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チャイルドコール 呼び声 <2011/ノルウェー=独=スウェーデン> ★★★☆

2013年3月30日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次ロードショー

babycall.jpg
Babycall/The Monitor
2011/75min/ノルウェー=ドイツ=スウェーデン
ミステリー、スリラー
監督:ポール・シュレットアウネ(Pål Sletaune(長編監督4作目)
出演:ノオミ・ラパスクリストファー・ヨーネル
IMDb評価:5.6/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★
迷宮度 ★★★

脚本 ★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★


babycall1.jpg夫の暴力や虐待から逃れ、8歳の息子アンダースとともに郊外のアパートに引越してきたアンナは、就寝中の安全確保のため、息子の部屋に「チャイルドコール」と呼ばれる監視用音声モニターを取り付ける。しかし、ある晩、チャイルドコールから謎の悲鳴が聞こえ、アンナは他の部屋の子どもの悲鳴が混線して聞こえたのではと疑いを抱く。さらに、アンダースの通う学校に夫が現れたという話が耳に届き、アンナの不安は日に日に募っていく…。@映画.com

監督は、「ジャンク・メール」「隣人 ネクストドア」の ポール・シュレットアウネ。
出演は、ミレニアムシリーズ、「プロメテウス」のノオミ・ラパス、「隣人 ネクストドア」のクリストファー・ヨーネル

babycall2.jpg集合住宅へ引っ越しまだ間もない頃、アンナはバスである男性を見かけ気になっていた。息子のために“チャイルドコール”を買いに家電量販店へ行くと、バスで見かけた男性が働いており、親切に接客してくれた。それを機に何度か会うようになり、“チャイルドコール”の不具合や使い方だけではなく、次第に息子の相談までするようになり、2人の距離は縮まっていったが…。

無線の混線を題材にし、同機種だと他の声を拾ってしまう可能性があることをうまく利用した独特な切り口の心理スリラー。我が子を守ろうとするあまり心のバランスを崩していく母親アンナの話である。主人公が出口の見えない迷宮に迷い込んでいく独自の世界観にはぐいぐい引き込まれてしまうスリリングさ。人間心理の奥底が炙り出されていく。アイデアも面白く、演技派2人の演技もいうまでもない。

前作「隣人 ネクストドア」には神経を逆なでするような嫌悪感や非現実的な空間による恐怖があり、観る者を選ぶ作品ではあったが、本作は母性愛が根底にある共感性の高いストーリー展開になっている。比較的まろやかな仕上がりで、万人向きになってしまったという残念な思いもあるが、独特な切り口と心理描写による恐怖は十分楽しめる。切なさが残る結末や伏線の多さは前作同様。本作も何度か観てはその都度理解度を深めていくことになるだろう。

<観賞> 2012/5/18

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隣人 ネクストドア <2005/ノルウェー=スウェーデン=デンマーク > ★★★★★

2013年3月30日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次ロードショー

Naboer_20120216154803.jpg

Naboer/Next Door
2005/75min/ノルウェー=スウェーデン=デンマーク
ホラー、ミステリー、スリラー
制作:マリウス・ホルスト
監督:ポール・シュレットアウネ(Pål Sletaune)(長編監督3作目)
出演:クリストファー・ヨーネル、セシリー・A・モスリ、ジュリア・シャハト、ミカエル・ニクヴィスト
IMDb評価:6.7/10

社会度 なし
哲学度 ★★
宗教度 なし
官能度 ★★★★
ゴア度 ★★★☆
迷宮度 ★★★★
衝撃度 ★★★★  


naboer2.jpg同棲中の恋人が出ていってしまった。1人になってしまったヨンは茫然としながらエレベーターに乗っていたら、見たことのない女性が乗っていた。同じ階で降り、隣に住んでいるというその彼女アンは、ヨンに重い物を動かすのを手伝って欲しいと依頼してきた。快く引き受け部屋に入ると、アナの妹キムがいた。初対面であるにも関わらず、なぜか姉妹2人はヨンを誘惑し始める。たじろぐヨンであったが、とうとう誘惑に負けてしまった…。

監督は、長編3作目となるPål Sletaune。次作で最新作「BabyCall」がUKで話題を呼んでいるようで、早くも期待高まる。
主演はノルウェー映画ではお馴染みのクリストファー・ヨーネル。好きな俳優さんの1人。日本で観れるのは現時点では「微熱 愛と革命の日々 (2006)」 のみで、ステラン・スカルスガルド主演の「孤島の王(2010)」が2012年GW公開予定。
出演は、ミレニアムシリーズのミカエル・ニクヴィスト。

naboer1.jpgサディスティックでエロティック、挑発的で暴力的。 コンクリート打ちっぱなしの無機質な空間での独特な空気感は時折背筋が凍るほど気味悪く、妖艶な姉妹2人からは危険な香りが漂う。主人公のヨンは、物静かで謙虚な印象の男性。傷心のヨンの精神状態を映し出した心理ホラーの傑作。私がこれほど惚れ込んだ作品はなく、これを超える心理ホラーには出会えていない。

ヨンの身に降りかかった出来事を全て知っている姉妹2人。彼女が出て行ったことも知っていた。隣だから聞こえてしまうと言うが、ヨンは今日まで2人の存在すら知らなかった。そもそも安アパートではなく、声が筒抜けになるほど壁が薄いとも思えない。姉妹の口から出る言葉全てに恐怖を感じるヨンであったが、一方で魅惑的な魅力に取りつかれてしまい、事態はとんでもない方向へ進んでしまう。

naboer3.jpg正直なところ、軸となるストーリーはそれほど新鮮な話ではない。多分どこの国にでも既に描かれているような話ではあるが、不安定な精神状態に注目した着眼点が平凡になりがちな話をうまく調理している。マンションの一室という閉鎖的な空間が出口のない迷路のようで無限なのではないかと錯覚させる見せ方や、姉妹のアクの強いキャラクターと今にも倒れそうなヨンのキャラクターのギャップ、挑発的で惹きつけられるスピード感ある展開、アイデア溢れるストーリーの肉付け、全てにおいて絶妙なバランスを奏でた勝利でしょう。
キーとなるのは、多くの扉とそれを開けるための鍵。おそらくヨンの脳内を扉で表現しているのではないかと思う。ラストに畳みかけるかのごとく押し寄せるラストの衝撃には鳥肌が立った。

<鑑賞> 2010/5/22、2011/12/26

初版:2010/5/24
最終版:2012/2/16(★4つを5つに変更)
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そのひとときの自由 <2008/オーストリア=仏=トルコ> ★★★

for a moment freedom
そのひとときの自由/For a Moment, Freedom
2008/110min/オーストリア=フランス=トルコ
ドラマ
監督:アラシュ.T.リアヒ(Arash T. Riahi)
出演:Navíd Akhavan, Pourya Mahyari, Elika Bozorgi
受賞:2008年モントリオール世界映画祭 Golden Zenith賞(金賞)

社会度 ★★
哲学度 ★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 なし
ゴア度 なし

脚本 ★★ 
演出 ★★
演技 ★★★


for a moment freedom1イラン。ある青年たちは、祖父母と住む親戚の子供と共に車を乗り継ぎどこかへ向かう。祖父母は別れを惜しんでいる。別の家族も同じ車に乗り込んできた。ギリギリのところまで車で向かい、後は歩いて国境を越えてトルコを目指すという。野宿をしながら無事に国境を超え、なんとかイスタンブールへ着いた。あてもなく安宿に向かうと、同様にイランから来た男組がいた。3組はそれぞれ難民認定が下されるまで安宿に滞在することとなった…。

監督は、イラン人のアラシュ.T.リアヒ。ドキュメンタリー出身であり、フィクション映画は初監督となる。本作は、第6回(2011)難民映画祭にて上映。

家族、親戚の子供を預かった従弟、友人同士の男性。3組の難民のイラン脱出から難民認定までを描いた作品。なかでも、認定が下りるのをひたすら待つ期間を中心に構成されている。
国連で難民認定を受けるとヨーロッパへ亡命できるという話を聞き、毎朝、申請の列に並ぶ。警察が来れば即座に逃げ、去ればまた並ぶといったことの繰り返し。警察に捕まれば、強制送還は免れない。危険と隣り合わせで期待と不安が入り交ざる。背景の違う3組の状況が並行して描かれ、それぞれが異なる結末を迎えることとなる。亡命したからといって、幸せが保障されるわけではない。自由を手に入れた者、ほんの少しの可能性に賭け、身を滅ぼす者、彼らの厳しい現実が待ち受けている。

for a moment freedom2本作の特徴は何と言っても、登場人物がポジティブだということ。作風は社会派というほど堅苦しくもなく、予備知識なくても楽しめる作品に仕上がっているが、最大の欠点にもなっている。ハラハラさせられる危機一髪の状況が随所に盛り込まれ、全体的に見せ場は多く、作品としても面白いのだが、緊張感の欠片もない。命がけである国境超えも家族のピクニックを見ているかのようで、いかにも作り上げたドラマ。警察の目を盗み、隠れるように生活しているのだが、不必要にも思えるユーモアさがあり、全体的な印象として緩さが目立ってしまっている。それぞれのキャラクター設定も曖昧で、ストーリー進行と共に掘り下げていくわけでもなく、脱出後から描かれているため、どういった背景での亡命なのか見えてこない。

製作国を見ての通り、本作は欧欧州映画。主要人物がイラン人で、イラン人の視点として描かれても、欧州目線になってしまっている。第3者の空想に思えてならない。どうせならEU視点のほうが観たかったものだが。

<観賞> 2012/2/11
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(未) タッチ <2012/韓> ★★★★☆

touch.jpgタッチ/터치
2012/99min/韓国
ドラマ
監督:ミン・ビョンフン(監督4作目)
出演:ユ・ジュンサン、キム・ジヨン
IMDb評価:データーなし

社会度 ★★★★
哲学度 ★★★★
宗教度 なし
官能度 ★
民族度 ★★★
ゴア度 ★

脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★★


touch1.jpg重度のアルコール中毒であるドンシクは、医師からきつく飲酒を止められている。友人の誘いも頑なに断っていたが、契約更新に必死になっており、学校の理事長の誘いだけは断ることができなかった。その日の帰り道、飲酒運転で生徒をひき逃げしてしまう。結局、警察に逮捕され、妻は示談金を支払うためにやむを得ず老人患者の性的要求を受け入れてしまった。それも病院にバレ、職を追いやられてしまう。さらに家に帰ると、とっくに帰宅しているはずの娘がいない。近所を探し歩くと、娘のぬいぐるみを持っていた学生を見つけ、後をつけていったら、見知らぬ家の箪笥の中に娘がいた。見つかりホッとしたのはつかの間、体中に落書きをされていた…。

監督は本作が4作目となるミン・ビョンフン。全作品が独立映画であり、日本での上映・ソフト発売はない模様。
出演は、ホン・サンス監督作品でお馴染みのユ・ジュンサン、「私たちの生涯最高の瞬間(2007)」「私の妻のすべて(2012)」のキム・ジヨン。

touch2.jpg夫ドンシクは元国家代表射撃選手であり、今は中学校の射撃部のコーチ。妻は、病院で老人の介護。夫は過去の栄光にすがり、妻は生計を得るために危ない仕事にまで手を出している。そんな一家の絶望への転落と再生を描いた作品。身近なところに潜む事件の危険性も示唆している。

ストーリーの中心となるのはごくありふれた家族であり、現実的なドラマだが、見せ場となるエピソードの豊富さとスピーディーな展開で、ぐいぐいストーリーに引き込まれる。これでもかというぐらいの悲劇が一気に一家を襲いかかり、崩れていく姿、精神的に追い詰められていく姿には息をのむ。しかし、どん詰まりでありながら決して悲観的ではなく、現実を受け止め、めげずに立ち向かおうとする懸命な家族の姿には好感。

しばし、野生の“鹿”が登場する。住宅街に突然現れ、不自然に見えがちだが、不思議と作品に溶け込んでいる。おそらくここでの“鹿”は“希望”や“奇跡”を暗喩しているのだと思う。どん底まで落ちた一家の前に現れた“鹿”は救世主となり、訪れた“奇跡”は生きる意味を教えてくれた気がした。

<観賞> 2012/12
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(未) Hayat <2005/イラン>★★★☆

hayat1.jpgHayat
2005/75min/イラン
監督/脚本:ゴラム・レザ・ラメザニ(Gholam Reza Ramezani)(監督3作目)
脚本:Mojtaba Khoshkdaman
出演:Mohammad Sa'eed Babakhanlo、Mehrdad Hassani、Ghazaleh Parsafar
IMDb評価:7.0/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★ 
演出 ★★★
演技 ★★★★


hayat3.jpg早朝、ハヤは母親にたたき起こされた。今日は大事な進級テストがあり、登校前に勉強するためである。同時に母は家事を始めようとしていた矢先、ハヤは父親の異変に気がついた。息をしていない。車を持っている近所の人にお願いして病院へ連れて行ってもらうことにした。母も病院へついて行き、ハヤは兄弟たちの面倒と留守番を任されることとなった。しかし、今日は大事なテストがあり、学校を休むわけにはいかない…。

監督は、「The Cart(ザクロ売りの息子)(1999)<未>」のゴラム・レザ・ラメザニ。たった一本シネフィルで放送されたのみ。

成績は良く、進級も確実だといわれているハヤであるが、家庭のことはあまり得意ではないのは日本の子供たちと同様である。普段見ている母の姿を見よう見真似でこなそうとするが、どれもこれもうまくいかない。牛の乳しぼりをしようとしたら牛に後ろ足で蹴られたり、鳥の餌作りの時だって袋をこぼしてしまい粉だらけ。それでも自分なりに一生懸命母の代理を努めようとしている姿は微笑ましい。

hayat2.jpg無事に家事が終わっても、赤ん坊を預かってくれる家を探さなければならない。ある家は出掛けていて留守だし、ある家は“学校は男が行くところ”と考えており、通学しているハヤに批判的なおばさんもいる。“女は挨拶だけできればいい”とさえ言うおばあちゃんもいるほどである。道端には煙草を吸ったり、お茶を飲んで暇潰しをしている中年男性が溢れているが、男が赤ん坊を見るなんて御法度なのだろう。男尊女卑が色濃く残る片田舎を舞台としている。

母親がやり残した家事を終わらせ、赤ん坊を誰かに預け、無事にテストを受けられるかどうか、といった至ってシンプルなストーリー。時間にしたら、たかだか2~3時間のことなのだが、てんやわんや奮闘する様はまるで長い一日を見ているかのよう。ハヤの健気さと心温まるラストにうるっときてしまった。

<観賞> 2013/1/31

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サイレンス <1998/イラン=仏=タジキスタン> ★★★☆

le silenceサイレンス/Sokout/Le Silence
1998/76min/イラン=フランス=タジキスタン
監督/脚本/編集:モフセン・マフマルバフ
助監督:マルズィエ・メシュキニ、サミラ・マフマルバフ
脚本監修:ハナ・マフマルバフ、スチール:メイサン・マフマルバフ
出演:タハミーネ・ノルマトワ、ナデレー・アブデラーイェワ
IMDb評価:6.9/10

社会度 ★
哲学度 ★★★
宗教度 なし
官能度 ★★
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★ 
演出 ★★★★★
演技 ★★★


le silence1タジキスタンの田舎町。10歳の少年コルシッドは母親との二人暮し。彼は目が見えないが、楽器職人の親方の許で調律師として働いていた。楽器職人の家に住む少女ナデレーが、毎日彼を迎えに来る。彼は音の世界に生きていた。並外れてすぐれた聴覚をもつコルシッドは、町のざわめきや水の流れの音に美しさを感じることができた。だが家は貧しく、大家に5日以内に家賃を払わないと家から追い出すと言われてしまう……。@allcinema

監督は、「パンと植木鉢」「ギャベ」「サイクリスト」のモフセン・マフマルバフ。

le silence2少年コルシッドは盲目であり、一方で音にはすごい敏感である。コルシッドの立場になって町を歩くと、音の豊かさに気付かされる。動物の鳴き声、車の音、雨音、川のせせらぎ、鍋を叩く音、歌声…少年にとって聞こえる音は全て音楽。通勤途中に気になる音を聞くと、導かれるように音のほうへ吸い寄せられてしまう。後を追い、その音が何なのか確かめずにはいられない。音についていってしまうため、しばし仕事に遅刻をしてしまっている。それゆえ、仕事をクビになり、家賃滞納のため家も追い出されようとしている。ところが、その悲劇を描くのではなく、障害者として同情の目で描くのでもなく、少年の表情は常に晴れやかである。なぜなら、心に響いた音が、ベートーベンの交響曲「運命」の出だしと重なり、その上、少年の自由な発想によって視覚化されていくのである。その映像の綺麗さといったら。パラジャーノフを彷彿とさせる映像感覚は詩的で暗喩的なのだが、ぼんやり見ているだけでも魅惑的。

各作品ごとに趣きを変えている監督だが、本作は独特で妖艶な世界観を創り出している。イランでは撮影許可が下りなかったためタジキスタンでの撮影となり、従来のイラン映画とは異なり、女性たちは色彩豊かな民族衣装に身を纏い、ストーリーに花を添えている。なお、少女のダンスが検閲に引っ掛かり、イランでの上映も認められていないという。

<観賞> 2013/1
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カドッシュ <1999/イスラエル=仏> ★★★★

kadosh.jpgKadosh
1999/110min/イスラエル=フランス
ドラマ
監督:アモス・ギタイ 
出演:ヤエル・アバカシス、ヨラム・ハダブ、メイタル・バルダ 
IMDb評価:6.9/10

社会度 ★★
哲学度 ★★★★★
宗教度 ★★★★★
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし
脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★★
演技 ★★★★


エルサレムにある超正統派の町、メア・シェアリーム。メイールとリブカ夫妻は10年の結婚生活で子宝に恵まれず、コミュニティーからはのけものにされ、ラビからは離婚を薦められている。一方リブカの妹は恋人がいるにもかかわらず、ラビから薦められた相手との結婚を強制される…。

監督は、イスラエルを代表するアモス・ギタイ。

kadosh1.jpg子をたくさん産んでこそ初めて女としての役目を果たせるとラビは言う。10年の結婚生活にも関わらず子宝に恵まれないことは夫としても恥であり、ラビは離婚を命じるが、夫は愛している妻を見捨てることはできない。そんな夫を不憫に思い、妻は産婦人科で検査を受けることにした。ところが、妊娠検査を受けること自体、ユダヤ教の戒律に反するという。さらに、不妊の原因は夫であることが判明。妻は驚くべき行動に移すのであった。一方、妹マルカはラビから薦められた男性との結婚に反発する。

“カドッシュ”とは、ユダヤ教の聖書(トーラー)に出てくる言葉で、“神聖”を意味するという。道徳規範や規則といった“戒律”は女性にとっては不利なことが多い。ユダヤ教とその戒律の中で“神聖”の犠牲となり、愛を貫くために翻弄される女性2人の物語である。

やむを得ず戒律を破りながら従順する姉と、反発しながらも結局は従わざるを得ない妹を対照的に描いている。幸せの基準は人それぞれ。人から強要されるものでもなければ押しつけられるものでもない。人間にとって大切なものは何か?コミュニティーで生きる上での見栄や体裁、覚悟といった普遍的なテーマでもあり、女性差別を浮き彫りにした挑戦的な作品。

中東映画で下着姿、ベッドシーンを初めて観たが、結婚するなら好きな人と、初夜はどんな感じなのか、不妊の原因を探るべく医師が聞き出す夫とのセックスの話を赤裸々に語るシーンはかなり挑発的であり、宗教は違えど女性として同じ思いを抱いていることに驚きと共に安堵。

<鑑賞> 2012/1/26
[サイト内タグ検索] アモス・ギタイ監督
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すずめの唄 <2008/イラン> ★★★★

the song of sparrowsすずめの唄/The Song Of Sparrows/Avaze Gonjeshak-ha
2008/96min/イラン
ドラマ
監督:マジッド・マジディ(長編監督11作目)
出演:モハマド・アミル・ナージ、Maryam Akbari, Kamran Dehghan
受賞:2008年アカデミー賞外国語映画部門イラン代表(「おくりびと」が受賞)
IMDb評価:7.7/10

社会度 ★★★
哲学度 ★★★★★
宗教度 なし
官能度 なし
民族度 ★★★
ゴア度 なし

脚本 ★★★★★ 
演出 ★★★★★
演技 ★★★★★


the song of sparrows2イランの片田舎。ある父親は、ダチョウを飼育する農場で働いている。しかし、柵を開けていた隙に、飼育していたダチョウの1羽が逃走してしまった。同僚たちと追いかけるが、追いつかず、バイクで探しに行くがどこに行ってしまったのかもはや見当もつかない。ダチョウ1羽は200万トマン。次の日、仕事をクビになってしまった。
難聴の娘の壊れた補聴器を直しにバイクでテヘランへ向かった。ところが、バイクタクシーに間違わられ、客は次々とバイクにまたがってくる。失業中の父親はバイクタクシーで生計を立てることにした…。

監督は、「運動靴と赤い金魚 (1997)」「少女の髪どめ (2001)」のマジッド・マジディ。本作は、シネフィルイマジカのみでの放送。こんなにいい作品がなぜ、一般公開されないのか?

娘の補聴器が井戸に落ちてしまい、弟やその友達が必死で探しようやく見つけた。しかし、壊れており、買い替えが必要。保険に入っていないため、高額となる。来月のテストまでどうにかして新しい補聴器を買い与えたいと思う親心からストーリーは展開していく。父親の身に次々とふりかかる災難が軸に描かれるのだが、悲劇性はなくユーモラスで思わず引き込まれてしまう。

the song of sparrows1補聴器の修理に行ったテヘランは大都会。大量の車が行き交い、客は携帯電話でビジネスの話をしながらバイクにまたがる。高層ビルの建設ラッシュ。物が溢れ、人々は新製品を買い求め、まだ使えるものを捨てる。まさに資本主義。そこに足を踏み入れてしまった父親は、バイクタクシー運転手として働き、工事現場で拾ってきた廃材を転売するといった生活を始め、お金の味を知ってしまう。そして、自分自身を見失っていくのである。

補聴器を落とした井戸には長年のゴミが溜まり、使い物にならなかったが、そこで色とりどりの金魚を飼いたいと思い始めた息子。金魚を買うために花を売っていたとは知らずに、父親はすごい剣幕で息子を叱ってしまう。掃除をして綺麗になった井戸の屋根にはスズメが巣を作り始めていた。金に目がくらんでしまった父親とは正反対に、子供の純粋な思いに胸が温かくなる。
大切なものは何か?自分を見失なった父親がそれに気付く時はくるのだろうか。他作品と同様、人生の教訓が詰まった作品。人の優しさがすーっと心に響き、観る者を和ませてくれる。村と都会のコントラストも素晴らしかったが、子供たちが買ってきた金魚を床にぶちまけてしまったシーンの美しいこと。ポスターにもなっている。

<観賞> 2013/2/2

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