと大きく違う点は終盤で父親のエピソードが挿入され、母親と疎遠になった理由等々が述べられている点である。個人的には犯罪映画に家族のエピソードは余分だと思っているが、それはインドらしいユーモアなのだろうか。主人公に抱く感情が180度変わり、情に涙させられそうになった。とことんオリジナルのフランクがかわいそうに思えてくる。
ところがエンディングは、オリジナルのように余韻に浸らせたか、本作のように描き切ってしまったかの違いで同じ結末を迎えている。不思議と途中の家族のエピソードの有無で主人公に向ける思いも異なってくる。

あまりにもインパクトがありすぎるオリジナルの主人公フランクとそのボスであるミロの迫力を越えられるわけもなく、やはり見劣りしてしまう。貫録不足といったところだろうか。ドラッグの試し方も素人っぽい。オリジナルを見ていなければ楽しめたかもしれないが、リメイクって難しいよね。
pusher2-3.jpgpusher2-2.jpg

<鑑賞>英語字幕 2011/9/10
関連記事

プッシャー <1996/デンマーク> ★★★★☆

pusher_20110909102001.jpgPusher
1996/105min/デンマーク
犯罪、スリラー
監督/脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン(監督デビュー作)
撮影:モーテン・ソーボー
出演:キム・ボドゥニアズラッコ・ブリッチマッツ・ミケルセン、ローラ・ドライスベイク、スラッコ・ラボヴィックペーター・アンデション
IMDb評価:7.4/10

スリル度 ★★★★
ゴア度 ★★
衝撃度 ★★
社会度 ★★



pusher1_20110909102001.jpgコペンハーゲン。ヤリ手の麻薬密売人(=プッシャー)フランクは、ボスのミロから受けた仕事を相棒のトニーと一緒にこなしては金儲けをしていた。ある時、大口の取引をするため、ミロに多額の借金をしたフランクだったが、運悪く警察の手入れが入り失敗してしまう。すぐに釈放にはなったが、ミロからは借金返済を執拗に迫られ……。(allcinema)

監督は本作がデビュー作で代表作。日本でソフト化されている内の1本である。私はデンマーク犯罪映画の最高傑作だと思っている。マッツ・ミケルセンの長編デビュー作でもあり、3部作となっていて、2作目はマッツが主演となっている。
撮影はモーテン・ソーボー。後にスザンネ・ベア作品でも大活躍されているが、デンマーク映画を追っかけているとほんとによく耳にするお名前。
本作はAssad Raja監督「Pusher(2010/UK)」ヒンドゥ語によってリメイクされ、更にLuis Prieto監督(2012/UK)、リチャード・コイル主演にてリメイクが予定されている。

pusher2_20110909102147.jpgドラック密売人フランクのある1週間に密着し、ドキュメンタリータッチで描かれる。濃厚で命がけな一週間はかなり興味深く、手持ちカメラによる撮影のため、同行しているかのような臨場感が味わえ、かなりスリリング。演技に注目しながら観直してみたが、即興でやっているようなリアルさと恐怖がある。主演のキム・ボドゥニアとミロ役のズラッコ・ブリッチが適役。

フランクは道を歩いているだけで商売の声がかかる。客からの要求がかかるとボスのミロのところへドラッグの調達に行き、客とは路上で現金と交換。その足でミロへ支払に行くといったシステム。仲介費が自分の稼ぎになるが、万が一お金を貰いそびれれば、それが借金となって積み重なっていく。その日暮らしをしているフランクにはまとまった金もなく、こんな商売のやり方をしていたら借金地獄にはまっていくのは素人でもわかるのに、足を洗うことができないのか、それとももう社会復帰は無理なのか、毎日危ない橋を渡り続けている。 観ているこちら側もかなりヒヤっとさせられる瞬間があり、生きた心地がしない。

警察も怖いが、それよりも仲間の裏切りが命取りとなる。更に、借金の取り立てが怖い。返す目処のないフランクの引きつった表情のリアルさにこちらも硬直してしまう。常に死の危険がつきまとい、孤立無援になり落ちぶれ、結局フランクは得る物がない。あまりにも悲しい世界。意図的に余韻を残した終わり方がまたもや悲しい。

<鑑賞> 英語字幕 2010/11/12、英語字幕 2011/9/10
初版:2010/11/13
最新版:2011/9/10

関連記事

(未) Bronson <2008/UK> ★★★

独房生活30年!壮絶な人生を送ったクレイジーな囚人の実録映画 - シネマトゥデイ


bronson.jpg
Bronson
2008/92min/UK
伝記、犯罪
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン(監督7作目)
出演:トム・ハーディ、ケリー・アダムス
IMDb評価:6.8/10


ゴア度 ★
映像美 ★★★
社会度 なし
哲学度 なし





bronson1.jpg34年間の刑務所生活のうち30年を独房で過ごし、今もなお服役中であるイギリスで最も凶暴な囚人“チャールズ・ブロンソン”ことマイケル・ピーターソンを題材にした作品。アメリカの俳優からついたあだ名だそうだ。
前半ではチャールズ自身が他人にどう思ってほしいか、中盤では一時刑務所から出所した時に感じた社会に対しての想像と現実のギャップ、終盤では周囲の目に映るチャールズの姿が描かれている。



bronson4.jpg監督はライアン・ゴズリング主演の「Drive」でカンヌ映画祭にて監督賞を取ったデンマークのニコラス・ウィンディング・レフン監督。日本では2作品しかソフト化していないのは残念。犯罪映画を描かせたらこの監督以上の人はいないと思っているほど一押し。この方の作品に女性はほとんど登場せず、メインストーリーにも絡んでこない。そして、主演のキャラクターは驚くほど魅力的に引き出され、すごい存在感を放つ。本作でのトム・ハーディもカメレオン的な演技でかなりぶっ飛んでる。一気にファンになってしまった。全裸で挑んだ度胸もすごい。
本音はマッツ・ミケルセンかキム・ボドゥニア器用でデンマーク映画として作って欲しかったが、監督はもはやもう国内に留まる存在ではなくなってしまったね。「Drive」に引き続き「Only God Forgives」でもライアン・ゴズリングを主演に迎えている。

bronson2.jpgイギリスで最も凶暴だという“チャールズ・ブロンソン”は人殺しはしていない。喧嘩っ早く、すぐに暴れ回り、その度に独房にぶち込まれることの繰り返し。その暴力シーンが最大の見せ場になっている。看守が4,5人いないと抑え込めないほど、猛獣のように暴れまくり、時には睡眠薬をお尻に注射されたりもする。殴る音は80年代のポップスやクラシック音楽でかき消され、ゴア度が低めなのは好印象。女性でも観やすい作りになっている。そして、映像がとてもユニーク。シンメトリー的な構図、スローモーション、色使いなどがシーンごとに違い、目で楽しめる。どこか浮世離れし、芸術性を意識した映像には独特な世界観が広がる。
bronson3.jpg
可愛らしいアニメーションの挿入も極悪囚人キャラクターとのギャップがあって面白いが、一番すごいと思ったのが、自身の人生を1人舞台で観客に独白するシーン。真っ暗な舞台に自分にだけスポットライトが当てられ、観客誰しもが注目を寄せ、演技に自信がないと成り立たない難しいシーンであるが、顔の筋肉が自由自在に動き、どんな表情も可能。表情一つで全ての感情を表現している。女性役もこなし、しなやかな動きまで披露している。この人にできない役はないことを証明しているようなもの。もう怖いものなしってオーラがでてる。イギリスアクセントが強くて、半分程度しか内容が把握できなかったのが残念ではあるが、この1人舞台演技を見れただけで満足。

<鑑賞>2011/9/8

関連記事

(未) ウェンディ&ルーシー <2008/米> ★★★★

wendy.jpg
Wendy and Lucy
2008/80min
ドラマ
原作:ジョナサン・レイモンドの短編小説
監督/脚本:ケリー・ライヒャルト(Kelly Reichardt)(長編4作目)
出演: ミシェル・ウィリアムズ、ウォーリー・ダルトン、Lucy、David Koppell
IMDb評価:7.1/10


社会度 ★★
催涙度 ★
ゴア度 なし




wendy1.jpg仕事を求めて、愛犬ルーシーと車でアラスカへ向かうウェンディ。ところが途中のオレゴンで車が故障し、旅は一時中断。所持金を少しでも残しておきたい彼女はドッグ・フードを万引きしてしまい、警察に連行されてしまう。長い拘留後に彼女は釈放されるが、店の外に繋いでおいたルーシーの姿は消えていた。なけなしのお金で車を修理に出し、野宿をしながら必死に愛犬を捜すウェンディだったが…。@シネフィル

ケリー・ライヒャルト監督のオレゴン3部作の2作目。ミシェル・ウィリアムズ演じるウェンディーはホームレスの役柄であり、撮影期間中お風呂に入らず、ノーメイクで挑んだという。とことんシンプルさを追究したストーリーは彼女の演技なしでは成立しなかったと思わせるほどの演技を見せている。ルーシー役の犬は監督が飼われている犬であり、監督3部作の1作目にも出演している。

ウェンディーはとことん運が悪い。家もなく職もないのに、兼住居であり交通手段の車は故障し、唯一の心の支えである愛犬ルーシーもいなくなり、不安要素ばかりが積み重なる。それは個人主義集団のアメリカで生きる不安の象徴ともいえるだろう。ウェンディー+愛犬ルーシーの“旅の過程”に焦点を当てているが、困難でなかなか前に進めない。しかし、差し当たって大事件が起こるわけでもなく、生きていれば、この程度の困難はつきものである。誰にでも起こり得る出来事を解決する過程はごく普通だが、リアルなアメリカの姿が投影されている。

wendy2.jpg韓国映画で犬が登場すると、間違いなく催涙性が高く、みえみえの演出に嫌気がさすことが多い。アメリカだとディズニー系のような感動系(?)がすぐに頭に浮かぶが、泣く気にもなれないほど厳しい現実や個人の力ではどうにもならない人間の弱さを突きつけられる。ウェンディーの鼻歌以外音楽はなく、静かにしかも淡々とストーリーは進むが、女性1人で生きることの難しさや無防備でいることの危険さも伝わってくる。

監督は、05年のハリケーン・カトリーナで家や家族を失った人たちがゼロから再出発する人々のことを考えている時にこの物語に巡り合ったという。主人公ルーシーの背景は描かれず、災害の犠牲者なのかどうかもわからない。もしかしたら、大恐慌以来最悪と言われるアメリカの不況に大打撃を受け、職を求めてアラスカを目指しているのかもしれない。しかし、旅はここからという所でストーリは唐突に終わってしまう。
私の目には、ウェンディーは全てを失ったというより、全てを投げ捨てたキャラクターで、過去を断ち切り新たな生活を求めてアラスカを目指しているように映るが、解釈は観客の想像に委ねられている。

面白いのが、本作を憂鬱映画だという人が多いということ。私は過去の自分とは断ち切り、前に進もうとする姿に力強さを感じた。結末を前向きに捉えているが、本作で号泣したという人たちの琴線はどこだったのだろうか。

<鑑賞> 2011/9/5
[サイト内タグ検索] ミシェル・ウィリアムズ
関連記事

ログアウト (英題:Suicide Room) <2011/ポーランド> ★★★★

room.jpg
Sala samobójców/Suicide Room
2011/110min/ポーランド
ドラマ
監督/脚本:監督・脚本 ヤン・コマサ(Jan Komasa)
出演:ヤコブ・ギエルシュザル、ロマ・ガシオロウスカ、Agata Kulesza、クシシュトフ・ピチェンスキ
IMDb評価:6.6/10


社会度 ★★★★
哲学度 ★★
ゴア度 なし




room1.jpg明るく友好的な性格のドミニクの周りにはいつも友達が絶えない。裕福な家庭に育った彼は両親にオペラやバレエの公演に連れて行かれるが全く興味はない。家庭のことはお手伝いさんがやり、両親はハイソな人たちとのパーティーやらで不在が多く、ドミニクのことを何も知らない。実はゲイであるドミニクは柔道の授業の寝技で思わず射精してしまう。周囲の友人たちにからかわれ、恥ずかしくすぐさま家に帰るが、ネット上ではその話で持ち切りとなってしまった。ネット中傷に耐えられなくなったドミニクは部屋に閉じこもり、不登校になるが親は気付かない。何日も部屋にこもったままのドミニクを心配しているのは家政婦だけ。両親に相談したくても、ろくに家に帰ってこない。警察に連絡し、ドアを開けてもらうと、リストカットをしたドミニクが横たわっていた…。

ポーランド映画というと、監督の高齢化が進み、未だに戦争による翻弄を描いたものが多い気がする。日本と同じでポーランドも戦争を知らない世代が多くなり、忘れ去られようとしているという。もちろん忘れてはいけない歴史を描いてくれる高齢の監督には敬意を示したいが、ようやく現代を生きる新世代が現れた印象。現代のワルシャワを舞台に、ネット社会が子どもに及ぼす影響の怖さを描いている。監督は1981生まれで私と同世代。子どもの時ネットや今のような小型携帯はなく、大学生の頃ようやく普及し始めた。はっきり言って親の目が届かない所で何でもできてしまう。近年、日本でもネット絡みの犯罪やトラブルが多いが、国は違えど同じ問題提起をしている。

room2.jpg両親はダブル不倫で家庭を省みない。お金だけ与えていれば子は立派に育つと思っている。それなのに、社交界には連れて行き、仲の良い家族を装う偽善者。一見幸せそうに見えても、みんな悩みや秘密を抱えているんだよね。
一方ドミニクは、寝ても覚めてもスマホやネットに依存している現代を象徴するような高校生。学校でもPCを広げて、仲間たちと動画サイトを見て楽しんでいる。
両親にゲイであることをカミングアウトをし、歯車が狂い始めてしまった直後の柔道授業での事件。引きこもりを心配してくれるのはお手伝いさんだけであった。幸いこの時の自殺は本気ではなく、未遂に終わっているが、なぜ自殺行為に至ったのかを親は考える必要があることを訴えている。

中傷に傷つき部屋に引きこもるドミニクはネット上でアバターを作成し、ある女性とチャットを始める。そのチャットルーム名“Suicide Room(自殺ルーム)”がタイトルの由来になっている。チャットルーム名も刺激的だが、ネットケーブルだけで繋がっている人間関係の怖さを容赦なく描いている。現実に起こり得る話だからこそリアルで、ゾッとする結末に慄いてしまった。私が知らないだけで、既に邦画でも描かれていそうな題材ではあるが、日本のみならず世界共通の社会問題。希薄になった人間関係、子どもに耳を傾けない大人、話を聞いてくれる人としかコミュニケーションを取らない若者への警告でもある。

room3.jpg
ネット上のアバター2人がキスをしながら水中に沈む幻想的なシーンで日本の歌が使用されている。
Chouchou(シュシュ)という2人組音楽ユニットの曲「sign 0」だそうだ。メロディーだけでなく、漂流している若者たちの思いを代弁しているかのような歌詞も映画の内容とマッチしていて不思議な空間となっていた。

<鑑賞>英語字幕 2011/9/6

「sign 0」の歌詞
例えば今世界が終わり私の名がかき消されたら 探して空を探して風を

夢に見たのは青色の鳥落とした羽かき集めたわ 探して記憶を残して明日を

ああ目を閉じて浮かぶのはあの時見た最後の月 覚えていて夜が明ける前に来て私の名を呼んで

夢に見たのは満開の花甘い香りを閉じ込めたわ 残して声を残して言葉を

ああ甘い夢見ているわもうずっとずっと いつかの月に照らされた光の線に沿って

ああ今夢の続きを見ている




[サイト内タグ検索] クシシュトフ・ピチェンスキ
関連記事

258. 夢精愛 <2011/韓> ★

dream.jpg
몽정애/夢精愛
2011/70min/韓国
ロマンス、ドラマ
監督:イ・スンファン
出演:チョン・ソンフン、ユ・オクジュ




超簡単に。






韓国の地方出張に行くと日本のようなビジネスホテルはなく、大抵がラブホテル兼ビジネスホテルだったり、よくても元ラブホのビジネスホテルだったりする。ハート形のお風呂に面食らったこともある。アダルトビデオも部屋のテレビで普通に観れてしまったりするわけで、ドラマか映画だと思って見てみたら実はアダルトビデオだった…って経験が何度かある。ちゃんとしたストーリーの中にちょっとベッドシーンが多めな程度なので、はっきり言って、無名俳優ばかりで出演のインディーズ映画なのかアダルトビデオなのか区別がつきにくい。本作もそんな作品だった。不安になって韓国映画サイトで調べてみたら、ちゃんとありました。アダルトじゃないみたい。よかった…。

dream1.jpg旦那は失業中。キャリアウーマンの妻は出張やら会議やらで不在が多く、夫婦生活もご無沙汰。ある日から、ある女性が夢に出てくるようになり、セックスをするようになったが、誰なのかわからない。そこで、こんなキャッチフレーズがついている。

夢、愛、そしてセックス
私は夢を見ながらセックスをする


どこまでが現実で、どこからが夢なのか境界線が曖昧だが、終盤で明らかになり、ちゃんとオチまである。ストーリーはそこそこ面白かったが、男性目線で撮影されており、趣味の悪い盗撮を見ている気分にさせられる。低予算だろうから仕方ないが、特に回想シーンはものすごく安っぽい。卒業制作でももう少しレベルが高い。

韓国の映画サイトでの評価が、女性平均8.5、男性平均5.5だった。女性のほうが高いとは驚き。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/6
[サイト内タグ検索] 日本未公開
関連記事

南から来た女 (原題:Lifting de corazón) <2007/アルゼンチン=西> ★★★☆

lifting.jpg
Lifting de corazón/Heartlift
2005/94min/アルゼンチン=スペイン
コメディー、ドラマ、ロマンス
監督:エリセオ・スビエラ
出演:ペップ・マンネ、マリアナ・アンヒエーリ、マリア・バランコ、アルトゥーロ・ボーニン
IMDb評価:5.6/10

ブラック度 ★★
哲学度 ★★★
官能度 ★★★
邦題のセンス ん~




lifting1.jpg美しい妻と子供に囲まれて順風満帆の人生を送るセビリアの美容整形外科医アントニオは、学会で出張したブエノスアイレスで若くて魅力的な女性デリアと出会い、恋に落ちてしまう。情熱的なロマンスに溺れ、スペインに帰国しても元の生活に戻ることができないアントニオは…。@シネフィル

アルゼンチン出身のエリセオ・スビエラ監督、性のストレートな描き方には若干苦手意識がある。IMDb評価がかなり低いのは、監督の持ち味であるブラック要素が控えめだからなのか。かえって私には好印象であった。不倫が題材とはいえ、普遍的な“老い”というテーマを描いており、この監督には珍しくかなりまともな内容。
主演は(私の好きな)ペップ・マンネ。シネフィル放送作品だと、ルイス・プエンソ監督「娼婦と鯨」での夫役。

lifting2.jpg大学で教壇に立ち、海外の学会でも発表するほど整形外科医としての名声を築いているアントニオ。患者の気持ちと、時間と共に衰えていく容姿の怖さを一番によくわかっている人物でもある。しかし、倫理的に悩む一面も見せている。

患者の願いは時間を遡ることで、医師にできることは手を貸すことだが、それが倫理的といえるのか
大衆文化による影響を考える必要がある 
自然の要求なのか他人の目を気にしてのことなのか
だが、美貌を賛美する風潮が広がったことで整形外科の可能性も広がった


アントニオは、娘の妊娠を知り、祖父になる喜びを感じる一方、老いを感じていた。もう1人子どもを作ろうと妻に打診するが、年寄りの母親より若いおばあちゃんのほうがいいと断られてしまう。そんな時に出張先で出会ってしまった若く魅力的な女性。すぐに恋に落ち、溺れていくが、結局は自身の老いを再確認するだけであった。

倫理的観点との矛盾に悩まされながら、揺れる思いを巧みに描いている。数日前に再アップしたキム・ギドク作品「絶対の愛(原題:時間)」では、整形手術によって時間を巻き戻そうとする女性への皮肉や整形外科医の意義を描いているが、本作は男性整形外科医の視点による自身の“老い”がテーマである。作風もアプローチの仕方も全く異なるのに、結論の落とし所が同じであるところが面白い。中年男性の揺れる思いに焦点を当てており、ドロドロな泥沼感がないのも好印象。

原題は「中心部を持ちあげる」という意味。アントニオは豊胸手術の名医でもあった。

<鑑賞> シネフィルにて 2011/8/30
[サイト内タグ検索] ペップ・マンネ
関連記事

(未) Whatever Lola Wants <2007/仏=加> ★★

lola.jpg
Whatever Lola Wants
2007/115min/フランス=カナダ
ドラマ
監督/脚本:Nabil Ayouch(長編4作目)
出演:Achmed Akkabi、Milia Ayache、Assaad Bouab
言語:フランス語
IMDb評価:6.7/10


好きな俳優Assaad Bouab が出演していたので、奇跡的最後まで観たが、途中かなりの割合で早送り。
特筆すべきコメントもないので、超簡単に。




lola1.jpgニューヨークでジャズダンスのオーディションを受けるもののなかなか芽が出ないローラ。郵便配達のパートでどうにか生計をたてている。エジプト人の友人の紹介で、ベリーダンスに出会い、魅了されてしまったローラは郵便局に辞表を出し、エジプトへと旅立つ。そして、引退をしたベリーダンサー“イスマハン”に弟子入りをする…。

アリ・ザウーア通り」が良かったので、同監督のこちらを鑑賞したが、同じ監督とは思えないほどの軽い仕上がりにがっかり。世界的に評価された「アリ・ザウーア通り」とは対照的な出来栄えに、本作では何一つ賞を取れていなかったのも納得。中国と韓国では劇場公開している。どこの国にもこういうタイプの映画はあって、何も考えずに軽い気分で観たい時(人?)にはいいのかも。

lola2.jpgアメリカ人女性とエジプト人男性の恋愛における文化や宗教、価値観の違いは面白く観れたが、全て想定内で展開し、先が読めてしまう。結末も私が思っていたまんま。妖艶な踊りがメインなのも、それはそれでいいが、ど素人の私が見てもあまりお上手ではない。いきなり踊り出してしまうインド映画のようなノリも私は苦手。

<鑑賞> 2011/9/2
[サイト内タグ検索] 日本未公開
関連記事

アリ・ザウーア通り <2000/モロッコ=チュニジア=フランス=ベルギー> ★★★☆

ali.jpg
Ali Zaoua
2000/99min/モロッコ=チュニジア=フランス=ベルギー
ドラマ、犯罪
監督/脚本:Nabil Ayouch(長編2作目)
出演:Mounïm Kbab、Mustapha Hansali、Hicham Moussoune、サイード・タグマウイ、 ムハンメド・マジュド
IMDb評価:7.3/10


邦題のセンス なし(アリ・ザウーアは少年の名前。通りって何?)
ゴア度 ほとんどなし
涙催度 ★
社会度 ★★★





ali1.jpgストリートチルドレンのアリの夢は水兵になり、島で母と一緒に暮らすことであった。夢を叶えるべく、まずは知り合った漁師と島に旅立つ前日、アリは親友のクウィータに方位磁針をプレゼントした。方位磁針の針を頼りに自分を訪ねて来て欲しいという。しかしその直後、ストリートチルドレン同志の派閥抗争で、石が頭部に当たり、アリは殺されてしまう。クウィータたちはアリの遺体を埋葬するために奔走する…。

モロッコ人の両親を持ち、フランスで活躍するサイード・タグマウイや(私の大好きな)ムハンメド・マジュドといったベテランが脇を固めている。ストリートチルドレンを演じる子たちは皆演技経験がない。ほんとにストリートチルドレンの子たちなのかは不明だが、表情が豊かでかなりリアリティーのある演技をしている。特に、下写真の男の子の笑顔がいい緩衝材になっている。

ali2.jpgシンナーを吸って空腹を紛らわし、信号待ちの車の窓拭きをしたり、路上で煙草を売って小銭を稼ぎ、コンクリートの上で寝るストリートチルドレン。ほとんどが10歳以下だろうか。親や親戚がいる子もいるが、貧困や暴力、強姦といった理由で親元を離れている現実。見上げるとそびえ立つ高層ビルが虚しい。

確か97年。初めて韓国に行った時のこと。道端でスナックを食べ歩きしていたら一斉に子どもに囲まれ、瞬く間に奪われたことがある。身なりは汚く、今思えばストリートチルドレンだったんだよね。韓国もここ近年めっきり見かけなくなったけど、私が行った事ある国ではインドネシアやマレーシアは結構多い印象を持っている。日本の子どもたちもこういう作品観て、いかに自分たちが恵まれているかを知っておいた方がいい。日本だってこの先どうなるか…。

銃などの武器は一切ないが、ギャングとの派閥抗争はかなりリアル。本作で主軸となるクウィータたちはギャンググループから抜けようとしている勇気ある子どもたち。生き抜く過酷な現実ではなく、彼らの友情物語に重点を置いて描いているところには好感。友達思いのクウィータを中心に、希望を捨てず皆夢を抱き、ポジティブなところには救われる。クウィータはシンナーもやらない。子どもたちの妄想がアニメーションで挿入され、子どもらしいささやかな夢に希望が感じられる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/9/1
[サイト内タグ検索] ムハンメド・マジュド
関連記事

青い部屋の女 <2002/メキシコ> ★★★

azul.jpg
La habitación azul/The Blue Room
2002/105min/メキシコ
ミステリー、ドラマ、ロマンス
監督:ワルテル・ドエネル
原作:ジョルジュ・シムノン
脚本:ビンセント・レニェロ
出演:ホアン・マヌエル・ベルナル、パトリシア・ジャカ、エレナ・アナヤ、マリオ・イヴァン・マルティネス
IMDb評価:6.4/10

官能度 ★★ 
迷宮度 ★★
哲学度 ★★


azul2.jpg
家族を連れて故郷の町に戻ったトーニョは、ともに彼の幼馴染みである夫婦ニコラスとアンドレアと再会。互いに惹かれあったトーニョとアンドレアはホテルの“青い部屋”で密会を重ねるが、ニコラスが急死。多額の保険金を妻に残していた事が判り…@シネフィル・イマジカ

シネフィルで放送中。
あれこれ知らずに観ないと面白くないので、超簡単に。
ネタバレしてません。


azul1.jpg
病弱な夫、妻の不倫、多額の保険金、莫大な遺産といった伏線が張られ、ストーリ的には日本の2時間サスペンスのような不倫を巡る愛憎劇だが、アプローチの仕方がまるで違う。タイトルバックからいきなり始まる濃厚なベッドシーンがあったかと思ったら、その男性は警察に捕まり、事情聴取内容が回想シーンとして使われるといった構成。誰しもが不倫の代償は大きいと思うでしょう。しかしながら、起承転結の転→起→承→結の順に展開するので、安易な考えはすぐに覆される。え、なんで?一体何があったのか?といった興味が一層掻き立てられ、事件解決に乗り出す警察と共に謎解きができる面白さがある。過去と現在が行ったり来たりするが、混乱せず見られる。どんでん返し的なオチも面白い。

余談。今回エレナ・アナヤのヌードはなく、水着姿だけ。ボディーラインは20代とは思えないほどに崩れ切っており、目も当てられない。スーパー銭湯に来ている60代70代のおばさまの体を見ているようだった。今は逆に鍛え上げ過ぎていてムキムキなのも好きではないが、いずれにしても脱ぐ価値がない。同性として恥ずかしい。好きな方ごめんなさい。

<鑑賞>英語字幕 2011/8/16 シネフィルで観ればよかった…
[サイト内タグ検索] エレナ・アナヤ
関連記事

(未) Ondine <2009/アイルランド> ★★★

ondine.jpg
Ondine
2009/111min/アイルランド
ファンタジー、ロマンス、ミステリー
監督:ニール・ジョーダン
撮影:クリストファー・ドイル
出演:コリン・ファレル、アリシア・バックレーダ、トニー・カラン、デヴラ・カーワン、スティーヴン・レイ
IMDb評価:6.8/10

映像美 ★★★
社会度 ★






ondine1.jpgアイルランドの片田舎で漁師をしているシラキュースは、ある日、とんでもないものを自分の網で引き揚げてしまった。それはなんと、美しい女性であった。蘇生を施し、命は取り留めたが、名前すら覚えておらず、“オンディーヌ(水の精)”と呼んで欲しいという。警察にも病院にも行けないという彼女を、亡き母親が残したビーチハウスに住まわせることにした。シラキュースは彼女のために下着をくすね、服を買い与え、急速に2人は親しくなる。漁にも一緒に出かけ、オンディーヌが歌を歌うと、不思議と魚は集まり、この地にはいない魚まで網に引っ掛かるようになった。オンディーヌはほんとに人魚なのか…。

久しぶりのニール・ジョーダン×スティーヴン・レイ&故郷アイルランド舞台。スティーヴン・レイの出番はさほど多くはないが、さすがの存在感。安心してじっくり観られる。主人公Ordine演じるアリシア・バックレーダはコリン・ファレルの実生活のパートナー。そういう事実を知ってしまうと、2人が距離を置いているのがもどかしく思えてしまったりもするが、ほんとにこの世に人魚が存在するのではないかと思わせるほどのハマリ役。

ondine2.jpg吸い寄せられるほどの雄大な自然美、神話的な話を背景に2人のロマンスを軸に展開していく。アイルランドの片田舎で何事も起こりそうにないほど長閑でありながら、過度の飲酒によって崩壊していく労働者階級や復讐、病んだ人間関係を浮かび上がらせ、シリアスな方向へと比重を変えていく。時折見せる緊迫感のギャップがいい。 2人の取り巻く状況は現実とファンタジーの世界を行ったり来たりし、境目は曖昧になっていくが、その世界観もすごいリアル。穏やかにオンディーヌの正体を明かし、加速していく終盤の展開も素晴らしい。

個人的には、現実はこんな甘くないぞと言いたくなってしまうが、そういう私はひねくれ者ということだろうか。素直な人なら、こういった奇跡に救済を求めてみたくなるのかもしれない。

<鑑賞> 聞き取り80% 2011/8/11
[サイト内タグ検索] 日本未公開 スティーヴン・レイ
関連記事
カテゴリ/Category by Countries
ユーザータグ/Tags

日本未公開(236)

 クシシュトフ・キェシロフスキ監督(16)

 キム・ギドク監督(14)

 キム・ボドゥニア(12)

 パディ・コンシダイン(11)

 ヒアム・アッバス(9)

 キム・ギヨン監督(8)

 ニコラス・ウィンディング・レフン監督(7)

 ロマン・ポランスキー監督(7)

 マイケル・ファスベンダー(7)

 アナス・トマス・イェンセン(7)

 ヴァンサン・カッセル(7)

 ハ・ジョンウ(6)

 ピーター・ミュラン(6)

 ミカエル・パーシュブラント(6)

 ステラン・スカルスガルド(6)

 マッツ・ミケルセン(6)

 クリストファー・ヨーネル(6)

 シェーン・メドウス監督(6)

 モーテン・ソーボー(5)

 ジェラール・ドパルデュー(5)

 トゥーレ・リントハート(5)

 ファティ・アキン監督(5)

 ダール・サリム(5)

 マリア・ボネヴィー(5)

 シン・サンオク監督(5)

 マリウス・ホルスト(5)

 アンドレイ・ズビャギンツェフ監督(4)

 イ・チャンドン監督(4)

 ジョセフ・ゴードン=レヴィット(4)

 デイヴィッド・デンシック(4)

 アレクサンドル・ソクーロフ監督(4)

 ウルリッヒ・トムセン(4)

 ラース・ミケルセン(4)

 ヘンリク・プリップ(4)

 カティ・オウティネン(4)

 シャーロット・ランプリング(4)

 アンジェイ・ワイダ監督(4)

 クリスティナ・ヤンダ(4)

 ミシェル・ウィリアムズ(4)

 ドラゴス・ブクル(4)

 ラズヴァン・ラドゥレスク(4)

 シャルロット・ゲンズブール(4)

 グザヴィエ・ドラン監督(4)

 パプリカ・スティーン(4)

 オルジード・ルカセウィッツ(4)

 Jens_Jørn_Spottag(4)

 チェ・ミョンス(4)

 ヤコブ・セーダーグレン(4)

 ムン・ソングン(4)

 チャン・リュ監督(4)

 フルーツ・チャン監督(4)

 イネス・エフロン(4)

 トリーヌ・ディルホム(4)

 レオナルド・スバラグリア(4)

 ミハイル・クリチマン(4)

 ライアン・ゴズリング(4)

 アッバス・キアロスタミ監督(3)

 マジッド・マジディ監督(3)

 キム・シャピロン監督(3)

 スラッコ・ラボヴィック(3)

 ロメイン・ガヴラス監督(3)

 ビョルン・スンクェスト(3)

 リカルド・ダリン(3)

 イーベン・ドールナ(3)

 ソニア・リクター(3)

 ルイス・プエンソ監督(3)

 ノオミ・ラパス(3)

 ギョーム・カネ(3)

 ピルウ・アスベック(3)

 ミョン・ゲナム(3)

 ケイト・マーラ(3)

 アシュラフ・バーホム(3)

 サリー・ホーキンス(3)

 キム・ソヨン監督(3)

 ルイス・トサル(3)

 ブラッドリー・ラスト・グレイ監督(3)

 アレクサンダー・スカルスガルド(3)

 スティーヴン・レイ(3)

 ペップ・マンネ(3)

 オリヴィエ・バーテレミ(3)

 ホン・サンス監督(3)

 ムハンメド・マジュド(3)

 ラース・フォン・トリアー監督(3)

 パク・チア(3)

 トマス・ヴィンターベア監督(3)

 セバスチャン・イェセン(3)

 レスリー・シャープ(3)

 トーマス・ターグース(3)

 グヴェン・キラック(3)

 ウスマン・センベーヌ監督(3)

 ソ・ジソプ(3)

 ガエル・ガルシア・ベルナル(3)

 ボディル・ヨアンセン(3)

 ティルダ・スウィントン(3)

 フリドリック・トール・フリドリクソン監督(3)

 AndersDanielsenLie(3)

 キム・フォップス・オーカソン(3)

 クリスティアン・ムンジウ監督(3)

 スサンネ・ビア監督(3)

 ピーター・ガンツェラー(3)

 パク・アム(3)

 イ・ファシ(3)

 キム・ミョンミン(3)

 トビアス・リンホルム(3)

 チェ・ウニ(3)

 ウルスラ・メイヤー監督(3)

 ニコライ・リー・カース(3)

 ウルリヒ・ザイドル監督(3)

 ミカエル・ニクヴィスト(3)

 ダニー・ボイル監督(3)

 ペルニラ・アウグスト(3)

 クリスティ・プイウ監督(3)

 キム・ハヌル(3)

 ミミ・ブラネスク(3)

 ニコラス・ブロ(3)

 BogdanDumitrache(3)

 アンヌ=マリー・ダフ(3)

 ルシア・プエンソ監督(3)

 レオン・カーフェイ(3)

 ナタリー・ポートマン(2)

 ジャック・ノロ(2)

 セシリー・A・モスリ(2)

 ミカエル・ハフストローム監督(2)

 マリア・バルベルデ(2)

 ノア・テイラー(2)

 ソル・ギョング(2)

 ユン・ジンソ(2)

 チェ・ミンシク(2)

 チョン・ジュノ(2)

 キム・ジェロク(2)

 ムン・ソリ(2)

 アリ・スリマン(2)

 エラン・リクリス監督(2)

 イ・ジョンジェ(2)

 チュ・ジンモ(2)

 チョ・ジェヒョン(2)

 イ・ミスク(2)

 シム・ジホ(2)

 キム・ドンウク(2)

 チョン・ドヨン(2)

 キム・ガンウ(2)

 ペク・チニ(2)

 カン・シニル(2)

 キム・ナムギル(2)

 アンドレア・アーノルド監督(2)

 パク・チョンジャ(2)

 シベル・ケキリ(2)

 ビロル・ユーネル(2)

 ヤヌシュ・ガヨス(2)

 キム・セロン(2)

 フランソワ・オゾン監督(2)

 ガス・ヴァン・サント監督(2)

 ジェーン・カンピオン監督(2)

 アンジェイ・ズラウスキ監督(2)

 ジュリエット・ビノシュ(2)

 マイク・リー監督(2)

 ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督(2)

 パク・チャヌク監督(2)

 アンドレイ・タルコフスキー監督(2)

 トラン・アン・ユン監督(2)

 ソン・ヒョナ(2)

 オリヴィエ・グルメ(2)

 マルック・ペルトラ(2)

 アキ・カウリスマキ監督(2)

 ギャスパー・ノエ監督(2)

 ミシェル・シュボール(2)

 レフ・マイェフスキ監督(2)

 GabrielSpahiu(2)

 キリアン・マーフィ(2)

 クレイグ・ロバーツ(2)

 スティーヴン・ソダーバーグ(2)

 SettarTanriögen(2)

 スティーブ・マックイーン監督(2)

 キャリー・マリガン(2)

 イザベル・ユペール(2)

 ニール・シュナイダー(2)

 クシシュトフ・ピチェンスキ(2)

 オーレ・ボールネダル監督(2)

 フランソワ・クリュゼ(2)

 キッレ・ヘルム(2)

 ナーセル・ヘミール監督(2)

 ドメ・カルコスキ監督(2)

 ペルッティ・スヴェホルム(2)

 ウド・キアー(2)

 ナディーン・ラバキー監督(2)

 チャン・チェン(2)

 トーマス・ヴィルム・ヤンセン(2)

 アンドレアス・ウィルソン(2)

 アモス・ギタイ監督(2)

 サーデット・アクソイ(2)

 ニーナ・ホス(2)

 イ・ジェフン(2)

 ツヴァ・ノヴォトニー(2)

 Rosalinde_Mynster(2)

 ニコライ・アーセル監督(2)

 パトリシア・シューマン(2)

 ミケール・ビアクケーア(2)

 クリスティアン・ペツォルト監督(2)

 ジュリア・シャハト(2)

 ラン・ダンケル(2)

 ペーター・アンデション(2)

 グスタフ・スカルスガルド(2)

 ポール・シュレットアウネ監督(2)

 Shanti_Roney(2)

 Sarah_Boberg(2)

 Annette_K.Olesen監督(2)

 ミキ・マノイロヴィッチ(2)

 ズラッコ・ブリッチ(2)

 カタリン・ミツレスク監督(2)

 キャリー・ジョージ・フクナガ監督(2)

 ShantiRoney(2)

 ゾーイ・カザン(2)

 リチャード・ジェンキンス(2)

 ラミン・バーラニ監督(2)

 ルクレシア・マルテル監督(2)

 MadsSjøgårdPettersen(2)

 トム・マッカーシー監督(2)

 レハ・エルデム監督(2)

 パヴェル・パヴリコフスキー監督(2)

 ハン・ウンジン(2)

 ヴィンセント・ギャロ(2)

 クレール・ドゥニ監督(2)

 ハビエル・バルデム(2)

 ホリデイ・グレインジャー(2)

 ニコラ・デュヴォシェル(2)

 チョン・ジェホン監督(2)

 エレナ・アナヤ(2)

 フリオ・メデム監督(2)

 マキシム・ゴーデット(2)

 キム・ヘジャ(1)

 クリスティーナ・ヤンダ(1)

 ダレン・アロノフスキー監督(1)

 ウォンビン(1)

 チャン・チョルス監督(1)

 シャルナス・バルタス監督(1)

 フィリップ・リオレ監督(1)

 アニエスカ・ホランド(1)

 コ・ソヨン(1)

 イ・ビョンホン(1)

 ホ・ジュノ(1)

 ポール・ラヴァーティ(1)

 ニーナ・イヴァニシ(1)

 チ・ジニ(1)

 キム・スンホ(1)

 アレックス・ファン・ヴァーメルダム監督(1)

 オム・テウン(1)

 Henning_Valin_Jakobsen(1)

 パク・ヘイル(1)

 カン・ジファン(1)

 イエジー・スコリモフスキ監督(1)

 シン・ミナ(1)

 ビアギッテ・ヨート・スレンセン(1)

 ソーレン・マリン(1)

 ジェニファー・ローレンス(1)

 Signe_Egholm_Olsen(1)

 ジャファール・パナヒ監督(1)

 ハ・ジウォン(1)

 キム・スンウ(1)

 キム・ユンジン(1)

 エマニュエル・セニエ(1)

 イム・スジョン(1)

 ナ・ホンジン監督(1)

 イェジ・シュトゥール(1)

 ヴァンサン・ランドン(1)

 ノルマ・アレアンドロ(1)

 ミーラー・ナーイル監督(1)

 アナマリア・マリンカ(1)

 ブラッド・アンダーソン監督(1)

 AlexandruPapadopol(1)

 イム・グォンテク監督(1)

 ユン・ジョンヒ(1)

 ブリュノ・デュモン監督(1)

 スカーレット・ヨハンソン(1)

 マリア・ポピスタス(1)

 TomHarper監督(1)

 村上春樹(1)

 キム・スヨン監督(1)

 ヴィルジニー・ルドワイヤン(1)

 ジョン・マルコヴィッチ(1)

 ダニス・タノヴィッチ監督(1)

 ケヴィン・スペイシー(1)

 ヤン・クーネン監督(1)

 チョン・ジヨン監督(1)

 カリーヌ・ヴァナッス(1)

 ヴァンサン・ロティエ(1)

 アダム・フェレンツィ(1)

 アミール・ナディリ監督(1)

 リュディヴィーヌ・サニエ(1)

 パブロ・トラペロ監督(1)

 イム・サンス監督(1)

 RomaGasiorowska(1)

 リシャルト・ブガイスキ監督(1)

 ロネ・シェルフィグ監督(1)

 チャン・フン監督(1)

 ヴィム・ヴェンダース監督(1)

 アブデラマン・シサコ監督(1)

 イ・ジョンギル(1)

 マルティン・シュリーク監督(1)

 キム・ジョンチョル(1)

 ジョン・キューザック(1)

 

メールフォーム/Mail Form
ご自身のメールアドレスを知られたくない方は、コメント欄からどうぞ。

名前:
メール:
件名:
本文:



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。